カテゴリ: ビデオの中の友人シリーズ
【ホラーテラー系】ビデオの中の友人-後書き-
B著です。ホラーテラー『ビデオの中の友人』の後書きです。
まぁ、後書きというより、その後。
Tが書いた代償編から1年9ヶ月経過している現状です。
オレはTが書き残したものを何度も読みました。
長年付き合いのあるオレですが、ビデオの中の友人シリーズを読み、
M美たんの出現以降、やっとTの異常性の原因みたいなモノが分かった気がします。
Tについて
T母から聞いた話です。
盆休み明けから元気ではあるが体調を崩していたようで、検査入院を行ったが異常無しとの事で仕事をしていたようです。
しかし、10月某日、無断で出社しなかったため、昼休みに上司がTの部屋を訪れたそうですが、
Tはスーツを来たまま玄関に倒れていたため、救急搬送されT職場近くの病院に入院しました。
ワイシャツの色が前日と異なっていた事から、朝倒れたのではないかとの事です。
様々な精密検査をしたようですが、原因不明のままTは眠り続けました。
眠っている間に地元へ転院しました。
その間職場は休職扱いにしていたそうですが、
もうすぐ1年という所でTが目を覚まし、記憶を失っている事が分かったため、T父の判断で退職としたそうです。
転院後は、目を覚ます前からCとM美たんが毎日のように見舞いに来ていたそうで、
M美母とも何度かお会いしたと言っていました。
目を覚ましてから一番大変だったのは、
目を覚ました直後のほぼ記憶のない幼児のようなTに、
M美たんやC、若い看護師、他数名の女性が入れ替わり立ち代わり「自分が恋人で結婚の約束をしている」と吹込み、
Tが酷く混乱していた事だそうです。
息子に好意を寄せてくれるのはありがたいが、嘘は良くないと言っていました。
Tの入院費の足しにと皆でお金を持っていった時に聞いたことです。
Tは数千万円の貯金と株を持ち、他にも様々な保険に受取人母名義で入っていたようで、
Tの財産だけで何とでもなると言っていました。
ここからオレの情報
オレも見舞いに行ったら、CとM美たん二人で眠ったままのTの体拭いてて・・・羨ましったら無い!
M美たんは元々実家の薬局努めなので昼間も気軽に行っていたそうですが、
Cはモデルを辞めてからデザイン会社に勤めているため、夕方以降に行っていたそうです。
Tが目を覚ましてからも、食事から何から全てリハビリが必要らしく寝てる時より大変そうでしたが、
オレが行くといつもM美たんかCが(たまにT母も)付き添ってました。
昔の写真や思い出話しをすると、徐々に記憶が戻り現在は実家に帰っています。
(Tが実家に戻り、代わりにデスクトップPCのセッティングをした時に発見したのが復讐編と代償編です)
実家に帰った頃、記憶が完全じゃないのに、
M美たんをはじめA、オレ、C、D(コイツは端から戦力外)、F、全員学力で負けました。
今現在、特に前職関係の記憶はほぼ戻っているようで、2015年4月から某大企業の開発部へ就職が決まっています。
知人に聞いた所、Tは某業界ではソコソコ名前が知れるほど優秀だったようです。
ブランク有りで中途の癖に一番の高給取りと言うのが許せません。
Tが地元に戻った事で、また幼馴染連中との交流が活発化しているので、
アイツはオレ達にとって重要な人物であると思っています。
病院へ見舞いに行った時M美たんの連れ出しに成功し、唯一二人きりになれた時の内容です。
Tが贔屓にしてる喫茶店があると誘いだしました。
豆のブレンドから焙煎まで店主がやっています。
Tは店主と仲良くなり、Tオリジナルブレンド&好みに焙煎した豆をホットとアイス用2タイプ作らせています。
Tの友人だと言うと、Tがよく座るという窓際の個室のようなソファー席に通されました。
M美たんはT用ホット、オレは普通のアイスを頼み、Tが持ち歩いていた異常に速いネットブックを開きながら話をしました。
Tのネットブックは、キャンプの時A車に忘れていった物です。
キャンプの後忘れ物に気づき電話すると、
『次戻るまで使ってて。暇つぶしに作ったけどバカみたいに速いよ。膝に載せると火傷する』と貸してくれた物です。
一見富士通ですが、中身はSSD、i7EX、聞いたこと無いマザボ、OS上メモリ16GB、
セル密度が通常の倍とかいうバッテリーが装着されてるオリジナルです。
ネットからT家についてM美たんに情報を提供します。
T家の家紋と苗字は、ネットでも簡単にルーツが分かる家系です。
詳しく書くと容易に特定されるので、ザックリ書きますが、1000年以上前に皇族から一般人になった家系です。
M美たんがT母も威厳のある守護霊を連れていると言うので、
昔Tが言っていたT母の旧姓を検索したら、これも皇族縁のある家でした。
学生の頃、Tとドライブ中に、母方の実家の近くだからお土産置いてくると言うので門前まで行ったことがありますが、
かなりの立地の場所なのに、家の奥に蔵が並んでいたのを覚えています。
「蔵あるね」と言うと、古い商家だからと言っていました。
T母は気さくで優しい方ですが、どこかお嬢様の匂いがする理由が分かりました。
有名な武将や神様が積極的にTを守るのは、血統の影響も強いのではないかと。
次に、隠しフォルダを開き、PASSにTの名前を入力し、M美たんに『ビデオの中の友人1~3作』を見せると、
Tの現状に納得したらしく、語ってくれました。
Tのお祖母さん?からの情報も含めると、Eを殺し、T含めTの守護霊までこんな状態にしたモノは、
おそらく日本人が神を崇拝する以前のモノだそうです。
人に創造されたモノでは無いため、無へ返す力が強かったが、多勢に無勢でそのモノを滅したようで、
その際にTの原動力でもある守護霊が力を使いすぎたのではないかとのこと。
Tは本当にEの復讐を果たしていたらしい。
復讐編で、Tが寝ている時、顔に違和感と書いてある件を聞いたら、赤面しながらキスしまくってたと白状しました。
本当にキスだけだったのかは聞けませんでした。
オレの守護霊はアル中の農民ぽいそうです。居ても居なくても一緒で、ほぼ守れて無いのではないかと言っていました。
Aの守護霊はハムスターらしいです。特徴を聞くと、オレが幼稚園の頃にAが飼ってたハムスターです。
Tすら知らないハムスターをM美たんが知っているはずがありません。
これを聞いてオレもM美たんの守護霊の話を信じようと思いました。
TとCについて
TはオレがCの事を好きと言ったので気を使ってくれますが、それを言ったのは小学生の頃です。
Tは中学生の頃と思い違いをしています。
確かにCは昔から明るく、楽しく、優しく、可愛い。
しかし、皆思っている事ですが、Cを見ていると付け入る隙がないというか、Cの相手はT以外ありえないと思っています。
昔Tが「知り合いがCに告白する前に必ずオレに許可を取りに来る。何なんだ?」とボヤいていたことから、
誰の目にもオレ達と同じように見えていたのでしょう。
特にTが『茶番』と書いてるライブの時は、男のオレでも惚れてしまいそうになる程ドラマチックでした。
Tが歌いながら(マイク無しのアカペラで超上手い)近づいていくと、距離が縮まると共にCの怯えた表情が和らぎ、
手にキスをした瞬間Cの顔から自信が溢れ出るように変化したのを、客側からもハッキリ見えました。
アラジンの曲が終わる頃には、客で来ていた女性もほぼ全員泣いていました。
それを見て改めてTには勝てない。TとCの間には入れないと実感しました。
Tが中学生の頃、みかんや枝豆の皮をC+他数名の女子に剥かせていた事があります。
最初は女子にやらせているのかと思ったら、
Tが少し食べて「美味しいけど皮剥くの面倒だからいらない」と言い、女子が自主的にやっていたそうで、
普通なら愛情表現と受け取る行動も、Tが言う「女性は優しい」に含まれ愛情表現と捉えないのだと思います。
そのためTは本気でCを特段仲の良い『友達』としか見ていないのが残念ですが。
Tの記憶が完全に戻らないうちにと、秘密裏にT家とC家で縁談を進めています。式の招待状が届きました。
Cに招待状が届いた事を告げると、「やったった!(やってやった!)」とガッツポーズをしました。黒幕はCです。
話を聞くと、テント内の会話をスマホで録音していたらしく、
「35才過ぎてもダメだったら。お前が嫌じゃなければオレが貰ってやる」の「オレが貰ってやる」だけを抜粋し、
親に聞かせたそうです。
CとTはまだ35才に達していません。約束とだいぶ違います。
まだ35才じゃ無いじゃんと言うと、「待っても結果は一緒でしょ!運命なの!」と浮かれています。
結婚という人生の節目に、T本人の気持ちが置いてけぼりを喰らっています。
まったく女は怖いです。
当のTは招待者を決定する時に聞かされたらしく、すっかり騙され、
「記憶に無いが、倒れる前に約束していたようなのでけじめを付けないと…Cに恥をかかせる訳にはいかない」
とエンゲージリングを買いに行きました。
招待状が届いた週末、運転手代わりに付いて行きましたが、
何かあった時に生活費になるようにと、店頭価格400万円分の指輪を300万円で購入してます。律儀なヤツです。
Tは指輪に付く10個分くらいのダイヤのカットや重さ、色合い、透明度、内部の傷無しなど細かく指定していました。
オレはリング代と石代が別という事を初めて知り、
リング形状を決めた後、石のカットや付ける位置に合わせ台座の形状や高さも変更できる事に驚きました。
店から帰ってからは、Cにとって一生の思い出になるようにと、
渡す時のシチュエーションやプロポーズの言葉を何十通りも考え悩んでいる姿を見て、改めて良い奴だなっと思いましたが、
『Cを好きだ』と自己暗示を掛けているようにも見えます。
そもそも結婚式の招待状を出してからプロポーズというのもおかしな話です。
マリッジリングはCとT二人で選びに行き、RUGI○DAというメーカーのプラチナリングが一番指馴染みが良いと購入済です。
指輪内側にブルーダイヤが埋め込んであったため理由を聞くと、
サムシングブルーという、花嫁の幸運を願うまじないとして入れたそうです。
Cのリングは外側にも小さめのダイヤが幾つか在り、真中にピンクダイヤが付いていて可愛いデザインでした。
元々のデザインで付いてる透明なダイヤを、
『Fancy Vivid Purplish Pink』と鑑定書に書かれた、色も濃く非常に綺麗なピンクダイヤを持ち込んで付けてもらったそうです。
マリッジリングの形状とサイズを決めた後、
T1人で来店し、かなり無理を言って持ち込みのピンクダイヤへ変更してもらったそうで、Cへのサプライズだそうです。
石言葉と華やかな見た目がCに似合うと、ピンクダイヤはエンゲージリングを買いに行った時に注文していたそうです。
オレは気づきませんでした。石言葉なんてあるんですね。
Tは大した物じゃないと言っていましたが、
詳しく聞くとピンクダイヤは、もっと大きかった物の一番綺麗な部分だけを更に削りだして貰った物らしく、
その一粒でオレのボーナス以上と知り更に驚きました。
Cの気持ちに一所懸命答えようとするTに、S○Xしたのか聞いてみたら、
「え!Cと?考えたことも無かった。有り得ないだろ。いい女なのは間違いないけど無理だなぁ。
結婚を約束する位だし好きなんだろうなぁたぶん。でも違うんだよなぁ。兄妹に近いというか…何とかしないとなぁ」
と頭を抱えました。
ここまでしておいて「好きなんだろうなぁ『たぶん』」です。暫くこのネタで遊べそうです。((´∀`))ケラケラ
異性として欲していないのに、何故こんなに(合わせてオレの年収以上です)金を使ったのか聞いたら、
「普段は割り勘だけど、プレゼントくらい喜んでもらいたい。Cの笑顔は場の空気を明るくするから好き。
金は使わなければ入ってこない。貯めていてもただの紙切れ。在り過ぎて困ることはあっても、無くて困ることはあまりない。
生活できる最低限あればそれでいい」
らしいです。
どうやらCの気持ちに答えようとしていたのではなく、
純粋に仲良しのCを喜ばせるためのコーディネートとして選んでいたらしく、
Cの顔より目立つようなケバい物では無く、ワンポイントでCの全体像を引き締めより良く見せるために作ったと言っていました。
金の事について納得がいかなかったので、少し突っ込んで聞いてみました。
Tによると、人間関係さえ大切にしていれば金が無くても助け合い何とかなるし、腹が満たされれば心が貧しくなる事もないが、
金が在り過ぎると金目当ての悪い人が集まったり、友情が友情じゃ無くなったり、
大切な者を失うリスクが増えるだけだそうです。
お前ら(幼馴染)にリスクが振りかかるなら要らない。足りないくらいが丁度いいと笑っていました。
(Tは黒柳徹子に影響を受け、株の配当金全額と給料の1%を貧困国の食糧支援団体に送金してるとCが言ってた)
写真を見てもEの記憶が戻らず、「誰だっけ?分からないけど大切な人」とか昔話をしていても、
「ABCDFの他にも誰か居たよね。凄く大切な人…」と苦しんでるTの気持ちを思うと、
我慢できずトイレに行って泣きました。(´;ω;`)ウッ…
M美たんについて
M美たんはTに関わる事はよく喋ります。
Tが実家に帰ってからは、T家にいるのをよく見ます。
(Tは自分が居る間鍵をかけないので勝手に入る。友達を締め出したく無いと言ってた)
警戒心が強く人見知りのTの猫がM美たんを無視しているので、かなりの回数来ている事が伺えます。
いつもベッドで寝てるTを愛しそうに眺めてます。(Tは大抵寝ています。たまに起きてリハビリや勉強をします)
一日の2/3は寝てるTの所に何故頻繁に来るのか聞いたところ、起きると「M美ちゃんおはよう」って頭を撫でるんだそうです。
代わりに撫でてあげようとしたら「イヤッ!」って拒否られました(´゚д゚`)エー
Cに教えて貰った事ですが、
腕でも胸元でもどこでも良いので直接手を載せるだけで、死んだように眠るTの表情が和らぐ事を教えておきました。
(寝てるTは誰でも良いようで、オレでも可でした)
M美たんは中学3年生の4月、Tと目が合った瞬間からずっと憧れていたそうで、
一度Tに声を掛けられた際に守護霊が気になり、無視した事をずっと悔やんでいたそうです。
1年間ストーカーのようにTを目で追っていたらしいです。
Tが助けたいじめられっ子が、Tと触れ合うごとにどんどん自信をつけ、
最終的にいじめっ子とも仲良く遊べるようになったのを見て、M美たんも助けて欲しいと思っていたそうです。
TとEについて
1作でTはEを漫画に出る完璧人間と例えています。オレもそう思います。
昔からTはEに憧れ、仲間に引き込んだAを本当の兄のように慕っています。
ただ、当のEは昔からTの事を『人外』や『チート』と例え、こんな面白いヤツ世界に2人と居ないと言っていました。
また、EはTの人並み外れた能力に怯え、先輩としての威厳を保つため、それこそ人並み外れた努力をしていました。
Tに結果しか見せない事で憧れられる事に快感を覚えていました。
DとFについて
あの二人はキャンプ以降よりを戻し今年4月(2014年)に結婚しました。
金銭的な理由から式はオレたちの手作りで行いました。
出産予定もあるので、Dの現職が長く続く事を祈っています。
TがFの事を姉御肌でちょっと怖いと言っていたと伝えた所、昔から生き急いでいるようで心配だったんだそうです。
Aについて
Aは相変わらず派遣社員です。
リーマン・ショックの1年前にもTから、
「これから世界経済で大変な事が起こる。今のうちに体力のある会社を探して正社員になれ」と言われていたらしく、
その時は何言ってんだ?程度に聞いていたそうです。
Tが一所懸命、
「自分に合う会社を探すより、まず自分を会社に合わせ、職への理解を深めてから少しずつ周りを自分に合わせろ。
Aならやれる!」
と説得していたそうです。
現在は、Tの言うことを聞いていれば良かったと後悔しているらしい。
正に後悔先に立たずを地で行っています。
オレ(B)について
Tはオレのことを強いと書いていますが、Tに瞬殺された経験があります。
若いころに誰もが経験していると思いますが、
可愛い子に意地悪をする行為で、オレは中学3年生のCにいたずらをして泣かせてしまいました。
そばに居たTがCの悲鳴を聞いた瞬間キレて殴りかかって来たため、体勢を整えガードしましたが、
1発目のボディブローで足が浮き数十センチ飛んだのを覚えてます。
ガードした腕(上腕骨)にヒビが入った事から、
ガードしていなければアバラが激しく折れていたと思うと((((;゚Д゚))))ガクガクブルブルです。
Tは誰かの為にしか怒らないので、怒る姿を見たのはこの一度だけですが、今思い出しても鳥肌が立つほど怖かったです。
続けざまに2発目の顔への拳もガードしましたが、そこで意識が無くなりました。たぶん脳震盪を起こしたのだと思います。
こちらも洒落にならない程の腫れと両腕の尺骨にヒビが入っていました。
少林寺や空手をやっていましたが、試合や師範との稽古でもこんな経験ありません。
一応全国大会に出るくらいの実力は有りましたが、上には上というか、絶対に勝てない相手がいると思い知り辞めました。
昔話はさて置き、現在はTが入院していた病院の看護師さんとお付き合い中です。
やはりTが居るだけで女性関係が潤います。
彼女がいるのにM美たんにも夢中です。
「マジ止めろって!キモいんだよ!」と言われる事もありますが、隠れてエロゲやっています。(魔女宅風♪)
投稿が遅れたため追記(;^ω^)
TとCの結婚式に行ってきました。
和装で、TはT家に受け継がれているという古い紋付きを着ていましたが、
着慣れているのか、バスタオルをガンガン巻いて数分で着付けをし、ビシッと着た後も自然な感じで挨拶まわりをしていました。
顔がもう少し大きければ似合うのにとぼやいてました。
Cは「白無垢と色打ち掛けと礼服と他所行き春夏秋冬分を、T母が『気持ちよ』って仕立ててくれたの!自分で着れないけど!」
と喜んでいましたが、
Tに「今後の課題は着付け。あと花、茶、日本舞踊くらいやって、和服の作法と立ち振舞を学べ」と駄目出しされていました。
(T家側親族の女性は皆和装でしたが、全員自分で着ていたらしいです)
どうりで、会場でCが一番綺麗に見えるデザインだと納得しました。Cの顔を引き立てる色とデザインだったんですね。
あまりの美しさに惚れ直しました。
Tも「白無垢姿のCにドキッとした。Cにドキドキさせられる事がムカつく」と笑っていました。
T父母は「やっと娘ができた」「Cちゃん可愛い」と大喜び。
C父母は「Cが小学生の頃から嫁ぎ先はT君と決めていた。やっとこの日が…」と父が終始号泣。
神前では緊張してガクブルのCを堂々とリードしているTの紳士っぷりにちょっと惚れそうでした。
付け焼き刃ですが、ビデオを見直し立ち振舞の勉強をさせてもらいます。
老舗料亭で披露宴でしたが、新郎挨拶から普段のTに戻りニコニコと笑顔が絶えない非常に良い宴でした。
16でバイクの免許を取ってから「何か起こった時に動けないと後悔する」と、宴会や打ち上げでも酒を口にしないTですが、
この日だけは酒豪っぷりを発揮していました。
全員からお尺をされてましたが、升に注がれた日本酒を一気していたので、大丈夫か尋ねると、
「祝い酒は注いでくれた人の気持だから飲み干す。皆が笑ってくれるなら何でもする」と楽しそうでした。
Cは慣れない和服が苦しく、カツラも重いため下を向けないと食事や飲み物に手を付けていませんでしたが、
新婦の水分補給用に用意されていたフルーツを食べさせてもらっていました。
TがCの顔を見て一瞬照れた後、数種あるフルーツからコレっと選び、Cは毎回「当たり」と口に運んでもらっていました。
見せつけやがってとの思いもあり、本当に食べたい時に食べたい物を選んでるのか聞いた所、
Tは昔からピンポイントで食べたい物を当てるとCが言っていました。
TもCの食べたい物は離れていても何となく分かると言っていました。
これに関しては運命の赤い糸を信じずにはいられません。
M美たんもTの世話をしていたので披露宴に呼ばれましたが、
「Cちゃん綺麗!T君素敵!」とテンションUPした後、やけ酒に近い状態です。
彼女は今後どういうアプローチを展開するのでしょうか?
新婚旅行はハワイで両親と別れ、ドイツでレンタカーを借り、トルコ、ギリシャ、イタリア、スペインに行くらしいです。
宿はどうしても泊まりたいホテルだけ予約し、後は行き当たりばったりなので、最悪車中泊だそうです。恐らくTの好み。
無茶苦茶ハードそうですが楽しそうです。
新婚旅行から帰ってきたTとCが、お土産を持ってきた時のことです。
宝石の力というものに感心しました。
マリッジリングを付けたCは以前より存在感が有るというか、輝いて見えます。
Cが浮かれているだけなのか、本当に指輪に付けたダイヤの所為なのか確かめたくて脱着をお願いしましたが、
外した状態と付けた後での存在感が違います。
ピンクダイヤは付けた人をより優しく輝かせるんですね。
Tは権力を見せつける物じゃなく、付けた人の魅力を最大限に引き出すためのツールだから、
光具合(カットや爪で決まるらしい)とサイズや色、リングの色と形状も全て付ける人に合わせないと、
指輪が下品に輝いて人が貧相に見えると言っていますが、全くその通りだと思いました。
特に最近は店員が商売根性だけでセンスが無く、木を見て森を見ずのタイプが多いから、
女性と店員が話しながら決めると、自分より目立つ指輪を「かわいい~~」って選んで陥るパターンだそうです。
浮かれるCは「良いでしょ」と指輪を見せてきますが、
Tが「Cがもっといい女になるようおまじないをかけた」と言った瞬間、真赤になり大人しくなりました。
増々仲が良くなったというか、熱々というか、
Tはいつも通りだが、Cが常に触れていようとしたり、たまに凄く色っぽい素振りをするようになった。
まぁ、初恋の人を思い続けて20年強、やっと手に入れた喜びなんだろう。
旅行の写真を見ながら惚気にも聞こえる土産話を聞いていると、Tが気になる事を言った。
「オレの硬貨だけ腐食が早い」
「新婚旅行で疲れたのか、たまに赤い靄みたいなのが視界の端に入る」
Cは「飛行機の気圧の所為かな?一応眼科と神経系の検査を受けてね」っと言っていましたが、
オレは赤い靄にピンときました。
ビデオの中の友人シリーズを読んでくれている方も気づいたと思います。
Eが見ていた物です。
声?のようなものは聞こえていないようです。
オレはこれ以上親友を失いたくないです。
SDカードのEは沈黙しています。
CにTの生家近くの神社を聞き、出来るだけ多く参拝したいと思います。
M美たんにも相談しようと思います。
あとは、Cにビデオの中の友人を見せるか否か。
Tは隠そうとしていたみたいだけど、他人じゃ無くなったので見る権利があると思います。
でも倒れる前のTの意思も尊重したい。
それでもAやD、Fにも相談したい。
どうしたら最善なのかは分かりません。
今は祈る事しか出来ないのが現状です。
たぶん今Tと死別したらCは壊れます。
本当に神が居るなら、何度も何度も涙を流し、振り向いて欲しい一心でモデルも含め人生の全てを捧げ、
やっと手に入れたCからTを奪うような事は無いと願います。
数日前の事なのでこれからTがどうなるのか分かりませんが、一先ず投稿はここまでとさせて頂きます。
今のTはビデオの中の友人シリーズの存在を知らないので、代わりに挨拶をさせて頂きます。
シリーズの著者Tを応援して下さる皆様、代理投稿(勝手にだがw)オレ(B)を応援して下さる皆様、Cを応援して下さる皆様、見苦しい文章を最後まで見ていただき本当にありがとうございました。
【ホラーテラー系】ビデオの中の友人-代償-
Bです。ホラーテラー『ビデオの中の友人』のその後4です。
前々々々作からの著者T(本文中「オレ=○○=T」)が2012年夏~倒れる少し前の事を書いていた分を代わり投稿します。
ホラーテラーが消滅したか、アクセスしづらい状況だったため1作以降は投稿されていなかったようです。
2012盆休み。洞窟探索を終え、M美に車をぶつけられた後。全日程7日の3日目午後からの出来事です。
M美の薬局にて落ちかけのバンパーをガムテで留め、実家に帰宅。
とりあえず補修を行うためドリル、延長コード、タイラップ、ニッパーっと道具を揃えていると、Cが到着。
作業自体は自分でやるが、「ドリル」「タイラップ」と言うだけで取ってくれるアシスタントがいると大分楽。
20分程度で補修を終え、「ブラック・ジャック仕様!」などとふざけていると、Cに何故M美の所に居たのかと詰め寄られた。
しかし、守護霊の力が弱まってる事を言うと、洞窟に繋がりそうな気がするので、
適当に誤魔化そうとするが、今日はやたら突っかかってくる。
神社の件を思い出し、買出しの時間までドライブに行こうと助手席に乗せる事に成功。
車のテストもしたいと僅かな区間だが高速に乗りフル加速。
バイパスで40分かかる道のりを10分強で到着し、懐かしの神社へ。
「ここに連れてくるの初めてだろ。生家がこの近くでよく来てたんだ。ここだけは何も変わらない」と言うと興味を示した。
畳み掛けるように、「ここでお祈りすると叶うよ。オレはずっと一緒に居れる友達を望んだらお前等と出会えた」と教えると、
お参りを始めた。
オレは小さい頃よく登ろうとした松の木に腰掛け辺りを見渡す。
周りはマンションに囲まれ、近くにバイパスも通ってるのに、この敷地だけは空気が澄み渡ってる。
幼少期のオレが駆け抜けて行ったような錯覚を覚える程、ここは変わらない。
何故一本だけ松が植わってるのか?しかも横に生えているのか疑問を持つ。
ふと懐かしくなり、Cが熱心にお参りする横に並ぶ。
幼少期は両手で掴み全力で振るっていた鈴も、今なら片手でガラガラと鳴らせる事に成長を感じる。
昔はこの音が好きで来る度に10分くらい鳴らしてたな、と鈴を見ると補修跡を発見。
守って貰ってるし、参拝者も少なく、貧乏な神社に寄付するかと、手持ちの現金を全て賽銭箱へ投入。
願いは「変わらず此処にあり続けて下さい」。(確か文化財だから無くならない(笑))
参拝を終え、背中が軽くなった事を実感。
Cが生家を見たいと言ってきたが、生家はマンションに建て替え絶賛貸出中と伝えるも、どうしても行きたいらしい。
徒歩5分なので歩いていると、
約25年ぶりに顔を合わせた当時のご近所様に「○○ちゃん?立派になったわねー」と声を掛けられ、
園児の頃からあまり変わらない自分にショックを受けた。
オデッセイに乗り換えCの運転で待ち合わせのスーパーへ。
途中で寝てしまい、起きるとキャンプメンバーに囲まれている。
買出しをするため車を降りるも、少し距離を置かれる。
ふとガラスに映る自分を見ると、顔に違和感。よく見ると目蓋に目、チョビ髭、肉、頬に渦巻きの落書きが!
オレ「オメー等これ油性じゃねーか!しかも中と肉で揉めただろ!」
爆笑する一同。ガラスの向こうでビックリする袋詰中のマダム。
Aにマスクとサングラスを渡され買出し開始。
額に書き損じの中と肉が書かれ顔を隠す怪しいオッサンが出来上がった。
買い物中、皆があーだこーだ揉める中、すれ違うマダムにマスクやサングラスをずらし楽しむ。
何度かやっているとCにバレ、「通報されるから」と止められた。
一旦車の荷物を取りに戻り、この顔じゃ親に顔合わせ出来ないので誰か泊めてと頼むと、AとCからOKが出た。
C家で夕飯をご馳走になり、A家に泊まる事に。
Aと共に「ダンディお久しぶりです」と挨拶すると、顔に気づかれたが「最新ファッションです」と押し切った。
夕飯が出来るまで時間があるため、シャワーを借りる。(何でC家のシャワー室(風呂と別にある)はガラス張りなんだろう?)
下側が磨りガラスなので男性ストリッパーのように腰を振って一人遊びをしていると、Aと鉢合わせ…気まずい空気が流れる。
「見なかった事にする」と優しいお言葉を頂いた。
リビングに戻ると突然ダンディから謝られた。
訳が分からず話を聞くと、落書きの発端はCらしい。
化粧品で落書きしてたら皆が集まりだし・・・ということらしい。
A曰く「前歯を塗らなかったのが優しさ」。
自分では見えないので微塵も気にしてない事を告げると、困ったような笑顔を返してくれた。
食事を終えA家へ向かう道中、「お前中学の頃も落書きされたよな」と振られて思い出す。
中学入学後、B家で寝ているうちにA、B、D、Eが服を脱がしチ○毛と胸毛を書いた淡い思い出。
当時まだツルツルで大人に憧れていたオレは、ギャランドゥを書き足し全裸のままポージングをしていると、
お茶を持ってきたBママに見られるという失態を犯した。
Aママ、Aパパには気の迷いと説明し、Aの脱派遣の相談に乗ってから就寝。
盆休み4日目
いよいよ年に1度のお楽しみキャンプ。
A車とD車の2台で行くことに。D車はDとFの二人きりにしたいため、B、C、オレはA車へ。
助手席にB、後部座席右にC、後部座席左にオレという配置で発進した。
ふとAから、
「○○随分寝てたけど体調悪いのか?お前高校くらいから3時間以上寝ないようにしてるだろ。朝も全然起きなかった」
と突然ふられる。
Cも、
「私も気になってた。
M美ちゃんから疲れてるみたいだから寝かせたって聞いてたのに、昨日は車の中でも1時間くらい寝てたじゃない。
途中で道間違えた時も、普段なら目瞑ったまま『次の信号右』とか言うのに起きないし」
と続く。
オレも言われてハッとした。
今の職に就くと決めた時から、1日の睡眠時間は夜3時間、昼休み15分と決め、
余った時間を勉強など自己啓発に当てている。
約15年この生活を続け、既にライフスタイルになっているのにだ。
一昨日の洞窟で4時間、夜に3時間、昨日M美家で4時間、Cの車で1時間、Aの家で6時間と、
石棺破壊後42時間中18時間も寝ていた。
「分かんない。昨日から気を抜くと寝てる」と答えるのが精一杯で、また眠りについた。
守護霊からのサポートが切れた反動なのだろうか?
キャンプ地近くのPエリアに着き、荷物を下ろす。今回は食料調達が望めないため、食料と飲み物が多い。
例年なら「ジジイは茶でもシバイてろ」と悪態を付きながら一番重い物からオレが持つのに、力が入らず持てない。
(普段は自分の体重の2倍までは準備運動無しで持ち上げられる)
荷物を肩に掛け立とうするが膝に力が入らない。
不思議そうに見るDにAが「コイツ今日調子悪いみたいだから」と言い、A、B、Dが重い物を順に持ってくれた。
自分の荷物とテント二張を持ちキャンプ地へ。
2時間山を歩きキャンプ地に到着。
早速テントを張る場所を探し、計三張り設営。
薪集めをDとFに頼み、湯船堀にかかる。
Cは体重と力不足で戦力外のため、レジャーシートを繋ぎ合わせて囲いを作らせた。
源泉が52℃なので湯船は熱めと温め2つと、寝湯用の赤ちゃん風呂のような物を2つ掘った。
薪割りや竈作りをしようと思った時、薪拾いから戻っていたFから「○○ちゃんさ~顔色悪いよ」と声をかけられた。
FはD、Eの同級生で、高校卒業後に家族で他県へ引越し、看護師となり×を付けて戻ってきた。
(1作目を書いた時は、帰ってくると予想していなかった幼馴染メンバー)
D、E、Fが中学入学と同時に転校してきてからの付き合いだ。
高校時代にDとFは付き合っていた。DはFが引越して以来、彼女を作っていない。
「ちょっと来て。入って」っとテントに押し込まれる。
手首から脈を確認しているようだが測れないらしく、上半身を脱がされ首に手を当てながら胸に耳を付けた。
胸を隠して「いやん」と言ったらスゲー怒られた。
数分してFに、
「ちょっとあんた大丈夫なの?こんなの医者じゃなくても普通じゃない事くらい分かるよ。脈も心音も感じないなんて。
そんなんでよく動きまわってたね。」
オレ「皆には軽い貧血って言っといて。少し寝れば大丈夫だから。お願い」
目を覚ますとCが心配そうに見下ろしてる。夕飯が出来たので呼びに来たようだ。
礼を言い服を着ていると、「○○ちゃん、何が起きてるの?」と要領を得ない質問。
ただの貧血だと言っても、貧血でそんな事になるはずがないと否定する。
何の事を言ってるのか聞くと、体に傷痕が浮かび上がってると言う。
確認すると、反抗期のピーク時にBと暇つぶしにやったチーマー狩り中バタフライナイフで脇腹を刺された傷や、
片側を割った瓶で肩を刺された傷等々が、小さなランタン1つの薄暗いテントの中でも分かる程くっきり浮かび上がってる。
今まで外傷は絆創膏を貼れば3日あれば傷痕無く綺麗に完治したので、気にも止めなかったものだ。
一緒に風呂に入る程仲が良いCに隠し通すのは無理そうと諦め、「後で話す。今はキャンプを楽しもう」とテントを出た。
夕飯はF得意の餃子シリーズだ。
紫蘇入りや、チーズ、カリカリ梅入り等、美味しく懐かしい餃子を食す。
食後、ギターの弾き語りをするAと共に焚き火を囲む。夕食後の恒例だ。
ミュージックボックス宜しく何でも弾けるAに、
(最新JPOP以外、知らない曲でも2度聞けば譜面無しで弾ける。たぶん絶対音感)
『Teachin' Myself To Dream』や『Moonlight Shadow』の演奏をリクエストしてCに歌わせていると、
Bから「ライブの時のアレやれ」と言われた。
Bの言う『アレ』とは、オレが高2の時にやってた、オレの学校の友達とCの学校の友達とで組んだバンドの、
ライブで起きたハプニングを埋めるため、咄嗟にやったアドリブの事だ。
C「いいよ」と軽く承諾。
オレは恥ずかしので断ったが、興味を示したFにライブに来ていたAとBとCが説明を始めた。(Eも来た)
C:ボーカル、オレ:ドラム他2人、スタジオを借りてた楽器屋の1組5曲で計4組参加するイベントライブ。
くじ引きで4番手に決定。4曲目まで順調にこなし、5曲目の演奏を始めたが歌い出さない。
歌い出しを待つように前奏を繰り返す。
前奏2度目が終わり、客や他バンドメンバーが異変に気づき「ライブのラストだろ」などとザワつき出した。
オロオロするCを見て、歌詞飛んだな~と思い咄嗟にやったアドリブ。
演奏を止め、アラジンの『A Whole New World』を歌いながら近づき、
「Or say we're only dreaming」の所で屈んでCの手の甲にキスをして、デュエットするってだけの茶番。
キスをして直ぐCが完璧に「A whole new world A dazzling place I never knew」って入らなかったらクッソ寒い。
沢山の拍手をもらったが、イベント責任者のお姉さんが泣いていたので、
穴埋めとはいえロックイベントで予定外のバラードを歌った事等を謝りに行ったら、予想外に褒められた。
B「あん時客の女も殆ど泣いてたよな」
A「帰りに隣のツ○ヤ行ったら、アラジン全部貸出中になってた(笑)」
C「頭真っ白になって、あ~!もうダメだーって思ってた(笑)」
D「○○らしいな」
F「何でアラジンの曲歌ったの?しかも英語で」
オレ「寒いとは思ったけど突然だったから、男性パートで時間稼げる歌がアレしか思い浮かばなかった。Cならイケるかなと」
F「自分で歌えばいいじゃん」
オレ「目の焦点も合わなくなる程ショック受けてたから、このまま辞めたらCトラウマになると思って何でも良いから歌わせた」
F「ふーん。ちゃんとCの事考えてるんだ」
Fから質問攻め(姉御肌なのでチョット怖い)を受けていると、Cが突然立ち上がり「Tale as old as time」と歌い出した。
美女と野獣だ!「Just a little change」と合わせる。脱出成功!
「曲終わったら風呂にフェードアウトしよう」と耳打ちし逃亡。
背中を流して貰ってから寝湯に浸かり、満点の星空を眺める。
ふとテント分けを忘れていた事を思い出す。
DFとBCとAオレか、CFとADとBオレかなと思いつつ上がると、予想を外す。
焚き火を囲みまだ飲んでるABDF。
Bに「お前のテント」と指差されたテントに入ると、Cが横になってる。
「間違いました。失礼しました」と出て、皆に向かって「オレのテントどれ?」と叫ぶも、目の前のテントと返された。
Cと寝るのも嫌じゃないし、今更なので気にせず就寝。
盆休み5日目
先に起きて皆の朝食と昼食のサンドイッチを作成。
皆は周辺の散策に行く予定だが、オレは寝ているつもり。
山の中で倒れるような事があると、皆に迷惑をかけてしまう。
M美に言われた通り普通以下になっている事を実感。
寝湯に日除けを作っていると、Cが皆起きたことを伝えに来た。
戻って全員で頂きます。食事中に1人で残る事を伝えると、Cも残ると言い出した。
Fが「何かあるといけないから単独行動は慎め」と意見し、即決定。
Cと共に4人を送り出し、C皿洗い。オレ風呂。
両手足を出し、胴体だけ湯に沈める。この体勢だと何時間入ってものぼせない。
麦茶を飲みつつ、吸うのを忘れていた久しぶりのタバコを吸う。
非喫煙者の前(除くC)では吸わないようにしているので、洞窟以来のタバコだ。(幼馴染で吸うのはDとオレ(Eも)だけ)
ふと盆休みの事を手帳(プライベートで持ち歩くネットブックはバッテリー切れ)に記していると、日記のようになっている。
まぁ良いや。元々繋がり難いホラーテラーはGW前くらいから繋がらなくて、初回以降投稿も出来ない有り様だ。
読みやすさを求め実際体験した事を短くまとめるのは、理系のオレにとって負担が無いと言ったら嘘になる作業だ。
論文や報告書であれば理論や考察なので完結に書けるし、仕事として時間も与えられる。
体験や思った事を書いていこう。
文章の完成度としてはどれもクソみたいな物だと自覚しつつも、
投稿した物が一番出来が良かったかなと思いペンを走らせていると、C登場。
(未投稿の物はどれも、無駄な描写の削除と表現の変更が必要だろう)
団扇と麦茶を持ってきた。
隣に座り汗の浮かぶ額を拭き、優しく扇いでくれる。
飯は上手いし気も利くしCは良い女房になるぞ。貰い手が居ないのだろうか?
色白細身でDカップ色もピンクとスタイルも良いし、顔もかなり良い方だと思うんだが。
待てよ、知らない奴と結婚してあまり遊べなくなるのも寂しいな。やっぱりBとくっつけば理想的だな。
などと考えていると、
Cは「昨日、後で話すって言ってたよね」と切り出した。
覚えてたか。まぁ昨日の今日だしな。いい加減腹をくくらないといけないのか?
何を伝えて何を隠すべきか考える。
「先に言っておくけど、オレは見えないから嘘か本当かは分からないよ」と釘を差してから、
GWにM美が祖母を書いたこと、
そのM美が一昨日、守護霊の力が弱まっているためオレも体調に気をつけろと助言してくれたと、掻い摘んで伝えた。
実際の所、気分は良いがあまり長い時間起きていられない事と、
以前のように下腹部に気?を集中させ体のリミッターを外せない事、
(武道経験者は分かると思う。
聞きたい音以外の音量が小さく、周りがスローモーションのようになり、自分の筋力、瞬発力等全てが増強される状態。
骨が軋み筋繊維がブチブチ切れるまで力を入れれる)
連休が開けたら、念の為に全身の精密検査を受けようと思っている事も付け足す。
アブが出てきたので風呂から上がり、少し早い昼食を摂る。
テントで寝るため膝を借りようと思ったが、ジーンズだ。
足元を見ながら「却下」と吐き捨て、エアークッションを膨らませていると、ホットパンツに履き替えてきた。
いつ借りても高さが丁度いい。
オレ「よく分かったな」
C「何年付き合ってると思ってるの。○○ちゃんが考えてる事くらい大体分かるよ」
さすが腐れ縁。久しぶりだなと目を瞑る。
「何か歌え」と言うと、「王様か!」と返された。
オレ「お前優しいよな。気も利くし。小学生の頃なんて、オレより身長も大きくてガサツで男らしかったのに・・・」
グーで殴られた。
「・・でも本当に変わったよ。まず性転換しただろ」
元々女だ!とまたグーで殴られた。
C「喧嘩売ってるの?」
オレ「殴ってから言うな(笑)風呂入りながらさ。少し考えてたんだよ。
オレ達もいい歳じゃん。結婚して、子供が出来て。後何回こうやって集まれるのかな?って。
Sも結婚して遠くに行っただろ。今じゃ3児のママだぜ。
Kも大学で地元離れてそのまま結婚したし。可愛い奥さん貰ってたよ。
大学で地元離れて就職して。同級生で仲が良かった奴らが減っていくなってね。
A、B、D、Eに対抗して作った同い年グループも、気づいたら奴らに吸収合併して自然解散的な感じじゃん。
お前はずっと居てくれてるけど、何時かは居なくなるのかと思うと寂しくてね」
C「誰が居なくなるって?一番最初に地元出たの○○ちゃんでしょ!
皆受験勉強してるのに『高校に続き!大学も推薦で決まった~しかも、またまた特待生!授業料免除もあり♪』とか言って。
こっちのモチベーション考えてよ!
講師やってくれたけど、煎餅食べながらで何言ってるか分からなかったし(笑)」
オレ「あ~レストア中のE車のボンネット借りて、ホワイトボードにしたアレか。
まぁ講義のおかげで、全員塾にも行かず第一志望の国立合格したじゃん。お前なんて最初D判定だったろ」
C「高3の11月に『次の講義は瞑想』とか、はぁ?って感じだったんですけど!(笑)」
オレ「大事なんだよ。成立ちをイメージしたり、最高のパフォーマンスを発揮する自分のイメージ。
お前だって、瞑想前に全く解けなかった問題も瞑想後解けただろ。
成立ちさえ掴めれば、公式なんて覚えなくても自分でたどり着けるじゃん。
ここ数日、高パフォーマンスな自分がイメージ出来なくてさ。
前は瞑想してるとパチパチ火花が飛ぶような感じがして、その後は自分でも満足できる結果を残せたのに。
今は真暗なまま。頭もボーッとしてる。体も動かない。
若干ネガティブな感じで考え事してたら、お前もいつか結婚して居なくなるのかなって思ったら寂しくてね」
C「私が誰かと結婚するの?たぶん無理だよ」
オレ「そう。無理じゃないよ。
高校2くらいからかな・・・正直認めたくないから初めて言うけど、お前は可愛いくなったよ。今は少し歳を重ねて綺麗になった。
頑張り屋で家事も上手、優しく気も利き、明るく楽しい、ピアノも歌も上手い。その他諸々ハイスペックだ。自信持っていいぞ。
その気になれば何時でも結婚できる。オレがお墨付きをヤル超感謝しろ」
目を瞑っていたが、顔に大量の涙が降ってきたのが分かった。
オレ「好きな人は居るの?」
C「いるよ」
オレ「いけそう?」
C「何をやっても全然振り向いてくれないから、諦めようと思ってたけど、もう少し頑張ってみる」
可哀想に。C程良い女そう居ないのに。
オレ「頑張れ!安西先生も、諦めたらそこでお終いって言ってるだろ。片思い長いの?」
C「小3から・・・」
クッソ長いな。相手も可哀想に、もはや呪いだ。
オレ「もしかして、キャンプに居る?」
C「うん」
よっしゃ!メンバー減らずに済むかも。
オレ「きっかけっていうか、片思いなのにずっと思っていられる理由があるの?」
C「いつも助けてくれるの。いつもいつもいつも・・・
誰にも相談出来なくて挫折しそうな時に、突然電話かけて来て、
普段電話なんて掛けて来ないからどうしたの?って聞くと、『何となく』って。
あと、困ってるとひょっこり現れて解決してくれるの」
良い奴だな。Aかな?
オレ「神社で熱心にお願いしてたのってその事?」
C「そうだよ」
オレ「じゃあ叶うよ。あそこもオレのお墨付きだ。
35才過ぎてもダメだったら、お前が嫌じゃなければオレが貰ってやる」
C「うん。約束だよ」
・・・無言で指切りをして就寝。
外が騒がしくて起床。
寝てる間、汗を拭いたり扇いでくれていたのか寝汗も無く快適。
ずっと膝を貸してくれていたCに礼を言い外に出る。
何をしているのか聞くと、キジを拾ったと見せてくる。
オレ「雄だね。まだ生きてるけどどうするの?」(雌を捕るのは禁止されてる)
B「お前が下ろせ」
オレ「チョ!食料足りてるだろ?食べてみたいけど、無駄な殺生は許さないよ」
B「お前車の中で寝てたから知らないのか。全然足りないんだわ(笑)
Cのクーラーボックス無いだろ。お前がサンドイッチにコンビーフ使ったから、後は少しの野菜と米と野草しか無い」
オレ「状況は分かった。っで何でオレ?」
B「お前とCは寝てたから。さすがにオレ達も殺すのは・・・無理だなぁ」
オレ、C「・・・・・・・」
しょうがない。Cに皆と一緒に居るように告げた。
手順は何だ?と頭を回す。
ポイントになりそうなのは以下の4つ。
・逆さに吊るし、動かないように羽を押さえる。
・死後硬直前に毛を毟らないと抜けなくなりそう。
・早急に消化器系を出さないと肉に匂いが付きそう。
・若干の違いはあれど、基本的な構造は人間と一緒。
こんなもんかな?
ビニール紐、バケツ、新聞、包丁、針金、テーブル1卓を水辺へ持っていく。
足を縛りテーブルから吊るす。メガホン状に丸めた新聞で羽を固定。
見つめられると、昔飼ってたインコを思い出し辛い。
昔実家で見た解剖学の写真を思い出す。基本構造は人間と大差無いはずだ。
ごめんね。無駄にしないから。と手を合わせ、左手でキジの目を隠すように頭を押さえる。
苦しまないよう動脈と気管の場所を切ると暴れだした。
脈に合わせドロ、ドロ、と出る鮮血に、頸動脈を切れた事を確認できる。
ふと、人間もギロチン後約3分間意識があると何かで読んだ事を思い出した。
悪い!と首の切断にかかる。
骨を切り離せない!両手でバキっと折ると、神経が切断されたのか体側の動きが止まった。
針金を鉤爪のように折り、肛門から突き刺し腸を絡め一気に引き抜く。
バケツに内蔵を入れたら頭を埋葬し、A、B、Dを呼び毛を毟る。
たまに痙攣を起こしバタバタ羽撃くのにビビリAとD脱落。
毛を散乱させていると無用な動物を招くので焚き火に投入。
皮に残った小さな毛を焚き火で焼き、解体にかかる。
関節に包丁を入れ部位ごとに分ける。
だいぶ暗くなったが、ランプを持ちバケツ内の内蔵の判別と洗浄に川へ。
先ほど首を跳ねた場所にゼリー状の物体を発見。
頸動脈から出た血のようだ。脳へ送られる為、他の場所から出る血液と明らかに違う事を知る。
そのままはマズイので川に流す。
腸と胃、レバー、心臓と肺を綺麗に洗い皆の元へ。
皆へ「感謝しろよ」と言うと、A、C、Fが静かに手を合わせた。(Dはトイレ(野))
Bが「おう!お疲れ!」とオレに言ってきたので、思わず包丁を捨て拳を握り直した矢先、
Fが「そういう事じゃねーんだよ!」とBに蹴りを食らわせた。
さすが姉さん。分かってらっしゃる。
尻餅をつき驚くBに「意味が分かるまでお前は飯抜きだ!」と言い捨て、Fは調理に戻った。
Fに先を越され行き場をなくした右手で包丁を拾い、川へ洗いに行った。
包丁を洗った後、手に付いた血や感触を消そうと、手元にあった石をスポンジ代わりに洗っていると、
Cがやって来て、擦り過ぎて出血する手をそっと抱きしめてくれた。
Cの体温を感じると、不思議と嫌な感触が無くなった。
数分か数十秒か、逆再生のようにみるみるうちに傷が治っていくのを見て、
「お前も手当できるじゃん」と傷が消えた手を見せ、残った血を軽く流した。
何故来たのか聞くと、Fから「捌いてから目が据わってたから行っておいで」と言われたらしい。色々とさすがです。
戻ると、鍋の前に正座するBと、その周りを回りながらデタラメな般若心経を唱え、たまに「でぇい!」とBの背中を叩くD。
あまりにも滑稽な光景に爆笑。
初めて食べるキジ鍋を突付き、「やっぱりFの料理は美味いな」と溢れ皆が同調した。
例えるなら、数々のお袋さんを凌駕するお袋の味。Cも料理上手だが、レベルが一桁くらい違う。
食後席を外し一服しているとDが現れ、「一番殺生を嫌いなお前がよくやった」と労いの言葉をくれた。
Dと共に焚き火へ戻ると、冬の予定を話している。
連休に突入する日と、温泉に一泊してスキーに行きたいと申告。
B「お前ボードじゃ無かった?」
オレ「元々スキーだ。今はメインがスキーでたまにボード。B以外で誰か滑れるヤツ居ないの?」
C「○○ちゃん、私達と会う前からスキーやってるって言ってたもんね。教えてくれるなら行く」
オレ「お!良いよ。スキー?オレのお下がりの板使うなら、ブーツのメーカー揃えたいからストックとセットでプレゼントするよ」
(AT○MICだから、ブーツも揃えないと板の性能出しきれない)
C「やった!でも高いんじゃないの?」
オレ「可愛いデザインの無いけどね。あ!あと、ブーツのフィッティングもしたいから、出来れば一回向こうに来てほしいなぁ」
C「仕事一段落着いたら行こうかな。泊まれる?」
オレ「当たり前だろ、ベッド使っていいよ。Wベッドだから並んで寝れるし。
明日合鍵渡すから、何時来て何日泊まっても良いよ。
3LDKの賃貸マンションだけど、趣味部屋と作業部屋と乾燥室作ったら、
寝室がリビングになって落ち着かないかもしれないけどね(笑)」
A、B、C、D、F「作業部屋?」
オレ「そそ。エンジンバラしたり、部品自作する部屋。ガレージが無いからしょうがない」
D「趣味優先して自分の寝場所無くすとか、○○らしくていいねー」
F「独身貴族って感じだね」
オレ「ちょっと違う。オレは自他共に認める寂しがりだ。
10年以上も単身で生活してたら、好きな物にでも囲まれてないと帰らなくなる。
今でも誰もいない家に帰りたくなくて残業する事も多い。この歳で友達の家から出勤とかありえないし」
B「彼女作らないのか?」(凄い張り詰めた空気になった)
オレ「前は居たよ。Cみたいに対等に接してくれ無いんだよね。
オレを上と思うヤツとは表面でしか付き合えないからすぐ別れる。
お前らと居る方が全然良い。今もこのまま時間が止まればって・・・」
凄い恥ずかしい事を言っている事に気づき、風呂に逃げた。
誰かが呼んでる。Cの声だ。泣いてるのか?助けに行かないと・・・
目を開けるとCが抱きついてきた。状況が把握できない。
Cを押し退け周りを見る。AもBもDもFも泣いてる。
場所は風呂の手前。
胸が痛い。何となく状況が掴めてきた。
風呂に行く途中倒れて、Fが心臓マッサージをしてくれいたんだ。
Fに礼を良い立ち上がろうとすると、Aに「心配させるな!」と殴られた。
Aが殴るのを見たことが無かったので驚いていると、Bから「時間じゃなく心臓止めんじゃねー!」と殴られた。
オレどうなったの?っと聞くと、
風呂に行く途中、前のめりに倒れるのをAとBが見ていて、Bが「ヤバイ!」と一言発して駆けつけ、
Fが来るまでにAとBがオレを仰向けにし、気道確保までしてくれたが、呼吸も止まっていた。
Fが到着し心臓マッサージを行い、Cがずっと呼びかけてくれていた。
ということらしい。
多大な迷惑と心配を掛けたことを詫び、帰宅後精密検査を受ける約束をしてから、AとDに支えられテントへ戻った。
戻る途中、焚き火の脇にBの大切なビデオカメラが落ちているのを見つけ、申し訳ない気持ちが強くなった。
思っていた以上に状況が悪い。
起きていられる時間が短いうえ、ストレス過多か怪我をしたためか、倒れるどころか心停止までいってしまった。
かなり注意しながら生活しなければいけないのかもしれない。
盆休み6日目
起きるとCに組み付かれていたため、Cを起こし一緒に朝風呂。
(寝る前に誰かがシュラフを開いて、敷布団と掛け布団にしてた)
寝ると体調は良くなる。まぁ、元々不調を自覚していないだけだが。
長湯は体力を消耗するので、背中の流し合いが終わったら早々に上がった。
撤収準備を始めようと思っていると、珍しくBが早くに起きて「代わりにやるから座ってろ」と気を使ってくれた。
顔が怖いとフラレてから顔面凶器とアダ名を付けられ、実際に喧嘩もメチャクチャ強いBだが、
結構優しくオタクでもあり、割りと女性になめられる。
大学の夏休み、月○とつよ○すという紙芝居のようなゲーム?エロゲ?や、無修正AVを勧められた。
実家でつ○きす鑑賞中(エリカルート?)Cがやって来たため、一緒に見るか聞くと、データを消去された。
(というか、ノートPCごと窓から投げ捨てられた)
その後Bは、怒り狂ったCに首を絞められながら「○○ちゃんに汚いもの見せるな!」と言われたらしい。
皆起床し、帰り支度中も「座ってろ」と釘を刺された。(皆ありがとう)
暇なので手帳に昨日の出来事を書き綴る。
文字にしていて気づく。
オレの体結構ヤバイのかも!
あと、Cと風呂に入るのは珍しく無いので気にしたことも無かったが、
幼馴染とはいえ恋人でもない成人男女が一緒に入浴するのは普通なのだろうか?
昨年ちょくちょく帰郷した時も、一緒に風呂入って全裸のまま一緒に寝てた。(Cはパンツだけ)
幼馴染でもオレ以外の男と入ってるの見たことも聞いたことも無い。
まぁ家が隣で毎日顔合わせていたので家族感覚なのだろうが、
嫁入り前の娘さんに対して相応しい行動とは言えないので今後慎もう。
下山中、皆がオレの荷物を分担して持ってくれた。
「気を使わせてスマンね」と言うと、
Bから「友達は迷惑をかけるために居る。だから気にするな」と、トラブルを起こしたEがよく言っていた言葉を言われた。
帰りの車の中でも寝続け、寝ぼけてネットブックをA車に忘れてしまった。
手帳に書いた分はデスクトップに書き写す事にする。
今日はCが家に泊まりたいらしく、一緒に下車した。
実家に置いていたマンションの合鍵をCに渡し、
車の輸送や航空券の予約を終え、リビングでクッションを枕に愛猫と仮眠についた。
起きると帰宅した母とCが夕飯の支度をしている。
Cは昔から母の料理を教わっていたが馴染みすぎだろ。(Fもたまに来てた)
(お吸い物に入れる根野菜は下茹で後一晩凍らせて甘みを出し、食感をフワフワにする等の一手間を惜しむと、
食べ慣れない味にオレが『酷い手抜きインスタントみたい』と駄目出しをする程、母の料理は料亭並に手が込んでる。
母が勝手にやっている事だが、おかずは最低でも朝3品、夜5品用意するので手際が良い)
本当の親子のように自然に並んでる。
どうやら連休中の溜まった洗濯も済ませているようで、乾燥室に干されていた。
客間にCが寝る布団を用意しリビングに戻ると、帰宅した父や兄とも普通に馴染んでる。
オレの方が他人のように思えるほどだ。
夕食後Cは洗い物をしているので、親に合鍵を渡したことを告げ、
自室に戻ると布団や床に掃除機をかけただけでなく、埃が溜まっていた本棚も綺麗になっていた。
短時間でここまでやるなんて家事スペック高すぎ。
早くAかBが貰ってくれると余計な心配が1つなくなるんだが。
盆休み7日目
起床すると、オレの荷造りが完了している。
Cが早く起きてアイロンまでかけてくれたらしい。
車に積みっぱなしの使用済みマスクを回収してから、輸送車へ積み込んだ。
空港へ向かう途中、大学で研究員をやってる同級生にマスクと密閉ケースを渡し、
何か変わった物質や菌が付着していないか内密に調べるよう依頼。
ペラペラ喋るようなヤツでは無いが、危険物である可能性もあるため極内密にやって欲しいと、30万程握らせた。
飛行機内ではCAと向かい合う席だったため、暇つぶしにMMPDSの7000系アルミの物性値を参考に色々計算しようと、
1G状態での主翼の最大たわみ量などを質問していると、
機長に確認したが数値は知らないらしく、飛行機が好きなんですねっと、ポストカードと携帯の番号を渡されたが、
本業外の暇つぶしでCAのプライベートまで邪魔するわけにもいかない。
帰宅後、街乗り&サーキット用の軽とバイクの補充電を行い、Cと実家に連絡し早々に就寝。
8月末
精密検査を受けるため、病院に1泊。
9月末
病院からの検査結果は極めて良好。
睡眠時間が異常に長くなっている事に関しても、カウンセリングにて対応との事だったが、
本来とるべき研究機関へ連絡もせず、私念のみで石棺を破壊したため洞窟の事を言えるはずもなく。
仮にEの死が影響したと言うなら、もっと早く症状が出ても良い。
調査を依頼したマスクに新しい付着物があれば、それを調べる事で何か分かることに期待する。
一先ずCとBに、検査結果は良好であった事を結果の画像を添付しメールした。
普段はしっかり者でもあり天真爛漫でもある向日葵のようなCにあまり心配を掛けたくない。
Cは何かあると抱え込むタイプなので、気を使ってくれるタイプが今も周りに居るといいんだが。
キャンプの時に確かAかBか助けてくれるみたいな事言ってた気がするから、無用な心配だろうか。
10月初め
マスクと密閉ケース内の調査を依頼していた友人から連絡があった。
マスクの付着物を培養した結果、一般的な空気中の菌しか発見できず、粉塵等も特筆するような物は発見されなかった。
Eが見た赤い靄のような物や声のような物の正体は不明だが、
密閉ケース内で石棺の欠片が消失した事も含め、今回の件は分からない事尽くめだ。
以前のように体調が万全になり次第、考古学へ進んだヤツあたりと洞窟を再訪する。
洞窟の場所は分かっているし、
もし洞窟に危険が残っており、オレに何かあった場合、
誰かが訪れないよう、この場所を特定できない手記を除き全データを削除する。
Cから電話があり、10月中頃に来るらしい。
板のメンテナンスをやっておこう。
もう既に繋がらないホラテラへの投稿とかどうでもいい。
胸騒ぎもするので、編集せず起こった事を書き留めておくことにする。
Tが書いていたものはここまでです。
これを保存した2日後に倒れ搬送されています。
『ビデオの中の友人-後書き-』に続く
【ホラーテラー系】ビデオの中の友人-復讐-
Bです。ホラーテラー『ビデオの中の友人』のその後3です。
前々々作からの著者T(本文中『オレ』)が2012年夏の事を書いていた分を代わり投稿します。
M美ちゃんを見たくて毎週薬局にドロップを買いに行ってます。美人すぎて声をかけれません。
2012盆休み。GW前から続く頭の中の警鐘を無視する事にも慣れ、いよいよ決行の時が近づいた。
Eの死から1年。何かも分からないまま終わらせる訳にはいかない。
自分で設計しワンオフしたインマニとエキマニを装着し、さらにスロットル、タービン交換、ECUのリセッティングを行い、
より静かに、よりパワフルに、より燃費良く生まれ変わった車に乗り、一路実家へ。
今回実家に居れるのは7日間。
予定は、1日目(到着日)→宴会、2・3日目→洞窟、4・5・6日目→キャンプ、7日目→自宅へ出立というハードなものになった。
パワーに余裕があるためいつもより疲れずに帰郷し、Eへ線香を上げ、
「相変わらず言うこと聞かなくてごめん。見てくるから」と報告していると、
突然花瓶が倒れ、香炉に立てた線香が折れた。
Eなら気にするな。守護者なら黙って守れ。と念じ、E実家を後にした。
宴会前に準備を終わらせるべく、母に頼んでいたマスクのフィッティングテストを行いながら、
ケチらずN100マスクを頼めば良かったと軽く後悔。
車にシュラフ、コンロ、手斧、バール、ザイル、コッヘル、食料、水、ランタン、折りたたみスコップ(ツルハシ付き)、
マスクを積み込み準備完了。
宴会へは相変わらずバイクで行くことに。C用のヘルメットを持ち会場に向かった。
会場に着くとDがお土産と変な仏像をくれたが、受け取った瞬間首が落ちた…
首を拾いポケットにねじ込む。(いったい何処に行ってきたんだ?)
Dが突然「お前何かしようとしてるだろ?」と相変わらず感だけで突っ込んできた。
「そりゃ役職あるからな。平みたいに言われたことやってるだけじゃ生きていけないんだよ」と会社の話でごまかした。
何か言いたそうにしていたが、携帯が鳴りCを迎えに行くことに。
C実家に着くとCママに捕まった。
宴会途中で抜けてきたのに、お茶とつまみを出され困惑。(C全然準備出来てないじゃん!)
Cママへ近況報告が終わった頃、Cも準備が終わり宴会場へ。
キャンプの打ち合わせも開始。
オレ「今年のキャンプはいい場所見つけたよ」
D「どんな場所?」
A「温泉湧いてるよ」
B・C・D「マジで!」
A「車から2時間くらい歩くけどな。○○(オレ)からメールで座標送られてきて温泉湧いてそうだから下見ヨロって(笑)」
B「どうやって見つけたんだ?」
オレ「秘湯好きだからな。地形図見れば検討が付く。枯れてる場合も多いけどな。湯船掘るから誰かスコップ持ってきて」
D「高校の頃にさFって子いたじゃん。こっち戻ってきたらしいからキャンプ連れてって良い?」
オレ「いたね~Dの同級生で巨乳の子でしょ。OK」
女性メンバーが増えた事で皆テンション高めで解散。
Cを送る前に恒例の枕チェンジを行うため一旦帰宅。
(オレが大学で実家を離れた辺りからの恒例行事。
最初は引っ越す時に枕を取られたが、困ると言ったら半年に1度普段使っている枕を持ってこいと言われた。
クリーニングして返却されるため有難くもある)
車に乗り換えCを送り、フカフカの枕を持ち帰る。
ベットに転がり電気を消すと、昔使っていて捨て忘れたブラウン管TVに人影が映る。コンセントは束ねてTVの上に…
最近こういう警告じみた事が多いので気にしないように就寝。
決行日 朝4時
リビングのテーブルに『明日の夜に帰ります。(たぶん)』と手紙を残し出発。
Pエリアに車を置き廃道への入り口を探す。
現在通行する道から1mくらいは雑草が生い茂っているが、その奥はまだ通れそうなので車で突っ込む事にした。
途中でUターンし、バックで進む。
バックカメラの映像で路面を確認しながら進むと、雨水で50cm程えぐられ道が分断されていたため停車。
車から降りるとガードレールが埋まるほど土砂が堆積している事に気づいた。
土砂で埋まっていて気づきにくかったが、目的地の橋の上に着いていた。
橋が崩れるといけないので、車を橋から動かし川へ降りる。
Eの記録では川に沿って20分となっていたが、15分程で滝の上に着いた。
念の為にザイルを出し、滝の横を降りる。
本当に洞窟がある。実際目にすると予想より大きく感じる。
清流で顔を洗い大きく息を吐く。
遂に来た。
昼12時
洞窟の前に陣取り荷物を解く。
夜に備え薪を集め、腹ごなしをしマスクをつけ洞窟へ侵入。
洞窟の奥はEの記録の通り、入り口側から見ると自然岩だが、崩れた奥にレンガのような物がある。
この場所で間違い無い事が分かり緊張感が増す。
奥の部屋に到着し祭壇を調べる。
人工物のようなのに削った跡がない。
直接石棺に触れないよう気をつけながら調べたが継ぎ目が無い。
蓋があるなら抉じ開けようと持ってきたバールに他の役目が出来た。
材質を調べてもらうためにナイフで石棺を削りケースに…削れない。
バールで叩くと中に空洞があるようだ。
仕方なしとバールで穴を開けるため全力で叩く。
初撃で先端が潰れた。
もし物理的な何かでEが死んだのなら、石棺の中とマスクの付着物を調べる。
もし霊的な何かで、M美の言うことが事実ならオレの守護霊が黙っていないはず。
2段構えになるはず。
1m程のバールが曲がり握力も限界に近づいた時、バキっという音とともに穴が開いた。
中を覗こうとした瞬間、中から靄のような物が出てくる。同時に鳴声のようなものが響き視界がチカチカする。
激しい目眩で立っていることが出来なくなり、石棺にもたれるように座り込んだ。
朦朧としていると、突然「バカ者!止めろと警告したのに!」と怒鳴り声が聞こえて、意識が途絶えた。
何時間寝ていたのか分からないが意識が覚醒した。
血圧が上がらないのか体に力が入らず寒気がする。
GW前から続いた警鐘も感じない。
Eの記録にあった声のようなものも無い。
頭は驚くほどクリアだ。
Eの記録と違う。。。
終わったのか?
這いつくばるように外に出ると、マスクを外し大きく息を吸う。
若干の息苦しさから開放され、立つことも儘ならない現状に情けなくて一人爆笑。
空は日が傾きかけている。携帯の時計は午後6時を過ぎていた。
火を熾しブロック肉を遠火で炙る。ガスで湯を沸かしコーヒーを淹れる。
胃に物を入れ少し力が入るようになった。アラームを3時間後にセットしシュラフに入る。
午後11前
アラームで目を覚まし体力の回復を確認。
火が消えぬよう薪を足し洞窟の奥へ。
石棺の中を確認するが空。触れても何も起こらない。
石棺の破片をケースに入れ、弓なりに変形したバールを回収し部屋を後にした。
この部屋を封じるため、ザイルを滑車代わりに大きめの石を運ぶ。
幾つもの石を運び洞窟の奥を封じた頃には朝になっていた。
野営の痕跡を消し、車に戻る。
シートに座った瞬間、安堵と達成感から涙が零れた。
携帯の繋るエリアまで来るとメールが舞込む。
車を止め、確認するとM美とCからだ。
M美からの送信日時は、昨日13:30を始めに何時間か置きに5通。内容は全て『連絡ください。』。
GW以降ちょくちょくメールや電話をしてたが、こんなコミュ障女みたいな一言メールは最初の数回だけだったのに。
M美に電話すると「何があった」「何をした」と捲し立てる。
勢いに押され思わず敬語で「とりあえず行きます。3時間くらいかかります」と返事をし、M美の薬局へ。
薬局に着くと白衣姿のM美が待っていた。(タイトスカートに白衣ってエロくていいよね)
驚いた顔で駆け寄ってくる。
M美「何でお祖母さんしか居ないの?」
オレ「は?」
M美「だから!守護霊がお祖母さんしかいないの!それよりどうしたのその顔?」
オレ「生まれつきです。イケメンじゃ無くてすいません」
M美「そういう事じゃなくて…体調悪く無いの?顔も真っ青だよ。立てる?」
車から降りると膝から崩れ落ち立てない。
車の横で美人に土下座をする男の絵が浮かび死ぬほど恥ずかしい。
「立てません」と言うと、M美は薬局からM美母を連れて出てきた。
両脇を抱えられ薬局裏のM美家へ。その前に「車移動しないと」。
戻ろうとすると、
M美「私が移動するよ。私のラパンSSマニュアルだから大丈夫だよ。あ!エンジンかけっぱなしだから心配だよね」
と言って車へ。
オレ「あ!ちょっと待って!!!」(大きい声が出せてなかった)
M美が車の元へ→バタン(ドア閉め)→ブォンブォン(軽量フラホで吹け上がりはバイク並)
→ギャーーー(ホイルスピン)→ガシャン!(衝突)
オレ・M美母・・・・・・
一人で立てないのも忘れ「大丈夫か!」っと駆け出そうとしたが、よろめき転倒。(最高にダセー)
M美母が駆け寄りM美救出。
無事ではないが駐車場端の壁ピッタリに駐車完了。
初事故で顔面蒼白にしながら「ごめんなさい。ごめんなさい」と必死に謝るM美に、
とりあえずチェックしたいからとエンジンを吹かしてもらう。
ブォオオオ!プシャー!圧縮が漏れているような音が無いためOK。
エンジンを切り戻ってきたM美にMAXブーストを聞き、メーター上でもインタークーラーが無事な事を確認。自走可。
どうやらクラッチが重すぎて、半クラを探ってる最中に力尽きたようだ。
見た目はバンパーが落ちかけてるので、タイラップの出番だな。と午後の予定を考える。
M美に怪我が無いようなので、警察への連絡と修理代を断り、今度こそM美宅へ。
M美母が客間に布団を敷き寝かされる。
夕方からキャンプの買出しもあり予定が詰まっているので病院を断り、
謝罪するM美母に、車が小破した事よりM美と初見のM美母が気遣ってくれた事が嬉しいと告げると、
開けっ放しの薬局へ戻っていった。
萎縮して今にも泣きそうなM美。話が進まない。
昨夜から動き続けた事もあり、横になると眠気に襲われる。
オレ「仏教用語の『諸行無常』って知ってる?
平家物語の一節でも、『祗園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり』って書かれてるやつ。
何時か壊れる物がたまたま今日だっただけだから、気にすんな。動くし」
M美「でも…壊れたと壊したは違うじゃない。大事にしてる車でしょ」
オレ(少しイライラ)「わざとじゃ無いだろ。どうしてもって言うなら…少し寝るからその間手握ってて。それでチャラ!」→就寝
会話終了後3秒で寝るというのび太並みの早寝を披露。
顔に違和感を感じ起床すると、すぐ横にM美の顔がありビックリ。しかも超見られてる怖ぇ。
添い寝は要望してないが、とりあえず話を進める。
話を聞くと、2人と1体?と1匹いた守護霊が、父方の祖母1人になっているらしい。
その祖母も力が弱まり消えかけてるとか。
他の1人と1体と1匹も極端に力が弱まり、おそらく神社に帰って養生しているのではないかとの事。
薄っすらへその緒のようなモノが繋がっているので縁が切れた訳ではない。
信仰により人間が創りだした存在のため、
参拝者数と信仰心が減っている現代では力の回復に時間がかかるのではないかと、現状と推測を教えてくれた。
そして、守護者の力とオレの力は比例関係にあり、現在は凡人以下だろうとの事。
(後のキャンプで、守護者が減った影響を嫌というほど痛感する)
基本的にM美からは守護霊へ接触出来ないらしく、情報は一方的に送られてくる事と、見た目からの推測らしい。
何故話したことも無かったM美の所に情報を送るのか聞くと、
中2の頃オレの守護霊と目が合って、見えてる事に気づかれたからじゃないか。
昨日のメールも祖母が来て訴えたらしい。
車の中に僅かだが得体の知れない気配を感じたと聞き、持ち帰った石棺の欠片を見てもらおうと布団から出る。
普通に立てる。体も軽い。
時計を見ると午後1時を指していた。初めてお邪魔する家で4時間も寝ていたらしい。自分の図々しさに笑いが溢れる。
布団が暑かったのか、ブラウスは汗で薄っすらと透け、ほんのり赤い顔をしたM美に思わず見とれてしまった。
(M美は今年上映されたダーク・シャドウの魔女役エバ・グリーンと、
一人かくれんぼ出演の河北麻友子を足して割ったような分り易い美人)
もう手を離しても良いと告げると、いつ倒れるか分からないからと握り返された。
M美母にお礼を言い、車へ戻りミラーで顔色が戻っている事を確認し、ケースを取り出す。
欠片が無い!!!
ケースは密閉出来るように持ってきたダイビング用のロック付き防水ケースだ。
ロックが掛かった状態で中身が消えるはずがない。
M美もケースから気配を感じると言うが、欠片が消えた以上分からない。
呆然としていると、M美母より提案を受け3人で昼食。
無礼にも自己紹介すらしていなかったので自己紹介。
同学区に実家があり、最近仲良くさせてもらっていると告げると、
「聞いているわ。最近M美が嬉しそうに話してくれるの」と上品な笑顔で返された。
食後、携帯が電池切れで落ちていたため、M美のスマホを借り、
Cへ『車を補修するから手伝え。足があるなら来い』と告げると、ダンディのオデッセイで行くとのこと。
(スマホで電話の掛け方が分からずコールまでやってもらった)
電話を切ろうとするとM美が替わり、「私がぶつけた」とか「○○君(オレ)がフラフラだった」とかCに余計な事を吹き込んだ。
M美に何かあったら、無くてもたまに連絡くれと言い帰路に着いた。
つづく
長くなるので夏休み分は2分割です。
『ビデオの中の友人-代償-』に続く
【ホラーテラー系】ビデオの中の友人-準備-
Bです。ホラーテラー『ビデオの中の友人』のその後2です。
前々作からの著者T(本文中「オレ」)が2012年GWの事を書いていた分を代わり投稿します。
文最後にTも書いていますが洞窟に対しビビってる模様。本来必要がない文や会話が多いです。
GW分は綺麗にまとめてある物と2種類ありましたが、TとCの様子が目に浮かぶ無駄に長い方を採用しました。
2012年GW、連休入り早々に帰郷を果たし実家へ行く前にE母へ形見を返却。
E母には「母へのメッセージがある」とだけ伝え、E母と皆へのメッセージ以外を消去したノートPCとノートを返却した。
返却後、唯一ビデオの事を知ってるBの元へ。
Bは県境の事を気にしていたが、「手がかりは無く、これ以上深入りしない」と伝えた。
Bに洞窟の事を言ったら真先に行くだろうと容易に想像できるので、誰にも言わずに準備をする事にした。
夜、車は駐車場探すのが面倒なので、実家に置きっぱなしにしてるバイクに乗り換え、
幼馴染達が開いてくれる長期連休恒例のお帰り会に参戦。
相変わらず自由人なDはバイクで日本一周の旅に出たらしく不参加。
たまにCが何か言いたそうに見てきたが今度聞こうと烏龍茶ではしゃぐ。
宴も終わり、帰るか2次会に参加するか悩んでいると、Cが二人きりで話があると言って来たため退散。
移動と宴の疲れが出ていたので、喫茶店でエスプレッソをガブ飲みし気合を入れ直してから話を聞くことにした。
C「小5の時に同じクラスだったM美って覚えてる?」
オレ「ああ。居たね。中3でも同じクラスになったけど、昔から顔は可愛いのにいつも一人で居た子だろ?
オレ怖がられてたか嫌われてたっぽいから喋ったこと無いけど。
そういえばお前以外と喋ってるの見たこと無いかも(笑)」
C「嫌われて無いよ(笑)何か、守護霊?っていうの?人の後ろに人が見えるっとか言って人を避けてたみたいよ。
それでね、先週、突然電話が掛かってきて○○ちゃん(オレ)が無事かとか、会わせてって言ってきたの」
オレ「え?C、お前小6の3月に引越しただろ。
卒業式も車で来た挙句、オレ達と遊ぶからってママとダンディ先に返してウチの親父に送ってもらったじゃん(笑)
何でM美が番号知ってるの?」
C「はぁ?!○内の引越しだから電話番号変わってないでしょ!
何度も電話掛けてるのに気付かなかったの?ホンッット信じられない!」
オレ「!!!そういえば変わってないね(汗)卒業アルバムに載ってる番号か。
M美の件だけど、○日と○日以外ならOKって言っといて。
M美スゲー美人になってそうじゃね?20代のうちに会いたかった!」
C(何故か泣き出した)「もういい。帰る。○○ちゃんもずっと運転して疲れてるでしょ」
オレ「お!おう!何かスマン。ママとダンディ(ヘミングウェイに似てるCパパ)に会うと長くなるから家の前まででいいよな?」
C「バイクの音で分かるけどね」(いつからかCと会う時は帰りに送る係のためメットを2つ持ってる)
Cを泣かせてしまったぽいので、夜景が見える丘(C家と逆方向+距離10倍)を経由してから無事送り届け帰宅。
Cに上着を貸していたので体が冷えきり、疲れきっていたオレは、
風呂で何度か意識を失いながらもベッドでの睡眠に成功した。
翌日、バイクと車のメンテナンスをしているとCから電話があり、2日後にM美と会うこととなった。
例の洞窟探索を行う上で、Eが未知のウイルスにやられた可能性も否定できないため、
医療関係者の母にN95マスクをフィッティングテスト用も含め2タイプ2枚ずつ頼んだ。
次にザイルを購入し、高校の同級生で海保の救助隊員を務める友人と、消防士の友人に、
ロープの結び方や、降下時の使い方、安全帯としての使い方等を教授してもらった。
海猿と消防士は一般人が休みの時ほど忙しいので、睡眠不足は人命に関わると早々に解散した。
話したことは無いが、おそらく可愛いから美人に成長したであろうM美に会うため、
ちょっと、いや!かなり浮かれていたオレは、くたびれたカーゴやオイルが着いたジーンズでは無く、
先日買出し時に新調した小奇麗な服で待ち合わせ場所に向かった。(もちろん散髪済み)
待ちわ合わせ5分前に到着すると、車を見つけて満面の笑みのCが近寄ってくる。
(え!C居るの?M美と二人きりじゃないの?M美の今の顔知らないけど)
出迎えるため車から降りると、Cはオレの全身を軽く見て一瞬で冷たい目に。
Cの後ろから控目な感じで近づいてくる予想以上の美人を発見!M美だ!!!
Cが挨拶もせず「へ~随分気合入ってるね」など冷やかしというか嫌味を言って来たがスルーしM美に挨拶。
とりあえず移動してから話を聞こうと車に乗る時、「C、今日お前は外野だから後ろ」と助手席を倒すと、
M美が「私後ろで大丈夫です。お邪魔します」と乗り込む。
何て控目で清楚で美しい大和撫子だ!っと軽く感動。Cはオレをひと睨みして乗り込んだ。
オレ「同級生だし呼び方はM美ちゃんでいいかな?
後ろ狭くてごめんね。ほぼEmergency Sheetなんだ。後ろもシートベルト・・・締めてる(出来た娘だ)」
と発進。
人を避けていたと聞いていたので、予約しておいた郊外のレストランに向かった。
少し緊張しているようなので食事をしながら雑談。
オレ「喫煙室で上司にパスポート持ってるか聞かれて、持ってるって答えたら、
翌年から3年間北米に出向させられちゃったよ(笑)
向こうの強度部門を立て直せとか言われても英語苦手でね~。
向こうに着いたら迎えの人に話しかけられて、咄嗟に出た英語がHow muchだもん(笑)」
C「突然でビックリしたよ。○○ちゃん英語だけは私より苦手だもんね。
アメリカ行く前年のTOEIC、勉強したのに630点だっけ?(笑)」
オレ「うっさい!海外経験も無く勉強もせず初めて受ける異国語のテストで、さらっと780点も取る奴なんてお前くらいだろ」
C「でも夏だけは毎年帰って来たよね。空港まで迎えに行ったら、キャンプだホイ歌いながら出てきて爆笑しちゃった。
2年目だったかな?アメリカナイズして帰るとか言って、完全にアメリカを履違えた格好してたの(笑)」
この辺でやっと力の抜けた笑顔を見せてくれた。
オレ「M美ちゃんは卒業後何してるの?」
M美「私は大学卒業後、国立病院で薬剤師として5年勤め、現在は母の薬局で働いてます」
オレ「薬剤師か…頭良さそう。よく分からないけど。
そういえば中学の卒業文集に薬剤師になりたいって書いてたね。夢を叶えるなんて凄いじゃん」
オレ「…そういえば、オレに用があるんだよね?」
M美の表情が強張る。
M美「はい。。。。。これから何かしようとしていませんか?○○君に良くない事が起こりそうな気がして」
C→ポカーン
オレは突然の言葉に心臓が大きく脈打つのを感じた。
例の洞窟の件は誰にも言ってない。
幼馴染達に悟られないよう、面識の無い高校時代の友人にザイルの使い方を教わった。
ましてM美は中学卒業後初めて会う。
オレ「え!何で?」(顔が引き攣ってたかも)
M美「こんな事言うと変な人だと思うかも。。。でも、今日○○君を見て確信しました」
オレ「何?言ってみて。変な人かどうかは話を聞いてからオレが判断するから。オレの感情を勝手に決めないで」
もし、洞窟に関する事を言われた場合、Cには絶対に聞かせたくないので、
話が終わったら呼ぶからと、グズるCに無理やり車の鍵を渡し退席させた。
M美「突然言うと分からないと思うので、順番に説明します。
私小さい頃から、人に憑いてる霊とか見えたり感じたりするんです。
たまに見るに耐えない容姿の方を連れてる人もいるので、徐々に人付き合いを避けるようになりました」
オレ「オレも避けられてたよね(笑)」
(本人の口から聞くとちょっとヤヴァイ子かもと感じ始めた。これで前世とか言い出したら基地外確定)
M美「あまりにも凄い方を連れているので怖くて…」
オレ「え?」
M美「○○君の守護霊が、白馬と某武将(戦国から江戸時代の有名な武将)と○神様と女性なんです。
こんな守護霊憑けてる人見たこと無くて、どういう縁で憑いてるのか分からないんですが」
オレ「え!ちょっと待って!某武将と白馬と神と女性?…女性の顔書ける?
・・・・・・それ、オレの祖母さんだ。遺影しか見たこと無いけど。
他はオレが小学校入る前に住んでた家の、近くの神社に祀られてるのと同じだ。
某武将が○神を祀るために建て、武将は死後何ヶ所かに祀られてるけど、その内の1つ。
あと白馬の像もその神社に祀られてるんだけど、
親父が学生の頃に他界した祖母が奉納した物だって、神主さんに言われたな」
M美「そういう事でしたか。お祖母様にお守り頂いているのかもしれませんね」
オレ「守護霊の件は信じよう。
小学校入学のタイミングで今の実家に引越したから、小学校6年間隣に住んでたCすら入学前の事は知らないんだよ。
うち共働きだから寂しい時とか境内の下で遊んだり昼寝してた。何故か落ち着くんだよね。
祟られる事はあると思ってたけど、まさか守られてたなんて」
M美「数週間前から、○○君の守護の方々が夢に出てきて、○○君を止めろと訴えて来たんです。
凄い方達を連れていたので、○○君の事を覚えていて」
オレ「それでオレと仲が良かったCに連絡をとった。今日確信に変わったっていうのは?」
M美「守護の方たちがアレに近づくなと」
アレについて具体的では無いらしいが、どうやらEの件についての事を言ってるようだった。
Cを待たせているので、連絡先を交換し、GW中もう一度会う約束をしてから店を出た。
帰りの車の中、オレの守護霊の話をしていたと聞いたCが変な事を言い出した。
C「そういえば、○○ちゃんが越して来てすぐの頃に、○○ちゃん私達の目の前で消えたよね」
オレ・M美「え?!何?どういう事?」
C「○○ちゃん覚えてない?
私がA・B・D・Eと一緒に●通り歩いてたら反対側に○○ちゃん居て、AとEが声掛けたら、
車がビュンビュン走ってるのに、○○ちゃん横断しようと飛び出したの。
それで、あ!ぶつかる!って思った瞬間、○○ちゃん消えて、
ビックリしてたら、ニコニコしながら『まぜて』って目の前に現れたの」
オレ「覚えてないけど、それは無いだろ。
●通りって言ったら、当時から交通量の多い片側3車線だぞ。
小1の秋頃、裏のお婆さんが横断歩道じゃ無い場所渡ろうとして亡くなった道じゃねーか。
そもそも消えるって、そんな事あるわけない」
C「本当だよ。皆とヤバイ子かもしれないから仲間から外そうって話してたんだから。
ただ、Eは面白いから居てもいいって。Aは自分が公園で見つけて仲間入りさせたから庇ってたの。
それで、上2人が庇うから外さない事になったんだけど、私それから暫く○○ちゃんの事怖くて。。」
オレ「消えたかどうかは置いといて、それで最初オレの事無視してたんだ。
あ~。教室の前にいたCに「一緒に帰ろう」って声かけたのに、無視して先に帰られたの思い出した。
30m先に見えるCの背中が凄く遠く感じたな~(笑)BとDにも凄い距離置かれてた気がする」
C「ごめん~そんな20年以上前の事で責めないで。今は大好きだから」
オレ「人前で誤解を招く表現は慎め」
M美「Cちゃんと○○君って付き合ってないんですか?凄く仲いいのに」
オレ「最初無視されてたけどね」
C「も~」
オレ「おっと!ここのソフトクリーム好きなんだ。Cお前の分とM美ちゃんの分買って来い」
C「○○ちゃんの分は?」
オレ「一口食べたいだけなんだよね。奢ってやるから一口クレ」
一口食べて出発。
オレ「そういえば、いつからこんなに仲良くなったんだろう?
小3かな?小3って、キャンプ行った時に、Cが余計な事して足骨折した事くらいしか覚えないな」
C「その時からだよ。登山中、小川で休憩してる時に、小川を飛び越えようとしたら足滑らせて骨折したの。
皆止めろって言ってたのにね(笑)
皆がキャンプ場に居るダンディ呼びに行くか話してたら、
○○ちゃんが『それじゃ遅い、オレがキャンプ場に連れて行く』って言って、私の事おんぶしてくれたの。
小学生の頃なんて私より小さかったのに、1時間も山道おんぶしてくれて。
大丈夫か聞くと、『剣士だから平気』って。
車の中でも『手当』って言って、折れた場所に手を当ててくれたら、痛みが引いてビックリした」
オレ「あ~。そんな事もあったな。
お前背中で痛い痛いって泣いてた癖に、ギプスで足固めてキャンプ復帰したよな(笑)
あの時程Cを男らしいと思ったことはないよ」
M美「手当?」
オレ「文字通り昔の人の知恵。特別なもんじゃ無いよ。
前にTVでもやってたけど、患部に手を当てると、痛み止めとか自然治癒力の促進になるらしいよ。
特に出産後の女性の手はその力強いんだって。メカニズムの研究中だってさ」
C「M美ちゃん男らしいって酷くない?
モデルになった時も、『履歴書の写真加工しただろ』とか、『裏金か』とか言ったんだよ。スカウトって言ってるのに。
雑誌に載った時も、『何ていう動物図鑑だ』って聞いてくるの。人ですら無くなったよ!」
M美「ひどい。ひどすぎます。。。」
C「でしょ~!あ!中学校ではどんな感じだった?」
M美「2年生の頃○○君毎日鬼ごっこしてたよ。追いかけられて2階のベランダから飛び降りたの見ちゃった。
周りのクラスも騒然としてたけど、鬼の子は『クソ、また飛びやがった』って当たり前みたいに。
でも夏休み前に、全校集会で鬼ごっことベランダから飛び降りるの禁止されちゃった」
C「猿か!(笑)」
M美「あとね。
大人しい人が苛められてたんだけど、
○○君が苛めっ子に『今日からオレ等のグループに入れるから、コイツに用があるならオレに言え』って。
その後、苛めっ子達1周間くらい学校休んだけど、どうしたの?」
オレ「若気の至りです。ごめんなさい。放課後呼び出されたから打ちのめした。
先生と親同伴で彼奴等の家に謝りに行ったよ。5対1だし事情が事情だからお咎め無かったけどね」
C「○○ちゃん昔から苛めとか嫌いだもんね」
オレ「苛めって、関係無くても視界に入るだけで目障りなんだよ。
ずっと剣道やってたから、強い奴を倒す快感みたいなの染み付いてるし。弱い奴いたぶって何面白いんだ(イライラ)」
C「M美ちゃん、命の光って分かるものなの?」
M美「???」
C「前AとEって友達から聞いたんだけど、○○ちゃんがそう言ってたって」
M美「どういう事ですか?」
C「○○ちゃんが車の免許取って半年くらいに、凄い技覚えたって言うから、AとEが一緒に山に行ったんだって。
何するかと思ったら、サンシェード?でフロントガラスと横の窓に目隠しして、
ナビの地図だけで走れるって言って走りだしたらしいの。
Aは怖かったらしいんだけど、Eは慣れれば出来そうって思ったみたい。
途中で○○ちゃんが『出てこないでね』とかブツブツ言ってて、折り返して少し走った所で急ブレーキで止まったんだって。
何事か聞いたら、焦った様子もなく『動物が出てきた』って。
降りてみたら狸がいたらしいの。何で動物がいるの分かったのか聞いたら、命の光が見えたって返されたって」
M美「・・・・・力が強すぎる」
オレ「力とかよく分からないけど、強すぎると何かデメリットあるの?」
M美「こんなに守護霊の影響を受けてる人見たこと無いので・・・・ただ、何かしらの代償があるかも」
オレ「ふ~ん。代償ね。そんなに強いなら居なくなった時オレ死ぬかも(笑)」
C・M美「え?」
オレ「C、オレが10歳まで、毎年心臓の検査しに国立病院に行ってたのは知ってるよな。
こっちは知ってたかな?オレ生後3ヶ月の時に川崎病で一回死んでるんだよ。
ミルクも飲めなくなって、どんどん衰弱して管だらけで寝てたらしいんだ。
心停止して医師が来るまでの間に、ずっと付き添ってた母が蘇生したらしい(笑)。
今でも太ももの動脈から心臓までカメラ入れた痕残ってる。
夢か現実か分からないけど、一人で草原に居ると、知らないお婆さんが現れるんだ。
凄く身近な気がしてお婆さんに近づこうとすると、
優しく『こっちに来てはダメ。そこでお父さんとお母さんを待ちなさい』って言われて、お婆さんに置いて行かれるんだけど、
物心着いた時にはその光景が記憶にあって、祖母の遺影を見て『あ!あのお婆さんだ』って思ったんだよ。
記憶にある人だから、オレが生まれてから亡くなったと思ってたら、親父が学生の頃に亡くなってた」
M美「生かされてるって事?」
オレ「たぶんね。今日M美ちゃんの話聞いて、今までの運の良さとか色々納得いった。非科学的でちょっと嫌だけどね」
これ以上M美と喋ると洞窟へ行く決心が揺らぎそうなので、M美と別れ際もう一度会う約束をキャンセルした。
M美と別れてから「死んじゃ嫌だ」と泣き出したCを宥めてから帰宅。
準備は整ったので、少し早いが自宅に帰る事にした。
洞窟探索が現実味を帯び、頭の中の警鐘は強くなる一方だ。
この文を書いている時も未知の恐怖が襲ってくる。
恐怖を紛らわそうとハッキリと覚えてる会話をダラダラ書いてしまった事をお詫びします。
Eの状態から、洞窟に行った所で帰れなくなる事はない。
警鐘の訳が分かった事で恐怖が増しただけだと言い聞かせる。
次実家に戻るのは盆休み。一番の悩みはしっかり切り替えて仕事に集中出来るかだ。
『ビデオの中の友人-復讐-』に続く
【ホラーテラー系】ビデオの中の友人-原因究明-
Bです。ホラーテラー『ビデオの中の友人』のその後1です。
前からの著者T(本文中「オレ」)が2012年GW前までに書いていた分を代わり投稿します。
前作に関連付けてもらえると幸いです。
Eの死後、日常に戻ったと書いていたが、あんな異常な状態を直に見ているオレは原因を調べる事にした。
他の3人には見せないようにしたが、死後時間が経っていたためブヨブヨに歪んだ眼球で大きく見開かれた目と首の欠き傷。
警察署で見せられた狂ったような寝室の写真が鮮明に思い出せる。
原因調査と、
父が他界後(Eと合った頃には母子家庭だった)女手一つで立派に育てた一人息子を亡くしたEの母が心配だったため、
土日に何度か帰郷していた。
自宅から実家までは飛行機を使っても片道3時間程、新幹線では5時間程かかるため、
幼馴染達には連絡を入れず、実家と思い出し泣きをするCにのみ連絡を入れる。
(と言っても、あまり実家に顔を出すと親が心配するので、
旅費節約のため宿泊費折半でCとホテルに泊まる事の方が多かった。(Bゴメン何もしてないよ))
Eの死から半年がたった頃、Eの母と話した後、そのままにされていたマンションや返された遺品を調べさせてもらうと、
ノートPCとE実家の机の引出しの裏に貼り付けられていたノートに、手掛りになりそうな物を見つけた。
オレはEの母にノートとノートPCを借り、自宅で調べる事にした。
職場の博士もそうだが、頭のいいヤツというのは何でノートが汚いんだ!
行を無視したキーワードの走り書きや突然始まる計算。
果ては中二病全開で『オレとCの披露宴の友人出し物について』(妄想で書いてる)など・・・
見ていて頭が痛くなる内容にウンザリしつつノートを捲ると、
最後の方に一際大きく『キャンプ地候補』と書かれたページを発見した。
そこにはいくつか『数字』と『廃道』や『洞窟』などと書かれている。
キャンプ地候補である事と、数字から緯度と経度と目星をつけEのPCを調べると、
同じ数字が書かれた隠しフォルダがPASS付で暗号化されていた。
Eに関する事を適当に入力するも開かず、幼馴染の情報を適当に入力しているとCの名前で解除した。
フォルダには、状況予測や現地を確認した際のレポートが残されていた。
Eは毎年夏にやるキャンプの場所を調べている途中で、アル物を見つけたようだ。
オレ達は小学生の頃から毎年幼馴染sでキャンプをするのが恒例になっている。
小学生の頃は親の協力を得てキャンプ場でやっていたが、
中学の頃Aが車の免許を取ってからは子供達だけで行うようになった。
親が同伴しなくなってからのキャンプは、
キャンプといっても金も無いためキャンプ場以外の場所にテントを張り、
最低限の水と食料を持ち、オカズと薪を現地調達するサバイバルに近いキャンプだ。
普段街中で生活しているためか、自然の中で遊ぶのが楽しく1年で最も楽しみなイベントだ。
そんな理由もあり場所探しが難しく、酷い時は県境にある林道の道端でやった事も。
Eのノートに記載されていた緯度と経度をナビ付属の地図ソフトに入力すると、某県境の山中が表示された。
また、隠しフォルダには現場の写真が複数あるため撮影日時を確認し順番に見ると、
廃道→川→滝→滝つぼと携帯(圏外)→滝つぼ横に洞窟となる。
廃道から川に入り20分程下った所に滝があり、滝の横に洞窟があるからそこでキャンプをっという事らしい。
水質検査キットで川が清流である事まで調べている事に頭が下がる。
さらに読み進めると、洞窟は先の震災で崖が崩落し出現した事が記されていた。
洞窟の高さ約2m、幅1.5mで徐々に狭くなる事、奥行き約20m、洞窟内の壁が濡れていない事、
空気の流れが無いため袋小路である事、たい積岩では無いため硬く崩れにくい等、入念に調べている。
しかし、元々自然にできた洞窟で、震災により崖の表面が崩落し出現したはずなのに、
最奥部に人工的に塞いだ痕跡を発見した。
最奥部の横の壁が崩れかけ、もう一本の洞窟が更に奥に続いているが、
こちらからは自然の岩石が壁となっているのに、
もう一本の方は縦横70cm程で、部分的にレンガのような人工的な物を並べて壁にしている。
Eは壁の穴を拡大し、もう一本の洞窟に侵入するも、もう一本は外へ向かわず地中に向かっている。
酸素濃度や有毒ガスの有無が不明なため、
一旦帰宅し、手動コンプレッサ(ホムセンにある噴霧器のような物)と追加タンクを持ち再訪。
マスクにエアを送りながらしばらく進むと広い場所が現れ、ついに最深部のようだ。
ガスが充満していると一瞬で意識が無くなるため、徐々にエアを絞り確認したがフリーでの呼吸が可能との事。
縦横約3m、奥行き5m程の部屋になっており、奥にまた人工物のような祭壇のような物がある。
祭壇を調べるが、見たことも無い模様と石棺のような物がある。
黒く綺麗な石に手を触れると頭の中に声が響くが、何を言っているのか分からない。
初めて聞く言語だ。
何だこれ何だコレ!
徐々に恐怖が込上げ逃げるように洞窟から出ると、まだ午後2時頃のはずなのに外は暗く、時計は午後1時で止まっている。
外の暗闇と鳴り止まぬ声に底知れぬ恐怖を感じ帰宅。(記憶に途切れが無いのに、実際は約8時間飛んでたようだ)
寝ようにも声が鳴り止まず眠れないため出来事をまとめるが、石棺に触れた時から辻褄が合わなくなりウンザリして終了。
突然鳴り始めた声の原因として、統合失調症を疑い翌日専門医を受診。(ここから一言日記のようになった)
薬を飲むも日にまして症状は悪化。
石棺に触れて5日目視界に赤い靄のような物が入り込む。
医師に症状が悪化した旨を伝え、薬を替えてもらうが収まる気配が無い。
15日目、ネットで調べ複数の宗派へ祈祷を依頼。翌日から連日違う宗派で祈祷するも効果無し。
27日目、恐怖からパニックになりそうなため、赤い靄が見えなくなるよう部屋を赤く塗る。
35日目、某神社で「何か大きく強い者を付けている。効くか分からないが」と御札を貰い部屋に貼る。
40日目、霊媒師から御札を勧められ購入。
45日目、靄の中から動物か人間か判別できない“目”がこちらを見ている。
50日目、薬も札も効果が無い。原因不明、意味不明。
70日目、ノンストップで聞こえる声が突然、一度だけ日本語になり「そろそろ時間だよ」と告げる。もうダメポOTL
『母さんへ、産んでくれてありがとう。育ててくれてありがとう。
父さんが死んでから、まだ若いのにオレのために再婚しなかった事を知っています。
オレの経歴のために生活保護も受けず必死で働いていた事も知っています。
毎晩倒れるように居間で寝ていたので体が心配でした。
母さんのおかげで最高の仲間達と最高の時間を過ごせました。ありがとう。』
『みんなへ、本当は個々へ書きたかったけど、もう時間が無いみたいだ。今年もキャンプに行きたかったな。
お前等にどれ程救われたか言葉に出来ないくらい感謝してる。
特に1つ上のA、同い年のD、1つ下のB、2つ下の○○とC、家が近いだけで学年もバラバラ。
一生仲間であり続けると思ってなかった。
お前等がいなければオレの人生はもっと腐ってた。ありがとう。』
ここでノートとPCに綴られていた手記が終了。
71日目、オレが帰郷する1週間前(死亡推定日)の記録は無い。
隠しフォルダ内のファイルも殆どPASS付で暗号化されていたため、開くのに時間がかかったが、
殆どを開くと上記の事が分かった。
Bから送られて来たビデオのEの言葉はGW前にほぼ完成し、
『皆今までありがとう。これから遊べなくなってごめん。○県との県境は危険な場所がある。絶対に近づくな』となった。
死後もオレたちを気遣ってくれるEには悪いが、オレは原因となったであろう石棺が憎い。
ただ、この事を調べていると頭の中で警鐘が鳴る。
残雪の危険があるため、洞窟の調査は夏に行う事とする。
GWは下調べと道具の準備を行う。
『ビデオの中の友人-準備-』に続く
【ホラーテラー系】ビデオの中の友人
去年の夏に体験した話。
最初に言っておくけど、実話だから短いしつまらないかもしれない。
ただ、この体験は、今までずっと幽霊は居ないと思っていたのに居てもいいかな?って思うようになったきっかけです。
今は就職のため実家を離れてるが、正月と盆の長期連休で帰郷する。
帰郷すると幼馴染達と遊ぶのが習慣だ。
地元に残ってる幼馴染達は、普段ほとんど遊んだり連絡を取り合ったりしない。
夜に到着の連絡をすると、すぐに河原でBBQする事になった。
ワゴン車にAとビデオカメラ片手のBの2人が乗り迎えに来て、残りの連中は1人ずつ拾っていこうといつも通りのノリ。
翌日仕事が休みのC、Dも合流し、連絡が取れなかったEのところへは押しかける事になった。
ー・-・ー・-・
Aはオレ達より4つ年上で面倒見も良く、昔から皆の兄ちゃん的存在。
オレ達が中学の頃から車の免許を取り、彼方此方連れていってくれる。
特に野心や我が強いわけでも無く、存在感も薄め。
Bはお調子者だが、誰よりも幼馴染を大事にしてる。
幼少期から空手と少林寺拳法をやり、切り込み隊長的存在だが、ビデオカメラを購入してから後ろで撮影するようになった。
集まる時にビデオカメラを回すようになったのは就職してからだ。
曰く「幼馴染で集まる時は、オレにとって最も大切な思い出だから」だそうだ。
Cは小学校までオレ家の隣に住んでた女。引っ越してからもずっと家族ぐるみで仲が良い。
小6までは男勝りで一番活発だったが、その後髪を伸ばしたり女ぽくするようになった。
親どうしはオレとCが結婚すると本気で思ってる。
就職してからは、顔を合わせるたびに「式はいつ?」と聞かれる。
小さい頃を知っているので女として見ていないが、周りからの人気は凄く高い。
Dは常にフラフラしてる自由人。
18才になってすぐ、英語も喋れないのに持ち物全て売って「ベガスで人生の勝負かけてくる」っとアメリカへ。
全て負け、アメリカで1人浮浪者になりかけたツワモノ。
帰国後一言目が「航空券を往復で買ってなかったらヤバかった」。
Eは文武両道。とにかく頭がキレ、行動力、判断力共にずば抜けてる。
例えるなら、漫画に出るような完璧人間。
欠点は、昔からズバズバ言うので小さい衝突が多々ある。
Aとは対照的に野心も我も強い。
ー・-・ー・-・
車内で、
オレ「Aは相変わらず皆のアッシーだなw」
A「古!ってかアッシー言うな!迎えに来ないと、オレの家にバイクや車停めてくだろ」
A「そういえばE仕事辞めたらしいよ」
オレ「マジで?プログラムの仕事面白いって言ってたのに。今は何やってんだ?学年1の出世頭が勿体無い」
B「あ~、オレも聞いた。ぷーらしいよw」
オレ「まぁEの事だから、起業とか何か考えがあって辞めたんだろ。それか何かあったんだろ」
B「中、高と生徒会長までやって、大学も主席卒業するヤツだ、理由があるんだろ」
A「この歳でマンションをキャッシュで買っちゃうヤツだしなwオレなんかまだ実家だぜ」
D「なぁ○○(オレ)棒茄子って旨いの?」
C「○○ちゃんの匂いは変らないね♪なんか安心する」
オレ「C暑いからくっ付くなよ」
などと他愛も無い話をしてるうちに、Eの家に近づいた。
マンション前にEの姿が見えたので窓から呼んだが、聞こえなかったのか、
Eは安全確認のためにこちらを軽く見ただけで、マンションに入っていった。
その顔は少し痩せたようだが、間違いなくEだった。
マンション前に車を停め、オレ、B、C、Dの4人でEを呼んで来る事に。
部屋番号を押そうとすると、
Bが「Eはまだ部屋に着いて無いだろ。エントランスの扉って、管理用のコードで開くんだよ」っと、
簡単にエントランスの扉を開けた。(何故知ってるんだ?)
すぐ部屋に到着した。
相変わらずエアコンの温度設定は18℃のようだ。玄関の扉が結露している。
インターホンを押すと同時にドアを開け、4人で「E出かけるぞー!」っと叫ぶが反応が無い。
先ほどマンションに入っていくのを見てる。電気はついていて、エアコンもついてる。
階段を上っててエレベーターで抜かしたのかもしれないと、少し待つ事に。
数分経ってもEの姿が見えないので、中に居るのか?と上がることにした。
Eが愛用のココナッツ臭がする廊下を進む。
リビングの扉の前に来ると、Eの寝ている頭だけが見える。
オレが「居る居る」っと言いながら勢い良く入ると、Eはこちらに背を向けて横になってる。
一緒に入った3人も「オイ何しかとしてんだよ」などと言いながら、カメラのレンズを向けている。
騒々しいオレ達に反し、ピクリともしないE。
不穏に思い近づくと、Eは死んでた。
死後時間が経っていたのか、肌の色が変り腐乱しかけている感じだ。
形式的に冷たい首に手を添え、脈と呼吸を確認するも生体反応は見られない。
腑に落ちない。
オレ達はEを追いかけてこの部屋に来たのに、明らかに死んでから時間が経ったEの姿。
オレは死亡を確認後、警察と消防、Eの自宅に連絡。
オレの「死んでる」って言葉を聴いて、Bはカメラを持ったまま膝をガクガクと震わせてる。
Cはスカートの端を握り締めたまま崩れ落ち、イヤイヤしながらポロポロと涙を流してる。
Dは「何でだよ!さっき普通に歩いてただろ!」と叫んでる。
下で待ってるAに電話すると、『はぁ?何バカなこと言ってんの?さっきE居ただろ』っと信じる気配も無い。
信じないAに「今から警察と消防が来るから」とだけ伝えた。
程なく警察と消防が到着し、状況説明。
皆が口を揃えて「Eを追いかけて部屋に来た」と言うので、警察も???という状態だった。
Bが「オレ全部撮ってました」と、録画した映像を見せる。
そこにはヘッドライトに照らされたEの姿が映っている。
ショック状態のオレ達。
現場での聴取も終わり鑑識も到着。
オレ達はビデオカメラごと映像が入ったSDカードを押収され、後日連絡するとの事で開放された。
まだ落ち着きを取り戻して無いので、一先ずファミレスへ。
日が昇る頃に解散し、それぞれ帰宅。
Cはまだ1人になりたくないとの事で、オレと一緒にいる事になった。
後日、警察より事情聴取の連絡があったため出頭。
発見当時の状況や関係を話し、すぐに開放されたが、
死因は不明で、病死と殺人の両面で調べているが、不審な点が多いとの事。
思い当たる事は無いかと見せられた写真には、真っ赤に塗られ大量にお札を貼られた寝室など気味の悪い物もあった。
盆の連休も終わり、オレ達はEのショックも抜けないまま日常に戻った。
9月に入った頃、Eは病死として処理されたと連絡を受けた。
発見は死後1週間だったが、エアコンのお陰で腐乱していなかったそうだ。
その時オレは、これで終わると思っていた。
10月に入り、突如Bから電話が入った。
年末年始の長期連休も遠い時期に電話が来るのは初めてだ。
B『押収されたカメラが戻ってきたから、中を確認したんだけど・・・』
なにやら言い辛そうにしている。
オレ「Eのアレだろ?どうした?」
B『あの日警察と一緒に見たよな。あの時と映像が少し変ってるんだよ』
オレ「???電話だけだと分からないから、CDに焼いて送ってくれ。
あと、オリジナルデータが入ってるSDカードは、Eの最後の記録だから、そのまま保存してくれ」
B『ああ、SDカードを消す気無いよ。それよりCに言うなよ。まだ気にしてるはずだから』
(中学の頃からBがCを好きなのを知ってる)
届いたCDを見ると、Bの言う通り確かにあの日見た時と違う気がする。
Eは安全確認のためにチラっとこっちを見ただけだったのが、CDでは数秒間こちらをジっと見ている。
Bに「編集した?」と聞くも、未編集との事。
拡大したり、何度か見直しても新しい発見が無いので、そのままにしていた。
11月、またBからCDが届いた。
中の手紙に、
『またEの映像が変ってる。PCにコピーした方はこの間と変ってないが、SDカードの映像だけ変化してる』と記されていた。
確認すると、Eがこちらを向いて何かを喋ってるようだ。
声は無く何を言ってるのか分からないが、口が動いてる。
年末帰郷すると、幼馴染達が8人集まり、例年のようにお帰り会&忘年会&新年会を開いてくれた。
違うのはEがいない事だけ。
1/1の昼ごろ、12/31から続いた宴も終わり解散。
オレは一度実家に帰るとBの家へ。
Bの家で例の映像を確認するとまた変ってる。
聞き取れないが、少しEの唸り声のようなのが入ってる。
Eはオレ達に何かを伝えたいのかもしれない。
このままEの伝えたい事が分かるまで待つことにした。
今月(2月)届いた映像では、少し聞き取れるようになっていた。
E「皆・・あ・・がと・・遊べ・・ごめ・・・・県・・・に・近づく・・な・・・・・・」
現状ではまだココまでしか聞き取れない。
声が飛び飛びだから、最初お礼のように聞こえるのも聞き間違いかもしれない。
後半は死して尚オレ達を守ろうとしてくれているのか?
Eのメッセージは現在進行形で変化を続けてる。
もし霊がいて会話が出来るなら、Eに会いたい。
何を伝えたかったのか。何があったのか。
オレも伝えたい。
「ありがとう」と。
『ビデオの中の友人-原因究明-』に続く