【閲覧注意】怪談の森【怖い話】

当サイト「怪談の森」は古今東西の洒落にならない怖い話~ほっこりする神様系の話まで集めています。 随時更新中!!

カテゴリ: いい話




780: 本当にあった怖い名無し:2011/06/26(日) 20:01:41.28 ID:TXVIrBId0
重くて長い話で申し訳ありません。
読みにくいところも多いと思いますが、
孤独だった俺の話を暇つぶしに聞いてください。

小学校5年生の時、交通事故で両親を亡くして祖父に引き取られた。
その時から俺の時間は止まってしまったようになって何も考えられなかった。
事故の前のことは何も思い出せなくなり、何もかも楽しくなくなった。

転校した先の小学校でも、何もしゃべれず、全く友達もできなかったし、
友達を作りたいとも思わなかった。
ただ、朝になったら学校に行き、自分の席に座って授業にのみ集中し、
学校が終わればすぐに家に帰った。
先生は気を使っていたようだが、みんな気味悪がっていたと思う。

いつもステテコと腹巻姿の祖父は優しく、
慣れない手つきで家事をしつつ、俺の好物の鳥の唐揚げを良く作ってくれた。
今でも感謝しているがその頃は会話もほとんどなく、
自分の部屋でゲームを延々としていた。



781: 780:2011/06/26(日) 20:07:44.99 ID:TXVIrBId0
クラスでの俺は誰の眼中にも入らない透明人間のような存在になっていったと思う。
そんな生活を続けていて、いつの間にか6年生になった。
クラス替えもないのでほとんど環境も変わらなかった。

6年生になってからしばらくして、
休み時間にいつもいじめられている女の子がいることに気が付いた。
茶色くて長い髪の大人びた綺麗な女の子だった。
近くにいる奴とかの、ひそひそ話を注意深く聞いていると、
彼女は白人の祖母を持つクォーターで父親を早くに亡くしており、
母親が1年程前から新興宗教に入信し、
熱心な勧誘活動をしているようだった。

「おい!外人!」とか「たたりがあるから触るな」とかバカにされていて、
いつも仲間はずれにされたり、モノを隠されたりしてからかわれていた。
先生も絶対に気付いていたが、黙認しているようだった。

ある日の昼休み、いつものようにクラスの代表格の体の大きないじめっ子が、
彼女が大事にしていたお守りを取り上げた。
周りのみんなはそれを見て笑い囃し立てた。
そんな場面を今まで何度も見たが、俺は何にも感じなかった。




782: 780:2011/06/26(日) 20:13:12.44 ID:TXVIrBId0
普段、どんなに苛められても平気そうだった彼女が、
この日だけは必死に取り返そうとしていた。
「それはだめ。お父さんの・・・」
小さくて泣きそうな彼女の声が聞こえたとたん、俺の中の何かが切れた。

俺は腹の底から「やめろ!」と怒鳴り、机を倒し、
いじめっ子に殴りかかっていった。
喧嘩が強いはずのいじめっ子は不意をつかれたようで椅子につまずいて倒れた。
馬乗りになって彼女のお守りを取り返した。

それでも俺の怒りの爆発は収まらなかった。
その後も俺は机を倒したり、椅子を投げたり、張り紙を破ったりして、
教室の中を狂ったように暴れまわった。
何故かこの教室の全てが憎らしかった。
いつも全くしゃべらない俺が暴れたので、周りのみんなは呆然と見ているか、
悲鳴を上げて逃げているだけだった。

騒ぎを聞きつけた先生が止めに入りその場は収まった。
すぐに学校に祖父が呼ばれ、祖父は一生懸命謝っていた。
俺はただ黙ってそれを見ていた。





783: 780:2011/06/26(日) 20:19:19.21 ID:TXVIrBId0
次の日から彼女はいじめられなくなった。
俺はさらに孤立したが何とも思わなかった。
ある日の帰り、校門に彼女が待っていた。

「○○君。あの時はありがとう・・・・・一緒に帰ってもいい?」

彼女は少し恥ずかしそうに俺に聞いた。
俺は頷いて一緒に歩いた。彼女は黙って少し後ろを歩いていた。
そして、彼女の家と俺の家との分かれ道に着くと彼女は
「じゃ、また明日。」
と笑って手を振って帰っていった。

次の日の朝、分かれ道に彼女は待っていて一緒に学校に行った。
こうして毎日、俺と彼女は一緒に登下校した。
休み時間も彼女がそばにいるようになった。
最初は何も話さなかった彼女は、
段々打ち解けてきて、家族の事とかをぽつりぽつりと俺に話してくれた。
彼女が幼い頃、おばあさんに作ってもらったお菓子がとても美味しくて、
いつか作れるようになって食べさせてみたいとか言っていた。






784: 780:2011/06/26(日) 20:23:43.20 ID:TXVIrBId0
たまに俺の家にも遊びに来るようになった。
俺は彼女専用のゲームのセーブデータを作って、
夜の間に彼女の為にレベルを上げておいたりした。

俺も徐々に一人でいるよりも彼女といるほうが楽しく思えてきていた。
周りはいろいろと囃し立て、ことあるごとにからかわれたが、
俺は危ない奴と思われているようで誰も執拗には言ってこなかった。
俺も彼女も周りに何を言われても全く気にならなかった。
彼女にだけは俺も話ができるようになって、
たまには笑うこともできるようになった。

俺が笑うと彼女は
「○○君の笑ったところ大好き!」
と赤くなって言ってくれた。
彼女は幼い頃のおばあさんとの楽しい思い出をたまに聞かせてくれ、
俺も何か思い出を話したかったが、
どうしても事故の前の小さい頃のことが思い出せなかった。
それ以外は彼女には何でも話せるようになった。




785: 780:2011/06/26(日) 20:28:53.76 ID:TXVIrBId0
中学生になってからもこの関係は変わらなかった。
中二のとき彼女が俺の家で遊んでいて、ふと俺に聞いた。

「どうして・・・あの時、助けてくれたの?」

俺は彼女が言った『それはだめ。お父さんの・・・』と言う言葉を思い出し、
「俺のお父さんとお母さんも・・・・・」
口に出したとたん、目から涙がぼろぼろ零れて止らなくなった。
俺の心の奥から後から後から事故の前の楽しかった思い出が涙と一緒に溢れ出し、
泣きながら、彼女にその思い出をひとつひとつ話した。
彼女も泣きながら辛抱強く聞いてくれ、俺を優しく抱きしめて頭を撫でてくれた。
俺は彼女の優しさが嬉しくて強く抱きしめて初めてのキスをした。
キスをやめると彼女は

「・・・○○君、大好き。ずっと一緒にいさせて・・・」

と言った。





786: 780:2011/06/26(日) 20:31:58.60 ID:TXVIrBId0
高校も同じところに行った。
彼女との電車通学は本当に楽しかった。
彼女のおかげで俺は少しずつだが自分を取り戻せている気がした。
彼女がお母さんと住んでいるのは狭いアパートだったので、
勉強もゲームもキスも、だだっ広い俺の祖父の家でしていた。
ただ、毎週金曜日は彼女の家の宗教の集まりがあり会えなかった。
彼女は昔から、行きたくないけど行かないとお母さんに怒られる、
と言っていた。

高校3年生になったある日の帰り道、彼女が青い顔をして
「大事な相談がある」
と言った。 俺たちは駅前の喫茶店に寄った。

「私、教団(横文字)をやめたいのに・・・大変なことになっちゃった・・・」

彼女はゆっくりと少し震えながら話し始めた。
彼女の話によると、教祖の世話係(特殊な名称)に選ばれてしまったらしい。
教団では名誉ある役目とのことだが、
要は教祖が信者の中から気に入った女性を選抜し、
18歳の誕生日に本部に出家させ、
1ヶ月間、厳しいと言われている修行をさせて身を清め、
その後は教祖のそばで身のまわりの世話をする役目だと言う。

聖人の世話係は穢れない女性に限られるらしい。
穢れない女性とは男性経験のない女性とのことだった






788: 780:2011/06/26(日) 20:34:02.80 ID:TXVIrBId0
それを聞いても実感がわかず、俺は少しだけ笑った。

「そんなこと、ほんとに? 
それに○○は教団が言うところの穢れある女性なんじゃない?」

俺と彼女はついこの間、自然な流れで初めて一線を越えてしまってもいた。
彼女は少し赤くなったが、真剣な顔で言った。

「笑い事じゃないんだって、ほんとなんだよ。お母さんも本気なんだよ。
○○君としたなんてわかったら、すっごい怒られるよ。どうしたらいい?」

「断れないの?」

「私・・・絶対、やだっ!て言ったんだけど、ダメだって・・・
すごいお金も、もらえるって・・・ 出家したら会えなくなるんだよ。
来月、本部から迎えが来るんだって・・・
・・・私はいつか○○君のお嫁さんにしてほしいのに・・・」

泣きそうな声で言った彼女の言葉にドキドキとしてきて、

「そんなところに○○を行かせるわけないだろ。
俺は○○の為ならどんなことでもやれるんだよ。
何人で迎えに来るか知らないけど、絶対守ってやる。」

と俺も本気で言った。
彼女は嬉しそうに微笑んで頷いて俺の手を握った。





789: 780:2011/06/26(日) 20:36:52.87 ID:TXVIrBId0
どうすればいいか悩んだ末、俺は祖父に相談することにした。
祖父に俺は彼女との馴れ初めから初体験、彼女の生い立ちまで包み隠さず話し、
新興宗教のことも、分かっていることのすべてを話した。
祖父は口をへの字にまげ真剣に聞いてくれた。

「じいちゃんはいつかお前も両親の後を追って、
いなくなってしまうんじゃないかと怖かった。
今、お前が生きているのは全て彼女のお陰だ。
じいちゃんが全身全霊をかけて彼女のお母さんを説得してやる。
決裂したら彼女をかっさらってでもここに住まわせてやる。
そんで、どんな宗教か知らんが誰も家には入れん!」

と言ってくれた。

次の日、彼女に会って祖父の話をすぐに伝えた。
彼女は目に涙を浮かべながら聞いてくれた。

彼女のお母さんと会う日、
祖父はビシッとスーツで決め、俺にも制服を着ろと言った。
いつになく祖父が若々しく頼もしく見えた。





790: 780:2011/06/26(日) 20:41:54.84 ID:TXVIrBId0
彼女のアパートの呼鈴を押すと彼女が出てきて部屋に通された。
中に入ったとたん、酷い耳鳴りがして、
目の前に透明な幕がかかったようになり、
ふわふわと夢の中で歩いているような気がした。

部屋はよく整理されていて清潔だった。
テーブルには彼女のお母さんが不機嫌そうに座っていた。
祖父はお母さんの正面に腰を下ろした。
祖父の隣に俺は座った。

さらに耳鳴りが酷くなった。
俺は祖父を見た。
愕然とした。

俺の祖父だと思っていたら、お父さんが座っていた。
お父さんの向こう隣には知らない男の人がいて彼女を見ていた。
お父さんは俺を見て微笑んで言った。

「今まで良く頑張ったな。お前の幸せを母さんと応援してる。安心しろ。」

俺の目から涙が溢れそうになり、胸が一杯になって目の前が真っ白になった。
一瞬、笑顔のお母さんが手を振っているのが見えた気がした。




791: 本当にあった怖い名無し:2011/06/26(日) 20:48:07.07 ID:KGHJvPV5O
おわり?




793: 本当にあった怖い名無し:2011/06/26(日) 20:51:15.89 ID:z1lR5t0HO
彼女はどーなった?




798: 本当にあった怖い名無し:2011/06/26(日) 21:00:54.67 ID:GJpoqvsD0
紫煙





799: 780:2011/06/26(日) 21:03:37.34 ID:TXVIrBId0
支援等ありがとうございます。続き行きます。

どの位の時間が経ったのかわからなかったが、
急に夢から覚めたように頭がはっきりとした。
透明な膜がかかったような感覚はなくなっていた。耳鳴りもしていない。
いつのまにか話し合いは終わっていた。

隣を見るとやっぱり祖父が一人で座っていた。
祖父は
「良かったな。わかってもらえたみたいだ。帰ろう」
と言って席を立った。

彼女と彼女のお母さんは顔を両手で覆って泣いているようだった。
俺は挨拶をして、あわてて祖父についていった。
何がなんだかわからなかった。
外に出ると祖父は

「何かあたたかい不思議なのが、俺たちのほかに二人くらい来ていたな。」

と言った。
彼女からすぐに携帯に連絡があった。

「私のお父さんが来てくれた。お母さんを叱って、
私に○○君と幸せになれって言ってくれた。
昨日の夜から私、お父さんにもらったあのお守りに祈ってたんだ。」

彼女は興奮して言った。



800: 780:2011/06/26(日) 21:05:25.72 ID:TXVIrBId0
その後、彼女と彼女のお母さんは新興宗教を辞めた。
かなり揉めてしまって、祖父が知人の弁護士に相談し、
しばらく俺の家に避難させた。教団と思われる嫌がらせもあったが、
俺は家族が増えたようで楽しかった。
祖父は前の言葉通り、教団関係者を誰も敷地内に入れなかった。

数年後その教団の教祖が強制わいせつ罪で摘発された。
やはり、あの時行かせなくて良かったと俺は心底思い、妻に話した。
そして、
「でも怖いな。こんな悪魔みたいな奴、信じていたこともあったんだろ?」
と聞いた。

「それはお母さん。私は子供の頃から、あなたしか信じてなかったよw」

妻は幼い息子を胸に抱いてあやしながら幸せそうに笑った。
妻の向こうの居間でステテコに腹巻姿の祖父が、
寝転んでテレビを見ているのが見えた。
キッチンのオーブンからは、
妻のおばあさんレシピのクッキーが焼けてきた良い匂いがした。

幸せな今だからかもしれませんが、
もしもあの時、祖父に相談せずに教団の人たちが、
彼女を迎えに来たとしたら、自分が何をしようとしていたのかを考えると
洒落にならないくらい怖くなるんです。

長文失礼致しました。ノシ




801: 本当にあった怖い名無し:2011/06/26(日) 21:07:06.18 ID:4AeqeMf10
>>800
乙 面白かったよ




802: 本当にあった怖い名無し:2011/06/26(日) 21:09:26.77 ID:2fG5h4LHO
>>800
乙です。奥さんといつまでもお幸せに。



804: 本当にあった怖い名無し:2011/06/26(日) 21:11:51.07 ID:z1lR5t0HO
いい話だった。良かった…



807: 本当にあった怖い名無し:2011/06/26(日) 21:24:14.09 ID:iCePdjsf0
ええ話だったよ
ほっこり







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362 :本当にあった怖い名無し:2007/09/09(日) 14:00:00 ID:FQ8MKZb6O
先日、酔っ払いに絡まれてる女性がいて助けました。
その時、酔っ払いに引っ張られて、シャツの生地の縫合部分が裂けました。
その日に限って、病気で亡くなった妻が私の誕生日にプレゼントしてくれたシャツを着てました。
最後の妻からのプレゼントだったのでショックでした。
でも、困ってた女性を助けてあげられたし、仕方ないと思うことにしました。
それでも捨てることはできず、外では着れないとしても、家着としてなら多少破れていても着れるかなと、
洗濯して仕舞いました。

その晩、ひさしぶりに夢を見ました。
帰宅した俺を妻が玄関で迎えて、そのシャツを見て「あらあら」と言いました。
家着に着替えてソファーに座ってると、妻が食卓で破れたシャツを縫い始めました。


363 :続き:2007/09/09(日) 14:00:58 ID:FQ8MKZb6O
昨日、久しぶりに一人暮らししてる娘と映画に行くことになり、どれ着て行くか箪笥を物色しました。
あの日、破れたシャツが目に止まり、破れたんだよなと思いつつ広げました。
そしたらなんと、破れてないのです。
えっ?と思い破れてる箇所を探しました。
そのうちに、表ではなく裏を見て気付きました。
表からはわからないように裏から縫合されていました。そこだけ裏側に裂けた布が出ていました。
そして、あの晩の夢を思い出しました。
ああ、あいつが縫ってくれたんだなと思いました。

その服を着て、娘とひさしぶりに映画行ってきました。
娘に話したら、
「父さん酔ってたんだよ。破れてなかったんじゃないの?」
そう言いながらも、娘の目元に涙が光っていました。

こういうことって本当にあるんですね。
できることなら次は妻の手料理期待しています。
冷蔵庫開けたら作り置きの手料理が入ってるとかさ。
まあ、それはないかな。さすがに。


367 :本当にあった怖い名無し:2007/09/09(日) 16:20:50 ID:EY961Rjp0
>362
娘さんがこっそり繕ってくれたというオチか?


373 :本当にあった怖い名無し:2007/09/10(月) 15:22:11 ID:+aOY42s+O
>>362です。レスありがとうございます。

今は娘と同居してませんし、たまの休みに来るだけなので、娘ではないですね。






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50 :本当にあった怖い名無し:2006/09/21(木) 18:37:18 ID:AMlJc147O
両親を事故で亡くした俺には、9歳離れた姉貴がいた。
ガキの頃、肥満気味で両親がいなくて苛められてた俺を、いつも助けてくれた。
優しくて、強くて、俺の自慢の姉貴だった。
秋になると金木犀の花を部屋に飾った。
「お姉ちゃんが一番好きな花なんだよ」と笑って。
高校にも行かず、朝から夜まで働いて俺を養ってくれた。

そんな姉貴が、死んだ。
事故だった。
結婚が決まって、やっと幸せになれる日を目の前にして、姉貴は逝った。
享年27歳。
俺は兄貴になるはずだった人に後見人を務めてもらい、小さなアパートに部屋を借りて就職をした。

5年経って、俺は職場で出会った彼女と結婚を決めた。
結婚式の前日、姉貴が夢に出てきた。
姉貴は俺に「ごめんなさい」と謝った。「大学まで行かせてあげたかった」と。
俺は高校出たら働いて姉貴に楽させてやりたかったよ。
姉貴は「私の分まで幸せになりなさいね」と泣きながら笑って言った。

姉貴の結婚式の日に、今まで有り難うって言って渡すはずだった金木犀の苗木は、俺の家の庭に植えた。
今年も金木犀の季節がやってくる。
俺はきっとまた、姉貴がいた頃を思い出して泣く。





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864 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:01/09/03 16:53 ID:tPUpUimU

小学校1~2年生まで自分は感情の起伏の無い子供だったらしく、
両親がとても心配して、よく児童相談所や精神科みたいな所に連れていかれていた。
その時も面倒くさいとも楽しいとも思った事は一切無く、自閉症気味と診断されていたそう。
今親に聞くと、赤ん坊の時からめったな事では泣いたり笑ったりする事も無かったとか。

でもきちんと人の話は聞くし、知能も高かった事から、親以外からは大人しい良い子だという風に受け入れられていて、上手く言い表せない自分の両親は、心配しながらも少し不気味に感じることもあったそうだった。
でも自分の爺さんは、そうやって不安がる両親に対して、
「こいつにはこいつのペースがあるんだ。放っておけ」と言うだけだった。
別段爺さんは自分を甘やかす事も無く、だからと言って無視したり虐待するでも無かったけれど、
婆さんと両親は爺さんを冷たいと怒っていた。

 

 

864 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:01/09/03 16:53 ID:tPUpUimU

ある日、爺さんが風邪をこじらせて肺炎になり入院した。
母親に連れられて見舞いに行ったとき、母親が花を花瓶に入れる為に病室を出て行った。
自分と爺さんが二人だけで病室にいて、何も話す事は無く物音一つしなくて、二人共動く事も無かった。
ふと自分の頬の側の空気が動き、見ると爺さんが青い小さなみかんを自分に差し出していた。
それをそのまま機能的に受け取って、爺さんも自分も何事も無かったように母が来るまでじっとしていた。
そのみかんをどうしたかは記憶が無い。
きっと家族の誰かが食べたんだろうとは思うけれど。

 

 

865 :864:01/09/03 16:54 ID:tPUpUimU

爺さんはそれから少しして死んでしまい、お通夜も葬式の時も何も感じる事は無かった。
初七日が過ぎ、爺さんの仏壇に供えていた青いみかんを何の気なしに母親が自分に与えて、
自分も受け取ってその皮を剥いた。
青いみかんのしゅわっという香りとみかんの水分が自分の周りに漂った瞬間、
自分の喉の奥が急に詰まったように痛くなり、胃が固まって震えるような感覚に襲われた。
生まれて初めての感覚に驚き、声を上げようとしたけれど、
喉が潰れたような感じになって、うめくような声しか出てこない。
その時初めて『助けて』と思い、うずくまっていると、顔が濡れている事に気がついた。
触ると目からぼたぼたとどんどん涙が出てくる。
自分のうめき声に驚いた母親が、慌てて自分に駆け寄ってきたのがわかった。
母親に必死にしがみ付き、自分の世界が壊れていくような恐怖を感じ、身体を硬くして叫び続けていた。
母の暖かい腕が自分に巻きついているのを感じ、温かい手のひらが頭や顔や体を撫でてくれているのを感じ、そしてだんだん落ち着いていくのが判った。
どこか痛いのかと心配する母と父と婆さんの顔を見て、口が自然に開いて、
しゃくりあげながら「ありがとう」と言葉を発していた。
顔の筋肉が引きつって、あんなに苦しかった胸の中が、だんだん温かく柔らかくなっていくのがわかった。
両親と婆さんが驚いた顔をして、とたんに皆が今度は泣き出した。
「ありがとう」と言って自分は笑ったらしい。

 

爺さんが感情を出しやすくしてくれたんだと、婆さんと母親が言っている。
父親も自分もその事がどうとか何も言わない。
でも爺さんの仏壇に毎日毎食、皆が食べるものと同じお膳を備える事を一日も欠かす事は無い。






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842 :可愛い奥様:2011/11/13(日) 01:19:05.75 ID:8pXRkwHB0
 
石のちょっと不思議な話。 

夫とお義父さまは大工さん。 
自宅を改築していました。 
そこへ、仕事仲間(電気工事屋)である私の叔父が、突然やってきました。 


842 :可愛い奥様:2011/11/13(日) 01:19:05.75 ID:8pXRkwHB0

叔父は祖母からのメッセージを預かっていました。 
「石が泣いてるから出してやってくれ」との事です。 
その場所は、すでに床板まで貼っていたのですが、床板を剥がしてみましたら、確かにそこに石がありました。 
義父は石を掘り出して、ウッドデッキの土台として庭に置きました。 




842 :可愛い奥様:2011/11/13(日) 01:19:05.75 ID:8pXRkwHB0

そんな事で二週間が経ちましたら、祖母が義父の家にやってきまして、 
「石がありがとうって言ってる」と言うんんですね。 
石を掘り出したなんて事は、勿論誰にも言ってないのに、です。 

夫家族はお化けも何も信じない方々だったんですが、祖母の関係でこんな事がたくさんあり、 
「どうやら目に見えないものは存在するらしい」と信じるに至りました。 
主人が私と出会う、10年も前の話です。







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