10: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 2006/08/07(月) 00:44:54 ID:hUd7sg6j0
友人の話。

彼の実家がある山村には、一寸変わった物の怪が出たという。
「舌盗み」とか「舌盗り」と呼ばれるそれに取り憑かれると、食べ物の味が全然
わからなくなってしまうそうだ。
山の主が他人の舌を借り、様々な味覚を楽しんでいるのだろうと言われていた。

姿形がない存在なので、力ずくでは追い払えない。
これに憑かれると、とにかく好き嫌いをせずに、何でも食べなければいけないと
伝えられていた。
色々な食べ物の味を堪能すると、舌盗みは満足して山に戻るからだとか。
なぜか胡麻の味は嫌いらしく、胡麻を沢山摂れば早く開放されるとも伝わる。

何とかして舌盗みを山に帰すと、元通りの味覚が戻ってくる。
生命に別状はないということだが、秋の収穫期にはとにかく怖れられ、そして
嫌がられた存在だったそうだ。

偏食はいけないっていう教訓が、化け物になったのかもしれない。
彼自身はそう考えているのだとか。







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