【閲覧注意】怪談の森【怖い話】

当サイト「怪談の森」は古今東西の洒落にならない怖い話~ほっこりする神様系の話まで集めています。 随時更新中!!

カテゴリ: 雷鳥一号




848 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2012/06/30(土) 19:18:43.65 ID:pL6kuC5u0

先輩の話。

一人で山を歩いていると突然、気分がどうしようもなく高揚したのだという。
先輩はまず自分の歩くペースを乱さない人で、常に冷静な性格だったのだが、
何故かその時は、全力で何処までも走りたくなったのだそうだ。
「わはははははは!」と高笑いを響かせながら、普段は出さないような凄いスピードで山道を駆け出した。
自分でも不思議なことに、とても身体が軽く、急勾配の上り坂でもまったく
駆ける速度が落ちない。そのままどんどんと、自分でも信じられない速度にまで加速していく。
堪らない快感だったという。
岩場を飛ぶように駆け上った時には、まるで天狗にでもなった気がした。
岩に取り付いていた登山者が、目を丸くして先輩を見ていた。

848 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2012/06/30(土) 19:18:43.65 ID:pL6kuC5u0

そんな感じで全力疾走しているうち、意識を失ったらしい。
電球が切れるように、パッと意識が途切れたそうだ。
気が付けば先輩は叢に倒れていて、誰かに介抱されていた。
「やぁ目が覚めたね。身体は大丈夫かい?」
身体の節々が痛かった。限界近い力で全力疾走したような感じ。



849 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2012/06/30(土) 19:22:38.89 ID:pL6kuC5u0

礼を述べながら話をすると、世話してくれていたその人は、岩場で追い越した登山者だったとわかった。
「驚いたよ、僕の頭の上をタッタッタって飛び越えていくんだから。どこかの修験者か山伏かと思ったよ」
そう彼に言われた先輩は、
「山を歩いていると、突然全力で走りたくなったんです。でも何故そんな気持ちになったのか、全然わからない。あんな飛ぶように走るのなんて、自分には絶対できない筈なんです」
そんなことを訴えた。
その人はニコリと笑って答えた。
「山に呑まれたね。天狗にでも憑かれたかな。身体に無理させているだろうし、しばらく休んでから下りるとしよう」

結局、下山するまで一緒に行動してもらったのだという。
何度も礼を述べ、ペコペコと頭を下げてから別れたそうだ。

「迷惑掛けちゃったけど、本当に助かったよ。あれ以来、薬とか栄養剤とか、そちらの装備にも気を使うようになった。山に呑まれた後で目が覚めた時、傷だらけだったり疲労困憊だったりしたら大変だしな」
幸いにも先輩はその後、山に呑まれてはいないそうだ。









20 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/05/03(水) 03:12:56 ID:0RIA4a450
知り合いの話。

彼の祖父は焼き場守をしていた。
別に志願した訳でなく、単に焼き場が実家の持ち山にあったからなのだと。
祖父が言うには、そこで人以外の物を焼いたことが、一度だけあるのだという。

ある時、中年の夫婦が「焼いてほしい」と、その前年に死んだ一人娘の振り袖を持ち込んだ。
遠くに引っ越すのだがある事情で持っては行けない、かと言って捨てるというのも気が引ける。
この村で焼いて供養したい、そう夫婦は言った。
綺麗な袖を燃してしまうのはちょっと抵抗があったが、断わる理由もないので引き受けたという。

異変が起こったのは、衣全体に火が回ってからだった。
赤い炎の間から、何本もの蒼白い手が伸び上がって宙を掻き毟りだしたのだ。
祖父は目を剥き慌てたが、夫婦はえらく落ち着いていた。
何か悟ったような、いや諦めたような目をしていたので、とても問い質すことは出来なかった。

伸び出た手は、あっという間に燃え尽きて灰となり、崩れて消えた。
夫婦は灰を少しばかり壺に詰め、礼を言って村を去ったという。

焼き場で実際に魂消たっていうのは、後にも先にもあれだけだったよ。
そうお祖父さんは話してくれたそうだ。









234 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2011/06/16(木) 19:20:34.94 ID:su66lpZA0
友人の話。

幼い頃、山中の実家へ遊びに行った時のこと。
祖父と一緒に庭で竹馬に挑戦していると、不意に背後で異音がした。

べしゃりっ

振り向いてみたが、何も黒土の上には確認できなかった。
気を取り直して竹馬に取り組み直したが、しばらくするとまた同じ音が聞こえた。
何度も聞こえると流石に無視出来なくなり、祖父に「変な音がする」と訴えた。

「ありゃよく熟れた柿が落ちる音だ。心配要らん。
 お前は聞いたことがないから知らんだろうが、儂には懐かしい音でな」

祖父はあっさりとそう答えた。


235 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2011/06/16(木) 19:21:52.64 ID:su66lpZA0
そして庭の一角を指し示す。

「ほら、あすこに切り株があるだろう。
 昔はでかい柿の木が生えていたんだ。
 虫や病でボロボロになったんでな、何年か前に切り倒したんだよ。
 でも何故かそれからも、柿の実が落ちる音だけは聞こえ続けてる。
 柿の季節でもないのに音がするところを見ると、柿も迷っているのかもな」

迷っているって?

「成仏できてないってことだ。
 耳がないから、ありがたい御経も届かんのかもしれん」

成人した今でも時々、べしゃりっという音を聞くと彼は言っていた。








452 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2013/06/13(木) 19:51:00.65 ID:zgn3WDW30
知り合いの話。

仕事で山に登った折、奇妙な物を見つけたのだという。
森の中にちょっとした広い場所があって、そこに綺麗な白壁でできた塀が三十メートルほども続いていた。
彼の背よりもかなり高く、その下半分は見事な海鼠壁で仕上がられており、
一目で手間が掛かっているとわかる代物だった。
「こんな山奥に住んでいる人がいるのかな?」
好奇心を抑えられず、塀に沿ってぐるりと回ってみた。
四辺を一周して、思わず唖然とする。
「おかしい。どこにも入り口や門がない。
 内部にはどこから出入りするというんだ?」
その時、塀の向こうでガサリと音がした。
誰かが乾いた下草を踏みしめたような音。
音が聞こえたのは一瞬で、すぐに元通り静かになる。


453 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2013/06/13(木) 19:52:05.48 ID:zgn3WDW30
突然、全身が寒気に襲われた。
息を殺しながら、塀に沿って移動してみる。
歩を合わせるように、ガサリガサリ続けざまに音がする。
彼が足を止めると、音もぴたりと止まる。
まるで何者かが塀を挟んで、彼の後をつけているかのように。
怖くなり、そこから逃げ出すことにした。
幸い、塀から離れる方へ歩く分には、音はついてこなかった。
振り向いて確認することは出来なかったそうだ。
振り向くと何かが塀を乗り越えてきそうな気がして。

無事に山を下りた時には、安堵のあまりへたり込んでしまったという。
以来彼は、山の中でおかしい物を見ても、自分からは近よらないようになったのだそうだ。







154: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 投稿日:2013/05/21(火) 20:29:49.74 ID:DKYMwAuh0
知り合いの話。 

丑の刻参りがあるという神社へ、友達三人で肝試しに行った。 
山奥にあるその社の境内へ車を乗り入れたところ、まるで釘を打っているかのような 
コーン、コーンという音が本当に聞こえてきた。 
恐る恐る音のする方を見てみると、ぼんやりとした灯りが暗い林の中で揺れている。 

「どうする、近くに寄ってみるか?」 
「止めとこうよ、これ洒落じゃ済まないよ!?」 
そんな押し問答をしていると、コーンという音がピタリと止んだ。 

皆、慌てて車に乗り込むと、その場から逃げ出したのだという。 

その数日後、彼は激しい痛みに襲われた。
下腹部が猛烈に痛み、酷い血便が出て歩くことすらままならない。
病院へ担ぎ込まれ診察を受けると、仰天するようなことを言われた。
「大腸の途中に何か細長い尖った物が入っている」と。

すぐに手術を受けたのだが、取り出された物は、まだ真新しい釘だった。
全部で三本出てきたという。
「何処でこんな物を呑み込んだの?」と医者に問われたが、彼にそんな覚えはない。
ただ、理由はないが「……あの時の丑の刻参りの釘だ……」と感じたのだという。
話を聞いて見舞いに来た二人の友人も、青い顔をして同意したそうだ。

「あの類いって、人に見られたらいけないんだっけか?
 でも三人も居たっていうのに、何で俺だけ呪われたんだろうなぁ……」
冴えない顔で彼はそうボヤいていた。

156: 本当にあった怖い名無し 投稿日:2013/05/21(火) 21:18:36.02 ID:4h4oOjpHP
>>154
ガキの頃、塾帰りに通り道の神社の敷地内の林の中で何か白い物が見えた。
友達3人と恐る恐る近づいてみると白装束の女性が藁人形を大木に打ち付けていたのが見えたんだ。
その瞬間その女性が振り返り、何かを叫びながらこちらに向かってきたので
必死こいて自転車で逃げたことがある。

後から知ったがあの類は見られちゃいけないそうだね
今でも友人と集まるとその話が出るが、まじビビッタよw
と同時に今思うとその人がちょっと気の毒に思える。
色んな意味で

159: 本当にあった怖い名無し 投稿日:2013/05/21(火) 22:14:26.56 ID:raeUMSMvO
雷鳥さん、乙です

>>154
異物吐き出すって西洋のオカ話みたいですね
エクソシストとか
日本のオカ話だとなぜか記憶にないですよね
なんでかな?

192: 本当にあった怖い名無し 投稿日:2013/05/22(水) 21:11:37.59 ID:oc0KoJtZ0
>>159
昔、フィリピンの心霊治療師っていうのがありましたな。
病気の人の躯をこすっていると、その体内から錆びた釘とかが出てくるの。
釘が抜けた人は凄く元気になるってな話だったけどね。

・・・抜かれた釘はどこへ持って行かれてどうなったんだろうと、少し気になる。

165: 本当にあった怖い名無し 投稿日:2013/05/22(水) 07:13:38.40 ID:0adsArQH0
>>154
そんな能力あるならいちいち丑の刻参りとかせんでも
相手不幸に出来そうなのに…

168: 本当にあった怖い名無し 投稿日:2013/05/22(水) 08:49:46.76 ID:vcMiWEHYO
>>154
釘が三本……
友人の分まで引き受けちゃってますなー
何でだろう?

191: 本当にあった怖い名無し 投稿日:2013/05/22(水) 21:05:36.29 ID:oc0KoJtZ0
>>168
本当かどうかは知らぬが、呪いを受けやすい体質ってのがあるらしい。
個人的には、プラシーボ効果が出やすい人と同様なのかなぁ、と思ってる。




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