217 :名無し百物語:2022/10/20(木) 00:06:17.84 ID:Kozij+ur.net
石じじいの話です。

じじいは、石探しのために山中を歩いているとき、いろいろな人に出会いました。仙人に会ったという話が以前ありましたね。
神社を建立しようとしている人に会ったそうです。
その人は、若い男性で、修験者のような格好をしていました。
標高の高い山の中腹の森の中で出会いました。
その時、その人は、長い棒のようなものを水平に持って、それをぐるぐるといろいろな方向に向けていたそうです。
その人が言うには:
私は、神社に祀る神様を探しているのだ。
こうして、自分の念を込めた棒を持っていると、神様のいる場所では神力に感応して棒がひきつけられる。それで、神様の存在がわかるのだ:と。
「そういうところはありましたかな?」と尋ねたところ。
まだ、ない。神様は見つかっていない、とのこと。
「なんだかなあ」とじじいは思ったのですが、彼の神さがしの理由をたずねました。
その人が言うには:
銃で趣味の狩猟をしていたときに、この山中で、古い神社を見つけた。
それは、かなり古く傷んでおり、御神体もなかった。
この神社の境内に立った時に、なにか感じるものがあり、この神社を再建しようと決意したと。
動機としては曖昧だなと、じじいは、思ったそうです。
その男性は、「その神社は、この山頂の近くにあるのだ。これから行ってみないか?」と、じじいを誘ってきました。
じじいは、男性について、その神社に行ってみることにしました。


218 :名無し百物語:2022/10/20(木) 00:06:51.24 ID:1tsWCcXK.net
神社はありました。かなり壊れていて、やっと建っているという状態でした。
かなり古いもののようでした。明治維新の廃仏毀釈の時に廃絶させられた神社かもしれないな、とじじいは思ったそうです。
境内には、大小の土器やボロボロに錆びて地中になかば埋まった刀剣などが大量に散らばっていました。
戦争中に安物の軍刀がたくさん作られたので、刀剣類には興味はなかったのですが、土器はおもしろそうでした。
かなり古いもののように見えたからです。
その神社には、その男性によって修繕されたり清掃されたような痕跡はなく、荒れたままでした。
じじいは、山の周辺の地域の人々から浄財をつのったらどうか?
他の神社から分社してはどうか?
と助言したのですが、男性は、「いや、自分だけの力で再建しなければ意味がないのだ!」と力説して、聞く耳を持たなかったそうです。
「まあ、そうなもんかのう」とじじいは思って、男性と山中で別れたそうです。
下山して、近くの集落で、その男性について尋ねたところ:
たしかに、そのような人物はいる。
しかし、我々とは交流を持たない。他の集落の人々とも交流を持っていないだろう。
非常にまれに、下山してくるのを見ることあるが、我々を無視している。
不思議なのは、彼が食料を持って入山するところや、下山してどこかで食事をしているのを見たことがない、と。
「仙人のような人かもしれんね。そやけど、仙人なら神社神社いうて執着せんと思うけどな」と話し合ったそうです。
数年後、その神社を再訪したら、神社は崩れて全くの廃墟となっており、その人物はいなくなっていました。
境内には土器類は残っていたので、保存の良いものを掘り出して近くの町の資料館(博物館?)に持っていって、このようなものがたくさんある遺跡のような場所がある、と教えました。
そこの職員(研究者?)は、この土器は須恵器ではないか?興味深いので今度調査してみる、と言っていたそうです。
その後、どうなったかは、私のメモにはありません。