99 :本当にあった怖い名無し 警備員[Lv.4][新芽]:2024/10/29(火) 00:05:24.72ID:f4r89qYd0
もし他の方の話の割り込みになっていたらすみません
先日数年ぶりに小学生時代の友人と会ったついでに思い出したので投下
小学生女児4人でこっくりさんをやった話です
私が小学生の頃、仲の良かった友達三人といつも遊んでいました。ここでは仮に、A、B、Cとします。
私たちはどちらかというとインドア派で、休み時間や放課後は占いの本を読んだり、簡単なおまじないをしたりと、どこか非科学的な遊びに興じていました。
しかし、私たちは共通して『怖い話』が好きだったのもあって、遊びは次第に占いやおまじないはこっくりさんなどの降霊術、都市伝説とオカルト的なものに発展していったのです。
ある日の放課後、Aが私たちにこっそりと「こっくりさんやってみない?」と提案してきました。今思えば全員日ごろの読書や雑談からやってみたい欲は高められていたので、遅かれ早かれ誰かがそれを言い出していたと思います。
放課後、私たちは一度家に帰った後いつものように両親の帰りが遅いBの家に集まり、儀式の準備を始めました。
100 :本当にあった怖い名無し 警備員[Lv.4][新芽]:2024/10/29(火) 00:06:17.83ID:f4r89qYd0
Aがちぎりとったノートの1ページに五十音、はい・いいえ、鳥居など必要なことを書き、私が持ってきた10円玉を鳥居の上に置きました。
私たちは人差し指を10円玉の上に乗せ、
「こっくりさん、こっくりさん、おいでください」
と2回唱えました。当然の事ながら、10円玉は動きません。多少がっかりしたものの、私たちは色々と質問をしました。
「明日の天気は晴れですか」
「今日の宿題は簡単ですか」
はい・いいえだけで答えられる簡単な質問でしたが、やはり10円玉は動きません。しばらくしてCが
「明日の体育は見学してもいいですか」
と聞いた時、10円玉がゆっくりと「いいえ」の方へ動き出しました。初めは驚いたものの、すぐに原因が分かりました。
101 :本当にあった怖い名無し 警備員[Lv.4][新芽]:2024/10/29(火) 00:07:14.08ID:f4r89qYd0
Aの仕業です。10円玉に添えられた彼女の爪の先が白くなっているのに、その場にいる全員が気づいていたと思います。
それでも皆非日常感を楽しんでいたこともあり、Aの行為を咎める人はいませんでした。Cだけが
「なんでダメなの〜」
と不満そうにしていましたが、Aは
「でもこっくりさんの言うことは聞かないとさ…」
といって笑っていました。
時間もいいところだったので、私たちは「こっくりさん、こっくりさん、ありがとうございました。どうぞお帰りください」と唱え、10円玉を誰ともなく押して鳥居に戻し、儀式を終えました。
その後使用した紙は48等分に千切り、塩と一緒に袋に入れて捨てました。
10円玉は、私たちの読んでいた本のルールでは「3日以内に使わなければいけない」ということになっていたので、その日の帰りに駄菓子屋で使うことになりました。
私たちは全員妙な高揚感に包まれていて、帰り際も「またやろう」と口々に言い合いながら帰路につきました。
それからというもの、私たちは週に何度かBの家に集まり、こっくりさんをやりました。何度かやる内に紙を書く係、10円玉を持ってくる係が出来上がり、それぞれローテーションして担っていた事を覚えています。
使った紙を捨てるのも同じ家に集中させない方がいいかも、という考えからその日紙を書く係の人が持ち帰り捨てることになっていました。
102 :本当にあった怖い名無し 警備員[Lv.4][新芽]:2024/10/29(火) 00:08:22.47ID:f4r89qYd0
10円玉だけは変わらず、帰路の途中にある駄菓子屋で使っていたので(Bが担当の日は私が10円玉を預かり、代わりに使っていました)、あの店に不吉な10円玉が溜まっていたことを思うと何だか申し訳ないような気持ちになります。
こうした細かいルールの他に、私たちの間には暗黙の了解もありました。
それは、儀式の最中に10円玉を動かす係です。
Aが10円玉を動かして以来、私たちはだれが決めたわけでもなく、A→私→B→Cの順番で10円玉を動かして質問に答えるようになっていました。
それに合わせて質問もはい・いいえで答えられる簡単なものから
「○○の好きな人は誰ですか」というような文字を使う高度なものに変わっていきました。なので「Dくん(当時Aが片思いしていた男子)の好きな人は誰ですか」
という質問には、10円玉を動かしてAの名前を出して盛り上がり、
「××(理由は不明ですが当時誰からも嫌われていました)のことを嫌いな人はどれくらいいますか」
という質問には「ぜんいん」と答えて笑ったりしていたのです。
こうしてこっくりさんの真似事を楽しんでいたある日、事件は起きました。
Bが紙を書き、Cが10円玉を用意し、10円玉を動かす係は私でした。
初めはいつものように学校や芸能人の事が質問され、私は適当に答えていました。
何度目かの質問が終わり、そろそろ終わるかというムードになってきた頃、Aが唐突に口を開きました
103 :本当にあった怖い名無し 警備員[Lv.4][新芽]:2024/10/29(火) 00:09:21.68ID:f4r89qYd0
「Cはどうやってタヒにますか?」
あまりにも悪意に満ちた質問に、頭の中が真っ白になりました。Bが
「そういうのはやめようよ」と咎めてもAは
「いいじゃんどうせ遊びだし」
と、笑って私を見るのです。それは、私がどう答えるのかを楽しみにしているようでした。
自分のタヒ因を問われたCだけが俯いて黙り込み、指先だけが微かに震えていました。
答えられるわけが無い。
私は「わからない」と動かそうとしました。ところがその瞬間、10円玉に添えていた指先が弾かれるような、奇妙な感覚が私を襲いました。
例えるなら磁石のS極同士を近づけた時のような、どんなに力を込めてくっつけようとしても離されるような感覚でした。
『儀式を終えるまで10円玉から指を離してはいけない』こっくりさんのルールを思い出し、私は指先が真っ白になるまで力を込めて10円玉を押さえつけました。
他の3人の指も同じように白くなり、表情もかたくなっています。多分、皆にも同じ感覚が起きてるんだ、と私は察しました。
とても動かせる状況じゃない。私はぎゅっと目を瞑り、一刻も早くこの感覚が消えるよう願いました。
104 :本当にあった怖い名無し 警備員[Lv.5][新芽]:2024/10/29(火) 00:10:07.65ID:f4r89qYd0
「え?」
不意に、Bの驚く声が聞こえました。
見れば私たちが力の限り押さえつけていた10円玉が、ゆっくりと動き出していたのです。
さらに奇妙なことに、本来動かしている時は紙の摩擦や下の畳のせいで10円玉がスムーズに動くことは無いのですが、この時はまるで氷の上でも滑るように動いていたのです。
私たちの指を乗せた10円玉は、文字の上へ次々に移動していきました。
『じ』
『こ』
『に』
『あ』
『う』
事故に遭う…その時初めて、歯の根が合わないという感覚を経験しました。全身に鳥肌がたち、背中を冷や汗が流れていくのが分かるほどでした。
そのうちにCの指先が尋常でないほどに震え始め、とうとう10円玉から人差し指が離れました。
105 :本当にあった怖い名無し 警備員[Lv.5][新芽]:2024/10/29(火) 00:11:01.80ID:f4r89qYd0
消え入りそうな声で、Cが「なんで」と呟くのが聞こえました。
いつの間にか指を弾くような感覚は消え、私はほとんど叫ぶみたいにして
「こっくりさんお帰りください!」と唱え、無理やり10円玉を鳥居に戻して儀式を終了させました。
力を込めすぎていた指先は痺れ、私たちは儀式を終えたあとも黙っていました。CはTシャツの首元の色が変わるほど汗をかいており、泣いていました。
「ごめん、わたし、こんな風になると思ってなくて」
Aがしどろもどろになりながら謝りましたが、Cは泣きながら首を振るだけです。
その後私たちは誰一人として口を開くことなく、黙々と片付けを進めBの家を後にしました。
『事故に遭う』という不気味な予言から更に、Cの不幸は重なりました。
それは駄菓子屋に向かう途中、早足で歩くAの後ろで私とCは並んで歩いていた時でした。
Cの様子はすでに幾分か落ち着いており、普段通りの会話をしていた事から、私も先程の出来事は全て幻だったのではないかと思いつつありました。
もうすぐ駄菓子屋、という時不意にCが何かに躓き、手のひらから何かが飛び出すのが見えたのです。
106 :本当にあった怖い名無し 警備員[Lv.5][新芽]:2024/10/29(火) 00:12:07.07ID:f4r89qYd0
甲高い音を立てて道路に転がり、側溝に吸い込まれて行ったのが10円玉と気づくのにそう時間はかかりませんでした
「どうしよ、10円、3日以内に使わないといけないのに」
子供の力では開けられそうにない側溝の蓋に、Cの顔は真っ白になっていました。「どうしたの」と前を歩いていたAも戻り、
「これも使ったうちに入るよ」
と私たちはCを慰めました。Cは最後まで浮かない顔をしていたものの、私たちはどうにか家へと帰りました。
家に着いてもしばらくの間、私は怯えていました。今日10円玉を動かす係は私だったので、Cが親に告げ口するのでは無いか、怒られるのではないかと。
あの瞬間、10円玉が勝手に動きだしたことは恐らく全員が理解していたと思います。しかしそれを説明出来る確固たる証拠はなく、私はあの不吉な言葉が自分のせいにされ、叱られるのを何よりも恐れていました。
今にして思えば何故超常現象より大人からの叱咤を怖がるのかと不思議ですが、とにかく当時の私にとって他所の親に叱られることが一番怖かったのです。
それから私たちは誰に叱られることもなく、何事もない日々を送りました。しかし、この一件以来、私たちはこっくりさんをやりませんでした。顔を合わせることすら気まずく、遊ぶことも次第になくなっていきました。
進級の際に全員別のクラスに別れた事でそれぞれが新しいグループに入り、卒業するまで私たち4人が再び揃うこともありませんでした。
107 :本当にあった怖い名無し 警備員[Lv.5][新芽]:2024/10/29(火) 00:14:50.42ID:f4r89qYd0
ここから先は後日談になりますが、高校に上がった頃に一度だけBから連絡がありました。
彼女とは中学で同じクラスだったこともあり、特にこれといったやりとりは無かったものの、連絡先を交換していたのです。
曰く『Cが現在精神を病んでおり、小学生の時にやったこっくりさんについて私ちゃんと話がしたい』との事でした。
なぜ今更そんな話を…そう思いましたが、久しぶりに会いたいという気持ちもあり、私は了承しました。
Bからは都合の良い日がわかったらまた連絡する、とだけ返信がありましたが、いくら待てども次の連絡はなくいつの間にか彼女のLINEアカウントは『unknown』になっていました。
結局Cがどうなってしまったのか、こっくりさんの話を持ち出したのか、Bの連絡から数年経った今でも確かなことは分かりません。
ですが、あの日確かに私たちは人ならざる何かを呼び出していたのだと、今になって思います