241 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/03/31(火) 18:53:54 ID:YlLkh0xa0
知り合いの話。

彼はかつて漢方薬の買い付けの為、中国の奥地に入り込んでいたことがあるという。
その時に何度か不思議なことを見聞きしたらしい。

「南のもの凄い山奥なんですけどね。
 その辺では人が死ぬと、産まれた村で埋葬するっていうのが慣わしなんです。
 基本的に土葬なんですが、近代では当局が火葬をするように指導しているそうで。
 でも彼ら、土葬じゃないと嫌だ!っていうんですよ。
 火葬じゃ幸せになれない、あの世へお金も持っていけないとか言って。
 埋葬時に紙で出来たあの世用のお金とかを、一緒に棺に入れたりしますから。
 火葬じゃ確かに燃えちゃいますね。
 そこでやっぱり死体を売買しちゃったりするそうで。
 はい、買った方の死体を火葬にしてから、本人の亡骸はこっそり土葬する、そんな裏技をよく使うそうです。
 いやぁ困ったものですね」

「他所の離れた土地で死んでしまった人はどうするんでしょう?
 何の気無しにそう聞いてみたところ、ビックリするような返事がありました。
 『仕方ないから、産まれた土地まで出来るだけ持って帰るようにする。
  でも担いで帰るのは大変だから、死体を自分で歩かせて帰るんだ。
  そんな技を使う道術士が、邑に一人はいるから』って」

それって、まさか霊幻道士ってヤツですか? 実在するんですか?
驚いた私がそう口にすると、苦笑しながら彼は答えた。

「さて、どうでしょう。実際に本人に会った訳ではないですから。
 そこの道士は日本人が嫌いだったらしく、会うなと助言されましたし。
 『あんたが会いに行ったら、殺された後で扱き使われるぞ』ってね」



242 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/03/31(火) 18:56:54 ID:YlLkh0xa0
知り合いの話。

彼はかつて漢方薬の買い付けの為、中国の奥地に入り込んでいたことがあるという。
その時に何度か不思議なことを見聞きしたらしい。

「山奥の農村部には、陰婚って呼ばれる古い風習が今でも残っているんです。
 独り身の男性が亡くなった時に、やはり独り身の女性の死体を一緒に添い遂げさせて埋葬するんだとか。
 埋める前には陰婚式というちゃんとした式も挙げるといいます。
 地方の山奥では、今でも普通に行われているんだそうですよ。
 私がいた山村では冥婚って言われてましたが、まあやってる事は一緒です。
 で、滞在中に変な話を耳にしまして」

「ある村で、独身の一人息子が死にかけていたらしいんです。
 それで不憫に思った親御さんが、早々と陰婚用の死体を買ったというんです。
 ええ、ちゃんとそれ用の手配師がいるみたいで。
 ただ値段は張るようですね。骸一体が農民の年収にも匹敵するのだとか」

声を潜めてこう続ける。
「・・・ここだけの話、これが今あの地方で、社会問題になっているみたいで。
 幾ら人が多いといっても、毎回毎回そう都合良く若い女性の死体なんて、
 まず手に入らない訳ですよ、当たり前の話ですが。
 だから、死体を売買する目的で殺される女性があるのだとか。
 障害者とか無戸籍の女性が狙われるとか、そんな噂も聞きました。
 まあこの時の死体は、そういった不法事例ではなかったようですが」


243 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/03/31(火) 18:57:44 ID:YlLkh0xa0
「ところがこの息子さん、危篤状態から奇跡的に回復しましてね。
 自力では歩けなかったみたいですけど、小康状態にまでなったんです。
 それで親御さんは、不要になった死体を転売する計画を立てたそうで」

「その話がまとまった次の日、息子さんが床から姿を消したんですよ。
 保管していた死体も失くなっている。
 村中総出で探したところ、墓地の外れに掘り返された跡が見つかった。
 掘り返してみると、行方不明の息子と死体が仲良く並んで埋まっていたそうで。
 最も息子さんの顔は、醜く歪んでいたという話ですが。
 色男だったから死んだ女性に一目惚れされたんだろうって、皆が言ってました」

牡丹灯籠みたいですね。
そう私が感想を述べると、彼は「そうですね」と苦笑した。


     



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