【閲覧注意】怪談の森【怖い話】

実話怪談・都市伝説・未解決の闇・古今東西の2ch洒落にならない怖い話。ネットの闇に埋もれた禁忌の話を日々発信中!!

カテゴリ: 幽霊マンションシリーズ




1.とある山裾に造成されたマンション
2.マンションの非常階段
3.エレベーターホールで正体不明の悲鳴
4.変わった部屋
5.カリカリという音で目が覚めた
6.数日後
7.寝ていると姉に起こされた
8.部屋の中に入り込んできた
9.ゴミ袋
10.誰かの悪意
11.業界人に有名なマンション
12.新興宗教で悩んでいる人がいた
13.派遣先のマンション
14.みんな怖い思いをしてた
15.









216 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/03/30(月) 20:11:46 ID:iCx89N3g0
姉妹の引っ越しが決まった後、不動産の仕事をしている知り合いと話す機会があった。
彼女は私と友人(妹)との共通の知り合いでもある。
些か気になっていたことがあったので、丁度聞きたいこともあった。

 姉妹の入ってたあのマンションなんだけどさ、何か内装がおかしくないか?
 普通使わないような意匠とか、本来使われない家具が使われたりしてたぞ。

彼女はどうやらそのことを知らなかったらしい。
興味を持ってくれたのか、これについて少し調べてみると言った。

しばらくして連絡があった。
「あそこのマンション、確かに変な改装ばかりしているみたいだよ。
 特に八階、九階なんだけどね。
 すぐに開けられないといけないドアとかが、そうでない仕様になっているとか、
 酷いのになると勝手に間仕切り増やしてたり、壁に穴開けたりしてたみたい。
 うん、当然契約違反になるから追加で修繕費出して貰ったみたいなんだけど」

「風水的にもおかしなことしていたみたい。
 いや、今の住居における風水ってのは半分験担ぎみたいなところがあるんだけど、
 あそこのは何かそういうのと違うようなのよ。
 先生って綽名で呼ばれてる人がいるんだけど、その人が言ってたの。
 壁や間取り、色調や模様の改修なんか見てみると、何ていうか一つの癖が見受けられるっていうのね」

 どんな癖だって?

「癖というか、悪意みたいなモノを感じるんだって。
 家相というか家の気を歪めるとか、鬼門の位置を変えるようなって・・・
 詳しい話されてもこっちはわからないからね、よく理解できなかったけど」


217 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/03/30(月) 20:12:37 ID:iCx89N3g0
「あと変なことも言っていたなぁ。
 孤独を作り出そうとしている訳でもないだろうに、とか何とか。
 家の間取りで友達が出来なかったりすることもないでしょうにね」

 その人、確かに“コドク”って言ったのかい?

「よく覚えていないけど、多分そんな言葉を使ってたと思う。
 場違いだなぁと感じたから、何となく印象に残ってるよ」

私はその先生と呼ばれる人を知らない。
だからどんな知識を彼(彼女?)が持っているのかも知らないが、
ひょっとしたら先生は全然違う言葉を述べたのではないか、そう思えて仕方がない。

先生は“蠱毒”と言ったのではなかろうか。

確か大昔から伝わる呪法に、そう呼ばれたものがあった。
多くの毒を持つ虫を壺の中で共食いさせると、最後に残るのは最強の毒を持つ個体となる。
その生き残った虫を使役するのが、蠱毒という呪術だ。

しかし、ここで何故その名が出てくるのか。


218 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/03/30(月) 20:14:08 ID:iCx89N3g0
ここから先は、すべて私の妄想です。
そう思っていただきたいと思います。



・・・元々、祟りなどに由来のある場所に建てられたマンションがあった。
そこの部屋内に少しずつ手を加えた者がいる。特に上階の部屋に。
この地に彷徨う何かの流れを歪め、押し込めるように。

そういえば、彼女に部屋には、おかしなモノが下から上に抜ける、霊道みたいなものがあると以前に聞いた。
アレは他の部屋にもあったのではないだろうか。
それがある程度まで濃縮されたことで、これまで耳にしたオカルト的な出来事を起こしていたのではないか。

これは別の話で聞いたことだが、霊というモノは合体することもあるらしい。
最初は生前の姿を取るのだが、融合が進むと、段々手や足、顔などのパーツが増えていき、
また目や口なども歪んで人に見えなくなるのだと。

寝室に現れたという、足だけで出来たボール塊の話を思い出す。
アレは霊というかそのようなモノが、溶け合っていく最中の姿ではないのか。

彼女の姉が部屋から見下ろした駐車場にいた、黒い影。
見られて上がってきたそれを、何も知らない彼女が招き入れた。
この影は非常口標識みたいな形を取り、部屋から出て行ったらしいが、その後に他の所帯での怪事は治まっている。
アレは何かのトリガーだったというか、呪法の一つではなかったのか。
彼女の部屋で、何かを濃縮するための引き金。


219 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/03/30(月) 20:16:43 ID:iCx89N3g0
やがてその何かは、彼女一人にターゲットを絞る。
一度人の形を崩したモノが、また段々と、人の形を作り始める。

そして。

生きている人間に危害を与える力を持った時点で、最強の“毒”が完成した。

これを仕組んだ何者かは、出来上がった“毒”を回収し、何処かへ持ち去った。
だからマンションでの怪異は、もう起こらなくなった・・・



以上、全然裏付けも何もない、まったくの妄想でした。
実際、その先生が本当に蠱毒と言ったのかどうかも定かではありませんし。
調べる気もありませんし。

件のマンション、本当にパッタリと何も起こらなくなったそうです。
立地条件は元々便利な場所なので、現在は空き部屋もなく、非常に優良物件となっているのだとか。

私に直接の被害があった訳ではありませんが、非常に印象深い体験でした。
正直あまり関わりたくないような体験でしたが(汗)。

長々と続いたマンション話、これにてすべてのネタ終了です。
本日分のカキコに至っては、もう本当に想像だけですので、その旨ご了承下さい。

これよりまた、いつものパターンに戻ろうと思います。
それでは。









42 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/03/21(土) 15:47:35 ID:OlDPaXD80
妹が緊急入院したのだという。

職場で貧血を起こし、そのまま意識を失って倒れたのだと。
慌てて病院に駆け付けると、憔悴した様子の姉が迎えてくれた。
妹の方はベットで点滴を受けていた。
つい先程意識を取り戻し、今はまた眠っているのだそうだ。

「命に別状はないみたいなんだけど・・・」

そう言った姉は不安そうに言葉を続けた。

「お医者さんに調べてもらっても、理由がわからないっていうの。
 鉄分の欠乏による貧血じゃないかって言われた。
 血液中のヘモグロビンとかが異常に減少しているみたいで・・・。
 でも、いきなりなのよ。
 健康診断の結果でもいつも健康体だって、あの子太鼓判押されていたのに。
 取り敢えず増血剤の投与で小康状態になったから、しばらく様子を見ましょう、そう言われて・・・」

姉は途方にくれたような顔でそう告げた。
話を聞いて、嫌なイメージが頭に浮かぶ。

顔だけ老婆の着物姿が、彼女の上にのし掛かって、血を啜るイメージ。


43 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/03/21(土) 15:51:19 ID:OlDPaXD80
何とかその想像を追い払い、元気づけようと口を出した。

 いや、単なる貧血だろ。
 女性には実際、多いっていうじゃないか。
 最近オカルト事に振り回されてて、食生活でも乱れてたんじゃないのか。

姉はじっと私を見つめてきた。

「…本当にそう思う?」

思わなかった。
姉妹二人とも料理が達者で、味だけでなく栄養計算までしっかりとこなしている。
特に妹はそちら関係の資格まで持っていた筈だ。
またどちらも健康オタクの気があり、部屋にはサプリメントの類が山とある。
貧血の知識にしても、私などより余程詳しいだろう。

溜息を深く吐くと、一つ姉に確認することにした。

 知ってるか、夜中に変な老婆が出てたって。

「いや、聞いてるけど、私には全然見えないし。
 あの子もここ数日は口にも出していないよ」

 あの老婆な、色が変わってたんだって。
 真っ白だったのが、日を追う毎に、真っ赤に染まっていってたんだと。
 血でも吸われてるんじゃないか、妹のやつ。


44 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/03/21(土) 15:54:29 ID:OlDPaXD80
姉は色のことは知らなかったらしい。
私から事の顛末を聞いて、顔が蒼白になる。

 まぁ、流石に吸血鬼みたいなモノが存在してるとは信じてないけど…。
 でも何か関係あると思うぞ、絶対。
 今直ぐにあの部屋を出ろって。
 幸い今、妹の症状は落ち着いているんだろ。
 今から部屋に戻って必要なものだけ取って、今夜からあそこで過ごすなって。

これまでになく強い調子で忠告した。
例の遠くを見るような表情はもう見られず、以外に素直に姉は同意してくれた。
どうやら妹が危機に陥ったことで、姉の憑き物は落ちたようだ。

「わかったそうする。でも怖いからついてきて」

 ・・・あ。俺、失敗したかも。俺も行かなきゃダメ?

しかしここは自分の忠告である。
仕方なく姉を連れて、あのマンションへと車を走らせた。

言い出しっぺは自分だが、堪らなく嫌だった。




74 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/03/23(月) 18:36:11 ID:IrGv8t+x0
マンションに着いたが、いざ車を降りて部屋に向かうのはかなりの勇気がいった。
いろんな噂を聞いているだけに、これは致し方がない。
時間は夜の九時を過ぎた辺り。当たり前だが、誰の姿も周囲には見えない。

心を落ち着かせ、仕事で使っている工具箱と道具を手に、ようやっと車外へ出た。
姉は怪訝そうに私の装備を見ていたが、特に質問はしてこなかった。
ホールに入りエレベーターを呼ぶと、姉はジト目で私を睨んだ。

「あのさー。誰かが・・・いや何かが乗ってたらどうするの?」

 大丈夫だろ、多分な。

何となく、そんな予感がした。
マンションの他の部屋でも、怪しい出来事は治まっていたと聞いている。
・・・怪異を起こしていたモノは、ほとんどが姉妹の部屋に集っているのだろうから。

そのまま何事もなく七階に着く。
部屋の前に立ち鍵を取り出していると、聞き慣れた音がした。

 カチンッ

中には誰もいない筈なのに、鍵が独りでに開いた。
姉が「どうしよう?」という顔でこちらを見る。
私と言えば、全身に鳥肌が立っていた。
話に聞くだけというのと、いざ実際に目の当たりにするというのでは、怖さのレベルが全然違うのだと実感してしまう。


75 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/03/23(月) 18:37:45 ID:IrGv8t+x0
しかし、いつまでもそこで立ち往生している訳にもいかない。
ゆっくりとドアを開けて、電気を点けた。
やはり中には誰の姿も見えない。
ヒンヤリとした空気が流れ出してくる。

部屋に入る前に、ドアに挟まるような位置で工具箱を床に置く。
これでドアがカッチリと閉まることはない。

「何してるの?」
姉が不思議そうに聞いてくる。

 中に何がいるのか知らないが、ドアの鍵が開けられるということは、
 逆に鍵を閉めることも可能なんじゃないか、って思って。
 俺、こんな時間にこんな所に閉じ込められたくないし。
 ・・・まぁ、まず、そんなことは起こらないと思うけど。

今考えると、最後の台詞は、多分に願望が入っていたと思う。

「・・・聞くんじゃなかった。
 今の今まで思い付きもしなかったよー」

姉は心底ゾッとした表情で嘆いた。
とにかく覚悟を決め、二人で恐る恐る中に入ることにした。

拍子抜けするほど、別に何も怪事は起こらなかった。
ただ、なぜか部屋内の気温がひどく低い。
まだ夏だというのに、足の先から震えが上ってくる。


76 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/03/23(月) 18:39:33 ID:IrGv8t+x0
何にせよ、長居したくない雰囲気であるのは間違いない。
姉は初めこそオドオドとしていたが、やがて落ち着いたのか、事務的にテキパキと荷物をまとめてだしている。
私は部屋についているドアというドアをすべて開け、固定していた。
何かあった場合、直ぐに飛び出せるように。

しばらくしてから、姉が何か言いたそうにこちらを見た。
終わったの?と聞くと

「後一つだけ。持っていきたい写真があるん」

 持っていけばいいじゃない。
 待っているから早くしなよ。

「それがね、トイレの中にあるんよ。タンクの上」

言いにくそうに口にした。

 ・・・何で大事な写真をトイレに置くんだよ。

愚痴りたくなったが、あまり男らしくない行動に思えたので、黙ってトイレに向かった。
あ、嫌な予感がする。

トイレに着き、入ろうとドアに手を伸ばすと、またもや音がした。

 ガチャリ

やっぱりだ。鍵を掛けられた。


77 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/03/23(月) 18:41:36 ID:IrGv8t+x0
深呼吸をして気持ちを落ち着かせ、ドライバーとピンを取り出す。

幸い、このタイプのトイレドアは仕組みも構造も知っている。
間もなく、ハンドルを内部の鍵ごと取り外すことに成功した。
タンクの上に置かれた姉妹の写真を手にトイレから出てみると、姉は呆れた顔をしていた。

「あんた、泥棒になれるんじゃない?」

 俺がバラせるのは、あくまでも室内の簡単な錠だけだから。
 ちょっとした裏技みたいなもんだから。
 荷物はそれで全部かい?
 じゃあもう出るぞ。

・・・本当のことなのだが、どうしてか自分でも言い訳めいて聞こえてしまう。

ドアノブを元に戻し、入り口の工具箱を回収し、エレベーターで一階まで下りた。
来た時と同様、特に何も起こらなかった。

有り難いといえば有り難いが、不安といえば不安である。
何となく、後ろを誰かが着いてきているような気がして仕方がなかった。

その感覚は車を出して、走らせている最中もずっと続いていた。


88 :本当にあった怖い名無し:2009/03/23(月) 23:45:05 ID:szwkBT2D0
雷鳥なる人物の書き込みは嫌いでもないから普通に読んでたけど、
>>77のトイレのドアのくだりはいただけないな・・・。
大概の家のトイレの鍵は、中で人が倒れて開けられなくなると困るから外からマイナスドライバーで開けられるはず。
ドアノブはずさなくても開けられるはずだよ。
みんな、自分ちのトイレで試してごらん。




123 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/03/24(火) 21:25:13 ID:WZDMLMy80
取りあえず、姉を場末のホテルへ送り届けた。

ごく普通のビジネスホテルだが、先程まで滞在したマンションに比べれば、まるで極楽のようにくつろげた。
何より空気が軽い。部屋も明るく感じられた。

しばし話をする。
姉はもうすっかり、あのマンションを引き払う決意をしたようだ。
相談の相手になりながら、心底ホットする。
どうやら、もう二度と彼処には行かなくても良さそうだ。

引っ越しの段取りや、彼女の実家へ連絡をしたりしていると、急に寒気がした。
・・・いつの間にか、周りの空気が冷たく冷えている。

「幽霊の出る直前には気温が下がるって、そう言えば誰かに聞いたなぁ・・・」
そんな碌でもないことを思い出していると、突然、部屋の隅で音がした。

 バタンッ!

二人ともびっくりして飛び上がる。
必死で抱き付いてきた姉を背中に庇いながら、音のした方へ目を向けた。

冷蔵庫の扉が引き開けられていた。


124 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/03/24(火) 21:25:54 ID:WZDMLMy80
どこのホテルでもある、冷凍庫のない小さな冷蔵庫だ。
すぐ中にストッパーが付いていて、コーラ等の飲料缶がそこで止まっている。
グイッと引き出せば、チェックアウトの時に精算されるタイプの奴だ。

しばらく様子を窺ったが、それ以上は何も起こらない。

「前に利用した人が、よく閉めていなかったんだろな」
そんな軽口を叩きながら、二人揃って苦笑いを浮かべた。

「まったく驚かせてくれるわね」
姉はそう言って立ち上がると、扉を閉めようと冷蔵庫へ向き直った。

次の瞬間。

バラバラバラッと、中に収められていた飲料が吐き出されてきた。

呆然とする私たちを尻目に、飲み物はすべて床の上に転がった。
ペタンと腰を落とした姉を避け、冷蔵庫を調べてみた。
ストッパーは硬く、かなり力を込めないと中身が出せない構造になっていた。

一体何が缶やペットボトルを引っ張り出した?
いや、それとも押し出したのか。
いくら考えても答えは出なかった。




126 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/03/24(火) 21:38:22 ID:WZDMLMy80
え~、雷鳥です。
取り敢えず、この姉妹に関するマンションのエピソードはこれで全部なのです。
尻切れトンボみたいですが、まぁえてして現実ってのはこんなモノですねぃ。

この後、即行で引っ越しを済ませた姉。
一週間程度で復活すると、先に引っ越した姉の元へ転がり込んだ妹(友人)。
新居でも、時偶今回のようなポルターガイストちっくな現象があったみたいですが、どれもすぐに治まったようで。
現在は二人とも元気に過ごしております。
この時の影響かどうか、何やら引っ越し癖が付いているみたいですが(苦笑)。

自分も「コレでやっと縁が切れたよホント」などと考えていたのですが。

いや、正確に言うと縁は切れています。
ただ気になることがあって、少し調べてみたのですよ。
ああ本当に余計なことを・・・。

何が気になったかというのは、正に>>88でID:szwkBT2D0さんが指摘されたことだったりします。
(あまりにも的確な指摘だったので、当時話を聞いていた関係者か?と一瞬疑ってしまいました)

トイレのドアがですね、何故か普通の部屋などに付けられるタイプの、飾り気無い代物だったのですよ。
前に「姉が入ろうとするとトイレのドアが閉められる」というエピソードを書き込みしましたが、
その時も呼ばれて、自分が確認していたのです。

「あれ?これおかしいぞ?」と姉妹には話したのですが、
大家に談判するのも面倒くさいということで、二人ともスルーしていたみたいですが。


127 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/03/24(火) 21:45:55 ID:WZDMLMy80
それから少し気を付けて内装や据付家具を見ていたのですが、
何というか、どことなく奇妙な取り合わせがそこかしこに見受けられまして。

他の部屋に入ったことのある業者仲間に聞いてみたところ、部屋によって色々と違いがあることまでわかったのですが。

前の話にも出て来た、不動産関係のお姉さんから、

 え~~~・・・?

みたいな話も聞きまして。

いや、確証はない話ばかりなのですよ。
ただ、何か凄く不気味というか嫌というか・・・。

と言う訳で、明日以降に書き込む予定の話は、すべて私の脳内で補完された妄想だということにしておいて下さい。
本当に想像の域を出ないんで。

そんな類の話は嫌いだという方には、予め断っておきます。
どうかスルーして無視してやって下さい。

『変な改装ばかりしているマンション』に続く







12 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/03/16(月) 21:14:08 ID:8SM5XBnN0
友人の話。

彼女ら姉妹の部屋であれだけ頻繁に起こっていた怪事が、サッと鳴りを潜めた。
丁度夏に入る頃だったという。
世間話がてらご近所に聞いたところ、彼らの家でも静まったらしい。
「誰かお払いでもしたのかな?」
何にせよ、騒ぎが起こらないに越したことはない。
それから少しの間は、ごく平穏な日常を過ごせたのだそうだ。

暑さが日に日に辛くなってきた頃。
夜中にふと目が覚めた。何か物音が聞こえたような・・・。
手元灯を点けてみたが、部屋にいるのは自分と姉だけだ。
ぐっすり眠っている姉を確認し、明かりを消そうとした時。

部屋の隅から何か出てきて、目の前を横切った。
白い足型の物体。草履の底みたいに見えるもの。
それがトストスと軽い音を立てて、壁の中へ消えていった。

見なかったことにして明かりを消し、眠りについたのだという。


13 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/03/16(月) 21:15:00 ID:8SM5XBnN0
その夜から、毎日のようにそれが枕元を通り抜けるようになった。
決まっているかのように、現れるのはいつも深夜一時過ぎ。
日に一度だけ枕元を通り過ぎる。

それが出るようになって五日目、渋る姉を何とか説得して、一緒に目撃してもらうことにした。
息を殺して時間を待つ。

時間通り、その日もそれは現れた。
壁に溶けて消えた時点で、姉に「見たでしょ!アレ一体何だろ?」と話を向ける。
しかし姉は奇妙な顔をしてこう答えた。
「音は確かに聞こえたけど、私には何も見えなかったよー?」

「どういうことなんだろねー?」
これまでは同じモノが見えていた筈なのに。
二人で首を傾げたそうだ。

この話を聞かされて、私は嫌な感じを覚えた。
マンションに出る何かが、ターゲットを友人一人に絞ったかのような、そんな気がして仕方なかった。
口に出しては言わなかったが。


14 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/03/16(月) 21:15:41 ID:8SM5XBnN0
それから少し後、友人から連絡があった。
「一時十分のアレね、だんだんはっきりと見えてきたよー。
 少しずつ厚さが増してきてね、今では白い足袋になったん。
 そう、着物の時に足に履くやつ。
 足首から下だけが相変わらずトストスと歩いてる」

前から散々言ってるけどさ、直ぐにでも引っ越してそこ出ろよ。
手伝うからさ。よく知らないけど取り憑かれてからじゃ遅いぞ。

そう進言したところ、彼女の目が急に泳いで、遠くを見るような表情になる。
「んー、考えとく」とそれだけ口にして、別の話題を始めた。

別の場所で、姉にも引越しを進めてみたが、妹と似たような表情でかわされた。
・・・あー、これはもう憑かれてるんかな・・・。
ふとそう思ったが、所詮は他人だ。どうすることも出来ない。
オカルトっていうのは、実際どこにも相談する機関が無いのが厄介だと実感した。

何かあったら連絡くれ。それだけを念押ししておくのが関の山だった。




22 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/03/18(水) 20:26:36 ID:bm7imf4m0
それからもちょくちょく、友人から報告があった。

「今ね、膝まで見えてるん」
「昨晩は背中まで現れてた。帯止め可愛かったよー」
「肩まで出てきた。もう少しで全部見えるかも・・・」

総じて考えると、白い着物姿の少女の姿が、足元から徐々に積み上がっていっているようだ。
小学校の低学年くらいの背丈らしい。髪は腰の少し上まである。

お前怖くないのか? 聞いてるこちらは気持ち悪くてどうしようもないんだが。

「んー、あまり。そう言えば何でだろうね、以前はすごく怖かったのに」

嫌な感じだけが、夜毎夜毎に増えていった。


23 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/03/18(水) 20:27:58 ID:bm7imf4m0
そんなある晩、寝ていたところを携帯の着信音で起こされた。
見れば友人からの電話だ。
寝惚け眼で、どうした?と聞いてみた。

「今ね、さっきね、ついに全身が現れたん!」

興奮した声が耳元で響く。
何故だろう、急に目が冴え、嫌な汗が噴出した。

「それでね、いつものようにトストス歩いて過ぎたんだけど。
 今日は何故か、少し進んだ所でピタッと立ち止まって。
 これまでなかった行動だから、ビックリして動けないでいると、
 いきなりその子が振り向いたんよ!」

「そしたらね、顔がね、顔だけが、皺くちゃのお婆ちゃんだったの!
 背格好は子供なのに。
 ニヤァって気持ち悪い笑み浮かべて、そこでパッと消えちゃった。
 うー、気持ち悪いよー!」

その後も彼女は何か大声で訴えていたが、詳しくは覚えていない。
ただただ、嫌な感じだけが私の背中を這い登ってきた。
とにかく早く会話を終わらせて、その電話を切りたかった。


24 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/03/18(水) 20:29:58 ID:bm7imf4m0
それからも定時になると、着物姿は枕元を通り過ぎていたという。
全身が見えるようになってはいたが、それ以外は何も変化がなかったらしい。
直に彼女も無視して構わなくなっていた。

一週間ほど経って、再び奇妙な夜の電話があった。

「あのね、あの顔だけがお婆ちゃんの幽霊がね、変なの。
 上から下まで髪以外は真っ白だったんだけど、それが足の先から、段々と色が着いてきてるみたいなの。
 今はほぼ足首から下が真っ赤な状態だよ。
 これって何かの前触れなのかな?」

こちらに相談されてもわかる訳がない。
しかし赤色というのが気になった。
聞けばその赤は血の色にそっくりで、何となく嫌な雰囲気なのだそうだ。

老女が腰まで朱に染まったという電話を最後に、友人からの夜の電話は途絶える。
何となく、こちらから連絡するのは躊躇われた。

姉から緊急の連絡があったのは、それから四日後だった。











394 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2008/01/15(火) 23:56:25 ID:nVGDREFi0
友人が呼び鈴に応じ、ドアを開けてしまってから三日後。
姉妹の部屋で異変が起こった。
置いてある物が、空に浮かび上がって飛び回り始めたのだ。

「うひゃぁ!」「ひぃ!」

などと悲鳴を上げながら、頭を庇って外廊下へ飛び出した。
驚いたことに、廊下に出て来たのは二人だけではなかった。
隣近所の住民が、皆外へ飛び出している。
聞けば、やはりどの家でも、ポルターガイストのような現象が起きたらしい。

「管理人呼びましょうか?」
「いや、どちらかと言えば御坊さん呼んだ方が」
「神主か牧師の方がいいのかしら」

怪現象が追ってこない外の廊下で顔を付き合わせ、そんな不毛な会話をしてしまう。
ま、部屋にはとても入れないしね。

皆でしばらく悩んでいると、部屋内の騒音がパタッと止んだ。

「あぁ、治まったみたいだ」
「明日早いっていうのに、とんだ迷惑だな」
「火、消してたかしら」
住民は口々にそんなことを言いながら、平然と自分の部屋に戻っていく。


395 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2008/01/15(火) 23:57:06 ID:nVGDREFi0
「何というか、みんな慣れてきているなぁ」
「私らもだけどね」

姉妹も部屋に戻ることにする。
物が散乱した光景を見て、二人揃って溜息を吐く。

「誰が掃除するのー?」
「あたしら以外にいるっていうのか?」

嘆いていると、周りの空気の雰囲気が変わった。
また!? 慌てて外に出ようとした、その時。

「奥の壁にね、人型の影が浮き出したん。
 床から天井まで、ピッタリと頭から足が収まった細長い人影が。
 うーんとね、非常出口の表示灯があるじゃない。あの白と緑の。
 アレに書かれた人型、正にそのままの形してたよー」
「うんうん、ホントそうだったよね。
 頭の横に“非常口”って文字があったらピッタリな感じ。
 その影がね、そのままスゥーッと横滑りして、ベランダへ飛び出して行ったの。
 その後はもう騒霊騒動は起きてないから、アレが原因だったのねー」

・・・飯作ってやるから来いと呼ばれて、そんな話を聞かされてもなぁ・・・
二人の合作料理を食べながら、頭が痛くなった私だった。




396 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2008/01/15(火) 23:58:42 ID:nVGDREFi0
姉の話。

妹より一足先に帰ってき、玄関のドアを開けようと鍵を取り出した。
鍵を差し込むより早く、「カチンッ」とロックが解除される音がした。
あれ? 妹の奴、もう帰ってるのかな。
ドアを開けると、そこは真っ暗闇。空気も動いていない。
これは間違いなく、中には誰もいない。

手早くドアをそのまま閉めて、施錠する。
今夜は知り合いの家へ泊まりに行こう、うん、それが良い。
・・・あ、妹どうしよう・・・

ま、いっか。あの子、私と違って手握られたりしてないし、大丈夫でしょ、多分。

実際に被害に遭っていた姉としては、もうとても中に入る気がしなかったという。
サッサと駐車場に下りて原付に跨り、マンションを後にした。

その後も、先取りして鍵が開けられた日は、妹を置き去りにして外泊していたそうだ。




397 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2008/01/15(火) 23:59:49 ID:nVGDREFi0
姉の話。

休日、家に一人でいた時。
トイレに入ろうとして、ドアノブに手を掛けた。
掛けた瞬間、「ガチャリ」と中から錠が下りた。

 ふえっ!?

慌ててガチャガチャとやってみたが、どうやってもドアは開かない。
仕方なく、下の広場にある公園のトイレに向かったのだという。

何でトイレ(小)のためだけに、七階を上り下りしなくちゃいけないのー!?

ムカムカしながら部屋に帰ってくると、まるで彼女の到着を見計らったかのように、トイレのドアが「ガチャリ」と鳴った。
手を掛けて確認してみる。開いていた。

嫌がらせなのー!?

思わず知人友人に電話を掛けて八つ当たりしてしまう。
・・・される方の身にもなってほしい。

その後も、トイレ嫌がらせは時々あって、その度姉は自室と公園を往復していた。
ちなみに私への八つ当たりも、その都度行われていた。








エンコ』の続き


319 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2008/01/13(日) 22:13:25 ID:QXhTqPOj0
友人の話。

このマンションでのオカルト騒動が始まってから、しばらく経った夜のこと。
帰宅してきた彼女は、ホールの掲示板に貼り紙がされてあるのに気が付いた。

『屋上への非常ドアが開いていたら すぐ管理人に連絡して下さい
 絶対に屋上へは上らないようにして下さい』

確か屋上へのドアって、常に施錠されている筈だったけど。
そう思いながら部屋へ帰り、夕食の支度に掛かる。
やがて帰ってきた姉に、貼り紙の話題を振ってみた。

「うーん、まず閉まってるモンなんだけどね。
 聞いた話じゃ、最近、時折開いてるのが最上階の住民に見られてるらしいの。
 開いてるの見掛けたら、あんた上ってみる?」

まさかー。怖くて近よれないよ。

「でしょ。でもね見た人の話じゃ、一瞬フラフラッと上りたくなるんだって。
 で二、三歩近よってから、我に返って逃げ出したんだってさ」

屋上から飛び下りた人って、いないよねー?

「うん、まだいないねー」

姉の微妙な返答に、言葉を詰まらせた友人だった。




320 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2008/01/13(日) 22:13:56 ID:QXhTqPOj0
妹「この前ねぇ、変な悪戯があったよー。
  夜中に玄関の呼び鈴が鳴ったの。
  はーいって出てみたけど、誰もいないのね。
  でも、おかしいの。玄関のすぐ傍にいたから、間髪入れずに対応した筈なのに。
  うちの位置から言っても、逃げる暇なんかないと思うんだけどな。
  夏だっていうのに、ドア開けると肌寒い空気が流れ込んでくるしぃ。
  そんな風に、最近、疲れること多いんだー」

姉「ベランダで洗濯物取り込んでいると、時々下の駐車場に影が見えたのね。
  大体夕暮れ時が多かったからはっきりとは見えなかったけど。
  それがさ、この前見上げてきたから、ふっと目と目が合ったのよ。
  いや下の方だから、目なんて確認できなかったけど、アレは合ったね。
  間違いない。一瞬だけどはっきり実感したもん。
  でも、それから影を見なくなっちゃった。
  私がじろじろ見てたから、バツが悪くなって引き籠もっちゃったかな?
  あそこで散歩とかしてる人だったら、悪いことしちゃったかしら」

このような会話を、姉妹別々の場所で私は聞かされた。
以前、ホタル族の住民から聞いた話を思い出す。

・・・あー、開けちゃったんだ、ドア・・・

その話、姉妹に聞かせるべきか聞かせないべきか、たっぷり三日悩んだ私だった。




321 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2008/01/13(日) 22:15:27 ID:QXhTqPOj0
真夜中、息苦しさを覚えて目が覚めた。
何かが自分の上に覆い被さってきたかのような、そんな圧迫感。
ここ最近、こんな嫌な感覚を頻繁に覚えるようになっていた。
疲れてるのかなー、と思いながら首や肩を回していると、耳にブツブツと何か聞こえた。

ボソボソと囁く、誰かの声だ。
一瞬にして寝惚け眼が覚めた。身を固くして寝室を探る。
どこから聞こえてくるのー?

声の主はすぐに判明した。
姉だ。くーくーという軽い寝息の間間で、時々ブツブツと何か呟いていたのだった。
お姉ちゃん、変な寝言喋ってるなー。
何言ってるんだろうと耳を澄ましてみたが、どうも内容が理解できない。
しかし不思議なことに、何処かで聞いたことがある言葉の調子だった。
微かな声に神経を集中させるうち、やっとその正体に思い至った。

御経だ。ブツ切りなので中々わからなかったのだ。
聞いた覚えがあるのも当然である。
気持ち悪いなーと思ったが、寝起きの姉は凶暴だ。
気にしないことにして寝ることにした。

気持ち少しだけ、布団を離してから。


322 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2008/01/13(日) 22:16:20 ID:QXhTqPOj0
翌朝、先に起きていた姉に、昨晩のことを話してみた。

「嘘っ!私は全然知らないよ。
 大方、あんた寝惚けて、変な夢でも思い違いしてるんじゃないの?」

「そうかなー・・・聞いたんだけどなー。
 でも確かに、お姉ちゃんが正確な御経なんか唱えられる訳無いモンね。
 やっぱり思い違いかなー?」

「いや、唱えられるけど」

「嘘っ!?」

「安芸門徒舐めないでよね」

姉は平然と言ってのけたそうだ。
「・・・私も一応、浄土真宗安芸門徒なんだけどなぁ」
彼女はそう言って、肩を竦めた。

それからも度々、夜中に目が覚めると、姉が御経を唱えていたという。
「何かねー、私が嫌な圧迫を感じると、決まってお姉ちゃんが念仏唱えてるの。
 私の息苦しさって、実はお姉ちゃんが原因だったりしてー」


323 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2008/01/13(日) 22:16:59 ID:QXhTqPOj0
友人が冗談めかして笑って言うのに、思わず冷静に突っ込んでしまう。
いや、実際にそうだと思うぞ。多分それ、姉さんが原因だろ。

「何でよー?」

変なモノに好かれてたのは、どちらかと言えば姉さんだろ。
ほら、靴箱の中で握手されたりしてたじゃないか。

「あー、そう言えば確かに」

だから思うに今回の件も、その重苦しい気配だか何だかしらないが、まず姉さんの上に乗っかるんじゃないか?
で、追い払おうと無意識に有り難い御経を唱えてるんじゃね?

「ふーん・・・って、アレ? それじゃもしかして」

うむ。姉の上から逃げ出したソレが、隣で寝てるお前さんの上に移動したってコトじゃないのかな。

呆然とした顔で「・・・御経、学ぼうかなー」ようよう、それだけを口にした。

遅いんじゃないの。何も考えず、反射的にそう口にしてしまう。
彼女はその後しばらく、私からの電話に出てはくれなかった。




324 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2008/01/13(日) 22:30:41 ID:QXhTqPOj0
おこんばんはー、雷鳥です。
長らく続いてしまったマンションの話、そろそろ最終であります。

恐らく>>320のエピが引き金になってしまったんでしょうが、これ以降、友人姉妹はエライ目に遭っちゃいました。
といっても、主に妹の方ですが。
私も胃なんか痛かったッス。
まぁ現在ノンビリとカキコ出来る身分になってるというのは、もう憑かれてはいないんだろうなぁ、と判断してもいいかと・・・。

まぁラストまでマイペースで行きますので、良かったら時間潰しにでも見てやって下さいな。そりでは。







対策』の続き


204 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2008/01/07(月) 23:29:23 ID:XiMVgNU+0
私の同僚で、磯釣りに嵌っている者がいる。
釣具屋に入り浸り、ついにはそこの常連と有志で、釣り大会を開催することになった。
何故か釣りをしない私まで、手伝いとして駆り出される羽目になる。

常連客の中に大学の先生が居るのだが、その人が友人を一人連れてきた。
「こいつも釣りが好きでね。一番得意なのは坊主釣りだ」
「抜かせ。坊主はお前の方が多いだろうが」
中々に愉快な初老のコンビだ。

気に入られたらしく、色々と四方山話をしてくれた。
聞けばこの友人の方、地元の郷土史家もやっているらしい。
「史家ってほどのものじゃないがね。
 早めに定年しちまったから、好きなことやらせて貰ってるよ」
私も好きな方なので、そちらの話で盛り上がった。

どういう流れだったのか覚えてはいないが、話の流れが地元の妖怪伝承になった。
いやまあ、そっちへ誘導してしまったのは、間違いなく私だろうと思うが。
「エンコってのを知ってるかい?」
史家が問うてきた。
「ここらでいうエンコウ(河童)のことですか?」と返すと、
「まぁ似てるんだがちょっと違う。いや、出自は一緒なのかもしれん。
 エンコってのは幼子ほどの背丈でな。
 四本指で川の深い所に棲んでるってことで、元々はエンコウから連想されたんだろ」
「詳しくはありませんが、それはエンコウと考えてもいいんじゃないですか。
 ウの字が無いだけで、後はほぼ同一なんでしょう?」
「いや、エンコウは淵猿という別名があるほどで、古くから伝えられている妖怪だ。
 夏は水に潜って淵猿になり、冬は山に籠もって野猿となるって輩ども。
 儂の言ってるエンコってのはそんなに古くない。
 おまけに、こいつを産み出しちまったのは、実のところ人間なんだわ」


205 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2008/01/07(月) 23:30:15 ID:XiMVgNU+0
「これは○○辺りの山奥の話らしいんだが、そこらはひどく貧しかったみたいでな。
 間引きなんかも珍しくなかったそうだ。
 良心の呵責があったせいかどうかわからんが、間引く際にけったい(奇妙)なことをしていたらしい」
「けったいなこと?」
「赤ん坊の指を、一本欠いてから間引いてたって。
 で、その亡骸を集落近くの、一番深い淵に沈めてた。
 『これは人間じゃねえ、エンコなんだ』って、そう自分に言い聞かせてから、事に及んでたんだろう。
 どこからかエンコウの話を聞いてきた衆が、似たような物の怪をでっち上げて、間引きに利用してたって、
 詰まるところそういう話だ。
 だからここで言うエンコってのは、元々河童や淵猿なんかじゃない。
 紛うことなく人間だった存在なんだよ」
「・・・何とも辛い話ですね。人を妖怪に仕立てて間引きしていたんですか」
「いや、内容がアレだから大きく喧伝されないってだけで、こういう類の伝承は各地に残されてる。
 間引き自体はそう珍しい話じゃないしね。
 ところがこの山村じゃ、話がここから更に変な方に転がっていくんだな。
 子供を沈めてた淵、その周りで、本当にエンコが出るって噂になったんだ。
 いや、エンコの所為にして間引きを始めてからどれほど後に、
 そんな目撃談がされるようになったのかはわからんが」


206 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2008/01/07(月) 23:31:48 ID:XiMVgNU+0
「集落の者たちは戦慄したことだろうよ。
 エンコなんてモノは元々いなかった筈なのに、実際に目撃されるようになった。
 怨霊の類だってすると、そりゃ他でもねえ自分たちが撒いた種だ。
 余所のエンコウや河童の昔話は、どことなくユーモラスなとこが見受けられるけど、
 ここのエンコ話は、えらく陰惨なイメージで語られてた。
 尻子玉抜いたりとか、悪さをしたってことは伝えられていないが、とにかく恐ろしい存在だってな。
 ま、やってたこと考えりゃ仕方のないことだけど」
「一つお聞きしたいんですが、○○って地名、今の△△って辺りじゃないですか?」
「何だ知ってたのか。それならそうと言えよ。バツが悪いじゃねえか。
 しかし、もう伝える者もほとんどいない話なのに、よく知ってたなぁ」

知らなかった。エンコなんて妖怪、それまでまったく知らなかった。
△△というのは、友人の住むマンションがある辺り一円の地名である。
まさかと思い適当に言ってみただけの話が、意図せず的中してしまった訳だ。
そうか。昔は山奥であったのだけど、今は開発されて、
マンションが立てられるような程良い山になってしまったということか。
沢山の黒い手形が、エレベーターの中に押されていたというエピソードを思い出した。
確か指が欠けたのも多いという話だったが・・・。
そして、仮設事務所の黒い手形や、結露した窓に押された手形の話も・・・。

エンコ、あの辺りにまだ居るのかもしれないな。
そんなことを考えている内、釣り大会は何事もなく終了する。
私と談笑した二人組は、残念ながら共に坊主であった。







』の続き



164 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2008/01/06(日) 20:47:19 ID:MSwVxYUX0
住民から聞いた話。

小さな子に夕飯を食べさせていた時のこと。
箸が滑って、芋の煮っ転がしが手元から落ちた。
そのままコロコロとテーブルの下に隠れる。
「あーもう。後で拾っとこ」そう考えて食べさせ続けた。

しばらく後、子供の食事もそろそろ終わる頃合い。
テーブルの下から何かが勢いよく転がり出た。
さっき落とした、煮っ転がしの芋が一つ。
誰かが勢いを付けて転がしたかのように、かなりの速度で床の上を転がってから椅子の脚に当たって止まる。

思わずテーブルクロスを捲って下を確認した。
テーブルの下には何も居なかったという。




165 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2008/01/06(日) 20:48:07 ID:MSwVxYUX0
住民から聞いた話。

「そろそろ寝ようかと思っていたら、子供が呼びに来たんだよ。
 犬がいるって。黒くて大っきい犬が。
 へェ何処に?って聞いたら、すぐ外のベランダを指差してね。
 下の駐車場にいるのかなって何の気なしにチラッと見たんだけど」

「黄色く光る二つの点が、こちら室内をじっと覗いてた。割と大きかったな。
 ギョッとしていると、スゥッと溶けるように見えなくなったんだ。
 サッシに飛び付いて確認したけど、ベランダには何もいなかった。
 ・・・うち、五階なんだよね。
 アレどう考えても生き物の目だったけど、何処から来て何処へ行ったんだろ?」

現在ベランダには、近くの神社で貰ってきた御札を貼ってあるのだと。
効果があるのか、以来アレは現れていないという。




166 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2008/01/06(日) 20:49:17 ID:MSwVxYUX0
住民から聞いた話。

彼女の旦那さん、お風呂に入っている時に、必ず歌を唄っているのだという。
「それも加山雄三ばっかり。♪海よ~俺の海よ~♪って下手っぴぃな大声でね。
 一人で入ってる時に限って歌ってるから、この前ふと尋ねたの。
 何で一人の時は唄ってるのって」

旦那あっさり答えて曰く。
「いやぁ、一人で頭洗ってるとサ。時々誰かが上から押さえてくるんだわ。
 こうグッとね。ちょっと怖いけど、頭洗ってるから目開けられないだろ。
 だから押さえるのが来たら、鼻歌唄って誤魔化してるんだ。
 試した中では、若大将が最強。すぐに居なくなる」

「・・・ちょっと何よそれ!?」

思わず問い詰めたが、旦那さんは肝心の犯人の姿を見たことはないという。
「だって見えたりしたら怖いじゃん。
 見ない振りして歌ってたら、向こうもすぐにどっか行くし。
 大体今のうちの経済状態って、余所の物件買い直す余裕なんて無いだろ」

これまたあっさりとそう述べた。

そいつが出ているのは旦那の時だけに限るようなので、結局、彼女も気にしないようになったらしい。
「鼻歌が聞こえる度に、あぁまた頭押さえ付けられてるなぁって思うのよ。
 何なのかしらアレって?・・・まさか女の幽霊じゃないでしょうね」

妬いているように見えたのは、私の気のせいだと思いたい。

エンコ』に続く








149 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2008/01/05(土) 02:35:34 ID:sMAuKL180
住民から聞いた話。

冬場、寝る前に窓を軽く拭いておこうとカーテンを開けた。
中で暖房器具を使っていると、結露が割と酷かったのだという。
特に鍋などをした時には、結構な水が窓に発生していたので、そんな日は拭き取っていたのだそうだ。

雑巾片手に窓と向き合い、ギョッとする。

丁度肩くらいの高さに、手形が押されていた。
押されたばかりのようで、まだ形も崩れておらず、くっきりと浮かんだ五指の跡から水が糸を引いて垂れている。
そこの家には幼い娘がいたが、手形は娘のものより随分と大きく、かと言って大人の自分たちに比べれば小さいものだ。

見なかったことにして、サッと拭って消したのだそうだ。

「実は、その後も時々見るようになったの。
 夏場は結露しないから、気付かなかったのかな。
 何か居るのかしら。もぉ窓とか、戸締まり確認は本当に欠かせないよ」

戸締まり?
「そ。幽霊でも何でも、入ってくると思うと嫌じゃない」
ふむ。でも意味ないんじゃないかな。いや泥棒には有効だろうけど。
「何で?」
だって、手形から水が垂れてたってことは、窓の内側から押されたってコトでしょ。
入ってくるも何もない、もう中に居着いちゃってるんじゃないの?

彼女は目を剥いて絶句していた。




150 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2008/01/05(土) 02:37:09 ID:sMAuKL180
住民から聞いた話。

夜中寝ていると、突然“ボコッ!”という音で目が覚まされた。
窓のすぐ外から聞こえたが・・・泥棒か!?
ゴルフクラブを手に、恐る恐るベランダを覗いてみた。
誰も居ない。他にも変わった様子はない。
しかしどうにも不安だったので、クラブを横に置いて寝たのだという。

翌朝、洗濯物を干しに出た奥さんが、慌て声で彼を呼んだ。

そこのマンションは、ベランダの隣家との境に強化ボードが貼られている。
火事の時等にぶち破って逃げ出せるよう、そんな構造になっているのだが―

そのボードの下から上へかけて、子供のものらしき足跡が付いていたのだ。
指の後がくっきり残っているところからすると、裸足で歩いたものか。
一カ所だけ、ボコリと凹んで穴が開きかけている。
まるで、途中で足を踏み外したかのように見えた。

・・・昨晩、どこかの家の子供が、うちのベランダで垂直に歩いていた?・・・

頭を振って馬鹿げた想像を追い払い、管理人に連絡した。
彼の家に子供は居ない。また、ボードのあちら側は現在空き家だ。
以上のことから悪質な悪戯だと思ったのだ。

管理人は腑に落ちないような顔をしながらも、ボードを取り替える段取りをしてくれたという。


151 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2008/01/05(土) 02:38:17 ID:sMAuKL180
間もなくリフォームの業者がやって来て、作業に入った。
空き室の方から交換を行ったのだが、交換中も頻りに首を捻っている。
何か不審な点でも? 作業に立ち会っていた彼が尋ねると、こう返された。

「いやね、こちらの部屋ってずっと空いてましたよね。
 以前の住人が出て行った時に、やはり自分が改修を担当したんですが。
 壁紙も天井クロスも貼り替えて、クリーニングも終えてる筈なんだけど・・・
 今回入ってみると、誰かが入り込んだ痕跡があるんですよ」

痕跡というと?

「床に埃が少し溜まってるんですけど、その上に幾つも残ってるんですよ。
 沢山の子供の足跡が。大人のものは一つもないんですが。
 一応掃除しときますね」

彼ら夫婦は今もそこで生活している。
夜中に歩く者はあれから出ていないが、どこか落ち着かないのだという。




152 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2008/01/05(土) 02:42:21 ID:sMAuKL180
住民から聞いた話。

「エレベーター乗っている時にですね、頭の上で音がしたんです。
 カツンッカツンッて、誰かが歩き回っているかのような、そんな音が。
 それまでにも、ここのエレベーターって変なコトかなり多かったんです。
 もう気になって気になって、すぐに管理人さんに連絡したんですけど。
 しばらくしてから、
 『駆動部の上に異物があったようで、取り除いたんでもう大丈夫です』
 って私に報告ありました。
 だから、あー、私の勘違いだったのかなぁって。
 まぁ確かに、普通あんな所歩いたり出来ませんよね?」

「その少し後に、丁度エレベーターのメンテの人と出会ったんです。
 それで、私の体験を話してみたんですよ、笑い話として。
 するとその人、こんなコトを言うんです。
 『あながち間違いじゃないかもしれませんよ。
  ここのエレベーター上に乗っていたのは、割れた位牌だったんです。
  何でそこに落ちていたのかとか、どなたの物だったかとかは、我々にはわかりませんがね。
  誰かに見つけてほしくて、位牌も一生懸命だったんでしょう』
 そうして、エレベーターに向かって手を合わせちゃって」

「思わず私も手を合わせちゃいました。
 でもあれから、変なコトは起こってないような気がするんですよ」

彼女はそう言って朗らかに笑った。

対策』に続く










105 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2008/01/03(木) 17:29:44 ID:TBYa9b350
仕事先で、顔見知りのお婆さんと再会した。
この人、つい先日まであのマンションに住んでいたのだ。
そんなに親しい訳でもなかったが、興味もあってちょっと話題を振ってみた。

「やっぱりみんな、怖い思いをしてたんだねぇ」
したり顔で頷いた。すると貴女も?

「私の部屋じゃ、声がよく聞こえてたよ。声の主は見えなかったけど。
 ほとんどが意味を成さないようなことばかりくっちゃべってた。
 “うー”とか“ありふりありぶり”とか、そんなのの羅列ばかり」
確かに意味不明ですね。

「それがさ、一回だけ明瞭に聞こえたんだよ。
 娘が初めて孫を連れて遊びに来た時のことなんだけど」
何て言ってたんです?

「“ご飯だ!ご飯だ!”って、狂ったようにそればかり繰り返してくれてね。
 何がご飯だい、こりゃ私の孫だってね。でも聞き入れりゃあしない。
 声が聞こえるのは私だけだし、まったくくたびれたよあの時は。
 それから直ぐにあそこを引き払ったんだ。負けたようで悔しかったけどね」

何と返したらいいのか、さっぱりわからなかった。




106 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2008/01/03(木) 17:30:22 ID:TBYa9b350
住民から聞いた話。

夜遅くに、自分の部屋で雑誌を読んでいた。
BGMとしてお気に入りのCDを聞きながら。
最後まで聞き終わったら、別のCDに変えるつもりだったという。

ふと目を上げて時計を見、違和感を覚える。
おかしい。雑誌を手にしてから小一時間は優に過ぎていた。
だのに、全曲で五十分足らずのこのCD、演奏が全然終わっていないのだ。
曲順を確認すると、まだ半分ほどしか再生されていないことになる。
途中でリピートでも掛かったかと思いプレイヤーを確認したが、ノーマルのままで何の設定もされていない。

聞き流していたけど、そういや、さっきからずっとこの曲を聴いている気がする。

不審と同時に興味を覚えた彼女は、そのままプレイヤーを眺めていた。
やがて曲が終わると、そのまま普通に次の曲へと移る。

と、プレイヤーの後ろ、壁との隙間から、白くて薄っぺらい物が滑り出てきた。
手だった。女のそれに見えたという。
指が器用にREWのボタンを探り当て、操作を行うと、またあの曲が頭から始まる。
手は満足したようにゆらりと一回揺れて、スルッと隙間に吸い込まれて消えた。

慌ててプレイヤーに駆け縋り、持ち上げてそこの一角を凝視した。
何もない。何の変哲もない床と壁の継ぎ目があるだけ。


107 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2008/01/03(木) 17:30:54 ID:TBYa9b350
ふと、これまでにあった奇妙な出来事を思い出す。
外出から帰ってくると、CDが掛かりっ放しになっていたことが、何度かあった。
自分が消し忘れたかどうかしたのだろうと考えて、あまり気にしていなかったが。
・・・ひょっとして!?

その夜の内に、白い手がお気に入りだと思われるCDを、全部棚の奥に仕舞い込む。
彼女自身のお気に入りもあったのだが、背に腹は代えられない。
加えて現在、使わない時にはCDプレイヤーのコンセントを抜いておくのだそうだ。
あの手がどれくらい知恵あるのかわからないけど、今のところは独りでに起動した形跡はない、そう彼女は言っている。




108 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2008/01/03(木) 17:31:23 ID:TBYa9b350
「あそこのマンションで、面白いっていうか興味深い話を聞いてきたよ」
知り合いがそう話し掛けてきた。
彼女は不動産関係に従事している者で、私と友人との共通の知り合いでもある。

「うちじゃあの物件扱っていないから、業界筋の話なんだけどね。
 あの子の上の部屋に問い合わせがあったらしいの。
 そうそう、少し前に飛び降りがあった部屋。
 担当は早いトコあの部屋を処分したかったみたいで、気合いを入れてたんだって」

不動産屋ってのも因果な商売だな。

「まあね。問い合わせてきたのは、私たちと同年代の女性だったらしいんだけど。
 この人、現地確認の時に猫を連れてきたんだってさ。
 『すいません、ここではペットは飼えないんです』って担当が断ったら、
 『ああ気にしないで下さい。私の猫じゃなくて友達の猫なんです。
  家を見る時には立ち会って貰ってるんです』ですって。
 奇妙に思ったんだけど、ならいいかって考えて、そのまま部屋に行ったのね」

「鍵を開けて中に招き入れた途端、フーッ!!って唸り声が上がったの。
 そう猫よ。腕の中に抱かれたまま、全身の毛を逆立てて唸ってたんだって。
 そうしたらその女性、それ以上部屋内に入らないままで言ったの。
 『御免なさい、私やっぱりこの部屋駄目です』
 で、そのまま帰っちゃって、この話は無かったことに」

猫、何か見えてたのかな?

「さぁ? 猫と話が出来る人じゃないとわからないわね。
 でもその時の担当も言ってたけど、その猫マジで欲しいなぁ。
 こっそり連れて行けるから、陰のアドバイザーとしては凄く優秀よ」

商売人の目になって、彼女はそう言った。

』に続く



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