【閲覧注意】怪談の森【怖い話】

当サイト「怪談の森」は古今東西の洒落にならない怖い話~ほっこりする神様系の話まで集めています。 随時更新中!!

タグ:怨霊




62 :本当にあった怖い名無し:2012/01/14(土) 05:56:54.08 ID:UI2AIrGB0
オカ板ははじめてなんで、なんか間違ったらスマン。
二、三日かけてまとめたら、スゲー長くなってしまったんで
それでもいい人だけ読んでください。 

子供の頃に変なものを見た。
遠縁で実際は血が繋がってないんだけど、
親同士の仲がいいので俺は夏休みになると毎年○家に何泊かしていた。

俺はその頃4歳くらいだった。
昼過ぎに遊び疲れて仏間の隣の部屋で寝ていると、側でポタッポタッって音がする。
で、なんかカリカリというか、ズルズルというか、
何かが動いている気配がした。

でも眠かったからシカトしていたら、ほっぺたに何かが触れた。
手ではらって見てみると、虫みたいだった。
白くて大きな幼虫みたいなのが畳の上でウゴウゴしている。
男児って虫好きだから、大物ヤッターってなってすぐさま拾ってみた。
でも、なんか先端のほうに堅い部分があるから変で、
寝ぼけ眼で「ん?」ってよく見ると、それは虫などではなく人の指だった。

血の気がまったくないのか真っ白で、ほっそりとしていて女性のものだと思う。
でも、床を這ってるからか、
爪のあたりは割れてたり黒っぽいものがつまっていて汚い。




63 :本当にあった怖い名無し:2012/01/14(土) 06:02:24.40 ID:UI2AIrGB0
「ウワッ!」ってなって投げ捨てたけど、なんと指は畳の上に立ち上がった。
んで、ピョコピョコ飛んだり、ぶんぶん横に揺れたりして、コミカルな動きをする。
馬鹿ガキだった俺は「ウッヒョーイ!」ってなったね。

よく覚えてないけど、なんか質問すると、
指は頷くみたいに曲がって応答してくれる。
これはオカンたちにも見せなくては!っと
引っ掴んで持っていったら、移動中に手の中から消えてしまった。
トトロでメイがマックロクロスケ逃がしたときみたいなもんだった。
親に言っても「どうせ寝ぼけてたんでしょ」とか言われてスゲー悔しかった。

で、俺はフィンガーさん(仮名)をなんとしてでも捕まえてやると心に決めて、捜索することにした。
すると、あっさりさっきの部屋で見つかるフィンガーさん。
つーか、キノコみたいに部屋の壁に生えていたw
摘み取って、今度こそとガン見したまま持っていこうとした。
でも、部屋から出ようとすると、
なぜかフィンガーさんはニュルンと手から飛び出て元の部屋に戻ってしまう。
必死になった俺はかなりの時間をかけて、いろんな場所から持ち出しに挑戦してみた。
襖からは駄目。
窓は俺の背では越えられない。


64 :本当にあった怖い名無し:2012/01/14(土) 06:04:58.61 ID:UI2AIrGB0
どうしようか考えていると、フィンガーさんが襖がある壁の角のほうに這って行った。
畳の上で跳ねているので、側の壁を見てみると
土壁の古い屋敷だったので壁と壁の間に隙間ができている。
でもさすがに指は通りそうにない隙間だったが、
幼児の俺はフィンガーさんを思い切りその隙間に差し込んだったww
フィンガーさんはかなりの時間モゾモゾして、なんとか壁ぬけに成功。

廊下に出て、床に落ちていたフィンガーさんを回収した。
これで俺を馬鹿にしたオカンを見返せる!と
フィンガーさんを連れて行こうとすると、廊下でまたニュルンと手から逃げられた。
慌ててもう一回捕まえようとすると、
いままで友好的?だったフィンガーさんがいきなり飛びかかってきて、頬を引っ掻いた。

驚きと痛さで俺号泣。
だってほとんど垂直に刺さったみたいだったもん。
泣き声に驚いて、誰かが廊下の奥から駆けつけてくる。
すると、まだ俺の肩にいたフィンガーさんが、慰めるように怪我してない頬を撫でてくれた。
そうこうしているうちに、オカンと家の人到着。
で、オカンの顔を見たら、なんか知らんが急に眠たくなってぶっ倒れる俺。


65 :本当にあった怖い名無し:2012/01/14(土) 06:07:22.06 ID:UI2AIrGB0
次に目が覚めた時には自分の家で、翌日になっていた。
予定ではもう少し○家にお泊りするはずだったけど、
子供なので不思議に思わず
それ以降、一度もその家には行かなかったけど、
特に好きでもなかったから気にせず。

で、俺が大学生になった頃だ。
俺はサークルの後輩A子に一目惚れした。
喪だったけど、とにかく好きだったので猛アタックしたけど、とにかく逃げられる。
告白して断られるとかではなく、
会いに行こうとするともうA子がいないんだ。
なんとか会えても、ひきつった顔で逃げ腰で、もう告白どころじゃない。
喪だからアタック方法間違えちゃって、気持ち悪がられたかなと俺涙目。

そのうちA子はサークルにも来なくなっちゃった。
友人を通じて、悪気はなかった、もう関わらないようにするから、
俺のせいでサークル止めるとかはしないでくれって伝えて、なんとかA子も顔出すようになった。

その一年後くらい。
長期休み中に、サークルで恒例の旅行をすることになった。
歴史系サークルだったもので、主に城とか神社巡りw
でも歴史が好きなやつ半分、
ただの旅行サークルとしてキャッキャしたいやつ半分だったので温度差が酷い。
とある史跡を見て回っている途中に、キャッキャ組がはぐれてしまった。
携帯に電話しても、計画的犯行なのか誰も出ない。


66 :本当にあった怖い名無し:2012/01/14(土) 06:09:03.24 ID:UI2AIrGB0
仕方がないので、
時間を決めて、真面目組もばらけていないやつを探すことになった。
サボって遊びたいなら、たぶん簡単に見つからない場所にいるんだろうなと思ったので、
俺は敷地の中でも人気がないほうへ行ってみた。
と、生垣の角を曲がったら、好きだったA子と鉢合わせ。
俺、心の中で号泣。
サークルには普通に来るようになったけど、いまだにA子からは避けられてたからね。

アウアウしていると、側から野太い悲鳴が聞こえてきた。
駆けつけると、石碑の側で、サークルのやつ数人が地面にへたり込んでいる。
やつらの視線の先を見て、俺はビビったね。
女の上半身をさらに半分にしたようなやつが、地面でウゴウゴしている。

なんつーの、綺麗に刃物で切った感じじゃなく、轢かれて壊れたマネキンみたいなのだった。
胴体は胸のあたりまでしかなく、
顔は割れたみたいに顎までしかなくて、左腕も肩近くで崩れている。
恐すぎて、喉からヒッって音しか出なかったよ。
サークルのやつらは完全に腰を抜かしてた。
すると、女の上半身が、唯一ちゃんとある右手を使って這い、こっちに来ようとし出した。


67 :本当にあった怖い名無し:2012/01/14(土) 06:10:08.01 ID:UI2AIrGB0
凍りついたまま、逃げようかどうしようか迷う俺。
そうだ、A子だけは連れて逃げなきゃ!とか考えていたら、急にA子に腕をガシッと掴まれた。
凄い勢いで、サークルのやつらの前に連れてこられる。
抵抗しようと踏ん張ろうとしたら、
A子に背中突き飛ばされて、女の上半身の前に倒れこんだ。
いくら嫌いだからって、この仕打ちはないだろwww
と思ってマジ泣きしそうになったら、
急に眼の前の女上半身の動きが止まった。

短い胴で立ち上がって、ピョコピョコ飛んだりくねくねしたり。
「へっ?」って思っているうちに、
女は穴に潜り込んだモグラみたいに、地面にひゅっと吸い込まれて消えちまった。
消えた地面には穴なんかなかったけどね。

次に気がついたのは、その地域の病院のベッドの上だった。
どうやらあの後、A子以外は全員気を失って、救急車で運ばれたらしい。
幸い、目が覚めると全員すんなり返されました。


69 :本当にあった怖い名無し:2012/01/14(土) 06:15:43.28 ID:UI2AIrGB0
その後、A子と二人きりの時に話を聞かされた。
彼女は、先祖がシャーマンつーの?巫女さんみたいなのだそうで、霊とか見える人らしい。
ただし、そんなに力は強くないと言っていた。

その彼女いわく、
俺はやばいものに守られている。
憑かれているんじゃなく、守られているんだそうだ。
なので、並みの悪霊くらいじゃ太刀打ちできないらしく、
あの場を切り抜けられるのはこれしかないと、俺を霊の前に突き飛ばしたんだそうだ。
A子もテンパっていたらしく、あのときのことは謝罪された。

あと、サークルで俺を避けまくっていたのは、
俺を守っているやばいものがどうにもA子の体質に合わず、
俺自身が嫌いだから避けてたとかそういうことじゃないと言われた。

守られているったって、
俺はこれまでの人生で、なにか特別良いことがあったわけでも、
九死に一生を得たことがあるわけでもない。
そう言ったが
A子は「そういう意味で守られているわけじゃない」と言う。
あと、なんか頬っぺたに印をつけられてると言われた。


70 :本当にあった怖い名無し:2012/01/14(土) 06:17:13.22 ID:UI2AIrGB0
そこでハッとして、
幼児期に会ったフィンガーさんのことを思い出した。
つーか、それまでなぜかフィンガーさんのことをすっかり忘れていたんだ。
多分気を失って、実家で目が覚めた時にはもう忘れていたと思う。
じゃなきゃ、あんな体験、親に話してただろうし。

すでに長期休み中なので、俺は急いで実家に帰った。
それでオカンに○家のことを聞いてみたんだがなんだがゴニョゴニョ言って、話が通じない。
それで仕方なく、先日あった事件のことと、フィンガーさんの話を全部した。

女の上半身の話では何寝言言ってるのって感じだったんだが、
フィンガーさんの話に入ると、明らかにオカンの顔が強張った。肩まで跳ねてたし。
話し終えると、しばらく沈黙していたオカンがやっと口を開いた。

○家で俺が倒れた後、散々な目にあったらしい。
最初は、俺が倒れたので、屋敷の人間は全員心配してくれた。
ところが、オカンがそういえばついさっき
俺が変なことを言っていたと内容をこぼしたら自体は一変。
変な指を見たって言っていたと教えたら、
屋敷の奥さんが慌ててどこかに走っていき、その後大騒ぎになった。


71 :本当にあった怖い名無し:2012/01/14(土) 06:19:41.63 ID:UI2AIrGB0
奥さんは、仕事中のはずの自分の旦那や爺ちゃんにまで電話して、すぐ帰ってくるようにと言った。
それが終わると、なんてことをしてくれたんだとオカンに詰め寄る。
息子が意識をなくしてるこんなときに、
何意味不明のことを言ってるんだと、オカン大爆発。
叩いてもなにしても俺が起きないから、救急車を呼ぼうとしたら、「無駄だ」と止められたそうだ。
その後、物凄いスピードで帰ってきた○家の旦那たちがそろうと、
オカンは仏間で家の人間に取り囲まれ、
事情を説明されたそうだ。

○家には、仏間の隣にワラズマという部屋があるらしい。
なんでも何百年も前からあって、絶対に入ってはいけないんだとか。
ただ、いくつかある規則をきっちり守っていると、
そのワラズマは、家に富と幸福をもたらすんだとさ。

たしかに○家は裕福だった。
屋敷は、結構田舎の山ん中にあるんだけど、
大きな日本家屋の平屋で、大河ドラマとかに出てきそうな感じ。
で、幼い俺が、その入ってはいけない部屋に入ったっていうんだな。


72 :本当にあった怖い名無し:2012/01/14(土) 06:23:46.28 ID:UI2AIrGB0
で、オカンはますます切れた。
だって、仏間の隣に部屋なんてなかったっていうんだ。
オカンも子供の頃から○家に来ていたので、間違うはずがない。
仏間は四方を廊下で囲まれている。
廊下をはさんだ隣の部屋は、どこも普通の部屋。

そう言って怒ったら、よく思い出してみろって言われたそうだ。
廊下にある仏間の壁、不自然じゃないかってさ。
確認してみると、部屋の中から見る仏間の広さと、
廊下からみた仏間の壁の広さがあきらかに合わない。
廊下の壁のほうが、やけに広かったらしい。
どうやらそのワラズマ、たしかに仏間の横にあり、四方をすべて壁に囲まれているらしかった。
だからオカンはいままで気がつかなかったんだ。

でも、そんな部屋じゃ息子が入れるはずないじゃないかと言ったが
倒れる前に言っていた内容と、
直後に壁に穴が開いていたのがその証拠とか言って、取り合ってくれなかったそうだ。

でも変だよな。
たしかに昔のことすぎて細かい記憶はあやふやだけど、
俺がフィンガーさんを見つけた部屋は普通の部屋だったぞ?
日の光が入って明るいかったし、内装も普通。
そして、ちゃんと襖があって、たしか開いていたはずだ。
じゃなきゃ、いくら俺が小さくても、
他人の家の一度も入ったことがない閉まった部屋に入り込んで寝たりなんてしない。


73 :本当にあった怖い名無し:2012/01/14(土) 06:26:26.25 ID:UI2AIrGB0
ともかく、これから忙しいからとか言われ、オカンと俺は屋敷を放り出されたらしい。

まあ、実際は隣町の大きな病院まで送ってくれて、
お詫びと見舞いだとかで、なんかたくさん持たされたらしいけど。
他のことで手一杯で、帰ってきてから調べてみたら、
渡された物の中には鏡とか、数珠だとか、灰とか、変なものも混じってたらしい。
一番驚いたのは、底に現金が入ったパンパンの茶封筒が入っていたことだそうだ。

困って翌日電話すると「迷惑をかけたからそのお詫びだ」って言われたみたい。
意味不明な物は、ワラズマを開けちゃった人には、あれを贈るのがしきたりとのこと。
そこまでしてくれなくても、
俺は病院で大丈夫と言われ、いまはもう元気に遊んでいると話したら、驚かれたそうだ。

オカンに、いまその○家の人たちはどうしてるのか尋ねたら、
苦い顔して、しばらくして
ポソッと事業に失敗して一家離散したって言われた。

「ちょ、え、それって俺のせい?」
って言ったらマッハで頭をはたかれて
「そんなわけあるか」と怒られた。

さすがにオカンも気になって調べたらしいんだけど、
大昔から金持だったから○家はザル経営をしていて元から危うく、
普通にバブルが弾けた煽りを食らっただけみたい。


74 :本当にあった怖い名無し:2012/01/14(土) 06:28:43.69 ID:UI2AIrGB0
ついでに、その時もらった謎グッズと金どうしたのって聞いたら、
謎グッズはしばらくして捨てて、
金のことは教えてもらえんかったwww

オカンはその事件以来、すっかり○家とは交流を断ってしまったらしい。
でも、今回のことと絶対関係があると思ったから、
親戚を頼り、俺はなんとかして○家の一人と連絡をつけた。

会って一言目で、「キミが生きてるとは思ってなかった」と言われたよ。
それから、ワラズマのことを教えてもらった。
とはいえ、その人は四男だったから、すべてを教えられていたわけじゃないみたい。

ワラズマは、それ自体が神様なんだそうだ。
でも、その中にいるのは、神聖とは真逆のすごく悪いものらしい。
日本人って、よく怨霊になった人とか祀りたてちゃう癖があるよね。
藤原道真が天満宮の神様になってたり、平将門が祀られてたり。
それのミニチュア版らしい。
ただ恐ろしいのが、そうそう神様にできそうな怨霊なんていないので
人工的に作るんだそうだ。

詳しい作り方は、その人も知らなかったけど
ただ、よりたくさんの材料を使ったほうがよく、自分に敵対する人や、
恨みを持つ人を使ったほうが効き目が凄いらしい。
上記みたいに濁して言われたけど、意味がわかったとき、俺は心底震えたね。


75 :本当にあった怖い名無し:2012/01/14(土) 06:32:26.67 ID:UI2AIrGB0
あとワラズマは「割らず間」と「童間(ワラシマ)」の意味じゃないかって。
最初のほうはわかるが、後ろは意味がわからない。
フィンガーさんは、絶対成人女性の指だったし。

で、その人が覚えているワラズマの規則は、
・必ずその家の仏間の隣に作らなくてはならない。
・四方を廊下で囲み、そこは人の通行を制限してはならない。
・むしろ客人には、その廊下を通ってもらったほうが良い。
・ただし、ワラズマのことは、家の者以外に話してはいけない。
・あと、部屋には出入り口を二つないし、三つ作らなくてはならない。


76 :本当にあった怖い名無し:2012/01/14(土) 06:34:18.19 ID:UI2AIrGB0
最後の変だよね。

尋ねてみたら、ワラズマは本来一代、よくて二代くらいにしか効かないものらしい。
けれど○家は元からお金持ちだったので、
高名な行者に金を積んで頼み込み、特別長く効くワラズマを作ってもらったんだって。
本来のワラズマは、障子や窓などで塞いであっても、
出入り口をいくつも作って、かつ客人にその周囲を歩いてもらわなければならない。
でも、部屋に入られたら術は切れ、
中から怨霊が飛び出すという効き目は凄いが、かなりリスキーな代物だった。

どうやらその行者はワラズマ作りが専門つーくらい慣れた人だったらしく
俺が考えた最強ワラズマ()を、○家に作ってやったらしい。
本来の形と違い、○家のワラズマの四方が壁で塞がれていたのは、そのせい。

で、もうわかってるだろうけど、
普通ワラズマを開封した人間は、誰だろうとすぐ死ぬものなんだって。
なにせ怨霊入りの部屋を開封して、
何十年も閉じ込められていた恨みパワーをもろに浴びるんだもの。


77 :本当にあった怖い名無し:2012/01/14(土) 06:35:46.97 ID:UI2AIrGB0
なんで俺は生きてるのかってことと、
フィンガーさんは最後に俺の頬に突き刺さったが、それまでは優しい霊?だったぞと尋ねた。

すると、○家のワラズマは特別なので、中に何が入っているかは、
作った当初から行者以外は誰も知らなかったそうで
開けたのが、行者オリジナルだったからじゃないかと言われた。

でも強力なはずなのに、俺が何事もなく生き残るとか、わけわからんよな。
あと、とりあえずこれだけは弁解しなくてはと
あの部屋には襖があり、最初から開いていたと言ったら、
「四方が壁の部屋にキミが入れた時点で、なんとなくわかっていた。
きっともう、うちのワラズマも寿命だったんだ」
と言われたよ。

それに、人間の恨みがどれほど恐ろしものなのかは身にしみてわかったから、
俺のことを恨む気にはなれないって、遠い眼をして微笑んでた。


78 :本当にあった怖い名無し:2012/01/14(土) 06:37:04.26 ID:UI2AIrGB0
○家はバブルが弾けて会社が潰れ、負債を抱えて一家離散したんだが、
四男さんは離散した後、
兄弟や家族がどうなったか知らないと言っていた。
家族が離散したのは、少しでも降りかかる禍を分散させるために、意図的にそうしたらしい。
手紙や電話でも、繋がったとみなされ連鎖するので、いまでも誰とも連絡は取り合っていないそうだ。

そう話してくれた四男さんは、
仕事中の事故で両足と左腕がなかった。
障害者になり、自分だけではどうしようもなくなり、
○家とは直接血が繋がらない、ワラズマの恩恵を受けていない親戚に助けを求めたから、
俺は彼を見つけられたみたい。

迷ったが、俺はA子に知ったことを全部報告した。
親には話しづらく、かと言って自分の胸だけに留めるには重すぎた。

A子は実家のほうにワラズマのことを尋ねてくれたんだが、
彼女の先祖は行者ではないし、
よくわからんけど祓うタイプの巫女ではないらしく、
そういうものは世の中にいくつも実在するという返事がもらえただけで、
それ以上の新しい情報は得られなかった。


79 :本当にあった怖い名無し:2012/01/14(土) 06:37:55.36 ID:UI2AIrGB0
で、最後に彼女が教えてくれたんだが、俺の頬につけられたフィンガーさんの印。
これは別に、ワラズマみたいに富や名声を与えてくれるものではなく、
大事故からでも生還できるというものでもないらしい。
「何があってもこいつだけは祟らない」という目印らしい。
ただし、弱い悪霊除けくらいにはなるとのこと。

あと旅行先で出会った女の上半身。あれはフィンガーさんかもしれない。
恐すぎて指先なんて見てなかったが、
A子に押されて俺が目の前に飛び出した後のクネクネした動きが
子供の時に会ったフィンガーさんの動きに激似だったような気がする。
ということは、彼女は少しづつ元の人の姿に戻っているんだろうかって話したら、
A子に「私はあの上半身、いろんな人間の指の集合体みたいに見えた」
って言われてまたビビった。
フィンガーさんは、確かに指一本だったはずなのに。
って思ったけど、必死で思い返すと、
あの部屋で寝ていたときに、最初に聞いた、何かが落ちるような音、
複数だったような気がするんだよな。
夢うつつだったし、自信はないんだけど。


80 :本当にあった怖い名無し:2012/01/14(土) 06:38:53.25 ID:UI2AIrGB0
で、これを書こうと思ったきっかけなんだけど、
二、三日前に、駅の構内でフィンガーさんを見かけたからなんだ。

仕事の外回り中、電車の中から外をなんとはなしに眺めていたら、
ホームにいた人の肩に止まっている指を一本見た。
電車が走り出す頃には、指は肩から落ちて、ホームのコンクリートの床を尺取虫みたいに這ってた。
周囲の人は、誰も気がつかないみたいだった。
ただ、遠目からだけど、凄い太かったんで、あれは絶対男性の指だと思う。

ひょっとして、フィンガーさんの仲間はたくさんいるんだろうか?
それともあれは、フィンガーさん集合体の部品だったんだろうか。
ちなみに、俺の職場は都心だ。
でも、○家はぜんぜん違う場所だったよ。


82 :本当にあった怖い名無し:2012/01/14(土) 06:42:37.45 ID:UI2AIrGB0
以上で俺の話は終わりです。
投稿してみたら思ったよりも長い話だったようで申し訳ない。
あの事件以来、最近までオカルト的なものから逃げ続けてきたので
似たような話や、フィンガーさんやワラズマについて
なんか情報があれば教えてほしい。


116 :82:2012/01/14(土) 21:14:11.46 ID:UI2AIrGB0
ごめん、もう一回だけ。
ちょっとまだ混乱している。
今日もフィンガーさんを見かけた。
普通に繁華街の床を這ってた。
短くて細めだから、たぶん女性の親指。
迷ったけど追いかけようとしたら、スゲー頬っぺたが痛くなって、恐くなって止めた。

俺、この前までオカルトっぽいものって、書きこんだ二回しか見たことなかった。
なのに、ここ一週間で二回も見てる。
まだ頬っぺた微妙に痛い。
もしかして、あの話、書きこんじゃ駄目だったかも。







オカルトランキング




579 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/30 08:45
 
これから僕が書くことは、むかし出版社に勤めていた親父がある人に書いてもらった体験談ですが、
ある事情でお蔵入りになっていたものです。


580 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/30 08:46
 
できることなら、霊だとかそういうものには二度と触れずに、このまま後生を過ごそうと思っていたのですが、
ここに記すことによって、あの頃の私のような向こう見ずな人々を自粛させる事ができるのなら、
あの時の償いができるのではないか、またこの忌々しい傷跡が消えるのではないか、と思ったしだいであります。


1979年8月14日の事です。
私は21歳で、若さと好奇心にあふれる学生でありました。
その年の5月3日、私は中学時代からの友達であった井上、村山、井出(すべて仮名)とともに、
実家からそう遠くはない、UFOが出没することで有名な山に登ったのですが空振りに終わり、
「今度こそは」という想いでこの調査旅行を計画いたしました。
しかし、何を思ったのかUFOが現れなかった時のための二足のワラジということで、
当時流行っていた降霊陣というものを、左の腕の付根(ちょうどBCGのあたり)に描いていったのです。


581 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/30 08:46
 
20時に実家近くで彼らと落ち合い、私の運転する車で南に走ること2時間、
当時バイトの先輩に教えてもらったとある村へと辿り着きました。
その村というのは私の母方の祖母の村の隣、といっても海抜では1Km近くも上にあり、
当時その村に登るための道は2本しかありませんでした。
そのうちの1本が私の祖母の家の前を通る道なのですが、
道幅は2M程しかありませんし、もう1本の道よりも山奥に入ったところなので、ほとんど利用している人はいません。

私達は休憩がてらに祖母の家に入ったのですが、
(祖母はすでに亡くなっており、祖父は母の姉が引き取ったため家は事実上空き家。
 鍵はどうした、思われる方もいるでしょうが、昔の家の扉は心張り棒をかましているだけなので針金で簡単に開きます)
もちろん駐車場などはないので
(家の隣には空き地があるのですが、
 昔から住人が病気になったり、商売に失敗したりなどで持ち主がころころと代わる、いわく付の土地だったので)
こんな夜中には誰も通らないだろうと思い、車を道に止めたまま缶ビールをちびちびと飲み交わしていました。




582 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/30 08:47
 
この家は真正面(出入り口)と真後ろを山に挟まれているのですが、真正面はすぐに道路になっており、
道の向こう側にぽったん便所と五右衛門風呂があるのですが、
その隣にはお墓があるために、日が暮れてからトイレに行くのは少し勇気がいることなんです。
そのうえ、その頃には上の家も下の家も無人になっており、外灯もほとんどなく、
明かりといえば山の切れ目から見える満天の星空だけなのですが、生憎の曇り空で辺りは闇に包まれていました。

ちょうど1缶目を飲み終えた時、村山が小便に行くと言い、靴をはき出ていきました。
と同時に駆け込んでくるやいなや、バシンと扉を閉め、心張り棒までかけてしまったのです。
あまりの彼の激しい行為に、こちらも不安になりなりました。
肩で息をついている彼をなんとかなだめ、「なんかあったん?」と聞くと、
彼は青ざめた顔で「そっ、そこの・・・電柱の・・・所に人が・・立ってた」と、歯をガタガタさせながら言うんです。
もちろんこの場所では、この時間に人がいることはいささか奇妙ではありますが、
「あれは絶対幽霊やと思う・・・なんかボーッと光ってて、輪郭がはっきりしてへんかったんや」
と言う彼の言葉に恐怖を感じ、誰も確認には行けなかったんです。


583 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/30 08:49
 
「ほら、なんかの宗教か何かで、白い服着て、ほら貝持ってる奴らおったやん。
 あんな感じのおじさんやねんけど、真っ直ぐこっち見とって目合ってもおた」
彼の説明を聞きながら、昔祖母や母から聞いた話と照らし合わせてみましたが、そんな人は何処にも出て来ません。
話し合いの結果、明るくなるまではこのままここに居ようということになりました。

初めのうちは皆怯えを隠せず、物音なんかにも過敏に反応していましたが、
時が流れ、酒が入ると、しだいに冗談を言っては笑い声が漏れるくらいになりました。
しかし、時刻が2時を少しまわったときです。
出入り口とは反対側の山側の部屋の窓が、コツ・コツ・コツと叩かれる音が聞こえてきたのです。
山と家との間には深い谷がありますので、人の仕業によるものではありません。
私は震える友達を安心させるために、「どうせ蛾か何か虫がぶつかってるだけやって」と言ってはみたものの、
それはあまりに規則正しく何度も何度も繰り返されたため、『何か』によってなされているものだと確信いたしましたが、
歩いていってカーテンを開けて確認するほどの勇気は持ち合わせてはいませんでした。
今日はなんて日や、と思っていると、その時にようやく降霊陣のことに気付き、みな台所で洗い流しましたが、
窓を叩く音は止むどころかますます激しくなりました。
それどころか唸り声のようなものまで聞こえてきます。
それはなんというか、まるで火あぶりにされている人が放つ断末魔のようで、
はっきりとは聞き取れませんでしたがこんな風に言っていました。
「なんで、はなしたんや。何でやぁ」と。


584 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/30 08:49
 
薄い窓ガラスでありますから、このままでは破られてしまうのではないかと思い、
ここから離れようと決意し、私は皆のポケットにあるものを詰め込みました。
「ええか、いち・にの・さんで扉あけたら、いっきに車に乗り込むで」
エンジンがかかるまでの一瞬がとてつもなく長く感じられました。
エンジンがかかるとアクセルを目一杯踏み込み、走り出しました。

どうらや幽霊が憑いてきている様子もなく、
このまま山を登り続ければ20分たらずで当初の目的地の村に着くはずだったのですが、
どこをどう間違えたのか、車はすっぽりときりひらかれた場所にでたのです。
草がひざ下くらいにまで伸び、長年ほったらかされているようでした。
左手は山で奥と右手は崖になっており、まるで袋小路のような所でした。
そういえば昔祖母から、このあたりに戦時中に使われていたヘリポートがあると聞いた事がありましたが、
どうやらここがその場所のようです。
しかたがないので引き返そうと思い、Uターンするために車を山側まで進め、バックしようとしたのですが、
ギアがチェンジできず、しばらくカチャカチャやっていると、
突然車がスルスルと後ろ向きに、まるで引っ張られるように谷に向かって進んでいるのです。
とてつもない恐怖に焦りながらも、何とか私たちは車外に飛び出すことができました。


585 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/30 08:50
 
ガラ・ガラ・ガラ・ガラ・・ガッシャーンと、車のつぶれる音がしました。
突然の出来事に呆然としていると、「たすけて」と井上の声がしました。
後部座席に座っていた彼は脱出が一瞬遅れたのでしょうか、
今にも崖から落ちそうなところをなんとか草にしがみついていました。
私の思考力はもはやなにも考えられなくなっていました。
他の二人同様、私も腰が抜けていましたが、なんとか井上の所まではっていき、彼の手をしっかりとつかみました。
私は彼に「しっかりせい。はいあがってこい」と言ったのですが、
彼は「あかん。あいつにあしひっぱられとる」と今にも泣き出しそうでした。
しばらくこの状態が続きましたが、私も恐怖のためか腕に力がはいらず、徐々に彼の手が抜けていきそうになりました。
正直、「もうあかん」と思い、心の中では彼に謝っていました。
その時、あの男の声が私の耳元でこう言ったのです。「なんでやぁ」と。
すると不思議な事に、私は恐怖よりも「なに糞が」という気持ちの方が強くなり、
「絶対井上を離したらあかん、ここで離したらきっとこいつみたいになってしまう」と思い、無我夢中で腕に力を込めました。


586 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/30 08:51
 
しかし、あいつも執念深く、今度は私の腕を肘から手首にかけて、鋭い爪のようなもので引っ掻いています。
血が流れ出しましたが痛みはありません。
ただ、何か彼の憎しみのような、悲しみのような感情が、私に伝わってきたように思います。
そこへ村山と井出がなんとかかけつけてくれ、
私が家で彼らのポケットに詰め込んだ塩を私たちの方へふりかけてくれたのです。
「ギィイヲーー」という叫びが聞こえたのと同時に井上の体は軽くなり、ひっぱりあげることができました。
安堵感から体の力が抜け、私達は草の上に仰向けに寝転び、しばらく空を眺めていました。
東の空がうっすらと明るくなりはじめていました。

太陽が完全に昇りきった頃、ようやく私たちも動けるようになりました。
これからどうしようか悩みましたが、地面にはタイヤの跡もなく、こんな話は誰も信じてくれないだろうと思い、
山を下り、バスで帰宅しました。


587 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/30 08:53
 
帰路の途中、とある陰陽師のかたに念のためのお祓いをしてもらったときに聞いたのですが、
私たちが腕に書いた降霊陣は月が陰のときには有効だが、陽のときには悪霊を呼んでしまうらしいです。
ただ、その陰陽師が言うには、
「悪霊というのは、自分を悪霊にした悪い人間に復讐するために、成仏できずにいるんだよ」ということです。

この一件以来、私たちは遊び半分で心霊スッポトなどに足を踏み入れることをやめました。
誰も眠っているところを叩き起こされたくはないでしょう?
それに、もしそんなことをしようもんなら、あれから十数年たっても消えることのないこの腕の傷が疼きますから・・・





☜1日1クリックの応援お願いします



368 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2015/01/15(木) 08:30:50.08 ID:oOqgmkZM0.net
初めて投稿する。
文章が長くなっているのと、
フェイク入れてるので矛盾点があるかもしれないので先にスマヌ


30年ほど前にうちの母方の家系を祟った日本刀の話。
中心になる人物は大叔父(祖母の兄)、大叔母(祖母の姉)、祖母の3人兄妹。

母の実家は西日本のとある地方都市の(戦前までは)資産家で、 戦後の預金封鎖で見事に没落したそうだが、 そういう家系であったためか代々色んな古美術品やら何やらを集める趣味人が多かったらしい。
   
そんなわけで実家の大叔父もそういうのに目がなかったらしく、 戦後の混乱期に数多くの名品を手放すところを見ていたためか、 立ち上げた会社が軌道に乗り収入に余裕が出てくると同時に一端のコレクターになっていたとか何とか。

当時中学生だった再従兄弟の話によると、 ある日、大叔父が江戸時代の日本刀を購入して帰ってきたのが始まりだった。

その日本刀は無銘であるものの一目で有名な刀匠一門の作風とわかる業物で、 大叔父は大変機嫌が良かったという。
   
しかし、その日本刀が家に来てから家族全員が歩きなれた道で転んだり、 ストーブの火がいきなり大きくなって軽い火傷したりとテンプレどおりの災難に遭うようになった。
   
最初はただの偶然程度に考えられていたが、そんなとき大叔父が突然癌で倒れた。
医者もここまで急速に進行するのは前例がほとんどないと首を傾げるほどの末期癌だった。

369 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2015/01/15(木) 08:32:22.99 ID:oOqgmkZM0.net



ある日、大叔父を見舞うために大叔母が祖母と一緒に病院を訪れた。
見舞い後、大叔母が真っ青な顔で「今すぐ実家に行かなければ、あなた(祖母)も一緒に」 と半ば強引に祖母を連れて実家へ。
そして、件の日本刀を見つけ出すや否や 「これが全ての原因、強い怨念が篭っている」と断言した。
実は大叔母は霊感がかなり強くて、病院を見回ったときも敷地全体を覆いつくす怨嗟の気配を感じていたらしい。
末期癌患者の終末医療専門の病院だったのでそういうものかと思っていたが、 大叔父の病室に近づくにつれて怨嗟が強くなり、そして大叔父にまとわりつく怨念を見た瞬間、 何か悪いモノが実家に来たと直感したそうだ。
一刻も早く供養しなければ最終的に一家全滅もありえるので、 この日本刀は然るべき所で供養してもらう必要があると実家の人々を説得して菩提寺に預けることになった。
なお、祖母は霊感こそ無いものの極めて強力な守護霊に守られており、 祖母なら寺まで安全に運ぶことができるから連れて来られていたらしい。

こうして供養のために寺に預けられた日本刀だったが、 預けたその日の夜に寺の住職から
「あの日本刀は手に負えず供養できません、よって潰させてください」
という電話があった。
何でも寺に預けられてから夜までの間に寺の修行僧や檀家宅で怪我人が続出し、 本堂でも消したはずのロウソクが燃え上がってボヤ騒ぎが発生していた。
こうして日本刀は完全に破壊されたが、残念なことに大叔父はまもなく亡くなった。


370 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2015/01/15(木) 08:33:47.51 ID:oOqgmkZM0.net


葬式の席で大叔母から事情を聞いた母によると、
「あの日本刀は無銘だけど切れ味が良すぎたために罪人の処刑に使われ続けていた。 その怨念が積もりに積もって日本刀そのものが血を求める妖刀になっていた」
と語って、大叔父が一番日本刀に接してたから影響が早く出て死んでしまったとすぐに気付くことができなかった自分を責めて悲しんでいた。

そんな大叔母と祖母も25年ほど前に相次いで亡くなった。
祖母と(何故か)大叔母の遺品の一部を母が引き取っていて今も家にあるのだが、 どうやら戦前からのモノもいくつか残っていて、いわくありげなことも起こっていたりする。

371 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2015/01/15(木) 08:42:28.55 ID:oOqgmkZM0.net
ラスト

以上が母方の家系で起こったオカルト事件。
一応、怨念そのものは核となる日本刀がなくなったので拡散しているらしいが、 最後っ屁の勢いで母方の家系そのものに取り付いているっぽい。
(見える人曰く、明確な感じではないが気配そのものがあるのが分かるらしい)





オカルトランキング




585 :2007/01/29(月) 15:33:24 ID:7gN5RjH60

その時相部屋だったバアさんが、洒落にならんぐらい怖かった。

俺が入院していた二週間、バアさんには誰一人面会が来なかった。

病室に来たのは息子夫婦だけ、それも入院初日の一度だけだったらしい。

バアさんはそれをすごく怒っていて、俺によく愚痴をもらした。

しかし、俺のところには、友人だの親戚だのが心配してぞろぞろと来てくれる。

バアさんにはそれがおもしろくなかったのか、それともやっかんだのか、

「うちの子は薄情だねぇ」

ぐらいだったバアさんの愚痴は、たった二週間で、予想を超えてどんどんエスカレートしてしまった。

「あたしが死んだら怨霊になって、もうみん~っな、殺すわ、殺すんじゃ」

「テツコも、サダオも、ヘイゾウも、ソウスケも、みん~な殺すんじゃ」

(おそらく、嫁や息子や親族の名前だと思う)

「子供もみんな殺しちゃる、見たやつみん~っな、殺すっ、あかんぼもじゃ」

「どうやって殺しちゃろか、ヒヒッ、ヒッヒッ」

特に印象が強かったのだけ挙げるとこれぐらい。

これには看護婦も手を焼いていた。

優しく諭すのだが、とたんにバアさんは

「てめーも呪うからな!さっさと行けッ!」と逆ギレ。

看護婦も、主任やら担当やらが数名がかりでも全然ダメだった。

バアさんはここには書けないぐらい酷い言葉を終始怒鳴り散らしていた。

そして、多分病院側が呼んだんだろう、息子夫婦とおぼしき中年カップルが来た。

「母さん、あんまり人に迷惑かけちゃだめだよ」などと言っている。

きっと息子だろう。

カーテンで仕切ってしまって見えなかったが、バアさんはとても静かだった。

しかし、バアさんの『発作』は、その日の夜が一番ひどかった。

夜何時か分からないが、真夜中であったのは確かだと思う。



隣のベッドからの声で俺は目が覚めた。

「うぅ~~~~うぅ~~~~、に~~く~~い~」

「こ~ろ~し~て~や~る~」

などと、うなされる様につぶやくバアさんの声。

俺は暗い病室に響く呪いの言葉に恐ろしい思いをしながら、『忘れろ、早く寝ちまえ』と自分に言い聞かせながら、耳をふさいで目をつぶっていた。

その時、何かふと違和感を感じたんだ。

恐る恐る薄目を開けたら、俺のベッドのカーテンを少しだけ開けて俺を覗き込む、バアさんのひんむいて丸々とした目玉が見えた。

すんっげぇ見てる。

俺を!

首をひょこひょこと動かしながら、俺の様子をうかがってる。

冗談じゃない、怖すぎる。

「サダオぉ~」

俺の名前じゃなく、おそらく息子の名前を呼ぶ。

違います、俺はサダオじゃないですよ!

飛び起きてそう言いたかったけど、怖くて出来ない。

「サダオぉ~、にくいいい」

バアさんがしくしくと泣く。

頼むから俺を見ながら泣かないでくれ。怖い。

「サダオぉ~、おめさん、死ぬぞぉ~」

怒っているのだろうか、声が震えている。

その後バアさんは、息子への悪口を俺に向かってしこたま吐き出すと、自分のベッドに戻り、ゴニョゴニョ言ったあとに、何か小さいモノを数個カーテンに向かって、『ぽすっ、ぽすっ』と投げつけ、静かになってグーグー寝ちまった。

ちょうどこの明くる日が俺の退院日だった。

入院生活の最後の最後に、もっとも恐ろしい目に遭った。

とりあえず、俺はこれを最後にバアさんの呪縛から助かったのだが、俺が居なくなったので、きっと別の患者が何らかの被害にあってるだろうと思う。

そして最後に、バアさんが俺のベッドのカーテンに投げつけたものが、歯であることが退院する時に分かった。

バアさんの口元は血だらけ、カーテンの下には黄ばんだ細い歯が数個……

もう絶対に入院なんかゴメンだと思った。





☜1日1クリックの応援お願いします

↑このページのトップヘ