【閲覧注意】怪談の森【怖い話まとめ】

当サイト「怪談の森」は古今東西の怖い話~ほっこりする神様系の話まで集めています。 随時更新中!!

カテゴリ: 住職系




2009/06/06(土) 22:03:16 ID:HZZJCGmj0

ブームという言葉に乗せられて、とある国へ旅行へ行ったことがある。

旅行は大して面白くもなく、免税店くらいしか行くような場所もなかったのだが、その晩に恐ろしい体験をした。

夜の十時頃だったと思う。夜中の外出は治安の関係でしないほうが良いと言われていたのだが、なんとなく寝付けず少し夜風に当ろうと外出する事にした。

出国の再に注意などされていたので、ホテルの従業員に外出をとがめられるかと思ったが、そんな事はなくあっさり出られたので、私は地図を見て近場にある山の中の公園まで散歩した。

公園の入り口に差し掛かった頃だろうか、林の中に白っぽい服を来た人がたたずんでいるのが見えたのだが、私は「こんな時間に?」と少し不思議に思った。

あまりその事は気にせず、しばらく公園を歩いていると、ある異変に気が付いた。

白っぽい服を着た人は一人ではなく、気が付くと公園の林の中に無数にいる。

その人々は何をするわけでもなく、たたずんでいたのだが、しばらくするといっせいに林を出て公園の中心部辺りに集まり始めた。

私は「ちょっとこれはまずいかな……」と思い、その集団を迂回するように早足に帰ることにしたのだが、そこで二つ目の異変が起きた。

白っぽい服を着た集団が、突然奇声を上げたかとおもうと、集団の中の一人の男が隣の老人に噛み付いた。

そしてあろうことか噛み付いたまま肉を引きちぎり、むさぼり食い始めた。

さらに男と言わず女と言わず、その男の奇行がまるで開始の合図だったかのように、お互いがお互いを殴り飛ばし、蹴り、噛み付き、むさぼり食い、犯し、凄まじい阿鼻叫喚の地獄絵図が繰り返された。

私はあまりの出来事に、なかばぼうぜんとしていたが、これはまずいと走って逃げ出し、ひとまず警察を呼ばなければとホテルへと急いだ。

後ろからはまだ悲鳴とも絶叫とも言えない恐ろしい声が響いてくる。

公園の出口に差し掛かった辺りだろうか、ふとその奇声が聞こえなくなった。

私は反射的に振り向いた。すると先ほどまでの地獄絵図が嘘であったかのように、あの光景が一瞬のうちに消えていた。

私は何が起きたのかさっぱりわからず、「あれは幻覚か夢だったのだ」と自分に言い聞かせ、翌日その国を後にした。

旅行から帰ってから数日後、私に異変が起き始めた。

ちょっとした事で他人の言動がしゃくに障るようになり、周囲に人々に当り散らすようになり、さらに昼夜を問わず異常な空腹感にさいなまれるようになった。

しかも食べても食べても満腹になれず、それどころか私の体はみるみる痩せ細り顔色も悪くなっていった。

自分でもこの異常な状態に気付いていたため、何件か病院へも行ってみたのだが、医者はストレスだろうと言うばかりで、状況が一向に改善しない。

そんな日々が数週間続いた頃だったと思う。私は仕事が遅くなり、終電を逃してしまったためタクシーで自宅に帰る事にした。

タクシーを呼び止め車内に乗り込むと、どうもタクシー運転手の様子がおかしい。

会話もなく、ちらちらとこちらをうかがっており、非常に挙動不審で、私はイライラして不機嫌そうに「なんだ?」と文句を言った。

するとそのタクシー運転手はぽつりぽつりとこんな事を言い始めた。

「こんな事は言いたくないのですが……あなたには何か非常に恐ろしいものが取り憑いています。最近身のまわりでおかしな事はなかったですか?早急にお祓いをした方がいいと思うのですが……」と。

私は心当たりが十分にあったが、急に恐ろしくなり「もうここでいい!」と運転手に言うと、料金を払いそのまま後は徒歩で家路についた。


翌朝

私は昨晩のタクシー運転手の言葉が気になり、最近の出来事が不安でもあったため、「体調が悪いから」と会社を休むと、実家のほうにある本家が檀家をしているお寺へと相談におもむいた。

お寺に到着すると、住職は私の姿を見るなり何も言わずに「とにかくこちらへ」と本堂へ誘導し、そのまま何の説明もないうちにお祓いが始まった。

お祓いが終ると、住職は私にこんな事を言い始めた。

「あなたは最近某国へ行きましたね?最近あの国からよからぬものを持ち帰ってしまう人が増えている。あなたもそういうよからぬものに憑かれていた」と。

そしてさらに住職はこう続けた。

「あの国は数百年、もしかしたら千年以上も餓鬼道に堕ちた状態が続いている。

その状態のまま人が死ぬとそこにとらわれ、逃れる事もできずに怨念の吹き溜まりの渦ようなものができている。

もしここにこなければ、あなたもいずれその吹き溜まりに取り込まれていただろう」と。
そして住職は、私はあなたに憑いていたものを成仏させたわけではない、「元の場所に送り返しただけ」なのだという。

さらに住職はこう続けた。

「我々外国人は、あの国の中ではまるで闇世の中の光のようなものなのらしい。

怨念の渦の中から逃れたい人々は、外国の人を見かけると、渦から逃れたいがためにその人に取り憑くのだ。

あの地域そのものは、もはやどうにもならない。だから私達に出来る唯一の自衛手段は「係わり合いにならない事なのだ」」とも言っていた。

これ以降私の体調は元に戻り、精神的にも以前のように落ち着くことができた。

そして、私は二度とあの国へは行くまいと心に誓った。






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昨日、あるお寺で、怪談好きの友人や同僚とお坊さんを囲んで百物語をやってきました。
百物語というと、蝋燭というのが思いつきますが、ちょっと変わった手法のものもあるようで、その日行ったのは肝試しの意味合いがとても強いタイプのものでした。

まず、大きく太い蝋燭を参加者の中心に置き、その火だけで座敷を照らし、怖い話を語ります。
語り終わった人は、その座敷を出て隣の座敷へ行き、その中央に置かれた文机に向かいます。

その上の鏡で自分の顔を覗きながら、筆で『◯◯◯◯』と自分の名前を書いて、皆の待つ座敷に戻る。
その一連の行動を、一人が十回程度繰り返すわけです。

最初、座談会ということで和やかだった雰囲気も、百物語となると張りつめた物になって、やはり怖かったです。
なんといっても、山寺の暗い廊下を歩いて、ほの暗い部屋の中に入り、鏡で自分の顔を見るわけです。
普段なら何のことはない行為ですが、あんなに鏡が怖いというのも、なかなか面白い体験なのかもしれません。

たしか、午前二時を周った頃でしょうか。
私の友人が語った『ノックの話』。
それは、こんな語りだしで始まりました。

ノック、というやつがあるだろう。
そうそう、トイレやら玄関やらでコンコンってやる、あのノックだ。
俺はあんまり幽霊なんてものは信じないたちでね。
なんといっても、姿かたちが見えない、というのは信じならんねぇ。
ただな、この話を思い出すたび、霊的な存在ってのはあるかもしれないって思うのよ。

幽霊やオバケってのは、あぁ、これは違うんだっけか?
ま、とりあえずそういうものは人との繋がりを探してるんだとよ。
ほら、仏壇でチーンってやるやつも、一種の呼びかけ、ってやつでさ」

ここまで語ると、彼はお坊さんを見ました。
山寺の住職だそうですが、非常に徳の高い方らしく度々、悪霊払いなどで同じお坊さんも相談に来るほど、とのこと。
語りだすと、それを続けても良いか、お坊さんに確認をとるのがこの百物語の暗黙の了解でした。

何を臆病な、と思うかもしれませんがこういった状況で話す怖い話というのは、霊障だ、祟りだ、というよりも、信じ込みやすい人には危険な話というのがあるらしく、それを確認をとって進んでいかないと、悪影響のでることも多いそうです。
百物語の怪異というのは、そういう自己暗示の負の部分というのが大きい、と事前に説明がありました。

お坊さんが頷いたので、彼は勢いこんで話を続けます。

それでな、人との繋がりっていうのはさ、現世とあの世を繋げるほんのちょっとした行為なんだよ。
襖を開けっ放しにすると幽霊が覗くっていうのも、そういうスキマが向こうの世界とのスキマをつくっちまうとかな。
それでな、俺がある人に言われたのは、『人がいないとわかっているところで、絶対にノックをしてはいけない』っていうことなんだ。

ノックってさ、中に人がいるかいないかっていうのを確認するだろ。
つまり、返事が返ってくることを待つっていう行為なんだと。
ドアを隔てて、向こうとこっちで繋がりを求めてるだろ。
これが、誰かいるかもしれないっていうさ、そういう確認ならいいんだけど、自分以外家にいないってわかってたり、閉店後のデパートとかいないってわかってるのに、ノックをするっていうのは絶対にやっちゃいけないって言うんだよ。

例えばな。
自分しかいない家で、トイレのドアをノックする。
こういうのは、『中に誰かがいる』というのを暗に願ってる状態なんだ。
だから、もし誰もいないってわかってるのにノックしてしまうってのはさ、霊とかあの世のものを呼び出す行為っていって、忌むべきものなんだって。

ただ、それを言われてね、なんだと、と思ったんだよ俺は。
ノックぐらいで何をビクビク、なんて思ってね。
あるとき、俺しかいない家で、片っ端からドアをノックしたんだよ。
キッチンだ、寝室だ、子供部屋だって全部回るんだけど、結局何もなくてね。
まぁ、よくある迷信だったんだ、と思ったんだよ。
それで、少し思うところがあって、外に出たんだ。

ふざけ半分で玄関をノックしたんだ。
中には絶対誰もいないし、出れるなら誰か出てみろって思ってさ。
コンコンってな。
結構強めに。
そしたら、遠くから「コン・・・コン・・・」って聞こえるんだよ。

ホントに、背筋がぞっとしたよ。
無人の我が家からノックの返事が返ってきてるんだ。
ドア開けるのが怖かったね。
俺は何かを呼び出しちまったんじゃないかって。
ノックに返事をするために、あの世から何か呼んではいけないものを呼び出しちまったんじゃないか、って思ったよ。

また、恐る恐る家の中を回ったけど、幸い何もなくてね。
今でこそ、あの返事は空耳だとか、木のきしみだって言えるけど、あの時は、ノックの返事だってたしかに思ってたよ。

だから、ノックっていうのはそうそう安易にしていいもんじゃない。
もちろん、純粋に人の有無を問うならいい。
ただ、何かを呼び出す行為だっていうことを心に留めて置けよ。
それはつまり、居ない所に誰かを呼び出す行為になるんだからな。

それじゃ、終わりだ。
思えば、学校の頃はやったな、トイレの花子さんだっけ?
ノックを何回かして呼び出すっていうのは、暗にそういうことを示してたんだろうか、なんて勘ぐっちまうよ。
ま、蛇足だな。
そう言って友人は、座敷を出ていきました。

午前四時頃、夏ということもあり空が白み始め、九十九話目も無事に語り終わったとき、お坊さんが「最後の一話」と言ってしてくださったお話を、ここに併記しましょう。

「ある民家には、度々ある異形が現われる。
その異形が、家人が誰何を問うたびにこう言う。
『アギョウサンサギョウゴ如何に?』」

皆さんはわかりましたか?
これで百物語は終わり、無事に帰宅できました。

うそ、ですね。
昔からとはいえ、五十音のある頃からでしょうが、とんち話というやつでしょうか。

「百話目はいつもこれで済ます」とは、そのお坊さんのお話でした。




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149 :本当にあった怖い名無し:2010/08/23(月) 10:24:16 ID:+vI84sFK0
この間じいさんの一周忌で寺に法要に行ったんだけど、
まだ住職が読経してないのに、何故か寺の奥から頭に響くように御経を読む声が聞こえてきたんだ・・・
もちろんお寺の境内には自分達家族と御坊様二人以外誰もいないし、大きな仏壇の奥に隠し部屋があるわけでもない。

実はその日、翌日急な葬式の予約が入ったとかで、
自分達の隣に棺桶に入った死体が置いてあったんだよね・・・(住職の勧めでついでにお焼香してきた)
そして思い出したんだ。
じいさんが死んだ時も、どこからか御経が聞こえてきたことを。
気のせいかと思っておかん達には言わなかったけど、後でおかんも聞こえたか聞いてみようと思う。


150 :本当にあった怖い名無し:2010/08/23(月) 13:28:05 ID:765hpQFaO ?2BP(0)
>>149
浄土真宗かな?
あの世から菩薩様が迎えにいらして下さるなら聴こえても良いような気がする。


170 :本当にあった怖い名無し:2010/08/26(木) 10:02:32 ID:ngyrfHsO0
>>150
>浄土真宗
当たり。
ちなみに、じいさんの御遺体を火葬して骨を拾ってる時、
形が似ていることから「観音様」と「仏様」と呼ばれる、
そういう形に焼け残った骨が出てくるという珍しい現象が起きました。
火葬場の人曰く、ほぼ完全な形で、しかも両方出てくるのは非常に珍しいそうです。
じいさんはいい人だったから観音様が直々にお迎えに来たか、
きっと凄く良い所に成仏したのかもしれないと思いました。


502 :本当にあった怖い名無し:2010/11/08(月) 19:25:33 ID:v/BALGyoP
>>170
古くから喉仏と間違えられてる骨ですね。
第2頚椎(軸椎)の歯突起という部分です。
首をぐりぐり回せるのは、この椎骨と第1頚椎(環椎)のお陰です。




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先月その会社を辞めざるを得なくなった事件が起きた。
特定されるかもしれんが、もう辞めたし会社がどうなろうが知ったこっちゃないので話す。

先月、会社を辞めざるを得なかった時の話。結構長くなるので長文苦手な方は注意。

当方、今の会社(もう前の会社だが)に勤めて3年目の女。特定されるかもしれんが、もう辞めたし、会社がどうなろうが知ったこっちゃないので話す。

建築関係の会社に勤めていたんだが…入社当時は事務じゃなく営業として働いてた。

しかし勤め始めて半年程たった時、事務のお姉さんが産休に入るというので女が私しか居ない小さな会社。半ば強制的に私が事務を引き受けることになった。事務について社長から説明を受けたあと、社長が

「事務の子はあんまり長続きしないんだよね」

と言ってきた。その時は適当な相槌打って流してた。事務と言っても経理までやるわけじゃないし、仕事自体はすごく楽で暇だった。

「あーこんなに暇じゃ退屈でみんな辞めてくよなー」と社長の言葉にも納得していたのだ。

ここからが本題。

先月、その会社を辞めざるを得なくなった事件が起きた。

その日もいつも通り出勤してきて適当にポットのお湯沸かしたり、朝刊確認したりと、朝の雑務をこなしていた。エレベーターホールからエレベーターが上ってきた音がした。

「あーこの時間はY部長だな」とかそんなことを考えながら入り口に目をやった。案の定Y部長であった。

いつも通り挨拶しようとしたら、Y部長のちょっと後に女の人がいて、入り口のすぐ向かいにある応接室にスッと入っていったんだ。

「あれ?こんな朝早くY部長のお客様かな?」って思った。私はお茶を用意しようと思い、Y部長に

「今お客様、お見えになりましたか?お一人でよろしいですか?」

と確認したんだ。そしたらY部長は不思議そうな顔をして、

「いや…誰も来てないと思いますが…」

って言うんだよ。私はおかしいなと思って応接室に行ってみた。…確かに誰もいない。それに、なんか畳のような焦げ臭いような変な匂いがしたのを覚えてる。

なんか気味が悪くなって、すぐに自分のデスクに戻ったんだ。まぁその日は、おおごとにしたくなかったし、誰にもその話はしないで終わったんだ。

その次の日、全く同じ事が起きたんだよ。私は、

「今お客様見えましたよねぇ!?」

とY部長に確認。Y部長は

「いや、来てませんよ…?」

と。いや、絶対来てたはずだ。昨日と同じ背格好のパンツスーツの女性が見えたんだもん。

再び慌てて応接室へ。その後を追ってくるY部長。さすがに私も若干取り乱していたと思う。やっぱり誰もいない。そして昨日と同じ変な匂い。私が首をかしげてるのを見てY部長が一言…

「もしかして…Sさん(私のこと)、変な匂いしませんか?」

私は、

「あーなんかしますね。昨日もしてたんですよ。ちょっと換気しましょうか」

と気持ちを落ち着かせようとそう応えたんだ。そしたら今度はY部長が青ざめた様子でうつむいて震えてるんだよ。

「どうかされましたか?」

って、たずねようとしたらY部長がバッと顔を上げて、

「行くところがある。Sさんも来なさい…」

って言うんだよ。私はめったに外回りとか、社用の外出とかがない。だから意味が分からなかった。


え、どちらに行かれるんですか?」

って聞いたら

「とりあえず話は後です。今は黙ってついてきてください」

って言うんだ。そして社員の一人に何か話している。私は慌ててコートやバッグを持ってY部長に着いて行った。





Y部長の車に乗り込む。Y部長はどこかに電話している。

「例の女性がでた」とか「まただ」とかそんな言葉を多様してたように思う。正直、緊張と恐怖であんまり覚えてない。Y部長は最後に、

「これからすぐ向かいます」

とだけ言って電話を切った。Y部長が運転する車は高速に乗り、2時間くらい走ったところで高速を降りた。

高速降りてちょっと走ったら、部長は車を路肩に止めた。そしてトランクを漁り出し一枚の細長いタオルを取り出し、

「申し訳ないがこれで目隠しをしてくれないか?」

と私に渡してきた。私は怖かったので思わず

「嫌です。一体なんなんですか?どこに行くんですか?」

と問い詰めた。部長は

「私を信じてください。大丈夫です。だからお願いします」

としか言わない。仕方ないから目隠しをした。部長はすぐに運転を再開したようだった。

怖い。もうそれしか考えられなかった。手汗もすごかった。一体どれほど走っただろうか。
部長が車を止めたようだ。

「Sさん、タオルを外してください」

私がタオルを外すと、車の目の前には大きいスギノキ。その横に和服を着た女性が。どうやらここは森の中のようだ。

私はいきなり視界が自由になったのと緊張でふらふらしてなかなか車から降りられなかった。部長がドアを開けてくれて肩を貸してくれた。

そのまま和服の女性に近づく。女性はY部長とアイコンタクトらしきものを取っていた。どうやら初対面じゃないらしい。

「この子が例の…」

とY部長が話しかけたら女性は話をさえぎり、

「話は後で。大体把握出来ていますから。それより急ぎましょう」

と森の奥へ奥へとどんどん歩いて行く。私と部長はその後を着いて行った。すると、お寺みたいな建物が見えてきた。

その建物を見たとき、今更になって「あーきっと会社で見た女性は、霊的なものだったんだろうなー」って思った。

私たちはその建物のの横にある、小さな古屋みたいなところに通された。しばらくして、ご住職みたいな人が現れた。

「こんにちは。Yさん、お久しぶりですね。そちらのお嬢さんがSさんか。初めまして。私はここの住職でございます。」

みたいな挨拶をしてたと思う。そして、住職はY部長に

「Sさんにはあの事は話していたのですか?」

と質問していた。Y部長は

「いえ…それが…」

とうつむいている。住職は一瞬怖い顔をしたが、すぐに優しい顔になり

「まぁ話は後です。準備は出来ています。どうぞこちらへ。」

と6畳ほどの暗い和室に私のみが通された。そこには経文(きょうもん)やらじゅずやら太鼓やらロウソクやら、いかにもこれから除霊しますよというようなものが置いてあった。

その中でも一番気になったのが小さなビンだ。暗くて何が入ってるかはわからないが、なにかが詰めてあった。

「さぁ、どうぞこちらへ。」

と座布団を差し出され、私はそこに正座した。

「これからなにがあっても目を開けてはいけません。」

と住職が言う。私はもう言われた通りにするしかなかった。

「では目を閉じてください」

ここからは何が起こっているか、住職が何をしていたか分からない。ただやたらと大きいお経とまたそれとは別の声がしていたように思う。私の意識はそこで途絶えた。

気がつくと私は崩れるようにその場で横になっていた。

「気がつきましたか?」

どうやら住職に起こされたようだった。

「今日は疲れたでしょう。泊まって行くと良い。」

と私を抱えて立たせてくれた。聞きたい事はいっぱいあるのに上手く喋れない。声が出ない。

別室に移され、そこにはお布団が用意してあり、住職は私を横に寝かせてくれたのだ。
もう外は暗い。住職は

「もう大丈夫ですよ。ゆっくり休んでください」

とニッコリ。私は自然と涙がこぼれ、止まらなくなっていた。住職は

「一人じゃ心細いでしょう。一人、ここにいさせますので」

と外で見た和服の女性を呼んでくれた。気がついたら外が明るくなっていた。横には和服の女性が。ずっと付いていてくれたのだろうか。

「起きましたか?丸一日眠っていたんですよ。まぁ詳しく言うと丸一日半ですけど」

と笑いながら

「ではご住職を呼んできます」

と部屋を出て行った。寝すぎたせいか頭が回らない。何も考えられない。ぼーっとしてるとふすまが開いて住職が入ってきた。

「おはようございます。体調はいかがですか?食事の用意が出来ていますがどうしますか?」

と聞いてきたので私は

「食欲がありませんので…それより…」

と事情を聞こうとしたら住職に

「忘れましょう。すべて悪い夢だったのです。もう大丈夫」

と話をさえぎられてしまった。気になることはいっぱいあった。でももう何も考えたくなかった。

それに、これ以上聞いてもきっと住職は教えてくれないだろと思い、私は住職の言うことを受け入れた。

それから半日ほどそこで過ごしただろうか。和服の女性が

「お迎えが来ましたよ」

と部屋に入って来た。身支度を整え、外に出ると社長とY部長が立っていた。社長もY部長も泣いていた。

「ごめんなごめんな」

と何度も言っていた気がする。私は何も喋りたくなかった。一刻も早く家に帰りたかった。帰りの車中では、私も社長もY部長も終始無言だった。

家では、両親が私の帰りを待っていた。しかし私はすぐに部屋に篭った。リビングでは社長とY部長が何かを話しているようだった。

社長たちが帰ったあと、私はリビングに行った。両親は私の顔を見ると泣き出した。そして

「大丈夫か?もう何も心配するな。会社ももう辞めていいから」

と言ってくれた。机の上には退職金とは思えないほどの札束が置いてあった。

あれから会社には行ってないし、本当の事情も聞いていない。あれはなんだったのだろうか。会社を辞めてしまった今では何も分からない。

今は無職で家事手伝いをやっている。


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近隣の村ですが、その村には立派な空家が一つあり、改装の必要なく住めるくらい状態がよいものでした。
近頃は都会の人が田舎暮らしを希望するIターンがはやりで、その村も受け入れに力を入れてました。
当然その家も入居者が入るのですが、三ヶ月と続かず出て行きます。
理由を聞いても答える人はいません。
とうとう借り手も着かない状態になり、土建屋の寮に貸し出すことになりました。
ところが入居した土方たちが「出る」と言うのです。
それは白髪まじりの70歳くらいの老婆で、

ある人は枕もとにカマを持って立っているのを見たり、
ある人は白昼、車の荷台で正座しているのを見たり。
最初は皆自分だけだと思って言いませんでしたが、
ある晩4人で寝ていたところ、カマを持って襲い掛かってきた、と言うのです。
全員が「見た」ということで慌てて寮を飛び出したとか。

土建屋の社長・村の担当者は地元の寺の住職に相談しました。
住職は記録を調べ、その家の最後の住人をつきとめました。
享年73歳のお婆さんです。昭和初期に亡くなっているので知る人はいません。
ただ、亡くなった時に遠縁の人が位牌を持ち去ったということは分かりました。
役場で調べましたが、その遠縁の人がどこにいるかは分かりません。
「土葬だから遺骨は無理だが、位牌が他所に行ったのに残ってるのは、何か未練があるのだろう」
住職は社長・担当者と共にその家へ向かいました。

家を一部屋づつ調べ、最後に一番奥まった部屋の押入れに、仏壇が納まっているのを見つけました。
ギシィ・・・
その時、誰かが玄関に上がってきたような音がしたのです。
「振り向くな」
住職は言いながら、仏壇を調べはじめます。
ギュゥゥシィ・・・ギュゥゥシィ・・・
やがて足音は板の間を通り、部屋に近づいてきます。
そして、背後の襖が閉まっていく音が聞こえました。
スー・・・
「振り向くな、振り向くな」
住職はそう言って仏壇を調べます。
他の二人は目を閉じました。
畳を踏み、足音が近づいてきます。
ミシ・・・ィミシ・・・ィ
すぐ後ろまで足音が近づいた時、仏壇の奥に何かが落ち込んでいるのを見つけました。
住職が何とかそれを引っ張り出すと、それは位牌でした。
フゥフゥフゥフゥ・・・フゥフッゥフゥ・・・
足音が止み、背後から声を押し殺すような息遣いが漏れてきます。
位牌には、男性の名前と、享年、生没年が刻まれていました。
「若いのに、日露戦争で死んだようだな。位牌は寺で預かろう」
そう住職が言うと、足音はゆっくりと部屋を出て行きました。

住職は推測しました。
どうやら位牌はお婆さんの息子のものだったようです。
お婆さんが亡くなった時、自分の位牌は親戚が持っていってくれたのに、
息子の位牌が何かの理由(落ちて分からなかったのでしょう)で持っていかれなかった。
そのことを不憫に思った婆さんが、死後も息子の位牌を守っていたのだろう。
住職は、親戚が見つかるまで寺で位牌を預かって供養することにしたそうです。
村でも、位牌の引き取り手が見つかるまで、家は誰にも貸さないことにしたそうです。



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