273: ◆dXcfrJBpgk 2021/09/27(月) 01:09:50.00 ID:bnZxmG200
幼少の頃から、不思議な体験をするほうで、小学校二年生のときに怖い思い出がある。

住んでた家はバラック小屋みたいな平屋で、4.5畳と6畳二間。

お袋が結婚祝いに貰ったでかいタンス、その上にガラスケースに入った日本人形。

陶器でできてる日本人形。

深夜、狭い部屋で家族で川の字になって寝ていると、何かが擦れるような音で目が覚めた。

「カリ、カリ、カサカサ、」

俺は目を疑った、隣に寝てた親父の胸を叩いて起こした。

目を擦りながら親父も驚いた。

ガラスケースの中の日本人形が左右に動いてた。

親父は俺を布団にくるむように目隠しすると、

「大丈夫、大丈夫、」

と言った。けどその晩一睡もできなかった、親父もだと思う。

で、その日本人形なんだけど、親父が飾るときに、落としてひっくり返したらしく、左の中指と右の親指、薬指が折れて無くなってたんだ。

俺は子供ながらに気付いて、その日本人形を神社へ持って行き供養して貰った。

親父の左中指は、切断寸前の事故で動かなくなってたし、親父の兄貴の右親指と薬指は、工場で切断してしまってたから。

274: ◆dXcfrJBpgk 2021/09/27(月) 01:24:07.96 ID:bnZxmG200
神社へ持って行って、それから家族含め親戚にも指の怪我とか無かったんだけど、親父の実家にあった小さな日本人形は不気味というか、不思議だった。

心霊番組とかでよくある?髪が伸びる日本人形。

婆ちゃんも驚いてた、家であった出来事から日本人形に対して嫌悪感を持ち始めてた俺は、神社へ持って行った。

眠くなってきたので、今日はここまでにします。

275: 本当にあった怖い名無し 2021/09/27(月) 05:31:09.90 ID:b2zEoWAz0
乙です
小さい頃からいろいろ体験してたんだね

276: ◆dXcfrJBpgk 2021/09/28(火) 00:55:29.83 ID:iQz7U2mS0
>>275
うん、それが何なのかと図書館へ行ったり、ネットで検索するようになって今は答えが解る気がする。読んでてくれてありがとう。

277: ◆dXcfrJBpgk 2021/09/28(火) 01:03:01.83 ID:iQz7U2mS0
神社へ持って行くと、神主さんが

「この人形は○○寺に供養して貰いなさい」

神主さんは、凄く困った表情でそう言った。俺はその理由を神主さんに聞いてみたけど、この神社では供養できないからとの一点張だった。

その○○寺は静岡県伊東市にあった。

もちろんガキだった俺には、簡単に行ける場所ではなかった。

278: ◆dXcfrJBpgk 2021/09/28(火) 01:16:13.80 ID:iQz7U2mS0
親父やお袋に頼み、そのお寺へ行けることになった。もちろん髪の伸びる日本人形を抱えて。

真夏で、セミがうるさいくらいの大音量で鳴いてた。

お寺の駐車場に親父が運転する車が停まった。

すると、お寺の方からお坊さんがこちらに歩いてきた。

「その人形ですね?」

俺はお坊さんに、その人形を渡しながら、どうして供養して貰いに来たのか知ってるんだろう、親父かお袋が事前に連絡してたからなのか、それとも神社の神主さんが連絡してたからなのかと疑問に思ってた。

でも、どれでもなかった。

279: ◆dXcfrJBpgk 2021/09/28(火) 01:30:33.22 ID:iQz7U2mS0
そのお寺には、俺の先祖がねむる墓があった。俺は幼稚園くらいのときの記憶を思い出した。

墓地は山の中腹で、寺から坂道を登り行く途中に沢山のミカンの木があって、もぎ取って食べたこと。

お墓から見下ろせる海、潮の匂いと線香の匂い。

人形を渡した俺達一家にお坊さんは、

「お墓参りして下さい」

にっこり笑いながらそう言うと、人形を抱き抱えるように、お坊さんは寺へ戻って行った。

俺達は墓地へ向かった。

280: ◆dXcfrJBpgk 2021/09/28(火) 01:42:37.69 ID:iQz7U2mS0
先祖のお墓は綺麗に保たれてた。時折吹く潮風も、海が好きな俺にとっては心地良かった。

そんなとき親父が、別の墓石へ俺を連れて行った。

親父「これが爺さんが入る墓だ」

俺の爺さんは今はもう他界したけど、当時は元気だった。

俺「そうなんだ、でさ、すぐ横にある小さいのは?」

親父 「知らない、」

爺さんが入るお墓のすぐ側にある小さな墓石は親父も含め、叔父も叔母も、この時まで知らなかったらしい。

今日はここまでで寝ます、おやすみなさい。ありがとう。

289: ◆dXcfrJBpgk 2021/09/29(水) 01:43:10.17 ID:l0tTe9lp0
>>280の
続き書くね。

もともと墓参り目的じゃない俺達家族は、線香も供物も何も持っていなかった。

するとさっきのお坊さんが、墓道を足早に登ってきた。

息を切らせ、俺達家族の前で言った。

「これで供養できますから」

両手には彼岸花と箱のようなものが握られていた。

285: 本当にあった怖い名無し 2021/09/28(火) 20:53:49.72 ID:0O9XSFGO0
繋がりのないエピソードに感じられるけど、これから全体像が見えてくると思うと楽しみ
ちょくちょく自分にも縁のある地名が出てきてビクってなる
個レス大変だろうし、まとめてで大丈夫ですよ

287: ◆dXcfrJBpgk 2021/09/29(水) 01:23:38.81 ID:l0tTe9lp0
>>285
小出しにしてるわけじゃないけど、ほんといろいろありすぎて纏めるのに書いてて自分でも、どっから話したらってなってる。

その全貌が何だったんだか、俺ななりに書き続けるね。ありがとう。

290: ◆dXcfrJBpgk 2021/09/29(水) 01:57:02.62 ID:l0tTe9lp0
お坊さんは、最初に爺さんの墓に花を供えると、俺達家族も親戚も謎だった小さな墓石の前で箱を置き地べたに正座した。

お経を唱え始めた。

ガキだった当時の俺には何も理解できないまま、お経が終わると。

「○○くん、持ってきてくれてありがとう」

笑顔でお坊さんは俺に言った。

お坊さんは話してくれた。過去に何があったのかを。

291: ◆dXcfrJBpgk 2021/09/29(水) 02:21:01.48 ID:l0tTe9lp0
「ここの上に線路があるよね」

墓のすぐ上に線路があるのは幼少の時に見てたのを思い出してた。

「線路を造るときにね、昔亡くなった方々の遺骨や遺品が出たんだ。」

俺は、お坊さんの言っている意味かわからなくて、お袋と親父に視線を向けると、線路がある方から目を逸ていた。

お坊さんは俺の頭を撫でながら、優しい笑顔で言った。

「この線路を造るときにね、たくさんの無縁仏さまが出てきたんだ」

「君のお爺さんはね」

293: ◆dXcfrJBpgk 2021/09/29(水) 02:48:09.14 ID:l0tTe9lp0
「ここに住んでたとき、遺骨をちゃんと埋葬しようと役場に言ってたんだ、でもね」

名もしれないひとが、亡くなると道祖神として祀られ石碑になることがあるのを近年知ったけど、その当時は、そうではなかったらしい。

「君のお爺さんは、見ず知らずの仏さまのお墓を作ったんだよ」

「この人形も」

お坊さんは数珠を掌で擦ると、 持ってきた箱を開けた。

開けた箱の中には、もともと泥だらけだったような犬のぬいぐるみ、それと昔の手紙のようなもの、赤黒い布、

俺は、両親がそれを見ようとしなかったことがのちに繋がると今は思ってる。

今日はもう寝ます おやすみなさい。

298: ◆dXcfrJBpgk 2021/09/29(水) 23:07:44.15 ID:l0tTe9lp0
お坊さんは、遺品を見つめながら言った。

「君のお爺さんだけじゃないんだよ、ここの墓地の檀家さん、このお寺を守ってくれる方々が、いつかはくる自分や自分の先祖のお墓の側に、仏さまを埋葬し直したんだよ。」

確かに、同じように墓石の隣に小さな墓石があったことを思い出した。

俺 「その骨とかって、どのくらいあったんですか?」

お坊さん 「32、でも線路の部分だけだから、まだ仏さまは居ると思うよ」

俺は、続けて聞いた。

299: 本当にあった怖い名無し 2021/09/29(水) 23:11:26.90 ID:Lospk/U70
厚木に住んでたことあるから気になって仕方ない〜

301: ◆dXcfrJBpgk 2021/09/29(水) 23:40:59.98 ID:l0tTe9lp0
>>299
厚木市って俺好きだった。なんだろう、当たり障りない市民性で大和市から行くと座間市挟んで世界観が優しい思い出あるんだ。

見てくれてありがとう。

300: ◆dXcfrJBpgk 2021/09/29(水) 23:34:35.72 ID:l0tTe9lp0
俺 「どうして、たくさんのひとが、そんなことになったの?」

お坊さん 「戦争だよ、空から爆弾が昔たくさん落ちてきて、山の上が壊されたんだ、そこに住んでた人たちでね、地面が崩れて埋まってしまった。」

俺 「‥‥ 」

当時の俺は、戦争のことを軽視してたと思う。

お坊さん 「これが、戦争だったんだよ」

お坊さんは、赤黒い布を手のひらを開き、示して説明してくれた。

それが戦争に行った人達に渡された赤紙だったこと、無事に帰りを待つ家族の気持ちの想いを。

俺は、黙ってお坊さんの話しを聞くしかなかった。

犬のぬいぐるみって、戦争に行った兄弟からのプレゼントだったんじゃないかと思う。無事に帰れる保証なんてないから。

俺は持ち込んだ日本人形のことを聞いた。

302: ◆dXcfrJBpgk 2021/09/30(木) 00:21:22.05 ID:XUTlJC4K0
お坊さん 「人形はね、線路から出たときに、君のお爺さんが持って帰ったんだ。」

俺 「え?、土のなかに埋まってたんでしょ?」

お坊さん 「たくさんの遺品のなかに、あの人形さんがあったんだよ。」

俺は、小さな墓石の横にもう一つ更に小さな墓石というか、小石を積み上げたかのうな墓石を思い出した。

お坊さんは見ず知らずの人骨を受け入れることは檀家さんに、個人的にというか、宗教家的にいうか無理だったらしい。

でもそのお坊さんは、檀家さんの
墓ならと目を瞑ったと言ってた。

お坊さん「ほんとうに、来てくれたね。ありがとう。あの人形はちゃんと供養するからね。」

俺はその言葉の意味、髪がのびる人形、戦争に巻き込まれて亡くなられた人達、物質な人形、動くはずのない指が数本折れた人形、「来てくれたね」のお坊さんの言葉、正直理解しようとしても当時は無理だった。

いろいろありすぎで、書いてて思い出すこととかあるので、なるべく割愛しないように、これからも書きます。

見ててくれてる方々、ほんとうにありがとう。おやすみなさい。

303: 本当にあった怖い名無し 2021/09/30(木) 00:48:40.68 ID:ojQOEVM50
>>302
おつかれ
1が独特の雰囲気のスレでクセになる
地名出てくるのがリアリティあってすき
人目気にせず自由に書いてほしい

304: 本当にあった怖い名無し 2021/10/02(土) 22:41:16.78 ID:Lql6FTOU0
うーん、なんともいえない味わい、、、
とりあえずお疲れ!

305: 本当にあった怖い名無し 2021/10/03(日) 02:08:44.59 ID:QSeU9SE20
一行ごとに空の行を挟む書き方、ちょいちょい見かけるけど
どういう意図でそうしてるんだろう…

306: 本当にあった怖い名無し 2021/10/03(日) 02:29:34.56 ID:Ijfhz7+p0
目が滑らないようにじゃね?
まとめの人みたいな書き方は読みづらいから読み飛ばしてるわ

307: 本当にあった怖い名無し 2021/10/03(日) 07:42:13.77 ID:QSeU9SE20
目滑り防止か…この方が読みやすいって人もいるんだな

310: ◆dXcfrJBpgk 2021/10/03(日) 22:38:44.72 ID:goZNol/q0
>>307
俺も最初、読みにくいと思ってたけど、今はこれが読みやすいし、読み返しやすいんだ。

質問してくれて、ありがとう。







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