【閲覧注意】怪談の森【怖い話まとめ】

当サイト「怪談の森」は古今東西の怖い話~ほっこりする神様系の話まで集めています。 随時更新中!!

カテゴリ: 風習&信仰



モッツァレラ人@特選怖い話:2019/09/23 18:22 ID:5Jv1BLS.

これは私が前に住んでいた地域で起きた
恐怖体験についてのお話です。場所はお伝え出来ませんが、○○村と致しましょう。皆様のお気に召すか分かりませんが……お聞きください。

私が昔住んでいた○○村は、近隣の町から見ても、ド田舎でした。辺り一面田んぼで、よく言えば自然が多く、美しい場所でした。
人口はたいして多くなく、子供も少なかったわけで、私が通っていた小学校の全校生徒は僅か十人ほどでした。
小さい頃の私は、肝っ玉が小さく、臆病者した。ですから、怖い話もなるべく聞かないようにしていたんです。
あるとき(私は十歳でした)、私は一人で下校していたんです。その日は友達が風邪を引いて休んでおり、その子といつも一緒にいた私はボッチになってしまいました。一人で夕暮れ時に下校していると、向こう側から誰か歩いてくるんです。一面田んぼでしたから、余計にその人が目立って、「ん?」と思いました。
私の下校路は、基本的に田植え用の麦わら帽子だったり、長靴だったりを履いてる人をよく見かける道でした。だから、その人は帽子も被っていなかったし、長靴も履いているように見えず、「珍しいな」と思ったのです。
向こう側から私の方へと歩いてくるわけですから、当然お互いの距離は縮みます。それで、すれ違う、と思った時に、その人は私の横で止まったんです。
それで、私の方を振り向いて、
「アレが、くるよ」
と言ってきました。
「アレってなに?」と聞くと、何も答えてくれませんでした。
その人はそのまま、何も言わずにどこかへ行ってしまったんです。
「なんだったんだろう」と思いましたが、そのままその日は帰りました。

次の日、友人のAちゃんの風邪が治って、学校に登校してきて、昨日の夕方の出来事を話したんです。
それで、Aちゃんが「どんな格好してたの?」と聞いてくると、これがなぜだか答えられなかったんです。明らかに帽子も、長靴も身につけていなかった。けれど、どんな顔をして、どれくらいの身長で……などなにも思い出せなかったんです。
好奇心旺盛なAちゃんは、「その人に会ってみたい」と言い出して、私は不思議と思い出せないことに、だんだん怖くなってきたのに、結局その人を見よう、という結論に落ち着いてしまいました。

放課後一緒に帰って、その人と会った場所で二人で待ってました。
ずっと待ってたんですが、現れなかったんです。もうそろそろ帰ろう、と話し合っていると、その時でした。向こう側から来たんです。その人が。
Aちゃんは興奮してましたが、私はとても怖かったことを覚えています。
その人が私たちの隣に来ると、こう言いました。
「アレが、きた」
昨日は「アレが、くるよ」だったのに、今日はとうとう来てしまった。
その人は、そのまま通り過ぎると思って、私たちはその場に立ち尽くしていました。そのまま前を通り過ぎる、と思ったその時、その人は震え始めたんです。
いえ、なんと表現したらいいのか……壊れた人形のような、首をガクガクと震わせ、体全体もそれに呼応するように大きく跳ねていました。
「アレが、ア、ア、アレ、アレ、アレが、きたきたきたきたきたきたきたきたきたきたきたきたきたきたきた」
と、ずっとそうしているものでしたから、私たちら怖くなって、全力疾走で家へと帰りました。もちろん、後ろなど振り返らずに。
今思えば、家に帰ってから家族か誰かに相談すればよかったんです。でも、しませんでした。怖くてそれどころじゃなかったからです。
家族は私の怯えっぷりに「どうしたの?」と何度も聞いてくれましたが、私はなにも答えず、その日はすぐに布団に潜り込みました。

さらにその翌日、私とAちゃんは昼休みに二人で話してたんです。もちろん、昨日のことについて。
「昨日のこと、誰かに言った?」と私が聞くと、「ううん、誰にも言えなかった」と返事が返ってきました。
まあ、そりゃそうだろうな、と思ったわけです。それで、昨日のようなことは懲り懲りだと、今日は違う道から帰ろうと提案したんです。
しかし、Aちゃんは違いました。
「もう一回だけ、あの道で帰ろう」と言ってきたんです。
私は驚いて、
「嫌だよ、怖いもん」と返しましたが、1回だけ、今回で終わり、と何度も言われて、私の方が折れました。
Aちゃんは好奇心旺盛で、一度気になると自分で確かめたくなる質でした。
Aちゃんはその人とコンタクトを取ってみたいと思ったのでしょう。私も止めればよかったと、何度も思いました。

その日の帰り道、二人でまた待ちました。けれど、私はこの時、もう怖くて仕方なく、震えっぱなしでした。
「怖いよ、やっぱりやめない?」
と何度もAちゃんに言いました。しかし、Aちゃんは、怖いからこそ知りたいんだ、みたいなことを言って、また、「怖かったら先に逃げていいよ」とまで言ってきました。
昨日のあの人は、目の前で震えるだけで私たちに何もしてこなかったので、今回も危害は加えないだろうと踏んでいたようです。
道の脇の方で、道の内側を向いて待っていると、その人は、やっぱり来ました。
向こう側から歩いてきて、距離を詰めてきて、この時の私は心臓が張り裂けそうでしたね。
それで、真ん前まで来ると、その人は止まりました。
そして、こう言いました。
「アレが、たべにきたよ」
と言った瞬間、また震え始めたんです。
アレとは何か? たべにきた、とはどういうことか? 訳が分からず、けれどもう限界を迎えていた私は逃げ出してしまいました。
走って、走って、足の遅い私がようやく……五十メートル程でしょうか。それくらい離れた時に、Aちゃんのつんざくような叫び声が聞こえたんです。
驚いて振り返ってみると、その人が、Aちゃんを『食べていた』んです。
どう形容すれば良いのか分かりません。その人――――いえ、人なのか、もはや分かりませんが、ソレは間違いなく、『口のようなもの』でAちゃんを捕食していました。少なくとも、私の目にはそのように写ったんです。

そこから先は、どのように帰ったのか分かりません。分かりませんが、気がついたら家中ドタバタ騒ぎでしたね。
後に聞いた話では、私は家に帰ってくるなり、出迎えてくれた祖母に、
「アレが、来た!アレが、Aちゃんを食べちゃった!どうしよう、どうしよう!私、私……逃げちゃった……」
と何度も言っていたようで、それを聞いた祖母は今まで見たこともないような怖い顔をして、私の頬を引っぱたき、
「どこでAちゃんは食べられたの!?」
と聞いていたらしいです。
私が場所を伝えると、急いで近隣の住民を連れてその場所に行ったらしいですが、そこには、もう何もありませんでした。
(私には当時五つ上の兄がいて、その兄が教えてくれました)

怖いのは、その後です。
次の日の朝に、私が祖母に
「Aちゃんは、どうなったの?」
と聞くと、こう言われました。
「Aちゃん? どこの子? そんな子、いたかしら?」
初めは何を言っているのだろうと思いましたが、母に聞いても父に聞いても、友達に聞いても、誰もAちゃんを知らないんです。
いえ、まるで、最初からAちゃんなどいなかったかのように、Aちゃんが座っていた席も、ロッカーも、名簿からも無くなっているんです。
ならば、と思ってAちゃんの家に行ってみると、
「Aちゃん? えっと、どこの子かしら?私の家に子供なんていないのですが……」
と言われました。
もう、わけが分かりません。
私だけが、Aちゃんを唯一知っているのです。

それから直ぐに、私は引っ越しました。
理由は父の転勤という事を母から聞きましたが、私は違う気がします。
たぶん、アレが関係しているんだと思います。
それから、アレがどうなったのか、○○村がどうなったのかを、私は知りません。○○村のことは、家族内でも禁句になってしまったのですから。
ですが、どうしても気になって、中学生の時にこっそり、両親が持つ電話帳を盗んで○○村に住む祖母に電話をかけました。
以下は「私」と『祖母』の会話です。

「もしもし、久しぶり。いきなりごめんね。でも、聞きたいことがあって」
『うん』
「私が引っ越したのって、アレが関わってたの?父さんも母さんも、何も話してくれなくて」
『ああ、そうだよ。アレが、次はアンタのところに来ると思って、引っ越してもらったの。私たちが住んでいた家も恐らく嗅ぎつけていただろうから』
「アレって、何だったの?」
『誰も知らない。どんな奴なのかも分からない。でも、○○村で昔から伝えられているのは、アレは化け物で、食べられてしまったら最後、存在を消される……なんて大それた話だよ。もちろん、本当のことだけれどね。昔に言っていたAちゃんって子も、恐らく食べられたんだろう?』
「うん。私だけが、覚えてるの」
『そう。まあ、もうアンタに危害が加わることはないから、安心おし』
「う、うん……」
『それから、もう○○村に関わっちゃいけない。そして、私のところにも電話をかけてきちゃいけない。分かったね?』
「え、うん……分かった。ありがとう」

そうして、電話は終わりました。
翌年、私がリビングに置いてあった電話帳を見てしまったことがありました。片付け忘れたんでしょうね。
そこには、祖母の電話番号が載っていませんでした。どこにも。




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137 :107 ◆h36IzogZBI:2005/10/10(月) 00:38:23 ID:v636FY7y0
俺の実家、岩手県のとある地方なんだけどさ、毎年帰省するんだけどね。
よく田舎って、『本家』みたいなのがあるのは分かるかな?
その一族の本家っていうかさ、要は親戚縁者を統括する家みたいなの。
血筋の出所って言えば適切かな。まぁそういうのがあるんだわ。
その本家はね、三百年くらい歴史がある、その土地の権力血筋だったんだ。
あまり詳しくは書けないけど、立派な造りなんだよ。ボロっちいけどね。

その本家で俺がまだ当時小学生だった時、夏だったかな、
大人達が囲炉裏のあったっていう(今はない)部屋で、何かゴソゴソ話してるの。
もちろん俺といとこは気になっちゃって、こっそり盗み聞きしようとしたんだ。
大人達っていうのは親戚のオサーンとか、俺のじいちゃんとか、そこら辺の親戚の人間ね。
田舎はコミューンが小さいから、結構血が繋がってるんだ。人口少ないし。
「…どうすん…部屋…」
「空いて…近づくしかね…閉め…」
みたいなこと話してたんだ。あまりよく聞こえなかったんだけどさ。
まぁ盗み聞きはソッコーでバレたんだが、親戚のオサーンが、
「おめら、何もきぃてねぇべな!!きぃてねぇべな!!」って、凄い剣幕で俺らに言ってきたんだ。
いつもは超優しいオサーンだったもんだから、その形相に俺らはビックリしちゃって、
「何も聞いてない」って言ったの。
そしたら、オサーンはいつもの優しいオサーンに戻って、
「そうか…」って胸をなでおろしていたのを、今でもハッキリ覚えてる。


151 :107 ◆h36IzogZBI:2005/10/10(月) 00:58:23 ID:v636FY7y0
時期はお盆でした。
風習も面白いところなんだが、俺らガキは大人達から、
「お盆の海では絶対にお酔いじゃダメだぞ」みたいな事をいつも言われてた。
まぁシカトして泳いでたし、そういった霊体験みたいのは何もなかったから、全然平気だったんだけどさ。
まぁよく言う、海で泳ぐのは危険だから、お盆特有の霊現象みたいなので、
子供を海へ近づかせない常套句だったんだろね。
これは全国各地である話だよね。

話がちょっと脱線したけど、いつもの夏通りに海へ出かけて釣りしてたの。
釣りへ出かけて楽しんでるとさ、釣りへいつも連れて行ってくれてる親戚のオサーンが元気ないんだわ。
さすがにガキながら心配になり、「どうしたの?」みたいな感じの事を言ったんだ。
そしたらオサーンは、「どうもしねから、どうもしねから」って、上の空みたいな返事しかしない。
この時点で今ならかなり怪しいと思えたんだが、なにぶん、当時は小学生のガキだったもんで、
そこまで気にせず釣りを楽しんでたんだよね。

俺らは釣りにすごくハマってて、夜釣りもしてたんだけど、
いつも通りオサーンに、「夜釣りに連れて行ってくれ」って、俺らは夕方くらいに頼んだの。
オサーンは何故かかなり拒否して、「今日はやめとくべ」って言ってきたんだ。
いつもはね、「あべ、あべ」(←行こう。の方言だよ)って自分から言ってくる人なんだけど、
何故かかたくなに拒否されたんだ。
もうこの時は、確か盆の入り直後だった思う。
不思議だなと思ったんだけど、俺らはコッソリ夜釣りに黙って出かけちゃったんだよね。


207 :107 ◆h36IzogZBI:2005/10/10(月) 01:50:10 ID:v636FY7y0
夜釣りを楽しんでるとさ、いとこの一人が俺に言ってきたんだ。
「A(俺)、何かあっちさ人たってねは?」
あっちって方向を指差したのは海のど真ん中。
コの字型の岸壁のど真ん中で、確かに人らしきのが海の上に立ってるの。
最初は、舟の上で漁師のオサーンが何かしてるんだろうなって思ったけど、そんな気配はない。つーか、舟がない。
きっと幽霊だと思って、なんか俺らは怖がらずに、逆にテンションあがってワイワイやってたんですよ…。
アホだ…。

そしたら、オサーンとじいちゃんとかが、俺らが釣りしていた岸壁にかなり飛ばして来た。
俺ら見つかって、オサーンとじいちゃんにかなりその後しぼられたんだ。
車の中で「何か見たか?何か見てねぇべ!?」って言われてさ、
俺らはその幽霊らしきのを見たとは言わず、また事実を隠しちゃったの。
そしたら、また大人達が胸をなでおろしたのが、マジで印象的だった。

車の中で本家に帰る途中、ずっと大人達は無言だったんだ。
俺らはそれに不思議がったんだけど、俺は勝手に釣りに出かけたら怒ってるんだろうなって思ってた。

家に着くと、大慌てで婆ちゃんが俺らんとこに来て、
「何も見なかったべな!!何も見なかったべな!!」って、オサーンと同じ事を言ったのよ。
で、まぁ「見てない」みたいな事を言ったら、婆ちゃんフラフラ~って崩れ落ちて泣き出した。
悪いことしたなぁって反省したんだが、何がそこまで大人達をさせるのかなって気になったんだよね。
すぐ後に婆ちゃんが「くわっせ、うまかっつぉ」って言ってくれて、夕顔の煮たのを出してくれた。
郷土料理だよ、美味しいよ。
いつもの婆ちゃんに戻ってたね。さっきのテンパってた婆ちゃんじゃなくて。
だからなおさら気になったんだよね。


209 :107 ◆h36IzogZBI:2005/10/10(月) 01:50:42 ID:v636FY7y0
夕顔食いながらさ、ふと気になってたから聞いちゃったんだよね。
「何か部屋が開くだの閉めるだのみたいなのを、この間話してたでしょ~」みたいな感じで。
そしたらまた空気が変わっちゃってさ、
婆ちゃん泣き出す、オサーンはテンパる、爺ちゃんは電話しだす、オヤジ&おかんはうなだれる、みたいな感じにね。
俺らはさすがに怖くなって、二人とも泣いちゃった。
阿鼻叫喚とはまさにこの事…

で、オサーンに別の部屋に連れて行かれてね、盆棚がある部屋なんだけどさ、そこで10分くらい拝まされて、
「今日は寝ろは…」って言われたんだけど、気になって寝れない。
まだ婆ちゃん泣いてるし、近所から人来るしさ、寝れるわけねーだろみたいな場だったんですよ。
まぁ寝たんだがw

朝起きたらいつも通りの朝で、取り合えず一安心。けど、爺ちゃんは難しそうな顔をしたままだった。
起きてソッコーで寺に連れて行かれて、剣舞(字は合ってるか分からん)を見せられた。
ケンバイっていうのは、何か背中に旗さして踊ってる、よくわからんもの。
この地域では、子ども会みたいなのに入ってるヤツらが踊ってるの。
学校の帰りとかに公民館みたいなところに寄って、夏に踊る為に練習してるんです。俺はやらんかった。
見せられた後に、寺の本堂の中に連れて行かれて、坊さんに長々とお経をあげられた。
以降は爺ちゃんとオサーン、坊さんの会話ね。うる覚えだからあれだけどさ…。
あと、方言が意味不明だと思うので、訳して書きます。
爺ちゃんをJ、オサーンをO、坊さんをBとします。

O「何も見てなかったって言ってました」
B「だとしたら安心だけど油断は出来ないな」
O「こっちはこっちで何とか出来るとは思うんですが」
B「じゃあ、T(本家の屋号)に行くから」
J「お願いします」

みたいな感じ。もっと沢山話してたんだけど、こんな感じでした。


245 :107 ◆h36IzogZBI:2005/10/10(月) 02:24:48 ID:v636FY7y0
で、爺ちゃんが俺にね、話してきたの。
俺の言葉で話しちゃうから、この通りに話していた訳じゃないけどね。
内容的にはこんな感じでした。

「お前は、この家の造りはだいたいわかるだろ?部屋が何個ある?
 その部屋で物置にしてる部屋があるだろ?その部屋の奥に襖があるだろ。
 そこには昔から『近づくな』とは言われてたと思うけどな、そこの襖がちょっとだけ開いたんだ。最近。
 そこにはな、錆びた槍の先がしまわれてるところなんだ」

本家の部屋は8つくらいあって、縁側が2こある不思議なつくりなんだけどね、
俺が本当に小さい時から言われてたのが、「裏の縁側に回るな」ってことと、「物置の部屋には行くな」って事。
まぁ物置にしてる部屋なんて、確かに暗がりで薄気味悪いから行かなかったんだけどさ、そうやって言われてたの。
その奥に襖があるのはなんとなーくは知ってたんだけど、その前には荷物やら何やらが山のように置かれてたから、
行くにも行けないようになってたんだよね。
俺は薄気味悪いから、物置部屋には近づきもしなかったし、そんな襖のことはどうでもいいと思ってた。
今これ書きながら考えると、あの荷物群は絶対に意図的なものだったんだろうなって思う。

で、また爺ちゃんが、
「その槍の先はな、爺ちゃんの爺ちゃんの(ry のな、ずっと昔からあるもんなんだ。
 爺ちゃんもな、前から『あれは近づいても見てもダメだ』って、お前くらいの時には言われてたんだけどな。
 近づくなって理由は定かではないけど、爺ちゃんが爺ちゃんから聞いた話だとな、
 あの槍は昔、ここで飢饉があった時に、あの槍でみんなどんどん死んでいったんだ。
 何であの槍で自殺したのかは分からないけど、そうやって爺ちゃんは聞かされた。
 聞かされたのは、お前よりもっと大人になってからのことだったんだけどな。実際はどうかは分からん」


248 :107 ◆h36IzogZBI:2005/10/10(月) 02:26:04 ID:v636FY7y0
「その槍は、昔からこの家が預かることになっていてな。
 お前もわかるだろ。ここら辺で中心的な家がここだってことくらい。だから、その槍の先を預かってるんだ。
 押入れの中に、ただ槍の先がコロンって転がってるだけなんだが、本当に危ないものなんだよ。
 襖にはおまじないがしてあって、開かないようになってるんだ。
 もちろん、こっちから開ける事は御祓い(?)の時以外は絶対にないからな。
 お前も見たことあるだろ。坊さんがたまに来て物置部屋に入っていくの。あれは御祓いをしていたんだよ。
 お前ら『子供には見せちゃダメだ』って、坊さんから言われてたしな。
 お前も坊さんから、爺ちゃんやオサーンから言われた通りなことを、そのまま言われたことあるだろ?
 『物置部屋には近づくな』って。
 けど、いい子だったよ、お前は。ちゃんと近づかなかったしな。
 お前の父ちゃんは悪がきだったから、子供の頃近づいて襖付近まで行ってしまって、その後大変だったんだ。
 とにかく、大変なものが入ってるんだよ。そっから先は婆ちゃんに聞け」

のような事を言われて、何か気分がさすがに悪くなっちゃってね。
婆ちゃんに聞く気にもなれずに、割と放心状態でした。ガキながらに流石にこれは怖かった。
けど、婆ちゃんが聞きたくもないのにこっちに来てさ、言うんだよね。
また俺の言葉による、内容のまとめになっちゃうけど…。


279 :107 ◆h36IzogZBI:2005/10/10(月) 03:05:03 ID:v636FY7y0
「その飢饉ではな、いっぱい人が死んだし、自殺もしたし、とにかく楽になりたかったんだ。
 天国に行って、のんびりしたかったんだ。
 けど、本当はもっと婆ちゃん達みたいに、もっと長生きしたかったんだと思う。
 だからお前も、ちゃんと食べられる事に感謝して、毎日元気にしてなきゃいけない。
 嘘もつかずに、真面目に生きなきゃダメだぞ。嘘つきはダメ。
 女の人も子供も、その飢饉では沢山死んだんだ」

俺は夜釣りで幽霊らしきのを見たって、ハッキリ言おうと思ってさ、
「海の上に人立ってた」って言ったんだよね。
二人はこの前みたいにテンパらずに、「やっぱりな…」って言った。
俺は怖くなっちゃって、ガクガク震えちゃったんだけど、
婆ちゃんが「大丈夫大丈夫、婆ちゃんついてるから…」って言ってくれた。
けど婆ちゃんは実際、かなり不安そうな顔をしてた。
爺ちゃんは「お寺に行ってくる」って言って出かけていったんだ。

で、坊さんが来たのは、その話を聞いた次の日だったと思う。いや、思い出した。次の日だったわ。
初めて俺はその時に、襖付近へ行く事を許されたんだけど、
荷物群を全部取っ払って、何か棚の準備をしたのを手伝わされた。
ちょっとしたお寺の拝む棚みたいなのを、作るのを手伝わされた。

坊さんはあちこちをブツブツ何か言いながら歩いてね、その棚の前に行くとお経を上げ始めて、
俺は出て行くように言われた。
襖はたしかに、ほんの10cmくらい開いてた。

1時間後くらいだったと思う。
坊さんが部屋から出てきて、その間に親戚がみんな集まってて、近所の人も来ていてね。
何かみんなで拝んで、また剣舞見てその日が終わった。


280 :107 ◆h36IzogZBI:2005/10/10(月) 03:05:35 ID:v636FY7y0
坊さんがさ、俺に言ってきたんだけど、
「たぶん、今日はちょっとだけビックリする事が起きるかもしれない。
 けど、大丈夫だから。たとえそれが起きたとしても、そのままそこにいなさい。
 もう大丈夫だから、何が起きてもその場を離れちゃダメだよ」
って言われたの。俺は素直に「ハイ」って答えました。夜釣りも行く気になれなかった。

その後に坊さんは、オサーンや爺ちゃんに話してた。
オサーンが坊さんに、
「大丈夫なんでしょうか。アイツは大丈夫なんでしょうか。心配です」みたいな事を言っていたんだけど、
坊さんは「大丈夫、その場を離れなければ」って言ってた。

案の定、爺ちゃんやオサーンに俺は念押しされて、坊さんからの言付けを必ず守るようにって言われた。
その後は普通に飯食って、楽しく花火をして、夏を満喫したんだよ。
まぁ怖かったから、無理やり花火やって楽しもうとしてたんだけどね。忘れたかった。


281 :107 ◆h36IzogZBI:2005/10/10(月) 03:06:08 ID:v636FY7y0
花火も終わり、お風呂も入ったし寝る事にしました。またオサーンに、「早く寝ろは…」って言われたし。
で、寝ようとしたんだけど、坊さんの言った事が気になって、なかなか眠れなかったんだよね。
俺が寝ている部屋は、ちょうど物置部屋の斜め隣なんだけどさ。
何でいつもは気にせず寝てるのに、流石にこの時ばかりはこの位置が気になって眠れないの。
そしたら急にコココココ…って、何かが小刻みに何かに当たってる音が、物置部屋のほうからからしだして、
人間の声が、壁のほうからボソボソって聞こえてくるんだよね。
それはどんどん増えていって、あちこちから聞こえきだすの。
もう今でもちゃんと覚えてる。

「腹…腹…」
「やんた…やんた…生きて…生きてぇ…」
「腹…は…」
「死にたぐね…やんた…」
「腹…腹…」
「やんた…やんた…やんた…」
「お寺さ…やんた…」
「水っこはやんた…も…」
「腹…水っこは…」
「取ってけっつぇ…死にたぐね…生きてぇ…」

って声があちこちから聞こえてくるの。もう怖くて怖くて仕方なかった。発狂しそうだった。


283 :107 ◆h36IzogZBI:2005/10/10(月) 03:07:03 ID:v636FY7y0
けど、坊さんの言付けを守らなきゃって、頑張って自分に言い聞かせて、震えながら寝れずにじっとしてた。
声はやまなくて、どんどん増えていったんよ。
そしたら俺の寝ている部屋でも、何かがコココココ…て聞こえ出してさ、
さすがにそれには閉じていた眼を開けちゃって、その音の方向を見ちゃったんだよね。
そこにはさ、般若の刺繍(?)っていうか、そういった布で出来た飾りみたいなのが額縁に入れられてあるんだけど、
それが揺れてるんだよね。
しかも、その般若の刺繍の眼のとこが動いてるの。
さすがに、口を閉じたり閉めたりまではしてなかったとは思うんだけど、
般若の刺繍のとこらへんからも、同じ言葉が出てきてるんだよね。
「腹…腹…」「やんた…水っこは…」って。
たぶん、それ見て気絶してました。気づいたら朝だったし。

ちゃんとそれを爺ちゃんと坊さんに言って、お寺でまたお経をあげてもらいました。
坊さんは褒めてくれた。爺ちゃんも褒めてくれた。よく頑張ったなって。

何か長くなってしまい、イライラさせてしまいましたが、こんな感じです。
俺が確かに体験して、今でも帰省すると、その話を坊さんや爺ちゃんとします。
で、ちゃんと拝んで過ごしています。
取り合えず、ここで終わりますが、何か聞きたいことあったらどうぞよろしくです。

284 :本当にあった怖い名無し:2005/10/10(月) 03:09:24 ID:0r575RnY0
ヤンタってどういう意味?


285 :107 ◆h36IzogZBI :2005/10/10(月) 03:10:04 ID:v636FY7y0
>>284
「嫌だ」って意味の方言だよ。


294 :本当にあった怖い名無し:2005/10/10(月) 03:15:25 ID:SWiTNqu70
海の上で見たものは、どのような関係があったの?


295 :本当にあった怖い名無し:2005/10/10(月) 03:15:54 ID:DnLediVC0
107お疲れ様!待ったかいがあった
>>281
「水っこはやんた…も…」っていうのは、
槍で腹を刺した後、107が夜釣りに行ってた海に捨てられたってことかな?


299 :107 ◆h36IzogZBI:2005/10/10(月) 03:19:23 ID:v636FY7y0
>>294
憶測でしかない&爺ちゃんから聞いた話もあるんだけどね、
海へ身投げした人もいたらしいから、たぶんそれかと。
海産物だけでは生きていけない証拠だよね…。
飢饉ってたぶん、俺の出身はマジで小さな沿岸地方の町だからね。
郷土史に載ってたりするのかね。気になる。


302 :本当にあった怖い名無し:2005/10/10(月) 03:22:14 ID:o0WSmwhQ0
>>107氏
ほんと長文乙でした。
途中色々言われてたのに、最後まで投下してくれてよかった。

一緒に話を盗み聞いて夜釣りもしたいとこは、同じ現象に遭わなかったの?
あと、107がそういう目にあった直接の原因って、やっぱり話を聞いちゃったから?


303 :本当にあった怖い名無し:2005/10/10(月) 03:28:43 ID:7TGCOLb50
飢餓で自殺ってあるのかね。
口減らしに、労働できない者を順に突き殺したのかな?


306 :107 ◆h36IzogZBI:2005/10/10(月) 03:33:48 ID:v636FY7y0
>>302
うん、俺の書き方が悪かったからね。みんなに申し訳ない。
ちゃんと全部書いてから投下すればよかった。
けど、実際は怖かったんだよね…

いとこは、黒い人だかりみたいなのを、同じ時刻くらいに見たって言ってた。
俺の体験とは違うよ。部屋は別々にさせられるしね。

原因は分からないけど、話を聞いたって言うよりも、海で見ちゃったからじゃないかな?

>>303
それは定かではないけれど、あんまり考えたくないことだよね。
けどやっぱ自ら命を…みたいなのはあったらしいよ。
ウチの実家は本当に30年くらい前まで、『陸の孤島』って呼ばれてるような地域にあったとこだしね。
逃げ道も希望もないでしょうね…きっと。


309 :本当にあった怖い名無し:2005/10/10(月) 03:38:40 ID:uJdklYgXO
>>107
途中で一回寝たけど気になって起きてきた。
KOEEEEE!!!
岩手の沿岸って…
俺の実家、K石なんだけど違うよな!?違うだろうけど

なんにせよ乙!


310 :本当にあった怖い名無し:2005/10/10(月) 03:39:33 ID:DnLediVC0
>>107に質問
「腹…腹…」
「やんた…やんた…やんた…」
「お寺さ…やんた…」
「水っこはやんた…も…」
「腹…水っこは…」
「取ってけっつぇ…死にたぐね…生きてぇ…」

これって飢餓で苦しんでる場面?
それとも槍で自決してる場面?


311 :107 ◆h36IzogZBI:2005/10/10(月) 03:40:21 ID:v636FY7y0
>>309
あはは、K石なんだ。違うから安心して。
K石はあそこらへんだったら進んでる町だからね。
今は道路が通って交通もよくなってるからね。


312 :本当にあった怖い名無し:2005/10/10(月) 03:40:58 ID:o0WSmwhQ0
>>306
まあ色々言われても、逆切れもせずに質問まで受けてくれてるし、
今後書く時あったら、まとめてからすればいいだけの事だよ。あんまキニスンナー。

やっぱり、いとこにも現象は起こってたんだね。
大人達は襖が開いてて何か嫌な予感がするから、夜間外出を控えさせようとしてたんだろうね。
怖かっただろうけど、無事でよかったよね。


314 :107 ◆h36IzogZBI:2005/10/10(月) 03:43:07 ID:v636FY7y0
>>310
わからないですよ、それは。
どっちなんだろうね。自決するなら槍を使わないとは思うんだけどね。
実際に槍を見せてもらう機会があったんだけど、錆びてて刃渡りは25cmくらいのものだったし。
あれで自殺するんなら、鎌とかで自殺した方が死にやすいとは思います。
けどね、槍の柄はないの。刃だけあるの。柄はどうしたんだろね。


316 :107 ◆h36IzogZBI:2005/10/10(月) 03:46:19 ID:v636FY7y0
>>312
ありがとう。

いとこが言ってたのは、『黒い人だかり』ってさっき書いたんだけど、
部屋のあちこちに、黒い人らしきのがいたらしいよ。
いとこが寝ていた部屋は、10畳以上はある広い部屋。
襖が開いていたのは、その事実を知った俺らなんかよりも、実際は大人達の方が怖かったんじゃないかな。


318 :本当にあった怖い名無し:2005/10/10(月) 03:50:56 ID:SWiTNqu70
大人たちの怖がりかたから言って、過去に何か起きてるようだけど、聞いてないんすか?
また、父親は悪ガキで、いったい何をやらかしたのかな?


319 :本当にあった怖い名無し:2005/10/10(月) 03:54:26 ID:DnLediVC0
>>107=314
返答ありがとう
107は声だけしか聞いてないもんね。
ちょっと気になっちゃってレスしてしまいました。
柄は木で出来てたかなんかで、朽ちて腐り落ちたのかな。


320 :本当にあった怖い名無し:2005/10/10(月) 03:55:21 ID:o0WSmwhQ0
>>316
恐ろしい・・・いとこもよく耐えたね。

確かにそうかも。
大人達は107のお父さんの時にも色々あったようだし、それがどれほど危ないものかわかってるわけだからね。
お婆ちゃん泣き出しておじさんテンパるくらいだから、相当恐ろしかったんだろうな~。


321 :107 ◆h36IzogZBI:2005/10/10(月) 03:57:11 ID:v636FY7y0
>>313
大丈夫だよ、きっと。

>>318
うん、聞いたよ。そしたら話してくれなかった。
けどオヤジは、「襖あけた途端におんぶされた」って言ってたな。
アホオヤジ。まったくもって失礼な人です。尊敬はしてるけどね。


324 :107 ◆h36IzogZBI:2005/10/10(月) 04:02:04 ID:v636FY7y0
>>319
いえいえ、いいんです。
柄はどうなったんだろうね。
しかも、何で刀ではなく槍だったのかも謎ですね…。

>>320
たぶん、過去にも色々あったんだろうね。
本家のすぐ裏にはね、右に入れる山道みたいなのがあるんだけど、
そこに小さい社みたいなのもあったり、
本家のすぐ隣、道路はさんで海が見下ろせる一族の小さなお墓群には、
かなり昔からのものと思われるお墓もあるよ。
よく無縁仏は拝んじゃいけないっていうけど、俺らはそういった無縁仏様にも拝んだりしてるよ、昔から。
俺らっていうか、あそこら辺の地域の人はみんなそうだと思う。


326 :本当にあった怖い名無し:2005/10/10(月) 04:06:38 ID:ryQst+/k0
>>107
槍って、漁とかに使ってた物とは違うのかな?
農村なら、斧とか農耕具で自殺する方が手っ取り早いだろうけど、
漁村とかだったら、漁業に使う道具で自殺するのが自然なんじゃないかな?


327 :107 ◆h36IzogZBI:2005/10/10(月) 04:10:19 ID:v636FY7y0
>>326
うん、違うと思うよ。
どちらかというと、漁業にパーセンテージが傾いているところだけどね。
槍らしきのは、漁業には使ってるのを見たことない。
しかも、飢饉とは言ってるけど、飢饉だったってのも定かではないし、
もっといっぱい人が死んだ悲しい出来事があったのは、有名な話だからね。
言い方悪いけど、飢饉&悲しい出来事のダブルパンチですね…。


335 :本当にあった怖い名無し:2005/10/10(月) 04:47:41 ID:v9HnmDDf0
>>107
お、終わりか?
面白かったが最後の歯切れが悪い様な・・・

取り合えず、乙!
続きがあったらヨロ。


337 :107 ◆h36IzogZBI:2005/10/10(月) 04:54:05 ID:v636FY7y0
>>335
うん、歯切れ悪いよねw
何ていうか、書いていてちょっと気分が悪くなっちゃって。
思い出しちゃったってのが強いね。忘れたくて始めたんだけど、やっぱ出来なかったね。

続きは一応あるよ。その後の。
怖くはないけどね。


341 :本当にあった怖い名無し:2005/10/10(月) 05:10:07 ID:J/7ab3gW0
>>340
こんな時間だけど、続きを聞きたいんですが。
あとは、あなたの年齢もできれば。


342 :107 ◆h36IzogZBI:2005/10/10(月) 05:12:19 ID:v636FY7y0
>>341
続きですか?本当に面白くもなんともないのですが…。
それでもよろしければ。

あと、俺の年齢は23歳です。サラリーマンです。


343 :本当にあった怖い名無し:2005/10/10(月) 05:13:47 ID:7TGCOLb50
つか、坊さん。鏃は寺に持って帰れとwwwwww


347 :107 ◆h36IzogZBI:2005/10/10(月) 05:33:13 ID:v636FY7y0
>>343
そう思うのですが、きっと、お寺に入れるともっと可愛そうなのでは、と思ったからではないでしょうか。
うちの本家、本当に見晴らしが良いんです。
あそこなら町を一望できますから、淋しくならないと思います。

では、続きを書かせてもらうね。

その後だけど、お経をあげてもらって、普通にお盆を過ごしました。
岩手県の夏は本当に綺麗で、この地域でそんな悲しい出来事があったなんて信じられないくらい。
けど、俺はやっぱり元気が出なくて、怖くて当分ビビって過ごしていました。夜がとにかく怖かった。
その度に、爺ちゃんやオサーンが「大丈夫だ」とは言ってくれたけど、やっぱどうしても怖かったんだよね。

けど、釣り好きだから、また懲りずに夜釣りへ出かけました。
坊さんからは、何か変なお守りらしきのを貰っていたし。
何て言えばいいのかな、木を本当に薄くスライスしたものみたいなのに、文字が書いてあるやつ。
確か三文字くらいだったかな。勿論、漢字。梵字ではなかったと思います。

夜釣りをしていると、あ、この時はオサーンも一緒です。爺ちゃんも一緒。
静かな海だったな。凪は落ち着いてて、ウミタナゴがよく釣れました。
爺ちゃんが釣りをしながら俺に話しかけてきたんだけど、
「どこらへんで○○を見たんだ?どのあたりだ?」って言ってきました。
○○の名前は思い出せない。人名ではなかった。何かモノの名前だと思う。
きっとそれは、立っていた人のことなんだろうけど、何だったかな。何か思い出せないの嫌だな。
俺は「あのあたり」って言って、海の真ん中あたりを指しました。
人差し指では注さずに、目線で以ってさした。
人差し指でさすとね、何かまた怖いこと起きるんじゃないかって思っちゃって。
完全にビビりですねw


349 :107 ◆h36IzogZBI:2005/10/10(月) 05:40:51 ID:v636FY7y0
「そうか…」って爺ちゃんが言って、涙ぐんでました。
そんな爺ちゃんを見るのが初めてだったから、ビックリしたんだけど、
そこでオサーンが「いいからいいから…」って言って、無理やり俺に釣りを続けさせました。

釣りから帰ってくると、すぐに婆ちゃんから「早く盆棚に拝んできなさい」って言われて、盆棚に拝みに行ったの。
また夜で、怖かった。斜め隣がどうしても気になっちゃうんだよね。

父ちゃんが俺の隣に来て、昔の話をしてくれました。
父ちゃんが経験した話。前記したとは思うんですが、おんぶされたってやつね。


352 :107 ◆h36IzogZBI:2005/10/10(月) 05:55:59 ID:v636FY7y0
「父ちゃんはいきなりな、誰かにピョンって飛び乗られたみたいに重くなってな。動けなくなってな。
 『腹っこ…腹…。取ってけっつぇ…』って言われたんだ。
 お前ももしかしたら、こういう言葉を聴いたかもしれないな。
 けどな、『それを怖いと思っちゃいけない』って爺ちゃんに言われたんだぞ。
 まあ無理だよな。確かに怖いしな。
 怖いかもしれないけど、ここの地域にそんな悲しい話があったんだ。
 それを覚えておけば、怖いとは思わなくなるさ」

今思うと、襖開けたくせによく言うわって感じなんだけどねw
しまりのない後日談はこんな感じです…

ちなみに、分かっている事は、飢饉があったという事。
さっき調べましたが、岩手県って冷害が結構あったらしいです。
東北地方の沿岸部は、季節風の『やませ』というのが吹きます。
それが続いて吹くと、農業も漁業もうまくいきませんので。
『やませ』は必ず毎年吹くものなのですが、度合いが違います。

また、飢饉以外にも、それを超える出来事がありました。
詳しく書くと地域を特定されてしまう為に省略しちゃうけど。
綺麗な自然とは対照的に、過去にはたくさん悲しいことがあった土地なんだよね。
その地域自体は大好きなところだけど。

あと、やたらと地域のつながりが強い。
意味不明な神事らしき事をよくしていた。
誰かが死んだらは絶対に魚、肉、ネギ類は食べない。

あんまり俺の体験とは関係ないかもだけどね。


353 :本当にあった怖い名無し:2005/10/10(月) 05:57:28 ID:7TGCOLb50
う~ん・・・。
やはり槍というものの性格上、自殺というのは考えにくいね。
しかも、1本の槍を使い回して多人数が自殺なんてありえない。
鏃が本家にあること、また「お寺さ…やんた…」という言葉から、
村の権力者と寺が何らかの取り決めを行い・・・と考えるのが自然かも。


355 :107 ◆h36IzogZBI:2005/10/10(月) 06:03:20 ID:v636FY7y0
>>353
それも突っ込んで聞いたことあるよ。
食いぶち減らしとかじゃなかったの?って。
そしたら、それだけは絶対にしない約束が昔からあったらしい。本当かはわからないけど。
むしろ本家は、その地域の人達とみんなで何とかしようとしてたらしいよ。
階級みたいなのはあくまで表面だけで、本家本家と言っても表面だけのものなの。

あと、ちなみに実際は、餓死が圧倒的に多かったらしいね。
海へ身投げや、刃物類自殺もあったにはあったらしいけど。





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324: 本当にあった怖い名無し:2011/06/20(月) 13:53:18.10 ID:AZMA800/0
俺の実家の小さな村では,女が死んだとき,お葬式の晩は村の男を10人集め,
酒盛りをしながらろうそくや線香を絶やさず燃やし続けるという風習がある.
ろうそくには決まった形があり,仏像を崩した?ような
形をその年の番に抜擢された男のうち最も若い者が彫る.

また,家の水場や窓には様々な魔除けの品を飾り,それらが外れないよう見張る.
また,番人以外はその夜,たとえ家人であっても家の中に入ってはいけない.
他にもいくつか細かい決まりがあるのだが,
これらは,キャッシャと呼ばれる魔物から遺体を守るために代々受け継がれている風習だった.


16になった俺が初めてその夜番に参加した時のこと.
近所の新妻が若くして亡くなった.
ろうそくを昼間のうちにじいちゃんに教えられたとおり彫りあげ,
夜更けには火を灯し,宴会に入った.

メンバーは若い者から中年,年寄りまで様々で,俺以外は夜番を経験しているものばかりだった
うちの家族からは俺と5つ上の兄貴が参加した.
宴会は粛々と進み,(というか年寄り以外は番に対してやる気なし)

ガキの俺からしても,どう見ても気まずい雰囲気のまま時間だけが過ぎた.
俺は酒を飲ませてもらえなかったため,ジュースでしのいでいたが,
さすがに1時をまわったころ,眠気には勝てず,洗面所に顔を洗いに行った.
ふと見ると,洗面所に二か所あるうちの小さく目立たない方の窓に飾った魔除けが傾いていた.

すべての窓の魔除けは1時間に一回,兄貴を含む若い者が見回っていたのだが,
おそらく面倒で途中から厳密な確認を怠っていたのだろう.
本来ならば,見つけた瞬間年寄りに報告し,飾り直さなければいけないところ,
面倒になり,自分でまっすぐに直して放っておくことにした.
それが原因で兄貴らが爺さん達に叱られるのも見たくないという思いもあった.



325: 本当にあった怖い名無し:2011/06/20(月) 13:54:00.00 ID:AZMA800/0
席に戻ると間もなく,ものすごい音で玄関を叩く音が聞こえた.
驚き,数人で玄関へ向かうと,隣家のおじさんが血相を変えてまくし立てた.

「キャッシャがでたぞ!おれの家の屋根から塀づたいにこの家に入っていったぞ!」
一瞬なにを言ってるんだ,とあきれたが,
爺さんたちや中年たちは真っ赤になって,
見回りを怠っていた兄貴たちを怒鳴り付け,あわてて家中の確認にむかった.

玄関先に残ったのは俺と俺の先輩と兄貴の三人.
隣のおじさんはさも当然のように家に上がろうとしたが,
兄貴が決まりを破るわけにはいかないと止めた.

おじさんは「そんなこと言ってる場合じゃないだろう!はやく魔除けを直すんだ!入れなさい!」と怒りだした.

兄貴や先輩がなだめるもおじさんは聞く耳持たず,
次第に入れろおおおおおお!とかうああああああ!とか奇声を発するようになった.
しかし,身体は直立不動のままで,顔だけしかめながら怒鳴っている.

視線がうつろで,どこを見ているのかわからない.
魔除けのことのうしろめたさもあり,これ以上決まりを破るわけにはいかない,と俺達全員考えていたと思う.
とにかく凄い声で怒鳴り続けるおじさんをなだめた.

時間にして10分くらいだろうか,おじさんは大きくため息をつき,もういい,
と言い,戸を閉めて去って行った.

ほぼそれと同時に爺さんが戻り,水場の魔除けの向きが変わっていた,
と俺達を叱りつけた.
みなが集まったところで,隣人のおじさんの話をすると,
全員顔面蒼白になり,だれともなく,
「キャッシャだ,キャッシャがでた,,,」とつぶやいた.

その晩は明け方まで酒をやめ,総出で厳重な見張りを続け,その後は何事もなく夜明けを迎えた.
俺ははっきり言って生きた心地がしなかった.



326: 本当にあった怖い名無し:2011/06/20(月) 13:54:20.37 ID:AZMA800/0
後日のこと
隣家のおじさんはその夜,突如風邪を引いて寝込んでしまい,
奥さんが夜遅くまで看病していたとのこと
問題の時刻に奥さんはまだ看病を続けており,
おじさんは確かに布団に横になっていた.外には一歩も出ていないとのこと.

魔除けには厳密な飾り方があり,その作法も教わったはずなのに
俺はろくに聞いていなかったようだった.

言い伝えでは,火や魔除けに不備があるとキャッシャが家に入りこみ,
死体(というか魂?のようなニュアンスなのか?)を盗みにくる.
死体を盗まれた家はもう栄えることはないらしい.
キャッシャと仲良くなってはいけない,
キャッシャに気に入られると,自分が死んだとき必ず家に来るとか

番に参加した爺さんには,
最後にキャッシャが出たのはもう何十年も前のことだったとか,
その爺さんの父親が若いころ見たらしい.
お前らの世代がそのような体たらくでは村が滅びるぞ,
とこっぴどく叱られた.

俺の身の周りでおきた唯一の恐怖体験です.




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329 :KMT ◆nqnJikEPbM.8 :2012/08/19(日) 06:51:20.19 ID:jvZ3IDbu0
キツネ ◆8yYI5eodys 様 『稚児守り様』

日本の『田舎』と呼ばれる場所には、様々な因習やら行事が今も残っていたりします。
私の祖母の家もそんな田舎。
民家が20件そこらで商店すら無い、山に囲まれた集落にあります。
その集落にある公民館の端には、山の神様を祀った御社と、その傍らに小さな祠がひっそりと佇んでいます。
集落の人から『稚児守り様(ちごもぃさぁ)』と呼ばれる祠さんには小さな風車(かざぐるま)が供えられていて、カタカタ……と音を立てながら回っている光景が印象的。
このお話は、その小さな小さな祠さんに纏わるお話です。

遡ること今から20年ほど前の事でしょうか。
当時、小学校低学年だった私は祖母の家に呼ばれ、集落の行事に参加させられることになりました。
その行事というのが、
『稚児守り様(ちごもぃさぁ)』にお供えしてある風車を、山の神様が住んでいるお山の祠に運ぶというもの。
毎年、集落の各家が持ち回りで、家の長と子供が参加しなければいけないという風習でした。
確か、『稚児守り様(ちごもぃさぁ)』を夏の間、山の神様にお預けするといった意味があったと記憶しています。

その年はちょうど祖母の家が当番で、いとこが皆幼かったこともあって一番年上だった私が選ばれたという、
いやはや、なんともいい加減な理由で、離れた町に住んでいた私が行くハメになったそうです。


330 :KMT ◆nqnJikEPbM.8 :2012/08/19(日) 06:52:53.75 ID:jvZ3IDbu0
当日。初夏と言うには日差しが強く暑い日。
私は祖母に言われた通りに長袖・長ズボン・帽子・軍手という、
雰囲気も……季節感すらガン無視の重装備で行事に臨みました。
農業用の長靴に履き替える時に文句を言ってはみたのですが、
「山ん中はスズメバチやらヘビがおっかい、あぶねぇど」と言われる始末。
オカルトとは別次元の怖さで震え上がったのを今でも覚えています。

さて、『稚児守り様(ちごもぃさぁ)』にお参りし風車を預かった後、軽トラでお山の麓に行って、いよいよ入山。
杉が幾重にも生い茂るお山には道は勿論、獣道すらありませんでした。
祖母は軽トラの荷台から鉈を手にして、藪の草やら木の枝をバッサバッサと薙ぎ払いながら登って行きました。
私も置いていかれないようにと必死に後に続いたのですが、流石は田舎の農業で鍛えたバイタリティ。
時に這い蹲りながら斜面を登る私をよそに、ヒョイ、バッサ。ヒョイ、バッサと登っていく祖母の姿に、この日2度目の驚愕!

どれくらい登ったでしょうか。
1時間、いえ、それ以上だったかもしれません。
ふと、のどが渇いてリュックから水筒を出した時でした。
カラカラカラ……
リュックに差しておいた風車が、山の斜面を転がっていきました。
慌てて追いかけ下ること十数メートル。
カラン、と風車が岩だらけの開けた場所で動きを止めました。
ホッとして斜面を見上げますが、祖母の姿は見当たりません。
急に不安に駆られた私は周囲を見渡しましたが、周りは岩場、そしてその周りには木、木、木。


331 :KMT ◆nqnJikEPbM.8 :2012/08/19(日) 06:53:42.99 ID:jvZ3IDbu0
ふと、その視界の端に、赤く揺れるものが映り込みました。
視界を戻して見ると、そこには誰もいません。
おかしいな、と思いながら風車を拾ったーーーその時でした。
「・・・あそぼ・・・・・・」
ビクッ!と振り返ると、私のすぐ傍に女の子が屈み込んでいました。
年のころは私より少し小さいくらいで、妙にくすんだ赤い着物?浴衣?を着た女の子が、
こう、しゃがみ込んで私を見上げていたのです。
内心1人じゃないことに安堵しながら「誰?集落の子?」と話しかけますが、女の子はニコニコ笑うだけ。
迷子だと危ないな、と自分のことを棚上げして女の子の手を取りました。
いえ、手を取ろうとしたのですが・・・・・・掴んだのは着物の袖。
「お手てはねぇ・・・無いの・・・」
え?と思う間もなく、
「ねえ・・・遊んで・・・・・・遊ぼ・・・遊ぼ・・・ねえ、遊ぼうよ・・・
 遊ぼ、遊ぼ、遊ぼ、遊ぼ遊ぼ遊ぼ遊ぼ遊ぼ遊ぼ遊ぼ遊ぼ遊ぼ遊ぼ遊ぼ遊ぼ遊ぼ遊ぼ遊ぼ遊ぼ遊ぼ遊ぼ遊ぼ遊ぼ遊ぼ遊ぼ遊ぼ遊ぼ!!!」
・・・喜々とした、狂ったように眼を見開いた女の子の顔がぬぅっと私の目の前に迫ったところで、
記憶がプッツリと途切れました。

これは後に祖母から聞いた話ですが・・・
祖母は私の叫び声で私の居場所を見つけ。
その時の私は立ったまま呆然としていて、傍には誰もおらず。
そして、私はぼーっとしながらも祖母の後に続き風車を山の祠に届け、
ぼーっとしたまま無事に祖母と山を降りたのだそうです。


332 :KMT ◆nqnJikEPbM.8 :2012/08/19(日) 06:56:43.77 ID:jvZ3IDbu0
そんなことがあって、十数年過ぎたお盆のこと。
私は入院していた祖母の名代で、祖母の代わりに親戚、もとい集落の人たちの歓待をしていました。
宴会の話題の内容は集落を出ていった人たちの話題から、今年の米の出来、それから戦時中の自慢話などなど、
取留めもないような話が延々と。
その中で、今年の『稚児守り様(ちごもぃさぁ)』の当番の話へと話題が移っていきました。
そう言えばと、近くで酒を飲んでいた近所の爺さまに、
「あの稚児もいさぁってどんな謂われがあるんですか?」と何気なく訊いてみました。
「あ~、あん祠んこつね?こいは昔に爺さんから聞いたとやけど……」
と、爺さまはそのまたお爺さんから聞いた話を語って聞かせてくれました。

ずっと昔、あの祠がある公民館の場所には一軒のお屋敷があったそうです。
ある日、そのお屋敷が火事で焼失し、一家は皆亡くなったとか。
それからしばらくして、集落の子供が1人、行方不明になりました。
当時の集落の人が総出で山狩りまで行ったそうですが見つからない。
そうした中、焼けたお屋敷の親族が焼け跡の片づけをしている時に、焼け跡にパックリと穴が開いているのを見つけました。
中はちょうど地下室のような空間で、真ん中を木の格子で区切られ、畳も敷かれたお座敷がきれいに残っていました。
その『格子の向こう』に行方不明になっていた子供と……痩せこけた女の子の亡骸があったのだそうです。


333 :KMT ◆nqnJikEPbM.8 :2012/08/19(日) 06:59:06.38 ID:jvZ3IDbu0
集落の人は誰一人としてその女の子のことを知らなかったため、
地下室は座敷牢(障害を持ったり気の触れた家人、隠し子などを恥として閉じ込めるための物)だったのだろう、と考えたそうです。

集落では女の子を手厚く供養したのですが、以来、夏になると子供が度々いなくなる。
果てはお屋敷の跡に祠を建て、『地籠り様(ちごもぃさぁ)』として祀ったのですが、それでも収まらない。
そこで、当時の集落の人々は子供を守るため、
夏の初めに『地籠り様』を山の神様の元で遊ばせて、夏の終わりに迎えに行くようになったのだとか。
そうして、『地籠り様(ちごもぃさぁ)』はいつしかこの子供を守る風習そのものを指すようになり、
更には現地で同じ読みの『稚児守り様(ちごもぃさぁ)』の字を当てるようになったのだそうです。

あの幼い日に見た女の子。
着物を着た、手の無いあの子は誰だったのでしょうか?
今となっては知る術もありませんが、
この話を聞いた時に妙な符合の多さに愕然としたのを、今でもはっきりと覚えています。





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693 :本当にあった怖い名無し:2007/05/03(木) 19:36:38 ID:xMgTKN3U0

俺の親父の実家がある村の話。

父親の実家、周囲を山にぐるっと囲まれた漁村(もう合併して村ではないけど)なんだ。
元の起源は、落ち延びた平家の人間たちが隠れ住んだ場所で、
それがだんだん村になっていった感じ。
まぁそんなこと、村で一番の年寄りの爺さんがガキンチョに聞かせるだけで、
ほとんどの人間は意識していない。
若い子とかは、知らない子のほうが多いくらいだ。

俺の住んでいる市街(といってもすげー田舎)とそれほど距離があるってわけじゃないんだが、
地形の関係で周囲と孤立している。
今でこそ道路もきちんと整備されて、簡単に行き来できるようになったけど、
20年前なんかはろくに道路も整ってなくて、まさに陸の孤島って言葉が似合う、そんな場所だった。

よく田舎では余所者は嫌われるって言われてるけど、全然そんなことないんだよな。
村の人たちは排他的ではないし、気のいい人たちだよ。土地柄的に陽気な人が多い。
親族内でお祝い事があったら、明らかに親戚じゃない知らないオッサンとか混じってて、
それにも構わずみんなでわいわいやったりとか。
基本的に飲めや歌えやっていう感じ。
俺は半分身内みたいなもんだから、それでよくしてくれてるところもあるんだろうけどさ。

正確な場所はさすがに訊かないでくれ。
俺まだその村と普通に交流してるからあんまり言いたくない。
言えるのは九州のとある地方ってことだけだ。


親父の実家自体は普通の漁師の家。
でも、家を継いだ親父の兄貴(親父は九人兄弟の真ん中)が、
「年を取ってさすがに堪える」って言うんでもう漁業は止めてる。
実家は親父の兄弟姉妹とその家族が何人か一緒に住んでたり、
親父の叔父叔母が同居してたりでカオスだ。
俺も親父も親戚関係は全然把握できてない。
誰が尋ねてきても「多分親戚」ってくらい親戚が多いんだよ。

で、俺の家は何かあれば、ちょこちょこ実家に遊びに行ってた。
俺がガキの頃はかなり頻繁だった。
小さい頃は楽しかったけど、中学生にもなるとさすがにそういうのもうざくなってくるが。
それ俺って一族の中では年少者だったから可愛がられてて、お小遣いとか結構貰ってて、
そういうの目当てで大人しく親についていってた。

近所の爺さん婆さんたちも、子供は独立して滅多に帰ってこないっていうので寂しかったのか、
俺や俺の弟や妹たちをすげー可愛がってくれてさ、
俺もう20越えてるのに、今でも俺が来ると喜ぶんだよな。


そんな年寄りたちのなかで一番に俺たちを可愛がってくれたのが、シゲじいさんっていう人だった。
シゲじいさんはもともと海の男だったんだけど、
とうの昔に引退して、気ままな道楽生活を送っている人だった。
俺がガキの頃の時点で90超えてたと思うが、口は達者で頭もしっかりしてた。
奥さんもずいぶん前に亡くなってて、子供のほうは東京に出たっきり正月や盆にも帰ってこない。
だから俺らの遊び相手をして、寂しさを紛らわせてたんだと思う。

豪快なじいさんで、俺との木登り勝負に余裕に勝ったり、
エロビデオ毎日観てたりと、俺にエロ本読ませてくれたりと、
殺しても死なないんじゃないか、というような人だった。
でも、そんなじいさんもさすがに死ぬときは死ぬ。

俺が中学生のときに病気になって半分寝たきり状態。
夏休みのときに実家に長期滞在したんだが、じいさんの病気を知ってからは、
親戚付き合いそっちのけで、じいさんの家に見舞いにいきまくってた。

じいさんは「もう自分は長くないから」と、昔話を聞かせてくれた。
そのときじいさんの話を聞いたのは、俺と弟だったわけだが、
あれを子供に聞かせていいような話だったのかと、あの世のじいさんにツッコミを入れたい。
じいさんの話は、生贄の話だった。


じいさんは、「昔ここらへんではよく生贄を捧げていた」とかぬかしやがる。
それも何百年も昔ってわけじゃなくて、昭和初期から中期に差し掛かる頃まで続いていたとかなんとか。
俺「いや、そげんこと言われても……」
弟「……困るし」
俺たちの反応のなんと淡白なことか。
でも、いきなりそんなこと話されても実感沸かないし、話されたところで、俺らにどうしろと?って感じだった。

俺「生贄ってあれだろ?雨が降らないから娘を差し出したり、うんたらかんたらとかいう……」
弟「あと生首棒に突き刺して、周りで躍ったりするんだよな?」
じいさん「ちげーちげー(違う違う)。魚が取れんときに、若い娘を海に沈めるっつーんじゃ」
俺「あー、よく怖い話とかであるよな。人柱とか」
じいさん「わしがわけー頃には、まだそれがあった」
俺「……マジで?」

じいさんの話はにわかには信じられないものだったが、まぁ昔だし、日本だし……
そんな感じで、当時若い姉ちゃんの裸よりも、
民俗学だの犯罪心理だのを追求することに生きがいを感じている狂った中学生だった俺は、
ショックではあったが受け入れてはいた感じ。
弟のほうはよく分かっていないような感じだった。
多分、漫画みたいな話だなーとか思ってたんだと思う

生贄を捧げるにしても、なんかそれっぽい儀式とかあるんだろうけど、
じいさんはそこらへんの話は全部端折った。
俺としてはそっちのほうも聞きたかったんだけど、
当時若造だったじいさんも詳しいことは知らないそうだ。

当時の村の代表者(当然、既に故人)とか、
そういう儀式をする司祭様みたいなのが仕切ってたんだろうけど、
そのへんのことも知らないらしい。
じいさんが知っているのは、
何か不可解なことが起きたときや不漁のときに、
決まって村の若い娘を海に投げ込んでいたというだけ。

親父の実家は、先にも言ったように陸の孤島みたいなところだ。
そういう古臭い習慣がだいぶ後まで残ったんだと思う。

じいさんがなんでそんなこと俺らに聞かせたのかは、未だによく分からないんだけど、
その生贄の儀式っていうのは、神の恩恵を求めたものっていうよりは、
厄介払いの意味を含めたものであったらしい。
村中の嫌われ者、身体・知的障害者や、精神を病んだ人(憑き物ってじいさんは言ってた)を、
海に投げ込んでハイサヨウナラって感じ。

だから、捧げられるのは若い娘だけじゃなかったらしい。
その裏で、多分こっちが本当の目的なんだろうけど、厄介者を始末する。
実際、近所の家にいたちょっと頭のおかしい人が、
生贄を捧げた次の日から見かけなくなった、というのがよくあったそうだ。
あまりにも頻発するんで、村の中枢とはそれほど関わっていなかったじいさんも、
薄々は気づき始めたらしい。

俺の妹が軽度の知的障害者だから、聞いたときは本当に嫌な気分になったorz
俺「でもさ…、それっておかしいとか思わなかったの?娘さんは最初から沈められるって決まってるけど、そういう厄介払いされる人たちって行方不明じゃん」
じいさん「いやー……娘さんにはむげー(可哀想・酷い)とはおもうたけんど、
 ほかんしぃが消えたあとはまわりんしぃ、むしろ厄介者が消えてせいせいって感じやったなぁ」
俺「……」

生贄の儀式が実は厄介払いのための建前っていうことは、
当時の村の人間の、暗黙の了解みたいなものだったんだと思う。
誰も何も言わなかったってのは、そういうことなんじゃないかな。

ちなみにこの風習も、昭和の中ごろになる前に自然消滅していったそうだ。
村の人間も、戦後あたりに家を継ぐ長男以外は出稼ぎで全国に散らばっていったから、
生粋の地元人ってのもあまりいないし、事実を知っている人間は年寄りばかりで、
そのほとんども亡くなっている。

今生きているのは、当時子供で詳しくは知らない人とか、そういうのばっかりだ。
そういう人たちも、わざわざ話したりしない。
だから生贄関連の話、記録とかには残っているんだろうけど(慰霊碑があるし)、
知らない人のほうが多いみたいです。
まぁ自分の地元の郷土史なんて興味なけりゃ、
ごく最近の出来事でも周囲の認識はこんなもんだと思う。

結局、シゲじいさんは、なんで俺と弟にこんな話をしたのかわからない。
俺が民族学やらなんやらが大好きってことを知っていたから、
それで聞かせてくれたのかもしれないけど。
あの人、変人だったし。
もう墓の下だけど、死ぬ直前まで口の達者なじいさんでした。

でも、あのじじいがこんな話をしてくれたもんだから、しばらくは大変だったよ。
今まで(今でも)可愛がってくれた年寄りたちの何人かはこの事を知っていて、
実際に身内の中に生贄を出した家ってのもあるかもしれない。
そう思うと嫌な気分になるっていうか、気のいい彼らに対する認識が少し変わったんだよな。
彼らがいい人ってのはよく分かってるから、それで交流を止めたりはしないんだけど。

以上、あまり怖くはないんだが、俺個人としては気分の悪くなった話。
俺は相変わらず実家に訪問することが多いのだが、
まだ他にも普通じゃない話はいくつか見聞きしている。
それは、話すときがあるかもしれないし、ないのかもしれない。
さすがに地元特定されるようなネタとかは話せないし。
個人的に、かつて村の有力者だったという家の話は、もっと凄かった……




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