406 :本当にあった怖い名無し:2013/04/06(土) 18:54:24.73 ID:53VTkOOh0
うちの一族はもともと九州南部の山間の小さい集落に住んでいて、
集落の名前(地名)=一族の苗字、集落全体が親戚って感じです。
そんなうちの一族に伝わる不思議な話です。

もともと別の土地に住んでいたらしいのですが、戦に追われ、一族郎党でその山に逃げ込みました。
着の身着のままで、上は老人、下は乳飲み子で、食べるものもなくなり、山中で精も根も尽き果てて、あたりも暗くなり、
もはやこれまでか…とみんな諦めかけたそうです。


すると闇の中から人影が現れ言いました。
「こんな夜中に幼子を連れて山に居る輩がいる、と言われて様子を見に来たら、本当にいるとは驚いた」
地元の人間が警戒して偵察に来たと思った長老が、
「明日になればすぐに立ちさる。申し訳ないが見逃してくれ」と頼みました。
人影は疲労困憊の一族を見回し、しばらく考えると、
「ここでは夜露をしのぐには辛かろう。あっちに窪地がある。そこで火を焚き暖を取るといい」
そう言うと山の中に去っていきました。



414 :本当にあった怖い名無し:2013/04/06(土) 19:27:21.55 ID:53VTkOOh0
その場にとどまっても仕方ないと、言われた通り窪地に移動して一夜を過ごしました。
夜が明けて、とりあえず移動しようとすると、
山の中から『鷹のような異形の男(口伝のまんま)』がイノシシを担いで現れました。
驚いていると、「姉者のお恵みじゃ。喰え」と言いました。
その声は昨晩、窪地を教えてくれた人影の声でした。
警戒しながらも、腹をすかしていた一族は有難く頂きました。

ご飯を食べてる間、鷹のような男は、
長老たちに、どうしてここにやってきたのか、これからどこにいくのか聞いてきました。
今迄住んでいたところを追われ行くあてはない、と答えました。
鷹の男は話を聞くと、
「このまま山を下ると川にあたる。そのまま川沿いに下ると大きな岩がある。その辺りは弟の縄張りだ。話は通してあるから、そこに集落を作るといい」
そう言うと、いつの間にか居なくなっていました。

あれは山の神の使いに違いないと思ったご先祖様は、言われた通り川沿いにあった大岩の近くに集落を立てて、以降、大岩周辺にいる神様を『山裾さま』、山中で出会った鷹の男の神様を『山中さま』、
鷹の男が言っていた姉者を『山上さま』と呼んで奉りました。

以上が、小さいころに聞かされた集落創立の昔話です。





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