【閲覧注意】怪談の森【怖い話】

当サイト「怪談の森」は古今東西の洒落にならない怖い話~ほっこりする神様系の話まで集めています。 随時更新中!!

カテゴリ: 呪い



650:名無しのオカルト 2018/05/30(水) 05:03:14.25 ID: ID:4TzqT7y40.net

怖い話じゃないかも知れんがちょっと聞いて

俺の職場はちょっと小高い丘の上にある
職場に行くまでの道は螺旋状に登る道
職場で仕事に対する真剣さが無くいつも口ばかり大きな事叩く奴に注意したら後付けの理由で言い訳をして人の所為にしようとしてきた事に激昂して凄く怒鳴りつけて黙らせた
その数日後の帰り道にそいつから
「俺に恥かかせた覚悟はあるんだよな」って言われた
俺はてっきりどつき合い希望かと思い受けて立つ気でいた
そしたらそいつがバッグから生肉で出来た様な人形を取り出して
「これ呪いの素なネットで調べたガチな奴お前もう終わり。残~念」
と言われて俺はこいつ頭大丈夫か?と思った瞬間
そいつがガードレールに手をかけたら何て言ったら良いかわかんないけど
くるっと体が跳ね上がった感じ?そのままブロックみたいな丘の斜面を転げ落ち民家の屋根に激突した
俺は慌てて人と救急車を呼んだ。事件性があるとお巡りさんも来て事情聴取された
勿論その前の事もあったので俺はかなり疑われてた
ただ、そいつが絡んで来た場所が会社の機材なんかの搬入口だったから防犯カメラが付いてて一部始終写ってたので事無きを得た
後日そいつの怪我の具合を聞いた。背骨か脊椎を損傷した為かなり重度の障害が残るとの事だった
オカルト好きな友人に事の顛末を話したら
「呪いの媒体をお前に見せたから返って来たんだろうな」って言ってた
で、昨日仕事中に例のそいつから会社経由で俺に電話がかかってきた
「俺がこんな目に遭ったのも全部お前の所為だからな。覚えとけ今度は絶対に復讐してやるから」
と言って電話切りやがった。で、昨日からちょっと不安を感じて過ごしてる訳だけど


652:名無しのオカルト 2018/05/30(水) 07:50:38.27 ID: ID:mBTWSoMP0.net

>>650
とりあえずその友人に相談して呪術防止策でも準備したほうがいいかもな
しかし人騒がせな同僚(もう元同僚か?)だな


664:名無しのオカルト 2018/05/31(木) 06:44:21.94 ID: ID:qxAwMHmq0.net

>>650
マジか…


665:名無しのオカルト 2018/05/31(木) 06:46:16.58 ID: ID:qxAwMHmq0.net

>>650
呪いかけるヤツってやっぱこんな思考してんだな
マジでこえーよ




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760 本当にあった怖い名無し sage 2012/09/04(火) 00:24:58.26 ID:vloQMlHg0
知り合いのヤクザから酒飲んで聞いた話
ヤクザっても正式な組員じゃないんだけどな
そいつは十年くらい前まで兄貴と組んで闇金の取り立てやってた
ずいぶん非道いこともしたらしい
町の工場を経営してた老夫婦の前で壁を蹴ってたら
そいつらが自己破産するって言い出したから
あらかじめ調べてた息子や娘の住所をしゃべって
んじゃあこいつらのとこにも行くから
こいつらの勤め先にも行くからって言ったらしい
もともと闇金自体が違法だしそのあたりはあんまり関係ねえからな
それで次の日ジイさんは踏切で鉄道自殺
バアさんは行方知れずになった
工場や家は何重かに抵当に入ってて表の借金に取られたが
そいつと兄貴は息子らのとこを回ってどうにか金は回収した

そいつの兄貴は墨を入れてて
それが趣味の悪いことに四谷怪談のお岩さんと伊右衛門の図柄
もう彫ってからだいぶんたつんだが
お岩さんの目の上のはれが右の後ろ肩にあって
そこにできものができてひどく痛む
んで医者にいくまでもないだろうってんで
そいつに小刀で切らせたんだが
そしたら血膿に混じって明らかに人の歯としか思えないものが
ボロッと出てきた
それから兄貴の背中はできものだらけになって
今度は医者に行ったが
やっぱり切除するたびに人の歯が出てくる
それも虫歯の治療痕まである成人の歯で医者も相当困惑したらしい
それでレントゲンを撮ってもなんもない
だけど次の週になればできものができて切れば歯のかけらが出てくる

兄貴は入院してさんざん検査され
その過程で重い膵臓癌だかにかかってることがわかった
んで毎度見舞いに行くたびにベッドの下に何かがいるから見てくれって言われて
のぞいてはみるんだけど何もいない
そらそうだよな
別にのぞかなくったってベッドの下は素通しで見えるんだし
毎日掃除のおばはんが来てるんだし
んでも兄貴はベッドの下に怖ろしいものがいて
毎日夜中に腰のあたりに噛みついてくるって言い張ってた
あの強面の人が歯をガチガチ鳴らして怖がってたっていう
医者は痛みや不安からくる幻覚か特殊な薬の副作用だろうと説明したらしいけどな
その頃にはもう歯は出なくなってたが背中の自慢の入れ墨も
できものの痕で非道い有様だったらしい

んで病院には兄貴のかみさんや子どもも見舞いにくるんだが
そいつが姉貴から家の中で異臭がするって相談された
兄貴の家は郊外の一軒家で都会じゃないから土地は安いが
建てたばかりの瓦屋根の立派なやつ
それでそいつの他に2~3人で行ってみたが
たしかに庭から家の中から腐臭が漂ってる
もう鼻つままなきゃいられないくらい
それで手分けして調べたんだが
野良犬の死体でもないかって縁の下にもぐってたやつが悲鳴をあげた
何が見つかったかっていうと
上で書いた工場の行方不明になってたバアさんだ
裸足の着物姿で縁の下で上を向いて真ん中ら辺の太い柱に齧りついてた
腐敗が進んで骨の見えてる部分もあったし柱のわきには歯がぽろぽろこぼれてたっていう
こう書けば兄貴の背中から出てきた歯がそれかと思う人がいるだろうが
照合して調べるなんてことはもちろんしていない
んでこれは警察には知らせず内々に組で処分したらしい
それはヤーの家で死体が出てきて疑われないわけがないし
家の中にはいろいろとまずい物もあったんでな

兄貴はそれから一週間ばかりで死んだ
最期はずっと薬で眠らされてたらしい
・・・この話で間違いなく事実なのは取り立てでジイさんが死んだことと
バアさんが行方不明のままなこと
そいつの兄貴が癌で死んだことだ
歯が出てきたことやバアさんの死体が縁の下から出てきたのは嘘かもしんねえ
しかしそいつがそんな作り話をする意味もわかんねえけども
とにかくそいつはカタギになったわけじゃあねえが
今は馬関係のわりと楽なシノギをやってる
おめえに祟りはねえのかって聞いたら下を向いて笑いやがったな




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322 継呪の老婆 sage New! 2005/12/04(日) 15:54:04 ID:orhP/4If0
東京の自宅に戻る上りの新幹線の中で、私は、昨晩から今日にかけての
出来事を思い返し、憂鬱になっていた。ハンドバッグから、ベッコウの髪留を
取り出し暫く見つめていると、涙が溢れ止まらなくなった。
幼馴染で親友でもあったトモに最後のお別れをするために、とある海沿いの
小さな温泉町に行っていた。私にとってもその町は故郷だ。髪留めをくれた、
トモのお母さんの言葉を思い出した。

「トモちゃんとずっと仲良くしてくれてありがとう。あの子は、サトちゃんが
いるから、仕事は大変だけど東京の生活にも耐えられるって、いつも・・・」
トモのお母さんは、涙でそれ以上言葉を続けることができなかった。
最後に、この髪留を差し出して、私に告げた。
「お友達には、あの子の遺品をあげているの。これは、あの子が最後の日に
身に着けていたもの。是非、サトちゃんに持っていて欲しいから・・・。」

 ふと、最後にトモと会った晩の光景が浮かんだ。深刻な顔で、彼女が、
泣きながら私にしがみついていた・・・。翌日、彼女は遺体で見つかった。
 トモの死には謎が多い。自室で発見された彼女の遺体は、体中の水分を失い、
まるで何年も太陽に照らされていたかの様に、衰弱し、干からびていた。
 窓の外は、いつの間にか雷雨になっている。暗闇に一筋の稲妻が走った。

 トモは、亡くなる1ヶ月前に帰省していた。彼女は小学校の時に温泉町に
引っ越してきたが、すぐに彼女の父親が他界した。トモの母と父の実家とは
折り合いが会わず、父親の遺骨は分納されたと聞かされたことがある。
私は、そのとき父親の墓参りに行ったというトモの話しを思い出した。

「お父さんのお墓にいってね、お父さんに仕事とか恋人のことを報告したわ。
で、不意に気が付いたの。墓石をはさんで向こう側に、婆さんがみえたの。
お盆で他にも人はいたけれど、気になったのは、その婆さんが私の方を
じぃっと見つめてた事よ。」私の部屋に休息に来たトモは、小さな巾着袋を
取り出しながら、話を続ける。「私と目が会うと、すぐにかがんで、お墓の
前で、ブツブツと呟いていたわ。」トモは袋の紐を解き、中をまさぐる。

「恐怖雑誌の編集なんてやってるからかしら。職業柄ね、ピンときたのよ。」
得意げに言った彼女は、沢山の白い破片とアン肝の干物のようなものを、
袋から取り出し、机に広げた。「私は婆さんに話かけたの。綺麗な髪留めを
手で押さえ、婆さん、ブツブツ言いながら私の顔を見上げたわ。どこかで
見た顔だと思ったら、クラの婆さん。知ってるでしょ?三つ上のクラタよ。
彼のお通夜で会ったわ。」トモが語る。私が怪訝な顔で、机の上の物に手を
触れようとするが、彼女は私の手を掴み、話を続けた。「挨拶をしてお別れ
しけど、何か引っかかったのよね。私の名刺を渡しておいたわ。」
窓を眺め、私は一息つく。気が付けば外は雨になっていた

 新幹線の車窓に雨が滴る。私は静かに目を閉じた。死の前日、必死で私に
すがりついたトモは、耳元で何かを囁いた。彼女の手を握り、頷く私・・。
「分かってたよ。トモ。・・・」私は、再び一ヶ月前のトモの話を思い返した。

トモは興奮していた。「その日の夜遅く私の家に来たのよ。あの婆さんが!
私、思わず「ビンゴ!!」って叫んじゃったわ。」タバコを取出し火をつけて、
「婆さんは暫く黙っていたけど、意を決し、私に語り始めたの。」トモは続けた。
トモによれば、老婆の話は次のようなものだった。老婆は、トモを心霊等の
専門家と思って訪ねてきた。有名な霊能者を紹介して欲しいと、頼みに来た。
「わしの一族は、代々この呪いを受け継いできたんよ。」老婆は言った。「けんど、
一族の者は皆死に絶え、もう引継先がないんよ。呪いを引き継ぐのが私んトコの
使命だんべの、途方にくれとったんよ。」老婆は、小さな巾着袋を取り出した。

「もう何日も残っとらんのよ!わしの、すぐ近くまで来とる!」取り乱す老婆を
トモは落ち着かせ、詳しく話を聞きたいと申し出た。老婆は、呪の内容について
語り始めた。「明治時代の初めだったんよ。この集落の浜辺に大きな黒い二枚貝が
流れついての、漁師共がすぐに貝を開いたんよ。食おうと思ったんかの・・・。」
老婆は、お茶をすすって一息ついた。トモには、海の音が異様にはっきり聞こえた
そうだ。まるで、家が海の上を漂っているかのように・・・。

老婆が話を続ける。「二枚貝の中から一枚の紙切れが出てきたんよ。ほら、神社の
裏に祀ってあんべ?」トモは、小学生の頃遊んだ神社の裏手にある、一枚の額縁を
思い出した。「シノビガタキコノカワキ ウツセニタスクモノナシ コノウエハ 
ジョウドニテ ミタサレントホッス」心霊マニアのトモは、暗記していたこの言葉を
呟いた。「そんだ。んで、そいつが一緒に入ってたんだんべ?」老婆が袋を指差す。
「そりゃ、あれだ。砕かれた歯と、人間の舌の干物じゃ。」老婆の瞳が少し光った。
「どこから来たんか分からん。けんど、これが流れ着いてから集落のもんが次々と
死んだべ?干からびての。きっと禍々しいもんに違いねぇと、わしのひぃ婆が
色んな村に尋ねてまわったんよ。そんで、御崎郷の神主様がお払いしよったんよ。
その後は村人の死ぬ数がへったべ?けんど、完全に呪いを解くんは無理よっての。」
この昔話は、トモも聞いたことがあった。が、呪は解かれて終わる筈だった。

「んで、神主様がひぃ婆に命じんよ。一族で呪いを受け継ぐんさってな?ひぃ婆は
呪いのことを色々聞きまわって、詳しかったで、その一族なら呪いを解く方法を
見つけるかも知れんべってな。呪いを拡散させんためには、生贄が歯の欠片と
舌の干物を飲むんじゃって。歯の破片が全部無くなりゃ、それでもええってな。」
トモが袋を開けると、砕けた歯と舌の干物が入っていた。老婆が言った。「まだ、
50個近くもあんべ?戦前は10年周期くらいじゃった。年老いたもんが、進んで
引受けたんよ。けんど、戦後になって周期がどんどん早くなったんじゃ。仕舞にゃ、
毎年、引受人を選んどった。複数はあかんで、一個しか飲めんべ?わしは呪いを
調べとったで最後に残されたんよ。けんど、わしには引継先がないんよ。解呪の
法もわかっとらん。呪いは、わしが死んだら、また拡散すんべ?また沢山、
人が死ぬんじゃよぉ・・・。」トモは袋を預り、霊能者に渡すと約束したそうだ。
その数日後だった。老婆の干からびた遺体が見つかったのは。(つづく・・・。)
※ちょっと席をはずさなくてはいけないため、トリ付けときます。

「それがこれなのよ!」私は、トモが興奮を隠せずに言ったのをよく覚えている。
外では雷雨が激しさを増していた。雨粒が次々と現れては糸をひいて消えていく。
ぼんやり窓を眺めていると、車内販売のワゴンが映った。私は、顔色を変えた。
窓に映ったワゴンは、何かが違う。お菓子の代わりに積まれているのは・・・。
トモだ。トモの首、手、足がワゴンにバラバラに積まれていた。口から、紫色の
長い舌がだらりと垂れ下がっていた。私は「んぎぃっ!!」と大声を出し、
座席から飛び跳ねた。ふと我に返った私は、自分に注がれた好奇の目に赤面し、
とっさに、「あの、笹団子をください。」と販売員に告げた。

東京駅までは、まだまだ時間があった。私は、トモが死ぬ間際にかけてきた
電話のことを思い出した。断末魔の悲鳴とともに途絶えたトモの声を。
「もしもし、サト?お願い聞いて!!これじゃ、これじゃぁ・・・・・」
絶叫が響いた。後には、電話の向こうでブツブツ呟く、しゃがれた声が聞こえた
気がしたが、良く覚えていない。考えているうちに、私は眠ってしまった。

夢を見た。それは数日前の現実。私は、耳元で最後の願いを囁いたトモを強く
抱きしめ、微笑んだ。大好きな中国茶を淹れた。白い破片と干物を煎じ、お茶と
一緒に飲み込んだ。トモが涙を流し、繰り返した。「ゴメン・・。ゴメンね・・。」
私は、そっと彼女に口付けて言った。「一人で苦しんだんだね。」そして、トモの
手を握り、囁いた。「分かってたよ。トモ。あの町に代々住む人は皆、知ってる。」
目が覚めた。私は呪いを受け継いでいる。残された時間は少ない。

実家に帰った。ネネとナナ、そして父が私を優しく迎えてくれた。親友を
失くした私を心配し、励ましてくれた。「いつでも帰って来い。お前の一人や
二人、いくらでも世話してやる。」いつもは寡黙な父が力強く言ってくれた。
「悩みあったら相談してね、彼氏のこととか、仕事の愚痴とか。」ネネと
ナナが私の背中をたたきながら笑った。結局、家族には、呪いのことは話せ
なかった。私は、呪いを拡散させる道を選んだ。もう、何も考えたくない。
 私は部屋に戻り、荷物をまとめた。家族や友人一人一人に手紙を書いた。
手紙はポタポタと湿っていく。涙で文字も良く見えなかった。やがて、涙も
枯れ果てた。私は、灯りを消してベッドに座り、静かにその時を待った・・。

 外から、ズリズリと何かを引きずる音が聞こえ、私は思わず飛び跳ねた。
心臓が止まりかけた。そのまま止まってくれればいいのに。玄関の扉が開いた。
呪いが、私の部屋に入ってきた。その正体を見た私は、意外にも冷静になった。
ズルズルと長い舌を引きずり入ってくる白く乾いた顔。恐ろしく、愛しい顔。
「トモ・・・。」彼女はグルリと反転した目玉で私を見つけ、すぅっと私に
近づき、紫色の長い舌を私の口に押し込んだ。立ったまま、石の様に固まった
私は、喉を通る長い舌の感触に身悶えした。私の体内で、その舌がポンプの
ように何かを吸い上げている。あっという間に力が抜けて、意識が薄らいだ。
絶望が、私を包んだ。お終いだ。これで呪いは拡散する。私の瞳に、最後に
映ったのは、トモだった。私の水分を吸い取ったのだろう、彼女の顔は、
元の張りのある艶を取り戻していた・・・。何も見えなくなった・・・。
トモの言葉が聞こえた。「サト。サトは正しい選択をしたよ。ありがとう。
呪にはもう、拡散する力はないよ。飲み込んだ人から人へと、ただ、
受継がれるだけ。」私は安心し、深い眠りに沈んでいった。

 私は、闇の中で眠りについていた。不意に、強烈な渇きを覚えた。急に、
暗闇から引きずり出される。私の喉は張り付いて、一滴のつばも出ない。
私は、舌をたらし、喉を掻き毟って水を求めた。ふと、遠くに人間が見えた。
私は近くの木に噛み付いた。水分は吸えなかった。遠くに見える女。あそこへ
行けば、水がもらえる・・・。数日後、私は女の家の入り口に立っていた。
女の姿が少し大きく見えた。また数日後、私は再び暗闇から引きずり出された。
やけ付いた喉が潰れそうだった。今日は、ついに、女の姿が大きく見える所
まで近づいた。手を伸ばせば届きそうだ。だが、私の手は動かない・・。
「水をください」その一言を伝えたくて、私は、動く部分をとにかく彼女に
近づけた。舌だけが動く。舌を長く伸ばし、必死に女に訴えた。だが、女は
私を救おうとせず、悲鳴を上げて逃げ去った。私は再び闇に引き戻された。
「ドウシテ キヅイテクレナイノ コノカワキヲ イヤシタイ ダケナノニ」
私は、唯一動く舌で暗闇の中で必死に水を求めた。だが、希望は見えている。
「モウスグダ モウスグ ミズヲ モラウコトガ デキル」私は確信した。
苦しみの中に喜びの笑みを浮かべた。

 ついにその日が来た。私は女のすぐ近くにいる。渇きを潤すことができる
喜びが、私を支配した。怯えた女が、何か言っている。大粒の涙を流して。
「私、死体を見たときに気づいたの。」水分がもったいない。水を無駄にする
この女が私は許せない。「お父さんが、親戚を説得してくれたから。」私は、
水をもらう事を諦めた。水の大切さの分からぬこんな女に頼んでも仕方ない。
そうさ。奪い取ればいい・・・・・。  

薄暗い部屋。ざわつく風の音。怯える女。私は紫色の長い舌をのばし、女の
口から体内に突っ込んだ。水分が、舌を伝って喉を潤す。永遠の渇きから解放
される快感が、私の脳を支配した。存分に渇きを潤した。女が、床に崩れた。
 突然、周囲がはっきりと見えた。見慣れた場所。実家。妹のネネの部屋。
見下ろすと、女が干からびて倒れている。女は、今正に枯れようとする喉で
かすれた声を出した。「だい・じょぶ・。ナナも・おと・さんも・・のんだ
・・から。呪は、私・たちで・・引き継ぐ・から・・の・ろいは・・拡散・
させ・・ない・。町・・に・・うまれ・た・・ものの・・宿・・命。」

渇きから解放された私の目に、涙が一気に溢れた。「どうしてなの!!!」
私は、絶望に泣き叫んだ。そのとき、ナナと父が部屋に入ってきた。
ナナが干からびたネネの肢体にすがりつき、泣いた。「ネネ。ゴメンね。私も
すぐに行くからね。寂しくさせないからね。」ナナは、ネネの干からびた口に
何度も水を含ませながら、優しく語りかけた。父も涙を堪え、拳を握った。
「次はオレが行くからな。サト、ネネ。親戚も説得したぞ。それに・・・。」
父の手には、あの巾着袋が握られていた・・・。

私は、理解した。家族が私の遺品を整理した時、袋を見つけ出したことを。
家族が、私同様、集落の呪いを知っていたことを。私の大切な家族は、トモの
語った真実を知らない。正義感から、自ら進んで呪いの罠に捕らわれたのだ。
私は叫んだ。「呪は拡散しない!すぐに袋を捨てて!」しかし声は届かない。
私は巾着袋を取り上げようと、手を伸ばした。しかし、手も届かなかった。
絶望の中で、闇が私に手を伸ばしてきた。家族の姿が遠のく。泣き叫ぶ私を、
暗闇が、再び引きずり戻していった・・・・・。    
 私は、目を覚ました。眩しい光が、私を包んでいた。ふと、暖かい手が、
私の手を握った。視線を上げると、その先には、トモが微笑んでいた。
「おかえり。また会えたね。サト。」トモは、両腕で私を抱きしめてくれた。
私は、涙が止まらなかった。100年の孤独から解放された気持ちだった。
「ゴメンね。そしてありがとう。」トモが言った。周囲に、お婆さんがいた。
ベッコウの髪留めが、老婆の頭を美しく飾っていた。老婆は、トモの部屋で
落としたベッコウの髪留めを大切そうに手でなでて、微笑んだ。よく見ると、
クラタも。その姉も、親も、皆いる。私は、トモを抱き返し、囁いた。
「大丈夫。全部分かったよ・・・。トモ。」私は理解した。もうすぐ、皆、
ここへ来る。ネネもナナも、お父さんも。別れは一寸の間だけ。苦しみと
恐怖を経て、最後にはここにたどり着く。自らを犠牲にし、呪いに対抗した
者は、必ずここにたどり着く。

 ふと、父の言葉を思い出した。「親戚も説得したぞ。それに・・・。」そう、
父は言った。「それに、もう生贄選びに苦しむことはないぞ。歯も舌も、粉に
する。町の食堂で、塩や胡椒に混ぜて誰かに食べてもらうから。10年もすれば
全て終わるさ・・・。」私は少し不思議な胸騒ぎを覚えたが、考えがまとまら
なかった。すぐに、そんなことは忘れてしまった。
自らの意思で犠牲にならなかったものは、永遠に渇きの中をさ迷い、新たな
呪いを引き起こしていく・・・。だから、呪はこれからも続くだろう。しかし、
今の私にとっては、あちらの世界の呪いなんて、ちっぽけなことだった。
この場所で、私はみんなと過ごすことができるのだから。




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俺の家には嫌な絵がある。
いわゆる掛け軸で、作者不明で描かれているのはショウキだった。
(※鍾馗(しょうき)様は、主に中国の民間伝承に伝わる道教系の神。玄宗皇帝の世、皇帝の枕元に現れた疫鬼を撃退した事から、病魔や悪鬼を祓う神とされている。

引用元:Weblio辞書辞典)

俺の家にあるというのはちょっと大げさで
今は地元の神社にある。

この絵は俺の親父が子供の頃に俺の祖父が知り合いからもらってきたものである。
もらったいきさつは祖父の知り合いが亡くなって、その奥さんからぜひもらってほしい
と言われたといったものだ。
しかし、生前故人とさして親交が深かった訳ではない祖父が貰い手になったのは
実は厄介払いの為だった。

というのもその絵の持ち主は
必ずごく自然な形で死ぬ(心臓発作とか)からだ。

ちなみに故人もどこからか譲り受けたのだが
その前の持ち主もやはり若くして亡くなっている。
その前も多分そうなのだろう。
曰く付きの絵、ということだが
祖父は大変気に入っていたという。


手放すきっかけとなったのは、俺の親父がかわいがっていた鳩が
1羽残らず突然に死んだからだ。

さすがの祖父もこれには気味悪がったらしく地元の神社に納めたのだった。
ところで、その神社は地元では有名でだいぶ前に二回ほどテレビの取材がきたことがある。

そこの神主さんは俺の七五三のときにはだいぶ年を取っていて
読み上げる祝詞なんかはカセットテープみたいだった。

町の歴史に強く、相談事には親身にのる神主さんだったが
祖父のこの絵の件に関しては固く拒んだらしい。
祖父は祖父でこんな絵を持っているのは嫌だったので
本気で土下座してようやく預かってもらえることになったそうだ。

ここで、その絵と俺の家との関わりはいったん途切れる。
関わりが復活したのは俺が小学校5年の頃だ。

当時の俺は始終狐に憑かれたような悪ガキだった。
神社でよく仲間と木登りをしていたのだがある日、
神主さんにトッ捕まって社務所の奥の座敷に連れて行かれた。
聞かされるのは優等生だった俺の親父の話で
いかに俺がバカかを諭す内容だったのだが
思い出したように神主さんは例の絵の話を始めた。

俺は聞かされたこともない話に夢中でその絵を見せてくれと頼み込んだ。
神主さんは渋々見せてくれたがその絵のすばらしさは
本当に国宝級だと子供心に思った。
そして、神主さんが話した話は
何となく言いにくくて親類の誰にも話せなかった。
以下神主さんの言っていた内容を書いてみたい。

「異常に無駄な空白部分に薄く雲の絵が書いてあるのが見えるだろうが
一見するとただのシミだ。昔はたいそうな絵であったに違いがない。
ただ絵の具の代わりに使ったものが問題だ。多分何かの血だろう。
絵の具の部分だけうまく残ってショウキの絵にはなっているが本当は多分違う。
凝縮された地獄だ。この世の果てだ。この絵そのものが呪詛だ。
この絵には対になる絵があと六枚はあるはずだが
残りの絵も同じだ。私は見たことはない。
死んだ祖父が子供の頃語ってくれたものとよく似てるんだ。
引き受けたくなかったんだよ。
清めた縄が半年もしないうちに腐って土になるような絵なんか。
描いた人の落款がないのも当たり前だ。
呪う奴がわざわざ自分の名前を残すなんて聞いたこともない。
箱だけが新しいが元の箱は必ず何か言葉が描いてあったはずだ。
古い忌まわしい言葉が。その箱さえあれば絵の真相を知ることができたろうに。」

最後に二つ
シメとして書きたいエピソードがある。祖父が死ぬまえ、
病床で俺は祖父と二人きりになったことがある。
祖父は痛み止めの注射でうわごとしか言わなかったが
少しだけ目が覚めて、大学生だった俺に言った言葉がある。

「言葉は人間が作り出した一番古い意思の伝達の方法だ。
人を怒らせるのも悲しませるのも笑わせるのも喜ばせるのも言葉があるからできる。
言葉は人の気持ちを動かせることができるんだ。だからお前は人の気持ちを考えて、
よくよく考えてから物事を言いなさい。
いいか、言葉は人に聞かせるものだとは限らない。神様にも通じるんだ。
祝詞はそうだろう?古い言葉で意味はわからないだろうが
あれは神様とお話しする為の言葉だ。
同じように呪いの言葉だってある。秘密にしすぎて忘れただけなんだな。
あと言葉には力があるが、
念を込めて人が作ったものほど怖いものはないんだ。
何かの目的の為に人が一心不乱に作り上げた何かが場合によっては一番怖いんだ。」

それを俺に語った祖父は話し疲れて寝てしまった。

もう一つ、あの絵のことだが、雲に見えていたのは
雲ではないとあるとき気がついた。雲のように見せて描いた地獄絵だと。
完璧な状態のその絵は人の心をつかんだのだろう。
よく見ればそれは地獄絵なのに。
確証はないが多分そうだと思う。祖父も死に際の意識が混濁しているときに
あの絵の世界を見ているような節があったからだ。

「骨が丸い。」そんな言葉をつぶやいていた祖父が少し怖かった。




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757 :本当にあった怖い名無し:2009/09/11(金) 01:10:00 ID:GzzUdT+a0
古くからの風習とか呪いとか、そういう類の話なので、現実的な恐怖ではないかもしれないけど。
この板にいる人らは興味が湧くんじゃないかと思って書いてみる。俺の実家近辺の話。

俺の実家周辺はかなり山深くて、未だにケータイの電波も届かない。しかも全キャリアだ。
子供の頃はTVゲームもやらず、(うちの親はそういうものの存在すら知らなかった)
山で遊ぶしかない暮らしだった。
日が暮れるまで山で虫を捕まえたり、基地作ったり。

当然、山なんで色んな動物も出た。蛇、狸、それから猿。
特に猿は、保護されるようになってからどんどん数が増えて、
俺らが遊んでいても、すぐ近くで猿の姿を見たり、鳴き声を聞いたりしたもんだった。
猿はうちの集落にとっては厄介者で、
畑を荒らす、家に入ろうとする、子供に危害を与えるかもしれない等等の理由から、
大人たちは(保護されてる事は知りつつも)止む無く自主的に、猿の駆除をしていた。
駆除された猿は、全て村の長老的ポジションのじい様の家に運ばれた。
子供の頃は駆除の現場を見たことはなかったが、猿の死体をじい様の家に運んでいく大人の姿はたまに見かけた。

俺が高校3年のあるとき、じい様の家から俺にお呼びがかかった。
当時はもう自分の環境がいかに恵まれていないか十分に認識していた頃だったんで、
いかにも田舎臭い長老みたいな存在は嫌で嫌でたまらなかったんだが、
俺の両親も必死な感じで「行ってこい」と促すので、しょうがなく行った。


759 :757:2009/09/11(金) 01:11:00 ID:GzzUdT+a0
じい様の家に行くと、白装束を着たじい様が正座をしていた。
「何歳になった」「勉強は頑張っているか」みたいな話をされたと思う。

そんなやりとりの後、じい様が奥の20畳ほどもある広間に俺を連れて行った。
広間の中央には、気味の悪い死体が転がっていた。
顔と大きさで、何とか駆除された猿だって事はわかったが、
猿は全身の皮を剥がされ、ミニサイズの着物を着せられていた。
一見すると、『牙の生えた、皮を剥がされた人間の子供』だ。
死体の周りには、じい様の取り巻き(じい様よりランクが低い年寄り連中)が集まって、
なにやらヒソヒソと話している。

じい様は俺に、「まだ17歳だな」と何度も念を押した。
突然の展開にびびっている俺に、じい様の取り巻き達は白装束を手渡し、着替えろと言う。
取り巻き達の座った目線が異常に思えて、俺は素直に従った。
着替え終わると、取り巻き達は死体を広間から庭へ運び、庭に設置された小さなやぐらに載せた。
「オンマシラの儀、○○が長男、△△」(俺の苗字と名前)
じい様が仰々しく言うと、取り巻き達が延々と名前を読み上げ始めた。
最初は何のことかわからなかったが、しばらく名前を聞いているうち、俺の先祖の名前を言っているのだとわかった。
最後に俺の名前まで言い終わると、じい様は手に松明を持ち、やぐらに火をつけた。
やぐらは燃えやすいよう、藁や古新聞が敷き詰められているようだった。


761 :757:2009/09/11(金) 01:12:27 ID:GzzUdT+a0
猿の死体が着物もろとも燃えていく。あたりに焦げ臭い匂いがたちこめ、
その間中、じい様と取り巻き達はお経のようなものを唱えていた。
しばらく経って、猿が十分に焼けたと判断したのか、取り巻き達は猿を火の中から引っ張り出した。

その後、焼けた猿と俺は広間に戻された。広間ではいつの間にか宴席が準備されている。
宴席の中央に、お供え物をする台のようなものがあり、焼け上がった猿はそこに置かれた。
じい様がまず台のまわりを一周すると、取り巻きの一人が猿を切り分け始めた。
じい様は俺に同じように一周するように促すと、切り分けられた猿の肉を食い始めた。
俺が恐る恐る一周すると、じい様は俺にも猿を食えと言う。
俺はもう限界で、ほんの少しだけかじった。
焦げた部分だけが口に入って、苦かったことしか覚えていない。
じい様は俺の食った量が不満だったようで、もっと食え、と迫ってきたが、
田舎じみた風習に付き合わされるのはもう嫌だ、と俺の中で怒りが爆発し、
じい様の家を飛び出した。

その後、じい様が追ってくるようなことはなかったが、なんとなく近所からはいい目で見られなかったように思う。
俺は高校を卒業して、他県の大学に進学した。
親は下宿に何度も足を運んでくれたが、俺が実家に行くことはなかった。
親もそれとなく『来るな』というオーラを出していた。


762 :757:2009/09/11(金) 01:15:53 ID:GzzUdT+a0
そんな親から「帰って来い」と連絡が来たのは、俺が他県に就職してから数年が経ってからだった。
盆休みを利用して実家に帰ると、何も変わらない当時のままの風景があった。
「じい様が死んだ」という話は、帰省初日の夜に親から聞いた。
病死だったそうだが、死ぬ直前にふと俺の名を呼び、無事で生きているかを心配していたという。

当時は親にも聞けなかったが、思い切って『オンマシラの儀』について聞いてみた。
親曰く、大昔にこの集落の人間が、山の神の使いである猿を殺してしまい、
以来、集落全体に猿の呪いがかけられてしまったと。
特に長老であったじい様の家系は、今で言う奇形の子供が生まれるようになってしまい、
呪いを解くためにあのような儀式をしていたと。
集落で生まれた子供が17歳の時に、猿の呪いに打ち勝つように猿の肉を食わせる、という儀式で、
親達も17歳の時に猿を食わされたと。
ただし、じい様の家系は一番強く呪いがかかっていたので、年齢を問わず、事あるごとに猿を食っていたと。

そこまで聞いた俺は、儀式当時のじい様を思い出していたが、
じい様の顔は毛深く、赤みがかって、しわくちゃで、とても猿に似ていた。
猿を食うことが呪いを解くことと信じていたようだが、食うことで呪いを強めていたんじゃないか。
俺がそういうと、親も頷き、ため息をつきながら言った。
「皆そうだろうとは思っていたが、じい様には言えなかった。
 何代も前のご先祖様から、ずっとそのやり方を信じていたし」
また、続けてこうも言った。
「じい様は、猿の肉が好きだったみたいだしね」

俺はそれを聞いて、田舎ならではの保守的な考え方はうんざりするな、ということと、
猿の肉の味を思い出そうとして、やめた。
万が一、おいしかった記憶が思い出されたら、じい様のように猿を求め続けるようになってしまうかもしれない。
それが怖かった。



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