【閲覧注意】怪談の森【怖い話まとめ】

当サイト「怪談の森」は古今東西の怖い話~ほっこりする神様系の話まで集めています。 随時更新中!!

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622 :本当にあった怖い名無し:2013/01/13(日) 10:53:28.21 ID:Emsj5dSfP
怖いけど不思議な話。

自分の祖父は山が大好きで、長年勤めていた会社を退職したあと退職金で山の土地を買いそこで暮らしている。
その山はすぐ近くに町がありインフラもしっかりしていて、ある程度恵まれた環境の山だった。
夏の間は空部屋を地元の子供たちに提供して林間学校みたいなこともやっていて、
後から入ってきた余所者という扱いはすぐになくなったらしい。(まあ、65過ぎていて老人だったこともあっただろうけど)
街の住人とも打ち解けて、なかなかいい老後を過ごしていた。


623 :本当にあった怖い名無し:2013/01/13(日) 11:02:44.06 ID:Emsj5dSfP
しかし、そんないい山が、なんで祖父の退職金で家が立てられるお金が残るほど安いお金で買えたのかが不思議だった。
祖父と酒を飲みながら笑い話ついでに聞いてみると、
祖父は笑いながら「この山は鬼の隠居が住む山なんだよ」という話をしてくれた。

言い伝えというか童話のような話だが、
鬼は年老いて若いものに権力を譲ったあとに、自分に気兼ねなくして欲しいということで隠居するんだが、
その隠居したという場所がこの山なんそうだ。
近くには鬼の隠居場所と呼ばれる洞穴が幾つもあって、中は入り組んでいて入るのは危険だそうだ。
その伝承があってあまり良い土地とされてなかったので安かったそうだが、
「今ではそれを気にするような子供も親もいないし、いい場所だよ」と言っていた。


624 :本当にあった怖い名無し:2013/01/13(日) 11:05:17.92 ID:Emsj5dSfP
話はそれで終わったが、今よくよく考えてみると、
その童話は姥捨の習慣が変異してできたものではないか?と思うようになった。
今では道が整備されているが、元々は道という道もないような鬱蒼とした山だし、
洞穴も一回入ったら出れないというのも、そういうことなんじゃないかと勘ぐってしまう。
だが特に事件もなく、祖父にそのことを話して気分を悪くさせることもないので、一人つぶやいてみた。



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37 :oink:2006/09/26(火) 17:36:15 ID:IdYBwNKp0
時代は戦国。未だに天下はその行く末を定めていない。

神奈川の山中には、炭焼き職人が集まる小さな集落があった。
普段は使われていないのだが、冬になると一時的に何人か集まる事で知られていた。
麓の村に下りない変わり者ばかり、と言う噂だった。

ある日、その小さな集落に一人の娘が逃げてきた。
その娘は山を三つ越えた場所にある小さな村の出で、何者かに襲われて一人だけ漸く逃げて来たと言う。
真っ白い着物に素足、髪はザンバラで、初めは幽霊かと思ったほどだった。
手足が氷のように冷たく目が虚ろな為に、慌てて小屋の中に導いた。
「他の村人は?」
炭焼き達は色々聞くが、がたがたと震えるだけで要領を得ない。
漸く娘が話し始めた内容は、とても信じられないものだった。


38 :oink:2006/09/26(火) 17:36:49 ID:IdYBwNKp0
『領主を呪う為に生贄狩りをしている』と言う噂が娘の村に流れたのは、今月に入ってからだった。
何でも、幾つかの村は襲われて全滅したらしい。
疑わしい話なので誰も信用しなかったが、それでも不穏な空気を感じざるを得ない。

娘の村に奇妙な仮面を被った一団がやっていたのは、五日前の事だった。
村の真ん中で厄払いの儀式を行う事になったのは、領主の意向らしい。
領主の手紙を村長に渡した集団の”長”らしき者は、村長の警戒を解くかのように何かを渡した。
娘はその何かを見てはいないが、村長の態度が変わったので、「金でも貰ったんじゃないか?」と噂しあった。

その夜、村人は得体の知れぬ夢を見て、次々に飛び起き、村全体が騒がしくなった。
形容しがたいドロドロの何かが、村を飲み込む夢だ。
そうして、一人も残らず食べられてしまうと言う夢。
それを見たのは一人二人ではない。村人の殆ど全てがその夢を見た。

これは奇妙な儀式と関係があるとして、村長が村はずれに滞在中の”長”の所へ抗議に行く。
だが、その時既に異変は起こっていた。
歩き出した村長と数人の若者が、突然村人の目の前で消えた。
真っ黒い霧の様なものが、何かを音を立てて”食べている”。
次いで、松明の火に照らされたのは、転がって来た村長の首だった。
呆気にとられていた村人が、恐慌状態に陥るのは簡単だった。

それからの事は思い出したくもないという。
山の中に逃げ込んだ娘は、背後に沸き起こる悲鳴や怒号に耳を塞ぎながら、山中を駆け回ったという。
そして雪を食べ、沢の水を飲んで、漸くここまで辿り着いたと言う。

この話が本当なら、大変な事だった。
娘が嘘を言っているようには見えない。
山道が雪に閉ざされる前に、麓の村に知らせに行かねばならない。
炭焼き職人達は娘を背負うと、一路山を下った。


39 :oink:2006/09/26(火) 17:37:30 ID:IdYBwNKp0
村長は、変わり者だがまじめな炭焼き達の言葉を信じる。
「変な集団が来たら村に入れてはいけない」
「領主様に報告しておくべきだ」
そう言って娘を預けると、職人達は集落に戻っていった。
少なくとも、変な儀式をさせなければ村は大丈夫だと信じて・・・・

その翌々日、漸く集落に帰ってきた職人達は恐怖した。
仮面を被った怪しげな集団が立っているではないか。
逃げようにも、疲れた彼らにはその力が無かった。あっさりと捕まり観念した。

「村は救った。お前らには騙されないぞ!」
職人の中でも年長の男は、そう言って笑ってやった。
その途端、顔色を変える変な集団の長らしき人物。
「お前ら・・・誰か村に入れたか!?」
その雰囲気に呑まれた年長の男は、それでも虚勢を張って答える。
「お前らが襲った娘を救っただ・・・」
「バカが!!!!」
男の言葉を遮って怒鳴りつける長。


40 :oink:2006/09/26(火) 17:38:36 ID:IdYBwNKp0
「お主等が”導いた”のは、人の姿をした鬼じゃ!」
訳が判らない。あの可愛らしい娘が鬼などということは考えられなかった。
「嘘じゃ!お前らのいう事が信じられんわ」
「・・・お前ら。この冬山で只の娘が、どれ位彷徨うて生きていられると思うか?」
「・・・・・・」
「その娘、当に死んでおるわ。目は?体は?生気はあったか?」
男の言葉ががんがんと響く。
言われてみれば思い当たる節はある。
長は続けて言う。
「皆殺しにした村の中から都合の良い人間を見つけると、中に入り込んで、次の村を襲う。
 村々には悪霊避けの護符がある所が多く、人の姿を借りると共に、”導いてくれる”人間が必要」
それを聞いた職人達は、とんでもない事をしてしまったと言う恐怖に染まった。言葉もない。
慌てて戻ろうとする男を長が止める。
「・・・もう遅い。二日も経っているのだろう・・・今回も間に合わなかったか・・・!」
無念そうに呟く。
職人達にこの土地から離れるように告げると、彼らは無言のまま村ヘと向かった。
鬼を追うために・・・
職人達はただ呆然と立ち尽くすだけだった。


41 :oink:2006/09/26(火) 17:39:38 ID:IdYBwNKp0
この村の資料としては、郷土資料館の地下書庫に眠る『仏黒山村 記』にのみ記されている。
『村の住人は誰も居なかった。忽然と一人も残らず消えていた。犬もネコも牛も馬も、何も居なかった。
 ただ、彼方此方にこびり付いた血の痕が、ここで何かがあったことを告げていた。
 村の住人が戦った様子は無い。
 しかし、固まっている血溜まりから見ても、明らかに殺された形跡はある。
 死体も無く、ただ何もかも消え去っている。』

当時、この地方を治めていた領主に当てられた報告としては、これ以上の事は書かれていない。
恐らくは盗賊の類に殺され、生き残った者も死体ごと連れ去られたのだと考えられた。
戦国の世の中で、山奥の小さな村が消えてなくなる事自体は、さほど珍しい事ではなかった。
しかし、それらの真相が明らかになる事もまた無かった。
炭焼き職人達のその後は、杳として知れない。



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519 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/01/24(火) 22:55:56 ID:OAU45ssE0
知り合いの話。

幼馴染みに山に誘われ、週末を利用して軽い山行に出かけた。
夜、焚き火を挟んでいると、いきなり打ち明けられた。
癌なのだという。
もうじき再検査する予定だが、おそらく手術することになろうと医者に言われたのだと。
驚いたが、何と言って励ましたら良いのか・・・咄嗟に出てこない。
ありきたりの言葉しかかけられない自分を不甲斐なく思いながら、眠りに就いた。

深夜、嫌らしい音で目が覚めた。
ピチャピチャという、濡れた物を舐めているかのような音。
隣で寝ている幼馴染みを見て凍りつく。
小さな子供のような影が彼の上に跨っていた。
手足も何もかも枯れ木のように細く、腹だけがぼってり張り出している。
何かの写真で見た、栄養失調の子供の姿を思い出させた。
影は幼馴染みの腹の中に頭を突っ込んでいるようだ。
ざんばら髪の頭が揺れる度に、ピチャピチャという音が響く。
まるで金縛りにあったかのように、身体が動けなくなっていた。


521 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/01/24(火) 22:57:41 ID:OAU45ssE0
明け方、不気味な影はいつの間にか消えていた。
恐る恐る幼馴染みを起こしてみると、奇妙にさっぱりした顔で起きてきた。
開口一番、夢を見たという。

「鬼だ。鬼が俺の腹の中をガツガツ喰らってた」

絶句した。
「どこか軽くなった気がする。持って行かれたんだろうな」
こう続けられた彼は、しばらく呆けていたらしい。
それ以上の会話も出来ず、二人してそのまま山を下り別れた。
幼馴染みの小さくなる後ろ姿が、いやに切なく見えたそうだ。

ニ、三日して連絡があった。逢いたいという。
職場近くの喫茶店で落ち合った幼馴染みは、困惑した顔をしていた。
「山から帰るとさ。癌が、腫瘍が消えて失くなっていたんだ」
しばらく無言で見つめ合った後、
「良かったじゃないか」
ようやっとそれだけを口に出来た。
「うん。だけど、ものすごく気味が悪いんだ」
幼馴染みはポツリと言う。気持ちは何となくわかった。

今のところ、二人とも健在である。
ただ幼馴染みはあれ以来ひどく病弱になり、入退院を繰り返している。
「実はあの時、悪くない所まで喰われていたりしてな」
それでも、そんな軽口を叩けるくらいには元気なのだそうだ。


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