843 :本当にあった怖い名無し :2009/05/14(木) 02:49:12 ID:NoIbGgo80
底冷えするような、ある冬の夜の事。
私は5歳、姉は10歳でした。古い我が家の居間で遊んでいた時の事。
仏間に続く襖の向こうに、急に異様な気配を感じました。
姉もそれに気付いて、二人で並んでしばらく襖を見つめていました。
「…何かいる…」
何か、は分からないけど妙な圧迫感を感じる。


と、よくみると襖がほんの少しだけ開いています。
その開いた部分を離れた所から覗いても電気の点いていない仏間は当然真っ暗。
すると何を思ったのか、姉が私の着ていた綿入れを脱がせ、開いた襖の前にポン、と投げたのです。

…ほんの数cmも開いていないその隙間に、分厚い綿入れが、ズル、ズル、と引き込まれて行く。
綿入れは襖の奥へ、静かに、やがてスルリと消えて…。

何故か動けませんでした。
翌朝、母から綿入れはどこにやっちゃったの?と怒られても、姉共々答える事が出来ませんでした。

朝の光の中、大きく開かれた仏間は、ただの仏間に過ぎませんでした。
今はもう、取り壊されてしまった家の話です。





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