244: 本当にあった怖い名無し 2005/11/03(木) 02:00:46 ID:fhiRLMyU0
むかし、むかしのことじゃ。
わしのじいさまのじいさまが山の夜道を、
馬を引きながらタバコをぷかぷか葺きながら歩いておった。
じいさまは町へ定期的に野菜やらを売りにいっておってな、その帰り道じゃったんじゃ。
その晩、月は綺麗に見えるのに空気は何だか生ぬるかったそうな。
「すっかり遅くなっちしもうた…はよ帰りてぇのぅ」

それでなくともこの山には、いつの頃からか化生の物(化け物)が出るとの噂がある。
無理せず、町で一泊していけば良かった…とじいさまが考えていた矢先。

「これ、どうしたんじゃ」

急に馬が動かなくなってしもうたそうじゃ。
叩いても押しても引いてもダメで、まるでその先から一歩も進みたくないように
がんとして動かんかったそうな。
すると、急に肌寒い風が吹いて……気が付くと、目の前に見たこともない美人が立っておった。

「(たまげた…こんな夜更けに、若いおなごがどうしたんじゃろうか…)」

立派な着物や綺麗な簪も目立つが、何よりそのおなごの目ん玉に驚いた。
まるで金物の様にギラギラと光輝いておったんじゃ…。
「(こ、この娘はまさか、山に住む…!?)」

化生の物かもしれん。今にとって食われてしまう…と思っておったじいさまじゃが、
娘はじいさまが口に加えておったタバコを見るや、しげみの中に逃げてそれっきりじゃった。

「(た、助かったわい…ありゃあ、きっと蛇の化生じゃあ。
 蛇は火が嫌いじゃけんのぅ…タバコの火が消える前に、はよ山を降りな!)」

こうしてじいさまは一命をとりとめた。
あとで峠の茶屋の婆様に聞いたところ、あれはじいさまの考え通り、山の主の大蛇だったんと。
あれに会って助かったもんは滅多におらん、お前さんは運がいい…とのことじゃあ。
お前も、夜道で美人におうた時は気を付けるんじゃで。タバコに火ぃつけてやり過ごすことじゃ…。

父方の祖父(故人)から聞いた話。




オカルトランキング