539 本当にあった怖い名無し2022/02/06(日) 15:37:48.71ID:Zy5GsjIa0
ガキの頃体験した、未だに謎な話。

田舎の悪ガキだった俺は大人から立ち寄ることを禁止されていたある場所に秘密基地と称して学校帰りに遊びに行くのが日課だった。

何故、禁止かと言うとそこは町内では知らない人は居ないというくらい有名な自殺スポット。
小さな山を少し登ると寂れた神社と境内に大きな木があって、その木で首吊り自殺が時々おきるような場所。
俺らの親が子供の頃から有名らしいが、頻繁に自殺騒ぎがあるわけではない。
忘れた頃に誰かが首を吊るというような数年に一回有るか無いか。

ただ俺の田舎は如何せん閉鎖的な小さな村だから
「〇〇とこの××さん自殺神社で吊ったらしいで。」
と直ぐに噂は広まり、そんなことが何回か繰り返された後、滅多に人が近寄らなくなり理由は何となく誰も語らないまま子供には危ない場所だから立ち寄り禁止と大人から教わっていた。


前置きが長くなったが、何故そんな場所を遊び場にしてたかというと、俺が小学生だった頃は長らくその場所で自殺があったなんて一度も耳にしたこともなかったから噂好きの大人たちが作った都市伝説みたいなもんだろうと信じてなかったし、何よりいつも連れ立っていた中でも特に悪ガキのリーダー格Sがその神社で賽銭を盗んで買ってくれるお菓子や玩具につられていた。

賽銭泥棒は罪という概念は有っても自分が盗んでるわけではないし、Sが頼んでもないのにお菓子や玩具を買ってくれるというのが俺らの罪悪感を薄めた。
そんな悪ガキ仲間は俺、Sとその弟Mさらに、SとMの従兄弟にあたるK。
いつも悪巧みを働く時はこの4人だ。

ただ毎日賽銭にありつけたわけじゃない。
最初に書いた通り寂れた神社だ。寧ろ賽銭がある方が謎なくらい。

それでも毎日通えば2週間に1回くらいのペースで数百円の賽銭を見付けることが出来たし、運が良ければ千円札の時もある。
ガキの頃の話だから曖昧で賽銭箱があったかどうかは定かではないが賽銭はいつも箱には入っていなかったように思う。
無造作に置かれていて簡単に盗めたと記憶している。賽銭箱をほじくったり何か道具を使ったり苦労して盗んだ記憶もない。
それも盗みを働いてる罪悪感を薄めた要因のように思う。

そんな日が続いてしばらくは遊び場にも困らず美味しい思いをしていたが、急にパッタリと賽銭にありつけなくなった。

「今週は外れや。」
から

「今週も外れや。」
に変わり

「今月はアカンのちゃう?」
からとうとう

「もうアカンな。」
に変わるのは案外早かった。

その頃の小学生にとっての一ヶ月は大人が長い年月を経て何かを諦める事に等しかった。

「もう、ここはアカンな。他の場所探すか何か他の遊びしようや。」とリーダー格のSを先頭にその日は早々に山を下りた。
近くの駄菓子屋でそれぞれ親から貰った小遣いで駄菓子を買い近くの公園で次なる悪巧みを練っている中、Sが急に思い出した様にいった。

「絶対あのおっさんや。」
どのおっさん?
と言わんばかりの顔で俺とKMは顔を見合わせた。
そんな俺らを気にも止めずSは
「あのおっさんが賽銭置きに来よったん辞めたんやろ。あいつ、俺が盗みよるの見たから置きにくるん辞めたんやわ。」

Sによると最後の賽銭に有り付いた日、その日は五百円玉と十円玉が数枚。
まぁ、こんなもんかと賽銭をくすねて駄菓子屋に向かうために山を下りようとした時、山の反対から男が登ってくるのが見えた。
賽銭泥棒がバレたと思ったけど一向に男は神社に入ってくる気配もなくただ、じっとそこに居ただけだった。
何故、俺達に今まで黙ってたかと言うと誰もおっさんの気配に気付いてないことが怖かった。
みんなに確かめて、おっさんが自分にしか見えない存在だとしたら…それを認めるのは怖い。というようなことを言った。

Sの話を聞いて薄ら寒いものを感じ、皆がしばらく無口になった。
そんな空気を変えたのはまたしても、言い出しっぺのSだ。

「でも、それからや。賽銭なくなったの。やっぱりあいつが賽銭置きに来よったけど、俺が盗みよるの見て置くのやめたんやろ?だから、あいつは普通のおっさんや。幽霊でもなんでもない。あいつ近くに住んでるんちゃうか?明日探しに行こうや!」

怖いもの知らずな俺たちの次なる遊びはおっさん探しに決まったとこで、その日は解散した。

いざおっさん探し!となるはずがその次の日からしばらく梅雨独特のシトシトした雨が続き外出ができないまま数日が過ぎた頃、言い出しっぺのSが急に熱を出して学校を休んだ。

弟Mによると夏風邪だろうとの事で特に気にも止めなかったが、今思えばこの辺りからSの奇行が始まったように思う。
風邪の割には中々登校してこないSを俺もKも心配して何度もMに
「Sの風邪大丈夫か?」
と尋ねても
「Sは熱と言ってもそんなに高熱じゃないし、咳も出よらん。元気にしとるけど、体にブツブツが出来てそれが、引かんから登校出来んだけ。」と聞かされた。

医者に行ったけど伝染病の類いでもないし、蕁麻疹と診断され大事をとって休んでるとのことだった。
それを聞いて安心した俺とKは、
「移る病気じゃないなら会いに行けるし、今日、一旦家帰った後お見舞いに行く」
とMに伝えた。

放課後、見舞いに行くとMから聞かされた通りSは元気そうな様子で俺らを迎えてくれた。
「悪いな。大した事ないんやけど、おかんが外に出してくれんのや!」とふて腐れたようにベッドに座りながら俺が親から手渡された差し入れに手を伸ばすSは本当に病人なのか疑わしいレベルで我先にチョコレートケーキを選んで食べた。

しばらく談笑したり漫画を読んだりして楽しみ、そろそろ帰る流れになった頃Kが元気付けの意味も込めて
「そんなけ元気なら明日には学校来れるやろ?お前が休みよったら退屈。はよ、おっさん探し行こう!」
と言ったのを機にSが黙り込んだ。

何となく踏み込んでは行けない場所に踏み込んだ気がして気まずくなった俺たちは、早々と切り上げるかの様に
「とにかく早よ治せよ。」
とい言い腰を上げようとした時、
「チクったやろ?」
とSがボソっと言った。
「俺が賽銭盗んだのチクったのお前らか?」
とまた俯きながら呟いた。

俺がKを見るとKは頭を横に振り否定のポーズをとった。
勿論、俺も誰にも話してなどいない。
MをみるとMは俯いて黙り込んでいた。
明らかにMが犯人だと分かったが誰もその場では何もかも云わなかった。
微妙な空気に耐えられなくなった俺もKも
「何のことか分からん。誰もチクったりせん。チクったら自分らもグルやのに、そんなアホなことする奴おらん。気のせいやろ?」
とだけ言い残して逃げるようにSの家を後にした。

帰り道の途中、どちらかが言うわけでもなく公園に立ち寄り俺とKはブランコに腰をかけた。

「Mがチクったんやろ?」最初に口を切ったのはKだった。
「何でや?自分も一緒に居てSにお菓子買って貰って食べた癖に。しかもSは兄ちゃんやぞ。」
とKはつづけた。
「だいたい、誰にチクったんやろ?」
そんな話をしながら何も答えもでず、Mは裏切り者ということだけが延々と繰り返された。

それからしばらくしてSは学校に登校してきたけど何となく俺もKもあの日以来、SとMに近寄ることを避けた。
放課後に4人で帰ることも遊ぶこともなく自然と俺・KとS・Mという組み合わせで別々に帰る日が続いた。

喧嘩をした訳でもないから気まずいまま数週間が過ぎた頃、担任から呼び出しをくらった。
体育係だった俺とKが放課後活動で体育館周りの草むしりをしていた時だった。
最初は掃除サボれてラッキーだったはずが別室に呼ばれてドアを開いた瞬間にS、Mも呼び出されたメンバーだと分かると鼓動が跳ね上がるのを感じた。

今更だがSは1学年上。
俺とKは同い年同じクラス。
Mは1学年下。
それぞれの担任が俺たちの前に座り、これから裁判が始まるかのような重々しい空気が流れていた。

「お前ら。最近、放課後に悪さしよるんと違うか?」
最初に口を開いたのはSの担任。
俺たちは誰も何も言わず俯いたまま。
「立ち寄り禁止場所にフラフラ上がって行きよるの見たって学校に連絡があったんやが、どうじゃ?お前らか?」
つづいて俺たちの担任が追い打ちをかけて更に鼓動が早まりながらも一様に黙秘を続けた。

Mの担任は女。ただ黙ってその場に居たが圧力だけはヒシヒシと感じるくらいのベテラン女教師だ。
俺たちがいつまで黙秘権を行使できるか見物と言わんばかりにしばらく教師も口を開かないでいた。
しばらく沈黙のやりとりが続いた後そこはやはりリーダーなわけで、Sが最初に沈黙を破った。
「見ただけで、何で俺たちと分かるんや。俺たちの顔まで見たんか?俺ら一人一人の名前も分かるんか?」
教師らは誰も口を開かない。

立場が逆転したようにSは続ける。
「証拠もないのに、呼び出してえんか?悪さって何や?俺らが何したっていうんや?」
と一気にまくしたてたSに
「言うてええんか?」
とSの担任がSを牽制したが勢いが止まらなくなったSを誰も止めることは出来なかった。
「言わんかい!」
と売り言葉に買い言葉なSをみて、俺はバレた後のことを考え始めた。親に知られてぶん殴られることを覚悟するしかなかった。

「空き家に入りこんだな?」

「……………」

何が起きているのか理解が追いつかずに居た。

空き家?

Kを横目でみたが俯いているので表情までは見れなかった。
続いてMをみたが同じ。Sは顔面蒼白。

そんな三人をみて更に俺は取り残されたまま沈黙した。
賽銭泥棒の件で呼び出されたと思っていたはずが、空き家に不法侵入の疑いがかかっていることに理解が追いつくはずもなく。

「知りません。空き家って何?」
とやっと俺は始めて口を開いた。

「まだ惚ける気か?」
と担任に詰め寄られたが
「知らんもんは知らんのや。何や空き家って!」
と今度は俺がSに噛みつく形に変わった。

そこでMがとうとう泣きだして、
「俺君は関係ない。Kも直接は関係ないけど僕が話したから知ってる」
とだけ言うと後は泣いて何も話さなかった。
俺とKは関係ないということで、直ぐにその場から追い出すように出された。

そのまま、Kと帰宅することになるが複雑な気持ちは拭えなかった。
「俺だけ退けもんか?」
と誰に言うでもなく呟いたあと何故か悔しくて涙が流れた。

「ごめん。」
とKは謝った。

「口止めされてたから。」

「どうせ、俺だけ退けもんや。お前らは兄弟・従兄弟やからな。」
と引くに引けず俺はKに八つ当たりした。

「違う。Sがお前を巻き込むなって言うたんや。俺かってほんまは聞きたくなかった。巻き込まれたくなかった。」
とKの本音を聞いて居た溜まれなくなった。

「何があったんや?」
と問いかけた俺にKは俄には信じられない話をした。

話は、おっさん探しを思いついた翌日にまで遡る。

翌日は雨で誰もが諦めたはずだった。
その翌日も翌々日も雨はしばらく続き誰もがおっさんのことすら忘れていたはずがSだけは違った。

雨の降る中一人、あの山に出掛けた。
さすがに一人で神社へ近づくのは怖かったらしく、しばらく周りを散策しながら当てもなく山道を歩いていた。
それらしい家もみつからず飽きてきて帰宅するために山を降りるはずだった。
いつも通りに山を下れば数分で民家へ繋がるような何てこともない山道をその日は何故か違うルートで下った。
このルートも大したことはない。
何度か俺たちも通ったことはあるが、単にたどり着くのが自分たちの住む村の反対側だから遠回りという理由で滅多に選ばないルートであるだけ。
その別ルートを下ったさきに数件の空き家があることも俺も含めみんな知っている。

ただ、知らなかったのはその空き家がSの隠れ家として使われていたこと。
これは俺もKMも誰も知らなかった。

その日、中々戻らないSを心配したMがKに電話をかけていた時に妙にハイテンションな状態でSが帰宅した。
「M、ええもん見せてやるから来い!」
と誘われたMはKにも来るように言ったがKは
「俺が行かないなら行かん」
と答えたそうだ。

Mは俺にも電話をしたらしいが俺宅は不在だったのだろう。
連絡が取れなかったことを再度Kに電話すると、「それならやっぱり行かんとく」
とKは答えた。
Kによると空き家にはSとMだけで行き、その翌日からSは学校を休み始めたそうだ。

そこまで話しを聞いても俺には全く要領が掴めないで居た。

「それが何や?何で、それを俺に隠す必要があったん?
ええもん見付けたって?何?」

問い詰めた俺にKは言いにくそうに口を噤んだまま下を向いている。

「そこまで話したんやから話せや!」
と俺が苛立ちをぶつけ渋々Kは、

「ここからは後からMから聞かされただけやから……」
と続きを話し始めた。

空き家に入ったが何にもなかった。
ええもんどころか、湿気た匂いと汚い家具、外人の少女が書かれた絵が壁に掛けられているくらいの何てことない空き家。
「何もないやん!」
と呆れるMに対して
「こっち、来てみ!」
とSはさらに奥の部屋へとMを引いた。
そこでMはギョッとした。
部屋の中だと言うのに床に砂利が引かれていた。
「何ここ?気持ち悪い。」
というMに対して
Sは
「宝石や!」
と言いだした。

宝石?と頭をかしげるMの両手を器の形にさせるとSは、床の砂利をつかみMの手の中へ
「宝石や。」と流し込んだ。
またいつもの悪ふざけと思ったMは
「あほが!こんなとこまで連れてきやがって!」
と砂利を投げ捨てた。
その途端にSは、
「何するんや!」
と急に形相をかえMの投げた砂利を広い集めてポケットへしまい込んだ。
Mが投げた砂利だけで足らずそこら一面床に転がった砂利を
「宝石!宝石!」
と取り付かれたようにポケットにパンパンに入れ始めたとこで、Mは怖くなってSを置いて逃げ帰った。

家に戻ったMがすぐに父親にSが可笑しくなったことを言うと父親は車で飛び出して行き数分後にSを引きずる形で連れ帰ってきた。

「嘘やろ……?」

俺は言葉を失った。

「俺も最初は嘘やとおもた。俺を怖がらせる為にSとMが組んでまた作り話しとるんやと思った。しばらくSが休んで二人でお見舞い行ったやろ?
あの時のSのチクったっていういう言葉やMの様子が気になったからMにお前がチクったんか?ってこっそりあの後聞いた。そしたら、この話されたんや。
お前は、知らんやろうけどな、あいつらの母親ヤバイんや。身内やから渋々付き合いしとるけどな、ほんまは俺ら家族はあいつらのオカンとは関わりたくないくらいや。」
とKが唐突にSM母の話を始めた。

「何や?話が逸れまくりで理解できん。」
と俺が制すと、

「ええから聞きや。話繋がってるから。」
と言われてまた、話はあの日へと巻き戻る。

SM父がSを連れ帰ったあともしばらくSの奇行は続いた。
持ち帰た砂利を机に飾り、
「次は俺やKにも教えてやらんと。連れて行ってやらんと。」
と上言のように繰り返していた。
食事中も
「おっさんの家がどう」
とか
「金持ちのおっさんに気に入られた。」
「今度おっさんから、バイオリン習う約束した」
とか訳の分からないことを繰り返し見かねた父親がMに何があったのか全て話せと詰め寄り、観念したMが賽銭泥棒のことも含め全てを話した。

罰当たりなことして!と当たり前のごとく父は兄弟をぶん殴った。
が、それ異常に恐ろしかったのはSMの母。
Sを全裸に縛り上げ風呂場へ連れて行くと頭から水を何度も浴びせたあと部屋へ連れ戻すとベッドの柱に全裸状態のSを縛り付けタバコの火を体中に押しつけた。
タバコの押しつけはお灸と称し除霊だと言いしばらく続いた。
風邪や蕁麻疹なんかではなく母親がSを軟禁していたからSは学校へ来られなかったとKから聞かされた。
除霊と称して夜な夜なSの体を痛めたそうだ。

母親は
「Sだけ除霊しても無駄!」
と言い
「Kを除霊しないとお前ら一家は焼け落ちる。」
などと言い
「除霊してやるから来い!Kを出せ!」
とK宅にもわめき散らしに来た。

この様子だと俺宅にもSM母が行くだろうと思ったSとKは俺は関係ないを徹底して一切俺の名前を出さなかった。
一時的に可笑しくなったSも除霊?のおかげか正気に戻りMがチクったことはすぐに分かった様子でみんなに言わない変わりにKと俺は関係ないと誰に聞かれても言うようにと言い聞かせたそうだ。
その話を聞いた俺はSの気持ちを知りまた泣いた。

結局、一時的なSの奇行や謎のおっさん事件は、賽銭泥棒によって何かに魅入られたからかどうかは分からないままだけど、Sの母親の基地外地味た話はその後も度々耳にすることになった。

この件より前からSに対しての体罰があったこと、Mに対してはごく普通の母親だったこと、学校へチクったのはこの母親が匿名で他人を装って電話をしたらしく、本当に俺とKが無関係か確かめる為だったと後から知った。

SM父親は愛想を尽かしたのかその数年後、夜逃げをするように居なくなった。
その後SMは父方の祖母に引き取られた。

俺は高校生になる頃に家族でその田舎から引っ越した。

Kとは大人になってからも変わらず友達でいた。

数年前、K伝手にSMの身内から世間を騒がした事件の犯人となる者が出たと聞いた。
さらにその数年後、SMの引き取られた先の祖母の家が火事で焼け落ちたことを知った。
タバコの不始末による火事とされているが恐らくはあの女がやったのでは?と身内同士では語っているらしい。
Kはというと、お前の家は狐に祟られていると言われ油揚げを口に加えて跳ね回りながら家に押しかけられたのを最後に縁をきったりとのこと。

どこまでが祟りでどこからが人間の異常性なのか未だに分からない話だ。
長文駄文になったけど、実際にあったはなし。
分かる人には身バレしそうだから多少脚色した。
最後に、その神社では未だに数年に一度首吊り自殺があるらしい。