『動く影』
185 :元登山者:2009/09/24(木) 14:33:43 ID:3WAa8cBj0
田舎の友人に聞いた話です。

彼の家では山で椎茸を栽培しています。
時々、木に悪戯されたり、盗られたりするので山に見回りにいくそうです。

あるとき、山をいつものように見回っていると、木々の向こう側に動く影を見つけました。
迷彩服でも着ているのか、どうにもハッキリと判らないので、
彼は「ははあ、サバゲーでもしにきた連中だろうな」と思ったそうです。

「すみませーん、ここ、私有地なので入らないでもらえますかーー?」と大声で注意しました。
すると、その影はこちらに歩いて起きました。
ザクッ、ザクッと枯葉や土を踏む音と一緒に影は近づいてきますが、輪郭や顔が見えません。
そのまま音と影は彼の横を通り過ぎ、どこかに行ってしまいました。

「結局、アレがなんなんだかわかんねえんだよ。
 親父や爺ちゃんに聞いても山に居る変なモンだよ、としか言わないし。」
彼はそう言って首を傾げました。


『いびき』
218 :元登山者:2009/09/27(日) 14:50:35 ID:p18NUSZt0
山仲間から聞いた話です。

彼は登山だけでなく、渓流釣りも趣味としています。
山に登るときに、釣り道具も持ってポイントを見つけると釣りをします。

あるとき、何度か入った山でとても綺麗な渓流をみつけました。
「これだけ水が綺麗なら大物がいるかもな」と思った彼は、早速釣り糸をたらすと、面白いように釣れたそうです。
釣果に満足し、その場で火を熾し、一人で昼間から魚を焼きながら酒盛りをしました。
とても気持ちよくなり、山で昼寝をすることにしました。

誰かに肩を揺すぶられながら「いびきがうるさいぞ」起こされました。
他にも人がいいたんだろうか?と思いつつ、
「あ、スミマセン」と謝りながら眼を覚ますと、誰もいません。
さっきまで肩を揺すられていた筈なのに、あたりを見回しても、人のいた気配はありませんでした。
気味が悪くなり、後片付けをすると早々に下山したそうです。

「あの山、何度か行ったけど、変な体験したのは初めてだ、気味悪い」
そう言いつつも今でも、山で釣っては飲んで、昼寝するのは止められないそうです。


『ヒダル』
496 :元登山者:2009/10/12(月) 16:01:01 ID:0nDTT7cd0
昔の山仲間から聞いた話です。

彼がある山に登ろうとしたとき、登山口で地元の人に言われました。
「この山はヒダルが出るからな、気をつけんさいよ」
そういわれた彼は、昼飯と行動食以外に非常食を買い、山に入りました。

何事もなく登頂し、弁当を使って、ゆっくりと下山しました。
途中、道の端に座り込んでいる男性を見つけました。
怪我でもしているんだろうか?と思った彼は、「どうかされましたか?」と声をかけました。
すると、男性は「腹が・・腹が減って・」かすれるような声で言いました。
もしかして、ヒダルに憑かれたんだろうか・・?と思った彼は、
「よかったら、どうぞ」と余分に買っておいた非常食のウイダーインゼリーを差し出しました。
男性は受け取ると、パウチごと口に放り込み、グシャグシャと噛み砕くと飲み込んでしまいました。
肝をつぶした彼は、全速力で山を下ったそうです。

「どんな顔だったとか、服装だとかは覚えてないんだよ。
 でもさ、でっかい口にゲシゲシって感じで歯が並んでたのは覚えてるんだ」
彼はそういって締めくくりました。






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