481 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2017/07/22(土) 22:33:09.82 ID:CRMARVcH0.net
①仕事を頼まれた時の話

偶にだけれども、他の寺院から助っ人を頼まれる事がある。
たいていは大きな法要の準備や出仕なのだけれども、その時はいつもと違っていた。

法要を終えてそこの副住職と一息ついていると、住職がやってきて「急にすまないが祈祷を行うから出てくれないか」と頼まれた。
別に断る理由もないので引き受けて、副住職と一緒に法要の準備をしているのだが、一向に祈祷を受ける人が来ない。
住職に聞いたら、実はこの祈祷を受ける人は檀信徒で、しかも自称霊感持ち。
祈祷内容は「犬に霊が取りつき命を奪おうとしている。今すぐお経をあげてくれないか」との事。
いわゆる遠隔祈祷(という言葉があるか知らないけれども…)だった。
この時私が一番最初に思ったのは、「アホくせぇ…」の一言。
一緒に聞いた副住職も「まいったなこりゃ」みたいな顔をしていた。

その後法要準備ができるまで、
「なんでそんな事につきあう必要があるのか」
「そんなんで良くなるなら医者なんていらないだろう」
と副住職と一緒に言っていたが、どんな事でも仕事は仕事なので準備を終えて祈祷を行った。
で、お経を唱えていくうちに、御宝前に薄い靄の様な膜がかかっている事に気付いた
「あれは何だろう。線香の煙にしては広がりすぎるし、臭いもしてこない」と思っていたが、
靄の中に僅かだけれども、半透明の着物を着た古い時代の女性が見えた。
「うっそー さっきの話は本当なのかよ!」と思いつつお経を唱えて祈祷を行うと、靄が晴れていつもの御宝前に戻った。

祈祷を終え、控室に下がってくるや副住職と一緒に、
「見たか御宝前?」「おお見た」「あれは何だったんだ?」と言い合っていると、
住職がまたやってきて「犬は息を吹き返したそうだ」と言ってきた。
住職に御宝前の女性を見たのか尋ねると、
「そりゃ当然見えたさ。大体本当に霊がとりついていないのなら、わざわざ祈祷なんてするわけないだろ」と返された。


639 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2017/07/28(金) 00:03:38.42 ID:tnmKsfKi0.net
②お寺に泊まった時の出来事

ある大きなお寺から、法要と片付けの仕事の依頼を受けた。
法要も無事に終わり、夕方頃には片付けも終わってそろそろ帰ろうかと思った時に、
このお寺の副住職から「少し話をしないか」と言う事で寺に残る事になった。

本来ならここで怪奇現象についての相談かと思うけれども、実際は自分達の教義について意見を聞きたいという事だった。
実はこのお寺は俺と同じ宗派だけれども少し教義が違う。
元々別宗派だったけれども一緒になったという事もあり、
外から見れば教えの内容はほとんど変わらないけれども、厳密に言えば違う所も多かった。
こういう話になるとお互い譲らないので(この辺は色々な事情がある)、時間がたつのも忘れて言い合っている間に深夜なった。
帰りの電車は当然ないし、日帰りの予定だったのでホテルも予約していない。
向うも「こんな時間になったのは自分のせいだから」と言って寺に泊めてもらえる事になった。
問題はこの夜の事。


640 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2017/07/28(金) 00:05:27.77 ID:tnmKsfKi0.net
寺だから空いている部屋はいっぱいある。その中で八畳ほどの部屋を用意してくれた。
といっても布団と隅にテレビがある位で、ほとんど何もなかった。
元々外部の人が寺に泊まるための部屋との事。現在は誰も使わないらしい。

風呂に入って部屋に戻り、電気を消して寝たのだが何故か急に眼が覚めた。
目が覚めると自分がうつぶせに寝ていて、しかも部屋の電気がついていた。
「あれ、電気は消したはずなのに…」と思ってうつ伏せから起き上がろうとした瞬間、体が動かなくなった。
最初は「金縛りか?」と思ったけれど、手は動かす事が出来たので金縛りではない事はすぐ分かった。
それに金縛りが来る時は感覚的にわかるので直ぐ外す事もできる。
「あっ、これ違う」と思った時、耳元でものすごい風の音がした。
それは風と言うよりも暴風といった「ゴー」という音で、
金縛りにあったというよりも、暴風に体を抑えられて身動きが取れない状態に近かった。
手で踏ん張って上体を起こそうとしても全く体が上がらない。
耳元で暴風の音がして、体にもかなり強い風を受けているという感覚があった。
結局は「これは無理だ」とあきらめてそのまま寝た。
というかいつの間にか寝ていた。


641 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2017/07/28(金) 00:05:56.21 ID:tnmKsfKi0.net
朝、副住職が「もうすぐ朝のお勤めがあるから」と起こしに来た。
起こされた俺は部屋を見回すと、電気は消えていて、部屋の隅にテレビがあるという寝る前の光景そのまま。
昨日の事を思い出し、副住職に話をすると、
「俺も前にこの部屋に泊った事があるけど、そんなことなかったぞ」と普通に返された。
「あれ、ひょっとして昨日のは夢?でも体に昨日の感覚が残っているし…」と思っていると、
僧侶が「そういえば、昨日の真夜中何を急いでいたの?」と聞いてきた。
俺は何のことかわからず、「昨日は夜中は部屋にいた」と答えると、
「夜中三時ごろだと思うんだけど…
 廊下を走るものすごい足音が聞こえたから、何の音か部屋から出たら、ちょうどお前の部屋に入る姿を見たんだよ」
と言われ、
俺「何言ってんだよ?そんな夜中に足音立てて走るわけないだろ。寝ている住職が起きたらどうするんだよ」
副住職「でも、確かに見たんだよ。
 お前の寝ている部屋に入口を開けて入る、白い衣(法要で使う衣)に袈裟をつけた着た若い人を…」
俺「お前なぁ…どの世界に白い衣に袈裟つけて布団で寝る奴がいるんだよ」
副住職「しかし、若い人って今ここにいる二人以外にはいないはずだぞ」

俺はこの部屋が使われない理由がわかった気がした。




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