【閲覧注意】怪談の森【怖い話】

実話怪談・都市伝説・未解決の闇・古今東西の洒落にならない怖い話。ネットの闇に埋もれた禁忌の話を日々発信中!!

カテゴリ: 部落&集落



私は子供の頃、山深い小さな集落に住んでいました。
小学生になったばかりの頃の話です。
私の家は学校から一番遠くにあり今まで友達と遊んだ事がなかった私にも友達が出来き、毎日友達と遊びながら帰っていました。
隣町の学校までの道のりは遠く、子供の足ではかなりの時間がかかりましたが、遊んでいるうちに、この森を抜けると早いとか川を渡ると早いとか近道を見つけては探検気分で帰っていました。

もう秋も近い頃だったでしょうか…。
台風が接近していた為、学校が休校になりますという連絡網が回ってきました。
私は学校を楽しみにしていたのでガッカリしましたが明日の天気次第で休校しなくなる場合もあると言われたのでその日はてるてる坊主を沢山作って寝ました。
翌朝、台風など全く来ていない様子だったので私は学校に向かいました。

学校に到着すると校門が閉まっていました。
生徒も誰もいません。校庭を見ると用務員のおじさんが掃除をしていました。
学校の金網を乗り越えおじさんの所へ行くと
『今日は学校お休みだよ。昨日の強風で何箇所か硝子も割れてしまっているし。昨日連絡網回ったでしょ?今朝も休みですって連絡網回ってるはずだよ。』
と言われてしまいました。
私の家は学校から離れている為、出発もかなり早かったので連絡網が来る前に家を出てしまったようでした。
こんなに天気が良いのに…長い距離を一生懸命歩いて来たのに。と損した気分でしたが仕方なく家に帰る事にしました。

いつも友達と遊びながら帰る道も一人だとなんだか寂しく感じました。
川を渡り、森を抜けてといつものよう様に近道をしていた時です。

森の奥に建物が見えました。いつも通っていたけれど気がつかなかったなぁと思い近づいてみると、そこは高台になっていて、眼下には小さな集落が見えました。
人の姿もあり民家や馬小屋やお店も何件かあったので坂を下り村を散策してみる事にしました。
年寄りが多くみんな私を見てはニコニコしながら
『こんにちは。何処から来たんだい?』
と聞いてきました。
『○○です。』
と村の名前を言うとみんな知らないようでした。
割と私の家から近い場所でしたので知らない事が不思議でした。


ボロボロの長屋があり近づいてみると私と同じ年齢位の子供が沢山いました。
『一緒に遊ぶ?』
と声をかけられて、私は嬉しくてみんなと一緒に遊びました。
あやとり、縄跳び、かくれんぼと普段やっている遊びでしたが、新しい友達が出来たと思いとても楽しんでいました。

かくれんぼの時に一緒に隠れていた女の子に
私『どこのクラス?』
と聞くと
『クラス?って何?』
私『えっ?何組なの?何年生?』
すると女の子は
『わからない。そうゆうのないから。』
と不思議そうに言われました。
私『私は○○小学校だけどそこじゃないの?』
女の子はボロボロの長屋を指さして
『ここが学校。◎◎学校。』
と言われて驚きました。
私の通う隣町の小学校とは随分と見た目が違いますし、何よりもこんな近くに学校があった事に驚きました。
私『昨日の台風で私の通ってる学校が休みになってたんだけど、やっぱりここの学校も休みなんだね。』
女の子は私の言っている意味が解らないのか苦笑いしながら曖昧に『うーん』と返事をしました。

かくれんぼが終わり次は達磨さんが転んだをやりました。
私が最初に鬼になりました。
『だーるーまーさーんーがー転んだっ』

勢い良く振り向くもそこには誰もいませんでした。
もしかして、ルールが違うのかな?と思いもう一度、『だるまさんが転んだ』
と言ってみましたがやはり誰もいませんでした。

私は『おーい皆何処にいるの?』
と辺りを探しましたが誰もいません。
先程、年寄りがいた場所にも誰もいません。お店も何件かまわりましたがそこにも誰もいません。
しばらく探しましたが誰にも会う事はありませんでした。

もっと遊びたい気持ちもありましたがまた明日立ち寄れば良いと思い、その日は家に帰りました。

帰ると母親がビックリした顔をして
『どーしたの?なんでそんなに泥んこになってるの?何処で遊んで来たの?今日やっぱり学校休みって連絡来たからすぐ車で迎えに行ったのに何処にもいないから心配したんだからね。』
私の服は湿っぽい泥がたくさん付いて汚れていました。母親は
『あんた何処通って来た?』と怪訝な顔をしました。
近道の事は親に秘密にしていたのですが(森はよその家の人の土地だから入ってはいけないと言われていましたので。)私は山の奥の村で子供達と遊んで来た事を話しました。
あんなに近くに学校があるのにどうして隣町の学校まで通わなきゃいけないのかを教えて欲しかったからです。母はそんな場所は知らない…とにかくお風呂に入って来なさい。と言って外へ出て行きました。しばらくすると、父と母が一緒に帰ってきました。夕食を済ませると、私は寝巻きのまま車に乗せられ村の神社に連れていかれました。

今までこんな突然、神社に連れていかれた事はなかったので何があったのか聞きましたが父も母も何も答えてくれませんでした。
ただ必死に拝んでいたのを覚えています。

そして次の日から母が学校へ迎えに来るようになりました。
理由を聞いても『近くまで来たから』などと言ってはぐらかされてしまいます。森の奥の村の話しをしましたがそんな場所はないし、もう森へは入らないでと、とても嫌そうに言われました。
それから毎日母が迎えに来るので、私は友達と帰宅出来ない事はもちろんあの村へ寄り道する事が出来なくなりました。
学校の友達に森の奥の村の話をしましたが知っている人は誰もいませんでした。今度一緒に行こうと誘ってみても遠い事もあり断られてしまいました。

私は、あの村へ行きたいという気持ちが日増しに大きくなっていました。

ある日、母が迎えに来ない日がありました。
母が体調を崩して寝込んでいたのです。
私はあの村にあったお店で団子を買って母にあげようと思い久しぶりに森に入りました。
正直、団子を買う事よりも村の友達に会いたいという気持ちの方が大きかったです。
村の近くに行くと以前見えた建物はなく代わりに、工事現場作業員のような大人数人と神主さんのような人がいてなにやら儀式のような事をしていました。
村に行きたいのでその人達を無視して先へ進むと、そこには崖があるだけで何もありませんでした。

私は目を疑いました。

数日前に遊んだはずの村が跡形もなく消えていました。
正に狐につままれた気分でした。
工事現場の作業員風の人に『危ないから入ってきちゃだめだよ』
と追い返されてしまいました。
村の事を聞きたかったのですが聞き慣れない気持ちの悪い呪文のような歌を歌う神主を見て、何も聞かず家に帰りました。

皆と遊んだのは夢じゃない。私は確信していました。泥んこになって帰った時の事を思い出しながら森を出て行きました。

私は帰ってから寝込んでいる母に正直に話をする事にしました。
『ごめんね。行ってはいけないと思ったんだけど…お母さんに早く元気になってもらいたくて…帰り道に森の中にある村のお店でお土産に団子を買おうとしたんだけど…村が無くなってたの。いつ無くなったの?皆何処に引越したの?』

すると母は優しく
『分からない。そんな場所は最初からないはずよ。それは夢でも見たのよ。それか、幻でも見たんじゃないの?…もう危ないから森へ行ってはいけません。お願いだから絶対に森へはいらないでね。元気になったらまた帰り迎えに行くから。』
と言いました。

私は母にあの日の夜、何故突然神社へお参りに行ったのか、あの村の事と何か関係があるのか、聞きたかったのですが具合も悪そうだったので元気になってから改めて聞こうと思っていました。

しかし、それを聞く事は出来ませんでした。
母の容態は悪化して、そのまま亡くなりました。

母が亡くなったショックで私は村の事など考える余裕はありませんでした。
母のいない生活はまだ幼い私には大変なものでした。父も仕事の為、家を空けているので私は隣町にある親戚の家に高校卒業まで預けられていました。

その後、私は村を出て地方都市に就職をして寮生活を送っていました。

田舎育ちの私には何もかもが新鮮で刺激的であの村の事は完全に記憶から消えかかっていました。

しかし、あの村の真実を知る時はふいに訪れたのでした。


親戚から父が倒れたという知らせがきたのです。
母を無くして以来、程なくして親戚に預けられた私は父と会うのは週末くらいしかなかったのです。
兄弟のいない私にとっては大切なたった一人の家族です。

私は仕事を休み田舎へ帰りました。
父は既に入院していました。
駆け付けた私の顔を見て微笑んでいました。




私は今までの出来事や近況を父に報告しました。
お母さんが死んで辛かった事、本当は親戚の家じゃなくてお父さんと二人で暮らしたかった事も話しました。
親子水入らずの時間を久しぶりに味わい心なしか父の顔色も良くなり元気になっていたようでした。
父の所に泊まりたかったのですが病院のシステム上出来ないという事もあり、その日は親戚の家に泊めてもらいました。

次の日、父の所へ行き私はまた昔の話をしました。
その時、忘れていたあの村の記憶が甦り、私は父にあの村であった出来事を話しました。

父はその出来事を母から聞いて知っていました。
そして父から幻の村の真相を教えてもらいました。

父がまだ子供の頃、その村は実際に存在していたそうです。
父もその村に遊びに行った事もあり、友達も住んでいたそうです。
話を聞くとお店や学校も私が見た物と同じのようでした。

父の家は貧しく学校に通う事は出来なかったのでその村の学校に通う友達から勉強や遊びを教わっていたので頻繁に村へ遊びに行っていたそうです。

ある日、激しい風と雨が降った時に突然、大規模な山崩れがおきたそうです。

小さなその集落は両側の山からの土砂に埋まり生存者は殆どいなかったそうです。
父は土砂で泥まみれになった集落を森の上から見たけどのどかな村は跡形もなく消えていて湿った土の臭いだけが漂っていたそうです。
それから村の跡地に慰霊碑が立てられたそうですが台風が来る度に壊れてしまい今では慰霊碑を立てる事もなくなっていました。

そして、その村はいつしか忘れ去られて行ったのですが、その当日近所に住んでいた子供の何人かが私と同じ体験をしていたそうです。
しかし、その子供達は幻の集落を見つけた後に不治の病にかかり亡くなったそうです。
それは、決まって台風の過ぎた後に村を見るそうです。
いつしか、父の住む村では台風の後には森へ入ってはいけないと語り継がれるようになったそうです。

私が集落を見つけたのに病気にもかからず今元気に生きているのは母が身代わりになったからと聞かされました。

突然、神社に連れて行かれた時、必死に拝んでいた姿が思い出されました。
母は次の日から昼間に集落の跡地へ行ってはお供えをしたり子供を連れていくなら変わりに自分の命を差し上げますと拝んでいたそうです。
父は神社へ行き毎日私と母の無事を祈ったそうですが母が亡くなる前に、
『私もあの村見たの。だから私が死んだらもう平気だよね?』
と父に話したそうです。

私は何も言えなくなってしまいました。
ただ涙が流れるだけでした。

父の容態も回復したようなので私は会社の寮に戻り、仕事を再会しました。

あの集落の事も父から聞いた話しも忘れようと必死でした。

そして、父は退院する事はなく息を引取りました。
葬儀の後に遺品の整理があったので親戚達と一緒に久しぶりに実家に向かいました。

玄関には泥団子が置いてありました。そう言えば母の亡くなった時も玄関に泥団子が置かれていた事を思い出しました。
泥の状態からして作ったばかりの物だと思いました。
叔母に泥団子の事を聞くがその様な風習もないし、誰が作ったかも解らないと言われました。

気持ちが悪いから処分しようと玄関にでると先程の泥団子はカラカラに干からびて崩れていました。

さっきまでドロドロだった団子がものの数分でこんな状態になるはずがありませんでした。

叔母に幻の集落の話をすると父も亡くなってしまったし、これ以上おかしな事が起こると大変だから片付けが終わったらすぐに寮に帰るように。
そして、二度とこの村にも帰って来ない方が良いと言われました。

私は片付けもろくに出来ず荷物をまとめて村を出て行く事にしました。

その後、私の身には何も起こる事はありませんでした。
しかし、それ以降は仕事に打ち込んでいても何をしてもあの幻の集落が頭からはなれなくなってしまいました。
忘れたはずの子供達の顔まで鮮明に思い出され夢にまで見るようになりました。
ぬかるんだ村で子供達と一緒に泥団子を作り私の家の玄関先に置きに行くと、親戚達ともう一人の私がやって来て家の中を片付けている。その様子を子供達と窓から覗いているという夢を何度も見ました。

私は疲れているのだと思い病院に相談をし安定剤を飲むも効果はありませんでした。
それから寮の近くにあるお寺に行き相談をしに行きました。
住職の話だと、その夢は亡くなった父が家に呼び寄せているとの事でした。
親戚の方と一緒に一度、元住んでいた家に行って家を見てきなさいと言われました。

親戚に連絡をしましたが私が村に帰る事を頑なに拒みました。

私は一人で実家に向かう事にしました。
久しぶりに見る村は以前と何も変わっていませんでした。
私の実家も健在でしたが雑草が生え、老朽化が進み、見るからに人が住んでいない事がわかる程荒れていました。

裏手にある勝手口の扉は壊れていて中に入る事が出来ました。
家の中には家具も一切なく広々としていました。
天井にネズミがいたのかバタバタと音がして砂の様な物が降ってきました。
湿った空気と埃っぽさに耐えられず窓をあけるとそこにはあの時と同じ泥団子が置いてありました。
まだ新しい湿った泥団子でした。

私はとてつもない恐怖感に襲われ情けない事にその場を立ち去り、親戚の家に逃げ込みました。

叔父と叔母は勝手な事をするなと怒っていました。
そしてあの家を解体して更地にすると言いました。

私はどちらが正しいのかわかりませんが私の手に追える問題ではないと思い、全て叔父に任せる事にしました。

夢は相変わらず続いていましたが…慣れというのは怖いものでして。
いつしか、またあの夢か…位にしか思わなくなっていました。

月日は経ち、私は叔父が亡くなった為、実家の隣町まで行きました。
叔母に挨拶に行くと
『お前のせいだ…全部お前のせいだー。お父さんを返えしてよー。』
と鬼の様な形相で私に迫ってきました。
私は訳も分からず立ち尽くしてしまいましたがお線香だけあげてその場を立ち去りました。

どうして私のせい?と理由を聞けば良かったのですが叔母の変わり果てた姿に言葉を失ってしまったのです。
心残りでした。最後に振り返り深々と頭を下げた私の足元には泥団子が転がっていました。

私は再度、寺に行き住職に相談をしました。
墓参りに行くと良いとか、実家の跡地に線香をあげると良いとか…言われた事は全てやっていますが子供達の夢は今も続いています。真相は謎のままです。
お話は以上で終了となります。
皆様のご期待に応えられるお話ではなかったとは思いますが長い話を読んで下さってありがとうございました。

また、おかしな事が起こりましたら投稿します。

私と同じような経験者の方がいましたらご意見お待ちしております。








112 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/05/17 22:12 ID:kbcifIWC
今はもう廃村になってしまった小さな集落の話。

当時はまだ、火葬は山で野火送りで行われていました。
村で強欲、残虐、非常識で有名だった独り者のばあさんが亡くなった時に、
祖父や村の人らが火葬場で、そのばあさんの死体を燃やしていたそうです。

薪を積み上げ、その上に死体を乗せ、上にムシロをかけて死体を燃やしていると、
ばあさんの頭の部分のムシロがゆっくりと持ち上がっていく。
気味悪く思いながら見ていると、ムシロが崩れて、黒くこげたばあさんの頭があらわに。
そこには二本のツノが生えていたそうです。

爺さんたちは坊さんを呼んできて、燃やしている間はずっと念仏を唱えてもらって、
朝までかかって、骨も原型をろくに残さないくらいまでに燃やし尽くしたとのこと。

「あのばあさんは○○の家のもんやったが、あんまし酷いことばっかしとったから、ほんまもんの鬼になってまったんやろな。わしらみんな、あの婆さんは鬼じゃと言うとったが、まさかほんまもんの鬼やとは思いもよらなんださ」

年に1、2回、離村した集落のみんなが集まって飲んだりするたびに、
そんな話を爺さんやばあさん達から聞きました






もう20年以上前、少年時代の話である。
俺は名は寅、友達は雄二と弘樹と仮名をつけておく

あれは小学校六年生の夏休み。俺達は近所の公園で毎日のように集まり、遊んでいた。
夕焼け空が真っ赤に染まりだした頃、「そろそろ帰ろうか」と弘樹が言い出す。
片親で家に帰っても一人ぼっちの雄二は、「もう少し遊ぼうや」と俺達2人を引き止める。
門限に厳しい弘樹は「ごめんな、また明日遊ぼうや!」と言い、帰って行く。
弘樹の姿が見えなくなると、決まって雄二は「あいつ毎回付き合い悪いのー」と愚痴りだす。
すっかり暗くなった公園には俺と雄二の2人きり。
雄二の話に適当に相槌を打つも、早く帰らねば俺も親に叱られる。
そんな俺の挙動が伝わったのか、雄二は少しイラついた顔をして、
「寅も帰りたいんやろ?帰ればいいやんか」と言い放つ。
少しムッとしたが、何時ものことだと自転車にまたがろうとすると、
「俺、こないだ廃屋みつけつたんよねぇ」雄二が言う。
どうせまた引き止めようと、興味を引こうとしてるんだと思い、
俺はあえて聞こえないふりをし、自転車を走らせようとすると、
「俺今夜、廃屋に探検しに行ってくるわ~」とさっきよりも大きな声で言った。
廃屋、探検、興味はあったが、親に怒られたくなかったので、
「雄二、お前もはよ家帰れよ~」と言って、家へ帰った。
どうせ一人で行く勇気もない癖に、とその時は思ってた。

家へ帰り、風呂に入り、晩飯を済ませた頃だった。ジリリリリンと電話が鳴る。
「もしもし」と電話に出ると、雄二の母親からであった。
『あんたんとこにうちの雄二いっとらんかね!?』
乱暴な言い方に軽くムカッときたが、
「雄二君なら、まだ公園で遊んでるかも」と言うと、ガチャっと電話を切られた。
雄二の母親にはムッときたが、雄二が帰宅してないと聞き少し心配だった。
雄二は少し悪ガキで、夜遅くまで遊んでいる事が多く、悪い連中と付き合いがあると噂されていた。

夜も十時をまわり、床に就くと遊び疲れか、すぐに眠ってしまった。

翌朝早朝、母親が血相を変えてたたき起こしに来た。
「雄二のお母さんから電話がかかって、昨日から家に帰ってないってさ!ここにいるんじゃないかって怒鳴り散らすんよ~」
またかよと思ったが、一晩も家に帰らないのは初めてだし、
本当に昨日言っていた廃屋へ探検しに行って、何かあったんじゃないかと心配になってきた。
弘樹に電話をして、事の経緯を話すと、弘樹の家にも同じ様な電話がかかったらしい。
取り合えずいつもの公園で待ち合わせをして、落ち合うことにした。

「雄二とはもう付き合うなって母ちゃんに言われて、大変だったよ」
弘樹が疲れた顔で言う。
「あいつの母ちゃん変わってるよな」と俺が言うと、
弘樹が「まあ、それも解る気がするわ・・・」と意味深な事を言った。
「???解る気がするって??」と俺が聞くと、
「あ、なんでもないよ。それより、雄二の行きそうな場所探さんと」

そして俺達はよく三人で遊んだ場所をぐるぐる回ったが、雄二は見つからなかった。

一旦公園へ戻り、水を飲み休憩していると、公園の横を雄二の母親が車で通りかかった。
俺達に気がついたのか、車のスピードを落としゆっくり通り過ぎていく。
雄二が帰ってこなかったせいか、充血した眼でギロっと俺達を睨みつけ去っていった。
心なしか、口元がぶつぶつ何かを言っているようにも見えた。
「おっかねぇな・・・」と弘樹が言った。
「・・・・はは・・・」
「そういえば寅さぁ、昨日俺が先に帰った後、雄二なんか言ってなかったんか?」
「ああああああ!!」
アホな俺は廃屋の話を弘樹に言われ思い出した。
昨日の会話を弘樹に伝えると、
「廃屋かぁ・・・多分あそこにあるやつやないかなぁ・・・」
弘樹は何か知っている風だった。
「弘樹、場所わかるんか?わかるんなら行って見ようや」と俺が言うと、
「う~ん・・あんまし行きたくない~・・」と弘樹がごねる。
煮え切らない弘樹に業を煮やして、
「お前、雄二が心配やないんか?はよ行くぞ!」

嫌がる弘樹に案内させ、自転車を漕ぐ事1時間。
道路も途中から舗装されてなく、砂利道に変わった。
「この集落の先にあるんやけど・・・」
たどり着いた場所は、川沿いの小さな集落だった。
「ここって・・・もしかして○○地区ってとこ??」
「・・・そうそう」
弘樹が嫌がった理由がわかった。
ここは絶対に近づいてはいけないと、親達にいつも言われている地区だった。
集落の家屋は、半分以上朽ち果てたようなものばかり。
歩いている人の身なりも煤け汚れていた。
数人の老人がこちらに気がつくと、足を止めてこちらを凝視してくる。
その眼はどれも荒んで、憎しみさえ感じられるほど強い視線。
よく見ると、日本の物ではない小さくボロボロな国旗が風に揺れていた。
「弘樹・・・例の廃屋ってのは、この地区の中にあるんか?」
「いや、確かこの地区の、少し先の山の中だったはず」と小さく答えた。
「そこへ行くには、この集落の中通らんと行けんのか?」
「・・・うん」
50メートル先では、数人の住民が俺達の事をじっと見ている。
恐ろしかったが友達も心配だ。
俺達は腹を決め、怪しまれない程度の速度で自転車を走らせる。
なるべく視線を合わせないよう進んでいく。

少し進んでいくと、数人の老人が地べたに横になっていた。
自転車で進む俺達に気がつくと、上体をむくっと起こして俺達の事を見ている。
見ない振りをしながら先へ進む。

集落を抜けた辺りで、弘樹の自転車が急に止まった。
そして転がり落ちるように道の端へ走りだした。
「おい、弘樹どうしたんか!?何してるん!?」
声をかけると、弘樹は急に道の端でげーげーと嘔吐した。
「大丈夫か??具合が悪くなったんか??」と背中をさすりながら声をかける。
すると弘樹が「寅・・・あそこ・・・」と涙目で指を差す。
弘樹の指差した場所には、たくさんの頭のない鶏が木に吊るされていた。
食べる為に血抜きをしているのか、地面には真っ赤な血の水溜りが出来ていた。
それを見た俺も思わず嘔吐してしまった。

慌ててその場を離れ、少し休憩しようと山に入り、人目につかない木陰に自転車を隠し、腰を下ろした。
「弘樹よぉ・・廃屋がここにあったとしてもよ、雄二の奴一人でこんな場所これるかな?」と言うと、
弘樹は少し俯き、小さな声で「これるよ」と言った。
「う~ん、俺なら絶対無理やな。うん、無理だ」
「寅よぉ、お前、知らんのか?」と不意に弘樹が言う。
「ん?何を?」
そう聞き返した時だった、数人の男が集落のあった方向から山へ入ってくるのが見えた。
「やばい、寅、隠れよう!」
俺達は木陰に身を低くし、様子を窺った。
大きなズタ袋を老人が数人で担ぎ、山を上がっていく。
老人達はニヤニヤしながら、俺達にはわからない言葉で会話している。
「あいつらなんて言ってるんだ??」
「それより寅、あいつら廃屋の方へ行っとるかも・・・」
仕方なく俺達は、びくびくしつつも老人達と距離をとって後をつけた。

しばらく進むとバラック小屋のような建物が見えてきた。
「寅、あれが例の廃屋だよ」と弘樹が言う。
「そういえばずっと気になっとったんやけどさ、弘樹はなんでここ知ってるん?」と俺が聞くと、
「ん?ああ、お前とは六年になってから仲良うなったよな。
 俺は雄二とは三年の頃から友達での、いっぺんだけ来た事があるんよ」
「はは、お前等、俺の知らんとこで色々冒険しとるねぇ」
「冒険っちゅうかの、雄二のだな・・・う~ん、やっぱやめとくわ」
「何々??気になるやんか、教えれよ!」
「そのうちわかる事やけん、気にすんな」
そんな会話をしていると、男達は廃屋の中へ入っていった。
弘樹に促され、ゆっくりと廃屋へ近づいていく。
物音を立てないように廃屋の裏手にまわった。
裏手にまわると、廃屋の中からの声が聞こえてくる。
日本語ではない言葉で、大勢の男達が怒号のような声を上げ騒がしい。
「寅、こっちに窓がある」
先に進んだ弘樹が手招きしている。
近づき、煤けたガラス越しに中の様子が少しだけ見える。
さっき見かけた老人がいる。
部屋の中央へ向き、拳を振り上げ何か言っている。
「くそぉ、弘樹、肝心な所が見えん・・・」
「う~ん、何をしとるんやろうか・・もうちょっと中の様子が見える場所探すけん、寅はここにおってくれ」
そう言って弘樹は身をかがめ、廃屋の別の窓を探しに進んだ。
時折廃屋の中から大きな声がドッと上がるたびにドキっとする。

しばらく覗いていると、「あっ!」と弘樹の声が聞こえた。
一瞬廃屋の中が静かになったが、気付かれなかったのか、またざわざわと騒ぎ出した。
俺は弘樹の声がした場所へゆっくりと近づく。
弘樹は尻餅をつきガクガクと振るえており、涙を流していた。
中にいる連中に気付かれない様に小さな声で、「弘樹、どうしたんか?大丈夫か?」と尋ねると、
弘樹はぶんぶんと首を横に振り、声を殺し泣いている。
震える弘樹の肩をぽんと叩き、廃屋を覗いてみる。
先程と同じ様に煤けた硝子窓があり、中を覗いてみると、何かを取り囲むように男達が座っていた。
どの男達も部屋の中央を見て騒いでいる。
ゲラゲラ笑っているものもいれば、怒鳴り散らすように怒号を上げているものもいる。
不気味な光景に鳥肌がぶわっと立った。
男達の視線の先には丸く囲まれた柵があり、その中から羽毛の様なものが舞い上がっている。
柵の中がよく見えなかったので、足元にあった切株に乗り背伸びをしてみると、そこには雄二がいた。
衣服は脱がされ、口と両腕両足を縛られ、顔には殴られた後があった。
木の杭のようなものにくくられており、身動きがとれない状況になっていて、
雄二の周りには、鶏のようだが鶏より遥かに大きな鳥が暴れていた。
よく見ると大きな鳥の脚に短い刃物が縛ってあり、雄二は脇腹の辺りから出血し、痙攣していた。
あまりのショックと恐怖に身動きが取れず、ガタガタ震えていると、
正気を取り戻したのか、弘樹が俺の手をぐっと引っ張った。
「逃げよう」
弘樹に促され、震える身体を奮い立たせ、その場から離れた。

自転車を隠してある場所まで戻り、少しでも早くこの場を去ろうと俺達は突走った。
途中、例の集落を通ったが、皆廃屋へ行っているのかもぬけの殻だった。
地元まではどんなに飛ばしても1時間近くかかるが、田舎の為に駐在所も少なく、俺達は必死に自転車を走らせた。

やっとの思いで地元へ帰り、俺達は見てきた事をぐしゃぐしゃに泣きながら親達に話した。
母親は「あんた達、あそこへ行ったんか!?あんた達死にたいんか!?」と涙を流しながら怒鳴った。
父親が警察へ通報し、少しすると数台のパトカーが家の前を走っていく。
その中の一台に、雄二の母親が乗っているのが見えた。
通り過ぎる瞬間、雄二の母親は俺と弘樹をじっと睨みつけていた。氷の様に冷たい眼で。
目の前を通り過ぎても振り返り睨み続けていた。
その目は、あの集落で見た目つきにそっくりだった。

弘樹を父親の車で送り、「また明日な」と声をかけると、弘樹は少しだけ笑って見せた。

弘樹を無事に送り届け家へ帰ると、親戚やばあちゃんまで来て俺は叱られた。
そして父親が俺に言った。
「寅、お前はまだ子供で難しい事はわからんと思うが、聞いてくれ」
俺は黙って頷いた。
「今日お前達が言った場所はな、日本であって日本じゃねーんだ。
 道路も舗装されとらん、電柱も立ってねぇ。
 住んどるもんをみたか?みんなまともな格好はしとらんかったやろう?
 そんな土地に、頑なにいつまでん住んじょる。そして、“こっち側”の人間を遠ざけとるんや。
 あの地区には、わしらとは全く違う文化や風習があるんよ。
 あの地区の連中からすりゃ、わしらは敵に見えるようや。
 わしらはいつだって、“こっち側”へ迎え入れる準備はしとる。
 学校へもちゃんと通えるし、仕事だってある。
 あの地区から“こっち側”へ来て、普通に生活しとるもんもたくさんおるんよ。お前の友達の雄二んとこもそうや。
 ただ中には、出て行ったもんは裏切り者なんて、捻くれた感情を持つもんもあそこにはおる。
 きっと雄二は、小さい頃から遊んどった場所やけん、安心して遊んでたつもりなんやろうけど、
 一部の捻くれもんに、眼をつけられてしもうたんやろうな。
 んで今回、雄二が酷い目にあったのはお前達のせいだと、雄二の母ちゃんは言いよる。
 お前達が遊んでやらんから、余所者扱いするから、あそこへ行ってしまったと思い込んどるんよ。
 考え方が変わっとるっちゅうか、被害妄想っちゅうかの、捻くれとるんじゃの。
 まぁ寅も弘樹も気にせんでもいい事や。
 ただ、子供だけであの土地へ行くことはもう許さんぞ」

それだけ言うと、父親は仏間で横になり寝てしまった。
俺も昼間の疲れからか、布団に入った瞬間寝てしまった。

翌日、弘樹といつもの公園で待ち合わせた。
昨日の事はお互い言わず、なんとなく一日公園にいた。
夕焼け空が真っ赤に染まる頃、俺達は帰路へついた。

そして夏休みが終り新学期になり、雄二が転校した事を知った。
先生に行き先を聞いたが、家庭の事情だからと教えてもらえなかった。

そして、いつの間にか十年の時が経ち、大人になった俺達はあの土地へ行ってみた。
そこにはあの朽ち果てた集落はなく、
県道が走り、廃屋のあった山にはトンネルが通り、街へ出る主要道路として使われている。

あの集落の住人達は、一体何処へ行ったのだろう。
あの日見た荒んだ目は、今でもどこかで“こっち側”を睨みつけているのだろうか・・・








日本各地には不思議な集落が存在しています。


●なんらかの理由で廃村となり地図から消えた村(杉沢村以外にもたくさんあるようです)


●血族結婚が繰り返し行われてきた山村(村民はみな同性で似たような顔立ち)


●警察官の家族ばかりが住む警察村


●借金などで本土へ戻れない女性が全裸同然で住むアマゾネス村


●死者蘇生の儀式が伝わる村


●ごく狭い範囲で1年間に7人もの住民が死亡するという怪現象が発生した町


●平家の落武者の呪いが残る平家村(毎年、何かしらのトラブルが発生)


●組織を破門になった訳ありヤクザが流れ着く流刑村


●人間の肉を食す事件が多発している…人肉鍋の村と呼ばれる村


●とある霊峰の山頂付近に“神世界への案内人”として生きる一族が暮らす村


など

そして村全体がダルマ女を「 神様 」として崇める村。

通称「 ダルマ女村 」と呼ばれる集落もあるのです。

 


「 ダルマ女 」とは四肢がない女性です。

都市伝説でも有名な話なので、ご存知の方もいると思います。

ダルマ女は最も有名で残酷な都市伝説として語り継がれています。


日本では多重債務の女性がマグロ漁船に乗せられて、生きるダッチワイフとして船乗りの相手をしたとか…


「 売春島 」と呼ばれた中部地方のとある島には、両手足がないダルマ女と呼ばれる売春婦がいたといわれています…


ダルマ女は性の玩具として売り飛ばされるケースが一般的なのですが、日本にはもうひとつのケースが存在するということです。



ここから先は残酷な内容になります。

人によっては読むと後味が悪くなるかもしれないので…

この先を読むかどうかは自分自身でよく判断してから読むようにしてください。


私は、この話を初めて読んだ時、かなり嫌な気分になりましたので…

 

 

 

 

 

 


このダルマ女村では、変わった風習があり、毎年1体のダルマ女が神社に納められています。

毎年8月8日(ダルマの日)にダルマ女を神社に納め、村の有力者たちが交代でダルマ女と性交するというのです。

 


後は、ミイラになるまで食事を与えず、ミイラになったら神として祀るということ。

 


ダルマ女村とは言っても、ほとんどの村人はその事実を知りません。

これは、一部の人間が楽しむためのお祭りなんです。

 


ちなみに神社の一室には、今まで納められてきた何十体ものダルマ女のミイラがあるということです。


四肢を切断しても生きる女性の生命力をもらうことで長寿を祈願するというものです…

これは、村の有力者にだけ与えられた特権らしいのです。

この村の有力者が人身売買を商売とする人間にダルマ女を依頼します。

ちなみにダルマ女は1体1000万以上するということです。

 


ダルマ女は次のような女性がターゲットになりやすいそうです。

 


●若くて綺麗でスタイルのいい子

●風俗・水商売で働いている

●借金がある

●上京して家族・友達とも連絡を取っていない

 


今風のイケメンの男性が、まずターゲットを見つけます。

そして女性を情報屋へと紹介し、情報屋から人身売買する人へと情報が流れます。

 


ターゲットが決まると女性は旅行という名目で時給のよい仕事に誘われます。

旅行に出かけた女性はそのダルマ女島へ行き、地図に記してあるマンションに向かいます。

 


マンションに到着すると、そこで拉致されます。

それから、村に納めるまでの一週間、シャブと性交を繰り返して神経を崩壊させていきます。

女性はシャブほしさに性交を強要されます。

徐々にモノになっていくということです。

 


そして、村に納める前日に四肢を切断されます。

四肢を切断する手術となれば、かなり大掛かりなんですが、近年の医療技術の発達で闇医者を雇えば何とかなるとか。

この医者も女性のことは考えず、お金のために何のためらいもなく四肢を切断します。

 


村へ到着すると、さっそく神社に納めに行きます。

神社では村の有力者たちが待ち望んでいます。

 


「 神だっ 神様だ 」

 


村人たちは、ダルマ女を神様と崇めているのです。

ダルマ女の依頼主はごく少数で、多くは中東などにいる日本人を好む鬼畜な海外セレブだということです。

 


そして、その失敗作がたまに日本の売春宿に流れ着くみたいです。

極稀に今回紹介した「 村 」のような依頼もあるとか。








697: 本当にあった怖い名無し 2010/04/09(金) 01:22:03 ID:nFc8ZXfVO
私の実家がある田舎地域に名前をど忘れしたが「〇〇サマ」と呼ばれる存在がある。
その昔、まだ着物とか兜とか被ってた時代にとある偉い人が旅の途中に行き倒れしまい、その上からガラクタなどの粗末なものを上からかぶせて埋葬された場所がここなのだと言う。
実際にその跡には祠のようなものが立っていて、でもなぜか地元の人間は誰もそこに近づかなかった。

当時は不思議に思わなかったが、よく私の地区では死体が発見される。
台風の日にここから何キロも離れた街で行方不明になったおばあさんの亡きがらが空き地の倉庫内で見つかったり、すぐ近くの山で黴だらけになった亡きがらが。それも行き倒れて。
用水路には流れて来た水死体がなぜかこの地区でよく引っ掛かる。今はもう使われてない溜池では昔よく自殺者が出たという。

それは幼い日の私がよく遊んでいた場所での出来事でした。
ここにしろって呼んでいるのでしょうか。その人が死ぬ場所。







112 :1/3:2008/03/26(水) 20:28:35 ID:srWaz6Bh0
上京してきた友人に聞いた話です。

友人は、山奥の集落みたいな村に住んでたそうです。
その村では、いわゆる大地主一家が権力者で、
一部の人は『様』付けで呼ぶほどの、崇拝染みた扱いを受けてました。
当時友人は、その一家を異常だと思っていたそうです。
その理由は、あまりにも完璧だったから。
少し興味があったので、「何故?」と私が聞くと、友人は自分が体験し、聞いた事を話してくれました。

友人は、集落の中の上ぐらいの立場だった。
村の年寄りは皆、地主の事を崇めるらしい。
当時は、
「気に食わない。でもあいつ等は、皆かなりの実力を持っている。
 テストは大体満点、成績もトップ。運動神経も良くて、マラソン大会では常にも一位だった。
 でも異常なんだ。少なくても30年以上、完璧な奴しかいないんだ。
 地主一家は多産で兄弟が多い。その中には一人くらい駄目な奴がいてもいいじゃないか」
と思ってたと言う。
私は「実は、いろんなとこから連れて来てるとか。優秀そうな子を」と言った。
友人は、
「いや、地主の所に子供が生まれると、必ず小さな祭りが行われる。
 確かに二十歳ぐらいで都会に行く人もいるが、彼らも年末年始に帰ってきて、皆の前に現れるんだ。
 むしろ、家に留まってる奴らの方が怪しかった。
 殆ど顔出さないんだ。年末年始にも、ちょっと襖の隙間から顔見せるくらいで…
 家の中で、村をまとめる重要な仕事してるらしいんだけど、
 どうも怪しかったし、出てった人より能無しっぽいんだ。
 まあ…と言うか、見ちまったんだけどな…」
ここで友人は、顔を暗くしてため息を漏らした。
あれは、思い出したくない物を思い出した時の顔だった。



113 :2/3:2008/03/26(水) 20:29:36 ID:srWaz6Bh0
友人はゆっくり語り始めた。
「地主一家の一人が亡くなり、葬式をした日の事なんだけど…、俺はまだ未成年だったけど目を付けられて、日本酒を飲まされたんだ。当然酔い潰れた。そして地主の家に一晩泊まる事になって、夜中に目が覚め、起きてトイレに向かった」
地主家は広く薄暗い。
友人は慣れて無かったので(若干酔ってたせいもあると思うが)、案の定迷ったらしい。
トイレの場所が分からなくなり、とり合えず元来た道を引き返そうとしたら、
後ろの方から、ペたっ…ペたっ…ペたっ…と足音?が聞こえた。
いや、足音でも歩いてる音とは少し違った。
どちらかと言うと、弾んでるような音。それが近づいてくる。
ぺたっ…シュリ…ぺたっ…シュリ…ぺたん…
近づくにつれ、何かを擦るような音も聞こえ始めた。

怖くなって、近くの物入れの中に隠れて様子を見た。
…物音の正体は人だった。
安心してトイレの場所を聞こうと思ったが、飛び込んできた恐怖で体が止まった。
その人は黒装束を着ていて、顔には能面みたいな物を付けており、足が片方付いて無い。
しかし、手には足が一本握られていた。
余りのショックで息もできなかった。
それが幸いしたのか、黒装束に見つかる事も無く、
そいつは片足で…ペタンッ…ペタンッ…とケンケンしながら奥に消えていった。
その夜は一睡も出来ず布団の中で震えた。

早朝、昨晩の出来事は、地主一家に話すか話さないか迷ったが、
好奇心に負け、地主一家で一番信頼できる人に話した。
その人は「本当か!?ちょっと待っててくれ」と言って奥の方に走って行き、5分くらいで戻ってきた。
「すまなかった。見てしまったんだな…出来れば忘れて欲しいが、直にアレを見てしまったのでは無理だろう。今日はもう帰りなさい。後で話すが、トラウマは少ないほうがいいから」
と言って帰された。

114 :長すぎた3/4:2008/03/26(水) 20:33:31 ID:srWaz6Bh0
2日後、その人と話したが、信じ難い内容だった。
あの黒装束は、代々地主一家に取り憑く幽霊の類だそうだ。
そいつが単体で何かをするわけでは無いが、
ある条件の人に取り憑き、ある条件の人にある事をするらしい。
その条件は聞けなかったが、想像に難くなった。
幽霊は『脱落者』に取り憑くのだ。
そして『脱落者』の候補に、『脱落者の烙印』を押すのだと。
脱落の条件は、成績等が芳しくない一族の者だろう。烙印は、黒装束が持っていた物だろう。

これで地主一家の優秀さが分かった。彼らは必死になって努力したのだろう。
報われた者は秀才として家を出て行き、報われない者は家に留まる。
言い換えれば、家から逃げ出せた者と、烙印を押されたが為に逃げ出せない者。
脱落者は家の中に隠され存在する事だけ。
他人と話すことが無いから、周りの人は優秀な人しかいないと感じる。



115 :4/4:2008/03/26(水) 20:35:13 ID:srWaz6Bh0
友人は「村の年寄りは全部知ってるらしい」と付け加える。
私は「その事、他人に話しても大丈夫なの?」と聞いた。
友人は、
「話しても、アレを見て無い人は信じないだろ?それに、地主一家はいろんなとこにパイプを持ってる。選挙なんて、地主が入れた人が確実に当選するらしいしな。
ちなみに、俺が見た時『脱落』した奴が、この前死んだよ。若かったし、多分発狂したんじゃないかな。
話してくれた人も顔が傷だらけだったし。
俺でも、エリートから脱落して引きこもりを強いられたら狂っちまうよ。
それに、あの家の東側は、誰も行けないようになってるんだが、たまに小さな悲鳴が聞こえるからな。
あれの存在で全てが繋がったよ。
俺のクラスに3男がいたんだが、マラソン大会でゴールした後ぶっ倒れて、救急車に運ばれてったんだよ。
俺はそこまで必死になるのが理解出来なかったんだけど、今なら分かる」

…友人はその後も、その一族の武勇伝のようなものを次々と語りました。
本人は気に食わないと言ってましたが、その口調は一族を称えてるようにしか聞こえません。
知らず知らずの内に崇拝されるようなカリスマが、その一族にはあるのか、
または、霊的なもので洗脳されるのか…
私は後者に感じました。
実際、今でも友人は地主一族と交流があり、「彼らにはお世話になりっぱなし」と言います。
何より、脱落した人と、して無い人では話し方が全く違うのです。
「アレを見た時から、彼らを見る目が変わったよ」と笑顔で話す友人を見て、
その時友人が霊に中てられたのではないか、と言う考えが浮かび、恐怖を覚えました。










知り合いの話。

彼のお婆さんの実家の村が、まだ土葬をしていた時代のこと。
家で不幸があり葬儀の準備をしていると、隣村から親戚がやってきた。
親戚は家人に、隣村でカジリが出たと伝えたのだという。

カジリというのは文字通り齧る化け物で、死体を掘り起こして食べるのだそうだ。
どんなに墓の番をしても、夜の間に棺桶の中から死体は消え失せ、朝には食い散ら
かされた死体が、村外れに投げ棄てられていたという。

死体を食べられてしまった家には、災いが起こるといわれていた。
カジリは経文や仏具が苦手とされていたという。
しばらくの間、その村で埋葬された死体は、身体中に墨で経文が書かれていた。

お婆さんがまだ幼い頃、彼女のお婆さんから聞かせてもらった話だそうだ。








730:本当にあった怖い名無し:2014/02/04(火) 01:29:12.24 ID:jrukSZ+Z0
空気転換に地元の話を一つ
といっても調べれば出てくる話だし、昔話だけれども。
考察なんかもあるから興味を持ったら調べてみると面白いかと。

731:寅子石1:2014/02/04(火) 01:29:55.50 ID:jrukSZ+Z0
寅子石
昔、その地に寅子という大変器量の良い娘がいた。その娘は長者の老夫婦の娘で、老夫婦も歳が行ってから出来た一人娘で随分と可愛がっていたらしい。
さてその寅子、近隣の男だけではなく、離れた地の豪族までもが結婚を申し込むほどの娘で、その娘に惚れた男どもは皆仕事も放り出して一日中寅子のいる屋敷の周りをうろついたり、寅子を想って夜まで物思いに耽るなど村自体の生活にまで影響が出始めた。
老夫婦のほうも、一日中押しかけてくる男どもから誰を婿にするべきか、と頭を抱えていたらしい。
豪族に嫁に出すのもいいが、心優しい寅子は誰か一人を選べないとまで言い出す始末。



732:寅子石2:2014/02/04(火) 01:30:31.79 ID:jrukSZ+Z0
そんなうちに、老夫婦は結婚を申し込む男達を全員呼び集め寅子に会わせると言いながら料理を振舞った。
たいそう豪華な膾と沢山の酒に気を良くした男どもは食って呑み楽しんだ。しかし一向に寅子は顔を見せず、しだいにじれてきた男どもが老夫婦に寅子を出せ、と声を上げた。
すると老夫婦は悲しそうな顔で
「寅子は皆に分け与えました」
先ほどから食べていたその膾、鹿でも猪でもなく寅子の肉。
寅子は苦しみのなか、老夫婦に自分が命を絶ってこの肉を皆に分け与えてほしいと言ったそうだ。
男どもはおいおいと泣き、その寅子を偲び、苦悩を与えた償いを込め寅子石という供養塔を立てたという。



733:本当にあった怖い名無し:2014/02/04(火) 01:31:55.65 ID:jrukSZ+Z0
この寅子石、今でもしっかり残されていて、近くには子膾神社という神社もある。
複数の類話があって、これは私が祖母から口伝で聞いたものを今の言葉に少し変えたもの。自分の出身地に悲しく恐ろしい昔話があるのは、この板的には自慢できるのだろうか。

tora


寅子石
【とらこいし】

高さ4mの板碑であり、それが水田の広がる一画にスクッと立っている。刻まれている内容によると、この板石塔婆は延慶4年(1311年)に、親鸞の高弟であった真仏法師の法要供養のため、唯願という者が銭150貫で建てたものである。しかし、この碑は「寅子石」という名で呼ばれ、この地方に伝わる悲劇を語り継いでいる。

この付近に住む長者夫妻には、寅子という見目麗しい娘がいた。一説によると、寅子は実の子ではなく、承久の乱後に姿を消した三浦義直という侍の娘であり、母子で父を求めている最中に母がこの地で病を得て亡くなったために長者の娘になったという。

成長するにつれてその美しさは際立ち、周辺の若者達は毎日のように長者の許を訪れて嫁に欲しいと頼み込んできた。最初は喜んでいた夫妻であるが、求婚話のせいで周囲でいさかいが起きるようになって、却って心配事に変わっていった。そして寅子も自分のためにいがみ合い騒ぎとなる状況に心を痛め続けたのであった。

ある時、長者夫妻は寅子に求婚してきた若者全員を酒宴に呼んだ。いよいよ寅子の婿が決まる時と若者達は勇んで屋敷を訪れた。そして豪勢に盛られた膾を肴にして酒を呑みその時を待ったが、一向に肝心の寅子が現れない。業を煮やした若者達が長者に詰め寄ると、長者は涙ながらに真相を語り出した。

皆の者に求婚され悩み果てた寅子は自害しました。最期に「皆様に等しくこの身を捧げたい」と望んで死にました。先ほど出しました膾こそ、寅子の腿の肉。寅子の遺言通り皆の者に等しく分け与えました。

その言葉を聞いた若者達は言葉を失い、そして己の浅ましさを恥じ、寅子の冥福を祈るために全員で供養塔を建立したという。さらに出家をする者もあり、供養塔が見える土地にそれぞれ自分たちの俗名にちなんだ源悟寺・満蔵寺・慶福寺・正蔵院・多門院を建てたとも伝わる。

場所:埼玉県蓮田市馬込








861 :本当にあった怖い名無し:04/11/29 01:47:12 ID:ULDwsM1m

じっちゃま(J)に聞いた話。

昔Jが住んでいた村に、頭のおかしな婆さん(仮名・梅)が居た。
一緒に住んでいた息子夫婦は、新築した家に引っ越したのだが、梅は「生まれ故郷を離れたく無い」と村に残った。
しかし他の村民の話では、「足手まといなので置いて行かれた」そうだ。

その頃から梅は狂いはじめた。
普通に話しをしているかと思うと、いきなり飛びかかり腕に噛み付く。腕の肉が削り取られる程に。

そんな事が何度かあると、
「ありゃあ、人の肉を食ろうておるんじゃなかろうか」と、村中で噂が広まった。
まだ子供だったJは、「なぜ警察に言わんのね?」と言うが、
「村からキチ○イが出るのは、村の恥になる」と大人は言い、
逆に梅の存在を、外部から隠すそぶりさえあったという。
風呂にも入らず髪の毛ボサボサ、裸足で徘徊する梅は、常に悪臭を放ち、日に日に人間離れしていった。

村民は常に鎌等を持ち歩き、梅が近付くと「それ以上近寄と鎌で切るぞ」と追い払う。

そんなある日、2、3人で遊んでいた子供達が梅に襲われ、その内の1人は小指を持っていかれた。
襲われた子の父母は激怒。梅の家に行き、棒で何度も殴りつけた。
止める者は誰1人いなかったという。
「あの野郎、家の子の指をうまそうにしゃぶってやがった」

遂に梅は、村はずれの小屋に隔離されてしまう。
小屋の回りはロープや鉄線でグルグルに巻かれ、扉には頑丈な鍵。
食事は日に1回小屋の中に投げ込まれ、便所は垂れ流し。
「死んだら小屋ごと燃やしてしまえばええ」
それが大人達の結論であった。
無論子供達には、「あそこに近付いたらいかん」と接触を避けたが、Jはある時、親と一緒に食事を持って行った。

小屋に近付くと凄まじい悪臭。中からはクチャクチャと音がする。
「ちっ、忌々しい。まーた糞を食うてやがる」
小屋にある小さな窓から、おにぎり等が入った包みを投げ入れる。
「さ、行こか」と、小屋に背を向けて歩き出すと、
背後から「人でなしがぁ、人でなしがぁ」と声が聞こえた。

それから数日後、Jの友人からこう言われた。
「おい、知っとるか。あの鬼婆な、自分の体を食うとるらしいぞ」
その友人は、親が話しているのをコッソリ聞いたらしい。
今では、左腕と右足が無くなっている状態だそうだ。

ある日、その友人とコッソリ例の小屋に行った。
しかし、中から聞こえる「ヴ~、ヴ~」との声にビビリ、逃げ帰った。

「ありゃあ、人の味に魅入られてしもうとる。あの姿は人間では無い。物の怪だ」
親が近所の人と話しているのを聞いた。
詳しい事を親に聞くのだが、「子供は知らんでええ」と何も教えてくれない。

ある夜に大人達がJの家にやってきて、何やら話し込んでいる。
親と一緒に来た友人は、「きっと鬼婆の事を話しておるんじゃ」。
2人でコッソリと1階に降りて聞き耳を立てるが、何を言っているのかよくわからない。
だた、何度も「もう十分じゃろ」と話しているのが聞こえた。

次の日の朝。
朝食時に、「J、今日は家から出たらいかん」と父が言うので、「何かあるんか?」と聞くと、
「神様をまつる儀式があるで、それは子供に見られてはいかんのじゃ」と説明した。

しかたなく2階から外を眺めていると、例の小屋の方から煙りがあがっているではないか。
「お父、大変じゃ!鬼婆の小屋辺りから、煙りが出ておるぞ」
しかし父親は、「あれは畑を燃やしておるんじゃ。下らん事気にせんと勉強せい!」と、逆に怒られた。

それから数日は、相変わらず小屋に近付く事は禁止されていた。
しかし、ある日友人とコッソリ見に行くと、小屋があった場所には何も無かったそうだ。


884 :733 5-1:04/11/29 20:11:26 ID:v6kaMasJ

小屋が無くなってから数日後、Jの友人(A)と共通の友人(B)とで集まった時に、
Bが「Cから聞いたんじゃが、なんでも夜中に、鬼婆の霊がCの家の戸を叩きよるらしいで」と話した。

家に帰り、その事を父に伝えると、
「人は死んだら戻って来るでな。なーに、49日が過ぎれば無事成仏するで、気にする事ぁねえ」
「でも、なしてCの家に戻るのね?自分の家に戻りゃあええのに」
「梅さんは少し変わっていたでな。帰る家を間違がえてるだけだで」とアッサリ言ったので、
Jは「なんだ、あたりまえの事なのか」と思った。

ところがそうでは無かった。
どうもCの親が、くじ引きか何かで梅がいた小屋を燃やす役目になってしまい、それが梅の恨みを買ってしまったらしいのだ。

それは近所の大人達が、
「Cの家に、またイブシがやって来しゃったらしい」
「小屋を燃やしたもんで、怨みを買うたんじゃろ」
と話をしていたのを聞いたからだ。

このイブシ?(聞いた事のない言葉だったので忘れてしまったらしい)という言葉は、
この村だけのいわゆる『隠語』というやつで、恐らく『幽霊』の意味ではないかとじっちゃんは言った。

大人達は、「梅の霊の事は村民以外には話すな。話すと霊がその人の前にやって来る」と言うので、それを恐れた子供達は、誰1人として話さなかった。
また、大人達は隠語を使う事により、うっかり他の場所で喋っても、村の恥部が他人に漏れずに済む。
とにかくそこの村民は、自分の村を守る事に必死だったらしい。

夜な夜なやってくる梅の霊に、Cの家族は疲れてしまったのか、
「わしらも子も眠れんで困っとる。家を出るしか無かろうか?」と、Jの家に相談にやって来た。
Jの父は、
「しばらく家を捨てるしかあるまい。最悪、あの家は一度ばらしなすって、作り直しゃあええ。その間は家に住みなっせい」
こうしてCの家族は、Jの家に同居する事に。

さっそく自分の部屋で、JはCにこう聞いた。
「なぁなぁ、Cは鬼婆のお化けを見たんか?」

「見とらん。ただ、家のドアを叩く音が毎晩するんじゃ」

「風とかじゃ無かろうか?」

「知らん。最近は耳に布切れ押し込んで寝てまうで、音は聞こえんが、一晩中電気がつけっぱなしなもんで、全然眠れんわ」


「おい。今日のイブシ除けは済みなすったか?」と、父が母に指図をする。
イブシ除けとは、いわゆる『魔除けの一種』で、玄関の軒先に、スルメや餅や果物等をぶら下げておくのだ。
この村では、人が死ぬと毎度行う儀式だった。
「朝になると、吊るしておいた食い物が無くなっとるんじゃ」とCは言うが、
「いや、猿に持っていかれたんじゃろうて」とJは否定した。

それでもJは不安だった。
「Cの家族が家に来た事で、鬼婆も家にやって来るんじゃなかろうか?」と、嫌な予感があった。

そして夜、Jの隣ではCがぐっすりと寝ている。
耳から詰めた布が、はみ出しているのが可笑しかった。
下の階では、ガヤガヤと大人達の声がする。
しばらく天井をボーッと見ていると、「ドンドンドン」と太鼓のような音が響いた。

同時に大人達の声も、一瞬ピタリと止んだ。
Jの予感は適中した。梅が家の玄関を叩いてるのだ。
Jはそう思うと恐くなり、ユサユサとCを揺り起こした。
「ううん・・・なんねー」と寝ぼけるCに事情を説明。
共に震えながら、大人達のいる1階に降りて行く。

大人達はボソボソと何かを喋っている。
Jが怯えながら「お父・・」と言うと、「気にする事ぁねえで、さっさと寝なっせ」。
またガヤガヤと、大人達は別に気にする事なく、普通にビールを飲みはじめた。


次の朝、Cと一緒に玄関を出ると、魔除けの食い物が無くなっていた。
「な?俺の言う通じゃろ?」とCが言う。
その事を親に聞くが、「あれは朝1にしまい込むでな」と答えるだけであった。

そしてソレはしばらくの間続いたが、ドアをノックする音がしなくなると、
「ああ、49日が終わったのだな」と思った。
その村では、49日が過ぎるまで墓を作らなかった。
遺体は火葬か土葬をしておき、49日が来るまでは「魂を遊ばせておく」そうだ。

村のはずれには集合墓?があり、村人はここに埋められ墓が作られる。
しかし、梅の墓は別の場所に作られる事になった。
「御先祖様の墓とキ○ガイの墓を一緒にするのは申し訳ない」という理由だそうだ。
死んでもなお村人として扱われない梅に、Jは少し同情したが、怒られるのが恐いので、口にする事はしなかったそうだ。


そして、梅の墓は川原に作られた。
墓といっても1、2本の縦長の板で出来た簡易な物で、さらにその回りには囲いも何も無く、「ただポツンと立っていた」そうだ。
しかも、川のすぐそばに立てられている為、ちょっと強い雨が降ると、増水した川に流されてしまう。
実際梅の墓は、1ヶ月もしない内に流されてしまった。

流されるという事は、人に忘れられてしまう。まさに『水に流す』のである。
流されてしまってはしかたがない。俺達は悪く無い。
そんな『自分勝手な不可抗力』という名の殺人や非道が、その村ではあたりまえに行われていたらしい。

身内がそばに居ないというだけで、人1人が村ぐるみで消されてしまう恐怖。
そして、それをあたりまえと思う大人達に、Jは恐怖した。
「自分も大人達の機嫌を損ねたら、何されるかわからん」と・・・
だから、その村では大人が絶対であり、いわゆる『不良』と呼ばれる子供もいなく、
子供は大人達の従順者であった。

「村落という閉鎖的な場所で、独自的な文化を持つというのは恐ろしい事で、そこでの常識は常に非常識だった。あのまま村で大人になったら洗脳されて、あの大人達と同じになっていただろう。だからお前は、たくさん友人を作って、色んな人の意見に耳を傾けて、常に自分の行動に間違いが無いか疑問を持て」
と、死んだじいちゃんは語ってくれた。










294:本当にあった怖い名無し:2007/08/03(金) 16:02:54 ID:3bTPOzuq0
俺がトラックの運転手をしていた時の話。
地図見て走っていたんだけど、俺のトラックじゃ潜れない高さの
トンネルがあって仕方なしに迂回。周りは田舎。
地図見る限りじゃ迂回路を走っていくと大きな県道に出るから
大して心配してなかった。ところが、どこをどう間違えたのか
県道へは出れず。また地図見るも??おかしいな、あってるハズだけど?
外は暗くなり始めて、辺りは廃屋や廃車がまばらに見える。

更にうっそうと草が茂っていて聞こうにも人は居ない。道の先を見ると
アパートが先に見えたんで、そこでUターンか人が居れば道聞こうと思って
行ってみたら人がいた。なんか白髪のおばあさんがアパートの前で突っ立ってた。
気味悪いなあと思いながらも、トラックの窓越しに道を聞くと、ただ無言で指差すだけ。
「ホントにそっち?」て聞くも頷くだけで、終始下向いたまま。
で、俺は言われるがままトラックを走らせた。



296:本当にあった怖い名無し:2007/08/03(金) 16:25:52 ID:3bTPOzuq0
嫌な予感してたんだけど、とりあえず走っていくと何か建物が建っている広場へ出た。
…行き止まりじゃねーかよ。トラックの向きを変えようとハンドルを切ったらいきなり
「ガスッ!」て音がして、「何か踏んだか?」と思って懐中電灯持って降りたが
何も踏んでない。どうも気になって懐中電灯で建物を照らすと…
火事で焼けた廃屋だった。乗り込むとエンジン止まっていてヘッドライトの明かり
がついたまま。おかしいな?セルまわってもエンジン掛からない。

んで、ふと見るとさっきのおばあさんが明かりの先に突っ立ってた!!
もうパニックで何回もセル回してエンジン掛かると同時に逃げ帰ったよ。
走ってる途中も「バン!ドゴ!」てボディを叩く音がしていて
気が狂いそうになってスッ飛ばして走った。途中さっきのアパートが見えたけど…
ガラスが割れて廃屋…のように見えた。チラ見でしか見てないけど。



299:本当にあった怖い名無し:2007/08/03(金) 16:49:06 ID:3bTPOzuq0
パニックになりながら走っていると、もと来た明かりがある道へ出た。
行きに通り過ぎた酒屋さんが見えて、営業中だったので
道を聞いて何とかなったけど、本当に酒屋さんが「人間」でよかったよ。
酒屋さんにこれまでのことを話すと、どうやら廃村に迷い込んでたらしい。
火事のあった建物は豪農の家だったようで、継ぐ者がなく、1人暮らしのおばあさんが
火事で焼け死んだ家らしい。「あそこは誰も近寄らない」そうだ。
でも、変なところ曲がった覚えないけどなあ??

気になったのは…
トラックのシャーシにいつのか解らない古い手ぬぐいが引っかかってたこと。
その直後、俺が仕事中の怪我で入院していた時
近所の家が火事で燃えたこと。
その時乗っていたトラックが入院中放火されて廃車になったこと。
オハライ、勿論行きました。





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