【閲覧注意】怪談の森【怖い話まとめ】

当サイト「怪談の森」は古今東西の怖い話~ほっこりする神様系の話まで集めています。 随時更新中!!

カテゴリ: 【山まつわる】



38: 名無しさん@おーぷん 2015/06/04(木)14:30:08 ID:ofo
俺が必氏に木を引っ掻きながら上まで逃げようとしているのよ。
で下を見ると無数の黒い塊、目の部分だけポッカリと白い穴の人型が手招いている。
俺は息を荒あげながらドンドン木を登っていこうとする。爪を立てて。

ただ、そんなイメージを思いながらも意識はハッキリとしていた。
でも指先から血が垂れていた。しかし爪は折れていないし痛みもない。
深爪だった覚えもない。

会長と山岳姫は顔を見合わせて、俺以外の皆をB子の元へ帰らせた。
帰った他の皆は木の違和感を見て「うーん・・・」と悩ましい顔をしていた。

会長「俺君さ、黒い人見なかった?」

そこで本当に僅かな時間忘れていた『おそらく人な物体』の事を思い出し告げる。

俺「た。確かに……色は黒でした……」

それに顔は分からないけど、容姿を思い出してくる。
一言で言うとナマハゲ。
一頭身のでかい顔に頭から藁を被ったようなナマハゲ。
両手に包丁は握っていない。

会長「さっき、熊のこと聞いたじゃん……、俺も多分そのナマハゲみたいの見た」

山岳姫「言わなかったけど、私も見ているの。
 他の子も言っていないけど、何か見かけているみたい」

会長「D男は見ていたようだね。口に出すのは災の元と言っていたけど」

その後、俺はイメージの言を伝える。

そうすると木の傷跡が爪で引っ掻いた跡に見えてきて、だんだん呂律が回らなくなってきた 



43: 名無しさん@おーぷん 2015/06/04(木)14:39:45 ID:ofo
会長と山岳姫は「他の木も見てみる」と言って、結構な周囲の木を確認しに行った。

俺は絶対にその話を皆にするなと言われて、皆の元へ帰された。
D男は事態を察していたのか「お前呼ばれているんじゃね?気をつけろ」と背中をパンパンと叩き、俺の近くに居てくれることになった。

俺はウエットティッシュ(もしかしたら弁当用のおしぼり)で
指先をふきとりあえず綺麗にした。爪の間には血は入り込んでいなかった。
と言うか血だとは思うのだけど、サラッと拭き取れた。

その後、心配してくれた女子部員さんが二人ほど来てくれて、サンドイッチをくれたりした。
たぶん気分を紛らわすためだけど、サークルの話とかをしていた。

B子は落ち着いたらしく眠りについていて、今は他の三人が様子を見ているらしい。
何度かコッチに来た子が「さっき変なの見えたのですけどー」と、明らかに探るような笑顔で訪ねてきたが、
俺もD男も「いや見てないなぁ……」「俺はぼーっとしてて」と言って誤魔化した。

会長と山岳姫は結構な本数の木を確認していて、時々木の前に止まって見上げたりしていた。
多分10本以上は見上げていたと思う。 



45: 名無しさん@おーぷん 2015/06/04(木)14:49:08 ID:ofo
そんな感じで時間を過ごしていると、遠くの方で雷が鳴った。
少し寒くなってきて本能的に「雨がふる」と感じた。
天気予報では当分晴れが続く筈だし霧もなかった筈なのに。

山岳姫と会長は走って戻ってくる。

山岳姫「雨が振りそうだから皆カッパ着て!」

だが、カッパを持ってきているのは会長・俺・D男と山岳姫と他二人。
会長と俺とD男に山岳姫はカッパを持ってきていない人たちに渡した。
B子も持ってきていなかった。

カッパを着なかった俺らはブルーシートで凌ごうと言う話になり、
そうしていると遠くで雨が降る音が聞こえてきた。

カッパを着ているが、一応B子に雨が当たらない様にとブルーシートを屋根代わりにカッパ着た女子たちが端を持って立つ。
カッパ着ない組の俺らは、B子の近くから少し離れた所でブルーシートを掲げて雨をまった。

すぐに雨が降り始め、雷が鳴る度に女子のほうでは「キャーっ!」と悲鳴が上がっていた。

俺らの方は残念ながら余裕でビショビショになっていた。 



47: 名無しさん@おーぷん 2015/06/04(木)15:07:00 ID:ofo
ごめん、女子達立ってないわ。しゃがんで姿勢低くしていたわ。

山岳姫「このままじゃもっと濡れちゃうからテントみたいにしましょう」

俺らは横で屋根を作っている女子たちに申し訳なさそうに言いながら
四人で隅を持ち、ブルーシートの中心に登山用の杖を四本指して、
自分たちを包み込むようにブルーシートの中に入る。

説明が下手だけど、なんて言えばいいのかな内側に折り込む?なんかちがうな。
まあとにかく濡れない感じかつ外に声が聞こえない感じになった

生乾きの匂いとジメッとはしているが熱くない空間が広がっていた。

山岳姫「オナラしたらソイツ外につき出すからね」

山岳姫の言葉に俺とD男の緊張が吹き飛び思わず噴出す。
ただすぐにそんな空気も薄れていってしまった。

D男「……遅いよな、C男たち」

山岳姫「……言いたくなかったけど、そうよね」

俺「何事もなければいいなぁ……」

会長「俺君、馬鹿なこと言っちゃだめさ……」

外の様子は見えないが、外では女子達がキャッキャしていた。

山岳姫「最悪、Bさんを背負って私達が助けを求めに行く必要あるかもね」

俺「なんでそれが最悪なのですか?」

山岳姫「うーん……、何かあったりしたらね」

何か理屈で説明されたけど、とにかく無闇矢鱈と動くのは危険だと言うことだった 



48: 名無しさん@おーぷん 2015/06/04(木)15:16:02 ID:ofo
俺「それで木の様子を見て来たのですよね?」

会長「うん……俺君が見つけた木の他にも結構あったね」

山岳姫「私の見立てだと、小動物とか……と思いたいけど、
 俺君の話聞いたらそう見えてきてね……でも尋常じゃないよ、あんな感じなの」

D男「他の奴らもいい加減気が付いているんじゃね?
 何人か小さい声でキャって言っていたしさ」

俺「害があるのかな……」

D男「どうかな。もしもアレがさっきの地蔵みたいな奴と関係しているなら、
 B子は地蔵を踏みつけたから、ああなったんじゃね?
 面白がって他の地蔵を起き上がらせた俺らも、俺らなんだけど……」

山岳姫「そんな事言ったら、私なんか内心ふざけるな!って思って
 思っきり蹴飛ばしちゃっていたしさ……、他の子も何人も踏んでいると思うよ」

俺「そう言えばC男のやつ、小さい地蔵投げてなかった?」

空気が重くなった。今の話の流れでその事を思い出したのを俺は後悔した。
しばらく雨がブルーシートを叩く音と、隣で女子達が恋話(B子を交えて)しているのを聞いていた。

D男「ちなみに霊感あるやつ居る?俺は親父の実家が寺なんだけど……」

突然言い出した。 



54: 名無しさん@おーぷん 2015/06/04(木)15:23:30 ID:ofo
山岳姫「私は家が神社なので……少しはあると思います」

会長は合コンの話を思い出し俺を指さして「俺君と俺は自称霊感アリだったっけ?」と
ちなみに会長と俺は今までネタで言っていたと白状した。

D男「C男のやつはオヤジがキリスト系の神父だろ、確か」

山岳姫「そう言っていましたね……、だから地蔵の所は通りたくないと言ってました」

D男「それでさ、今回のこの騒動なんだと思う?俺は物の怪かな」

山岳姫「私は罰当たりしたんじゃないかと……」

その後二人はアレコレと話をしていた。
あの地蔵地帯はなんだって話が主だったけど、祠や誰かが放置したやつ、
山の神様だったのでは?昔村があった場所?修行場?とか
、ヒートアップしていたが、話に決着することなかった。

でもふたりとも怪奇の線を疑っていた。

会長「今日助けに来ることがなかったら……あそこで一晩を明かす必要あるかな」

山岳姫「さっき見つけた廃墟ですか?」

言うに二人で木の様子を確認していた時、ここからちょっと言った所に建物が見えたらしい。
それは見るからに廃墟の家っぽいと言うこと。

雨は強さを増し強くブルーシートに当っていた
外で話している女子たちの会話すら聞こえないほどに。 



58: 名無しさん@おーぷん 2015/06/04(木)15:37:30 ID:ofo
その後はダンダンと会話が途切れて終わった。
俺らがしゃがみこんで俯いていた。
もしかしたらD男と山岳姫は寝ていたかもしれない。

突然バシャバシャとブルーシートを叩かれ
「山岳姫さん!会長さん!D男さん!俺さん」と言われた。

俺らは慌ててブルーシートをめくり何事かと顔を出した。

血相を変えた様子で、山岳部員で俺が気になっていたF美ちゃんが立っていた。

F美「G子とH美ちゃんが倒れたんです!」

見ればB子の他にカッパを着た女子が二人倒れている。
その顔がB子のあの足と同じように腐った豚の色になっていた。

山岳姫「なにがあったの!?」と取り乱しながら駆け寄る。

F美「急になんか訳の分からない事を呟いたと思ったら倒れて、
 どんどん顔が変な色になっていって!それで!」

顔をグチャグチャにしながらF美ちゃんは泣いていた。
その時、すぐ近くで雷が落ちたんじゃないかというほどの雷鳴が響いた。
一気にパニックになる女子達。

会長が山岳姫に「雨を凌ごう。此処を離れよう」と訴えかけた。
すぐに山岳姫は皆に廃墟の事を説明、全員何も言うことなく返事をした。

その間に会長の指示で俺らはバックからビニールテープを取り出し、適当な木に結びつけて、それを動ける女子に渡した。

俺らが持っていた荷物は往復して取りに行くことにして、
男たちで女子を背負い廃墟で駆け足で向かう。

山岳姫の声と雷がとにかく俺らを追い立てていた。 



68: 名無しさん@おーぷん 2015/06/04(木)15:56:27 ID:ofo
廃墟は2階建てでそんなに奥行きもない縮こまった家だった。
洋風みたいな洋館なんだけど、瓦とかは日本を感じさせる感じの。
見えるガラスは割れていないけど、とにかく曇っていた。
それに何でこんな所に家なんか建てるんだと思うような感じで建っていた。

山岳姫がドアノブをガタガタやった後、すぐに近くの窓ガラスを破り鍵を開け侵入。
すぐにガチャッとドアが開き「早く入って!!」と叫んだ。

正直見るからに出そうなので躊躇った。
でも「来ているぞ!早く入れ!」とD男に叫ばれ、全員どんどん廃墟に入っていく。

全員がはいったのを確認すると山岳姫は音を立ててドアを閉めた。
ものすごい量のホコリが舞って俺とか会長は思っきり咳後んだ

D男と山岳姫は窓から外を見ていた。
D男はお経なようなモノを唱えているし、山岳姫も震えながら睨んでいた。

D男・山岳姫「大丈夫そうね」と力が抜けたように二人して腰を下ろす。

俺は背負っていたG子さんを降ろすと「もう少し様子を見てから荷物取りに行くぞ」とD男に言われた。

腰が抜けて泣きじゃくる女子たちと苦しそうに唸っているG子・H美、B子は氏んだように寝たままだった。

会長と俺は窓から様子を見ると、木の陰や至る所に黒い影が見えて逃げるように隠れた。
二人して「見えたようね、見えたよね?」と言い合った。 



75: 名無しさん@おーぷん 2015/06/04(木)16:15:27 ID:ofo
その後、誰も一言も発することができなくなりしゃがみこんでいた。
しばらく立って雨音が弱まった頃、外を見渡して黒い影が居なくなったのを確認。

会長と俺、D男、それに意地でも手伝うと言ってついてきた山岳姫を連れ
自分たちが居た場所に戻った。
迷うほどの距離じゃないけど、廃墟まで伸びていたビニールテープを握っていた。

戻ったら食料が入っているカバンは全部無事だったけど、
女子たちが持っているような軽いカバンはビリビリに破かれ散乱していた
もうなんか狂った様に散らかしたみたいに、さっき食べたゴミも散乱している。

「怖がらせちゃ悪いから」と山岳姫の提案で、そのことは黙って
持って帰れるだけの荷物を持って廃墟に足早に俺らは戻った。

廃墟に戻るとB子を含む二人が服を脱ぎ横にされていた。
ただ俺らは興奮とかアッと顔をそらす訳でもなく呆然と三人を見ていた。

B子の足の具合は左足の太もも膝まで色が悪くなっている。
一方で二人の方は顔は撫でた指の跡の先に肩の辺りにビタッと手形がついていた。
一人は顔が半分まで変色していた。その二人のほうは他に異常はなかった。

見るのも痛々しく、山岳姫が「皆服着せるよ」と黙ってモクモクと作業していた。

俺は持って着ていた懐中電灯を山岳姫に渡し、残りの三つを一時的に俺らで借りた。 



76: 名無しさん@おーぷん 2015/06/04(木)16:22:34 ID:ofo
俺らは目線を逸らすついでに廃墟の中を見ていた。
大きめの暖炉とテーブルに汚いソファがあるだけの一回。
壁に日本刀とよく分からないけどオブジェクトが飾られていた
あとバケツが二つ転がっていた。カーテンはホコリと蜘蛛の巣を纏ってた。

あと何かアッたけどイスか机と棚だったと思う。食器類はなかった

水道や電気と行った文明的なモノは見るからになかった。

壁には幾つか洋風の蝋燭立てがあるだけ。
そこに残っている蝋燭も大分ホコリと蜘蛛の巣だらけだった。

二階に上がれる階段は既に朽ちて落ちており二階に上がれなかった。

途中、見るからに底が抜けそうな所は案の定、思っきり踏むとベギっと抜けた。
俺らが飛び込んだ玄関付近ぐらいは幸いにも丈夫だったのかもしれない

とにかく砂埃とホコリがすごく、外は夕方近くだが明るいのに薄暗い家だった

D男「こんなのあったよ」

木箱に入った蝋燭と壁から取ったりや暖炉に飾られていた蝋燭立てを持ってきた。
中々刺すのが難しかったのを覚えている。
なんか蝋燭が何本もボロボロになっていた。


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1: 名無しさん@おーぷん 2015/06/04(木)12:16:31 ID:ofo

書き溜め無いからゆっくり書いていくけど

今から十数年前、当時は俺は「ビジネス交流会(仮名)」とか言う大学サークルに所属していた
規模は確か30人ぐらい。詳しい数は覚えていないけど、女子は10人しか居なかった。

一応ビジネス関係のマナーとか、出席時はスーツ着用義務とかされていたり、
OBの縁でオフィス街にある大きめの喫茶店経営(だがバイト)を経験したり、
接客セミナーの講師とかから接客術を教えられたりしていた。

……と言うのはもちろん建前。
そんなにポンポン来てくれる訳じゃないし、OBの喫茶店も週1~2でしか出ない。
メインは東京の居酒屋を飲み歩くみたいな今で言う飲みサーだった
女性比率は極端に少ないし、ほとんどの美人は体育系にもってかれたので
女性関係で揉め事のない比較的いいサークル

ただ飲みの席である日「出会いがほしい」と当時の会長
(交流会なのでリーダーが会長と呼ばれていた)が言い出した
するとサークルメンバーが「そうだそうだ」と同調し始めて、

「なら山岳部と交流したら?あそこ美人多いよ」と男まさりだがずば抜けて美人のA子さんが提案した
A子さんは美貌もあるけど自身が持っている知性とコミュ力で本当に人間関係が広い人だから、すぐに山岳部との会合を取り決めてくれた。



2: 名無しさん@おーぷん 2015/06/04(木)12:16:46 ID:ofo
その山岳部と言うのが女性が多く、
男は基本的には入れない、入っても自由がないサークルだと聞いていたけど、
とにかく美人揃い、しかもヒモになった部員も多いと聞くお嬢様揃い。
馬鹿な会長や俺らは「イケイケー!」と山岳部に突撃しに行った。

結果、
山岳部部長(通称:山岳姫)に「そんな体でよく山岳部と活動する気になったね?」と
「どうせ下心丸出しでしょ?A子から聞いているから」と怒られた
その後も山岳姫や山岳女子部員、僅かに居た男子部員からも散々貶された
一方でコッチの女子メンバーと「行こう行こう!」と誘われ、

本当に女子に飢えてしまった会長や俺ら(6人)のみが、必死に山岳姫に頼み込んだ。

前置き長いけど、ここから本題に入るわ 楽しい学生生活だった 



5: 名無しさん@おーぷん 2015/06/04(木)12:28:38 ID:ofo
書き忘れたけど、その時なぜ会長と俺らが必死になったかと言うと、
山岳を通して愛が深まっていく話とか、そういうラブストーリー映画を見過ぎたせい

山岳姫の方も「意気込みを買った」と言ってくれたが、
本当に未経験者がイキナリ山に登るのは危険なんだと教えてくれた

山岳姫「そんな体型で一緒に山登られてもダセェし、怪我されても迷惑だし」

会 長「いや、なら(誘拐された)ウチの女子メンバーは?」

山岳姫「あの子達だって今体づくりしてもらっているよ?」

会 長「え?でもなんか来週山登らしいけど……」

山岳姫「ああ、まあレベルは低いし女の子ぐらいなら私たちでもどうにかできる。
でも男子は嫌だし重いし無理。男なんだし自分でなんとかしてもらいたい」

ェェ…と露骨な顔をした俺らを余所に山岳姫は適当に10冊ぐらい本と、
翌日、部員で考えたらしい筋トレメニュー表を渡してきた。

もうなんて言うか、メチャクチャな筋トレメニュー表で3人ぐらい脱落。
何故か山岳姫や山岳女子部員に罵られながら体づくりをする日々を過ごした。

山岳部作成のテストをクリアすることで、ようやくスタートラインに立てた。

山岳姫もその時ばかりはすごいカワイイ顔で、日頃罵ってきた女子もいい笑顔で
メッチャ褒めてくれた。今でもいい思い出



9: 名無しさん@おーぷん 2015/06/04(木)12:45:16 ID:ofo
山岳姫「正直、あんなメチャクチャなトレーニングをこなすとは思わなかった」

会長・俺ら「え?」

どうやら「10」と言う数字を「100」にしたりしていたらしい

山岳姫「まあいいでしょ。ポカリとか湿布とか散々差し入れたし?ねっ」

他女子「ごめんねー」「いや皆すごいよ」「カッコいいよ!」

会長・俺ら「ええ、もちろん。気にしておりませんよ」

山岳姫「それであなた達には最初は○○のルートを歩いてもらう
 一応これが最終テストになるけど、山登というより散歩よ散歩
 あのメニューこなせたなら余裕だと思う。皆の予定は(ry」

とトントン拍子で話が進み始めた。
多分この辺りで山岳部も俺らのことを認めてくれたんだと思う。

その散歩した場所というのが秋田・岩手・宮城のトコロ。
自然豊かな所だと紹介されていた。
名前はぼかすけど、未だに雑誌を見ると初心者向けで乗っている地域だし
分かる人には分かるのかもしれない。
とにかく、山ではあるけどマンガのような山登りをする場所ではない。

で、行くメンバーは会長・俺らの4人と山岳姫・女子2名・山岳部女子8名と言う
すげーウハウハな状態で行くことになった。

で、行く日近くになり姫の提案で「作られた歩道あるくだけじゃあれだから」と、
ガチで山の中に入ることにした。雪が降っているわけでもないし、
当日も地元の人に野良犬に気をつけろみたいな事は言われたけど、そんなに危なそうな感じはなかった

最初は普通の作られた道を歩いていたけど、あるポイントで横にずれ山の中を進みだした
予定では二時間もすれば目的地につくでしょ―って感じで、
皆、ニコニコしながら話をしていた。

……男子勢は荷物持ちをさせられ、慣れてない俺らは喋ることもままならなかったが
てか山岳姫たちドンドン行くしマジで辛かったのを覚えている 



10: 名無しさん@おーぷん 2015/06/04(木)13:03:09 ID:ofo
山の中に入り他の登山客も見えなくなった頃。
一人の女子B子が躓いた。

ソイツはウチのメンバーの女子で口数も少ない控えめな子
すごい幼い顔と体型をしているんだけど身長170あってでかい子だった
ちなみに芋焼酎を一気飲みできるオヤジ気質を持っている子でもあった

山岳姫「怪我はないね?」

怪我はないかそこはかっこよく山岳姫たちがチェック。怪我はない

B子「すみません、何かに躓いたみたいで」

他女子「うわー、なにこれ?」

B子が躓いた所を見ると40センチぐらいの楕円形の石が倒れていた。
ホタルの形をしていたといえばいいかな、そんな形。明らかに人工物
そこら辺がゴツゴツしていたのだが、似たような形の石が幾つも転がっていた
一番大きかったのは躓いた石だけだったけど。

山岳姫「火山岩?な訳ないしなー」

会長「あれ、これ持ち上げられるよ」

会長は呑気にその石を大分重そうだったけど、起き上がらせた。

皆、ギョッとした。

なんて言えばいいのかなー…、それは紛れもないお地蔵様だけど。

多分種みたいな形をした石を掘って作ったようなお地蔵様なんだけど、
凄く顔が怖いの。激怒しているような顔
それに地蔵様なんだけど腕が四本で両腕を組んで何かを叱りつけるようなお地蔵様だった

会長は「うわぁ……変なの持っちゃった」と嫌そうな顔をして
何人かの女子は「ウワァ・・・最悪・・・」と口々に言っていた

対して俺ら男子陣は「うわwなんだこれww」「コッチも似たような感じだw」と興奮

本当に体型は地蔵さまなのよ。
だけど、顔が犬みたいな地蔵からトンボ?みたいのとか、ほとんど壊れては居たけど
異様なお地蔵様としか言えない地蔵様だった
表情は皆激怒していた。 



14: 名無しさん@おーぷん 2015/06/04(木)13:12:43 ID:fYk
祠か? 



15: 名無しさん@おーぷん 2015/06/04(木)13:14:32 ID:ofo
山岳姫「……ちょっと、いつまで騒いでいるのよ」

会長・俺ら「あハイ……」

山岳姫「山の神様だったらどうするの?罰が当たるわよ」

俺「そういうこと信じているんですか?w」

山岳姫「な!違うよ。ほら、皆もサッサと行くよ」

そう言ってドンドン山岳姫は皆を連れてその場を去って行った
ただそこら辺から妙にジメジメとし始めて、だんだんと自然に皆の口数が少なくなってきた

その時の俺の体調だけど
よく分からないけど意識が無くなり淡々と足を動かしている様な感じ?
意識しないと疲れすら忘れてしまうような感じに俺はなっていた。

後続を歩く俺らは「なんか変な感じしね?」「するする」「祟りじゃー」とか言って
先行する女子に「変なこと言わないでよ!」とか怒られ、シュンとなるのを繰り返してた

そんな中、どんどんB子の体調が悪くなって行ってた。
と言うより、なんか顔色が悪くなっているのはそうなんだけど、やけに辺りをキョロキョロしていた。

会長「B子さん、具合悪そうだけど大丈夫?」

山岳姫「えっ、あ本当だ。唇の色悪いよ」

B子「は、はい……平気です、けど……」

みんな「ん?」

B子「さっきからコッチ見ている人いる気がするんです」

皆慌てて周囲を見渡すが、木、木木岩、木木岩岩、木木木と言うような感じ。
見通しは悪くはなかったから人が居れば誰でも気がつくと思う。

山岳姫「あれじゃない、動物の視線じゃないかな?ww」

女子「お猿さん居るのかな」「狸がいいなー」「私は狐がいい」

山岳姫「クマ……じゃなければいいわ」

全員「う、うん……」 



16: 名無しさん@おーぷん 2015/06/04(木)13:20:32 ID:ofo
B子「それに躓いた所がズキズキし始めて。さっきまで平気だったのですが」

山岳姫「え本当?ちょっと見せてみて」

長ズボンを脱がなきゃいけないから、男子勢の会長・俺らはそっぽを向かされる。
その時会長が「あれ?」と何かを遠目に見ていた。

後ろでズボンを脱ぐ音が聞こえて、途端「キャー!」とB子と他女子の悲鳴が聞こえた。

ビックリして俺らは振り向く。すぐに女子たちに「な、何見ているのよ!」と怒鳴られ、
同時にB子を隠されたがハッキリとB子の足を見てしまった。

ふっくらとしていて可愛らしい足だったんだけど、
右足だけ腐りかけの豚肉みたいな色になってた。
もろに青い血管の筋が見えて、同時に血の気のない青白い肌。
ひと目で「これはただ事ではない」と感じた。

山岳姫だけは悲鳴を挙げずに「痛くない?ズキズキするだけ?」と何度も訪ねていて
B子は「は、はい」と答えていた。

多分やりとりは↓だと思う。

「感覚はある?」「あ、あります……」
「冷たかったりしびれは?」「な、ないです……」
「なにか異変はない?」「ズキズキするだけで」
「歩けるの……ね?」「う、動きはします……」
「休んだ方がいいかな?」「へ、あはい……」

19: 名無しさん@おーぷん 2015/06/04(木)13:42:25 ID:ofo
結局、B子の様態が回復するまで俺らは休憩になった。
女子達はB子の周りに集まって「大丈夫?」「骨折なんかな?」とか行っていて

山岳姫と山岳についてかなりガリ勉していたC男の二人が話し合っていた。
C男の両親も昔は登山をしていたらしくテストも俺らの中で最優秀だった
だから意見求めて山岳姫に呼ばれたのだと思う

俺らはというと、女子たちの飲み物を用意したり、ブルーシートを広げたり、変に呑気になっていた。
いや内心パニックになっていたがB子に近づくことは許されないし、
女子達が妙に団結を深めてしまっていたので「助けを求められたら全力で動こう」と言うスタンスに切り替えていた。

途中会長が「クマって木に登るかな?」と言い出した。
俺らは「登るんじゃなかったかな?」「く、クマ居ましたか?」と聞くと

チラッと盗み聞きしていたのか、今回の山岳にかなりノリノリ&肉体改造に成功していたD男が会長に何かアイコンタクトを送った。
ものすごくジッと「言うな!」と言う感じだった。
会長「いやなんでもないよ、ごめん」と謝る。

そんな不可解な状況になっていると、山岳姫が「ちょっと何人かこっち来てー」と呼んだ。
俺らと、女子の方から6人ほど山岳姫の元へ集まった。

山岳姫「やっぱりB子さんのあの足は異常だと思うの」

みんな「ですよね」と分かり切った表情で話を聞いていた。

山岳姫「救援を呼びに行こうと思うの
 私たち無線機持っていないし、あの様態のB子さんを動かすわけには行かない。
 かといって私たちが動かないと事は進まないから」

皆の顔が真剣になって行く。

山岳姫「今C男君と話したけど、多分私たちは此処ら辺にいる。
 もう少し行けば目的地に着く。あれならすぐ横を進んで山道に出てもいいと思うわ
 今きた道を戻るよりは確実に早いはずなの。」

皆「・・・あの」「あれ?」と声があがった。

山岳姫が提案したルートは少し変だった。
と言うのも、山岳姫が説明したルートと今きた道を戻るのは差がなさそうに見えていた。
アレコレ結構説明してくれたんだけど、微妙に納得できなかった。

山岳姫「あ、あの変な場所通らないで済むのよ」

その言葉で全員大きく納得した。
確かにあの変な地蔵地帯を通るのは嫌だった。だからそう提案したのだろう。
その時は俺はそう思っていた。 



20: 名無しさん@おーぷん 2015/06/04(木)13:43:23 ID:G7P
ひだる神か 



28: 名無しさん@おーぷん 2015/06/04(木)14:02:31 ID:ofo
その後、山岳部のメンバー3人とC男、まだ経験が浅いからと誘拐されていた残りのE子
計5名が救援を呼びに行くグループになった。

本当は散歩的な登山とは言え、初登山の初心者である俺らも帰される予定だったが
流石に会長と俺は反対し、男手があったほうがいいだろうと認めてもらった。

見た感じD男も行きたそうにはしていたが「お前らみたいな男に任せられない」と
ギャグみたいなことを言って残ってくれた。

山岳姫「私はこの中で一番経験あるし責任あると自負している。だから残る」

そう言ったあと、救援を呼びに行くグループが一度集まって話し合った後、出発した。

再びB子の周りに女子や山岳姫が集まっている感じで、
蚊帳の外の俺らは少し離れた所で辺りを見渡していた。

またしても意識を失うと言うか思考が停止するか、先ほどみたいな状況になったのか
もしくは危機感が無くなり暇を実感し始めたのか、俺はボーッとし始めた。

会長「おい、オレ君どうした?」

そこでハッとした。いつの間にか俺は立ち上がっていた。
山岳姫に思わず相談すると「斜めの場所にいるから感覚がおかしくなっているんじゃないの?」と軽く言われた。

ただ右足が歩き出そうとしていた気はしていた。

男グループに戻ると、会長とD男が何かをコソコソ話し合っていた。
二人は俺に気がつくとその話をすぐにやめた。

ちょっと仲間はずれにされイラッとはしたが、すぐにどうでも良くなり再び座り込む俺。

会長「うーん……、ちょっと山岳姫さんに会いに行ってくる」

今度は会長が立ち上がり、山岳姫の元へ。

山岳姫のそばに行くと会長はB子さんに「大丈夫?」と声をかけた後、
山岳姫さんの小声で何かを伝えて二人は少し離れた場所へ行った。 



30: 名無しさん@おーぷん 2015/06/04(木)14:11:18 ID:ofo
会長が何かを言うと、山岳姫が「えっ」と言った顔をした。
そこで会長が何かを話、山岳姫は頷いていた。

そこで会長が走り戻ってきて。

会長「何もしていないのはアレだから、すこし立って辺りを見渡しておこう!」と提案してきた。
D男は分かっていたのがすぐに立ち上がり、俺も後に続いた。

残った女子たちが「えー何やっているのよ」と、状況に慣れてきたのか笑っている。

会長「男なのでレディーは守らないと」

プッと数人の女子が笑う。
会長は突然キザな男子を演じてナンパする人で有名であった。
それをこんな空気で発動させたのは、会長なりの配慮だったのかもしれない

見回りと言っても、三人がB子を中心に少し離れた所にたち、漠然と周囲を見ているだけだった。
一応東西南北を意識していて、俺らが見ていない方向は山岳姫が見ていたと思う。

木と岩しかない変化のない景色が数分続いていた。
だから奥で何かが動いた瞬間、すぐにそこに注目できた。

俺は何だあれと動いた物を確認する。

確実に何かがコッチを見ていた。おそらく人だと思う。
当時は視力に自信なあったし遠くまで見えるつもりだったのだが、
その『おそらく人な物体』の顔がボヤケて全然見えやしない。

山岳姫「俺君!!!!!」

ものすごい大声で山の中に山岳姫の声が響き渡った。
そこでハッとすると俺は木に激突しながら歩こうとしていた
ポケモンで壁に激突しながら歩き続けているあんな感じなアホな感じである。 



37: 名無しさん@おーぷん 2015/06/04(木)14:19:18 ID:ofo
俺は振り返ると、結構な距離の場所に居た。
会長と山岳姫と二人ぐらい女子が追いかけてきていた。

会長が言うには、俺が突然「人がいる!」と言って走りだしたらしい。
ただ斜めな山に従って走っていったので、俺は敢え無く木に激突したらしい。
それを見て思わず皆笑ったらしいが、
俺は木にぶつかりながらも腕を振るし「おーい」とか言っているしで、
だんだんやばく感じて見に来たらしい。

俺はまったく覚えていない事を山岳姫たちに伝えた。
デコには血が滲んでいたので結構ゴリゴリしていたらしい

俺「あれ?てかこの木だけ少し変じゃね?」

俺は木を撫でていると変な違和感に気がついた。
木の至る所を引っ掻いたような後があったのである。
ただゴリッと言うより、ガリッと言う感じで浅く彫刻刀で削ったみたいな感じでもある。

で、普通なら気が付きはしても大して違和感なんか抱かないんだけど、

そんな状態の傷跡が木の上の方にまであるわけ。
明らかに身長が2mあっても届かない所にも無数に引っ掻いた後があった。

そこで俺の頭の中に何か嫌なイメージが流れる。



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怖くないけど子供の頃のを

今では山荘も(雪崩か何かで?)ぶっ壊れてしまったが、宮城県に『かもしか温泉』って場所がある。
気になって検索してみたら今でも温泉はこんこんと沸いてるらしく、野湯好きなんかが行ったりしてるみたいだ。
記憶では、古い木造校舎程の結構でかい建物だったと思う。

今から30年ぐらい前にその山荘が健在だった頃、若い頃はワンゲルやってた叔父に連れてってもらった。
相当きつい行程を歩いた記憶があるが、
当時は山荘も生きていたので道もしっかりしてたし、荷物は先に荷物搬送用のロープウェイで送れた。
俺もちびっ子だったから体力がきつかっただけで、叔父にしてみれば子供連れで行ける無難なハイキングだったんだろう。

山荘から蔵王を見上げちょっと上った所に当時は小屋があって、由来は知らないけど『さえもん小屋』と呼ばれてた。

夜、叔父が雪割りしたウイスキー飲みながら、
「あのさえもん小屋にだけは、夜は絶対近付くな」と言ってきた。
なんでも、さえもん小屋には正体不明の4人の幽霊?が出るらしく、
見ると祟られるのか精神的におかしくなって鬱病みたいになるんだそうな。

怖がりだった俺はそんな所行くもんかと思ったし、実際その数日何か見た訳でも体験した訳でもない。
なんでこんな事書くのかと言えば、
最初に書いたけどその山荘はもう無い。
あんなでかい山荘がぶっ壊れた位の雪崩だし、その小屋も無いと思う
ただ言い換えれば目印が何も無い訳で、
覚えている限りでは、その今でも人がたまに入りに来る野湯と化した露天風呂の近くだったと思う。
(その割とマニアには有名らしい野湯は、当時から野湯ではあったので、
 別に山荘の露天風呂設備が残ったと言う訳ではない)
あんな忘れられた山の野湯、物好きでなければ入りに行かないと思うが、
『もし行くのなら、夜には湯の近辺ウロウロしない方がいいぞ』とどこかに書いておきたかったのだ。
霊に詳しい訳じゃないので、そういう霊が小屋が無くなったらどこか行くのか、今でもそこにいるのかは知らないけどね。

ちなみに叔父は坊さんである。
その時に叔父はこう言ってた。
「あれはちょっとやそっとで祓えるタマじゃない、百年は祟る」
今にして思えば、何でそんなのが出るのか聞いておけば良かったよ。



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先月のことです。Aと俺は山へ測量に入りました。

山の測量に行く時は、最低3人で行くようにしていたんですけど、行くハズだった奴がインフルエンザで倒れて、他に手の空いてる人も居なかったんで、しょうがなく2人で行くことになったわけです。でもやっぱり不安だったんで、境界を案内してくれる地元のおっさんに、ついでに測量も手伝ってくれるように頼みました。
おっさんは賃金くれればOKという事で、俺たちは3人で山に入りました。

前日からの雪で山は真っ白でした。
でもポールがよく見えるので、測量は意外にサクサク進みました。

午前中一杯かかって尾根の所まで測ったところで、おっさんの携帯が鳴りました。
おっさんはしばらく話をしていましたが、通話を終えると、急に用事ができたので下りると言い出したのです。
おいおいって思ったんですけど、「あとは小径に沿って土地の境界やから、そこを測っていけばイイから」って言われて、
小径沿いだったら大丈夫かもな、まぁしゃーないか、みたいなムードで、
結局、Aと俺の二人で続きをやることになりました。

ところが、おっさんと別れてすぐ、急に空が曇ってきて天候が怪しくなってきました。
「このまま雪になるとヤバイよな」なんて言いながら、Aと俺は早く済まそうと思ってペースを上げました。

ところで、俺らの会社では山の測量するのに、ポケットコンパスって呼ばれている器具を使っています。
方位磁石の上に小さな望遠鏡が付いていて、それを向けた方向の方位や高低角が判るようになっています。
軽くて丈夫で扱いが簡単なので、山の測量にはもってこいなんです。
俺はコンパスを水平に据え、ポールを持って立っているAの方に望遠鏡を向けて覗きました。
雪に覆われた地面と、枝葉に雪をかかえた木立が見えますが、ポールもAの姿も見えません。
少し望遠鏡を動かすとロン毛の頭が見えたので、
次にポールを探して、目盛りを読むためにピントを合わせました。

『あれ?』
ピントが合うと、俺はおかしなことに気付きました。
俺たちはヘルメットを被って測量をしていたのですが、Aはなぜかメットを脱いでいて、後ろを向いています。
それにAの髪の毛は茶髪だったはずなのに、今見えているのは真っ黒な髪です。
『おかしいな』
望遠鏡から目を上げると、Aがメットを被り、こっちを向いて立っているのが見えました。
が、そのすぐ後ろの木立の隙間に人の姿が見えます。
もう一度望遠鏡を覗いて、少し動かしてみました。

女がいました。立木に寄りかかるように、後ろ向きで立っています。
白っぽい服を着ていて、黒い髪が肩を覆っていました。
『こんな雪山に・・・なんで女?』
俺はゾッとして、望遠鏡から目を離しました。
「おーい!」
Aが俺の方に声を掛けてきました。
すると、それが合図だったかのように、女は斜面を下って木立の中に消えてしまいました。
「なにやってんスかー。はよして下さいよー」
Aのその声で、俺は我に返りました。

コンパスを読んで野帳に記入した後、俺は小走りでAのそばに行って尋ねました。
「今、お前の後ろに女立っとったぞ、気ぃついてたか?」
「またそんなこと言うて、止めてくださいよー」
笑いながらそんなことを言っていたAも、俺が真剣だとわかると、
「・・・マジっすか?イヤ、全然わかりませんでしたわ」と、表情が強ばりました。

Aと俺は、あらためて木立の方を探りましたが、木と雪が見えるばかりで女の姿はありません。
「登山してるヤツとちゃうんですか?」
「いや、そんな風には見えんかった・・・」
そこで俺は気付きました。
あの女は、この雪山で一人で荷物も持たず、おまけに半袖の服を着ていたんです。
「それ、ほんまにヤバイじゃないっスか。気狂い女とか・・・」
Aはかなり怯えてました。
俺もビビってしまい、居ても立ってもいられない心持ちでした。

そんなことをしているうちに周囲はだんだん暗くなって、とうとう雪が降ってきました。
「はよ終わらして山下ろ。こらヤバイわ」
俺たちは慌てて測量作業を再開しました。

天候はドンドン悪化して、吹雪のようになってきました。
ポールを持って立っているAの姿も見にくいし、アッという間に降り積もる雪で小径もわかりづらくなってきました。
携帯も圏外になっていました。
俺は焦ってきて、一刻も早く山を下りたい一心でコンパスを据え付けました。
レベルもろくに取らずに、Aの方に望遠鏡を向けようとしてそっちを見ました。
すると、さっきの女がAのすぐ後ろに立っていました。

今度は前を向いているようですが、吹雪のせいで良く見えません。
Aは気付いていないのか、じっと立っていました。
「おーい!」
俺が声をかけてもAは動こうとしません。
すると、女のほうが動くのが見えました。
慌てて望遠鏡をそっちに向けてビビリながら覗くと、
女は目を閉じてAの後ろ髪を掴み、後ろから耳元に口を寄せていました。
何事か囁いているような感じです。
Aは逃げようともしないで、じっと俯いていました。
女はそんなAに囁き続けています。
俺は恐ろしくなって、ガクガク震えながらその場に立ち尽くしていました。

やがて女はAの側を離れ、雪の斜面を下り始めました。
すると、Aもその後を追うように、立木の中へ入って行きます。
「おーい!A!何してるんや!戻れー!はよ戻ってこい!」
しかしAはそんな俺の声を無視して、吹雪の中、女の後を追いかけて行きました。
俺は測量の道具を放り出して後を追いました。
Aはヨロヨロと木立の中を進んでいます。
「ヤバイって!マジで遭難するぞ!」
このままでは自分もヤバイ。
本気でそう思いました。
逃げ出したいっていう気持ちが爆発しそうでした。
周囲は吹雪で真っ白です。

それでも、何とかAに近づきました。
「A!A!しっかりせえ!死んでまうぞ!」
すると、Aがこっちを振り向きました。
Aは虚ろな目で、あらぬ方向を見ていました。
そして、全く意味のわからない言葉で叫びました。
「◯◯◯◯◯◯*!◯◯*!」
口が見たこともないくらい思いっきり開いていました。ホンキで下あごが胸に付くくらい。
舌が垂れ下がり、口の端が裂けて血が出ていました。
あれは完全にアゴが外れていたと思います。
そんな格好で、今度は俺の方に向かってきました。
「・・・◯◯◯◯!◯◯*!」
それが限界でした。
俺はAも測量の道具も何もかも放り出して、無我夢中で山を下りました。
車の所まで戻ると、携帯の電波が届く所まで走って、会社と警察に電話しました。

やがて捜索隊が山に入り、俺は事情聴取されました。
最初はあの女のことをどう説明したらよいのか悩みましたが、結局見たままのことを話しました。
警察は淡々と調書を取っていました。
ただ、『Aに女が何かを囁いていた』というところは、繰り返し質問されました。

翌々日、遺体が一つ見つかりました。
白い夏服に黒髪。
俺が見たあの女の特徴に一致していました。

俺は警察に呼ばれて、あの時の状況についてまた説明させられました。
その時に警察の人から、その遺体についていろいろと聞かされました。
女の身元はすぐにわかったそうです。
去年の夏に、何十キロも離れた町で行方不明になっていた女の人でした。
ただ、なぜあんな山の中に居たのかはわからない、と言うことでした。
俺はあの時のことはもう忘れたいと思っていたので、
そんなことはどうでもエエ、と思って聞いていました。

けれど、一つ気になることがありました。
女の遺体を調べたところ、両眼に酷い損傷があったそうです。
俺は、Aのヤツそんなことをしたのか、と思いましたが
どうも違ったみたいで、その傷は随分古いものだったようです。
「目はぜんぜん見えんかったはずや」
警察の人はそう言いました。

結局、Aの行方は今でもわかっていません。
残された家族のことを考えると、Aには生きていて欲しいとは思いますが、
あの時のことを思い出すと、正直なところ、もう俺はAに会いたくありません。

ただ、何となく嫌な予感がするので、先週、髪を切って坊主にしました。




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