386 :本当にあった怖い名無し:2007/03/04(日) 23:48:57 ID:BIgdSq+MO
俺の妹は霊感が強い。
とゆうか、そうゆう家系らしい。
俺もわりと強い。妹強い。両親とも弱く、母方のばあさんと、ばあさんの弟のじいさん強い。

高校の時の話。
その時うちには、近所の人から預かっていた日本刀があった。
あとで年寄りから聞いた話なんだけど、その日本刀は曰く付きで、近隣の住人にはナントカ包丁と呼ばれているらしい。

夏休みのある日、俺は友達と肝試しを行った。
場所は一家失踪の家。地元で有名な場所だ。
新しく家を建てるために業者が解体中に事故が相次いだ。
だから半壊状態のまま、山の中にぽつんと取り残されている。

友達との待ち合わせ場所に向かうと、先に友達は来ていた。ちなみに昼間。
失踪の家の辺りは夜にバスが出ていないから、昼間に行くか夜明かしをするかしかない。後者は嫌。
バスに乗って問題の物件まで行くと、昼間だとゆうのにその近辺だけ暗い。
「おー雰囲気あるねー」
そんなことを言いながら家に入ると、独特の冷気が漂っていた。夏だというのに俺は鳥肌が立った。
「あー、参ったな」
家具が置きっぱなしのリビング。食器棚の中に違和感を感じた。
カーテンが閉められていて、昼間でも薄暗い。
食器棚の中の誰かと目があった気がして、俺は慌てて目をそらした。


387 :本当にあった怖い名無し:2007/03/04(日) 23:49:50 ID:BIgdSq+MO
霊が出るという子供部屋をまわり、朽ちた寝室をまわり、引き返す。
特に何事もなく、またリビングへ戻る。

記念写真を撮り、「あっけなかったなー」と言いつつ玄関から外に出る。
なぜか右の掌だけが汗ばんでいた。

家に帰ると、中学生の妹がベランダで日焼けをしていた。
「ご近所さんの目を気にしろよ」と言いつつ洗濯物を取り込み、
一服しようと手すりにもたれ掛かると、妹が吸っていた煙草を指先で弾いた。
煙草は俺の顔の横をかすめ、ポスッと弾かれて足下落ちた。
「あぶねーなー何なんだお前」と言うと、妹は唇の端をつり上げて笑い、手をヒラヒラと振った。
「シッシッてか。犬じゃねーんだよ」

その日の夜、晩飯を食っていると、後ろから視線を感じた。
妹が俺の後ろの食器棚から、ガチャガチャと皿を取り出すと気配は消えた。

夜中に便所に起き、またベッドに横たわっていると、コンコン、コンコン、と窓を叩く音がする。
窓の外はベランダ。
ふとベランダを見ようと体を起こすと、ドカドカとベランダを歩く音が聞こえ、
「ウザッテーんだよ!」と妹の声がした。
びっくりして窓を見ると、妹が何もない空間に向けて蹴りを打ったところだった。
「何してんの?」
俺が言うと、妹は不機嫌そうに言った。
「お兄ちゃんガキ連れてきてるよ」


388 :本当にあった怖い名無し:2007/03/04(日) 23:52:09 ID:BIgdSq+MO
言われて気づいた。昼間、妹が煙草を投げつけたことを。
俺の顔をかすめ、煙草は何かに当たって落ちた。何か?何に?
俺は手すりにもたれ掛かってたから、俺の後ろには何もない。
煙草は1階まで落ちるはずなのに、何かに当たり跳ね返って俺の足下に落ちた。
気づいてぞっとした。
その日は妹に頼んで、妹の部屋の床で寝た。

何日かして、登校日だったので学校へ行くと、友達が笑いながら寄ってきた。
「やったな!」
「なにを?」
友達は一枚の写真を俺に見せた。
あのリビングで撮った写真だった。
ぼけっと立つ俺の右で、小さな男の子が俺を見上げていた。
その子の手は、俺の手を握っている様に見えた。
「やったな!なんか体調悪いとかない?」
友達は嬉しそうにはしゃいでいた。

鬱になりながら家に帰ると、和室の戸が開いていた。
おそるおそる中を覗いてみると、暗い和室で妹が一人で立っていた。近所の人から預かっている日本刀を持って。
俺は戸を閉めた。何だあれは?何やってるんだあいつ?
俺はびびりつつ戸を開けた。
妹は俺の顔を見ると言った。
「おかえり。今日から一人で寝ても大丈夫だよ」

その日から視線も感じなくなった。
妹が何をしたのか俺は知らないし、知りたくない。


391 :本当にあった怖い名無し:2007/03/05(月) 00:07:06 ID:BIgdSq+MO
ちなみに、俺は何度か妹に泣きついたことがあるが、妹がもう大丈夫と言う度に怪現象はなくなった。
妹が何をしているのか分からない。分かりたくない。
一度何をしてるのか尋ねると、妹は笑いながら首を絞めるジェスチャーをしてみせた。
その瞬間窓が叩かれて、妹が「うるせーよ殺すぞ!」と一喝すると、電気の紐が揺れて、外で何かが逃げる気配がした。
俺は妹がたまに怖くなる。

ちなみに、妹に彼氏が出来たためしはない。
付き合ってもすぐに別れる。
すぐに。数日以内に。

ある日町で、家に連れてきたとたん逃げ出した元彼と会った。
別れた理由を聞くと、夢を見たと言う。
夢の中で妹は、黒い靄にひたすら鉈を降り下ろしていた。笑いながら。
怖くなって、付き合うどころじャなくなるらしい。

ちなみに、ナントカ包丁はいまだにうちにある。
名前も覚えてるんだけど、知りたくないし忘れたいから書かない。







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