【閲覧注意】怪談の森【怖い話】

当サイト「怪談の森」は古今東西の洒落にならない怖い話~ほっこりする神様系の話まで集めています。 随時更新中!!

カテゴリ: 【殿堂入り】





470 :カン、カンその後 1 :2010/01/04(月) 16:46:17 ID:+c8UOsBv0
以前このスレで『カン、カン』という話を投稿した者です。
あれから8年近くもの月日が経ちました。
またも恐ろしい出来事がありましたので、皆様にお伝えします。
拙い文章であることに加え、前回の話を読んでいない方には少々伝わりにくいかもしれませんが、ご了承下さい。

現在、私の実家のアパートには母と妹が住んでおり、
2つ上の姉は実家からだいぶ離れた場所で就職し、私は隣県の大学に通いつつ一人暮らしをしています。
父は単身赴任で、8年前と変わらず全国を転々としています。

去年の冬、久しぶりに実家から連絡があり、母から『家に戻ってきなさい』と声を掛けられました。
私はとにかく家に帰るのが嫌で、せっかくの休日をあのおぞましい場所で過ごしてたまるものかと思い、
母の誘いを毎年頑なに断っていました。
しかし、今年は滅多に戻ることのない姉と父が帰ってくることもあり、母の怒声にも押され、
卒論を間近に控えつつも、しぶしぶ帰省することにしました。
恐ろしい目にあった家に再び戻ることにも抵抗は十分にあったんですが、実はそれよりも怖いことがありました。
母には申し訳ないことなのですが、母と対面するのが何よりも怖かったのです。
かつて母と電話越しで会話をした時、母が明らかにおかしな様子だったのを今でも覚えています。
母の声なのに、母じゃないモノと会話をしていたあの瞬間。今でも忘れられません。
・・・とはいえ、全ては過去のこと。
アレを見た後でも、私の身の周りでは特におかしな事はなく、
幸運なことに、家族の中で病気をしたりケガしたりする人もいませんでした。
姉も妹も元気そうにしてるし、母も父もここ8年で変わったことはないようです。
もはやあの『家族がお終い』という呪いの言葉だけではなく、白い着物姿の女を見たことさえも夢だったのではないか、
と思い始めていたところでした。
耳にこびりついているあのイヤな音だって、いつかきっと忘れるに違いありません。
絶対に大丈夫!!と自分に強く言い聞かせ、私は実家に向かいました。
帰省を避けていた本当の理由を母に悟られないよう、せめて実家にいる間は明るく振舞おうと心に決めていました。


471 :カン、カンその後 2 :2010/01/04(月) 16:47:09 ID:+c8UOsBv0
家に帰った私はほっとしました。
父も母も、妹も姉も元気そうで、久しぶりに帰省した私を見て、
「卒業は大丈夫なのか」「彼氏はできたのか」などと、お約束のお節介を焼くのでした。
あれほど気にしていた母も変わった様子はなく、ホテルの清掃業のパートで日々忙しいとの事でした。

しかし、姉に話しかけることだけは気まずく、躊躇われました。
その理由は、8年前のあの出来事があってから、姉は私のことを今日まで徹底的に無視し続けたからです。
幼い時、あの真っ暗な居間で、私が大声で叫んだことが絶交のきっかけに違いなく、
私に対する姉の冷たさは尋常なものではありませんでした。
そんな姉が実家で発した言葉に私は耳を疑いました。
「あんたのこと、ずっと無視しててごめん」
まさか、かれこれ8年も無視されていた姉から、謝罪の言葉があるとは思わなかった。
「私こそごめんなさい。でも、突然どうしたの?もしかして、何かあった?」
驚きのあまり、聞かない方がよい事まで聞いてしまったような気がしました。
姉はどこかぎこちない表情を浮かべましたが、昔使っていた姉と私の共用部屋に私を招いて話をしてくれました。
「あたしのうちでね、あの音が聞こえた」
『あの音』という言葉を聞いただけで、私は何かひんやりとしたものが背筋を伝うのを感じました。
姉はそんな私の様子を見てから話を続けました。
「あの日、仕事から帰ってきたのが夜9時頃。
 で、部屋でテレビ観てたんだけど、風呂場のほうでカン、カンって。
 ちっちゃい頃、あんたと一緒にその音を聞いたことがあったから、すぐに分かったよ。これはやばいって。
 近くに同僚が住んでたから、ソッコーで家を出て、その友達のところに行ったの。
 その友達んちで話をしてたら、また風呂場のほうからカン、カンって。おかしな鉄の音だった。
 友達も私もパニックになって、部屋を出て警察を呼んだ。
 結局風呂場には何も無かったし、一応部屋も調べてもらったけど何もなかった」


472 :カン、カンその後 3 :2010/01/04(月) 16:48:39 ID:+c8UOsBv0
姉の話は、8年前の忌まわしい記憶を完全に蘇らせました。あの時の出来事は今でも忘れられません。
真っ暗な居間。テーブルに座る女。カン、カンという金属音。振り向く女。おぞましい顔。
何の前触れもなく聞こえるあの音は、自分をしばらく極度の金属音恐怖症にさせるほどおぞましいものでした。
音楽が流れる場所では、カウベルや鈴のような音が鳴らないかヒヤヒヤし、
台所のフライパンや鍋の発する金属音に耳を塞いで怯え、
遠方に向かうときは、踏み切りのある道路を避けねば移動もままならない・・・。
ただ姉の話には、8年前とはいくつか違う点がありました。
白い着物姿の女を見ていなければ、声も聞いていない。聞こえたのはカン、カンという不気味な音だけ。
しかも、場所は風呂場。私は居間のテーブルの上にアレが正座している姿は知っているが、風呂場だなんて・・・。

本当にアレだったんだろうか・・・そう姉に問い掛けようとした時、突然姉はぼろぼろと涙をこぼし始め、泣き出した。
私はうろたえながらも、「まだアレだって決まった訳じゃ・・・」と姉をなだめようとしました。
すると姉は泣き顔のまま私の顔を睨み、
「あんた、お母さんのこと、美香(妹の名前)から聞いてないの?」と、凄みのある声で迫ってきました。
お母さんのこと?妹から?話の方向が見えず当惑しました。
今さっきだって、母の作ったおいしいビーフシチューをいただいたばかりだった。
母の様子に何もおかしいことなんてなかったし、妹も普段通りだったように見えた。
焦りを隠せない私に向かって、姉は涙を拭いながら言いました。
「時々、夜中に家をこっそり出ていくんだって。詳しいことは美香に聞いて」

ただならぬ姉の話を聞いて、私はすぐ妹の部屋に行き問い質しました。
「お母さんが夜に外に出てるって、どういう事?」
「ああ、おねえに聞いたんだね。本当なんだよ。何なら一緒に見る?」


475 :カン、カンその後 4 :2010/01/04(月) 17:33:46 ID:+c8UOsBv0
その夜、私は妹の部屋に入れてもらい、妹のベッドの隣に布団を敷き、
ぼんやりと天井を眺めながら時間が経つのを待ちました。
妹の話では、母が家を出る時間は大体決まっていて、1時過ぎ頃に家を出て、10分程度で帰ってくるとの事でした。
最初、母の外出に気付いた妹は、気分転換がてら外にタバコを吸いに行っているものと思ったらしく、
特に気に留めずそのまま寝ていたらしい。
しかし、雪が降るほどに寒くなってからも母の外出は続いた。
そのことを母に聞くと、「何のこと?」という反応。
とぼけている様子もなく、自分が深夜に外出していること自体、全く自覚がなさそうだというのだ。
不審に思った妹は、母の後をこっそりつけたのでした。

「そろそろだよ」
妹が言うと、私は耳を澄ませた。すると間もなく、ドアを一枚隔てた廊下側で何やら人の気配がした。
ガサ、ガサと玄関の辺りで物音が聞こえた。おそらくブーツを履いているのだろうと思った。
そして、キイという音とともに、コッコッコッという足音。間違いなく今、外に出た。
私と妹は顔を見合わせ、なるべく音を立てないようにドアを静かに開け、忍足で玄関に行った。
鍵は掛かっていなかった。妹は注意深くドアノブを握り、そっとドアを開けた。
真っ暗な路地。街灯と月明かりだけが頼りだった。
母はどこに行ったんだと妹に聞くと、驚いたことにすぐ近くにいるという。
嫌な予感がじわじわとしていた。

家から100mほど進んだところ、路地を照らす街灯の下に母はいた。
母は電柱の周りをぐるぐる回っていた。
散歩のようにゆったりと歩くようなペースではなく、かなり速いはや歩き。
あるいは駆け足のようなものすごいスピードで、ぐるぐるぐるぐる回っていた。
昼間に見せてくれていたような、朗らかで優しげな表情は今やどこにもなく、
遠目に見ても、般若のような鬼の形相にしか見えなかった。
あまりの恐ろしさに呆然としていると、
妹は「もう帰ろう」と促すと同時に、 「たぶん、あと10分くらい続くから、あれ」と付け加えた。
ものすごく怖かった。母の異常な姿を目の当たりにして、私はようやく事の重大さに気付き始めた。
『あなたも、あなた達家族もお終いね』
今頃になって、あの女のおぞましい言葉が頭の中で繰り返されました。


476 :カン、カンその後 5 :2010/01/04(月) 17:34:26 ID:+c8UOsBv0
妹よりも一足早く家に帰ってきた私は、居間の電気をつけようと壁を探りました。
大体この辺にスイッチがあったのに・・・そう思いながら手探りしていると、指先に角ばったプラスチックの感触が伝わった。
それとほぼ同時に、真っ暗な空間でカン、カンという音が響き渡った。
あっ、と思った時にはすでに遅く、私は壁のスイッチを押してしまっていました。
白い光で照らし出される居間。強い光に目が慣れず、私は反射的に目を細めた。
テーブルの上には白い着物を着た女が座っていた。
こちら側に背を向けているので顔までは分からなかった。
現実感がまるでなく、冷静な思考が出来ませんでした。
テーブルの上に女が正座しているだけでも異常なのに、
点灯したばかりの室内灯に明順応しきれていない私の目には、居間の空間全体が奇妙なものに映りました。
嫌な汗がどっと吹き出ているのを、体に張り付く衣服で感じていました。

何分、いや何秒そうしていたか分かりませんが、
私の指が再びパチンとスイッチを押すと、居間は真っ暗な闇に飲まれ、何も見えなくなりました。
そしてちょうどその時、玄関からガチャリとドアの開く音が。・・・妹か。
しかし私の視線は、再び闇に包まれた居間のほうに釘付けで、テーブルの上にはまだあの女がいるような気がしていました。
その一方で、玄関ではガサ、ガサという靴を脱ぐような音に続いて、
木造の床に体重が掛かるときに鳴るギッ、ギッという独特の軋み音が。
私は廊下のほうを振り向くことが出来ませんでした。
妹に決まっているはずなのに、そっちのほうを見れない。
いや、何となく分かっていた。
気配というか、勘というか、あやふやなものだったけど、後ろから近付いているのはおそらく妹ではなかった。
形容し難いほどおぞましい感覚が、ギッ、ギッという軋み音とともに強くなっていく気がした。
そして、真っ暗な居間の真ん中、テーブルが置いてある辺りで、カン、カンという金属音が鳴った。
意識が遠のく寸前、私のすぐ後ろにいた人物の手にガッと肩を掴まれたのを確かに感じた。


477 :カン、カンその後 6 :2010/01/04(月) 17:35:07 ID:+c8UOsBv0
因みに、その翌日、私は姉の部屋で寝ていたそうです。(姉が起こしてくれました)
姉も妹も、あの真っ暗な居間で私の肩を掴んだということは一切ないと断言しており、
しかも、妹が帰ってきた時には、母はまだ帰宅していなかったそうです。
靴だけでなく母の寝室も確認したから絶対に確かだ、との事でした。

妹曰く、母の異常な行動は今でも続いているようです。
「精神科にも相談したし、うちでお祓いだってしてもらった。通報されたこともあるからね」
後で聞いた話だが、妹はすでに姉から詳しい話を聞かされており、父には内緒で色々やっていたらしい。
だがいずれも徒労に終わった。
母の異常な行動を見れば、効果がないのは一目瞭然だった。
そして、私にはもう分かっていた。あの女のせいだ。
姉の家で鳴った音だって、あの夜の母の恐ろしい姿だって、全部あの女が原因なんだ。
そう思うと怒りがこみ上げてくる。
でも、怒り以上に、あの女が恐ろしくてたまらない。

なるべく早いうちに父に打ち明け、アパートを引き払うことを検討しています。




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270 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/08/21 23:11
幼い頃に体験した、とても恐ろしい出来事について話します。

その当時私は小学生で、妹、姉、母親と一緒に、どこにでもあるような小さいアパートに住んでいました。
夜になったら、いつも畳の部屋で、家族揃って枕を並べて寝ていました。

ある夜、母親が体調を崩し、母に頼まれて私が消灯をすることになったのです。
洗面所と居間の電気を消し、テレビ等も消して、それから畳の部屋に行き、
母に家中の電気を全て消した事を伝えてから、自分も布団に潜りました。
横では既に妹が寝ています。

普段よりずっと早い就寝だったので、その時私はなかなか眠れず、しばらくの間ぼーっと天井を眺めていました。
すると突然。静まり返った部屋で、「カン、カン」という変な音が響いだのです。
私は布団からガバッと起き、暗い部屋を見回しました。しかし、そこには何もない。
カン、カン
少しして、さっきと同じ音がまた聞こえました。どうやら居間の方から鳴ったようです。
隣にいた姉が、「今の聞こえた?」と訊いてきました。空耳などではなかったようです。
もう一度部屋の中を見渡してみましたが、妹と母が寝ているだけで部屋には何もありません。


271 :270続き:02/08/21 23:14
おかしい・・・確かに金属のような音で、それもかなり近くで聞こえた。
姉もさっきの音が気になったらしく、「居間を見てみる」と言いました。
私も姉と一緒に寝室から出て、真っ暗な居間の中に入りました。
そしてキッチンの近くから、そっと居間を見ました。
そこで私達は見てしまったのです。
居間の中央にあるテーブル。いつも私達が食事を取ったり団欒したりするところ。
そのテーブルの上に、人が座っているのです。
こちらに背を向けているので顔までは判りません。
でも、腰の辺りまで伸びている長い髪の毛、ほっそりとした体格、身につけている白い浴衣のような着物から、
女であるということは判りました。
私はぞっとして姉の方を見ました。姉は私の視線には少しも気付かず、その女に見入っていました。
その女は真っ暗な居間の中で、背筋をまっすぐに伸ばしたままテーブルの上で正座をしているようで、ぴくりとも動きません。
私は恐ろしさのあまり足をガクガク震わせていました。
声を出してはいけない、もし出せば恐ろしい事になる。
その女はこちらには全く振り向く気配もなく、ただ正座をしながら私達にその白い背中を向けているだけだった。

私はとうとう耐え切れず、「わぁーーーーーっ!!」と大声で何か叫びながら寝室に飛び込んだ。
母を叩き起こし、「居間に人がいる!」と泣き喚いた。
「どうしたの、こんな夜中に」
そう言う母を引っ張って居間に連れていった。

居間の明りを付けると、姉がテーブルの側に立っていた。
さっきの女はどこにも居ません。テーブルの上もきちんと片付けられていて何もありません。
しかし、そこにいた姉の目は虚ろでした。今でもはっきりと、その時の姉の表情を覚えています。
私と違って彼女は何かに怯えている様子は微塵もなく、テーブルの上だけをじっと見ていたのです。


275 :270続き:02/08/21 23:16
母が姉に何があったのか尋ねてみたところ、「あそこに女の人がいた」とだけ言いました。
母は不思議そうな顔をしてテーブルを見ていましたが、「早く寝なさい」と言って、3人で寝室に戻りました。

私は布団の中で考えました。アレを見て叫び、寝室に行って母を起こして、居間に連れてきたちょっとの間、
姉は居間でずっとアレを見ていたんだろうか?
姉の様子は普通じゃなかった。何か恐ろしいものを見たのでは?そう思っていました。

そして次の日、姉に尋ねてみたのです。
「お姉ちゃん、昨日のことなんだけど・・・」
そう訊いても姉は何も答えません。下を向いて沈黙するばかり。
私はしつこく質問しました。
すると姉は、小さな声でぼそっとつぶやきました。
「あんたが大きな声を出したから・・・」

それ以来、姉は私に対して冷たくなりました。
話し掛ければいつも明るく反応してくれていたのに、無視される事が多くなりました。
そして、あの時の事を再び口にすることはありませんでした。
あの時、私の発した大声で、あの女はたぶん、姉の方を振り向いたのです。
姉は女と目が合ってしまったんだ。きっと、想像出来ない程恐ろしいものを見てしまったのだ。
そう確信していましたが、時が経つにつれて、次第にそのことも忘れていきました。


276 :270続き:02/08/21 23:17
中学校に上がって受験生になった私は、毎日決まって自分の部屋で勉強するようになりました。
姉は県外の高校に進学し、寮で生活して、家に帰ってくることは滅多にありませんでした。

ある夜、遅くまで机に向かっていると、扉の方からノックとは違う何かの音が聞こえました。
カン、カン
かなり微かな音です。金属っぽい音。
それが何なのか思い出した私は、全身にどっと冷や汗が吹き出ました。
これはアレだ。小さい頃に母が風邪をひいて、私が代わって消灯をした時の・・・
カン、カン
また鳴りました。扉の向こうから、さっきと全く同じ金属音。
私はいよいよ怖くなり、妹の部屋の壁を叩いて「ちょっと、起きて!」と叫びました。
しかし、妹はもう寝てしまっているのか、何の反応もありません。母は最近ずっと早寝している。
とすれば、家の中でこの音に気付いているのは私だけ・・・。
独りだけ取り残されたような気分になりました。
そしてもう1度あの音が。
カン、カン

私はついに、その音がどこで鳴っているのか分かってしまいました。
そっと部屋の扉を開けました。真っ暗な短い廊下の向こう側にある居間。
そこはカーテンから漏れる青白い外の光でぼんやりと照らし出されていた。


279 :270続き:02/08/21 23:19
キッチンの側から居間を覗くと、テーブルの上にあの女がいた。
幼い頃、姉と共に見た記憶が急速に蘇ってきました。
あの時と同じ姿で、女は白い着物を着て、すらっとした背筋をピンと立て、
テーブルの上できちんと正座し、その後姿だけを私に見せていました。
カン、カン
今度ははっきりとその女から聞こえました。
その時、私は声を出してしまいました。
何と言ったかは覚えていませんが、またも声を出してしまったのです。
すると女は私を振り返りました。
女の顔と向き合った瞬間、私はもう気がおかしくなりそうでした。
その女の両目には、ちょうど目の中にぴったり収まる大きさの鉄釘が刺さっていた。
よく見ると、両手には鈍器のようなものが握られている。
そして口だけで笑いながらこう言った。
「あなたも・・・あなた達家族もお終いね。ふふふ」

次の日、気がつくと私は自分の部屋のベッドで寝ていました。
私は少しして昨日何があったのか思い出し、
母に、居間で寝ていた私を部屋まで運んでくれたのか、と聞いてみましたが、何のことだと言うのです。
妹に聞いても同じで、「どーせ寝ぼけてたんでしょーが」とけらけら笑われた。
しかも、私が部屋の壁を叩いた時には、妹は既に熟睡してたとのことでした。
そんなはずない。
私は確かに居間でアレを見て、そこで意識を失ったはずです。
誰かが居間で倒れてる私を見つけて、ベッドに運んだとしか考えられない。
でも改めて思い出そうとしても、頭がモヤモヤしていました。
ただ、最後のあのおぞましい表情と、ニヤリと笑った口から出た言葉ははっきり覚えていた。
私と、家族がお終いだと。


474 :270:02/08/22 23:33
異変はその日のうちに起こりました。
私が夕方頃、学校から帰ってきて玄関のドアを開けた時です。
いつもなら居間には母がいて、キッチンで夕食を作っているはずであるのに、居間の方は真っ暗でした。
電気が消えています。
「お母さん、どこにいるのー?」
私は玄関からそう言いましたが、家の中はしんと静まりかえって、まるで人の気配がしません。
カギは開いているのに・・・掛け忘れて買い物にでも行ったのだろうか。
のんきな母なので、たまにこういう事もあるのです。
やれやれと思いながら、靴を脱いで家に上がろうとしたその瞬間、
カン、カン
居間の方で何かの音がしました。
私は全身の血という血が、一気に凍りついたような気がしました。
数年前と、そして昨日と全く同じあの音。
ダメだ。これ以上ここに居てはいけない。恐怖への本能が理性をかき消しました。
ドアを乱暴に開け、無我夢中でアパートの階段を駆け下りました。
一体何があったのだろうか?お母さんは何処にいるの?妹は?
家族の事を考えて、さっきの音を何とかして忘れようとしました。
これ以上アレの事を考えていると、気が狂ってしまいそうだったのです。

すっかり暗くなった路地を走りに走った挙句、私は近くのスーパーに来ていました。
「お母さん、きっと買い物してるよね」と一人で呟き、切れた息を取り戻しながら中に入りました。
時間帯が時間帯なので、店の中に人はあまりいなかった。
私と同じくらいの中学生らしき人もいれば、夕食の材料を調達しに来たと見える主婦っぽい人もいた。
その至って通常の光景を見て、少しだけ気分が落ち着いてきたので、私は先ほど家で起こった事を考えました。


475 :270:02/08/22 23:35
真っ暗な居間、開いていたカギ、そしてあの金属音。家の中には誰もいなかったはず。アレ以外は。
私が玄関先で母を呼んだ時の、あの家の異様な静けさ。あの状態で人なんかいるはずがない・・・
でも、もし居たら?私は玄関までしか入っていないのでちゃんと中を見ていない。ただ電気が消えていただけ。
もしかすると母は、どこかの部屋で寝ていて、私の声に気付かなかっただけかもしれない。
何とかして確かめたい。そう思い、私は家に電話を掛けてみることにしたのです。

スーパーの脇にある公衆電話。お金を入れて、震える指で慎重に番号を押していきました。
受話器を持つ手の震えが止まりません。1回、2回、3回・・・・コール音が頭の奥まで響いてきます。
『ガチャ』
誰かが電話を取りました。私は息を呑んだ。耐え難い瞬間。
『もしもし、どなたですか』
その声は母だった。その穏やかな声を聞いて、私は少しほっとしました・・・
「もしもし、お母さん?」
『あら、どうしたの。今日は随分と遅いじゃない。何かあったの?』
私の手は再び震え始めました。手だけじゃない。足もガクガク震え出して、立っているのがやっとだった。
あまりにもおかしいです。いくら冷静さを失っていた私でも、この異常には気付きました。
「なんで・・・お母さ・・・」
『え?なんでって何が・・・ちょっと、大丈夫?本当にどうしたの?』
お母さんが今、こうやって電話に出れるはずはない。私の家には居間にしか電話がないのです。
さっき居間にいたのはお母さんではなく、あのバケモノだったのに。
なのにどうして、この人は平然と電話に出ているのだろう。
それに、今日は随分と遅いじゃないと、まるで最初から今までずっと家にいたかのような言い方。
私は電話の向こうで何気なく私と話をしている人物が、得体の知れないもののようにしか思えなかった。
そして、乾ききった口から何とかしぼって出した声がこれだった。
「あなたは、誰なの?」
『え?誰って・・・』
少しの間を置いて返事が聞こえた。
『あなたのお母さんよ。ふふふ』


481 :しねしね団:02/08/22 23:47
>>270
ところで、その日は君はアパートに帰ったのかい?


484 :270:02/08/22 23:54
>>481
次の日、姉と一緒に戻りました。
その後の話もあるのですが、やや蛇足気味になるんでやめときます。

後日談→




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466 ::03/07/02 02:04
丁度2年くらい前のことです。旅行にいきたいので、バイトを探してた時の事です。

暑い日が続いてて、汗をかきながら求人をめくっては電話してました。
ところが、何故かどこもかしこも駄目、駄目駄目。
擦り切れた畳の上に大の字に寝転がり、適当に集めた求人雑誌を、ペラペラと悪態をつきながらめくってたんです。
不景気だな…節電の為、夜まで電気は落としています。
暗い部屋に、落ちそうで落ちない夕日が差し込んでいます。
窓枠に遮られた部分だけが、まるで暗い十字架のような影を畳に落としていました。
遠くで電車の音が響きます。
目をつむると、違う部屋から夕餉の香りがしてきます。
「カップラーメンあったな…」
私は体をだるそうに起こし、散らかった求人雑誌をかたずけました。
ふと、偶然開いたのでしょうか、ページがめくれていました。


467 ::03/07/02 02:04
そこには某県(ふせておきます)の旅館が、バイトを募集しているものでした。
その場所は、まさに私が旅行に行ってみたいと思ってた所でした。
条件は夏の期間だけのもので、時給はあまり…というか全然高くありませんでしたが、
住みこみで食事つき、というところに強く惹かれました。
ずっとカップメンしか食べてません。まかない料理でも手作りのものが食べれて、しかも行きたかった場所。
私はすぐに電話しました。

『…はい。ありがとうございます!○○旅館です』
「あ、すみません。求人広告を見た者ですが、まだ募集してますでしょうか?」
『え、少々お待ち下さい。…………ザ…ザ…ザザ………い、……そう……だ…………』
受付は若そうな女性でした。
電話の向こう側で、低い声の男と(おそらくは宿の主人?)小声で会話をしていました。
私はドキドキしながら、なぜか正座なんかしちゃったりして待ってました。

やがて受話器をにぎる気配がしました。
『はい。お電話変わりました。えと…バイトですか?』
「はい。××求人でここのことを知りまして、是非お願いしたいのですが」
『あー…ありがとうございます。こちらこそお願いしたいです。いつからこれますか?』
「いつでも私は構いません」
『じゃ、明日からでもお願いします。すみません、お名前は?』
「神尾(仮名)です」
『神尾君ね。はやくいらっしゃい…』


468 ::03/07/02 02:04
とんとん拍子だった。運が良かった。
私は電話の用件などを忘れないように録音するようにしている。
再度電話を再生しながら、必要事項をメモっていく。
住みこみなので、持っていくものの中に保険証なども必要とのことだったので、それもメモする。
その宿の求人のページを見ると、白黒で宿の写真が写っていた。
こじんまりとしているが、自然にかこまれた良さそうな場所だ。

私は急にバイトが決まり、しかも行きたかった場所だということもあってホっとした。
しかし何かおかしい。
私は鼻歌を歌いながらカップメンを作った。何か鼻歌もおかしく感じる。
日はいつのまにかとっぷりと暮れ、あけっぱなしの窓から湿気の多い生温かい風が入ってくる。
私はカップメンをすすりながら、なにがおかしいのか気付いた。
条件は良く、お金を稼ぎながら旅行も味わえる。女の子もいるようだ。
旅館なら出会いもあるかもしれない。だが、何かおかしい。
暗闇に窓のガラスが鏡になっている。その暗い窓に私の顔が映っていた。
なぜかまったく嬉しくなかった。
理由はわからないが、私は激しく落ちこんでいた。
窓に映った年をとったかのような生気のない自分の顔を見つめつづけた。


469 ::03/07/02 02:06
次の日、私は酷い頭痛に目覚めた。激しく嗚咽する。風邪…か?
私はふらふらしながら歯を磨いた。歯茎から血が滴った。
鏡で顔を見る。ギョッとした。
目のしたにはくっきりと墨で書いたようなクマが出来ており、顔色は真っ白。まるで…。
バイトやめようか…とも思ったが、すでに準備は夜のうちに整えている。
しかし、気がのらない。
そのとき電話が鳴った。
『おはようございます。○○旅館のものですが、神尾さんでしょうか?』
「はい。今準備して出るところです」
『わかりましたー。体調が悪いのですか?失礼ですが声が…』
「あ、すみません、寝起きなので」
『無理なさらずに。こちらについたら、まずは温泉などつかって頂いて構いませんよ。
 初日はゆっくりとしててください。そこまで忙しくはありませんので』
「あ、だいじょうぶです。でも…ありがとうございます」

電話をきって家を出る。あんなに親切で優しい電話。ありがたかった。
しかし、電話をきってから今度は寒気がしてきた。ドアを開けると眩暈がした。
「と…とりあえず、旅館までつけば……」
私は通る人が振り返るほどフラフラと駅へ向かった。

やがて雨が降り出した。
傘を持ってきてない私は、駅まで傘なしで濡れながらいくことになった。
激しい咳が出る。
「…旅館で休みたい……」
私はびしょぬれで駅に辿りつき、切符を買った。そのとき自分の手を見て驚いた。
カサカサになっている。濡れているが肌がひび割れている。まるで老人のように。
「やばい病気か?旅館まで無事つければいいけど…」


470 ::03/07/02 02:06
私は手すりにすがるようにして足を支えて階段を上った。何度も休みながら。
電車が来るまで時間があった。私はベンチに倒れるように座りこみ、苦しい息をした。
ぜー…ぜー…声が枯れている。
手足が痺れている。波のように頭痛が押し寄せる。ごほごほ!
咳をすると足元に血が散らばった。私はハンカチで口を拭った。血がベットリ。
私は霞む目でホームを見ていた。
「はやく…旅館へ…」

やがて電車が轟音をたててホームにすべりこんでき、ドアが開いた。
乗り降りする人々を見ながら、私はようやく腰を上げた。腰痛がすごい。
フラフラと乗降口に向かう。体中が痛む。あの電車にのれば……
そして乗降口に手をかけたとき、車中から鬼のような顔をした老婆が突進してきた。
どしん!
私はふっとばされホームに転がった。老婆もよろけたが、再度襲ってきた。
私は老婆と取っ組み合いの喧嘩を始めた。
悲しいかな、相手は老婆なのに私の手には力がなかった。
「やめろ!やめてくれ!俺はあの電車にのらないといけないんだ!」
「なぜじゃ!?なぜじゃ!?」
老婆は私にまたがり顔をわしづかみにして、地面に抑えつけながら聞いた。
「りょ…旅館にいけなくなってしまう!」
やがて駅員たちがかけつけ、私たちは引き離された。
電車はいってしまっていた。私は立ち上がることも出来ず、人だかりの中心で座りこんでいた。

やがて引き離された老婆が、息をととのえながら言った。
「おぬしは引かれておる。危なかった」
そして老婆は去っていった。


471 ::03/07/02 02:06
私は駅員と2~3応答をしたが、すぐに帰された。
駅を出て仕方なく家に戻る。
すると体の調子が良くなってきた。声も戻ってきた。
鏡を見ると血色がいい。
私は不思議に思いながらも家に帰った。

荷物を下ろし、タバコを吸う。
落ちついてから、やはり断わろうと旅館の電話番号を押した。
すると、無感情な軽い声が帰ってきた。
『この電話番号は現在使われておりません…』
押しなおす。
『この電話番号は現在使われておりません…』
私は混乱した。まさにこの番号で今朝電話が掛かってきたのだ。
おかしいおかしいおかしい……
私は通話記録をとっていたのを思い出した。
最初まで巻き戻す。
…………キュルキュルキュル…………ガチャ
再生。
『ザ……ザザ…………はい。ありがとうございます。○○旅館です』
あれ?私は悪寒を感じた。若い女性だったはずなのに、声がまるで低い男性のような声になっている。


473 ::03/07/02 02:11
「あ、すみません。求人広告を見た者ですが、まだ募集してますでしょうか?」
『え、少々お待ち下さい。…………ザ…ザ…ザザ………い、……そう……だ…………』
ん??
私はそこで、何が話し合われてるのか聞こえた。
巻き戻し、音声を大きくする。
『え、少々お待ち下さい。…………ザ…ザ…ザザ………い、……そう……だ…………』
巻き戻す。
『…………ザ……ザ……ザザ……
 ……むい…………こご…そう…………だ…………』
巻き戻す。
『さむい……こごえそうだ』
子供の声が入っている。さらにその後ろで、大勢の人間が唸っている声が聞こえる。
うわぁ!!私は汗が滴った。
電話から離れる。すると通話記録がそのまま流れる。
『あー…ありがとうございます。こちらこそお願いしたいです。いつからこれますか?』
「いつでも私は構いません」
記憶にある会話。しかし、私はおじさんと話をしていたはずだ。
そこから流れる声は…地面の下から響くような老人の声だった。
『神尾くんね…はやくいらっしゃい』


474 ::03/07/02 02:11
そこで通話が途切れる。私の体中に冷や汗が流れ落ちる。
外は土砂降りの雨である。
金縛りにあったように動けなかったが、私はようやく落ちついてきた。
すると、そのまま通話記録が流れた。今朝、掛かってきた分だ。
しかし、話し声は私のものだけだった。
…………
『死ね死ね死ね死ね死ね』
「はい。今準備して出るところです」
『死ね死ね死ね死ね死ね』
「あ、すみません、寝起きなので」
『死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね』
「あ…だいじょうぶです。でも…ありがとうございます」

私は電話の電源ごと引き抜いた。
渇いた喉を鳴らす。な……なんだ……なんだこれ…
なんだよ!?どうなってんだ??


475 ::03/07/02 02:12
私はそのとき、手に求人ガイドを握っていた。
震えながらそのページを探す。
すると何かおかしい。
……ん?
手が震える……そのページはあった。
綺麗なはずなのにその旅館の1ページだけしわしわで…なにかシミが大きく広がり…少しはじが焦げている。
どうみてもそこだけが…古い紙質なのです。まるで、数十年前の古雑誌のようでした。
そしてそこには、全焼して燃え落ちた旅館が写っていました。
そこに記事が書いてありました。

死者30数名。台所から出火したもよう。
旅館の主人と思われる焼死体が台所でみつかったことから、料理の際に炎を出したと思われる。
泊まりに来ていた宿泊客達が、逃げ遅れて炎にまかれて焼死。

これ…なんだ……求人じゃない……。
私は声もだせずにいた。求人雑誌が風にめくれている。
私は痺れた頭で、石のように動けなかった。
そのときふいに、雨足が弱くなった。
一瞬の静寂が私を包んだ。

電話が鳴っている




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8 :地下のまる穴1:2011/12/16(金) 10:06:43.33 ID:s+XHJkPg0

ホラーテラーの名作でも貼っていくかな
http://horror-terror.com/c-real/entry_6152.html

これは17年前の高校3年の冬の出来事です。
あまりに多くの記憶が失われている中で、
この17年間、わずかに残った記憶を頼りに残し続けてきた
メモを読みながら書いたので、
細かい部分や会話などは勝手に補足や修正をしていますが、
できるだけ誇張はせずに書いていきます。

私の住んでいた故郷は、すごく田舎でした。思い出す限り、
たんぼや山に囲まれた地域で、遊ぶ場所といえば、
原つきバイクを1時間ほど飛ばして市街に出てカラオケくらいしか
なかったように思います。

そんな片田舎の地域に1991年突如、某新興宗教施設が建設されたのです。

建設予定計画の段階で地元住民の猛反発が起こり、私の親もたびたび反対集会に

出席していたような気がします。市長や県知事に嘆願書を提出したり、

地元メディアに訴えかけようとしたらしいのですが、宗教団体側が「ある条件」を

提示し、建設が強行されたそうです。条件については地元でも様々な憶測や
噂が飛び交いましたが、おそらく過疎化が進む市に多額の寄付金を寄与する事で、
自治体が住民の声を見て見ぬふりをした、という説が濃厚でした。

宗教施設は私たちが住んでいる地域の端に建てられましたが、
その敷地面積は東京ドームに換算すると2~3個ぶん程度の広さだったと思います。
過疎化が進む片田舎の土地は安かったのでしょう。
高校2年の秋頃に施設が完成し、親や学校の担任からは「あそこには近づくな」
「あそこの信者には関わるな」と言われていました。

9 :地下のまる穴2:2011/12/16(金) 10:11:28.37 ID:s+XHJkPg0

私たちはクラスの同級生8人くらいで見に行ったのですが、
周りがすべて高い壁で囲われ、正面には巨大な門があり、門の両端の上の部分に、
恐ろしい顔をした般若みたいなものが彫られていました。
それを見た同級生たちは「やばい!悪魔教じゃ悪魔教じゃ」と楽しそうに
騒いでいましたが、そういう経緯から学校ではあの宗教を「悪魔教」や
「般若団体」などと、わけのわからないアダ名で呼ぶようになりました。
たまにヒマな時などは、同級生ら数人で好奇心と興味と暇潰しに施設周辺を
自転車でグルグルしていましたが、不思議な事に信者や関係者を見た事は
一度もありませんでした。あまりに人の気配がなく、特に問題も起きなかったので、
しだいに皆の関心も薄れていきました。

高校3年になり、宗教施設の事は話題にもならなくなっていたのですが、
ある日同級生のAが「あそこに肝だめしに行かんか」と言いはじめました。
Aが言うには「親から聞いたけど、悪魔教の建物に可愛い女が出入りしとるらしい。
毎日店に買い物に来とるらしいで」
Aの実家は、地域内で唯一そこそこ大きいスーパーを経営していました。
Aの両親は毎日2万円~3万円ぶんも買い物をしていく「悪魔教」に
すっかり感謝しているようでした。
Aは「俺の親は、あそこの信者はおとなしくて良い人ばかりって言いよったよ。
怖くないし、行ってみようや」
私やその他の同級生も遊ぶ場所がなく毎日退屈していましたので、
「じゃあ行くか!」という事になり、肝だめしが決定しました。
メンバーは私とAとBとCとDの同じクラスの5人と、
後輩のEとFの全員男の7人になりました。
7人もいれば怖くないでしょう。皆も軽い気持ちで行く雰囲気でした。

待ち合わせは施設にほど近い、廃郵便局の前になりました。
私が到着するとABCとEは来ていたのですが、
DとFが30分近く待っても来なかったので、5人で
行く事になりました。施設の近くに自転車を停車させ、徒歩で施設の門へ。
「うわ~夜中はやっぱ怖いわ」や「懐中電灯をもう一つ持ってくりゃ良かったね」
などと話していました。

10 :地下のまる穴3:2011/12/16(金) 10:12:22.30 ID:s+XHJkPg0

巨大な門の前まで来ると門からかなり離れた敷地内の建物の一ヶ所に電気が
ついていました。「うわぁ信者まだ起きとんじゃね」「悪魔呼んだりしとんかね(笑)」
などと軽口を叩いていましたが、
Cが「これ、中に入れんじゃん」と言いました。するとAが
「俺が知っとるよ。横を曲がったとこに小さい門があってそっから入れる」
と言いました。「A、なんで早く言わんのんや」とか言いながら、
壁づたいを歩き、突き当たりを横に曲がり、少し歩くと壁に小さな扉がありました。

Aが手で押すと、向こう側に開きました。人ひとりようやく通れる扉を
5人で順番に通って中に侵入しました。その後は懐中電灯をつけたり
消したりしながら更地の敷地内をグルグルしていました。
「なんもないじゃん」「建物に近づいたらさすがにヤバイよの」など小さな声で
雑談していたのですが、あまりにも何もなくつまらないので
施設に近付いてみる事にしたんです。

敷地内は正面の門からは長々とした100メートルくらいの完全な更地で、
その先に大きな施設が三棟並んでいました。よく覚えていませんが、
とても奇妙な外観をしたデザインの建物でした。

施設周辺をコソコソ歩いていると、施設と施設の間に、灯りのついたキレイな
公衆トイレの建物がぽつんとあり、トイレがある場所一帯は白いキレイな
コンクリートで舗装されていて、ベンチまでありました。

Aが「ちょっと休憩しようや」と言い出し、周りの同級生らは「はぁ?見つかったら
さすがにヤバイだろ」「さっさと一周して帰ろうや」と言いました。私も
「見つかったら警察呼ばれるかもしれんし、卒業まであと少しじゃし、
問題起こしたらヤバイ、はよう帰ろうや」と言いました。

11 :地下のまる穴4:2011/12/16(金) 10:12:53.43 ID:s+XHJkPg0

しかしAはベンチに座ると煙草を吸い始めました。「じゃ一服だけして帰るか」
という事で、全員でその場に座って煙草を吸いました。
するとAが「俺ちょっとトイレ行ってくるわ」とその公衆トイレの中に
入っていきました。BやCは「アイツ勝手に入った建物のトイレで
よくションベンなんか出せるなぁ」「ウ○コなら悪魔に呪われるんじゃないか」
とか冗談を言いながら煙草を吸っていたんですが、しばらくするとAが
トイレの中から「お~い。ちょっと来て。面白いもんがあるよ」と
小さな声で言いました。

ゾロゾロと行ってみるとAは「ほら、ここなんだと思う?」と便所の個室を
指さしました。Bが「トイレじゃん」と言うと「ドア開けてみてや」と言い、
Bが「なんや」と言いながら扉を開けました。扉を開けてみると、
なぜか中には地下に降りる階段がありました。

Aは「おかしいじゃろ。便器便器と並んで、ここだけ階段なんよ」と言いました。

いよいよ、この状況がおかしな事に気づきました。
第一Aの言動がずっと不可解でした。Aが急に肝だめしを提案した事、
横の扉の位置を把握していた事、トイレの扉をわざわざ開いた事などです。

私はAに「お前まさかココでウ○コするつもりだったん?」と聞きました。
Aは「いや、うん、そうじゃ」と曖昧に答えた後「ちょっと降りてみんか?」と
皆に聞き始めました。
私は当然断りました。
「お前おかしな事言うなや。はよ帰ろう。ここでグズグズしよったら見つかるじゃろ」
と言うと、「はは~お前怖いんじゃろ?ちょっと降りるだけなのに怖いんじゃろ」
と馬鹿にした感じで言い出しました。

私はこれはAの挑発だと思いました。下に誘導しようとしているとしか
思えなかったのです。Bも「ワシもいかんわ。帰ろうで」と言ってくれたのですが、
他の二人は「なんか面白そう。ちょっとだけ降りようか」みたいな感じで
Aに同調したのです。

12 :地下のまる穴5:2011/12/16(金) 10:13:19.59 ID:s+XHJkPg0

Aは「お前らは勇気あるの~」とか言いながら、
私やBを更に挑発していましたが、Bは「ワシ行かんで。勝手に行けや」と
吐き捨てるように言いました。
Aは「ならまず3人で降りるわ。お前らはとりあえずココで待っといてや」
と言いました。そして3人は下へと降りて行ったのです。
私とBの二人はトイレの外には出ず、中で待っていました。

トイレの周辺は施設に挟まれた形で、窓も多数あったため、
「どこの窓から見つかるか分からない」と思い、トイレ内で待機していました。

Bは「おい、Aってなんか変じゃないか?」と聞いてきました。
私は「今日のAはおかしい。なんか最初っから俺らをココに連れてきたみたいな
感じがする」と答えると、Bも「ワシもそう思いよった」と言いました。

その後はBと一緒に今夜の事や見つかってしまった時の対処法などを
話していました。5分近く経った頃、「ちょっと遅くないか?!」と
私もBもイライラし始めました。

Bは「もう二人で帰るか」と言い出したのですが、二つあった懐中電灯のうち
二つともAたちが持って降りてしまったので、暗闇の中あの小さな横の扉を
発見するのは時間がかかると判断し、しぶしぶ待っていました。

すると、遠くのほうから足音が聞こえてきたんです。ザッザッザッという
複数の足音が遠くから聞こえてきました。私もBも、一瞬で緊張しました。
私たちは小声で「ヤバイ…人がきた。マズイで…」と囁きあいました。
場が張りつめた雰囲気に変わりました。足音は遠くからでしたが、
どの方角からの足音か分からなかったですし、いま外に出ても私たちは
施設内の方向や構造が分からないので、見つかってしまう可能性がありました。


13 :地下のまる穴6:2011/12/16(金) 10:20:07.44 ID:s+XHJkPg0

Bが「ヤバイ…近づいて来とるで…どうする?」とかなり慌てた感じで
言っていました。私も内心は心臓がバクバクしながら「コッチに来るとは限らんし、
来そうなら隠れよう」と言いました。しかし確実に足音は私たちのいる
トイレに近づいてきていました。

その時Bがいきなり階段ではない他の大便の個室の扉に手をかけました。
しかし開きません。隣の個室もなぜか開きませんでした。
Bは「クソッ!閉まっとる。あ~クソッ」と小さな声で叫びました。

足音はおそらく15mくらいまで近づいてきています。直感的ですが、私はその時、
足音の連中は間違いなくトイレに来ると確信していました。
Bもきっと同じ予感がしていたのだと思います。
私もBもジッと立ち尽したままでした。
Bは「…仕方ないわ。降りよう」と言い出しました。私は「えっマジで…?」と
返事をしました。あの得体の知れない階段を降りるのはすごく嫌でしたが
トイレ内にはもはや隠れる場所もなく、走り出したところで、
暗闇の中でしかも場所がよく分からないので捕まるだろうと思いました。

深夜の宗教施設という特殊な状況下で判断力も鈍っていたのかもしれません。

足音がもうすぐトイレ付近に差しかかる中、
私とBは個室の扉を開き足音を忍ばせながら下への階段を降りました。
階段はコンクリート造りの階段で、長い階段なのかと思っていましたが、
意外にも10段くらいで下に着きました。真っ暗闇なので何も見えないのですが、
前を歩いていたBが、降りた突き当たりの目の前にあったのだろう扉を開きました。

14 :地下のまる穴7:2011/12/16(金) 10:22:35.90 ID:s+XHJkPg0

中には部屋がありました。部屋の天井にはオレンジ色の豆電球がいくつかぶら
下がり、部屋全体は淡いオレンジ色に包まれていました。
私とBはその部屋に入ると、扉をそっと静かに閉めました。部屋を見渡すと、
15畳くらい(よく覚えていません)の何もないコンクリート造りの部屋で、
真ん中には大きく円状のものがぶら下がっていました。説明しにくいですが、
巨大な鉄製のフラフープみたいなものが縦にぶら下がっている感じです。

そのフラフープは部屋の両隅の壁に付くくらい巨大なものでした。

私とBはそんなのを気にせずに、扉の前で硬直していましたが、
私が「Aたちは?おらんじゃん…」と小さな声で言うと、
Bは「わからん、わからん…」とひきつった表情で言っていました。

そして、私たちが聞いていた足音が予感通りトイレの中に入ってきたのが
分かりました。真上から足音がコンクリートを伝って響いてきました。
その足音は3人~4人くらい。私たちはジッと動けないまま、
扉の前で立ち尽していました。

なにやらブツブツ話し声が聞こえてきましたが、
内容まで聞きとれません。話し合うような声に聞こえましたし、
それぞれがなにかをブツブツ呟いているようにも聞こえました。
Bは下をうつむいたまま、目を閉じていました。どのくらい時間が
経ったのか分かりません。私はなにか楽しい事を思い出そうとして、
当時流行っていたお笑い番組「爆SHOW☆プレステージ」を必死に
思い出していました。いつのまにか、トイレ内のブツブツ呟く声は、
3~4人から10人くらいに増えている事に気づきました。

15 :地下のまる穴8:2011/12/16(金) 10:24:43.53 ID:s+XHJkPg0

上にいる連中は私たちがココに隠れている事を知っているのではと思いました。
怖くてガタガタ震えてきました。ブツブツブツブツと気味の悪い話し声に
気が遠くなりそうでした。突然ブツブツ呟く声が消えると、
ガタンッと扉が二つ連続して開く音が聞こえた後、さらにガタンッと音がしました。
そのガタンッはトイレの個室を開く音だとすぐに分かり、鳥肌が立ちました。

「他の個室には最初から人が入っていたんじゃないか」

私と同じようにBがその可能性に気づいたのかどうかは分かりませんが、
さっきは鍵が閉まっていたのですから、外から開けたのではなく、
個室から誰かが出てきたんだと思ったのです。

そして階段を降りる足音が聞こえてきました。限界でした。
階段を降りきるまで15秒とかからないでしょう。私はBの腕をギュッと掴みました。
階段を降りる足音が中間地点くらいになった時、
Bは「うわぁぁぁ~」と情けない悲鳴をあげながら私の手を振り払い、
部屋の奥に走り出しました。その時です。Bがあの丸い輪をピョンとジャンプした
瞬間、一瞬でBの姿がなくなったのです。私はただただ唖然としました。

フラフープ状の丸い輪の向こう側に飛び越えるはずなのに、
Bが忽然と姿を消してしまった事に、恐怖よりも放心状態になりました。
私は扉から少し離れ、扉とフラフープの間に立っていました。

「謝ろう!」と思いました。「すみません。勝手に入ってしまいました。
本当にすみません」そう言おうと思いました。

扉がゆっくり開きました。開いた扉の隙間から、わざとらしく、
ひょいっと顔だけが現れました。

16 :地下のまる穴9:2011/12/16(金) 10:28:35.97 ID:s+XHJkPg0

王冠のようなものをかぶった老人が顔だけ覗かせこちらを見ていました。
満面の笑みでした。おじいさんかおばあさんかは分かりませんでしたが、
長い白髪に王冠をかぶった、しわくちゃの老人が満面の笑みで私を見ていました。

それは見た事もない悪意に満ちた笑顔で、私は一目見て
「これはまともな人間ではない」と思いました。
話が通じる相手ではないと思ったのです。その老人の無機質な笑顔に一瞬でも
見られたくないと思い、
「はうひゃっ!」と情けない悲鳴が喉の奥から勝手に出てきて、
私もまたBと同じようにフラフープ状の輪に飛びこみました。
目を開くと病室にいました。頭がボーッとしていました。
腕には注射針が刺さり、私は仰向けに寝ていました。

上半身を起きあがらせるのに3分近くかかりました。
窓を見ると綺麗な夕焼けでした。

部屋には人はおらず、個室の病室でした。
何も考えられずただボーッとしていました。
どのくらいの時間ボーッとしていたか分かりません。しばらくすると、
ガチャとドアが開き看護婦さんが現れました。看護婦さんは、
かなり驚いた表情で目を見開くと、そのままどこかに駆け出しました。

私はそれでもボーッとしていました。その後は担当医や他の医師たち数人が来て、
私に何かを話しかけているようでしたが、
私はボーッとしたままだったらしいです。その後時間が経ち意識もだんだんと
鮮明になってきました。

医師からは「さっき○○君の家族呼んだからね。
○○君は長い時間寝ていたんだよ。でも心配しなくていい。
もう大丈夫だよ」と意味不明な事を言われました。
起きてからも時間の感覚がよく分からなかったのですが、
やがて母らしき人と若い女の子が泣きながら病室に入ってきました。

17 :地下のまる穴10:2011/12/16(金) 10:30:14.46 ID:s+XHJkPg0

それは母ではありませんでした。それに私の名前は○○でもありません。
母を名乗る女性は「よかった…よかった」と泣いて喜んでいました。
若い女の子は私に「お兄ちゃん、おかえり…」と
言いながら泣き崩れてしまいました。しかし私に妹はいません。
3つ離れた大学生の兄ならいましたが、妹などいません。

私は「誰ですか?誰ですか?」と何度も聞きました。
医師は「後遺症でしょうが時間が経てば大丈夫だと…」みたいな事を
母らしき女性や妹らしき女の子に励ますように言っていました。

「今夜は母さんずっといるからね」と言われました。
私は寝たままいろいろ検査を受け、その際医師に
「僕は○○でもないし、母も違うし妹もいません」と言いました。
しかし医師は「う~ん…記憶にちょっと…う~ん…」と首を傾げていました。

「○○君はね、二年近く寝たきりだったんだよ。だから記憶がまだ完全では
ないんだと思うよ」と言われました。そう言われても、私はショックな
感情すらありませんでした。
現実にいま起きている事が飲み込めなかったのでショックを受ける事さえ
できなかったのです。医師は言葉を選びながら、
私を必死に励ましていました。
母らしき人は記憶喪失にショックを受けて号泣していました。

私は「トイレに行く」とトイレに行きました。立ち上がる際に足が異常に重く、
なかなか立ち上がれずにいると、医師や看護婦や妹らしき人が
手伝ってくれました。

18 :地下のまる穴11:2011/12/16(金) 10:31:44.59 ID:s+XHJkPg0

トイレに行くと、初めてあの夜の事を思い出しました。
不思議ですが、目覚めてからの数時間一度もあの肝だめしの事は
思い出さずにいました。トイレがすごく怖かったのですが、
肩をかしてくれた医師や付いてきた母や妹がいたので、中に入りました。

用を足したあと、鏡を見て悲鳴をあげました。
顔が私ではありませんでした。まったくの別人でした。
覚えていないのですが、その時私は激しいパニックを起こしたらしく、
大変だったらしいです。

その後は一ヶ月近く入院しました。私は両親と名乗る男女や、
妹を名乗る女の子や、見舞いに来た自称友達や、
自称担任の先生だったという男性らに「僕は○○じゃないし、あなたを知らない」
と言い続けました。

AやBの事や、自分の過去や記憶を覚えている範囲で話し続けましたが、
すべて記憶障害、記憶喪失で片付けられました。Aなど存在しない、
Bもいない、そんな人間は存在しないと説得されました。
しかし、みんな私にとても優しく接してくれました。

医師や周りの話だと、私は学校帰りに自転車のそばで倒れているところを
通行人に発見され、そのまま病室に担ぎ込まれたそうです。

私に入ってくるこの世界の情報はどれも聞いた事がないものばかりでした。
例えば、「ここは神奈川県だよ」と言われた時は、
私は神奈川県など知らないし、そんな県はなかったはずでした。
通貨単位も円など聞いた事もない。東京など知らない。
日本など知らない…という感じです。

19 :地下のまる穴12:2011/12/16(金) 10:33:31.15 ID:s+XHJkPg0

そのつど医師からは「じゃあ、なんだったの?」と聞かれるのですが、
どうしても思い出せないのです。Aの名前も思い出せず、
「同級生の友達」と何度も説明しましたが周りからは
「そんな子はいないよ」と言われました。
あの施設に入り、あのフラフープに入った話を医師に何度も必死に
説明しましたが、「それは眠っていた時の夢なんだよ」という
感じで流され続けました。

しかし恐ろしい事に、私自身「自分は記憶喪失なんだ。
前の人生や世界は全部寝ていた時の夢だったんだ」と
真剣に思い始めていたのです。

「記憶喪失な上に、別人格・別世界の記憶が上書きされている」と
信じはじめていたのです。

どちらにせよ私には別人としての人生を生きていく事しか
選択肢はありませんでした。退院後に父や母や妹に連れられ自宅に戻りました。
「思い出せない?」と両親から聞かれましたが、
それは初めて見る家に初めて見る街並みでした。
私はカウンセリングに通いながら、必死にこの新しい人生に順応しようと
思いました。

私に入ってくる単語や情報には違和感のあるものとないものに分かれました。
都道府県名や国名はどれも初めて聞いたものばかりですし、
昔の歴史や歴史上の人物も初耳でしたが、大部分の日常単語については、
違和感はありませんでした。テレビや新聞、椅子やリモコンなどの
日常会話はまったく違和感ありません。

20 :地下のまる穴13:2011/12/16(金) 10:35:38.36 ID:s+XHJkPg0

最初は家族に馴染めず、敬語で話したり、パンツや下着を洗われるのが
嫌で自分で洗濯などしていましたが、不思議な事に、
本物の家族なんだと思えるようになり、前の人生は前世か夢だと
思うようになりました。

そう思えてくると、前の人生での記憶が少しずつ失われていきました。
唯一鮮明に覚えていた両親の顔や兄の顔や友人の顔や田舎の街並みも
思い出すのに時間がかかるようになりました。

しかし、あの最後の一夜、宗教施設での記憶だけは
ハッキリ覚えていました。
特にあの満面の笑みの老人の顔は忘れられませんでした。

新しい生活にも慣れ、カウンセリングの回数も減り、
半年後には高校にも復帰しました。二十歳で高校3年生からやり直したのですが、
友人もでき、楽しさを感じていました。テレビ番組も観た事がない
番組ばかりでとても新鮮でした。
神奈川県の都市でしたので都会の生活もすごく楽しかったのを覚えています。

しかし、高校復帰から4ヶ月ほど経った後に意外な形で、
あの世界とこの世界とをつなぐ共通点が現れました。ちょうど夏休みに、
私は宿題の課題のため、本屋で本を探していました。

すると並べてある本の中で「○○○○」という文字が目に入りました。
宗教関連本でした。「○○○○」というのは、紛れもなく、
私が最後の夜に侵入した新興宗教の名前でした。

私は驚愕しました。そして本を手にとり、必死に読みました。
「○○○○」はこの世界では、かなり巨大な宗教団体というのが分かりました。

21 :地下のまる穴14:2011/12/16(金) 10:36:31.14 ID:s+XHJkPg0

私のいた世界では名前も聞いた事がない無名の新興宗教団体だったのに、
こちらでは世界的な宗教団体だったのです。それから私はその宗教の関連本を
何冊も買い読みあさりましたが、それは意味がない行為でした。

読んだからといって何も変わりません。戻れるわけでもなければ、
誰かに私の過去を証明できるような事実でもありません。

周りに話したところで「それは意識がなかった時に○○○○が夢に出てきただけだ」
と言われるだろうと思ったからです。

それに、親切にしてくれる新しい家族や友人たちに迷惑や
心配をかけたくなかったのです。せっかく高校にも復学し、
過去の話をしなくなった私に対して安心感を感じてくれている周囲に対しての
申し訳なさ、またカウンセリングに通う苦痛を考え、
私は見て見ぬふりをする事にし普通に人生を送ってきました。
17年が経ち、私も今は都内で働くごく普通のサラリーマンです。

ではなぜ今さらこんな事を書き記そうと思ったかと言うと、
先月、私の自宅に封書の手紙が届きました。匿名で書かれた手紙の内容は

「突然で申し訳ありません。私はあなたをよく知っています。
あなたも私をよく知っているはずです。あなたを見つけるのに
とても長い時間と手間がかかりました。あなたは○○という名前ですが、
覚えていますか?また必ず手紙を送ります。この手紙の内容は誰にも
言わないでください。あなたの婚約者にも。よろしくお願いします」

という内容でした。○○○と呼ばれても、私にはもはや全くピンときませんが、
以前そんな名前だったような気もします。
手紙が送られてきた事に対しては不思議と恐怖も期待もなく、
どちらかというと人ごとのように感じました。そして、その手紙の
相手は先週二通目を送ってきました。

22 :地下のまる穴15:2011/12/16(金) 10:37:07.93 ID:s+XHJkPg0

要約すると「あなたが知っている私の名前は○○です。
あなたは覚えていませんよね?どうやらここにはあなたと
私しか来ていないようです。」と書かれ
「今月25日の19時に○○駅前の○○にいるので、必ず来てください。
あなたに早急に伝えなければならない事があります。必ず一人で来てください」
と書かれていました。

私には○○の名前が誰なのか一切覚えていませんが会いに行くつもりです。
行かなければならない気がしています。
誰がそこに立っていたとしても思い出せないと思いますが、
あの夜のメンバーなら話せば誰なのか分かります。
できればBであってほしいです。

なにが起こるか分からないので、こういう形で書き残そうと思いました。
同じような文面を婚約者と唯一の身内になった妹には残しておこうと思います。
長々と読んで頂いてありがとうございました。




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902: 本当にあった怖い名無し 2008/01/21(月) 00:52:13 ID:wohjQNUp0
これを書いたら、昔の仲間なら俺が誰だか分かると思う。
ばれたら相当やばい。まだ生きてるって知られたら、また探しにかかるだろう。
 
でも俺が書かなきゃ、あの井戸の存在は闇に葬られたままだ。だから書こうと思う。
文章作るの下手だし、かなり長くなった。しかも怪談じゃないから、興味の湧いた人だけ読んで欲しい。

今から数年前の話。俺は東京にある、某組織の若手幹部に使われてた。Nさんって人。
今やそういう組織も、日々の微妙にヤバい仕事は、アウトソーシングですよ。それも組織じゃなく、個人が雇うの。警察が介入してきたら、トカゲの尻尾切りってやつね。

その代わり金まわりは、かなり良かったよ。俺は都内の、比較的金持ちの日本人、
外国人が遊ぶ街で働いてた。日々のヤバい仕事っていうと、すごそうだけど、実際に俺がやってたのは、ワンボックスで花屋に花取りに行って、代金を払う。
その花を俺がキャバクラから、高級クラブまで配達する。キャバクラ行くと、必ず花置いてあんだろ?あれだよ。で、花配りながら、集金して回る。

もちろん花屋に渡した代金の、3~5倍はもらうんだけどね。3万が10万、5万が25万になったりするわけよ。月に3千万くらいにはなったね。

俺がやるヤバい仕事ってのは、最初はその程度だった。それでも結構真面目にやってた。相手も海千山千のが多いからさ。相手が若僧だと思うと、なめてかかって、値切ろうとするバカもいるんだよね。

その度に暴力沙汰起こしてたんじゃ、仕事になんないわけだ。起こす奴もいるけど。でも警察呼ばれたら負けだからね。次から金取れなくなるから、組から睨まれる。タダじゃすまんよ。

そういう時、俺は粘り強く話す。話すけど、肝心なトコは絶対譲らない。一円も値切らせないし、ひとつの条件もつけさせない。



903: 本当にあった怖い名無し 2008/01/21(月) 00:54:00 ID:wohjQNUp0
前置き長くなったけど、まあうまくやってるってんで、Nさんの舎弟のSさん、Kさんなんかに、結構信頼されるようになった。

それで時々花の配達に使ってるワンボックスで、夜中に呼び出されるようになった。積んでるのは、多分ドラム缶とか段ボール。荷物積む時は、俺は運転席から出ない事になってたし、後ろは目張りされてて、見えないから。

それでベンツの後ろついてくだけ。荷物を下ろしたら、少し離れたところで待たされて、またベンツについて帰って、金もらって終了。

何を運んでたなんて知らない。その代わり、1回の仕事で、花の配達の1ヶ月分のバイト代をもらえた。

ある夜、また呼び出された。行ってみると、いつもとメンツが違う。いつもはSさんかKさんと、部下の若い人だった。ところがその日は、幹部のNさんがいて、他にはSさん、Kさんの3人だけ。

3人とも異様に緊張してイラついてて、明らかに普通じゃない雰囲気。俺が着いても、エンジン切って待ってろって言ったまま、ボソボソ何か話してた。
「・・・はこのまま帰せ」
「あいつは大丈夫ですよ。それより・・・」
途切れ途切れに会話が聞こえてたけど、結局俺は運転していく事になった。何だか嫌な予感がしたけどね。

後ろのハッチが開いて、何か積んでるのが分かった。でも今回はドラム缶とか、段ボールじゃなかった。置いた時の音がね、いつもと違ってた。重そうなもんではあったけど。

更に変だったのが、SさんとKさんが同乗した事。いつもは俺一人で、ベンツについてくだけなのに。しかもいきなり首都高に入った。あそこはカメラもあるし、出入口にはNシステムもあるから。こういう仕事の時は、一般道でもNシステムは回避して走るのに。



904: 本当にあった怖い名無し 2008/01/21(月) 00:54:47 ID:wohjQNUp0
首都高の環状線はさ、皇居を見下ろしちゃいけないとかでさ、何ヵ所か地下に入るよ ね。恥ずかしながら、俺は運転には自信あるけど、道覚えるのは、苦手なんだよね。方向音痴だし。

多分環状線を、2周くらいしたと思う。車が途切れたところで、突然Nさんが乗るベンツが、トンネルの中で、ハザード出した。

それまでSさんもKさんも、ひと言もしゃべらなかったけど、Sさんが、右の車線に入って止めろって。言われるままに止めたよ。そこって合流地点だった。
で、中洲みたいになってるとこに、バックで車入れろって言うから、その通りにして、ライト消した。

両側柱になってて、普通に走ってる車からは、振り返って見たとしても、なかなか見つけられないと思う。まあ見つけたとしても、かかわり合いにならない方が良いけどね。Nさんが乗ったベンツは、そのまま走り去った。

SさんとKさんは、二人で荷物を下ろしてたけど、俺にも下りて来いって。俺はこの時も、嫌な予感がした。今まで呼ばれた事なんて無かったし。

SさんとKさんが、二人で担ぎ上げてるビニールの袋。映画とかでよく見る、死体袋とかいう黒いやつ。もう中身は、絶対に人間としか思えない。



905: 本当にあった怖い名無し 2008/01/21(月) 00:55:26 ID:wohjQNUp0
とんでもない事に巻き込まれたって思って、腰が痛くなった。多分腰抜ける寸前だったんだろう。何で組の人じゃなくて、俺なの?ってその時は思ったけど、その理由も後になれば分かったんだけど。

で、Sさんがポケットに鍵があるから、それ使って、金網の扉の鍵開けろって言うから、言う通りにした。金網開けて、5~6メートルで、また扉にぶつかる。扉というより、鉄柵って感じかな。だって開ける為の把手とか無いし、第一鍵穴すら見当たらない。

どうすんだろうな~と思ったら、またSさんが別のポケットを指定。今度は大小ひとつずつの鍵。コンクリの壁にステンレスの小さい蓋が付いてて、それを小さい方の鍵で開ける。中に円筒形の鍵穴があって、それは大きい方の鍵。それを回すと、ガチャって音がして、柵が少し動いた。

 
右から左に柵が開いた。壁の中まで柵が食い込んでて、その中でロックされてる。鍵を壊して侵入は、出来ない構造らしい。

更に先はもう真っ暗。マグライトをつけて先に進んだけど、すぐに鉄扉に当たった。
『無断立入厳禁 防衛施設庁』って書いてあった。これは不思議だった。だってここ道路公団の施設だよね?

ていうか、こんなとこ入って、平気なのかなって思った。まあこの人たちのやる事だから、抜かりは無いとは思うんだけど、監視カメラとかあるんじゃないのって、不安になった。まあ中に進んだら、もっと不思議なもんが、待ってたんだけどね。鉄の扉も、さっきの鉄柵と同じ要領で開いて、俺たちは中に入った。


906: 本当にあった怖い名無し 2008/01/21(月) 00:56:30 ID:wohjQNUp0
SさんもKさんも、うっすら汗かき始めてて、随分重そうだったけど、運ぶの手伝えとは言わなかった。中に入るとすぐ階段で、ひたすら下に下りて行った。結構下りた。時々二人が止まって、肩に担ぎ上げた「荷物」を担ぎ直してた。

階段を下りると、ものすごく広い通路が、左右に伸びてた。多分幅10mくらいあったと思う。
下りたところで、ひと休みした。通路はところどころ電灯がついてて、すごく薄暗いけど、一応ライトは無しで歩けた。俺たちは反対側に渡って(って言いたくなるくらい広い)、左手に向かって進んだ。

時々休みながら、どれくらい進んだかな。通路自体は分岐はしてない。ひたすら真っ直ぐで、左右の壁に時々鉄の扉がついてる。ある扉の前でSさんが止まって言った。
「これじゃねえか。これだろ」
そこには『帝国陸軍第十三号坑道』そう書いてあった。字体は古かったけど。信じられる?今の日本にあるのは、陸上自衛隊でしょ。何十年も前のトンネルなのか、これは?

SさんもKさんも、汗だくで息も荒くなってたから、扉を入ったところで、また「荷物」を下ろして、休憩する事にした。二人とも無言だったから、俺も黙ってた。

しばらくして、Sさんがそろそろ行こうって言って、袋の片側、多分『足』がある側を持った。そしたら・・・

『袋』が突然暴れた。Sさんは不意を突かれて、手を放してしまい、弾みで反対側の袋の口から、顔が出てきた。猿ぐつわを噛まされた、ちょっと小太りの男。



907: 本当にあった怖い名無し 2008/01/21(月) 00:57:16 ID:wohjQNUp0
どっかで見たことある・・・それもあるけど、分かっていながらも、袋からリアルに人が、しかも生きた人が出てきた事にビビッて、俺は固まってた。

SさんがKさんに
「おい何で目を覚ました!」
「クスリ打てクスリ!」
「袋に戻せ!」
とか言ってるのが聞こえた。

Kさんはクスリは持って無いとか、何とか答えてた。その間も『袋』は暴れてた。暴れてたというか、体を縛られてるらしく、激しく身をよじって、袋から出ようとしていた。
 
するとSさんが、袋の上から腹のあたりを、踏んづけるように蹴った。一瞬『袋』の動きが止まっ たけど
「ウ~!」と、すごい唸り声を上げながら、また暴れ出した。

Sさんは腹のあたりを、構わず蹴り続けた。それでも『袋』は、暴れ続けた。やがてKさんも加わって、二人で滅茶苦茶に蹴り始めた。パキって音が、2、3回立て続けにした。多分肋骨が折れたんだと思う。

『袋』の動きが止まった。その時なぜか、男は頭を振って、俺に気が付いた。それまですごい形相で、暴れていた男が、急に泣きそうな顔で、俺を見つめた。

Sさんが「袋に戻せ」と言うと、Kさんが男の肩のあたりを、足で抑えながら、袋を引っ張って、男を中に戻した。今でもその光景は、スローモーションの映像のまま、俺の記憶に残ってる。男は袋に戻されるまで、ずっと俺を見てた。一生忘れられない。



908: 本当にあった怖い名無し 2008/01/21(月) 00:57:44 ID:wohjQNUp0
Kさんが、袋の口をきつく縛るのを確認すると、Sさんは更に数回、袋を蹴った。
「これくらいかな。殺しちゃまずいからな」
Sさんはそう言って、俺を見た。
「お前、こいつの顔を見たか」
「いえ・・・突然だったんで、何が何だか」
そう答えるのが、精一杯だった。その時は本当に、どこかで見たような気がしたけど、思い出せなかった。

SさんとKさんは、再び動かなくなった『袋』を担ぎ上げた。それまでと違うのは、真ん中に俺が入ったこと。もう中身を知ってしまったので、一連托生だ。

それからその13号坑道ってやつを、延々歩いた。今までの広い通路とはうって変わって、幅が3mも無いくらいの、狭い通路だった。

右手は常に壁なんだけど、左手は時々、下に下りる階段があった。幅1mちょいくらいの階段で、ほんの数段下りたところに、扉がついてた。

何個目か分かんないけど、Sさんがある扉の前で止まれって言った。そこもまた『帝国陸軍』。
『帝国陸軍第126号井戸』って書いてあった(128だったかも。偶数だった記憶があるけど忘れた)
それでSさんに言われるまま、中に入った。

中は結構広い部屋だった。小中学校の教室くらいはあったかな。その真ん中に、確かに井戸があった。でも蓋が閉まってるの。重そうな鉄の蓋。端っこに鎖がついてて、それが天井の滑車につながってた。滑車からぶら下がっている、もうひとつの鎖を引いて回すと、蓋についた鎖が徐々に巻き取られて、蓋が開いてく仕掛けになってた。



909: 本当にあった怖い名無し 2008/01/21(月) 00:58:23 ID:wohjQNUp0
オレは言われるままに、どんどん鎖を引っ張って、蓋を開けていった。完全に蓋が開いたとこで、二人が『袋』を抱え上げた。もう分かったよ。この地底深く、誰も来ない井戸に、投げ込んでしまえば、二度と出てこないもんね。でもひとつだけ分からない事があった。なんで「生きたまま」投げ込む必要があるの?

二人は袋を井戸に落とした。ドボーン!水の中に落ちる音が、するはずだった。でも聞こえてきたのは、バシャッて音。この井戸、水が枯れてるんじゃないの?って音。SさんとKさんも、顔を見合わせてた。

Sさんが俺の持っているマグライトを見て顎をしゃくってみせ、首を傾げて井戸を覗けってジェスチャーをした。マグライトで照らしてみたけど、最初はぼんやりとしか底まで光が届かなかった。レンズを少し回して焦点を絞ると、小さいけど底まで光が届いた。光の輪の中には『袋』の一部が照らし出されてる。やっぱり枯れてるみたいで、水はほとんど無い。

そこに手が現れた。真っ白い手。さらにつるっぱげで、真っ白な頭頂部。あれ、さっきの『袋』の人、つるっぱげじゃ無かったよな。ワケが分かんなくて、呆然と考えていたら、また頭が現れた。

え?2人?ますます頭が混乱して、ただ眺めてたら、その頭がすっと上を向いた。目が無い。
空洞とかじゃなくて、鼻の穴みたいな小さい穴がついてるだけ。
 
理解不能な出来事に、俺たちは全員固まってた。しかも2人だけじゃ無さそうだ。奴らの周囲でも、何かがうごめいている気配がする。何だあれ?人間なのか?なぜ井戸の中にいる?何をしている?



910: 本当にあった怖い名無し 2008/01/21(月) 00:58:52 ID:wohjQNUp0
その時、急に扉が開いて、人が入ってきた。俺は驚いてライトを落として、立ち上がってた。SさんとKさんも。入ってきたのは、Nさんだった。Nさんは俺たちを見て、怪訝そうな顔をした。
「S、もう済んだのか」
Sさんは少しの間、呆然としていたけど、すぐに答えた。
「済みました」
Nさんは俺たちの様子を見て、俺たちが井戸の中身を見た事を悟ったみたいだった。
「見たのか、中を」
俺たちはうなずきもせず、言葉も発しなかったが、否定しないことが肯定になった。
「さっさと蓋閉めろ」
言われて俺は、慌てて鎖のところに行って、さっきとは反対側の鎖を引いて回した。少しずつ蓋が閉まっていく。
「余計な事を考えるんじゃねえ。忘れろ」
そう言われた。確かにそうなんだけど、ぐるぐる考えた。殺しちゃまずいって、Sさんは言ってた。
Sさん自身も、なぜ殺しちゃだめなのか、知らなかったんだと思う。生きたまま落とした理由は?
生きたまま・・・・あの化け物のような奴らがいるところへ。考えたく無くなった。

 
俺たちは来た道を戻り、車で道に出た。今度はSさん、Kさんは、Nさんのベンツに乗っていった。
そしてそれが3人を見た最後になった。



911: 本当にあった怖い名無し 2008/01/21(月) 00:59:15 ID:wohjQNUp0
俺は思い出していた。あのとき『袋』に入っていた男の顔を。最近出所してきた、会長の3男だった。出来の悪い男というウワサだった。ケチな仕事で下手を踏み、服役していたらしい。俺は2、3回しか顔を合わせた事が無かったが、大した事無さそうなのに、威張り散らしてヤな感じだったのを覚えてる。

 だ
からといって、会長の息子を殺すのはアウトだよ、死体を隠したっていずれバレる。それでも出来るだけバレないように、俺を使って運んだんだろうけど。

あの出来事から2週間くらいして、Nさんが居なくなった、お前も姿をくらませって、Sさんから電話があった。バレたんだ。会長の息子を殺ったのを。

 
組から距離をおいていたのが幸いして、俺は逃げ延びる事ができた。SさんやKさんがどうなったのかは知らない。あれから数年、俺は人の多い土地を転々としている。これはあるネットカフェで書いた。

もうすぐネットカフェも、身分証を見せないと書き込めなくなるらしい。これが最後のチャンスだ。組の人たちがこれを知れば、どこから書いたのか、すぐに突き止めると思う。だから俺はこの街には、二度と戻ってこない。

 
誰かあの井戸を突き止めて欲しい。なぜあの井戸に、暴力団なんかが鍵持って入れるのか。そうしたら俺の追っ手は、皆捕まるかも知れない。俺は逃げ延びたい。これからも逃げ続けるつもりだ。






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