【閲覧注意】怪談の森【怖い話】

当サイト「怪談の森」は古今東西の洒落にならない怖い話~ほっこりする神様系の話まで集めています。 随時更新中!!

カテゴリ: 雷鳥一号





187 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2005/04/29(金) 14:11:26 ID:xl286xks0

知り合いの話。

彼の実家の近くに小さな山があり、そこには小さな神社がある。
今にも森に埋もれそうな寂れた神社なのだが、なぜか礼拝客は意外と多い様子。
先日里帰りした折にふと思い出し、何の気なしに足を伸ばしてみた。

187 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2005/04/29(金) 14:11:26 ID:xl286xks0

一歩境内に足を踏み入れギョッとした。
境内中の木という木に、履物の類が打ち付けてあったのだ。
それこそ数え切れないほどの、靴やサンダルといった履物が。
異様な雰囲気に堪らず、逃げるようにして即帰ったという。



187 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2005/04/29(金) 14:11:26 ID:xl286xks0

後でその手のことに詳しい人に聞いてみたのだが、
その神社は俗に足止め神社と呼ばれ、ある筋ではかなり有名なのだそうだ。
そこで履物を使って呪をかけると、
その履物の主は、旅行に出たり引っ越したりといった行動が取れなくなってしまう――文字通りの足止めだ。

彼が見た中には、幼子の靴も数多あったらしい。
一体どんな事情があったのか。考えているうち鬱になったという。
「現代でもああいうことを信じてすがる人が、あんなに大勢いるんだな」
彼は最後にぽつりとつぶやいた。






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762 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/11/17(火) 18:25:37 ID:5s8Q8HvZ0
友人の話。

彼の連れに、いわゆる“見える人”がいるのだという。
二人で山奥の神社へ出掛けた折に、その連れが境内の一角をじっと見つめたまま動かなくなった。
「何か見えるか?」そう尋ねたところ、連れは短く答えた。
「肉がいる」
何だそれはと問うてみたが「肉は肉だ」と、それしか答えない。
しつこく問い質すと、桜色をした肉の塊が境内の隅を這っているのだという。
引き攣った友人の顔を見て、連れは息を一つ吐いてから続けた。
「大丈夫、悪いモノじゃないと思う。
 時々、烏や犬がかぶり付いているから、毒もないんじゃないかな。
 古い神社には割といるんだ、あの肉。
 初詣の後なんか明らかにブクブクと大きく育ってる。
 ひょっとしたら、人が吐き出していった願い事や悩み事を喰ってるのかもね。
 それを鳥や獣が更に喰らう。
 いわゆる浄化ってやつなのかな、そう思うよ」

それからというもの、彼は悩み事が出来るとその神社へ参拝するようになった。
柏手を打ってしばらくすると、不思議に頭がスッキリとするのだそうだ。
「ああいった話を聞いた後だから、単に思い込みなのかもしれないけど。
でも言われてみれば、確かにあの社、妙に烏が多いんだよな」







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351 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/10/03(土) 18:43:47 ID:9SNNAnnl0
知り合いの話。

彼の祖父はかつて猟師をしていたという。
遊びに行った折に、色々と興味深い話を聞かせてくれた。

「昔、時々連んでた鉄砲撃ち仲間がいたんだけどな。
 大分前に死んじまった。
 山に入っている時、誰かに鉄砲で撃たれてな。
 ああ、当然警察沙汰になった。
 あの時そこらの山に入っていた者が皆、取り調べを受けたりしたよ」

しかし事件は、調べが進むうちに奇妙な運びになったらしい。

「あいつの身体から出てきた鉄砲の弾なんだけどな、あいつが持ってた鉄砲から撃たれた弾だったんだと。
 旋条痕とやらが一致したらしい。
 おかしいんだよな。
 一緒だった奴らの話じゃ、あの日あいつは一発も撃ってないってんだから。
 明らかに余所の方角から撃たれたっていうし」

その時の同行者たちはしつこく取り調べを受けたのだが、皆がシロと判断された。
結局、この件は事故として処理されてしまったという。

「そのうちにな、別の仲間がおかしなことを思い出したんだ。
 『そういや前に飲んだ時、あいつ変なこと言ってたなぁ』って。
 死んだ奴な、その数ヶ月前に、あの山で変なモノを撃ってたらしいんだわ。
 大きくて真っ黒い、猿みたいな何かを。
 儂が思うに猿じゃないと思うけどな。
 地べたを二本足で歩いてたっていう、奴の話が本当ならばな。
 撃ったら倒れたんで駆けよってみたが、そこにゃ何もなかったんだとさ」


352 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/10/03(土) 18:45:21 ID:9SNNAnnl0
ここまで語ると、祖父さんは「ところでな」と話を変えた。

「返し矢って知ってるか?」

「この辺りじゃ弓矢の時代から言われとる、まぁ一つの古い呪いみたいなモンだ。
 射かけた矢を取られて逆に射返されるとな、これが絶対に命中すると言うんだ。
 だから返し矢。
 他の地方でもあるかどうかは知らん。
 弓矢を主に使ってた頃は、当たらなかった矢も出来るだけ回収してたそうだよ」

「猟師内じゃ『あいつ返し矢をされたんじゃないか』って噂されるようになった。
 誰にかって?
 あいつに撃たれた奴に決まってるだろ。
 正体なんかわからんがよ」

「儂自身は返し矢とか、実のところ信じちゃいないけどな。
 ・・・案外と、大きな声じゃ言えねえ裏事情とかがあったのかもしれんし。
 まぁ何にせよ、人型のモノに矢鱈目鱈と撃ちかけるモンじゃねぇってことだ」

ここで酒を呷ると、祖父さんは話を締めくくった。






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337 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/08/22(土) 20:02:07 ID:E11gwc8I0
知り合いの話。

アメリカに留学していた時、学友がトレッキングに連れて行ってくれたという。
草木もまばらな岩山を通り抜けている時、ガイドが徐に石を拾い上げた。
「面白いものを見せてあげよう」と、いきなり石を斜面上方の岩に投げつける。
 キャンッ!
石が当たるや、岩はまるで犬のような鳴き声を上げた。
次の瞬間、岩は尻尾をフサフサさせた狐に姿を変え、斜面を駆け上り逃げ去った。
「丸くなったあいつに全然気が付かなかったろう?
 ああやってトレッカーに近よっちゃ、食べ物を掠めていくんだ」
笑うガイドの説明を聞きながら、友人と二人首を傾げた。
逃げていく姿を見た感じでは、狐の毛色や様子は辺りの岩肌とかなり違っていた。
それなのにどうして気が付かなかったんだろう?
「びっくりだ。狐はアメリカでも人を化かすんだぜ」
彼は大真面目でそう教えてくれた





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373 :雷鳥一号:03/11/29 23:11

知り合いの話。

もうずっと前の話だが、村はずれの山に、猿使いのお爺さんが住んでいた。
猿をまるで召使のように使いこなし、仕事やお使いをさせていたらしい。
誰からともなく、その家の者を猿使いと呼ぶようになったのだという。
その一族は、代々猿を使役していると伝えられていた。

373 :雷鳥一号:03/11/29 23:11

知り合いがまだ子供の頃、父親と一緒にお爺さんを訪ねたことがあるという。
お爺さんは手土産の日本酒を受け取ると、猿にそれを渡して早口で何か伝えた。
少しすると屋敷の奥から、猿が熱燗につけた酒とつまみを持って来た。
親子で驚き感心していると、お爺さんはぶっきらぼうに言った。
「これは飛猿といって、うちの家に伝わる呪法みたいなもんだ。良くねえことだ」



373 :雷鳥一号:03/11/29 23:11

しばらくして、お爺さんは亡くなった。
いつも傍に控えていた猿は、いつの間にかいなくなっていた。

お爺さんは、山奥の無縁墓地に葬られた。
守をする人などいないはずなのに、墓はいつもきれいに掃除されていたという。
つい最近まで、命日になるとその墓に、花とビワの実が奉げてあったそうだ。







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