【閲覧注意】怪談の森【怖い話まとめ】

当サイト「怪談の森」は古今東西の怖い話~ほっこりする神様系の話まで集めています。 随時更新中!!

カテゴリ: 住職系



241: 上司の昔話(1/5) 2011/07/20(水) 22:12:44.62 ID:KT3ktib/0

会社の上司の昔話で、十五年くらい前のことだという。
当時まだ駆け出しだった上司が、某県某町に新設の事務所に配属された。
工場併設のその事務所は市街地を遠く離れた山の中にぽつんとあって、夜には車通りも無い淋しい場所だった。
事務所の前から県道を右にしばらく行くと某町のジャスコに行き当たる。左にしばらく行くと隣の某村に入るが、村の中心部の集落まではしばらくかかる、そんな立地だった。

その日の上司は、仕事を抱え込んで一人残業の末、疲れきって事務所を閉めた。
一人暮らしのアパートへと車を走らせていたところ、うっかり道を間違えていることに気付いた。
右に出るべきを左に出て、車はすでに某村に入ってしばらく経っているようだった。
車通りも無いので素直に切り返して戻ればよかったものを、上司は脇道に入った。
ぐるっとまわれば元の道に出られるだろうと考えたからだが、区画整理がされたわけでもない田舎道は、そうは行かないものだ。
走るだけ走ってさらに見つけた道に飛び込むことを数回繰返したが、どこをどう走ったかもすでに定かではなく、周囲は真っ暗で道はすでに細い。切り返しももう無理だった。

243: 上司の昔話(2/5) 2011/07/20(水) 22:14:20.63 ID:KT3ktib/0

しかし、アスファルトと土肌が断続的に現れる道には轍が続いており、おそらくここは地域住民の生活道、きっと先には集落があると踏んで、先に進み続けた。
読み通り、小さな集落に行き着いた。何軒か先には明かりのついた家が散見される。
方向感覚に間違いが無ければ村の中心部では無いようだったが、帰り道が聞ければそれでいい。
遅い時間で恐縮ではあったが、なりふりを構ってもいられない。

上司は明かりのついた家の前で車を停め、ライトを消した。火をつけていたタバコを吸い切ってから、意を決して車を降りるとぎょっとした。
暗がりに、おそらくは十人以上の村人が立っていたのだ。
村人は老人ばかりで、一様に睨みつける顔付きからして明らかに歓迎されていなかった。
一人が大声を出す。するとほかの村人も続けて叫び出した。
何しに来た、帰れ他所者!どろぼう!…は、やらないぞ!やらんぞ!帰れ!
聞取れない部分もあったが、土地の方言でだいたいこんなことを言っているようだった。
上司は誤解を解こうと釈明をしながらもたじろぎ、後ずさりした。
背後に気配を感じ振り向くと、そこにはさらに十人ほどの村人がいた。彼らもまた何やら叫び出したが、上司が驚いたのはそこではなかった。


244: 上司の昔話(3/5) 2011/07/20(水) 22:16:51.18 ID:KT3ktib/0

上司の顔のすぐ下で、小柄な老婆が、数珠を持って上司を見上げるように何かを唱えていたのだ。
尋常ならない空気に圧倒され、上司は車に舞い戻りアクセルを踏んだ。
村人は、上司を追い返そうとしているだけのようで、追ってくる様子はなかった。
はるか背後で、たぶん老婆のものであろう叫び声を聞いた。
後で知った事実から考えれば、唱えていた念仏の総仕上げの掛声のようなもので、それは自分に向けられたものであったのだろう。
結局、集落を抜けて無我夢中で走ったところ、村を抜けて隣県に行着いた。国道を大きくまわって自宅に帰れたのは朝方であった。

翌日から、上司は目に見えて体調を崩した。
仕事が出来ないほどではなかったが、体が重く食欲が失せ、無理に食べても三日で体重が5キロ落ちたという。
一週間も経つ頃には形相も変わり同僚にも本気で心配され始め、町立の総合病院に行ったが、どこにも異常はなかった。
村での体験にショックを受けただけと思い、意気地の無い自分を奮い立たせたが、回復しなかった。


245: 上司の昔話(4/5) 2011/07/20(水) 22:20:54.02 ID:KT3ktib/0

ある日、町役場の企業立地担当を訪問する用事があった。
役場の担当者は若く歳も近かったので仲が良かった。飲んだ際に霊感があるという話を聞いたことがあったが、その手の話を信じない上司は、からかった受応えをしたものだった。
用件もそこそこに、その彼が切り出した。
どうせまた茶化すんだろうが、体調に関わることだから真面目に聞いてほしい、と。
曰く、上司の体調は呪いによる憑き物のためであり、お祓いを受けたほうがいいので、慣れた寺を紹介をするということだった。
上司は、彼の霊感を信じたわけではなかったが、藁にもすがる思いで、彼が電話を入れてくれた寺に向かった。

寺の住職は、落ち着き払った様子で上司を迎え、極めて淡々とお祓いをしてくれた。
お祓いが済んだ後、嘘のように回復した上司は、それでもまだ呪いには半信半疑のまま、あの集落での体験を住職に話した。
住職は、あの集落が、土着のある風習を今でも頑なに守り続けていることを教えてくれた。
風習とは、その昔宿を貸した他所者に、赤ん坊をさらわれたことに端を発する集落の自己防衛策であり、村に生まれて間もない赤ん坊がいるときには、外部からの人間を迎え入れてはいけないというものだという。
風習はいつからかエスカレートし、追払った他所者が二度と村に舞い戻らないよう、祈祷師により、他所者を呪い殺すようになったのだという。
上司は、あの晩に見た老婆とその叫び声を思い出したが、それでも呪いなど信じたくなかった。


247: 上司の昔話(5/5) 2011/07/20(水) 22:22:14.06 ID:KT3ktib/0

しかし、あの村で見たのは男も女も年寄りばかりだった気がするし、若い者が出て来ないのは何故だろうか。
そもそも、いくら田舎とは言えこの現代にあって、若い世代がそんな風習に縛られて生きていることは信じがたかった。
そんなようなことを素朴な疑問として、上司は住職に尋ねた。

住職は一瞬目を丸くしたが、上司がまだすべてを理解していないと知り、微笑みながら教えてくれた。

あの集落は日本全国でもかなり早い段階で高齢化を迎え、残った老人達は頑なに周囲との交流を拒み、居もしない赤ん坊を守るという建前で、他所者を追払い続けたこと。
そしてその末に、集落が絶えてもう三十年以上経つことを。

それを聞いたときに全身を走った悪寒を、上司は今も忘れないと言った。
以来、上司は霊の存在を信じるようになったのだという。

おしまい


250: 上司の昔話(後日談) 2011/07/20(水) 22:36:53.23 ID:KT3ktib/0

後日談。
役場絡みの合同商談会みたいなイベントの後で、役場の担当者の運転で上司はあの集落に行ったらしい。
もちろんまだ日の高い時間帯。
役場の彼はすこぶる嫌がったらしいけど、上司は真剣。同乗していた取引先の人はノリノリだったとか。
あの晩に来た道とはたぶん反対方面から集落に行き着いたんだけど、崩れ落ちそうな廃墟ばかりで同じ場所とは信じられなかったそうだ。
だけど、集落の奥まで歩いて振り返って見た風景は、あの晩見た集落に間違いなく、上司は愕然とした。

正確には、その確認までして初めて、上司は霊の存在を信じるようになった。
役場の彼には、廃墟の陰からこちらを凝視する村人が数人見えていたらしく、最後まで車からは降りてこなかったんだと。

念のため、と取引先の人と三人であの寺にお祓いに行ったら、優しかったあの住職に今度はこっぴどく説教されたそうだ。






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738:名無しのオカルト 2009/03/13(金) 09:28:55 ID: ID:VhSCGeqiO

話、ぶった切ってすまんわりには、つまんない&短い内容になるので、先に謝っときます

知り合いの坊さんから聞いた話

真言系の住職なんだが、真言系の寺の跡継ぎは和歌山にある関西最大の宗教都市の大学に入って、何年か寺で跡継ぎのための修行をするらしい。


で、そんな連中のなかには霊感の資質をもったヤツがいて、修行中に目覚めるヤツがいるらしい。


目覚めてもなんともないヤツもいるが、なかには人格が狂うヤツもいるって、笑いながら話してくれたよ、坊さん


759:名無しのオカルト 2009/03/13(金) 19:34:48 ID: ID:bcOxNx1V0

>>738
謝る必要ないよ。

普通の大学でも変になってやめちゃう奴いるけど
人格が狂った坊さんはちょっと怖いなw


760:名無しのオカルト 2009/03/13(金) 20:17:42 ID: ID:4C3fEj660

過酷な修行中に幻覚を見始めると
周囲のお坊さんが「魔境に入った」と言って蹴りを入れたりするらしいね
実際は幻覚を見てるだけなんだけど、
それを神秘的な何かと勘違いして人格がおかしくなるのを防ぐらしい


767:名無しのオカルト 2009/03/13(金) 23:28:08 ID: ID:VhSCGeqiO
>>759


おれ的には笑いながら話す坊さんのが怖かったww
>>760

厳しい寺とか修験者とかならありそうな感じ
一応この修行?てのは、経文詠んだり、掃除もろもろの簡単?なことなんだわ
関西最大の宗教都市だし、世界最大の墓所があるから、いろいろあるんだと思われる




761:名無しのオカルト 2009/03/13(金) 21:51:42 ID: ID:EONatfvDO

スマン、俺リアルで坊さんなんだが
あと、こないだ従姉妹の件にレスくれた人ありがとうございます。


762:名無しのオカルト 2009/03/13(金) 21:54:07 ID: ID:lFCeqS440

>>761
山ごもりの怖い体験談なぞあったらぜひ


764:名無しのオカルト 2009/03/13(金) 22:11:43 ID: ID:EONatfvDO

>>762
修験者じゃねー!ですよ
荼毘にふす前に目を見開いていたとか、布団から腕がはみ出たとか布団が動いてたくらいですね。

765:名無しのオカルト 2009/03/13(金) 22:36:06 ID: ID:lFCeqS440

>>764
>布団が動いて
十分怖い…
もしかして総本山で修行したりするのかもと。すんません。

>>763
(略)




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415 :みそじじ:2009/08/22(土) 17:16:05 ID:85sH3Bz.0
知人に坊さん(破戒僧)がいるんだが そいつと仲間Aと三人で呑んだ時の話
居酒屋で「幽霊とか妖怪とかって本当にいるのか」を話してた
俺は「幽霊はいるか」と問われれば「いらない」派
Aは完全に信じない派で 
坊さんに絡み酒っぽく「お前は見えるのか」とか問いただす
坊さんはそんなAに
「そんなん見えん見えんw」とテキトーに応えてた

ベロンベロンのAをタクシーに乗せて見送り 俺と坊さん二人になった
「お前は見たことあるん?」と坊さん
「ちょっとだけ でも 怖いのは嫌だなあ」と俺
正直 以前見たのが 本当に幽霊だったのかも分からないし
たまに逢う金縛りも 霊体験かどうか 分からない
「怖くないやつ 見してやろか」 と坊さん
「マジで? 見して見して」 と俺
そうすると坊さんが地面を見ながら歩き始めた

一分もしないうちに何か見つけたらしく「これ これ」と指さす
街路樹の根元から黒いビニール紐のようなものが伸びていた
ただのゴミにしか見えない
「見ててみ」 と坊さんが それにペッとツバを吐きかけると
ヂュワッ みたいな音を出して それがくるくる縮まって樹の影に引っ込んだ
驚いて木陰を覗いてみると もう何も無かった

怖くはなかったが それ以来道端に落ちてるゴミが気になる




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三木大雲

miki
1972年、京都市で三木随法(教法院住職などをつとめた。)の次男として生まれる。平安高校から立正大学仏教学部に進学。大学在学中、日蓮宗の学寮(谷中、熊谷)でも学ぶ。実家は兄が継いだため、各地を流浪した。2005年、蓮久寺の第38代住職となる。

怪談をベースに法華経を絡めた説法を行っている

その三木住職が蓮久寺に家族とともに赴任してきてすぐのこと。
ある夜、住職は妙な夢を見ました。

寺に見知らぬ男がやって来た夢です。
大きな袋を背負い、手には金槌のようなものを持っています。
「なにか御用ですか」と聞くと、その男は
出て行こうとしました。その時、袋から
なにやら落ちました。「落としましたよ」と住職が言うと、
「ああ、それくらいならあんたにやるわ」と言って男は出て行ったそうです。

ふとこの夢から覚めたとき、住職はなんと布団の上に正座をしていたのだそうです。
これは何かある。と住職は思いました。

あの男性の格好というのは、どう考えても「大黒天」の風体にオーバーラップします。
しかし蓮久寺の本尊には大黒天はない。

赴任したばかりだから、寺の隅々までよく知っているわけではない。そこで、夫人や
子供たちを総動員し、「この寺のどこかに大黒天があるはず」と探し回ったところ、
奥から大黒様の像が出てきたのだそうです。

それはかなり古いもので、木製の大黒天は相当傷んでいました。これは修復しなければ
と住職は思いましたが、寺にはお金がない。そこで、これ以上痛まないように、
出入りしている仏壇屋さんに頼んで預かってもらうことにしました。
お金を蓄えたら改めて修復しようというつもりだったそうです。

ところが、その仏壇屋さんは3日目に大黒天を返してきました。
「この大黒さん、絶対おかしいわ」。聞けば、仏壇屋さんが大黒天を持ち帰った
途端、毎日飛ぶように仏壇が売れるというのです。
「仏壇なんちゅうもんは、そうそう毎日飛ぶようにぼんぼん売れていくものと違う。
これはおかしい。この大黒さん、おかしいわ」
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仏壇屋さんは気味が悪くなったのでしょう。
さあ困ったのは住職です。そこで若手の知り合いの仏師に一時的に保管してもらうことにしました。
お金ができたら彼に修復をお願いしようと思ったのです。

1週間後。

その仏師も大黒様を返してきました。
「これ、おかしいです」

「ご存知のように、まだ私は若輩なので、そんなに仕事がありません。ところがこの大黒天を持ち帰ったとたん、毎日のように仕事が舞い込み、とてもではありませんが、対応不能になってしまいました」と言います。

仏師は木箱に大黒を入れ、乾湿制御の機材などもつけて返してきたそうです。
「寺で保管したほうがよい」と。

住職は「さて、いよいよ困った。

いったいどうしたものか」と思っていたら、

ある男性がぶらりと寺にやって来ました。
その人は豚の貯金箱を抱えていました。「こちらで、大黒さんを修復する費用に困っているとうかがったもので」喜捨してくれるというのです。

住職は御礼を述べ、一体どこでそんな話を聞いたのかと尋ねると、仏壇屋さんの筋から
小耳にはさんだと答えました。

「私もお金には大変困っているので、ご住職の気持ちがよく分かります。
今わたしに残っているお金は、これだけなんですが、つかってください」
男性が豚の貯金箱を叩き割ると、10万円以上の金額が入っていました。

これを全部寺に喜捨すると言うのです。

「お金に困っているというお話を聞いた以上、こんなには頂けません。
ほんの少し頂きますからあとは全部お持ち帰りください」
住職はそう言いましたが、男性は全部寺に

喜捨すると言ってきかない。自分にはまだ

1万2000円あるからこれで充分だと言って、

帰って行きました。

その15分後です。その男性から寺に電話が入りました。京都駅まで歩いている途中に、

スクラッチを売っているのを見て、所持していた1万2000円で全部買ったのだそうです。
その場で結果がわかってそれが大当たり!
それで住職にすぐ電話したと言うのです。

「今すぐ戻って、これも喜捨します」
「いえいえ、それは大黒さんが、あなたに

御礼の意味で授けてくださったのでしょう。

ご自身でお持ちになってください」
男性は納得しがたかったようですが、

そのまま当たったお金を持ち帰りました。

この男性、それからしばらく寺に姿を見せなかったのですが、ある日ひょっこり寺を

訪れて来ました。
その後の話がまたまた仰天です。


男性はあの日、

スクラッチで当たったお金を持って、

その足で競馬場に行ったのだそうです。本人曰く、生まれてこのかた一度も競馬を
やったことがない。適当な数字を考えて、全額を一点張りで賭けた。
なんとそれが万馬券!もともと一戸建てを所有していたので、
それを壊してビル一棟を建てなおし、

今は賃貸収入で食べていると言うのです。

実はこの男性、蓮久寺に豚の貯金箱を持って訪れたとき、自殺するつもりだったのだと告白しました。
死ぬ前にひとつくらい、何か良いことをしておきたいと思い、たまたま大黒天の
ことを小耳にはさんだので、その修復費用の多少なりとも助けになれば・・・

ということであの日、貯金箱を持って寺を訪れてたのだそうです。

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367 : 参拝者 1/6:2015/05/31(日) 07:25:49.21 ID:VqNRbvTV0.net
親戚の僧侶から聞いた話

うちの親父はお坊さん 祖父もお坊さん
祖父の弟も、祖母の兄も、親父の従兄弟も、お坊さん
親父の姉が嫁いだ先もお寺で、祖父の妹が嫁いだ先もお寺
うちには親戚の僧侶が多いのだ
・・・前置きがややこしくなってしまったが、これは父方の祖母の兄と、その息子の話だ

うちの祖母は真言宗のお寺で生まれた
高い山のてっぺんにある高野山系のお寺で、昔はその山すべてがお寺の境内だった
小さい頃に歩いて登ったことがあるが、山道がそのまま参道なのだ
途中に民家もなければ、灯りもない
晴れれば急な山道をゼイゼイと息を上げて進み、曇れば薄暗い木々の間を抜けて
雨が降れば災害の危険性あり、と登頂するだけで功徳がありそうな立地
登りきれば立派な池が現れて、人心地ついたところに巨大な山門が出現する
それはまさに巨大で、2メートル以上の仁王様を両脇に従え、
その間をビクビクしながら潜った記憶がある

本堂は地面から大きく離れ、床下から向こうの景色が見える 
その隙間を涼しい風が通り抜けて「あ、着いたなぁ」と感じるのだ




368 : 参拝者 2/6:2015/05/31(日) 07:26:59.35 ID:VqNRbvTV0.net
そんな霊験あらたかな立派なお寺も、受難の時があった 
このお寺には檀家がなかった
大昔の何とかというお金持ちの領主が、加持祈祷をやらせるためのプライベートテンプルで
パトロンを失ってから明治の廃仏毀釈までは、
山から採れる材木やマツタケなんかで細々と生活をしていた

そこにお上からの無慈悲な寺院資産の没収、続いて戦後の農地解放
色んなものが重なって、このお寺に残されたのは
陸の孤島と化した山頂の境内のみという有様になった

祖母の兄は来る日も来る日も悩んだそうだ
寺に売るものはない、かといって檀家もいない、
毎朝夕のお勤めをしながら、本堂で悩み続けた

大好きなお酒も断ち、電気代を惜しんでロウソクだけでお勤めをしていると、
ふっと目に入るものがあった
ロウソクで照らされる本尊の残像だ 
瞬きをするたびにチラチラと浮かんでは消える
目を閉じては瞼の裏に大日如来 
目を開けては目の前に大日如来
やがてロウソクが埃を巻き込んだのか、ジリジリと音を立てた
「炎か、燃やす木ならいくらもあるな」
貧乏寺を飛び越えて、極貧寺の一念発起だった


369 : 参拝者 3/6:2015/05/31(日) 07:28:14.19 ID:VqNRbvTV0.net
今では駐車場になっている境内の広場に、木を組んでやぐらを立てた
周りを注連縄で囲い、一心不乱に護摩を焚いた 
野外護摩とか、シバ護摩ってやつだね

曇ったり霧がかかった薄暗い中、それを行うとどうだろう
ふもとからは山火事か、すわお寺が火事かと見まごうほど、赤々と映えるのだ
野次馬か、心配になった村人か、世が世なら消防車も出動したかもしれない
ぞろぞろと境内に人が溢れ、ちょっとしたお祭り騒ぎになったそうだ
住職による雨乞いならぬ、客乞いの護摩焚きは人づてに広まり
今ではちょっとした観光名所となっている

やがて信者の数も増え始め、境内に
「見晴らしのいい場所に自分の墓を」と墓所を探しに来る人も
「神さんの山が起こしてくれた奇跡だ」
と赤ら顔で語る、お婆ちゃんのお兄さん
酒を飲まないと仏頂面で、口ベタな親戚のおいさんだった


370 : 参拝者 4/6:2015/05/31(日) 07:29:15.88 ID:VqNRbvTV0.net
そんなおいさんの息子である、私の父の従兄弟は跡取りになった
立地が立地なだけに、ちょっとした観光地になったところで、リッチにはなれやしない
家族が食べていくだけで精一杯のお寺の住職がとれる手段といえば、ひとつしかなかった
兼業をするということだ

お寺を掛け持ちして兼業住職をするひと、僧俗問わずに別の職業を選ぶひと
そして王道なのが、他のお寺にお呼ばれするお手伝いだ

昔から僧侶として食べていくに困らない三原則として、3つの要素がある
ざっくり言えば「字が上手、声が良い、話が面白い」の3点だ
代筆や書道で名を馳せるもよし、声明や諷誦、法式のエキスパートとなるもよし
教えを広め、時には笑いや涙を誘う、説教師となることだ

父の従兄弟は親に似ず、話が好きで愛嬌のある「お説教師さん」の道を選んだ
これが中々に聞かせる話が多く(どうして上から目線なのだろう)
本人曰く「フラでもってる」と謙遜するものの、とにかく面白いのだ
大抵は自分の苦労話から始まり、それを嫌味たらしくなる前に自虐的な笑いにしてしまう
みなさんも似たようなことがないですか、と共感を誘い、
仏教ではこう考えるんですよ、と小難しくなく、分かりやすく教えてくれる 
子供にも老人にも通用する説教だった


371 : 参拝者 5/6:2015/05/31(日) 07:31:46.64 ID:VqNRbvTV0.net
やれやれ、やっと本題に入れそうです

護摩焚きで雨乞いならぬ客乞いを成し遂げた先代の住職は、御歳八十八で大往生をされた
身体の調子を崩し、寝たきりに近くなったため入院したが、
入院中のベッドの中でワンカップを隠れて飲むようなおっちゃんだ
そんな準アル中患者の息子もまた、産まれついてのアル中予備軍であって
前後不覚になるまで飲んだあと、肌寒さで目を覚ますと
本堂のド真ん中にいた、なんてことが度々あったそうだ

「いけねえいけねえ、朝の勤行をすっぽかすところだった」
…色々と突っ込みどころが多いが、まずは話を聞いて欲しい
「二日酔いには護摩焚くのが一番。アルコールが汗で全部飛んじまう」
そう言っては本堂内に設えてある護摩炉に火を入れて、お勤めをするのだそうだ
どうせ終われば「いい汗をかいた」とばかりにビールを飲むんだろう、
と高をくくって聞いていたが、どうやら話の方向が変わってきた

「早朝に護摩を焚く時だけ、変な人が来るんだなぁ」
「参拝客ですか、信者さんとか」
「いやいや、信者なら全員顔見知りだ。
観光客にしても朝5時前から護摩焚きの時を狙って参るもんかね」

聞いてみると、朝の勤行に護摩を焚くのは大抵まだ明るくなる前で、
月に2回程度の不定期なのだそうだ
季節に応じて朝勤の時間は変わるが、暗い内に護摩を焚き、
朝日が出きる前には通常の作定に戻る

「その人がな、いつもじーっとこっちを見てるのよ」
背中がぞくりとした


372 : 参拝者 6/6:2015/05/31(日) 07:33:49.64 ID:VqNRbvTV0.net
堂内に朝日が差し込む前、灯りは内陣で赤々と燃える炉の火だけ
外陣の隅にまでは灯りは届かず、
凝視しても瞼の残像がその姿をハッキリと捉えることはない
決まってその参拝客は外陣の一番隅、
古ぼけた長椅子の真横にちょこんと正座をしているのだそうだ
スカートとも、衣の裾ともとれる、
ひらひらとしたものを広げて、顔だけはしっかりと住職の所作を見据えている
上に行くにしたがい黒ずんで、
手は膝の上なのか合掌されているのかも判別できない
時折ふらふらと揺れるようでいて、
見つめている自分が揺れているのかもしれない錯覚に陥る

もしかしたら足元に広がるのは布の類ではなく、
そのモノが持つ妖気だとか気配だとか
あるいは闇そのものがチロチロと炎のように広がっているだけなのかもしれない

「亡くなる前に親父に聞いてもな、そんなの知らんって言うんだな」
「お勤めを中座して近づいたり、声をかけたりとかは」
「火が点いてる間は仏さんとの逢瀬、そんな無粋な真似はできんわな」
なんだか盛り上がりそうな気配が出てきたので、
やや前のめりになって色々と聞いてみたが返ってくるのは
「変わりもんだろ」
「俺のファンだ」
「酒がもうねえぞ」の言葉だけだった

年が明けると、このおいさんの七回忌 
もう少し色々聞いてみたかったなぁ




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