364 :本当にあった怖い名無し:2010/03/15(月) 00:56:35 ID:nwOELEO40

27歳の時、妹と共に上京してた頃の話。

当時働いてた会社の近くに隣接するように二つ神社があった。
両方とも駅前にある。一方はK神社、一方はY神社。有名な神社で、受験シーズンはY神社はテレビに出る事もある。

このY神社は学問の神様と有名だが…非常にヤバイ。
それが神社周辺だけの事なのか、神社自身なのかは中に入って確認していないから定かではないが…。様子を見るにも昼間でも入りたくなかった。

会社も駅から徒歩五分ほどの場所に在ったのだが、駅からの道が二つ別れる。K神社ルートと、Y神社敷地を一部は居るルート。
Y神社ルートの方が断然早く会社に入れる。駅から二分ほどだ。

朝の時間は貴重だ。特に私は喫煙者で、会社に行って早いうちからぼんやり煙草を吸うのに時間が多いに越したことは無い。
Y神社ルートに気付く前は、K神社ルートだったが、時間短縮に朝だし大丈夫だろうとY神社ルートを毎日使うようになっていた。

Y神社の前を通ると、何か腐ったような匂いがしていたのは気になった。
臭いな…と思いながらも毎朝、そして帰りも通っていた。


二ヶ月ほど過ぎたある日、会社から帰ってぐったりと部屋で横になってうとうとしていたら夢を見た。
古い古い大きな座敷のある屋敷の一室で、私を含めて数人の男がいた。

私は大きな姿見の前で、遊女らしき女をうつ伏せにして押さえ込んでいる。女は髪が振り乱れ、着物もみだれて、あられもない姿だ。
私は何も思うことは無く、女の髪をわしづかみにして力任せに引っ張り、首を仰け反らせている。

白い白い綺麗な首があらわになる。その首に他の男が、鋭い刃物を埋めてゆく。
髪を引っ張り仰け反らせているから傷口が、くの字で広がっていく。

そこで夢の中で私の意識が起きる。けど、行動はそのまま。
うわぁ…いやだ。そんな事を思っていたら、女の首を切り終えた刃が、私の足のふくらはぎに食い込んだ。

そこで私が、着物を着た男だと知る。男の意識と私の意識が重なる。男は、仲間が誤って自分に怪我をさせた。
治療されて当たり前だと思う。私は事情が分からずに、パニックになる。

怪我をした男が顔を上げて仲間を見ると、仲間の男は笑っている。
三人いたと思う。三人とも手に、惨殺目的のために作られたとしか思えないような凶器を持っていた。そして私を見てニヤニヤ笑い迫ってくる。

だめだ!やばい!!逃げなくては!!
男の意識は訳が分かっていないようだった。私は完全にロックオンされた!!と思った。

無理矢理覚醒しようともがいた。同時に酷く金縛りになっている。
迫ってきた男たちの持っていた凶器が生きたまま頭をつぶすためのものだ。と思いながら無理矢理に何もかもを振り払って目を開けた。

夢から醒めて目を開けて、体も起こしたけれど、視界が夢の片鱗を残している。
体から力が抜けて、すぐにでも気絶しそうだった。気合と根性で肉体の感覚を現実に引き戻そうとして、私は鞄の中の携帯電話を取り出した。

その間もざわざわざわと聞こえない気配と音が、私を飲み込もうとしているように感じた。
実際、がっくがっくがっくがっくと、無理矢理金縛りを解いた影響か、全身が痙攣のように震えて止まらなかった。

でも、そこで怯えて縮こまったら、事態が悪化すると思い。本能的な危機感から動いていた。
携帯を開いて、霊感のある友達の番号を引っ張り出す。その間も視界は何度も見えなくなる。

何とか電話をかけることが出来て、コール音を聞きながら、頼むから出てくれ!と祈った。
少し待って、友達が出た。

「…うわ…どうしたん!?」
「ご…ごめ…ちょ…とぉ…こあい…ゆめ…み…れ…」

未だに痙攣の様な震えも治まらず、呂律も上手く回らない。声が震えても居た。

「大丈夫!?話し聞くから、落ち着いて…大丈夫!?」

友達の声に安心して張り詰めてたものが溶けて、私は声を上げて泣いた。
泣きながら、自分の意識を必死に保とうと何か色々話してた。友達はそれを聞いてくれた。

落ち着いてから、ちゃんと話そうと思ったときに、さっき見た恐ろしい夢の前に、もう一つ奇妙な夢を見ていた事を思い出した。


夢の中で私は葬儀屋で、顧客の家を訪問するという夢だった。

夢の中で訪ねた家で、髪の長い女が私を出迎えて、家の中に招かれるのだが、一歩玄関に入った途端。
何かやばい気がして、入ってはいけない気がして、女に適当な言い訳をして出ることにした。

「大事な書類を車に置きっぱなしにしてきてしまいました!すみません、すぐ取ってくるのでお待ちくださいね!!ほんとうに、間抜けですみません」

苦笑しながら和やかな雰囲気で話しを持って言ったのだが、一歩玄関に踏み入れた足を外に向けたときに、手遅れだったと気付く。
両足に先ほどまで私の対応をしていた女の長い髪の毛と首が巻きついていた。それを思い出したときに、夢の遊女とその女が同一だと感じた。

兎に角逃げなくては!
玄関から出たら、生首も髪の毛も消えていた。マンションの一室と言う場所だった。二階の。

マンションから下りる階段が消えていた。何とか逃げなくてはと廊下から見える外に目を凝らしたら、こちらに背を向けて何か作業している男がいた。
恰幅のいい男だった。黙々と何かをしているが何をしているのかわからない。

その男に声をかけて、場の流れを変えようとおもった…が。いざ口を開けて声を出そうとすると。
「気付かれるな!!!!」
という意識が起きた。

意味不明だが、気付かれたら危険だと感じて…。
そうしたら男が黙々としている作業がなにやら禍々しく思えて…逃げ場を失いどうしたものかと思案した時に、すとんと、あの屋敷の夢に入った。


友達に、その話しを全てした。
友達が、何時に無く静かな声で…「普通の夢や無いよね」と呟いた。

「ごめん…こんな話して」
「いや、いいねんけどな…うん。この電話取った時にな、なんかが突然首に巻きついたと思ったんよ。あんたな…その女の身代わりにされかけてん」

友達が話し始めた。

なんか霊団?のような悪霊の巣の様な空間があって、そこのものに目をつけられた、というのだ。
目をつけたのは、延々とその空間で残忍に殺されるばかりを繰り返している女で、私を身代わりにと目をつけたというのだ。そして身代わりにしようとして夢で引っ張り込んだら、他のものにも気付かれて標的にされてる、と…。

「どこでこんなもの拾ってきたん?もうなんか…人の形してないやん…なにこれ?」

心当たりは一つしかない。Y神社だ。
友達はY神社の話しを聞いて「すごい臭いな」と呟いた。

「イチョウの木があるのかなとか思ってるんやけど」
「いいや…これ…死体の腐ったにおいやろ」

友達は断言した。

「……多分、あんたそこで目ぇつけられたな。なんでやばいって分かっててそこの道とおるんさ!?」
「朝やから…かまわんと思って…」

「気いつけや。しつこいで。面白くて楽しくて殺しするような連中やで」

震えは治まったけれど、気配はまだ近くにあるのは分かった。笑いながら私の怯える様子を見ている。

「笑い声が聞こえるし。ほんまに気いつけや!?」

心霊現象として終わるとは限らないと…ひしひし感じた。
例えば、今から一人で夜道を歩けば…通り魔に会う。殺される。そう感じていた。精神的に囚われてたんだと思う。

煙草を吸うにも、室内禁煙でベランダが無い部屋なので、携帯灰皿を持って玄関外で吸っていたんだが、外に出るのが怖くて仕方が無かった。帰宅後禁煙が数日続いた。
外と言う世界に触れたときに、連中のゲームが始まりそうで…。殺される。本気でそう思った。

でも、社会人。そんな理由で休むわけにも行くまい。稼がねば生活が出来無い。翌朝、怯えながらも出社した。
仕事をしているといつもどおりのペースが戻ってくる。昼休みに一人でK神社にお参りをした。時々お参りをしては応援してくださいとお願いしていた。


その日は、こんな事がありました、怖いことが起きませんように。負けませんように。とお願いしていた。ちょっと泣きながら。
もうY神社ルートは通らないようにして、K神社ルートで大回りして行き帰り歩いた。

そんな折に、会社の上司と世間話をしていた時に、部長の話しを聞いた。
部長はかなり霊感が強いらしく、その上司はたまにその話しを聞かされているようで

「隣のY神社さ、やばいって言うんだよね~。君そう言うの分かる?」
「……ああ~…。はいマジヤバイので、参拝はオススメしません。敷地に入るのもオススメしません。K神社はオススメです。とても良い神社です」

なんて話した。その上司はほんと良い人で、心霊系統は信じてないけど、否定まではせず話しを聞くという人だった。

もう年末近くなって、会社を出る時間には日が暮れていたが、K神社のルートを通ったら全く怖くなかった。
とても空気が澄んでいて気持ちが良いくらいだった。

出来るだけY神社から意識を逸らして、出来る限り昼休みにK神社に通っていたら救いの神がやって来た。
私があの日電話した友達から連絡があり、私が地元へ戻れるように采配してくれたというのだ(当時家庭の事情でちょっとあったので)。

友達のお母さんに、友達が私の話しをしたらしく、友達よりも霊感の強いおばさんは「あの子…このまま東京におったら…死ぬな」と言ったらしい。
もう、ほぼ強引に、私が自分の意思で戻れるようにと動いてもらって、私の東京生活は終わることになった。


話しを聞いた一週間後には、私は新幹線に乗っていた。
新幹線の中で、京都に入った時に、空気が変わったのが分かった。そこではじめて「東は私には合わなかったのか…」と感じた。

Y神社の連中も、京都に差し掛かった途端、気配がなくなった。体から緊張が消えていった。
地元に帰ってきて、友達の家にお邪魔した、時散々言われた。

「このままやったら、死んでしまうからって、もう急いだよ~」と、おばさん笑いながら…。

「死ぬって?」
「まぁ、大病するか自殺か」

友達はあっさり言ってくれた。

今振り返ってみたら、不安な気持ちが現象を増徴させてより恐ろしく感じてたんだろうし、隙も大きかったのだろうと思う。
けれど、Y神社はやばい。シャレにならん。と言う思いは今でもある。

この話数年過ぎてやっと、人に話せるかな?と判断して投下。

思ったよりも長くなってしまった…。申し訳ない。
そして最初に書くべきだったが、感覚の鋭い人(特に東の方)影響出たらごめんなさい。


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