【閲覧注意】怪談の森【怖い話】

実話怪談・都市伝説・未解決の闇・古今東西の洒落にならない怖い話。ネットの闇に埋もれた禁忌の話を日々発信中!!

カテゴリ: 雷鳥一号



294 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/01/03(火) 15:49:33 ID:hwQVSGoq0

知り合いの話。

 

彼が氏子をしている神社では、
毎年大晦日から元旦にかけて「再誕の儀」と呼ばれる行事が執りおこなわれる。
氏神の再生を祝う神事だということだ。
氏子以外の者は入れずに進行し、
儀式が終わると社は開放されて、一般客の初詣が始まる流れであるらしい。

 

 

294 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/01/03(火) 15:49:33 ID:hwQVSGoq0

儀式自体はそのようなものだと思うのだが、
彼にはどうにも一つ、腑に落ちない決まりがあった。
再誕の儀の間、決してその場にいる者の頭数を数えてはいけないというのだ。
なぜかという理由は誰も教えてくれない。

 

それである年、こっそりと数えてみたという。
何の問題もなく数え終えたが、どこかおかしい。
そこにいるのは見知った顔ばかりの筈なのに、名前が出てこない者がいる。
何度か数え直した彼は更に混乱した。数え直す度に人数が異なっているのだ。
妙に疲れてしまった彼は、数えることを止めてしまった。

 

 

294 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/01/03(火) 15:49:33 ID:hwQVSGoq0

今では彼も古参の顔となり、新しい氏子から色々聞かれる立場になっている。
しかし、例の掟について聞かれた時は、笑って誤魔化すという。
「新人君も、そのうち何も聞かなくなるから。
 こっそり自分で数えてるんだろうな、やっぱり」
そう言って彼はこの話を締めくくった。

 




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296 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/01/03(火) 15:53:34 ID:hwQVSGoq0

知り合いの話。

 

造り酒屋をしている彼は、毎年の初めに、地元の神社に新酒を寄贈している。
新年の儀が終わると舞台に青い養生シートが引かれ、
その上で彼が持ってきた樽酒を木槌で開き、詣で客にお神酒として振る舞うのだという。

 

 

296 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/01/03(火) 15:53:34 ID:hwQVSGoq0

ある年、木槌の勢いが強すぎたか、酒が大量にこぼれたことがあった。
慌てて拭き取ろうとした彼の目の前で、酒はスーっと独りでに流れ始めた。
真横に一直線。そのまま舞台横まで、素早く流れて落ちる。

 

驚いている彼に氏子のお爺さんが言った。
なに、山へのお裾分けだ。気にするな。

 

 

296 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/01/03(火) 15:53:34 ID:hwQVSGoq0

酒がこぼれた筈のシートの上は濡れておらず、舞台横の地面も同様だった。
山から何か下りて来ていたのかな。そう彼は不思議そうに口にした。

 





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367 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2013/04/05(金) 17:47:53.24 ID:LXc+rWY50
山仲間の話。

彼が友人であるN君と二人で、夜の山を登っていた時のこと。
月明かりでボンヤリと照らされた山道を辿っていると、前を進んでいたN君がいきなり足を止めた。
「どうした?」と呼び掛けたが、返事がない。
「おいどうしたんだよ、Nってば!?」肩に手をかけ、強引に振り向かせる。
その顔はまったく見覚えのないものだった。
硬直した彼に向かい、そいつはニヘラと薄く嗤って答えた。
「Nって誰だ?」
悲鳴を上げると、後も見ずに逃げ出した。
背後から不気味な嗤い声が届いたが、幸いにも後は追って来ないようだ。
嗤い声は段々と小さくなっていく。
足下も確かでない山道を転びながら走っていると、唐突に誰かに抱き止められた。
「おい、何やってんだ!?」
彼を抱き締めて大声を上げる男性、その顔は間違いなくN君のものだった。
我に返ると、腰が抜けたようになってしまい、その場に崩れ落ちたという。

その直後、N君に聞かされた話。
「ふと目が覚めたら、隣の寝袋が空になっていてさ。
 雉でも撃ちに行ったのかと思ったが、いつまで経っても帰ってこない。
 気になって捜しに出たら、上の方からお前が叫びながら走って下りてきたんだ」


368 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2013/04/05(金) 17:48:29.26 ID:LXc+rWY50
そう聞かされて落ち着くと、ようやくまともに物事が考えられるようになった。
そうだった。
二人はこの少し下場にテントを張り、夕食と酒を楽しんでから就寝したのだった。
しかしそこまで思い出したものの、何故眠っていた筈の自分が寝袋を抜け出して、
得体の知れない誰かと一緒に夜の山を登り始めたのか、まったく記憶にない。
……気が付いたら、二人で夜の山道を歩いていた。
先導する何者かをN君だと思い込んで……思い込まされて?
二人して顔を見合わせたが、どちらの顔も白くなっていたという。
テントまで駆け戻ると、消していた焚き火を再び起こし、杖をしっかりと持って寝ずの番をすることにする。
とても意識を手放す気にはなれなかった。

幸いその後は何も変わったことは起きず、無事に朝を迎えた。
慌ただしく荷物を片付けると、予定を切り上げて一目散に下山したそうだ。




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576 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2012/07/27(金) 19:53:33.92 ID:alRUP7m90
知り合いの話。

アメリカでインディアンの居留地にステイしていた時、腹痛に襲われたという。
とんでもない激痛で、身体を動かすことも適わなくなり、危篤状態にまでなったのだが、
現地の呪医が処方してくれた薬が劇的に効き、無事一命を取り留めたそうだ。

薬が効いている間は体中の感覚がなくなり、同時に痛みも感じなくなったという。
しかし奇妙な事に、寝ている自分を真上から見下ろしたり、建物の屋根をすり抜けてから空を飛んだりした記憶がある。
いやにくっきり、はっきりと。
呪医が言うには、この薬は体と心を切り離してから、患部を強烈に治す働きがあるのだと。
要するに、副作用として幽体離脱してしまう薬だったらしい。

回復後に、お礼の日本酒を持参して呪医を訪ね、薬の話をもっと詳しく聞いてみた。
それによると、とある森に棲まう、角の生えた大蛇から採取した薬だという。
「夢の蛇」と呼ばれるこの蛇は、呪医自身が魔法の歌を唄って森から呼ぶというのだが、
大層音楽の好みにうるさいようで、歌が気に入らないと姿を現さないのそうだ。
因みに上手く呼べる確率は、これまでの経験では十回に一回程度らしい。
歌が気に入ると森の中から出てきて、角を大人しく削らせてくれるのだと。
しかし歌が途切れると、蛇はこちらに興味をなくしたような様子になり、すぐさま姿を隠してしまうので、
削る間は必死で歌い続けなければならないそうだ。

「お前に処方した薬は、その角の粉末を使っているのだ」と言われた。
「今はもう滅多に入手できないから、ありがたく蛇と私に感謝しなさい」とも。
彼も負けずに、「この酒も滅多に入手できない、高価なものなんですよ」と言い包め、
皆で仲良く酒盛りを楽しんだのだという。





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838 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2009/04/23(木) 20:55:25 ID:kfiJIM1p0
同級生の話。

私たちが通っていた大学は、結構深い山中にあった。
当時はまだ設備も整っておらず、学内の彼方此方に野良犬が居着いていた。
今思えば結構な数がいたようだ。
いつの頃からか、夜のキャンパスに人面犬が出るという噂が立った。

そんなある夜、実験ですっかり遅くなった彼が、帰宅しようとエレベーターを待っていた時のことだ。
一階から彼のいる七階までゆっくりとエレベーターが上がってくる。
チンと音がして扉が開くと、その中に何か異様なモノがいた。
身体は確かに犬だった。
犬に詳しい彼が言うには、丁度秋田犬くらいの大きさだったらしい。
赤茶色の毛並みで、所々汚れている。
しかし、顔が人間のそれだった。
随分とアクの濃い白人の顔をしていた。
身体の毛色と合わせたかのような、少し暗目の金髪。
鉤のように尖った高鼻に、青い目。
ニヤリと笑う口元から覗く太い歯が、真っ白く健康そうだったという。
想像していた姿とちょっと方向性が懸け離れていたせいで、
彼はしばらくの間、自分の見ているモノが人面犬だと認識できなかったらしい。
何の反応も出来ずにいる彼に向かって、
人面犬は「HAHAHAHAHAHA!」と、まるでアメリカ人のような(?)達者な発音で笑いかける。
そうしてから、そのまま横をすり抜けて廊下の向こうに消えた。


839 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2009/04/23(木) 20:56:11 ID:kfiJIM1p0
気が付くと、誰かに呼ばれたのか、エレベーターは再び一階まで降りていた。
もうエレベーターを利用する気がせずに、仕方なく外部の非常階段を一階まで駆け下りたのだという。

「俺が思うに、うちのキャンパスに出る人面犬ってさ、
 ○○学部で秘密裏に作ってた実験動物が逃げ出したヤツなんじゃねぇかな?
 どう見てもありゃキメラだったぜ」
大真面目でそう口にする彼に向かい、誰かが言った。
「○○学部にそんな御大層な研究している研究室は無えよ」
ある意味大変失礼な発言だが、なぜか皆揃って頷いていた。

今はもうキャンパスも綺麗に整備され、野良犬一匹いないと聞く。
人面犬ももう姿を見せなくなっただろうか。




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962 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/12/02(水) 21:55:50 ID:i8xVAx920
知り合いの話。

彼の実家のある山村では、よく狐憑きが発生したのだという。
「私も祖父に聞いたことがあるだけで、実際に目にした訳ではないけどね。
 何でも村の伝えによると、昔の村民たちが地の狐たちと諍いを起こしたらしい。
 それ以来事ある毎、狐に目の敵にされたのだとか」
「面白いと言っては何だが、あまりにも憑かれたせいか、経験値が高くなったようでね。
 対処法というのがちゃんと確立されていたんだ。
 “狐憑きが発生したら、ヤマシロで作った艾で灸を据える”と、そういう流れになっていたらしい。
 狐はヤマシロの薬効が大の苦手で、すぐに落ちて元に戻るという話だ。
 祖父自身は経験しなかったが、親戚が何人か灸でヒィヒィ言っていたのを見たって」
ヤマシロって何ですか? わからなかったので聞いてみた。
「大麻のことだよ。
 狐はどうやら、大麻の匂いというか成分が駄目みたいだね。
 今は栽培も厳しく規制されているし、とても艾なんて作れないけど。
 狐憑きも出なくなったみたいだし、まぁこれも時代の移り変わりなんだろうね」
そう言ってニコニコと笑っていた。



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636 名前: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 04/01/07 22:21

知り合いの話。

彼の先祖に、羽振りの良い男衆がいたのだという。
猟師でもないのに、どうやってか大きな猪を獲って帰る。
ろくに植物の名前も知らぬくせに、山菜を好きなだけ手に入れてくる。
沢に入れば手の中に鮎が飛び込んでき、火の番もできぬのに上質の炭を持ち帰る。
田の手入れをせずとも雀も蝗も寄りつかず、秋には一番の収穫高だ。

彼の一人娘が町の名士に嫁入りする時も、彼はどこからか立派な嫁入り道具一式を
手に入れてきた。
手ぶらで山に入ったのに、下りてくる時には豪華な土産を手にしていたそうだ。

さすがに不思議に思った娘が尋ねると「山の主さまにもらったのだ」と答えた。
その昔、彼は山の主と契約を交わしたのだという。
主は彼に望む物を与え、その代わり彼は死後、主に仕えることにしたのだと。

何十年か後、娘は父に呼び戻された。
彼は既に老齢で床に伏せていたが、裏山の岩を割るよう、主に命じられたという。
娘は自分の息子たちを連れ、裏山に登った。
彼の言っていた岩はすぐに見つかり、息子が棍棒で叩いてみた。
岩は軽く崩れ割れ、その中から墓石と、白木の棺桶の入った大穴が現れた。
誰がやったのか、彼女の父の名がすでに刻まれていた。
話を聞いた彼は無表情に呟いたそうだ。

埋められる所まで用意してくれるとは思わなんだわ。

それからすぐに彼は亡くなり、まさにその墓に埋葬されたのだという。


637 名前: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 04/01/07 22:23

この話には後日談がある。

数年後、娘の夢枕に父親が立ったのだという。
老いた姿ではなく、若々しい男衆のままの姿形であった。
彼はなぜかまったく余裕のない表情をしていた。
彼女が懐かしさのあまり声をかけようとすると、彼は怖い顔でそれを止めた。
そして一言だけ発して、消えたのだという。

お前たちは、絶対に主と契っちゃならねえ。

翌朝目を覚ましてからも、彼女はその夢を強く憶えていた。
一体父は死んだ後、主の元でどんな仕事手伝いをしているのだろう?
その時、隣で寝ていた夫が起き上がり彼女に話しかけた。
夫の夢にも、養父が現れ何かを告げたのだそうだ。

しばらくして彼女の夫はその山を買い取り、全面入山禁止にした。
しかし、その理由は妻を含め、誰にも教えなかったという。



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398 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :05/01/20 01:54:47 ID:iyZtv8nz0
友人の話。

秋口に一人で山籠りしていた時のこと。
真夜中、誰かが身体を触ってくる感触で目が覚めた。
まるで背中や肩を、按摩してくれているようだったという。
最初は驚いて飛び起きようとしたが、揉み具合がどうやら絶妙だったようで、
そのままマッサージに任せて眠ってしまった。

翌日、起きてみると身体中が痛い。
動く度に鈍い痛みに襲われ、必死の思いで山を降りたのだという。
我慢できず、近場の親戚の家に転がり込む。
服を脱いだ彼を見て、親戚の家族は絶句した。
彼の全身は、青黒い痣で覆われていたのだ。
ひどい所は、皮膚がグズグズに崩れかけていたほどだった。

彼から事情を聞くと、親戚は介抱してくれながらも説教してきた。
曰く、あの山へ一人で留まる奴があるか!
あそこの奥には『石の女』がいて、身体が潰れるまで揉み解されるのだと。

身体の痣は半年も消えず、健康が戻るのにも同じくらいかかったという。




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103 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :03/12/19 20:59
知り合いの話。

一人で山に登った帰り道でのこと。
いつの間にか、ブツブツと呟く声が、後ろの繁みから聞こえてきた。
身を硬くして振り返ると、繁みの切れ目から一匹、猿に似たものが姿を現した。
大きさや姿形は猿そのものだが、その顔は壮年の男のものだった。
まるで人間のように、背中を伸ばして歩いていたという。
驚愕している彼の耳に、それの呟きが聞こえてきた。
「・・・だいすけ まさる まさゆき けんじ あきら・・・」
猿は、男性の名前を次々に呟いていた。
うち一つが、彼の父親の名前だった。
ピクリと反応すると、猿は呟くのを止め、嫌な笑いを浮かべて近寄ろうとした。
「違う。それは父の名前だ」
思わず力いっぱいに否定した彼を、猿は凄い目つきで睨みつけた。
しばし睨みあった後、猿はぷいと繁みの中へ戻っていった。
彼は、麓まで後ろも振り返らずに駆け下りたのだそうだ。

もしもその時、彼の名前が当てられていたら、何が起こっていたのだろうか。。




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359 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/10/02 23:38:42 ID:UXyuxyzL
友人の話。

彼の実家の山村では、時々おかしな存在が出たという。
それは、村の衆から『出来損ない』と呼ばれていた。

炭焼きをしていた彼の祖父も、『出来損ない』を見たことがあるという。
薪の山のすぐ横を、灰色の兎のようなものが駆け抜けたのだと。
それは確かに兎の耳と胴体を持っていたが、決して兎ではなかった。
その頭部には目も口もなく、その身体を動かしていたのは黒い蟋蟀の脚だった。

その後も小屋の近くで何度か見かけたそうだが、その度に段々と本物の兎らしくなっていったのだそうだ。
『出来損ない』の正体は誰も知らなかったが、
「おそらく山の動物を真似しているのだろう」と村では言われていた。

まれに、人間を真似しようとした出来損ないが出たらしい。
そうなると、しばらくは誰も山に入れなかったそうだ。
過去に人間に化けた何かが出たことがあるのだろうか。

今は炭焼きや猟をする人もおらず、『出来損ない』がまだいるのかはわからない。


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