【閲覧注意】怪談の森【怖い話】

当サイト「怪談の森」は古今東西の洒落にならない怖い話~ほっこりする神様系の話まで集めています。 随時更新中!!

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483 :本当にあった怖い名無し:2006/11/25(土) 21:18:03 ID:7legdVNy0
 
いまさっき屋根の番組やっていたので思い出した。 
死んだじっちゃんに、
「婿養子に行かない限りは、家を建てる時は何があっても破風が無い様にしろ」と言われていた。 
なんでかと言うと、破風から鬼が逃げるからだそうだ。 
ということは、うちの家は鬼がいるのがいいって家なのか? 
確かにうちんとこには鬼嫁がいるんだが。


484 :本当にあった怖い名無し:2006/11/25(土) 23:07:35 ID:ifjRerR20
 
>>483 
もしかしてこの人がご先祖様?


485 :本当にあった怖い名無し:2006/11/26(日) 00:39:55 ID:B9i0M4Y20
 
>>484
そうかーそうだったんかー!謎が解けてスッキリした。
先祖かどうか知らないが、確かにおいらはWATANABEです。


486 :本当にあった怖い名無し:2006/11/26(日) 18:29:56 ID:sdBJQnw50
 
>>485 
かっこいい家系でうらやましい。四天王の他3人の家系も、なにかめずらしいことするのかな? 


487 :本当にあった怖い名無し:2006/11/26(日) 23:01:26 ID:B9i0M4Y20
 
>>486
いやー四天王自体を484に教えて貰ったばかりだし、
『渡辺』って、現代日本の苗字別ランキングにおいて5位以内だそうだから、
おいらが直系ってわけじゃ絶対ないだろうし知らないなー。
(それに、言い伝えの真意が伝わってないのも問題だw) 

最近のレス見たら、悪神の腕切って食っちゃった人の家系と、
鬼の腕切って逃がしちゃったのの家系が続いていてワロタw 


489 :本当にあった怖い名無し:2006/11/27(月) 01:09:01 ID:2lbYc/9R0
 
>>487 
>いやー四天王自体を484に教えて貰ったばかりだし、 
>『渡辺』って、現代日本の苗字別ランキングにおいて5位以内だそうだから、
>おいらが直系ってわけじゃ絶対ないだろうし知らないなー 

同意。実は俺の祖母も、「うちは桃太郎の子孫なんだよ」と言ってたらしい。 
婆ちゃんは俺が生まれる前に亡くなってしまったので、詳しいことが聞けずじまいになってしまった。
祖母の娘2人(片方は俺の母、もう一人は母の姉)に聞いてみたところ、
同じように桃太郎の子孫ということを普通に認めてる。 

由来はなんだと尋ねたところ、従姉妹(母の姉)は田舎の家のつくりが関係してると言っていた。
>>485さんとは逆(?)のケースだった。 


490 :本当にあった怖い名無し:2006/11/27(月) 01:20:45 ID:2lbYc/9R0
 
ここから先は、なんとも分かりにくい説明になってしまうと思います。 
なんとか記憶を頼りに書いてみる。 

もう10年以上前に、母の姉にいちど聞いたっきりでうろおぼえだが、 
今でも田舎に行けば見られる昔ながらの日本家屋。
うちの田舎もそんな感じの家で、近代の建築という視点で見ると、
「なんでこうなってるんだろう?」というような間取りとか構造があるらしい。 
柱ひとつとっても、窓ひとつとっても、
天井を支えるためとか、換気をよくするためとか、その存在理由は分かるんだけど、
それらを「なぜわざわざこういう配置や構造にしてるんだろう」という意味不明な感じのがあるらしくて。
それで、表向きは、生活するうえで便利とか、建築する上で必要だとかいうことで、
どこの家でも普通に存在している“ある箇所”があるんだけど…。 

その箇所って、実は裏の理由では『鬼避け』の意味があるらしい。 
周りの家は、みんなその鬼避けとされている箇所は、生活するうえでも便利だし必要だからで、
ほとんど取り付けられてあったのに、うちだけはそれが無かったらしい。
たまたま無かったというよりかは、どうも意図的に。 

鬼避けがないということは、余程自信があるんだねということで、 
そこから桃太郎の子孫ということになったんじゃないかって言ってたけど…。 

母親も従姉妹のもオカルトに詳しくないし、歴史とかにもあまり興味ない。 
だから、その説明というか憶測(?)で一件落着してたけど…。
俺はなんでかピンときて、自分の苗字を調べてみたら案の定、
鬼の腕を斬ったと伝えられてるWAhTANABEでしたとさ。 


491 :本当にあった怖い名無し:2006/11/27(月) 01:26:53 ID:2lbYc/9R0
 
「鬼退治した渡辺っていう名前の人が居るよ」と、母と従姉妹に言ったことがあるんだが、
2人とも始めて聞く様子で、「え、そうなの?」と普通におどろいてた。
このリアクションから察するに、祖母も知らなかったかもしれない。 


492 :本当にあった怖い名無し:2006/11/27(月) 01:44:48 ID:XDopKeVQ0
 
桃太郎なら、こっちのひとの子孫とも考えられますね。 

どちらにせよ、もしまた鬼が攻めてきたら、先頭に立って戦わなきゃならない家系ということ? 


493 :本当にあった怖い名無し:2006/11/27(月) 02:16:18 ID:2lbYc/9R0
 
>>492 
>桃太郎なら、こっちのひとの子孫とも考えられますね。 

ですね。WATANABEという苗字は多いし、
たまたま鬼つながりの名前と一致してしまっただけで、案外『渡辺綱』とは関係ないのかも知れません。 
なんでわざわざ渡辺の綱じゃなく、桃太郎と言っていたのかちょと分からん。 
渡辺の綱は知らなくても、桃太郎は知ってる人多いので、説明するとき楽だからとかそんな理由かなと思う。
あるいは、吉備姓とのつながりがあったのかもしれん。 
渡辺の前の苗字が何だったか分からないし、
さらに現在では、従姉妹のおばさんも母も結婚で苗字が変わってしまったので、何が何だがです。

一族の特徴としては、霊感はほとんど無くて、
どちらかというと体動かしたり鍛えるのが好き(とくに男によく見られる)。
職種で自衛隊を選んだのも、案外そんな所から来てるのかもしれん。鬼畜米英なんてな。





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10:15/09/30(水)15:50:36.16ID:24ki+wLG0

俺が20歳なりかけのヒキニートだった時に体験した話。誰かに聞いてほしいので書きます。

実家は東北の内陸で見渡す限りの田園と山に囲まれたところにある。
俺は高校卒業後就職しないで、毎日実家に来る甥っ子2人と遊んで過ごしてたんだ。


10:15/09/30(水)15:50:36.16ID:24ki+wLG0

甥っ子は当時小学校中学年と低学年くらいで外で遊ぶのが好きだったから、学校から帰ってきたら一緒に近くの原っぱに行ってバドミントンしたりキャッチボールしたりしてた。
原っぱは山の入り口にあって、その山は山って言うほど高くもなく丘ってわりには広い、なんか中途半端な山だった。少し高いところにある森って感じかな。
それでその山は実家の裏に続いてて、実家はちょうどその山を切り崩したような崖の下に建ってた。崖って言っても2階建の実家より少し高いくらいなんだけど。わかりづらかったらごめん。

俺が子供の頃はしょっちゅうその山に入って遊んでたんだけど、他の山のふもとに熊が出るようになってからは親に禁止されてた。



10:15/09/30(水)15:50:36.16ID:24ki+wLG0

その日は今くらいの秋口で、夕方よりずっと早い時間だったと思う。

最初はいつものように原っぱで甥っ子と3人でバドミントンしたりして遊んでたんだけど、そのうち兄貴のヒデ(仮)が山に入ってみたいと言い出した。
日が落ちるのはまだまだだし、いつも同じことばっかで俺も飽きてきてたから、じゃあ探検に行くか!ってさほど考えず、一応護身用のラケットを持って何年かぶりに入ってみることにした。
弟のヨシ(仮)もあんまり怖がってなくて、俺は俺で懐かしいなあなんて思いながらズンズン進んでいった。
ちゃんとした舗装はされていないけど人が並んで通れるような道があって、進行方向の左側の林の先が家の裏の崖方面。

ちょうど家の裏のあたりを過ぎたくらいで、目線の先の開けた場所に一本大きな木があった。
その木の真ん中あたりが両側を綺麗な正方形型にえぐられて自分たち側から見るとアルファベットの大文字のIみたいになってて、なぜかこれは熊が爪を研いだ跡だって直感で思った。


10:15/09/30(水)15:50:36.16ID:24ki+wLG0

やっぱ熊いるのかよ…ってビビった俺は、怖がらせないように甥っ子には秘密にしてすぐに引き返そうと思って振り返った。
だけど俺が振り返った瞬間、ヒデが俺の背後を指さして
「鬼がいる!」って叫んだ。

ヤバイぞついに熊が出た!って一瞬思ったんだけど、すぐに(鬼?)とハテナになって、それで思わずその指さす先を見ちゃったんだ。
そしたら、その木の後ろから、鬼のお面がこっちを覗いてた。おでこに大きい角が2本あって真っ赤な般若みたいな顔。

ひょっこり身を乗り出す感じでジッとこっちを見てて、上半身しか見えなかったけど着物?はかま?みたいな服を着てた。たぶん。
なんかわからんけどその時は頭が真っ白になっちゃって、気づいたらヒデが俺をおもいっきりどつきながら逃げよう逃げようって泣き叫んでた。
いつの間にか周りの木がものすごい音で揺れてて、地響きじゃないけどブォ~というかゴォ~というか、とにかく聞いたことないような音も響いてて、恐怖とあせりと使命感が一気にきて、本当頭の中が一瞬でカオスになった。
きっと甥っ子たちがいなかったらちびって動けなかったと思う。

それでまた木のとこ見たらずっと同じ体勢でこっち見てて、もうそれがよけいに怖くて、ヨシを脇に抱えて無我夢中で家まで走った。
ヒデは俺の手引っ張って前を走ってくれた。そのころから良い奴だったな。

いつ音が止んだかとかよく覚えてないんだけど、原っぱまで抜けたときにはもう聞こえてなかった。


10:15/09/30(水)15:50:36.16ID:24ki+wLG0

家について玄関と窓に全部カギかけて、3人で布団にもぐりながら親が帰ってくるの待ったけど、追いかけてくることもなく、それからなにかに呪われたりとり憑かれたり怪奇現象あったりとかもなかった。

親に話したら甥っ子を山に連れてったことをめちゃくちゃ怒られて、俺らが見たのは熊だとしか思ってもらえなかった。
甥っ子たちも同じで、俺が姉ちゃんにしばかれた。
以上で終わりです。


今では田舎を離れて無事就職してるんだが、久しぶりに実家に帰ったら裏の山がソーラー発電施設建てるために禿げあがってたので、きっかけに誰かに話したくなって立てました。
当時の話を甥っ子たちにしたら、ヒデは「ずっと夢かと思ってたけど本当だったんだね」と少し驚いてました。ヨシは山に入ったことすら覚えてなかったです。

読んでくれてありがとうございました。質問あったら答えます。


17:15/09/30(水)15:52:20.59ID:pTwYx4Dd0

仕事もしないでフラフラと遊んでいる自分に対する自己嫌悪と焦燥感が生んだ幻覚だな。


19:15/09/30(水)15:57:43.16ID:24ki+wLG0

>>17
幻覚かはわからないけど、その件がきっかけで田舎から離れたいと思ったのは確かですね


18:15/09/30(水)15:55:16.09ID:cSl3jKHR0

鬼の身長はどれくらいだった?
筋骨隆々だった?


22:15/09/30(水)16:10:44.19ID:uO701OWp0

鬼の仮面をかぶったただの人では


27:15/09/30(水)16:37:41.97ID:24ki+wLG0

>>18
遠目だったから着物っぽいの着てることくらいしかわからなかったです。

身長も異常なほど高いというわけでもなく、たぶん大柄な成人男性くらいだったと思います。

>>22
そんな気もするんですけど、なんだかすごく奇妙だったんです。


13:15/09/30(水)15:21:42.88ID:MjhtwjSx0

鬼の和服って何色だった?
着物というより浴衣に近い感じじゃなかった?


16:15/09/30(水)15:43:47.92ID:24ki+wLG0

>>13
あんまり覚えてないけど、浴衣ではなかったと思います


20:15/09/30(水)16:02:59.99ID:MjhtwjSx0

>>16
そうか
浴衣っぽい般若なら見たことがあるんだ。お面を見た、と感じたのが同じだったから聞いてみた。

でも鬼じゃないし般若は女性だったから違うか。


27:15/09/30(水)16:37:41.97ID:24ki+wLG0

>>20
山で見ましたか?


30:15/09/30(水)17:16:45.42ID:MjhtwjSx0

>>27
かなり山に近い、川のそばだった。

都会住みなんだが、その時は田舎のお祭りにいた。
あれはお面だと自分に言い聞かせたが見た瞬間の違和感というか、そこだけが浮き出るような恐ろしさが忘れられない。

顔が少し傾いていて顔の側面まで見えたから残念ながらお面ではないんだよな。




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365:本当にあった怖い名無し:2008/08/28(木) 16:34:02 ID:7c32Su4IO
人伝えに聞いた話。
まだ携帯があまり普及していない位前の事。
友達と夜遅くまで遊んでいたA君は、そろそろ帰らないとマズイなと思い帰ることにた。
友達の家からA君の家は、そこまで遠くなく歩いて10分位だったらしい。

この時の時間が2時位だったそうで、
霊感の強いA君は嫌な予感がして急ぎ足で自宅を目指しはじめた。
ところが途中までは確実に家の方まで帰ってきていたのに、
いつの間にか全然知らない道に来ていた。
地元な訳だし、ほとんど毎日通る道な訳だから道に迷う事なんて、ありえなかった。



366:本当にあった怖い名無し:2008/08/28(木) 16:45:11 ID:7c32Su4IO
続き

が、一生懸命知っている道を探しても、全然でてこずむしろどんどん迷って行く感じだった。

すると、暗闇の中から誰かがこっちに向かって歩いてくる。
A君は助かったと思いその人に近づいた‥。
するとそれはお坊さんだった。
こんな真夜中にお坊さん?っと思ったけど、とりあえず道を尋ねようと声をかけようとしたら
指を指され、『お前は‥鬼のコ』と何回も繰り返し言ってきたのだ。
気味が悪くなり、お坊さんを後にし逃げていた。
すると今度は、5歳位の園服をきたコがまたA君を指指し、『お前は鬼のコ』と言い出したのだ。
真夜中の2時、A君は確信した。これはヤバイと。

368:本当にあった怖い名無し:2008/08/28(木) 16:57:49 ID:7c32Su4IO
続き

走って走って、もうどこまで走ったかわからなくなり途方に暮れていると、電話ボックスがある。
これで誰かに連絡をとれば何とかなるかもしれないと思ったみたいで、
とりあえず電話ボックスに入る。
が、小銭がなく仕方なくテレカを買う機械にお札を入れる。
すると出てきたのは、真っ白の紙。何回か入れてようやく出てきたテレカ。
当時付き合っていた彼女に電話をかける‥。
プルル…

呼び出し音がなり少しホッとしたA君が外を見ると、
電話ボックスの周りが真っ白の手形でいっぱいになっていた。
A君はパニックに陥ってしまい、電話に出た彼女もA君の
異常な雰囲気に何がなんやらわからなくなったそう。
どうにか状況を話、電話ボックスの外に出た時には
いつもの知っている道に戻ってたそうです。






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373 :1/5:2006/05/05(金) 20:02:59 ID:tqa7unpK0
久米と旅行に行ったのは、三月の終り近くだった。
新学期になる前に行っちゃおうってんで、無理して予定を組んだものだ。
「あんま観光地らしいとこ行きたくねぇなぁ」等と言うものだから、街から少し遠い山間の宿になった。
宿の傍には川が流れ、その川を下っていくと街に出る。
とはいえ、街に出て何があると言うわけでもないので、俺達はぶらぶらしたり温泉を探したりして1日を潰した。

山間の日は傾くのが早いか、既に道も空も赤々と燃え立つようだった。
俺達は川べりを歩き、橋の上から赤錆色の川を眺めていた。
「おはっ、アレは、おい……うぇ」
久米が奇声を上げて指差したので、俺はつられて川上を見た。
「なんだ。箱……舟……?」
それは四角い箱の様な物に乗せられた、2体の人形だった。
俺は川べりに向い、その舟を迎え入れる様にして、手を伸ばした瞬間、
「バカッ!触るな!」と、怒号とともに引き摺り倒された。
「な、なにしやがんだよ!くそっ!濡れちまったじゃないか」
「冗談じゃないぞ、馬鹿!!……何考えてんだ、お前……」
久米は胸を大きく上下させる、その顔は青かった。

374 :2/5:2006/05/05(金) 20:03:30 ID:tqa7unpK0
「なんだよ、どうしたんだ」
「今日は何日だ?」
「は?今日?27じゃないか?」
久米は逆算する様に指折ると、ハッとして顔を上げた。
「いぃぃ……やっぱり……重陽だ……」
俺は彼の動揺をよそに、川に目を落した。人形の舟はゆるゆると川を下っていった。
「アレがどうかしたのか?」
「なに?どう?どうもこうもあるか!」
ちょっと息を止めてからゆっくり吐いて、
「あぁ……へ、へ、へっ……あれはヤバいっつんだよ」
と言って、さっさと背を向けて歩いていく。
俺はそれを追いながら問いかけたが、芳しい答えはかえってこなかった。

「あ~、かわい~」
はしゃいだ女の声だった。久米は跳ねる様に振り返ると、凍り付いた。
カップルがその舟を抱えてニコニコと笑っていた。
固まった俺達の気も知らないで、二人は笑って会釈した。

375 :3/5:2006/05/05(金) 20:04:00 ID:tqa7unpK0
「やっぱりぃ、日本の心みたいな、風情みたいなのがあるじゃないですかぁ」
等と、自称日本好きの二人が、固まりきった俺達に話し掛けて来たが、
久米は明らかに不快そうな顔をしていたので、代りに俺が受け答えをした。
「えぇ~、二人とも宿一緒じゃないですかァ~」と男が言った。久米は増々不快そうな顔をした。

宿へ着いた後も、久米はしかめ面のままだった。
「おまえ、ほんとにどうしたんだよ」
「あ……?話は、な、帰りにしてやるよ、な。今は言いたくない……。それよりメシだ。メシ食う」
籐椅子をバンと叩いて立ち上がると、食堂まで駆ける様に歩いていった。

出された夕食はたいしたものではなかったが、何故かイナゴという下手物が入っていた。
「俺はコレ、食えないな」
「いいじゃねぇかよ。腹に入りゃ……」と話していると、
「あ~」という声。
なんだ?と思って振仰ぐと、さっきのバカップルが立っていた。
ニコニコと俺達の横に席を取ると、べらべらと喋りながら次々に料理を口に運んだ。
イナゴも平気そうに口へ運ぶ。何故かその時、その様がえらくゆっくりと見えた。
そのイナゴは腹が白かった。白ゴマの様なものが和えてあって……
うっ、と久米がえずいて席を立った。
俺もそれを追って席を立ち、彼を介抱しながら部屋へ向った。

「おい……お前、あれ見たか?」
「あれって、あの白いやつか?」
「ありゃ卵だ……」
イナゴの腹に付いている……ビッシリとくっ付いていたのは……
「違う、お前。見えてなかったんだな……あいつらの料理、どれもこれも表面真っ白だったじゃねぇか……。
 皿の上一面、卵で覆われてたじゃねぇかよ……」

376 :4/5:2006/05/05(金) 20:05:15 ID:tqa7unpK0
部屋に着くと、彼は青い顔で倒れ込んだ。
「なぁ、そろそろ教えちゃくれないか?」
「うん、ああ……今日はひな祭りだ……」
「え?」
「重用だ。上巳だったんだなぁ……クソッ、忘れてた……」
「何言ってんだよ?3日はもう過ぎてるぜ?」
「陰暦の3日だよ、今日は。重用ってのは、月と日が重なる日の事。とくに奇数月」
「でも、ひな祭りっつったって、別に舟で流しゃしないだろ。寺山修司じゃあるまいし」
「流すんだよ」
「なんで?」
「……いいか。雛祭は女の子が人形を飾る祭じゃないんだ。祭と言うのは“神奉り”。人形は形代、憑坐だ。
 しかも春の節供だ。季節の変わり目。穢れを払って、新しい春を迎えなければならない。
 だから人形に穢れを移し、荒魂を流し、和魂を呼び込む。あの人形はそういう人形なんだよ」
「つまり?」
「鬼ごっこと一緒。人形にタッチして禍いを移して、異界に流す。村の外に出てたらもう帰ってこないからな。
 つまり、あの人形に触ると……そいつが鬼になっちゃうんだよ。禍いが移されるんだ。
 ……普段、この地方ではやらない様だからな……余程、流さねばならない禍があったんだろう」
「あ、あのカップルは……」
「さぁな?境を越えたら……どうなることやら……」

で、翌朝。
彼等と帰りのバスではち合わせた久米は、瞠目して固まり、俺に耳打ちした。
「あのバカップル……顔……あるか?」

377 :5/5 お粗末様でした:2006/05/05(金) 20:06:06 ID:tqa7unpK0
チラと見ると、確かに顔はあるが、どことなく白んでいてぼやけているような気がする。
「真っ白だ」
「え?」
「見えねぇ、冗談じゃねぇよ」
彼にはカップルの顔は見えないらしい。俺には良くわからなかった。

俺達に気付いたカップルは会釈をして、バスに乗り込んだ。俺達は彼等の後ろの席に座った。
「ひぃ、ふぅ、みぃ、よ、いぃ、むぅ、なぁ、や、こぉこぉの、たり……」
と数えながら、久米は一から十までをピラミッド上に書き、その紙をポケットに入れた。

バスはゆらゆらと山道を下っていって、俺達はいつの間にか町に入って、はずれまで出ようとしていた。
突然、久米が俺の腕を引いて立ち上がり、降車のボタンを押す。
せわしなく動きながら早くしろと合図するので、俺はどかどかとバスを降りた。
「なんだよ、もう!」
「孵りやがった!」
久米はポケットに手を突っ込んで、行こうとしているバスを見つめた。
「かえる?なにが!?」
「境を越えたんだ。あの卵、長いのを孵しやがった」
「だから、なにが!!」
「卵だよ、卵!顔が見えねぇっつったろうが!やつら顔一面に、びっしりと白い卵が植え付けられてた!
 それが、おまえ一斉にな。顔から動く毛がはえたみたいに一斉に……長いのが孵りやがった」
「まさか」
と俺がバスに目をやると、バスが動きだして、チラリとその女の顔が寝返りをうった。
顔は腫上がって真っ赤だった。小さいニキビの様なものが隙間なくプツプツと湧いていた。
俺達は行くバスを見送って立ち尽くした。







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592: 本当にあった怖い名無し:2011/07/26(火) 21:07:02.24 ID:IS+Zob7Q0
別にそんな怖くもないけど、うちの地元に伝わる話書こうか?

593: 本当にあった怖い名無し:2011/07/26(火) 21:11:22.32 ID:ghix4IqG0
お願いします。

596: 592:2011/07/26(火) 21:39:54.09 ID:IS+Zob7Q0

んじゃ投下。

平安時代頃の話なんだが、その頃この一体に魔物が出没したらしい。

まあ鬼なんだろうが、これが中々凄まじい奴で、
雷鳴轟かせながら暗雲と共に現れて女子供を攫い貪り食うような奴だったんだそうだ。

堪りかねた村民は郡司を通じて朝廷に使いを送った。何とかしてかの魔鬼を鎮めてもらいたいと。
そうして、朝廷から命を受けたとある高名な僧正と武士がその村へとやってきた。

僧正は村に着くと、しかるべき場所を選定して御堂を築き、
朝廷から預かってきた神鏡を前に七日七晩の調伏祈祷を始めた。

調伏成就の近づいた七日目の晩、
突如として僧正の眼前に黒雲が巻き起こり、雷鳴と共にくだんの魔鬼が現れた。
鬼の目的は神鏡だった。

この神鏡は代々朝廷に伝わるもので、非常に強力な破邪の力を持っていたという。
鬼はこの神鏡を破壊し、僧正の命を奪うことですることで調伏を失敗させようとしたらしい。

正直、そんな神鏡触るのも危ないと思うんだが…まあそれだけ強力な奴だったんだろうな。
僧正はそれまで七日と六晩不眠不休で調伏の祈祷に専念してきたからとっさのことに動きが遅れた。
僧正の首に魔鬼の鉤爪が迫る。

と、そのとき。

それまで外で見張りをしていた武士が御堂の扉を蹴破って中へ入り、僧正と魔鬼の間に割って入った。
魔鬼も突然のことに一瞬ひるんだらしく、とっさに鉤爪のついた手を引っ込めた。
武士はここぞとばかりに魔鬼に詰め寄ってその頭に生えた角をつかみ、根元からぼきりと折り取った。
その瞬間、魔鬼は阿鼻叫喚の咆哮を残して煙と消え去ってしまったという。

で、折れの地元には今でもこの退治された魔鬼を祀った神社がある。
一応鎮守ってことにはなってるが、境内社…というかほぼ同じ大きさの隣接する社で
退治した武士も祀ってる辺り、単なる封じ込めくさいんだよなあ。

ついでに言うと、その神社から1kmか2kmくらい離れた所にある神社は、
かつて退治された魔鬼の「首」を貰い受けた村民が建立したんだそうだ。

おいおい、霧になって消えたんじゃなかったのかよ? と調べたときに思ったけど、
どうやら色々と別伝があるらしい。

ちなみにこっちの神社は江戸時代に一旦火事で焼亡してる。
多分そのときに鬼の首も一緒に焼けちまったんだろうな。
今の御神体はその後で境内から掘り出された大陸渡りの鈴だって話。

600: 本当にあった怖い名無し:2011/07/26(火) 21:52:09.75 ID:ZZZm9lq30
>>596
いいね、おもしろかった
しかし刀で切りつけるのかと思ったら素手で折るとはw

601: 本当にあった怖い名無し:2011/07/26(火) 21:56:17.04 ID:IS+Zob7Q0
>>600
一応、その首を祀ってる方の神社の別伝では刀で首を切り落としたってなってる。
こっちでは角は首が地面に落ちたときに折れた、という話。
でも手で折ったっていう伝承の方が面白いよなwww




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