【閲覧注意】怪談の森【怖い話】

実話怪談・都市伝説・未解決の闇・古今東西の2ch洒落にならない怖い話。ネットの闇に埋もれた禁忌の話を日々発信中!!

カテゴリ: 第弐回百物語系




第57話『約束』@ 葛◆5fF4aBHyEs 様
高校の頃はバスで通学していたのだが、一度だけ乗り過ごしたことがある
それもよりによって、用事があって遅くなり、最終バスに乗った日に限って

目を覚ましたのは、橋の袂だった
○○橋口、というバス停で慌てて飛び降りる
今思えばいっそ駅まで乗っていけば良かったのだが、その時はそこまで頭が回らなかった
民家はそれなりに立ち並んでいるが、コンビニなどは見当たらない
遅くなることは事前に伝えてあったのでそれを叱られることは無いのだけれど、帰る手段が無い
夜9時過ぎの住宅街は、さざ波のような静けさに包まれていた

時折微かに犬の遠吠えが聞こえてくる
親が『高校を卒業するまで携帯禁止』という方針なので、携帯は持っていない
公衆電話を探すと……あった。橋の目の前にシャッターの降りたタバコ屋があり、そこの角にひっそりと緑色の公衆電話が佇んでいた
親に電話を掛けて、乗り過ごしたことを伝える。
○○橋口のバス停に居ることを告げると、『20分くらいかかるよ』とのこと
電話を切って、バス停に戻る
人気はないが民家は多いので、あまり怖いとは思わなかった

しばらくそのまま堤防に寄りかかってぼんやり親を待っていると、
「あら!やっと来てくれたのね!」
嬉しそうな声が響いて右手側を見ると、女の人が立っていた


……10月の終わりなので肌寒いことは肌寒いのだけれど、ファー付きのコートを着るには早いような気がする
ファーのついた真っ白いコートは見るからに高そうだ
コートの下から少しだけスカートが見え隠れしているが、かなり短い。癖の強い金髪、派手めの化粧、ラメで飾られた爪、手にした赤いバッグは間違いなく皮製品だ
(……誰に話しかけてるんだろう?)
キョロキョロと辺りを見回す自分の腕を、彼女がいきなり掴んだ
まさかそんな行動に出られるとは思っていなかった
咄嗟に動けずに居る自分に、まるで腕を組むように腕を絡め、彼女が歩き出す
「ちょ、ちょっと!!何するんですか!」
ことここに来て恐怖心が理性を上回り、大声を上げる
……が、辺りの民家はしんと静まり返ったまま、物音一つ聞こえなかった
「離してください!誰か、助けて!」
女性なのにすごい力だ。振りほどくどころか、腕を圧迫されて手が痺れる
甘ったるい香水に混じって、なんだか変な臭いが鼻につく。泥水と生ゴミが混じったような、ドブの臭い
「早く早くっ。早くいこう?もー、来てくれないかと思ったわ♪待ちくたびれちゃった」
彼女は笑顔でそう言いながら、グイグイ自分を引っ張っていく
連れて行かれたのは橋の中央
そこで彼女は、こちらの身体を欄干に押し付け始めた

民家からは誰も出て来ない。交通量はそこそこある道なのに、それほど遅い時間でも無いのに車一台通らない
自分の悲鳴は虚しく夜の闇に吸い込まれていく
欄干は自分の胸くらいの高さしかない。彼女に押し付けられて、首から上が欄干から身を乗り出す
彼女の強い力で頭を押され、足が浮き始める
バタバタと暴れる自分と対照的に、にこにこと彼女は笑っている
「ひどいよね。あたし、彼が言うから貯金だって全部あげたし、子供だって堕ろしたのに。……ねぇ」

『一 緒 に 死 ん で く れ る っ て 約 束 し た よ ね ……』

その声に、ゾワッと全身が総毛立った
あの生臭い臭いに噎せ返りそうになる
彼女の声が一変した次の瞬間、

「……こんなとこで何してんの?」
迎えに来た親の声が響いて、自分は我に返った
気付けば自分は橋の中央で一人、呆然と立っていた
彼女の姿は無い
まるで、幻のように彼女は消えていた
他に車が来ていないとはいえ、橋の真ん中で立ち話をするわけにもいかない
フラフラと親の車に乗り込み、一部始終を話す
「……夢だったのかな」
そう呟く自分に、「襟、見てみ」と親が指摘する
言われて制服の襟を見ると、彼女の爪を飾っていた銀色の星が襟に付着していた



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第56話『カルタ』@ 葛◆5fF4aBHyEs 様
祖母がまだ小さかった頃の話だ
遊び道具なんてまだほとんど無かった時代、祖母は友人のMちゃん、Yちゃんと一緒にいろはカルタを手作りしたらしい
三人で読み札と取り札を作り、さあ遊んでみよう、となったそうだ
最初の一回は祖母が読むことになり、MちゃんとYちゃんが札を取ることになった

「い ぬも歩けば棒に当たる」
「はいっ」
「そ ですり合うも他生の縁」
「はいっ」「あ、取られた!」「あはははっ」

他愛も無いやり取りをしながら、あっという間に読み札は全部読み終わってしまった……のだが、何故か一枚取り札が残っている
「あれ?これ何だっけ」
Mちゃんが取り札を手に取るのにつられて、祖母とYちゃんも覗き込む

そこには○囲いされた ん の文字と、吊された骸骨の絵が描かれていた
首に縄をかけて吊された骸骨は、そう、まるで首吊りをしているようだった

「何これ、気持ち悪い」
「誰が描いたの?」
「私じゃないよ」「私でもない」「でも、私も描いてないよ、こんなの」

口々にそう言って否定し、三人で顔を見合わせる
やがてMちゃんが肩を竦め、「まあいっか」と札を屑籠に入れる

……Mちゃんが亡くなったのは、それから3日後
物置小屋で遊んでいて、紐が絡まったまま天井の梁から落ちたそうだ

その話を聞いた祖母は屑籠を覗いてみたが、あの取り札はどこにも見当たらなかったらしい




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第55話『出られないよ』@ 雷鳥一号◆jgxp0RiZOM 様

知り合いの話。

ある夜、彼女がそろそろ寝ようかと考えていると、携帯電話が鳴った。
すぐ近所に住んでいる友人からだ。
「トイレから出られなくなった、助けて!」という内容だった。

詳しい事情を聞くと、次のようなことを言う。
「トイレに入っていると、ドアがいきなりガタッと音を立てたの。
 驚いて開けようとしたんだけど、何かに押さえられているかのように
 どうやっても開かなくなってるの!」

「何とか開けようと悪戦苦闘していたんだけど、その時聞こえたの。
 『出られないよ』って笑う声が! もう恐くてドアに近寄れない。
 お願いだよー、助けに来て!」

取りあえず「落ち着け」と伝え、友人宅へ向かうことにした。
女一人では流石に不安なので、隣部屋に住んでいる男の後輩を叩き起こし、
一緒に行って貰うことにする。
到着すると、勝手知ったる鍵の隠し場所を探ってみた。
鍵はちゃんといつもの隠し場所にある。
誰かがこれを使って侵入した訳ではなさそうだ。

後輩と共に上がり込むと、トイレの方から啜り泣く声が聞こえた。
慌てて駆け寄ると、トイレのドアに色々な物がつっかえており、
中からはまったく開かないようになっていた。

二人で障害物を取り除くと、中から青い顔の友人が転がり出てくる。
「ありがとう! 本当に恐かったよー!」
泣きじゃくる友人を宥めながら、注意をする。
「トイレの前にこんなに物置いちゃ駄目だよ」と。
友人はキョトンとした顔になり、答えた。
「こんなに沢山の物、廊下に出しっ放しになんかしてないよー」

そこで、それまで黙っていた後輩が口を挟んできた。
「これって明らかに、つっかえ棒になるように誰かが置いてますよ。
 全部が全部、あんなにきれいに並ぶ訳がない。
 ちゃんと同じ長さの物を揃えてあるみたいだし」

後輩の言っていることが理解できると、二人は真っ青になった。

「やっぱり誰かが屋内に入り込んで、悪さしたんじゃないですかね。
 先輩、鍵を外に隠すのは止めた方が良いですよ、絶対」
真面目な顔でそう忠告してくれた。

「先輩も一応、女性なんですから」
一言多い後輩だった。

それからすぐに、友人は引っ越した。
屋外に鍵を隠すことも止めた。
その甲斐あってか、あれから恐い思いはしていないらしい。
しかし「今でも時々思い出して気持ち悪くなるよー」と言っているそうだ。

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第54話『靴』@ 葛◆5fF4aBHyEs 様
上司が家を建てたというので、手土産を持って挨拶に行った
自分の家からはそう遠くない小綺麗な新興住宅地は、未だ分譲中や造成中の物件が多く、あちこちに不動産屋ののぼりがはためいていた。
上司の家を訪れると、「上がっていけ」と勧められる
「君がこの近くに住んでいるとはなあ」
これで酔っぱらった時も送ってもらえるから安心だな。そう言って豪快に笑う上司を、奥さんが軽くたしなめる
豪快な上司とは真反対の儚げな奥さんは、すごく美人だった
二人、息子がいるそうだが、既に大学生と社会人で、どちらも家にはいないそうだ
世間話をしてお茶をいただいた帰り際、玄関で靴を履いていると、靴箱の上に飾られた一足の靴が目に止まった
子供用の小さな靴だ。黒いエナメル質に、イミテーションの宝石がふんだんに散りばめられたピンクのリボン。リボンの真ん中には大きめのガラス玉
「可愛い靴ですね」
ピアノの発表会にでも履いていったら良さそうだ
多分、自分がこんな靴を持っていたら、つんと澄まして大人ぶっていただろうな、と想像が浮かぶ
だが、上司と奥さんはどこか哀しげな笑みを浮かべ、
「……娘の、形見なんです」
悪いことを聞いてしまった。こちらも気まずげに、
「す、すみません」
と言って頭を下げる
……その時、なんでそんな言葉が口をついたのか。今思い出しても解らない
顔を上げた自分は、
「でも、こんなところに置いてたら、盗られちゃいますよ?」
と口走っていた
上司と奥さんは怒ることもなく、「そうですね。気をつけます」と返してくれて、二人に見送られてその家を辞したのだが

青い顔で出勤してきた上司に呼び止められたのは、上司の家を訪れてちょうど1ヶ月が過ぎた頃だった
あの靴が、なくなったのだと言う
……変なことを言ってしまったから疑われてるのかな?
そう思ったが、先読みされたようだ
「僕も妻も、君を疑ってはいない。ただ、警察にも通報してあるけれど、君も何か見たり、噂を聞いたりしたら教えてほしい」
昔住んでいたアパートが火事にあい、娘さんの形見で残っているのはあの靴だけなのだと
そのために、何かあったらすぐ持ち出せるように。でも靴箱の中だと暗くて可哀相だからと、玄関に置いていたのだと上司は教えてくれた

それからしばらくして、スーパーに買い物に出掛けた時に、奥さんとばったり出会った
まだ靴は見つかっていないのだろう。やつれて『儚げ』だった印象は、『今にも消え入りそう』な印象に変わっている
買い物カゴを手に立ち話をしていると、突然「ママ!!」と声が響いた
驚いてそちらを見ると、近所に住むA美と、その娘が立っていた
A美の娘は、奥さんに泣きながら駆け寄った
「ママ助けて!知らないオバチャンに連れて行かれたの!ママのとこに帰りたい!」
すがりついてくるA美の娘に奥さんは戸惑い、自分を含めた他の買い物客は困惑した
その子が『知らないオバチャン』と呼んだ相手は、間違いなくその子の母親であるA美だったからだ

「ママのとこに帰りたいって言ったらあのオバチャン怒るから、黙ってたの!でも、ママがいい!ママのとこがいい!」
わんわん泣く子供と、戸惑いながらもあやすように子供の背中を撫でてやる奥さんと、顔を真っ赤にしたA美と
三人が店員さんに連れられて奥に消えるまで、自分を含めた他のお客さんは呆然と事態を見守るだけで、身動き一つ出来なかった

結論から言うと、靴を盗ったのはA美だったらしい
警察が来たりして色々あったようだが、そこは知らない
A美は、上司宅からだけでなく近所から色々盗っていた(本人曰く、「借りただけ」だそうだが)ため、実刑となったそうだ
靴が奥さんの元に返ると、A美の娘は落ち着いたらしい。奥さんのことを「ママ」と呼んだ時の記憶は残っていないそうだ
奥さんは、「これも縁だから」とちょいちょいA美の娘を世話しているらしい
今もあの靴は、上司宅の玄関に飾られている



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第53話『おまじない』@ 葛◆5fF4aBHyEs 様
仕事を終えて会社を出ると、大手企業に転職し、東京に引っ越したハズの元同僚、カイト(仮名)が立っていた
カイトは同期ということもあって、よく愚痴を語り合ったりしていたのだが、その時のカイトはやつれて弱々しい笑みを浮かべていた
とにもかくにも、居酒屋に入って話を聞いてみる


東京に引っ越すことが決まったカイトは、なるべく家賃の安い物件を探しているうち、その事故物件に行き当たったそうだ
不動産屋からきちんと事故物件である旨の説明を受けたが、『霊なんているわけない』と思っていたカイトは、『むしろ安くてラッキー』とばかりに、早々に契約したのだという

「……初めに違和感を覚えたのは、荷物を運び込もうとした時だったんだ」
「部屋に入った瞬間、全身が総毛立って。貧血起こしたみたいに頭からスゥッと血の気が引いて。カチカチ奥歯が鳴って」
「その瞬間、自分でも知らないうちに、呟いてたんだ。……『タダイマ』って……なんかまるで、自分の身体が自分のものじゃないみたいだった」

それから後は、部屋に居ると妙な出来事ばかりが起こったそうだ
部屋の何処に居ても、何をしていても視線を感じる。置いたハズの無い場所に家具や食器が移動している。何度変えても電気がチラつく
そのうちカイトは、特に視線を感じる場所に気が付いた
ベッドに座っている時が、一番視線が強い
ちょうどベッドの向かいに、押し入れがある
カイトは意を決して、押し入れをほんの少しだけ開けて、中を覗き込もうとし

目が、合った

押し入れの中で、ギラギラとこちらを見ている女の視線に気が付いて、カイトは悲鳴を上げた


気を失いそうになるが、何とか耐えて、カイトは部屋を飛び出した

「何日かはホテルで過ごしながら、不動産屋に別の部屋を探してもらって。……でも、そうしているうちに、段々、『何でオレがこんな目に』と思ったらイライラしてきて」
「押し入れに居るってんなら、押し入れに何かあるんじゃないかと思って」

夜行くのは怖いから、と日曜日になるのを待って、昼間に部屋を訪れた
押し入れを開けてみるが、何もない
でも絶対何かあるに違いない、とカイトは天袋を覗いてみたのだそうだ
天袋の天井を触ると、案の定板が動く
慎重に板を持ち上げ、用意してあった懐中電灯を差し込む

暗闇の中、懐中電灯の明かりに照らされた先に、女が体育座りをしていた

「『うわっ』と声を上げた次の瞬間には、女の姿はなくなってた」
カイトはそれを見間違いだと思うことにして、天井裏を探してみたのだそうだが、ざっと四方を照らしてみても何も見当たらない
「でもさ、押し上げた天井の板がやけに重いなと思って。照らしてみたら、あったよ」
透明なガムテープで固定されたそれは、透明なゴミ袋に包まれた5冊のノートだった
「袋は埃まみれだったけど、中はそうでもなかった。ノートはディズニーとか、キティちゃんとかの可愛いやつで」
勇気を出してノートを開いた瞬間、カイトは悲鳴を上げたそうだ
中には赤いボールペンで、余白が無いほどびっしりと、こう書かれていたらしい

『カイトが帰って来ますように』『カイトが帰って来ますように』『カイトが帰って来ますように』………

「でもさ、本当にビビッたのは、その後なんだよ……」
カイトは泣きそうに、顔をくしゃりと歪めた
「思わずノートを放り投げたら、表紙に『カイト かえってきてくれて ありがとう』って書いてあったんだよ……ボールペンじゃなくて血みたいな字で……さっきまでそんなの無かったのに!」

頭を抱えてうなだれるカイトが落ち着くのを待ってから、
「……でもさ、もうその部屋からは引っ越したんでしょ?」
こちらの言葉に、カイトは弱々しい笑みを浮かべて首を横に振った
「俺もそう思ったんだ……でも……」
カイトが新しい部屋に荷物を運び込んだ瞬間、声がしたのだという

『お 帰 り な さ い』……




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第52話『墓場の霊』@ ずんちゃ虫◆OAARk8yC9E 様
小学校の頃、母の実家で葬式があって家族で出かけた
母実家につくと従兄ら(母の兄の息子ら)は自分らの爺さんが死んだのに妙なハイテンションで
仲がよかった自分も一緒にはしゃいでいたのだが、やがてその原因が判明した。
実は葬式を行う林幽寺という寺の墓地に、幽霊が出る噂があり、小学生だった従兄らはもちろん、
大人まで本気で噂していたのだった。
従兄らは好奇心から夜に寺へ行ってみたいと思ってたけど親が許さず、それがこんな形で
実現したので、いよいよ夜に寺に行けるぞ と喜んでいたのだ。

葬式の読経が終わると、従兄らと自分の3人は早々に寺の脇の墓地へ
噂によれば、幽霊は夕暮れ時に墓石の前に現れるらしい
手を前にだらりとたらした痩せ細った姿でゆらゆらと立っているのだが人が近付くと
消えてしまうらしい


3人は墓地を見回ったが、もう空がすっかり暗くなった8時ごろになって、ついにそれは現れた
暗い中に生白く浮かぶ細い影、墓地の一番奥の墓石の前でゆらゆらと揺れている
3人は緊張してこっそりと近づいた、相手は逃げない
15メートルほどの距離まで来てこれ以上進もうかどうしようかと迷い始める
もう少し行こう、と3人がうなずき合ったその時、影はすっと消えてしまった
3人は顔を見合わせ、いま見たものを確認し合って引き揚げようとした

すると、戻る方向の10メートルほど先の墓石にまたも細くやつれた白い影
手をだらりとたらし、うつむき加減で ゆらゆらとうごめく、背丈からして小柄な女性のよう
焦った3人は、どうしていいのかわからず慌てていると またすっと影は消えた
その後、3人とも半泣きになって本堂まで逃げ込んだ
実話で落ちも何もない、その時の2ヶ所の墓は、どちらも最近葬式のあった家の墓だそうです。



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第51話『砂の人』@ ナカ 様
まだ、私が、高校生の頃の夏の話だ。
鹿児島の本駅(今では、新幹線の駅)の裏側5~6分の所のマンションに母と2人で住んでいた。
その当時あまりクーラーが得意でなく、寝るときだけ窓を開け放した部屋に布団を、2つ並べて敷き、母と並んで寝ていた。
 
ある夜 ふと目が覚めると突然、突風がふきカーテンが、揺れた瞬間、体の上にズシンと何かが乗ってきた感触、
その後、砂が積もるように人の形が出来上がっていった。テレビの砂嵐模様の人だ。体は金縛りにあい、動かない。
すごい力で首を絞めてくる。何か凄い悪意と殺意とを感じた。
私ができることは少し首を動かすことと唸ることぐらい。どれぐらい時間が経ったのか、隣から母の声。
「大丈夫?どうした?」。すると突然、体の上の砂嵐模様の人型のものが風に吹かれた砂のように消えた。
どうもその母の声で消えたらしい。
私は、やっと自由になり身体を、起し「ゴホッ ゴホッ」と咳をし、母に今、あった事を、そのまま話した。
 
母も何か異様な雰囲気を感じて起きたらしい。その夜は、窓を閉め、クーラーをかけ寝ることになったが、金縛りにあい、幽霊らしきものを、見たことも数回あったが、あまりに先ほどの体験が強烈で朝まで一睡もできなかった。
それ以降、窓を開け寝ることはなく、得意ではないクーラーをかけ寝ることになった。




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第50話『影』@ 葛◆5fF4aBHyEs 様
視界の隅をサッと黒い影が横切った気がして顔を上げる
……何の変哲も無い、いつも通りの大学の食堂の風景
向かいでカレーを食べていた友人が、私の様子に気付いて不思議そうに首を傾げる
「どうかした?」
「ううん、別に……」
気のせいか。そう思って私は手元の親子丼に視線を戻した

廊下で友人と話していると、視界の隅を黒い影が走る。正門からふと見上げると、窓のところを何かが通り過ぎる
そんなことが何度かあるうち、私は黒い影が通る時、必ずある男性がその近くに居ることに気が付いた
学年は1コ下らしい。細身だが、背がかなり高く、眼鏡をかけている。交友関係はかなり広いようだ。所属はテニスサークル
……気になるとつい目で追ってしまったせいで、かなり彼に詳しくなってしまった。これじゃまるでストーカーだ

そうこうしているうちに、夏休みに入った
私は里帰りしたこともあって、彼のことなどすっかり忘れていたのだが
夏休み明けに見掛けた彼は、以前とは全く違っていた
……何と表現したらいいのだろう。彼の周囲がぼやけて見える。というより、『ブレて』見える
二重にズレた印刷を見ているような感じで、じっと見ていると酔ったように気分が悪くなる
自分の目がどうかしたんじゃないかと思ったけれど、そんな現象は彼と彼の周囲にしか起きていない

気にはなるけれど、まさか聞くわけにもいかない。そもそも私は彼と親しい訳でもないのだし
……でも気になる
そんな葛藤を続けていたある日、前日に徹夜していて眠かった私は、一日中机に突っ伏して眠っていた
眠っていたといっても半覚醒のような状態で、人のざわめきなどを聞くともなしに聞いていた
そんな中、一つの足音が近づいてくる

ああ、この机の横を通ってるんだな
ぼんやりとそう思った次の瞬間、

「……よく分かったな」

ぼそりと囁くような低い声が聞こえて、ガバッと飛び起きた
その勢いに、隣を歩いていた『彼』が驚く
今のは彼の声によく似ていた……?
彼は私の様子に、不思議そいに首を傾げながら、通り過ぎて行った


数年後、彼が逮捕されたニュースを見た
そこには、『爽やか』で『人当たりもよく』、『朗らか』だった彼とは似ても似つかない罪状が並んでいた
彼を知る人たちは、口を揃えてこう言った
「彼は突然、『まるでとり憑かれたように』人が変わった」、と
だが、私は思うのだ
あれは、『とり憑かれた』のではなく、もしかしたら……



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第49話『電話』@ 葛◆5fF4aBHyEs 様
自分とヒナ(仮名)とケイ(仮名)の3人で涼を求めて山にドライブに出掛けた
そこは頂上にキャンプ場がある関係で、車で頂上まで登れる
目的はキャンプ場ではなくその手前の小さな沢なのだが

いい年した社会人が真夏の昼日中に3人揃って水遊びというのも切ない
釣り竿も一応持ってきていたが、渓流釣りは早々に諦めていた
しかも鬱蒼と茂った木のせいか、蚊も多い
それでも清涼な水の冷たさが気持ち良かった

ひとしきり涼を満喫してさあ帰ろうかという時、プルルル……とケイの電話が鳴り始めた
「あ、もしもし母ちゃん?」
3人して車に戻りながら、ケイが話している
あ、ここ電波入るんだ。頂上なら入るのは知ってたけど
そう思って自分の携帯を取り出すが、表示は『圏外』になっていた
ケイとはキャリアが違うからかな?もしくは自分のガラケーとケイのスマホで何か違うんだろうか
呑気にそう考える自分と違って、ケイと同じキャリア、同じ機種のヒナが青くなる
「ケイ、電話切って!」
「え?」
ケイが耳元から電話を離した次の瞬間、

『ヒヒヒヒッ』

携帯から不気味な笑い声が響いて、「うわっ」と叫んだケイの手から携帯が落ちる
そのまま誰も動けずに、落ちた携帯をじっと見ていた
やがて意を決したケイが、恐る恐る携帯を拾い上げる
携帯は液晶画面が割れ、電源が落ちていた
3人して押し黙っているせいか、やけに蝉の声が大きく感じられた。暑かった太陽の熱気が、今は重く、ねっとりとまとわりつくようだった
3人して顔を見合わせ、ケイが電源を入れる
……電源が入る一瞬、画面の中に白っぽい人影が見えたのは気のせいだろうか
画面の表示は『圏外』。ケイの着信履歴は、遊びに誘ったヒナからの着信が最後になっていた

逃げるように山を降り、ケイはその足で携帯を変えに行った
今でもたまに3人で遊ぶのだが、誰もあの山には近付こうとしない



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第48話『街灯にまつわる話』@ 薄荷柚子◆CYOadRFefE 様
私の実家は堤防沿いにある。家の北側は堤防と川しかない。
夜になれば真っ暗なのに、明かりと言えば向かいの家の前にある街灯だけだ。
その街灯も今時珍しい、木の電柱に傘と電球が付いているだけの物で、まったく心もとない。
近所でこんな古びた街灯はここだけだった。

数年前の話だ。夜9時頃家に向かう一本道を歩いていると、向かいの街灯の下に人がしゃがんでいるのを見かけた。
この一本道は堤防で行き止まり、しかも袋小路になっている為、
近所の人か堤防に用事のある人しか利用しない。誰だろう?と思いながら距離を縮めた。

近くで見るとその人物は知り合いではなかった。
首元ぐらいの長さの髪に地味な服装、中肉中背。
こちらに背を向けている為、男か女かまったく分からない。
片膝を付いて、微動だにせず堤防の暗闇を見つめている。
こっそりと家に入った私は母を呼んで、街灯の下の人物を見せた。
同じ場所で堤防を凝視し続けるその姿は、何かを待っている様にも見える。
怖くなった母は、向かいのM家に「お宅の前に不審者がいる」と連絡を入れた。
驚いたM家の旦那さんが外に出たところ、もう不審者はおらず、街灯の下にサンダルが揃えて置いてあったという。
話は近所に広まり、それからしばらくは皆、川で亡くなった人がいないか新聞記事を注意していた。


結局川で亡くなった人はいなかったが、不審者を見かけてから2ヶ月ほど後、何者かにより街灯の下に花が供えられていた。
白花メインのバスケットアレンジはとても豪華で、到底いたずらで置くレベルの物ではない。
M家では気味悪がって「迷惑になりますので持ち帰って下さい」と張り紙をしたが、一向に無くならない。
結局花が枯れた頃、M家で処分する事になった。
すると数日後にはまた新しい花が供えられている。そんな事が3度繰り返された。

3度目の花を処分した後、犯人は捕まった。
M家の息子さんが早朝に帰宅した際、偶然にも花を供える現場を目撃したのだ。
犯人は小柄で白髪の老女だったという。どうやら私と母が見た人物とは別人らしい。
花を供えた理由を聞いても「ここに娘がいる」と言うばかりで要領を得ない。
それでも根気よく聞き出すと、娘さんは数年前に病死したらしい事、
拝み屋の様な人に「娘さんがこの街灯の下にいる」と言われたらしい事が分かった。
(肝心の、何故この街灯の下なのか?については解明されなかったが。)

老女はどうも認知症を患っているようだったので、M家では大事にはせず
花を供えないよう説得して、そのまま帰したそうだ。
その後この街灯に花が手向けられる事は無くなった。


そして3ヶ月ほど前、行きつけの店の主人からこんな話を聞いた。常連客の体験だという。

その女性はウォーキングが趣味で、堤防が定番コースだった。
ある日歩き始めが遅くなり、折り返し地点に来た頃には日が落ちてしまった。
歩きなれた道とはいえ、夜の堤防を歩くのは怖い。そこで堤防を降りて、住宅街を抜けて帰る事にした。
住宅街に入るとすぐ街灯が見えた。古びた木の街灯だったけれど、明かりがあるだけでほっとしたという。


ここまで聞いて予感がした私は、その街灯の事を詳しく尋ねた。果たしてそれは、件の街灯であった。
実家の向かいにある街灯だと分かり、店主と二人驚く。更に店主が語るところによると…


女性が街灯の下を通り過ぎたその時、急に明かりが揺れ出した。
丁度それは、大きな蛾が群がっているような光の明滅だったという。
振り返ると、街灯の下に何かがぶら下がっている。眩しくて見づらいため一、二歩戻ったが、異様な光景に足を止めた。

ぶら下がっていたのは、麻袋に入った人だった。


頭部は袋から出ているが、長い髪を振り乱して顔は見えない。
その人は街灯が揺れるほど必死にもがいている。反射的に助けなければと思ったが、
先ほど堤防から降りた時には、こんな物を見た覚えがない。
しかしあまりに生々しいので、夢とも現とも判断がつかず、ただただ見上げていたそうだ。

麻袋を下げてあった紐が千切れたのか、地面に人が叩きつけられる音で、女性は我に返った。
自分の2mほど前に落ちているそれは明らかな質量を持つ“この世のもの”にしか見えない。
やはり助けなければ、そう思った女性の目の前で、麻袋からうつ伏せに人が這い出して来た。
その女性は「ぬるり」と表現していたそうだ。とにかく人の動きではなかった、と。
それは一瞬にして女性の足元に到達していた。
2mは離れていたはずなのに、今は女性の爪先に額を預けている。
質量はあるが、この世のものかと問われると…
女性は全速力でその場から逃げ出したそうだ。


今後もあの街灯の下で奇妙な事が起こるのか、楽しみでもあり恐ろしくもある。
とりあえずもう自分は体験したくないので、夜間は近づかないようにしているのだが。




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