661 名前: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/04/05 04:00
子供のころ、家族で山に行ったことがある。山についたのはまだ朝方で、霧が辺りを覆っていた。
僕は親の言い付けを守らず、一人で山中に歩き入り、当然のように迷子になってしまった。何時間
歩き迷っただろうか。太陽はすでに頭の上にあり、お昼を食べ逃した僕は半ベソをかきながら座り
込んだ。
ふと気付いたら、泣いている僕の傍らに人が近づいてきた。両親かと期待したのだが、まったくの別人だった。
奇妙な姿をしていた。毛皮らしい服と麦藁で編んだ帽子。そして恐ろしく背が高い。僕の父より頭二つは確実
に大きかったと思う。話し掛けてきた。ひどく訛っていて、よく分からない。
かろうじて「迷子か?」という語だけ聞き取れた。うなづくと、しばらく迷った後、僕を連れ歩き出した。
なぜかすぐに見覚えのある場所に出た。親の声も聞こえる。いつのまにかまた一人になっていた。
親はすぐに僕を見つけてくれた。
(続く)
663 名前: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/04/05 04:09
(続き)
なぜかこの体験を僕は忘れてしまっていた。
つい最近久しぶりにこの山へ行き、そこで思い出したのだ。
家に帰って親に尋ねてみた。両親は僕と違って憶えていた。
「いきなり目の前の茂みからお前が出てきたんだ」
「何処行ってたと聞くと、お前は変なこと言ってたぞ」
親はそこで奇妙な顔になって続けた。
「背の高い、一つ目のおじちゃんに連れて帰ってもらった」
「お前、そう言ってたんだ」
全然憶えていない。僕は自分を助けてくれた人の顔を思い出
せないのだ。本当に一つ目だったのか・・・。
あれから何度かあの山をうろついたが、誰に出会うことも
無かった。せめてお礼をと思い、お酒を僕が見つかった場所
に置いてきただけだ。
取り留めもないですが、僕の奇妙な経験です。
関連【神様系】それは山神で、「善いものに出会ったな」と笑っていました
子供のころ、家族で山に行ったことがある。山についたのはまだ朝方で、霧が辺りを覆っていた。
僕は親の言い付けを守らず、一人で山中に歩き入り、当然のように迷子になってしまった。何時間
歩き迷っただろうか。太陽はすでに頭の上にあり、お昼を食べ逃した僕は半ベソをかきながら座り
込んだ。
ふと気付いたら、泣いている僕の傍らに人が近づいてきた。両親かと期待したのだが、まったくの別人だった。
奇妙な姿をしていた。毛皮らしい服と麦藁で編んだ帽子。そして恐ろしく背が高い。僕の父より頭二つは確実
に大きかったと思う。話し掛けてきた。ひどく訛っていて、よく分からない。
かろうじて「迷子か?」という語だけ聞き取れた。うなづくと、しばらく迷った後、僕を連れ歩き出した。
なぜかすぐに見覚えのある場所に出た。親の声も聞こえる。いつのまにかまた一人になっていた。
親はすぐに僕を見つけてくれた。
(続く)
663 名前: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/04/05 04:09
(続き)
なぜかこの体験を僕は忘れてしまっていた。
つい最近久しぶりにこの山へ行き、そこで思い出したのだ。
家に帰って親に尋ねてみた。両親は僕と違って憶えていた。
「いきなり目の前の茂みからお前が出てきたんだ」
「何処行ってたと聞くと、お前は変なこと言ってたぞ」
親はそこで奇妙な顔になって続けた。
「背の高い、一つ目のおじちゃんに連れて帰ってもらった」
「お前、そう言ってたんだ」
全然憶えていない。僕は自分を助けてくれた人の顔を思い出
せないのだ。本当に一つ目だったのか・・・。
あれから何度かあの山をうろついたが、誰に出会うことも
無かった。せめてお礼をと思い、お酒を僕が見つかった場所
に置いてきただけだ。
取り留めもないですが、僕の奇妙な経験です。
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