635 :本当にあった怖い名無し:2006/02/06(月) 20:19:39 ID:YmI/874+O
ちょと昔に聞いたお話。

その頃いろんな事に嫌気がさした爺さんは、会社を休み山に登った。
四時間位登り、少し下界を眺められる様な所で休憩をとった。
おにぎりを頬張りながら美しい展望を眺め、その景色に癒されながら、ふと水筒に手を伸ばした。
無い…後ろを振り替えると、自分の座っていた所から10m位先にちょこんと立っていた。
首を捻ながら水筒を持ち上げると妙に軽い。
試しに振ってみても液体の音がしない。
がっかりしながらさっきまで座っていた所に戻ると、今度は残りのおにぎりが無い。
余りの事に言葉を失っていると後ろから、
クスリ
と子供の笑い声が聞こえた。
振り返ってみると、ちょうど狐の尻尾が林の中に消えていくのが見えた。
もう行こう…と思い荷物を片付けようとしたら、
おにぎりの容器の中にこの時期には珍しい山菜が沢山入っていた。
余りの量の少し後ろめたい気持ちになったが、麦茶とおにぎりのお礼として受取りその場を後にした。

今でも爺さんは、
「おにぎりと麦茶だけで、あの量の山菜を貰うのには気が引けた」
と目を細めて語る。





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