【閲覧注意】怪談の森【怖い話】

当サイト「怪談の森」は古今東西の洒落にならない怖い話~ほっこりする神様系の話まで集めています。 随時更新中!!

カテゴリ: 雷鳥一号




738 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/09/02(水) 20:41:06 ID:ON983g1M0
山仲間の話。

水筒を空にしてはいけない山があるのだという。
そこにはカサフカシと呼ばれる物の怪がいて、空の水入れを見つけると、その中身を濁った泥水で満たしてしまうからだという。
水が少しでも残ってさえいれば、カサフカシは何も悪さをしないのだそうだ。

彼はそこに登っている時、うっかりと水筒を空にしてしまった。
しかしいつまで経っても水筒は空のまま、一向に満たされる様子はない。
ま、単なる言い伝えだしな。

そのまま無事に山を下りたのだが、家に帰ると、果たして水筒が重くなっていた。
一体いつの間に?
不思議に思いながら中身を確認すると、嫌な臭いのする泥水で一杯にされている。
久しぶりに人が来たんで、カサフカシも頑張っちゃったのかな。
そんなことを考えた。

しばらく前に再びその山に登ったらしいが、その時はワザと水筒を空にしてみた。
しかし水筒に異変はなく、結局家に着いても空のままだった。
カサフカシ、もう居ないのかな。
少し寂しくそんなことを考えたという。




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15 :雷鳥一号:03/12/17 18:25
私の体験した話。

仕事で、ある山奥の集落に行った時のこと。
現場の近くで、おかしな歩き方をする野良犬を見かけた。
その犬は右の前足を失っていた。

昼時になり弁当を食べていると、別の犬が現れた。
これも右前足を失くしており、可哀想に思っておかずを少しわけてやった。
すると匂いを嗅ぎつけたのか、他の野良犬が三頭現れた。
どれも一様に同じ足を失っていた。
犬たちは喧嘩することもなく、おとなしく餌を分けあっていた。

結局、帰るまでに十頭近くの犬を見かけたが、全て右の前足を欠いていた。
うち四頭は、鎖で繋がれた飼い犬だった。
集落の人にそれとなく尋ねたのだが、皆ニコリと笑って、
「事故にでもあったのだろう」と、判で押したように答えてきた。

少し後に再訪したが、その時は怪我をした犬の姿は一頭も見当たらなかった。
あれは偶然だったのだろうかと、今でも不思議に思っている。


45 :オニよりギン:03/12/17 23:25
>>15
一番理由が簡単に説明できそうで、一番イヤな類いの話かも。
絶対に人間が絡んでいるよね、それ。


47 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/17 23:38
『犬の右前足は、あなたに幸運をもたらすお守りです!』
その村では、キーホルダーかなんかに繋げておくのが流行っていたのかも。
それ以外の理由を思い付きません。


51 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/18 00:12
>>47
神への捧げ物をあらかじめ不具にしておく…ってヤツだったりとか…
ただ人間を片目片足に…って話は読んだことがあるけど、動物の場合もあるのかな?


54 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/18 00:23
>>51
私もそれ思いだした。

>>動物の場合もあるのかな
小説に出てきた話で恐縮なんだけど『岡山女』で、
神への供物にする魚の目を潰しておくっていうのがあったので、
そんな風習のある村も存在するのかもしれない。






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294 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/01/03(火) 15:49:33 ID:hwQVSGoq0

知り合いの話。

 

彼が氏子をしている神社では、
毎年大晦日から元旦にかけて「再誕の儀」と呼ばれる行事が執りおこなわれる。
氏神の再生を祝う神事だということだ。
氏子以外の者は入れずに進行し、
儀式が終わると社は開放されて、一般客の初詣が始まる流れであるらしい。

 

 

294 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/01/03(火) 15:49:33 ID:hwQVSGoq0

儀式自体はそのようなものだと思うのだが、
彼にはどうにも一つ、腑に落ちない決まりがあった。
再誕の儀の間、決してその場にいる者の頭数を数えてはいけないというのだ。
なぜかという理由は誰も教えてくれない。

 

それである年、こっそりと数えてみたという。
何の問題もなく数え終えたが、どこかおかしい。
そこにいるのは見知った顔ばかりの筈なのに、名前が出てこない者がいる。
何度か数え直した彼は更に混乱した。数え直す度に人数が異なっているのだ。
妙に疲れてしまった彼は、数えることを止めてしまった。

 

 

294 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/01/03(火) 15:49:33 ID:hwQVSGoq0

今では彼も古参の顔となり、新しい氏子から色々聞かれる立場になっている。
しかし、例の掟について聞かれた時は、笑って誤魔化すという。
「新人君も、そのうち何も聞かなくなるから。
 こっそり自分で数えてるんだろうな、やっぱり」
そう言って彼はこの話を締めくくった。

 




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296 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/01/03(火) 15:53:34 ID:hwQVSGoq0

知り合いの話。

 

造り酒屋をしている彼は、毎年の初めに、地元の神社に新酒を寄贈している。
新年の儀が終わると舞台に青い養生シートが引かれ、
その上で彼が持ってきた樽酒を木槌で開き、詣で客にお神酒として振る舞うのだという。

 

 

296 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/01/03(火) 15:53:34 ID:hwQVSGoq0

ある年、木槌の勢いが強すぎたか、酒が大量にこぼれたことがあった。
慌てて拭き取ろうとした彼の目の前で、酒はスーっと独りでに流れ始めた。
真横に一直線。そのまま舞台横まで、素早く流れて落ちる。

 

驚いている彼に氏子のお爺さんが言った。
なに、山へのお裾分けだ。気にするな。

 

 

296 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/01/03(火) 15:53:34 ID:hwQVSGoq0

酒がこぼれた筈のシートの上は濡れておらず、舞台横の地面も同様だった。
山から何か下りて来ていたのかな。そう彼は不思議そうに口にした。

 





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367 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2013/04/05(金) 17:47:53.24 ID:LXc+rWY50
山仲間の話。

彼が友人であるN君と二人で、夜の山を登っていた時のこと。
月明かりでボンヤリと照らされた山道を辿っていると、前を進んでいたN君がいきなり足を止めた。
「どうした?」と呼び掛けたが、返事がない。
「おいどうしたんだよ、Nってば!?」肩に手をかけ、強引に振り向かせる。
その顔はまったく見覚えのないものだった。
硬直した彼に向かい、そいつはニヘラと薄く嗤って答えた。
「Nって誰だ?」
悲鳴を上げると、後も見ずに逃げ出した。
背後から不気味な嗤い声が届いたが、幸いにも後は追って来ないようだ。
嗤い声は段々と小さくなっていく。
足下も確かでない山道を転びながら走っていると、唐突に誰かに抱き止められた。
「おい、何やってんだ!?」
彼を抱き締めて大声を上げる男性、その顔は間違いなくN君のものだった。
我に返ると、腰が抜けたようになってしまい、その場に崩れ落ちたという。

その直後、N君に聞かされた話。
「ふと目が覚めたら、隣の寝袋が空になっていてさ。
 雉でも撃ちに行ったのかと思ったが、いつまで経っても帰ってこない。
 気になって捜しに出たら、上の方からお前が叫びながら走って下りてきたんだ」


368 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2013/04/05(金) 17:48:29.26 ID:LXc+rWY50
そう聞かされて落ち着くと、ようやくまともに物事が考えられるようになった。
そうだった。
二人はこの少し下場にテントを張り、夕食と酒を楽しんでから就寝したのだった。
しかしそこまで思い出したものの、何故眠っていた筈の自分が寝袋を抜け出して、
得体の知れない誰かと一緒に夜の山を登り始めたのか、まったく記憶にない。
……気が付いたら、二人で夜の山道を歩いていた。
先導する何者かをN君だと思い込んで……思い込まされて?
二人して顔を見合わせたが、どちらの顔も白くなっていたという。
テントまで駆け戻ると、消していた焚き火を再び起こし、杖をしっかりと持って寝ずの番をすることにする。
とても意識を手放す気にはなれなかった。

幸いその後は何も変わったことは起きず、無事に朝を迎えた。
慌ただしく荷物を片付けると、予定を切り上げて一目散に下山したそうだ。




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