227 :本当にあった怖い名無し:2020/01/18(土) 22:00:45 ID:EnYb9QDk0.net
石じじいの話です。

じじいの話の聞き取り末期の記録です。詳しい内容になっています。

願いをかなえてくれる家があったそうです。
マヨイガのようですね。
その家は廃屋で山の中にあります。
奥の間に祭壇があって、その前で一心に祈ると自分の願い事が叶う、と。
その祭壇は仏壇でもなく神棚のようなものでもなかったそうです。
何もお供えをしなくても良い。
ただ行って、その前に伏して願えば良い。
願い事を口に出しても構わないし、念じるだけでも良い。
まあ、あやしい話なので、ほとんどの人は信用しませんでした。
ただ、ある男性は、それを行なって願いがかなったらしく、他人に熱心にその効能を吹聴していました。
彼が言うには、その家にまっすぐ行くのではなく、あるルートを巡って行かなければならない。
それは遠回りなのですが、そうしないといけないのだ。
この方法は、ある人が教えてくれた、ということでした。
しかし、教えてくれた人が誰か?また、その家に行く道順も教えてくれなかったので、他の人は全く信用しなかったのです。
当然でしょう。
変わり者の嘘つきだ、という悪い噂さえたったようです。


228 :本当にあった怖い名無し:2020/01/18(土) 22:01:04 ID:EnYb9QDk0.net
その村に女の子がいました。
彼女の母親が若くして亡くなり、少女はとても悲しみました。
ひどく落ち込んで外出もなかなかできない状態が続きました。
少女をかわいそうに思ったその男性は、少女にその家に行く方法を教えたのです。
そこに行ってお母さんに会えるように祈ってみては?ということだったそうです。
もうおわかりでしょう。
願い事がかなって、死んだお母さんが『魔物』となって少女のもとに帰ってくる、というペットセメタリー的な話で・・・
もう少し待ってください。
少女は教えられた通りの道順でその家に行って、一心に願いました。
お母さんに会わせてくれと、できれば生き返らせてくれと。
翌朝、少女の枕元にはたくさんのおもちゃが置かれていたそうです。欲しかったおもちゃが。
父親にずいぶん叱られたそうです。どこから盗んできたのか?友達の家か?店屋からか?
しかし、そんな高級な珍しいおもちゃを持っているともだちはいなかったし、
店屋など遠くて子供が容易にいけるはずもない。そんな田舎では売ってもいない。
父親はその少女を見守るようになりましたが、仕事があるのでいつもというわけにはいきません。
そのうち少女は、隙を見て再び家に行って祈りました。
「今度こそ、おかあちゃんに会わせてださい、もどしてください」
翌日、少女の枕元にはたくさんのおもちゃが置かれていました。前のものとは別の。


229 :本当にあった怖い名無し:2020/01/18(土) 22:01:26 ID:EnYb9QDk0.net
父親にさらに厳しく詰問されましたが、少女には答えるすべがありません。
その日から、少女はますます暗く鬱々と落ち込んでいきました。
そして二度、自殺をこころみたそうです。
家族の者たちは、少女を遠くの町の脳病院(ママ)に入れました。
一年ほどいて、少女は回復したそうです。
その後、少女は学校を終えるとすぐ、進学することなく、家族の反対を押し切って仏門に入りました。

「こわいことです、こわいことです」
老齢の庵主さまは、そう、じじいに言ったそうです。
「今の私が、あの家で、母を求めたら、何を得るのでしょうか?」
「こわいことです。あなたも、山を行かれる人ですから、その家に行き当たることもありましょうが。よくお考えください」






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