635 :本当にあった怖い名無し:2010/02/24(水) 22:46:53 ID:PNpuvg8j0
大学の時、入居していたアパートでの話。
そこは入学してから住み始めたのだが、
仲良くなった友人のの一人を部屋に呼んだ時、「部屋の角に女がいる」と言われた。
なんでも、そいつは霊感があるらしく、そういうことがわかるとのことだった。
ただ、霊能者のようなことは一切できず、
俺の部屋に居るという女についても、何でいるのかとか、いつからいるかとかは全く分からないと付け加えた。
俺はというと霊感など全く無く、入居してからも金縛りひとつ遭ったこともないので、初めは悪い冗談かと思ったが、
割とまじめな奴だったので、半信半疑ながらもどうすればいいか尋ねてみると、
「霊能者じゃないので、わかんないけど、何もないならこのままでいいんじゃない?」と無責任な返答だった。
「じゃ、悪霊じゃないっていこと?」
「うーん、たぶん…寂しそうだけど…」
姿は普通で、クラスやサークルにいてもおかしくないとも言った。
悪霊じゃないにしろ、霊が部屋にいるっていうのもいい気はしないので、あれこれハウツー的なことも聞いてみたが、
結局は「霊能者じゃないんで…」で逃げられた。
だったらそもそもこんな事言うなよとも思ったが、
ついでに「もしかして、可愛いとか…」と言うと、
「………うん、けっこう…」と返ってきたので、何も感じない俺としてはよしとすることにした。
636 :本当にあった怖い名無し:2010/02/24(水) 22:47:53 ID:PNpuvg8j0
そう言われた日から先も、ラップ音ひとつない静かなもので、
日常としても、ついてる日があれば酷い目に遭う日もあるといった、当たり前の時間が過ぎていったので、
俺自身、部屋の中に女の霊が居ることなどほとんど意識しなくなっていった。
友人との会話でも、このことはほぼ話題に出なくなっていった。
意識しなくなっていった結果、健康な男性としては当然なのだが、
最初は遠慮がちに見ていたH本やAVなども平気で見るようになった。
そんな生活が半年くらいたった時、体にひっかき傷が出来るということがたびたび続いた。
たいして痛みはなく、数日後には綺麗に治ってしまうのだが、
主に腕、たまに顔や足など、3~5センチくらいの新しい傷できるようになっていた。
たいてい洗面や風呂に入る際に発見する具合で、心当たりは全くなかったが、
しばらくしてあるひとつの法則に気付いた。
それは、AVを見た次の日にできるということだった。
もしや、彼女が…
まさかとは思ったが、見るAVもより刺激的なものに発展していたので、同年代の女の子なら完全に引くなと思った。
それで俺は例の友人に来てもらい、事情を話してみた。
「何度も言うが霊能者じゃないんで、真実はわからんけど、なんか表情が寂しさから怒りに変わってる」という感想だった。
えー、やはりAVが原因っすか!?と思ったが、AVは必須アイテム化していたので、深刻な悩みとなってしまった。
傷はいやだし、AVは見たい。そのうち、ひっかき傷ではすまなくなるかもしれない。
637 :本当にあった怖い名無し:2010/02/24(水) 22:49:14 ID:PNpuvg8j0
悩んだ俺が自分で出した答えは、霊にはAVを見せなければいいのではというものだった。
その工夫というわけではないが、
なるべく刺激しないように、鑑賞する時はテレビにシーツをかぶせ、イヤホンで聴くという方法をとるようにしてみた。
ビンゴかどうかわからないが、とりあえずそれ以降全く傷はつかなくなった!
そんなことがありながら無事1年以上過ぎたある日、バイトが忙しく激疲れな時にレポートが重なるという事態に陥った。
その日ようやくレポートの目処がつき、ベッドに入れたのはかなりの深夜となった。当然すぐに爆睡に突入した。
そこからの時間は全く覚えていないのだが、突然頭の中に『起きて!』という声がこだました。
ビクッ!となり目を覚ましたものの、何、今の夢?って感じで横になったままでいると、
さっきと同じ感じで今度は『早く!』と声が響いた。(聞こえたではなく、脳に直接伝えられた感じ)
「わあ!!」
さすがに驚き上体を起こすと、なんとなく視界に白くモヤがかかっているように思えた。
あれっと思いながら目をこすると、月の薄明かりが入る部屋は本当に白かった。
煙!あわてて何ももたず玄関から外に飛び出してみると、アパート入り口横のゴミ置き場が濛々と火を上げていた。
俺の部屋はその道路に面した端だったので、もろに煙りが入り込んできたようだった。
それからはパニック状態ながら、夢中で全部屋をノックしたり119番呼んだりしたが、
消火活動までは出来ず、ゴミ置き場からアパートに一部延焼してしまった。
現場検証の結果は放火と見られたが、とりあえず怪我人がでなかったことが幸いだった。
638 :本当にあった怖い名無し:2010/02/24(水) 22:49:58 ID:PNpuvg8j0
ようやく消火が終わり部屋に戻ると、
部屋の中も消火の水が一部浸水しており、フローリングの床がびちゃびちゃになっていた。
改めて事の重大さを感じた俺は、あの声のことを思い出した。
もしや、助けてくれた?
俺は部屋の隅っこに向かって、「声をかけてくれて本当にありがとう」と声に出して言ってみた。
部屋はシーンと静まりかえり、何の気配もなかった。
ひどい目に遭ったが、たいした家財道具もないし、まあ無事でよかったかなと冷静になると、レポートのことを思い出した!
あんだけ苦労したレポートもオシャカか!?
「えっ?」
レポートは書き終えた机の上に、全く濡れず残っていた。
もちろん、偶然水がかからなかったのだろうが、すぐ横の筆記具などはびちゃびちゃになっており不自然だった。
これも彼女?
命ばかりかレポートまでもと感動した俺は、部屋中360度まわりながら、「ありがとう!ありがとう!」と繰り返した。
もちろん何も起きなかったが、俺は泣きそうだった。
そして、たまたま全く水がこなかったコーナーに配置したラックから着替えをとろうした時、再び驚愕させられてしまった!
全く水がないはずのその場所に置いておいたH本、AVコレクションが、全てびちゃびちゃになっていたのだった!