1元・腰痛男 ◆61ZC8rIv2k 2021/12/24(金) 04:03:59.04ID:VehHiq2b0EVE
2014年1月に以下の内容を投稿した『元・腰痛男』です。

第一部
http://black-one-neck.blog.jp/archives/1079705576.html

第二部
http://black-one-neck.blog.jp/archives/1079727767.html

定期的にまとめやYouTube動画に掲載されていて、その内容を読ませてもらったりしています。
「続きを読みたい」というコメントもあったので久しぶりにスレを立ち上げました。





2元・腰痛男 ◆61ZC8rIv2k 2021/12/24(金) 04:05:31.57ID:VehHiq2b0EVE
今回は以前に投稿した下記の内容についてです。

0140 元・腰痛男 ◆2014/01/30 18:55:30
【祠(ほこら)】
ある農家の話 。先代がある時期に親族から土地を譲り受けた 。
現在その土地は畑作地として利用している 。不思議なことに真ん中にある1本の大木に寄りかかるように祠があるそうだ 。

 
おばちゃんにその農家の奥さんが家族写真を見せたときの話 。
じっと写真を見つめ続けた後 、
『あの〜お宅の土地に祠なのかなあ〜、そんなのあります? 』
『はい嫁ぐ前から土地に在りましたが、誰の所有物かわからないので管理というか置いているだけのものですが…』
『あなた方の土地に在るならば、ちゃんと管理しないと行けませんね。掃除とかお供え物などを定期的に行ってあげてくださいね』
 
それ以降はちゃんと管理しているそうだ 。だからって何もその家族に変化などは現れなかったけどね。

 
実はこの話、妻の実家の話なのです。妻の母親がウチの家に来られた際に、家族写真を見せて丸山のおばあちゃんに会いに行って言われた内容です。




3元・腰痛男 ◆61ZC8rIv2k 2021/12/24(金) 04:07:59.59ID:VehHiq2b0EVE
 
今回はこの祠についての話です。
今回の主な出演者


妻母
丸山のおばちゃん

第三部
『祠の正体』
妻の母親が丸山のおばちゃんに視てもらったのは家族の写真だった。写真には妻の両親2人、おばあちゃん、妻の弟の4人写っている。
 
じっと写真を見ていた丸山のおばちゃんは、
『後ろに写っている家はあなたたちの家じゃないようなのですが…』
と話し始めた。
 
義母は「はい、逆光になるのを避けて撮影しました。それで隣の家が写真に写ってしまいました。すみません。撮り直した方がいいでしょうか」
『いいえ大丈夫ですよ。ちょっと気になっただけなのでね。ところでこの家の方々、つまり隣の家族は親戚関係ですか?』
「いいえ、親戚ではありません。いや、遠い親戚になるようだともおばあちゃんから聞いたことがあります。」
『そうですか。このお宅から以前に頂いたものってありますか。小さな木の組み立てたような小屋みたいといえばいいかしら。祠みたいので小さなのが視えるのですが…』



4元・腰痛男 ◆61ZC8rIv2k 2021/12/24(金) 04:09:18.05ID:VehHiq2b0EVE
「あーハイ、私達家族の家の裏側に畑があるのですが、真ん中に木があってその下に小さな祠があります」
『その祠かなあ。今度おウチに戻ったら写真に撮ってきてもらえますか?』
「はい、わかりました。撮影したら娘に渡します。この祠が何かあるのでしょうか?」
『ちょっと気になるのでね…。とりあえずは自分の土地にあるのであれば、大事に管理してあげてくださいね』
「はいそうします。ここの畑はご先祖様が隣の家と隣接していた土地を交換したそうです。だから多分先生が気にしている祠は、最初は隣の家が管理していたのだと思います」
『いまは自分の土地にある祠ならばなおさらです。ちゃんと管理してあげてください』
「はいそうします。ありがとうございました」
 
その後は家族の写真を見ながら、ご家族はみんな健康だから大丈夫ですよ、安心してくださいね。と言われて安心して義母は帰途についた。



5元・腰痛男 ◆61ZC8rIv2k 2021/12/24(金) 04:11:31.87ID:VehHiq2b0EVE
 
数日後、義母から畑の真ん中にある祠の写真が送られてきた。
とりあえず丸山のおばちゃんと会う前に妻は携帯で撮影をし、先生にメールで送っておいた。
「先日は母がありがとうございました。祠の写真を送らせていただきます」
『先日はお母さん、遠いところからありがとうございました。祠の写真を見させていただきました。ちゃんと毎日管理していますね。どうやら私に言われる前からご家族の誰かが掃除やお供えなどをしてキレイに清めていたようですね』
 
その内容を妻は義母に転送した。義母は義父に祠がいつもキレイになっているって言われたって伝えたら義父が、
「当たり前だ。俺がいつも掃除とお供えをしているからな。知らなかったのか」
との返事。
義母は義父が毎日していることを知らなかったそうだ。
 
とりあえず、その祠は自分の父によって定期的に管理されていることを聞いて妻は安心していた。




6元・腰痛男 ◆61ZC8rIv2k 2021/12/24(金) 04:12:40.30ID:VehHiq2b0EVE
 次の予定日に丸山のおばちゃんと会うまでの間、妻は実家の祠について何かあるのではないかと心配みたいだった。
『ねえ、あなたも少しは視える方なのでしょう?いったい私の実家の土地に何かあるのかしら』
「丸山のおばちゃんも心配いらないって言ってたから大丈夫だよ。家族も健康で問題無いって言うことだし。だから安心しなよ。あの土地もあの家も気にする必要はないね」
『実家に今度行ったらあなたも祠を視てちょうだいね。それとも今まで霊的なのを感じたことあるの?』
「うーん、ないと思うよ。俺は今まであの家では視たことがない。ただ俺があの家に行くときはいつも熱を出しているのは知ってるだろう。微熱だけど37度くらいのを毎回毎回。そういうのって何か理由があるかもしれないな」
『え〜いやだもう〜。本当なら丸山先生に実家に行ってほしいのに、それは無理かもしれないし…。』




7元・腰痛男 ◆61ZC8rIv2k 2021/12/24(金) 04:14:35.19ID:VehHiq2b0EVE
妻の実家は県外にあり、この町から約数百キロと距離が離れている。丸山のおばちゃんの交通費やら宿泊費やらをこちらで負担すれば可能だと思うのだが、今回は写真を視ての診断ということになった。

 
俺は時間があるときに祠について簡単にネットで検索をしてみた。
【神社の簡単なものであり、集落や個人の土地に設置されていることが多い。神職は通常存在しない。】
 
ネットでは祠で検索してみたら通販サイトでも販売されている。こういう通販サイトに掲載されている木製型の祠によく似ている。




8元・腰痛男 ◆61ZC8rIv2k 2021/12/24(金) 04:15:59.90ID:VehHiq2b0EVE
 
このような祠があるという事実は妻の実家で見たことがあるから知っていた。木製のその小さな祠はどこにでもあるような感じで、長いあいだその場所にあったような古ぼけた感じで、屋根の代わりのように後ろから木が立っている。
祠の前面にある扉を両手で開けると中身は何もない。お供え用の皿が置いてあるだけ。あと水入れ用のグラス。
「この祠って空っぽなんだ」
妻に聞くと、
『昔っからあったのだけど、どういうものなのか家族もわからないみたい』
と言われた。生まれたときからそこにあるのだから、家族としては当たり前のように接していたというわけだ。

 
丸山のおばちゃんと出会う日、あいにく俺は所用があって行けなかった。今回は妻が1人だけで話を聞きに行った…。




9名も無き被検体774号+2021/12/24(金) 15:29:39.73ID:VDZNV8+T0EVE
気になる




10元・腰痛男 ◆61ZC8rIv2k 2021/12/24(金) 20:51:17.25ID:VehHiq2b0EVE
出かける直前になって、いつも借りている知人宅から電話があった。前の相談している方が時間がかかっているそうで1時間くらい遅れてウチに来てほしいそうだ。妻は言われた通りに1時間遅れてその家に向かった。

 
丸山のおばちゃんに会うと、
『すいませんね〜。今日は私が遅刻してしまいました』
と先に謝られた。
「いえいえ先生、いつも遠くから車でお越しくださってますし、先生も忙しい方ですから。」



11元・腰痛男 ◆61ZC8rIv2k 2021/12/24(金) 20:52:41.32ID:VehHiq2b0EVE
『いいえ、今日は忙しくなかったんですけどね、車でいつもの道を走っていたら捕まっちゃってね、警察に。20kmオーバーでキップ切られちゃった。あそこの道は張っているって有名だったのに、ついうっかりしちゃった。いやんなっちゃう。あはは。』
「えっ先生、スピードオーバーで警察に捕まったんですか…」

 
妻が自宅に戻ってその話をしてくれた。俺は気になったことがあり、
「丸山のおばちゃんだったら未来を予知して先に道路で警察がスピード張っているのを気づくかと思った」
そう話したら妻が、
『私もそう思ったから同じこと質問してみた。そうしたら丸山先生、そんなの私がわかるわけありませんよ〜、あはは。だって』
「へ〜、そういうところは普通の人なんだな」
『うん、それで祠の話しなんだけどね…』




12元・腰痛男 ◆61ZC8rIv2k 2021/12/24(金) 20:55:27.49ID:VehHiq2b0EVE
 
テーブルに座って雑談をしたあとに、丸山のおばあちゃんに改めて実家にある祠の写真を見せてみる。
「先生どうでしょうか」
『うん、ちゃんと定期的に管理されていますね。』
おばちゃんの話しは続く。
『祠は最初、大きな石を数段乗せたいたような感じで出来ていたようです。その後に木の祠を以前の地主さんが作成してくれたみたい。後ろにある木は何の木かしら。多分これ祠が最初にあって、そのあとに木が伸びてきたようですね』
「そうなんですね…。それと丸山先生、その後ろにある木は栗の木です」
『あーそう、栗の木ですか。栗だったらちゃんとご家族の皆さんも美味しく召し上がってくださいね。祠のあるじも喜ぶでしょう。』




13元・腰痛男 ◆61ZC8rIv2k 2021/12/24(金) 21:00:25.77ID:VehHiq2b0EVE
「はい、わかりました。それでなんでその場所に祠が…」
『いま留守みたい』
「えっ、祠の中がですか?」
『うん留守なの。それでね、旦那さんと会いたいって。祠のあるじが」
「主人にですか」
『うん、多分ご主人だったら祠のあるじと会えるかもね』

 
自宅に戻った妻からそういう話しをされて
「えっ俺かよ。今日は俺も一緒に行けばよかったかな」




14元・腰痛男 ◆61ZC8rIv2k 2021/12/25(土) 01:43:06.20ID:jn1pQf/90XMAS
『うん、けどそこまでで時間が終わって帰って来ちゃった。夕方近くであのお借りている方にも迷惑かかるし…。祠のことはまた次回でいいかなって。家族や家・土地なんかは特に問題ありませんからって言われて安心しちゃった』
「そうか…じゃあ今度のゴールデンウィーク連休に祠に挨拶してくるか。名探偵コナンのように、【真実はいつも一つ】ってな」
『犯人探しじゃないんだからね』
「あーそうだった。」
 

ということで次の連休は妻の実家に行くことになった。おばちゃんが妻に伝えずに、俺に祠の秘密を解いてみろってことは多分理由があるからだ。




15元・腰痛男 ◆61ZC8rIv2k 2021/12/25(土) 01:43:59.09ID:jn1pQf/90XMAS
 
1人になってくつろいでいるときに、頭の中に祠や周りの土地やらの風景をイメージとして思い浮かべてみた。まあそんなことですぐには浮かぶわけがない。こういうのって、ちょっとした拍子に答えが出てくるものだ。だから数日放置しておくことにした。
 
みんなもふとした瞬間に、ちょっと気が静かな感じというか瞑想状態みたいな時に映像が浮かぶことがある人がいるのではないだろうか。俺の場合はトイレの使用後が多い。今回も小を済ませてトイレを出た瞬間にイメージ映像が頭に浮かんだ。



16元・腰痛男 ◆61ZC8rIv2k 2021/12/25(土) 01:44:53.46ID:jn1pQf/90XMAS
 
それは川の映像だった。どういう意味かわからないが妻の実家近くの地図をネットで検索してみた。
妻の実家から約1キロほど離れている。小さな川みたいだ。妻に確認してみた。
「実家近くに川は流れているみたいだけど、どんな川?多分車で通ったときに見たことがあると思うけど」
『川?そうね、私が子どもの頃は、よく川遊びしていたな〜。浅瀬もあって子どもが遊びやすい場所かな。流れもゆるくてね。』
「そうなんだ…」
とりあえずは妻の実家に行ったら近くの川を散策することにした。




17腰痛男 ◆61ZC8rIv2k 2021/12/25(土) 01:46:41.93ID:jn1pQf/90XMAS
さて連休になり、妻の実家を訪れた。妻のご両親に挨拶をして、家の裏側にある畑へ。栗の木の根元付近にある祠に妻と一緒に向かった。
風が吹き、後ろにある栗の木の葉っぱが静かにそよいでいた。
栗の木って何年の寿命?樹齢っていうのかな、ネットで調べたら50年から100年らしい。この木は何年前からあるのだろう。
 
栗の木から祠に視線をおろし、正面にある木製扉を両手で開く。
中にはお供え用の皿が置いてあり、隣にコップの中に水が添えられている。



18元・腰痛男 ◆61ZC8rIv2k 2021/12/25(土) 01:47:54.56ID:jn1pQf/90XMAS
俺はバッグからパックのオレンジジュースを取り出して、ストローで穴を開けてお供えをした。
妻はびっくりして
『なんでオレンジジュース…』
「うん、映像が浮かんだから用意してきた」
『…ふうん…それでどうなの』
「…うん…、わからないな。とりあえず夕食まで時間あるから川に散策してくるよ。」
『ええ、気をつけてね』




19元・腰痛男 ◆61ZC8rIv2k 2021/12/25(土) 20:04:56.11ID:jn1pQf/90XMAS
妻には弟さんがいる。まだ30代だけど独身だ。近くの川までは彼と一緒に世間話をしながら道案内をしてもらいながら歩いて行った。
 
弟君は根がいいやつなんだけど、何せおとなしいのと地方田舎の長男ということもあって、嫁さん探しは苦労しているみたいだ。
「何せ出会いが…」という感じで話しは終わってしまう。

 
川に着いた。両岸は小さな堤防で護岸されている。河川の規模は村で管理するくらいの小さな川だ。両側にある堤防までおおよそ10mくらいの幅だ。堤防高も3m弱というとこれだろうか。真ん中を申し訳なさそうにチョロチョロと小川が流れている。




20元・腰痛男 ◆61ZC8rIv2k 2021/12/25(土) 20:06:00.69ID:jn1pQf/90XMAS
「ずっとこんな感じなのかな。上流も下流も」
『そうですね。子どもの頃からずっとこんな感じで流れていますよ。昔はよくここで川遊びをしてましたね。いまの子どもはそんなことしないだろうけでど…』
「だよね〜。もっと楽しいものが増えたからね。」
 
ずっと上流先に釣りをしている人を見かけた。魚は何が取れるのだろう。川の水を手で触ってみる。濁りもなく、ひんやりとしていい水だ。顔をあげると空は晴れていて雲がゆっくりと流れていた。心地良い風を感じた。
 
しばらくボーっと川の流れを眺めていた。ただ何も視ることも感じることはできなかった。残念だけどしょうがない。俺は弟君と帰ることにした。




21元・腰痛男 ◆61ZC8rIv2k 2021/12/25(土) 20:07:53.07ID:jn1pQf/90XMAS
 
その夜は豪華な料理を用意してくれていた。テーブルに並んだその料理をありがたく頂戴した。いつもビールを一杯先にいただく。下戸なのでビール一杯で酔う。料理をたくさんいただいて、腹いっぱいになり、そのままリビングのソファで横になり眠りについた。

 
1時間くらい寝てただろうか、声が聞こえてくる。近くで妻が家族と地元の訛り言葉で会話している。小声で話す会話が聞こえてきた。



22元・腰痛男 ◆61ZC8rIv2k 2021/12/25(土) 20:08:32.46ID:jn1pQf/90XMAS
妻母「さっき祠に行ってみたらジュースが置いてあってびっくりしちゃってさ」
妻『うん、俺さんが用意してきたんだって。映像が頭に浮かんだからって。祠のひとが欲しがっていたみたい』
妻母「ハア〜…。それで祠のひとはわかったみたいなの?」
妻『ううん、まだみたい』
義母「そうか…」

 
俺は起き上がって、カラダの上にかけてもらった毛布をはいで、トイレに向かった。
『起きた?』
「うん。オシッコ」
トイレで用を済ませ、ドアを開けて廊下に出る際にフワッと背中に何かが来てカラダが軽くなり、バターンと力が抜けたみたいに前のめりに倒れた。




23元・腰痛男 ◆61ZC8rIv2k 2021/12/25(土) 20:10:22.56ID:jn1pQf/90XMAS
家中に響く大きな音が廊下から聞こえて妻が急いで見に来た。
『大丈夫‼︎ お酒弱いからアルコール中毒かも。もしダメだったら救急車呼ぼうか』
慌てている妻と家族の前で俺は
「大丈夫。それからわかったよ」
『えっ、わかったって何?』
「いま祠のひとが俺に挨拶してくれた。【よきかなー】って」
『はぁ?』




24元・腰痛男 ◆61ZC8rIv2k 2021/12/25(土) 22:27:18.76ID:jn1pQf/90XMAS
 
ゆっくりと起こされて、リビングに戻った俺は妻の家族の前でざっくりといま起こった出来事を説明した。
 
「あの祠の中のひとは女の子でした。ずっと昔にこの地域であの川が増水して周りの土地にも溢れるような大きな豪雨水害が発生したんです。川の流れがこの付近まできて、小さな女の子は家族と離れ離れになりました。女の子はそのまま濁流に流されてしまったんです。最後に亡くなった場所があの祠付近だったのです。
 
そして土地の地主だった方が葬ってやる為に石を数段重ねてしばらくの間、お花なんかを添えてお祈りやお供えをしてくれていました。




25元・腰痛男 ◆61ZC8rIv2k 2021/12/25(土) 22:28:47.20ID:jn1pQf/90XMAS
それから数十年が経過しました。川までかなりの距離があるものの、この場所まで水が来たということで、神頼みも込めて祠を建てたんです。
 
そして祠の近くで遊んだ子ども達がその場所で栗等を食べたのでしょう。芽が出て木になって行きました。
祠の女の子は、栗の木と一緒に神聖化されたような感じで年月が流れていきました。彼女、栗が大好きみたいですよ。」



26元・腰痛男 ◆61ZC8rIv2k 2021/12/25(土) 22:31:55.02ID:jn1pQf/90XMAS
一気にしゃべると妻が質問してきた。
『じゃあ丸山先生が留守って言ったのは何?なんで貴方に祠と対面するように先生は言ったの?』
「俺がこの家に来たときに飛び乗ってきたんだよ、あの子…」
『え?』
「以前、丸山のおばちゃんに俺の背中にいた女の子を祓ってもらったことがあるだろ。ギックリ腰になる原因の。あの子なんだ、俺の背中についていたの」
(第一部を参照)




27元・腰痛男 ◆61ZC8rIv2k 2021/12/25(土) 22:36:17.80ID:jn1pQf/90XMAS
『えっだってあの女の子、丸山のおばちゃんが祓ってくれてあの世に行ったんじゃ…』
「だからあの祠はいま留守なんだよ。誰もいないんだ。ただ俺にはジュースを飲みたいイメージをくれたから、時々こちらの世界に顔を出しているのかもね」
『えっ…』
「さっきトイレから出た際に、俺ってオシッコをしたあとにこういう現象がよく起きるんだけど、今まで話した内容のが映画のように頭の中に流れて、あの子が耳元で【よきかなー】って言って天に昇っていったんだ。




28元・腰痛男 ◆61ZC8rIv2k 2021/12/25(土) 22:39:03.69ID:jn1pQf/90XMAS
 
背中をトーンって叩かれたような気がして、それから俺は天地が逆になったような感じになって廊下に倒れてしまった。まあ、もっとも酒のせいで倒れてしまったのかもしれないな。ところで何で【よきかなー】なんだろうな。
俺が発見してくれたからだろうか、わかってくれたから、見つけてくれたからよきかな〜なのかな。よくわからないや。」



29元・腰痛男 ◆61ZC8rIv2k 2021/12/25(土) 22:41:39.39ID:jn1pQf/90XMAS
『ところであの女の子のこと、以前にあなたが丸山先生に話した際には仕事の出張中にって言ってた記憶があるんだけど。私の実家とは言ってない記憶が…』
「あーそれね。出張でこっちに来た際にこの家に寄ったことがあるからそれかもしれない」

妻はその後、丸山のおばちゃんにメールしてみたそうだ。主人がわかったそうです。あの女の子でしたって。

30元・腰痛男 ◆61ZC8rIv2k 2021/12/25(土) 22:43:20.00ID:jn1pQf/90XMAS
丸山のおばちゃんからは
『ごめんねご主人。女の子から伝えないでくれって頼まれてね。ご主人に発見してほしかったみたい』
と短いメールが届いていた。

第3部・完

この女の子については第1部で話してあるので読んでみてください。

最後におばちゃんの近況報告。
おばちゃんには娘さんがいたんだけど、結婚して男の子が産まれたそうです。
その時間を優先したいという感じで最近は俺たちが住んでいる町にはやって来ていない。あるいはもうこの町に来る必要もなくなったのかな。

妻とのメールは時々あるので元気でいるみたいです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
それでは。



31名も無き被検体774号+2021/12/25(土) 23:49:26.44ID:gIT/iC0k0XMAS
乙でした。今回の話も面白かった!



32名も無き被検体774号+2021/12/29(水) 01:20:57.60ID:VS1nFY1g0
おもしろい!と言うと失礼かな
非常に興味深いね
また話があれば投下してくれ




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