【閲覧注意】怪談の森【怖い話】

当サイト「怪談の森」は古今東西の洒落にならない怖い話~ほっこりする神様系の話まで集めています。 随時更新中!!

カテゴリ: 霊能力



481 :1:2006/06/03(土) 16:52:57 ID:Jer9EYxv0

一つ投下してみる。

この板の人が知ってるかは知らんけど、一時期馬鹿系の板で流行った話がある。
「30歳をすぎて童貞だと、魔法使いになれる」という話だ。

もとはそういうゲームがあって、そこのサイトの紹介の仕方が馬鹿で面白くて、「俺あと三年で魔法使いお!」「やっべ、明日魔法使えるようになるww」とか、まあ某板で遊ばれてた訳なんだ。

そんで友達にねらーがいて、そういうネタ大好きの奴がいるんだ。
職業はフリーライター。

職業柄色んな人に会ってて、面白い話が聞けたりするんで重宝しているんだけど、そいつがある日、こんな事を言い出した。
「30歳をすぎて童貞だと、魔法使いになれる」って話。あれがあながち嘘でもないらしい、と。

おいおい、いくらなんでもありえねー、とか言って俺は最初馬鹿にしてたんだけど、そいつが詳しい話をしてくれて、それが結構真実味あってすげー怖かった。

なんでもその友達が、協会でいわゆる本物の能力者、みたいなのとして有名な人を一度取材した事があり、その時の話らしい。
凄い力を持ってるいる人で、地位もそれなりに高い人なんだと。で友達は緊張しながら会いに行ったらしいんだが、意外ときさくな人で、色んな面白い話を聞かせてくたれた。

その一つがこの話。


どういう流れでそうなったのかは知らないが、友達が、そういやネットで、
「30歳をすぎて童貞だと、魔法使いになれる」とかいう話があるんですけど、どう思いますかw みたいな感じで聞いたらしい。

笑いを取ろうとして言ったらしいんだが、以外にもその人の答えは「ありえますね」という真面目なものだった。
「え?」って感じで話を聞くと、何でもあらゆる宗教・宗派で、人間の堕落の象徴とされるのが、食欲、睡欲、性欲の三つなんだそうだ。

例えばカトリックは異性との行為を穢れたものとして禁止しているし、日本のお寺なんかでも、修行の際には食・睡・性に厳しい戒律をつくり、心身を鍛えている。
そして童貞という事は、そのうちの性欲を禁じる修行を知らず知らずの内にしているのと同じ事なのらしい。

つまりは、厳しい戒律に身を置くカトリックや、修行僧などに近い存在に当たるのらしい。

もっと凄いのは、日本のオタク。あれが本当にやばいらしい。
例えば、ゲームオタク。
一人で部屋にヒキこもって、ひたすらゲームだけやってるオタクとかいるじゃないか。
食事もほとんど取らず、ほとんど寝ず、無論そんなオタクに彼女いる訳でもなく、生涯童貞。
三つの欲に極限まで耐え、一心不乱にゲームとはいえ集中する。いわばその行為は、もはや即身仏として
生きたまま神になった者達や、聖地で厳しい修行を律す聖者達と変わらないらしい。


「当然、開眼する、まあわかりやすく言うと、悟りを開く者、そういうのも出てくるだろうね。素質やその人の性質もあるだろうし、全員がそうなる訳ではないだろうけど、普通の人よりかなり高い確立で目覚める者がいるのは確か。更に厄介なのは、そういう目覚め方した者が、大体まともな性格をしていない事だね。
本来、厳しい修行の果てに、おだやかな性格を持って手にするはずの力を、歪んだ性格の者が、自覚無しに手にしている。
昨今、こういう輩が増えているのを感じる。世界が歪んで来ているのもそのせいだろね」
と言われたそうだ。


ちょっと背筋に寒いものが走らないか。










10: 本当にあった怖い名無し 2010/04/25(日) 05:33:17 ID:aYIi6wH20

2年程前だと思うけど、プライベートで色々あって、ものすごく疲れたりして軽い鬱状態 
のようになっていたことがあった。もっとも独身、独り暮らしなので生活のため仕事は淡 
々とこなしてはいたのだけど、家に帰って独りになるとなんのやる気もおきなくって、た 
だソファに寝転がってるだけ。トイレと食事の時にしか立たない様な状態。自分でもどう 
にかしたいと思ってたけどどうもそうもいかなく、そういう日が続いた。寝ても見る嫌な 
夢を見るばかりで、汗びっしょりで夜中に叫び声と一緒に起きたりしてた。 


10: 本当にあった怖い名無し 2010/04/25(日) 05:33:17 ID:aYIi6wH20

そんな時、ふと気づいたことがあったんだけど、道ばたで歩いてる時に目をつむっても目 
の前が見えるようになってた。目をあけている状態とちがって、モノクロな感じ。残像と 
かではなくって、ちゃんと視界の動きや変化もわかる。なので目と閉じながら歩いても前 
から来る人もわかったし、道がどうなってるかわかったので、10分くらい試してみたこと 
もあった。日中にやるとさすがに変なので、あまり人目につかない夜などに。この時は全 
然変だと思わなくって、そういうものなんだなって自然と思えた。夜にベッドで目をつむ 
っても目の前見えたり、机にすわっても同じだった。 

それからしばらくたってそれがいつのまにかできないことに気づいたんだよね。あれはな 
んだったんだろうか。今となってはそれが変だってことにもさすがにわかってるんだけど 
当時はそれが普通だったんだよね。 




13: 本当にあった怖い名無し 2010/04/25(日) 10:00:38 ID:tn3fuZXm0

>>10 
チャクラが開いたんだよ。 
もっと進化すれば霊能者になれたのに。 






オカルトランキング




773: 本当にあった怖い名無し:2011/05/24(火) 05:45:44.02 ID:V+HIQAuSO

夜が明けてきたから書くよ。
これは霊が見えた、とか祟られた、みたいなそういう感じじゃないから
期待外れに思う人はスルーでね。

俺の一家はちょっとした宗教みたいなのに入っていて、
毎週土曜日になると電車で一時間の都内の会館みたいなのに必ず行ってたんだ。
みんなシックな色の服を着て、会館に入ると同じような服を着た人がいっぱい。
でも何故かよそよそしくてあんまり喋ろうとしないんだ。

でね、やることといったら毎回代表の先生みたいなひとの話を聞いて、
皆で神棚にむかって般若神経と六根清浄を唱える。
そのせいか、五歳の時には両方ともそらで言えてた不気味な子供だった(笑)
その会の最後に子供には甘露の飴が貰えるんだけど、
それ一粒の為に往復二時間は正直つらかったな。

で、8歳の時に俺の弟と一緒にその先生に霊覗をしてもらったことがあったらしくて。
弟は、激しく暴れ回る男の姿が見えると。自分でも御しれないモノがあるから気を付けるようにって。
実際、弟は一度キレると物凄く暴れ回るし、めちゃくちゃ頑固で、
そのくせ家の外では無難な振る舞いするし。
今では大学も中退してかれこれ四年くらい引きこもりみたいな感じ。

俺はというと、人の感情に呑み込まれやすいから気を付けろ、
生きてる者も死んでるものも俺を頼ってくる、と。

ただ、俺自身にそんな大きな力が無い(笑)から霊は見えないし、悪さもしない、影響は少ないらしい。
まあ、その通りというか、学生の頃は表だけみたいな友達も妙に多くて、
忘れた頃に借金の保証人になってくれとか電話を何度か貰ったりもしたけど。

でももう一つ言われていた事があって、二回り目(干支が二順、つまり24歳)になる頃には、
人の死に際が覗けるようになるって言われた。
それは最近まで俺には伏せられていたんだけど、昨日おばあちゃんから電話したついでの話で出てきたの。
話というのはその事で、実は去年から俺のまわりで不思議な事が起きてるんだよ。

774: 本当にあった怖い名無し:2011/05/24(火) 05:51:52.68 ID:V+HIQAuSO
突然、夜中寝ているとどこからともなく太鼓を叩く音が聞こえてくる。
東京に一人で出てきて五年、同じ場所に住んでるからお祭りとかあるわけないって分かってるんだけど。
低い音でドンドン、って聞こえだすと、明け方までずっと続くんだ。

で、翌日か二日後辺りになって町内掲示板みたいなのを見てみると、
〇〇さんが亡くなりましたみたいな貼り紙が貼ってあるんだ。
もしくは、白黒の幕が張ってある家を見つけるか。

で、そのことを昨日おばあちゃんに話したら
「あぁ、一緒にいた子が帰っていったんだねぇ」って言うんだ。

俺は何のことか判らなくて聞いてみたら
「〇〇(俺の名前ね)には、妹がいたんだよ」
「え?俺には弟だけじゃん。」
「そう、でも四歳の時に〇〇のお父さんが他の人と浮気をしてね、子供ができちゃったの。

でもその女性と話し合ってその子は堕ろす事になって…」
その後の話はというと、堕ろした子はそのまま例の先生に供養してもらったらしく、
何事もなく(何事もあるけど)そのまま事が収まった。

けど数年後の例の霊覗のときに、俺の後ろにその子の魂が見えたらしいんだ。
先生曰く「とても強い霊力(いい意味で)を持った子だけど
〇〇(俺)の感情に惹かれて一緒にいるみたい
二十歳になったらこの子は〇〇から出ていくと言っているから安心していいよ、お父さんも恨んでない。
もう成長して4歳になってるから、十六年後(つまり俺24歳)になったときにその影響で
〇〇にそっちの世界が少し感じれるようになるかも」て事らしい。

親父はその時わんわん泣いてたらしいし、けっこうその場は騒然としていたらしい。
俺はというと、突然眠り始めてしまったらしく、その場のことを覚えてない。

去年24になってからの夜中の事は、少なからずそのことが原因だったのかもしれない。
ただ、その子が俺と一緒にいたのは先生曰く「生まれてくるはずだった世界を見てみたい」ことらしい。

775: 本当にあった怖い名無し:2011/05/24(火) 05:52:34.19 ID:V+HIQAuSO
俺は自分の身に起こってる事象は不思議と怖くはない。
ただ、その子が俺についている理由をもう少し早く知っていれば、
色んな美しいものを見せてあげられたかも。

今年初めに友達と旅行で行った厳島神社や、好きな人と行った神戸の綺麗な夜景なんかも…
もしかしたら、あの太鼓の音もその子がくれた命のサインの印かもしれない気がして。
最後にこのスレを見てる人、俺についていた子みたいな思いを、絶対させないであげてください。
命ってやっぱり大切だから。
長文失礼しました。

777: 本当にあった怖い名無し:2011/05/24(火) 06:26:31.65 ID:EQxQfTlRO
>>775
不思議な体験ってあるもんだなぁ









430 :本当にあった怖い名無し:2021/02/20(土) 01:52:53.77 ID:Tzq3lJHy0.net
一昨日から愛犬の調子が悪くてお腹も張り、アバラ付近も痛いのか触られたくなさそうにして、何もしなくても痛そうにキャンキャン言ってた。
その一昨日の夜に犬がくっついて休み始めたんだけど、その後どんどん頭が痛くなってきた。
痛みが激しくなるにつれ犬は楽そうになってきてとうとう安眠した。
昨日動物病院で注射を打って頂いたらかなり楽そうにご飯など食べてよくなったけど、
くっついてきたらやはり私の頭が痛くなるし、時間が経つにつれて犬は痛そうにしなくなる。
こういう現象って何なんだろう?
今まで付き合った人とかでも似たようなことがあったから不思議で、オカ板初訪問しました。

431 :本当にあった怖い名無し:2021/02/20(土) 01:55:43.31 ID:Tzq3lJHy0.net
そういう話がオカルトであるにしろないにしろ、犬が楽になってくれるならこれ以上なく嬉しいけど…

440 :本当にあった怖い名無し:2021/02/20(土) 14:39:59.41 ID:AI+QK4H40.net
>>430
前に2ちゃんに書き込んだ事ある?

似たような体質の人の話を読んだことがあるよ。
その人は、巫術の家系。代々、憑かせる筋と鎮め祓う筋で組んで仕事してた。
鎮め祓う筋は絶えて、憑かせる筋だけ残って仕事している。

霊的に悪いモノを引き受けた後は、専用の場所で落すそうだが、祓う筋は絶えているので
伝承された方法だと時間が掛かる
期間は取り込んだモノによるから、その間は体調不良や奇行が出て社会生活が営めない
普通の社会生活は送れないので、親族はその人を自由にさせている。

霊的のモノだけでなく、病気や怪我の一部を引き受けるのも可能だったとかで、
書き込んでいた人は、一度体調不良を直して貰ったことがあると書き込んでいた。

441 :本当にあった怖い名無し:2021/02/20(土) 20:05:35.63 ID:Tzq3lJHy0.net
>>440
2ch,5chには書き込んだことあるけどオカ板は初めてです。
家系としては特に似たような話は聞いたことがありません。
せいぜい青い目をして白人っぽい見た目の人がいた程度でありふれたものです。
病気や怪我の痛みなどは付き合っていた人や伴侶にくっついていたらその人が楽になったりして、やはり自分に不調が起こることがあったりはしました。








775 :本当にあった怖い名無し:2008/02/26(火) 15:47:23 ID:/MUtnSZs0

リアル超能力者の知り合いがいる。
ぱっと見、普通の女だから、超能力者だとはとても思えない。

この板の住人からすれば「どんな能力なのか」に興味があるんだろうけど
俺としては、そいつが「どんなやつなのか」とか
「どんな苦労をしてるのか」を知ってほしい。
リアル超能力者がどれだけ辛い思いしてるかを知ってほしいのだ。

だから、そいつとの会話を重点において書いた。
もちろん会話の内容なんか全部覚えてないから
不足分は妄想で補ってる。
要するに、半分妄想だから、小説だとか作り話だとかいう批判も
それはそれで正しい。

最初にそいつが普通じゃないことに気付いたのは、
たしか幼稚園ぐらいの頃
そいつと俺は家が隣同士で、親も仲がいいんで、
小さい頃からよく遊んでた。

最初に気付いたのは幼稚園の頃
俺の弟と俺、そいつとそいつの妹の4人で
俺んちでかくれんぼして遊んでたんだ。
俺が鬼で探してるとき、そいつは押入れの中に隠れてた

「美佳見ーつけた」
押入れの引き戸を開けて俺は言った。
そのとき、そいつは二段になってる押入れの下の段に隠れてて
俺に見つかって、少し笑ったと思う。

見つけた直後、家の前を救急車が通ったから
俺は救急車の音源と思われる背面の方向を振り返って見ながら
「やべ。救急車だ。親指隠せ」と言って
すぐに正面に向き直ったと思う。
ところが、振り返ったらそいつが消えてた。

無意識に音源に目をやってしまったとき、そいつから目を離したんだが
目を離した時間は1秒程度だったと思う。
何があったのか理解できなくて
しばらくそいつのいた場所を眺めてたと思う。

俺はまだ押入れの引き戸を自分の肩幅ぐらいしか開けてなくて、
しかも俺が開けた押入れ引き戸の隙間の前に立ってたから
俺を押し退けないかぎりそいつは押入れから出られない。
そして、そいつは布団と押入れの壁の間に潜んでたんだが
布団と壁の間に、ついさっきまで子供が隠れていたことを示すかのように
不自然な隙間が空いてた。
扉を全部開けて押入れの中を見回してみたけど、
やっぱりそいつはいなかった。

何があったのかを理解できない俺は
延々と押入れの下の段を探した。
俺が押入れの中を探ってたら、俺のいた部屋の扉が開いた。
入ってきたのは、さっき俺が押入れで見つけた美佳だった。

俺 「え??どうやって外出たの?」
美佳「う~ん。なんかよく分かんないけど
   いつの間にか庭にいた」

幼稚園の頃は、こういう美佳の瞬間移動がえらく頻繁だったと思う。
幼稚園の鳥小屋の前で鳥を一緒に見てたら
いつの間にか美佳だけ鳥小屋の中にいたりとか
みんなで空き地においてあった大きな石の上に乗って遊んでたら
一緒にいなかったはずの美佳が突然目の前に現れたりとか。

空き地の石の近くに美佳が現れとき、俺は美佳が現れる瞬間を見た
煙がボワーンと出て登場とか、ゆっくり姿を現していくとかじゃなくて
動画のコマ送りみたいに、音もなくスッといきなりその場に現れた。

幼稚園卒業する頃にはもう慣れてきて
俺 「おお、またかよ」
美佳「あはは。まただよ」
みたいな感じになってたと思う。

美佳は、お母さんから瞬間移動することは人に言っちゃダメだって
言われたらしくて
少なくとも小学校に上がる頃には
瞬間移動後、周囲にどうやって現れたのか聞かれても
「え?さっきからここにいたよ。気付かなかった?」
みたいな感じで、誤魔化すようになってたと思う。
ただ、俺に対しては、別に誤魔化したりはしてなかった。

幼稚園の頃から、美佳のことを気味悪がるやつもいた。
「あいつとは仲良くしない方がいいぜ。
一緒にいるとよくないことが起こるんだってよ。
うちのお母さんがそう言ってたよ」
という俺の友達の言葉をまだ覚えてる。
ショックだった。

おかげで美佳は、幼稚園でも一人砂遊びしてたりすることも多かった。
一人遊びする美佳を見ると、なんか無性にかわいそうに思えて
そういうときには、俺は美佳に話しかけたりした。

よく美佳のおままごとなんかにも付き合った。
おままごとは結構な回数こなしたけど
いったい何が楽しいのかは、結局今になっても分からない。

消防のころになると美佳の瞬間移動はだいぶ少なくなったみたいで
小三か小四のころに
「最近、瞬間移動してるか?」
て聞いたら
「ここ半年ぐらいはないよ」
と答えてた。

ただ、一度立った悪い噂話はなかなか消えてくれなくて
それで、美佳は小学校でもやっぱり浮きがちだった。

美佳と同じクラスだったときは、一人机に座ってる美佳を見ると、
よく俺の方から話しかけた。

消防の頃から体も大きくて、運動神経もよかった俺は
小学校の頃は、クラスの権力者だった。
俺や美佳を冷やかすやつは実力行使で黙らせたし
美佳へのいじめが酷いなら、代わりに俺が制裁を加えてた。
そんなことを繰り返してたら、
表立って美佳をいじめるやつもいなくなった。
そんな俺に美佳も恩義を感じたらしく、
バレンタインなんかには自宅にチョコレート持って来てくれたりした。
まあ、俺の分と一緒に弟の分も持ってきてたから
深い意味なんてないのかもしれないけど。

だけど、美佳と本当に仲良くしてくれる人もなかなか現れなかった。
せいぜい、学級委員でもやってそうな人望ある女が
お情け程度に会話の相手してくれる程度。

そうは言っても、小学校になると俺にも友達がたくさん出来て
サッカーなんかにも夢中になったんで
美佳といる時間は自然に減っていった。
小学校高学年にもなると、美佳は次第に本をよく読む子になってた。

小学校に入ってから、俺が美佳の瞬間移動に遭遇したのは
放課後、校庭に誰もいなくなったときだ。

放課後、みんなとサッカーし終えた後
俺は一人、校舎の壁に向かってボールを蹴ってた。
跳ね返って来たボールをもう一度ボレーで壁に向かって蹴ったら上手くできなくて
「よし、○○回続けてボレー成功させるまでは家に帰らない」
みたいなルールを一人で設定しちゃって、
ランドセルを置いて真剣に一人遊びしてしまったんだと思う。
そうやってよく、自分に試練を課して遊ぶお子様だったから。
よく憶えてないけど、そのときもそんな感じで
つい一人遊びに夢中になっちゃったんだと思う

跳ね返って来たボールをノーバウンドで壁に返し続けるのはかなり難しくて
何回かチャレンジしてたら
ボールが壁に当たらず、
校庭の隅っこの植木の方まで転がっていってしまった。

俺が校庭の隅までボールをとりに行って戻ろうとしたら
後ろから
「キャ」
という女の小声の悲鳴が聞こえてきた。

振り返ってみたら、
ちょうどさっきボールが転がっていた辺りに美佳がいた。
パンツは膝の辺りまで下ろしてて
スカートはまくれてた。
和式便所で用を足してる最中のような格好だった。

俺 「あqwsでfrtgyふじこlp」
美佳「え??え??ケンタ?」

慌てて美佳に背を向けて「ごめん」と謝った。
美佳「ちょ・・ちょっ・・ごめん。あっち行っててくれる?」
俺 「分かった」

美佳に背中を向けて遠ざかる途中、後ろを見ないまま美佳に言った。
俺 「なあ。紙かなんか持って来た方がいいか?」
美佳「………お願い。ダッシュね」

最寄りのトイレまでダッシュして
トイレットペーパーを丸めて美佳のところへ持ち帰った。

美佳「こっち見ないで。
   後ろ向きに歩いて持ってきて」

俺が美佳のところに戻ろうとする途中、美佳が遠くから叫んだ
俺はかなり遠いところから
後ろ向きに歩いて美佳に近づいて、後ろを向いたまま紙を渡した。
美佳は植木の中に身を隠してた。

美佳「あーあ。またやっちゃったよ。最悪」
そんなことを言いながら、美佳は処理をしてた。

その後、美佳と俺は一緒に帰った。
家は隣同士だからずっと一緒だった。
そのときは、俺もいろいろ多忙になってたから
美佳とはあまり話す機会がなかった。
久々に美佳と話したんだが、結構楽しくて
夢中になって話したのを覚えてる。

そのときの瞬間移動だが、
どうも美佳は自宅で用を足してる最中
学校まで移動してしまったらしい。
だから、帰るときの美佳の履物はトイレスリッパだった。

家の前まで来て別れ際に
「今日はありがとね。
ごめんね。いつも迷惑掛けちゃって」
と美佳は俺に礼を言った。

今頃になってお礼言うなんて
もしかしてこいつ、お礼を言うタイミング探してたのか?
なんてこと考えたら、妙に美佳がかわいらしく思えた。

中学に入ると、俺は私立で美佳は公立に行ったので
美佳とも自然に疎遠になってしまった。

疎遠になったとは言っても、会えば話すし
美佳の家族と俺の家族で一緒に旅行なんかにも行ったりしたけどね。
でも、小学校低学年のときのように、
毎日話す兄弟同然の関係じゃなくなった。
一緒にいる機会も少なくなったんで
その頃は美佳の瞬間移動に立ち会うこともなかった。

この頃、美佳にも彼氏ができた。
もともと外見も性格も悪くないやつだし
妙な偏見さえなければ、そこそこいけるやつなんだよな。

その後、美佳の瞬間移動に俺が巻き込まれたのは、
高一の夏頃だ。

その日は確か夏休みの最中で、俺は家でゲームしてたんだけど
2階にある俺の部屋の窓にカツン、カツンと
小石をぶつけるやつがいた。
誰かと思って窓を開けて下を見たら
うちの庭先で、植木の影に隠れるようにして手を振るやつがいた。
美佳だ!

驚いたことに美佳は一糸まとわぬ姿で
肌を隠すようにうずくまって
泣きながら俺に向かって手を振ってた。

血の気が引いた。
美佳が性犯罪に巻き込まれたと思った。
あわてて階段を駆け下りて、美佳の元へ向かった。

俺 「どうした?大丈夫か?誰にやられたんだ?」
美佳「ちょっと、落ち着いて。
大声出さないでよ。
そうじゃなくって、またやっちゃっただけだって」

性犯罪じゃないと分かって安心した俺は
「はあ~」とため息をつきながら
その場にへたり込んでしまった。

美佳「………ねえ。座ってないで早く服貸してよ」

消え入りそうな涙声で美佳が言った。

俺 「え?あ?あ、うん。そうだな。」

そう言って俺は、自分が着てたTシャツとジャージを脱いで美佳に渡した。

取り乱すとは、こういうことを言うんだろう。
美佳のところに向かうために外へ出ようとしたとき
玄関の鍵がなかなか開けられなかった。
ツマミを回すだけでロックを解除できる簡単な鍵なのに
手が震えてツマミがなかなか回せなかった。

一度部屋に戻って帰って、
クローゼットからまだ着てない自分の服を持って来ればいいのに
俺はそんなことも思い浮かばず、
その場で自分の着ていた服を脱いでパンツ一枚になったりしてる。

サンダルも履くのも忘れて庭までダッシュしたから
庭の小石か何かで足を切ったようで、足の裏から血も出てた。
しかし俺は、足を怪我したことにさえ、しばらく気付かなかった。

とりあえず美佳を俺の家に入れて
詳しい事情を聞いた。

美佳は家でシャワー浴びてる最中に瞬間移動してしまったらしい。
移動先は、美佳の家の前の路上だったそうだ。
慌てて家に戻ろうとしたけど
1階は、玄関も窓も全部鍵がかかって入れなかったらしい。
そのときは、家には美佳しかいなかったから
中から鍵を開けてくれる人もいない。

途方にくれてしまって
自分の家の庭の隅で
うずくまって声を出さないように泣いてたら
ちょうど俺の部屋に人影があるのが見えたから
やむなく最後の手段として俺に助けを求めたそうだ。

美佳「本当、ありがとね。
   まさか泣いてくれるなんて思わなかったよ」

美佳は涙声になりながら俺に礼を言った。

どうも俺は、泣きながら美佳に駆け寄ったらしい。
そういえば、玄関の鍵がなかなか開かないとき
周囲の景色が急にぼやけてあせった気がする。
でも、そのときは自分では泣いていることに気付かなかったから
隠しようがなかった。

美佳にお礼を言われて、俺は耳まで赤くなるのが分かった。
泣くなんて、とんでもない大失態だ。
と当時の俺は考えた。

俺「まったく。まぎらわしいんだよ。
  乱暴されてもないのに、泣くんじゃねえよ」

俺は照れ隠しに悪態をついた。

美佳「むー。これでもあたし、花も恥らう女子高生だよ
   いきなり裸で路上に置かれたら、泣くに決まってるじゃん」
   半泣き半笑いで美佳は言った。

しかし、冷静になって考えてみると、結構すごい状況だ。
俺の家には、美佳と俺の二人だけ。
しかも美佳はノーブラ+Tシャツで
汗なのかシャワーのお湯なのか分からないが
とにかく白地のTシャツは濡れててかなり透けてる。

それにしても、美佳がこんなに巨乳だとは思ってもみなかった。

濡れた髪が妙に色っぽい。。。。

さっきは取り乱してて特に何も感じなかったけど
冷静になってくるにつれて、
さっき見た美佳の裸が、自然と脳裏に浮かんでくる。

これはまずい。。。

俺 「美佳んちの人、何時ごろ帰ってくんの?」
美佳「一番早く帰ってくるのは志穂(美佳の妹)かなあ。
   それでも夜7時ごろだと思う」

時計を見たら、まだ午前11時過ぎ
たしか、その日は俺の家も夜まで俺一人だけって日だった。
こりゃダメだ。
そんなに長い時間、俺の理性持ちません。

俺 「あのさ、美佳。おまえ胸のサイズいくつだ?」
美佳「え?何よ?
   突然、なんてこと聞くの?」

美佳はオーバーアクションで驚いた風のポーズをとって言った。
動いたときに揺れる胸に目線を向けないことだけで
俺は精一杯だった。

俺「いや、そうじゃなくてさ。
  俺、ブラとか買ってくるよ。だからサイズ教えろよ」
美佳「ええ?いいよ、いいよ。そこまでしてくれなくても」

美佳はまた、俺の苦労も知らずブンブンと
オーバーアクションで手を振った。
反動で胸も一緒に揺れたが、頑張って胸を見ないようにした。

俺「…でも、そのかっこはまずいよ。
  ……その……乳首透けてるじゃん」

このセリフ言うときは絶対美佳の胸を見ちゃダメだと思った俺は
美佳から完全に視線を外して言った。

美佳「え?」

美佳は慌てて胸を隠した。

美佳「………(///)
   …じゃ、お願いね。
   ………70のEだから」
俺 「え?何だよ70って?EはEカップのことか?」
美佳「……そう。EはEカップだよ。70はアンダー(///)」
俺 「え??アンダー?なんだよそれ?
   それよりおまえ、Eカップもあんの?マジで?」
美佳「………いいから早く買いに行けよ」

そんな感じで美佳から女性の下着のレクチャーを受けた。

俺が靴を履いてるとき美佳が後ろから声を掛けた。
「ケンタ、○○に行くといいよ。安いから。
あ、ワゴンに入ってる中の一番安いのでいいからね」
このときの美佳の声はすごく優しくて、
さっきのエロトークを怒ってないみたいで安心した。

俺 「分かった。そこ行く。
   とりあえずさ。待ってる間に髪乾かしとけよ
   ドライヤーとか整髪料とか、好きなの使っていいから。

   それから、俺の部屋に服用意しといたから、それに着替えとけよ
   その服、俺が着てた服だから汚いし、もう濡れてるし
   いつも俺が家で着てるやつだから、
   親が帰ってきてその格好見たら不審に思われるから」
美佳「ありがとケンタ。いろいろ悪いね」

この日、俺は生まれて初めて一人で女物ランジェリーを買うのだが
まだ恥じらいのある高校生だった俺には、想像を絶する苦行だった。
下着に触れる勇気はなく、触らないように下着を品定めしてたら
「何かお探しですか?」と店員に声を掛けられた。
今考えれば、緊張した顔して遠慮がちに下着を選んでる俺に
店員は助け舟を送ってくれたんだろうけど
当時の俺は、不審者としてこの店員に通報されるんじゃないかと思って
かなりあせった。

なんとか買ってきて、下着を美佳に渡した。
美佳「えー?上下オソロじゃん。ワゴンのやつでいいって言ったのに」
俺「え?ブラとパンツって、揃えるもんなんじゃないの?」
美佳「普段はそろえたり、そろえなかったりだよ。
へへへ。でもまあ、ありがとね」

美佳は着替えのために弟の部屋に行った。
俺は自分の部屋のベッドのへりに腰掛けて
ボーと美佳の着替え待ってた。

美佳が俺の部屋の扉を少しだけ開けて
「ケンタ?」
と俺に声を掛けた。
扉の方を見ると、少しだけ開いた扉の隙間から
美佳が目だけを出してこっちを見てる。
俺「おう、着替え終わったか?」
美佳「へへへ」

美佳はいきなり扉を全開にした。
なんと、美佳はさっき俺が買ってきたピンクのブラとパンツしか着てなかった。
恥ずかしそうにモジモジしながら、
美佳は下着姿でドアの前に立っていた。

美佳「へへへ。どう?似合う?」
俺 「あqswでfrtgyふじこl?」
俺に下着姿を一瞬だけ見せると、美佳はサッと壁の影に体を隠して
顔だけをドアから覗かせた。

美佳「へへー。いろいろお世話になったからね。サービスだよ。サービス。
   もう見られちゃってるし、これぐらいならね。
   あ、でも調子に乗って襲ったら殺すからね」


顔だけドアから覗かせながら、美佳はいたずらっぽく笑いながらそう言うと、
逃げるように弟の部屋に戻って行った。

結局、その後は何事もなく
美佳とゲームしたり、お茶飲みながら近況報告したりして
時間をすごした。

この日のことは鮮烈な記憶として俺の心に深く刻まれ
その後俺は、この日のことを後何度も回想することになる。
その後、俺が野外露出系AVに傾倒して行ったことは言うまでもない。

もし俺が本当に襲ったら、
もしかしたら美佳は抵抗しなかったのかもしれない。
でも、俺は美佳との関係を壊したくなかったし
なにより、美佳の信頼を裏切るみたいで嫌だった。

この事件後、俺と美佳は急速に仲良くなった。
小学校の頃みたいに毎日会話するようになった。
もっとも、会話手段は、高校生らしくメール中心に変わってはいたが。

高校の頃、加藤というやつから電話をもらった。
美佳が中学の頃から付き合っているという彼氏だ。
どうも美佳は、幼なじみと最近また仲良くなったことを
彼氏に話してしまったらしく
美佳の彼氏も、俺を知るところとなったようだ。

電話で加藤は、美佳のことで俺と話がしたいと言った。
もしかして俺が美佳の恋路を邪魔してんのかと思ったから
美佳と俺とは何でもないとか、いろいろ加藤に弁解した。
加藤は、そういう話をしたいんじゃなくて、
美佳の幼なじみとして相談に乗ってほしいことがあるんだと言った。
結局、喫茶店で二人で会うことになった。

加藤は美佳と中学のとき同じクラスで、高校も一緒だとのことだった。
背は高くて俺と同じぐらい。
だが、俺とは比較にならないほど端整な顔立ちだった。
切れ長の目は男の俺から見ても魅力的だ。

話を聞いたら、中学ではバスケ部のキャプテンで
高校でもバスケを続けてるとのことだ。
バスケ部らしく手足も細くて長い。
話し方も嫌味が全くなくて、スポーツマンらしい。
笑顔もさわやかで、かなり好感が持てるやつだった。

なんでこんなハイレベルな男が美佳と?
美佳もまあ、レベル的には上位なんだろうけど
この男とは明らかに釣りあってない。

加藤「実はさ、今日相談したい美佳のことなんだけど…」
自己紹介とか、俺と同じ小学校だったやつの話とか
簡単な雑談をした後
加藤は深刻な顔になって、本題を切り出した。

どうも美佳は、加藤の家に遊びに行ったときに
また瞬間移動をしてしまったらしい。
一緒に加藤の部屋のコタツでケーキを食べてて、
加藤がテレビのリモコンを探すために美佳に背を向けて
振り返ったら美佳がいなかったとのことだ。

何かの冗談なのかと思ってコタツの中とか探したけど、
部屋中探しても美佳は見つからない。
リモコン探すときに部屋のドアは加藤の視界に入ってたから
ドアから部屋を出たことも考えられない。
何があったのか分からず呆然としたそうだ。

その後5分ぐらいしたら、加藤の家のベルが鳴ったらしい。
玄関を開けてみると、靴を履いてない美佳がいて
さっきケーキを食べるときに使ってたフォークを持ったままだったそうだ。

どこに行ってたのか問いただしても
美佳は冗談を言って答えをはぐらかしたそうだ。
理由を言いたくなさそうな美佳を見て
加藤はそれ以上追及しなかったらしい。

たとえば、美佳と一緒にいるとラップ音が多いと言った。
加藤の家は鉄筋コンクリートなので
普段は家鳴りなんてほとんどない。
でも、美佳と一緒にいるときはやたらと家鳴りがするし
ときどき明らかに家鳴りの音とは違う、
人間が手を叩いているとしか思えないような不自然な家鳴りが、
かなり近い場所で聞こえたりするらしい。

それ以外に、テーブルの上に置いてあったコーラのボトルが
テーブルが揺れてもいないのに、いきなり倒れたことがあったらしい。

前々からなんとなく
もしかして原因が美佳なんじゃないかという疑念があったらしいが、
今回の瞬間移動が決定打になって、疑念か確信に変わったらしい。

「美佳のことは今でも好きだけど、でも、さすがに気味が悪くて……」
と加藤は言った。

加藤は、幼少期から美佳のことを知ってる俺に
小さい頃そんなことがなかったか、
原因に何か心当たりはないか尋ねてきた。

俺は自分が知ってることを話そうかどうか迷ったが
結局本当のことは言わず、心当たりはないと答えた。

美佳本人が加藤に言ってないのに
恋愛の当事者でもない俺が
勝手に美佳の隠したい事を話してしまう権利なんてないと
そのときは考えたからだ。

結局、俺が何か思い出したら連絡するということで
加藤とは別れた。

確かに、美佳と一緒にいると怪現象が多い。
家鳴りやパーンという何かが破裂するようなラップ音はしょっちゅうだし
変わったのでは、人が下駄を履いて歩いているような
カラン、カランという音を廊下からするのを聞いたこともある。

ちなみに、下駄の音のときは
音源と思われる廊下に通じるドアを開けたら、廊下には誰もいなくて
誰もいないのに、下駄の音だけが
廊下を抜けて玄関から出て行くように消えて行った。

目覚まし時計がスーッと音もなく机の上を滑るのを見たこともあるし、
水道のレバーが勝手に降りて水が流れ出したこともあるし、
リビングのシャンデリアがグワングワンと地震でもあったみたいに動いたこともある。

いろいろあったけど、美佳が原因なんだと思えば
俺は気に留めないことができた。

まあうっかりテレポーテーションするぐらいのやつだし、
無意識のうちにサイコキネシスとか使っても、別に不思議でもないか
と考えてた。

まだ常識というものが形成される前から美佳と接してきたためか
超能力なんて存在して当然という考えが、俺の心のどこかにある。
超能力を迷信と切って捨てるやつを見ると
口に出して否定こそしないものの、
心の中では「バカだなあこいつ」と
まるで、インチキ宗教を妄信する者を見るような目で見てしまう。

そんな俺と「超能力なんてありえない」という
社会常識がしっかり出来上がってから
美佳に接した加藤とでは
どうも持っている常識というものが少し違うんだと思った。


結局、美佳と加藤は別れた。

別れた話を聞いたとき
俺は、加藤に正直に言わなかったことを後悔した。

俺が話さなければ、
加藤は同じ小学校だったやつらからの話しか耳に入らないことになる。
そうなると、加藤の耳に入ってくるのは
誹謗中傷の尾ひれがついた酷い話ばっかりだろう
もしかして、美佳と加藤が別れる原因を作ってしまったのは
自分なんじゃないかと思って、
自分の浅はかさを悔やんだ。

美佳にそのことを一言謝りたくて仕方なかったけど
俺が謝ったら、恋人を気味悪がる加藤の冷たい目と
加藤に漏れ伝わった周囲の人々の美佳に対する評価を
美佳に再確認させる結果になって
それでまた美佳を傷つけるんじゃないかと思って
謝るのは止めておいた。

自分がスッキリするために美佳を傷つけるんじゃ
本末転倒もはなはだしい。

別れたことを美佳から聞かされた後、俺は美佳を誘ってカラオケに行った。
何曲か交互に歌った後、また美佳の番になった。
美佳の入れた曲は、イントロが終わってもうもう字幕が出始めているのに
美佳は歌い始めようとしなかった。

ふと美佳を見ると、
美佳はマイクをギュッと握り締めたまま
うつむいて静かに泣いてた。
いたたまれなくなった俺が美佳の肩をポンポンと叩くと
美佳は俺の胸に顔をうずめて、声を出して泣いた。
思わずもらい泣きしてしまったが、
美佳に気付かれないように必死で隠した。

カラオケ行く前は
「よーし。今日は朝まで歌うぞー」
なんて笑いながら言ってたのに。

美佳は、つらい時でも無理して笑うやつだ
今までの周囲の状況が、美佳をそういう性格にしたんだろう。
でも、こいつのそういうところは好きじゃない。
見てられない。

美佳が加藤に本当のことを話せなかったのも、無理はないと思う。
俺たちが住んでるところは、最近開発が進んで住人が多くなったとはいっても
まだまだ田舎らしい迷信めいた考えを持ってる人が多くいるところ。
建物は新しくなって、舗装路や街灯も増えたけど
人間はあまり変わってない。
近くの部落で殺人事件が起こってからは、みんな戸締りするようになったけど
小学校の頃は、一家全員出かけるときも戸締りなんてしなかった。

俺たちの親の世代は、神隠しを信じてる人も多かったし
狐が人を化かすということを未だに信じている人も多い。
俺の父親もそうだ。
なぜなら、俺の父親も、狐に化かされた本人だからだ。
そんな土地柄も手伝って、美佳はずっとつらい思いをしてきた。

みんなで美佳の友達の家に遊びに行ったときも
美佳だけが、その子の家に入れてもらえなかったこともあるって
前に美佳が話してくれた。

美佳を追い出した親からすれば、自分の子だけは
なんとしても神隠しの巻き添えになるを避けたかったんだろう。
親の気持ちも分からないこともないが、
罪もない子どもを必要以上に恐れる大人たちの態度には憤りを感じる。

幼少期からそんな感じだったし、
それが原因で同級生からいじめられたりもしたから、
自分が普通の人とは違うことを知られるのを、美佳は恐れている。
加えて、振られるかもしれないという恐怖が加われば
美佳の性格を考えれば、話すことはできないだろう。

実際、超能力者にしろ、ラップ音にしろ、ポルターガイスト現象にしろ
それほど恐ろしいものじゃないと俺は思う。
ラップ音だって「うるさい」という以外に
何か困ったことがあるのだろうか。
ポルターガイスト現象で物が勝手に動いたら、「片づけが面倒」という以外に
何か不都合があるのだろうか。

そういうものをいかにも恐ろしいものであるかのように話し
他人の恐怖心を煽って喜んでるやつらを見ると憤りを感じる。

そういうやつらの勝手な妄想の吹聴してるおかげで
苦労してるやつが、俺の近くにいる。
そういうやつらが面白おかしくオカルト話をして楽しんだために
美佳のようなやつが世間から偏見の目で見られ
孤独を味わうはめになってる。

「おまえら、そういうことはほどほどにしろ」
この一言が言いたくて、この話しを書いた。
後悔はしていない。





↑このページのトップヘ