439 :名無し百物語:2023/12/14(木) 21:42:27.17 ID:ADReIjVp.net
石じじいの話です。
遺体が腐らない棺を作る職人がいたそうです。
夫婦で、棺を作る商売をしている人たちがいました。
この人たちは、棺以外にも木工でいろいろなものを作っていて、棺の製作は副業程度だったとか。
ある時、彼らの作った棺に遺体を入れておくと遺体が腐らない、という噂がたったそうです。
その夫婦は、普通の方法で棺を作っていたので、そのような現象が起きるのは不思議でした。
特別な木材を使ったり特殊な薬剤を塗布するというようなことはしない。
最初に、そのような現象がどうして発見されたのかはメモにはありません。
遺体はすぐに火葬したので、それが腐らないということはわからないと思うのですが。
そのような噂が広まると、わざわざその棺を買い求めて、遺体を火葬せずに、家に長らく置いておく人もでてきました。
これは良くない。下手をすると、遺体遺棄罪に問われる恐れもある。
遺体を焼くのが惜しく、その棺にいれて土葬した人もいました。
しかし、土葬は深く掘って埋葬するので、後で掘りかえして遺体を見ることができないし、木製の棺が腐ってしまえば、その効力も失せて遺体も腐るでしょう。
いや、棺が腐ると本当に遺体保存の効力は失われるのか?
いまだにその墓は暴かれていないそうです。
結局、その棺の製作方法や誰がその方法を発明したのか?ということが知られることはありませんでした。
少なくとも、私のメモにはありません。