【閲覧注意】怪談の森【怖い話】

当サイト「怪談の森」は古今東西の洒落にならない怖い話~ほっこりする神様系の話まで集めています。 随時更新中!!

カテゴリ: 人形系




617 :本当にあった怖い名無し:2022/05/02(月) 12:40:35.85 ID:yd5SAM/Y0.net
別にオチとかないし怖い話でもないけど自分的に腑に落ちないので書き込み
長いし言葉にするのが難しくて文章変かもしれないけどごめん

今から10年とちょっとぐらい前の話
山を切り開いたような新興住宅地に小学生のころ住んでた

バブルの影響で作られた住宅地らしいんだけど俺が小学生になるころには普通にさびれてて空き家もちらほらあった
それでも同年代の子供は何人かいたからそいつらとはよく遊んだんだけど
たまに「あの家」っていう場所に遊びに行くことがあった

「あの家」も空き家の一つで、住宅地の大通りっていうの? 
そこを見下ろすようにして建っているような、わりと目立つ場所にある

前述の通り本当は他にも空き家はあるんだけど、俺達の中では「空き家=あの家」って感じで「あの家」はなんか特別だった

618 :本当にあった怖い名無し:2022/05/02(月) 12:42:15.05 ID:yd5SAM/Y0.net
「あの家」にはツタがびっしり生えていて、その周りだけ鬱蒼と木が茂ってるせいか空気が重くて
ただの空き家って言うより廃屋って言ったほうが似合う雰囲気の
斜面の上にある三階建て(正面から見ると二階建てだけど大通り側から見ると三階あるのがわかる)の洋館だった

聞くところによるとこの住宅地ができたころからあるそうなんだけど
誰も家主がどんな人だったか知らないらしい

「あの家」の正面玄関の接道は大通りじゃなくてそこを大通りを曲がった坂の上の道なんだけど
住宅地の中央にあることには変わりはないし、「あの家」は位置が高くて遮蔽もないから大通りを通ると必ず目に入る
だから俺は大通りを通るたびに「あの家」を見上げてた

「あの家」の窓はほとんど全部鎧戸で閉じられてたんだけど、ひとつだけ鎧戸がない窓があった
それは三階の一番右の窓で、ボロボロの白くて薄いレースのカーテンがかかってて、窓辺では薄汚い白のドレスを着たフランス人形がこっちに背中を向けて座ってたんだ

619 :本当にあった怖い名無し:2022/05/02(月) 12:44:15.70 ID:yd5SAM/Y0.net
変な話なんだけど、俺はその人形がどうしても欲しかった

廃墟に置き去りにされてるから絶対薄汚いし、そもそも人形になんて興味持ったことないのに
それが飾られてる部屋に行ってみたかったんだ
笑われると思ったから友達にその話はしたことないけど
「あの家」行こうぜって誰かが言うと男子はみんな乗り気でついてきたし
目指す目的地は誰も何も言ってないのにいつも人形の部屋だったから
もしかしたら他にも人形が欲しかった奴はいたのかもしれない
まあ、たまたま目立つ部屋だったから目印にしてただけかもしれないけど
(ちなみに女子は一人も来ない。まあ空き家探検なんて汚いしつまらないだろうからそんなもんだろうなって思う)

「あの家」は坂道の脇にあって、正面玄関には後付けのパイプシャッターが取り付けられてる
これは最初はなかったんだけど、近所の大人が「子供が中に入ってイタズラするから」って自費で取り付けたものらしい
「あの家」の権利関係がどうなってるかは知らないから、勝手にそういうことをしてもいいのかはよくわからん

俺達はクソガキだったので、(大人ってバカだなー)って思ってた
だって俺達は「あの家」に入るのに正面玄関なんて使ったことがなかったからだ

木に囲まれてるからわかりづらいけど「あの家」には裏口があって
斜面をちょっと滑ると子供が体をかがめれば通れるぐらいのドアがある
俺達は各々懐中電灯を持ち寄ってそこから「あの家」に入ってた

620 :本当にあった怖い名無し:2022/05/02(月) 12:48:19.71 ID:yd5SAM/Y0.net
ようは「あの家」の正面玄関って本当は二階からの入り口なんだよ
だからもしかしたら「あの家」の一階は地下室的な存在だったのかもしれない

でも、裏口から入って一階より上の階に行けたことは一度もなかった

裏口から入ると、手すりに囲まれたバルコニーみたいなところ(建物の中だから本当はバルコニーとは呼ばないと思う)に出るんだ

バルコニーを見下ろすとコンクリートと木製の柱だけがある空間が広がってて、その奥に上に行く階段があるのが見えた
きっとあの階段まで行けば2階に入れるはずなんだけど、今いるバルコニーから下の空間に降りるための道がどうやっても見つからない
「もういっそバルコニーから飛び降りてみればいいんじゃね?」ってみんな冗談交じりに言ってたけど、それがよくないことだって頭ではわかってた
「だからって飛ぶわけないよな?」っていうニュアンスで、お互い自分の正しさを確かめる感じだったからさ
それなのに自分一人だったら何故か飛んでた気がするから、一人でここに来る奴はいなかったと思う
少なくとも俺は抜け駆けしたことはない

結局俺達はバルコニーから移動する方法を見つけられなかった
そもそもあの小さな裏口も行き止まりのバルコニーも何のためのものなのか全然わからない
なんでそんな設計になってたんだ? 建築に詳しい人ならわかるのかな
家の土台?のための空間とか? でも一応そこにも窓とかあったんだよな
だだっぴろい空間は倉庫的な場所として再利用してたのかもしれないけど
あんな小さい裏口で「あの家」の昔の住人は不便じゃなかったんだろうか

621 :本当にあった怖い名無し:2022/05/02(月) 12:50:51.75 ID:yd5SAM/Y0.net
俺は小学校を卒業したころに別の市に引っ越したからしばらく「あの家」を見ることはなかったんだけど

高校の時の夏休みに何かのはずみで友達と地元の心霊スポットの話になった
そういう場所に詳しくないというか縁もなかったので話題に困ったんだけど、思い出したのが「あの家」だった

「あの家」は心霊スポットでも何でもないけど(今思えば不思議なんだが心霊現象的な噂はひとつもなかった。おどろおどろしい雰囲気はあるんだから適当な怪談がでっちあげられてもよさそうなのに)
その高校に俺と同じ住宅地出身の奴はいなかったから、「あの家」を紹介してもバレないだろって思って「あの家」の話をした

俺達は超絶優等生ってわけじゃないけど夜遅くに出歩くほど不良でもないし
たとえ昼間でも電車乗り継いで市から市へと移動するほどのバイタリティもない(田舎なので交通の便が悪い)って感じの陰キャオタクの集団だったので
自分達で心霊スポット巡りするわけじゃなくて紹介者が自分で写真撮ってきてそれをみんなに見せるみたいな流れになった
俺も久しぶりに昔住んでた住宅地に行ってスマホで「あの家」の写真を撮った

相変わらず不気味だなーでも人形欲しいなーって思ったけど、その時は俺一人しかいなかったので探検は諦めた
当然ながら小学生だったころより背も伸びててあの裏口を通れる自信もなかったしな

夏休みが明けて全員で写真見せ合ってほどほどに盛り上がって、まあそれはいい

それから俺は県外の大学に進学したんだけど、大学でも似たような流れがあった
心霊スポットじゃないんだけど地元にこんな不気味な廃墟があって~って
写真見せて「あの家」の話しようと思ったんだけど探せども探せどもその写真が見つからない
機種変か何かの時に間違えてデータが消えたのかなって思って特に気にしてなかった
地元に帰った時にでも写真撮るわって言って終わった

622 :本当にあった怖い名無し:2022/05/02(月) 12:52:42.91 ID:yd5SAM/Y0.net
で、また地元に帰ってきて住宅地に寄ったんだけど「あの家」がないんだよ

さすがに老朽化が進んでただろうから取り壊されたのかなって思ったんだけど
誰に聞いても「あんなところに家なんてあった?」って言われるんだ
引っ越していった俺の親だけならただ忘れてるんだろうけど、昔の近所の人達どころか一緒に探検した友達まで「あの家」を知らないっていう
あんなに目立ってたし少なく見積もっても30年以上はそこに建ってたんだから住宅地の住人なら絶対知ってるはずなのに

だからもしかしたら、俺が地元から離れてる間に誰かが「あの家」に一人で行って、あのバルコニーで何か大きな怪我をしたんじゃないか?
それで「あの家」の存在がタブーになって、そんな家はなかったってことになって綺麗さっぱり取り壊されたんだ

こんなことなら高校のときに行っておけばよかったって、あの住宅地に行って「あの家」があった場所を見るたび後悔してる

でももしかしたらいつかひょっこり「あの家」が帰ってくるんじゃないかって思ってるんだ

29日にも地元に行って「あの家」の跡地を見てきたけどやっぱり何もなかった

623 :本当にあった怖い名無し:2022/05/02(月) 12:54:03.82 ID:yd5SAM/Y0.net
社会人になった今でも「あの家」のことを思い出すと探検しつくせなかったことが心残りで
もし今「あの家」に行けば今度こそ人形の部屋に行く道が見つかるような気がする
子供の時の俺には無理でも大人になった俺なら「あの家」の謎が解ける気がするんだ
これを書いてる今も記憶の中にある「あの家」に行きたくて仕方ない

とりあえず今は「あの家」にあったようなフランス人形が欲しくて探してるけどなかなかしっくりくるものが見つからない
当然だよな、そもそもどんな人形だったのかもろくに知らないんだから









546 :もしもし、わたし名無しよ:2007/11/01(木) 12:45:41
突然なんですが……私の出身地区にまつわる話でも。
その地域では、火葬の時に棺に人形を入れて一緒に焼く。
人形は故人の持ち物でも(人形持ってなかったのなら)新品でも、とにかく『何かの人形』を入れている。

もう20年近く前だけど、その地域に残る親戚のお爺さんが亡くなった。
直系の子はおらず、奥さんにもだいぶ前に死別しているので、当然人形なぞ持っていない。
仕方がないから…と、私の家族が帰郷する際に、
新品のバービー(急に言われて、それしか用意できなかった)を持参した。
私の子供心にも、見慣れたリカとは毛色の違うバービーは、とても素敵に見えたものでした…。

お葬式の後、亡くなったお爺さんの家に集まった親戚達が、精進落としとして食事をしていた。
子供たちは別室で「遊んでいなさい」と軟禁状態。
はじめの内は初対面の親戚だらけで緊張していた子供たちも、次第にうちとけ、
持ち寄った玩具で遊び始めた…その時。一人が棺に入れたはずのバービーで遊んでいるのを目撃!
私「いけないんだ、それお爺さんのだよ!」
子「お爺さんには私のお人形あげたから、いいんだもん!」
私「ダメだよ、お爺さんの取り替えるって言わなかったでしょ!」(当たり前ですが)
ここまで来ると、その子は黙ってしまいました。
どうやら、棺の中にある人形を隙を見て交換した模様。
私は『故人が胸元に抱いていた人形』であるバービーも、据わった目で『とりかえっこした』と呟くその子も怖くなって、
大人たちのいる部屋へと逃げてしまった。

随分後になって父親にその話をしたら、父真っ青。
私は知らなかったけれど、あの葬式の後から『あの子』は精神に変調をきたして入院。
数年後、病院から抜け出して徘徊し…なぜか廃材置き場に捨ててあった産業用冷蔵庫で……
以下、ご想像におまかせします。

お爺さんが何かしたのか、役目を奪われた人形が何かしたのか。
おかげでバービーが見るのもダメなほど怖いです。







677 : あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] 投稿日:03/07/22 10:07
私が4,5歳だったころ、今住んでいる家に引っ越す前の話です。
 小さい頃よくばぁさまや、親戚のおばさんに
「人形を馬鹿にしてはいけないよ。」
 「祟られたり怖い夢を見てしまうよ。」
などと言われていました。
 幼い自分はその言葉を信じて、怖がりました。
そんなある日。
ひな祭りもまじかに迫っており、家にはガラスケースに入った雛人形を飾りました。
 私は少し怯えつつもなぜかばぁさま達の言葉を裏切り、雛人形に対し
馬鹿にした言葉を吐きました。(バーカバーカみたいな事だったと思います)
 内心ビビリつつも。

 私はいつも雛人形の飾られてる部屋の隣で両親と寝ていました。
 両親はまだ起きていたと思います。
 部屋を豆電球にして寝ているました。
その晩・・・。
いつものように寝ていると、ふと目が覚めました。
すると雛人形のある部屋のふすまがスススーっとゆっくり開きました。
 私は何事かと目を凝らしいて見ていました。
ゆっくりと開く襖の間から、徐々に雛人形が見えてきました。




678 : あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] 投稿日:03/07/22 10:08
なんと!お雛様の目が光ってこっちをみているではありませんか!
 私は直感的に怒っていると感じ、ヤバイ!と思いました。
 母親に助けを求めようと体を動かそうとしたら・・・
「!?」まだ幼い私でしたが金縛りに会いました。
 声も出ない。体も動かない!
そのころ私は金縛りなんて言葉は知りもしません。
とにかく恐怖でした。
 襖が開くのが止まったと思うと、次は私の寝ている部屋の押し入れが
 ゆっくりと開き始めました。
 金縛りの解けぬまま目だけを動かし、必死に押し入れを凝視。
とにかくヤバイと思いながらも目は押入れの方に。
 真っ暗な押入れの中。。。
すると、私の体が少し浮いた感じになり、
そのままズズズと押入れの方に引っ張られているではありませんか!
もう恐怖でたまらないのに体も動かず、ただ声をだそうと必死なのに、
うううっとしか出ず、このままどうなるのだろうと思いました。
だんだん押入れの方に引きずられ、とうとう押入れの戸のところまで!
 耳元で唸るような低い声が聞こえてきました。
 押入れの中に引っ張られてもうすぐ中に引きずり込まれる~!


679 : あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] 投稿日:03/07/22 10:09
その後どうなったか覚えていません。
 気を失ったか、寝てしまったのか。
 今も何事もなく生きてるので、記憶にはないですが
翌日普通に起きたのだと思います。
 金縛り、人形の光る目、真っ暗な押入れの中、唸るような声。
 確かに私の記憶には残ってます。
 幼い頃なのではっきりと事実とも言いがたいのですが、
 一体何だったのか、現実か夢なのか今になってはわかりません。
その日から人形に対しての思いがより一層強くなり、
 馬鹿にする、粗末にするなど考えもしなくなりました。
 何となくですが、呪いとか魂が人形に何か宿ってるのではと思います。
それっきり何も起こらなくなりました。
 私はその事件があってから、毎日お雛様にお供え物をしました。
 (といっても、ご飯や、サラダをお皿に乗せてお供えする程度ですが)
 今でも人形は苦手です。(リカちゃんはOK)
怖くなかったかもしれませんでした。
 長文失礼いたします。







548 : 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/[sage] 投稿日:2015/06/24(水) 03:01:24.62 ID:SyC0dr/m0.net
自分は配達の荷物仕分けのバイトをしているんだが、稀にいわくつき? とも言える荷物が届く
VIP荷物でも止め荷物でもないのに、小さい荷物はぽつんと籠の中に一つだけ置いてあるんですよ
何なのかをドライバーやライン長に聞いてみたけど何も教えてくれず、知らないだけかもだが
他の荷物とは一緒にせず、引っ越し用のでかいトラックに籠ごと入れられて、どっかに持ってかれる

だけどある日、俺が休みだった日にこの荷物を触ってしまったバイトの方がいたらしくて
突然バイトの人が消えるだなんて良くある話だから何とも思ってなかったけど
違うセンターの方からその話を聞かされて、だけど意地悪で何なのかは教えてくれなかった
それでますます気になったわけですよ

ある日、センター長がもう勘弁して欲しいとの電話をしているのを偶然聞いてしまった俺は
まさか、あの荷物のことですか? ってついつい聞いてしまった
そしたらセンター長は呆気なくその荷物がどういう物なのか教えてくれたのだ

どうやらあの荷物は某有名な神社へと送られていて
お祓い目的で郵便を経緯して承ってるとのことなのだが
郵便局側からすれば、そんなものを投げ受けさせられて冗談じゃないって話らしい

だから止めて欲しいとの電話をしていたらしいが……
事故に遭ったり身体を壊したりするのは、この手の仕事をしていればリスクも少なくない話だから
気味が悪いから止めて欲しいなんては言えず、何とも言えないのが現状らしい




550 : 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/[sage] 投稿日:2015/06/24(水) 05:03:31.02 ID:DdQV/SkX0.net
変な現象がおきる人形を寺に郵送しようと思ったんだけど、確かに配達員には迷惑かもとおもった



553 : 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/[sage] 投稿日:2015/06/24(水) 09:23:29.23 ID:SyC0dr/m0.net

>>550
そこなんだよな……
俺も最初は人形だって言われて、そんなに重要な荷物なのか? と思ってたけど
やっていくうちに人形以外の荷物も届いてることに気付いたわけで
こう言う話もあるんだなと書き込んだわけだわ

今日、バイトが終わった時に少しだけセンター長と話したんだけど
そう言う荷物は代理仕事やトラブル解決などを行う何でも屋に頼むのが通らしい
いや流石に何でも屋とは言え、こんなの頼まれたら困るだろうけどさ








657 :本当にあった怖い名無し:2007/03/28(水) 07:56:33 ID:Xlj2+LmZO
最初に断っときますが、長くなります。

ある夏の日の話をしようと思う。

その日は、前々から行くつもりだった近場の神社を訪ねた。
俺は少々オカルトな趣味が有り、変な話や不思議な物等が大好物だった。

この日も、知人から聞いた神社に行ったのだった。
知人の話だと、何でもその神社、大量のの人形が安置されてるらしかった。
俗に言う『人形寺』と似たようなモノか。
だが、有名な神社ではなく、報道番組で取り上げられた事などは全く無い。
そんな場所だった。

近場と言っても、車で一時間半掛かった。途中山道に入り、ガタガタ揺れる車内で一人目的地に思いを這せていた。

神社に着き、車を停めて階段を登った。
結構長い階段で日頃の運動不足からか、息を荒げながら、妙な高揚感に包まれていた。
階段が長ければ長い程に、楽しみが増す気がした。

段差で切れていた景色から、遂に神社が顔を現す。
立派な鳥居をくぐり、眼前に神社を捉えた瞬間!…妙な耳鳴りがした。
正直、こんな気分に成ったのは初めてだった。
自慢じゃないが、俺には霊感なんてモノは無縁の沙汰だ。
だが、その感覚は本物で臆する処か逆にヤル気が湧いて来た。
なんのヤル気かは知らないが…。

658 :本当にあった怖い名無し:2007/03/28(水) 08:00:54 ID:Xlj2+LmZO
早速境内を見回す。
立派な神社だ。
結構広いし、造りも綺麗だ。
だがやはり、そこには普通じゃ無い光景が広がっていた。

人形人形人形人形人形人形人形人形人形人形人形人形人形人形人形人

神社に治められた人形達は、治まりきらずに床下まで浸食している。

いくつもの『目』に見られる様な、突き刺す視線を感じた。
それだけ圧巻だった。

余りに非現実的な光景に暫く心を奪われ…る暇は無かった。

正面の大きな建物…恐らく本殿だろう。
そこから袴姿の人間が慌てた様子で出てきた。

一人、隣の建物に走っていった。
何か有ったか!?
不謹慎にも『ラッキー』と心の中で呟き、人形が安置されてる方の、袴の男が入って行った建物に駆け寄った。

すると、本殿からまた人が二人バタバタと出てきた。
一人を捕まえ、何があったか尋ねてみた。
「忙しいから、後にして下さい」
男はそれだけ言うと、またバタバタと人形の中に消えて行った。

659 :本当にあった怖い名無し:2007/03/28(水) 08:05:50 ID:Xlj2+LmZO
一体何なんだ?

釈然としない面持ちで佇んで居ると、本殿からこれまでとは違う、正装とでも言うのだろうか?そんな格好の神主と思われる人物が出てきて、俺に声を掛けてきた。
「人形を治めに参られたのかな?」
俺は「いいえ、ただ参詣しに来ただけです」
と答えた。

すると神主らしき人は、悟すように…
「なら帰りなさい。悪い事は言わない。今日は都合が悪い。また出直して来なさい」
と静かに言った。
「何かあったんですか?」
思い切って尋ねてみたが、神主は「関わらない方が良い」とだけ言い残し本殿に帰っていった。

引っ越しみたいに騒々しい中に、自分は凄く場違いな気がした。

どうせ人形は逃げない。
此処は神主の言う通り、改めて出直すかと思い帰ろうとした時、ゾロゾロとさっきの三人+二人(最初から建物の中に居たのか?)が出てきた。

棺の様な大きな箱を抱えている。

660 :本当にあった怖い名無し:2007/03/28(水) 08:08:07 ID:Xlj2+LmZO
奇妙な一行は本殿の裏に消え、後から神主も出てきて、またもや裏に消えて行った。

ふと気付けば、自然と本殿の方に歩みを進めている自分が居た。

警告に対する恐怖心よりも、好奇心が勝っていた。
此処まで来たら、見るしかない。

本殿の脇の道を進んでいく。
道は木が生い茂り、薄暗く、苔がむしている。

少し進むと、前方が開けた広場の様な場所に出た。

神主達は慌ただしく、なにやらキャンプファイヤーの木組みの様なものを、四方に作っていた。
真ん中には、件の箱が一番頑丈そうな木組みの上に置いてある。
神主と目が合った。

怒られるかと思ったが、別段気にも停めない様子で作業を続けていた。

何だか許可を貰った気に成ったので、木陰から広場に踏み出した。

何が始まるのだろうか?
期待と不安でソワソワしながら事の成り行きを見守って居ると、視界に人が映った。

661 :本当にあった怖い名無し:2007/03/28(水) 08:12:38 ID:Xlj2+LmZO
神主でも袴姿でも無い。

普通のじいさんだ。

俺の右、20mくらいの所に立ち俺と同じように神主達をみていた。
俺はおじいさんに近付き、話掛けた。

「すいません。今から何かあるんですか?」
「人型焼きだよ」
おじいさんは、気さくに答えてくれた。
「今から人形を焼いて供養するのさ」
「人型焼き…ですか」

予想はしてたが、当たりだ。
今日来て正解だった。面白いモノが見れそうだ。
それにしても、何でこんな時期に?
俺はてっきり、こう言うのは年末とかの締めにやるモノだと思っていた。
だが今日は特に特別な日でも無い。

「いつも見に来るんですか?」
おじいさんに尋ねた。
「いつも人型焼きが有るわけじゃないからねぇ。いつもはこんな時期にはしないし、こんなに大きな人形を焼くのも初めてだ」
少し間を置いておじいさんが答えた。
「今日は特別なんだ」

もう一歩踏み込んでみる。

662 :本当にあった怖い名無し:2007/03/28(水) 08:17:06 ID:Xlj2+LmZO
「『特別』って何かあったんですか?」

俺の問掛けに、初めて少しだが表情が曇った。
地雷を踏んだか?…と思ったが、じいさんは暫く考えた後に口を開いた。

「信じられん話かも知れんが」
そう言う話なら大歓迎である。
「実はな、あの人形は元々本殿の脇に在る倉庫に厳重に保管されとったものだ」
「だがしかし、今日の早朝、3日振りに神主が倉庫の点検をした時、あの人形が消えとった」
「神主と神社の者が総出で探し、日が明るく成った時にやっと見付かった」
「何処に有ったと思う?」
何なんだ?勿体ぶらないで欲しいな。
…と思いながらも、乗ってやった。
「何処に有ったんですか?」
 
663 :本当にあった怖い名無し:2007/03/28(水) 08:22:08 ID:Xlj2+LmZO
「明るく成るまで、だ~れも気付かんかった」
「それもその筈、人形は誰が乗せたか本殿の屋根の上に置かれていた」
「これには神社の者も心底驚いた」
「何せ人形はマネキンだ。成人男性くらいは有るマネキンを高い本殿の上に持って行くのは、容易ではない」
「大一、悪戯にしては手が込んでるし、あんなトコにやる理由が判らん」
「兎も角、考えててもラチが明かんので、マネキンを下ろす事にした」
「だが梯を登って下ろす最中に、マネキンを抱えた男が足を滑らせマネキンと一緒に落下した」
「男は足を折ったらしく、すぐに病院に運ばれて行った」
「男はしきりに『人形が噛んだ』『人形に噛まれた』と訴えて居った」

「これはいかんと、神主が慌てて型焼きの準備をし、今に至る訳だ」

「随分詳しいんですね」
にわかには信じられない話だったし、完全に疑ってる訳では無いが、ちょっと意地悪してみた。

664 :本当にあった怖い名無し:2007/03/28(水) 08:26:12 ID:Xlj2+LmZO
「毎朝ここを散歩していてね。マネキンを下ろす処からずっと見ていた」
成程。

おじいさんの話を聞いてる内に準備は着々と進み、さぁ火を着けようかと言った感じだった。

神主さんが突然掛け声を上げた。

それに続いて袴姿の男達も一斉に呪文?お経?の様なモノを唱えながら火を持ち、箱を囲んだ。

よく見ると箱は、針金の様な物でグルグルと巻かれていた。

一人目の袴男が、箱の四隅の木組みに火を灯した。
チリチリと煙を上げ、やがてゴウゴウと燃え出した。

665 :本当にあった怖い名無し:2007/03/28(水) 08:29:32 ID:Xlj2+LmZO
それに続いて二人目、三人目と、とうとう箱を除く全ての木組みに火が灯り、激しい火柱を創った。

50~60mだろうか?結構離れているこちらにまで熱気が伝わる様だった。

最後は、神主さんが真ん中の木組みに、松明を投げる様な感じで火を着けた。

四本の木組みの中には、木の葉が入れてあり、白い煙をあげていたのだが、真ん中の箱の辺りからは黒い煙がモクモクと沸き上がっていた。

「うっ…!!」
俺は思わず鼻を摘んだ。
いつの間にか、今までかいだ事も無い様な獣の様な異臭が辺りに立ち込めていた。

神主達の声が一層大きく成った気がした…次の瞬間!

666 :本当にあった怖い名無し:2007/03/28(水) 08:33:14 ID:Xlj2+LmZO
ぎょぇぇぇぇ~!!ぎゃあぁぁぁぁ~!やわなは@〇※▽@◆…
声に成らない叫び声と言うか、今まで聞いた事も無い悲鳴が広場の静寂を引き裂いた。
と、同時に箱がガタガタと激しく揺れ出した。

情けない話だが、正直俺は腰を抜かしそうだった。
走って逃げようかとも思ったが、足が動かない…完全にすくんでしまった様だった。

箱はバンバンと内側から叩かれて、炎に包まれて居る。
ひょっとして人殺しなんじゃ…とも思った。

凄惨な光景だった。
火はゴウゴウと燃え、箱はガタガタと揺れ、神主達は声を上げ、悲鳴はやがて言葉に変わって居た。

「出せ~!此所から出せ~!返せ~返せ~…」
しゃべってる…まさか人間…いや、そんな筈は無い。
大一、あの状況下で人間がしゃべれるのか?
最初は『返せ』だと思っていたが、後から違うと気付いた。

「かえせ~かえせ~!俺を妻と子供の所に帰せ~!!」
箱は依然とガタガタ揺れ、バンバン叩かれている。

「お前は〇〇(男の名前)では無い!」
神主が突然怒鳴った。
「お前は人形だ!人形なんだ!有るべき姿に戻れ!!」
そう言うと、またも神主は呪文を唱え始めた。

「ちがう~!俺は〇〇だぁ~!!帰せ~!!」
箱は一層揺れだし、端の蓋が焼け落ち…と言うより弾け飛んだ。
ソコから焼けただれた手が生えて、暴れて居た。

すると、突然火が弱まり、消えてしまうのでは?と思うくらいに頼り無くなった。

神主は、振り向くと置いてあった桶を持って来た。
桶の中には水の様な物が入って居たが、すぐに酒だと思った。

669 :本当にあった怖い名無し:2007/03/28(水) 08:40:52 ID:Xlj2+LmZO
と、言うのも獣の臭いに混ざって、さっきから酒の臭いが漂って居たのだ。

神主は酒を杓で掬うと箱に掛け始めた。
おいおい…いくらアルコールだと言っても、どう見たって日本酒だぞ。気化しにくく、発火性も低い日本酒を掛けても止めを刺すだけだ…と思ったが、予想に反して火は驚く程に燃え上がった。

「ぎゃぁぁぁぁ!!いぎぃぃぃぃぃ!!おのれええぇぇ~!妻と子供に会わせろ~!帰せ~!俺を帰せ~!!」

「お前は〇〇ではない!人形だ!お前はお前に帰るんだ!!」
そう言うと神主は懐から手鏡を取り出し、箱に投げ入れた。
そして、周りの木組みを袴姿の男達が中心に向かって倒し始めた。

最後に神主は桶を担ぐと、残りの酒を全部ぶっ掛けた。
炎はこれまでより猛々しく燃え上がり、巨大な火柱と成った。

「ぎょぇぇぇぇ~!!!!」
それが最期だった。

670 :本当にあった怖い名無し:2007/03/28(水) 08:46:44 ID:Xlj2+LmZO
それからは叫び声がする事も、箱が揺れる事も無かった。

気付けば俺は、汗だくに成って居た。
神主達は、火がくすぶるまで呪文を唱えていた。

目の前で起こった出来事を、否定したい自分が居た。
俺は、確実に昨日までの俺とは違うだろう。日常を一歩踏み外した…ただそれだけなのに、見える世界は色を変えていた。

その後、神主が俺に歩み寄って来た。
俺は変に身構える事も無く、神主の話を聞いた。

「一応祓って上げるから、ついてきなさい」
俺は神主を追って本殿に入った。

じいさんは、神主と先を歩きながら何やら喋って居た、どうやら顔馴染みの様だ。

本殿で二人は、簡単な御払いを受けた。

その後、茫然自失と言うか、府抜けた感じだった俺に、神主さんが詳しい事情を話してくれたから、少しスッキリした気がした。

671 :本当にあった怖い名無し:2007/03/28(水) 08:53:14 ID:Xlj2+LmZO
「あの人形はね…長い間、人として暮らして来たんだよ」
「あのマネキンを連れて来た御婆さんが言うには、自分の娘が大事にしていたそうだ」
「娘と孫は事故に遭って死んでしまったけど、あのマネキンだけは無傷だった」

「御婆さんは遺品だけど気味が悪くて、仕方なく此所に持って来たんだよ」

「事故に遭った時も車に乗せてたくらいだから、きっと相当大事にされてたんだろう。余りに感情移入すると、次第に人間は人形が生きてると勘違いしてくるものなんだ」
…この後の言葉は、今でも頭から離れない。

「人形も同じだ」
「余りに大事にしすぎると、自分が人間だと勘違いしてしまうんだよ」
「何故なら、彼等も生きているのだから…」

忘れた時を取り戻す様に蝉が鳴き出した。
ある夏の日の出来事だった。






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