【閲覧注意】怪談の森【怖い話】

当サイト「怪談の森」は古今東西の洒落にならない怖い話~ほっこりする神様系の話まで集めています。 随時更新中!!

タグ:カルト




1:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2016/04/05(火)00:13:16.147 ID: g2tvkuOAa.net

俺が小学生の頃、自宅に新興宗教の勧誘が来た。

最初母がやんわり追い返していたんだけど、
三日に一度はうちに来て、母にしつこく入信を勧めてたんだ。

母はあまり気が強いタイプじゃなかったから、
なんとなく話を聞いて、ごめんなさいまた今度…
という感じで帰ってもらってた。 

勧誘があんまりにも頻繁になってきたので、
ある日父がちょっと強めに追い返した。

すると勧誘のおばさんは「そんな強く言ってもだめ、あなたたちがこちらにくるのは運命なんだから」と言って帰っていった。

父は念の為、と警察に相談し、その日から近所の
駐在のおまわりさんが巡回してくれることになった。

そして一週間後に母は失踪。 




2:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2016/04/05(火)00:13:55.704 ID: g2tvkuOAa.net

失踪している間に例の勧誘おばさんがまた来た。
「ほらね。言ったとおりでしょ!あなた達が信心してくれればお母さんは帰ってくるのよ」

その時自宅には俺と姉と弟しか居なかったから怖かった。
おばさんは「今度はお父さんが居る時に来るから」と言って帰っていった。 

おばさんが帰った後に姉が急いで父に電話した。
父はすぐ帰る、と言って電話を切った。

俺は泣いてる弟をなだめながら
(お母さん早く返ってきてほしいな)と思った。

しかし結局母は帰って来なかった。

姉は学校の先生に連絡をして、今こういう状態なので
しばらく学校を休ませて欲しいと伝え、
それからは駐在のおまわりさん、それから先生が
度々自宅に来てくれるようになった。 




5:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2016/04/05(火)00:14:39.114 ID: g2tvkuOAa.net

父は会社でもわりと上の方の役職についていたのだが、
決算期と重なってしまって、
休むわけにはいかないということだった。

俺は中学生だったので、部活もやっていたのだが、
状況が状況なのでホームルームが終わったら
すぐ帰ることにしてた。先生も心配してくれてた。

そしてしばらく俺、弟、姉だけの生活が続いた。
時々姉の担任の先生も一緒に食事をしてくれてた。
心強かった。 
それから暫くは勧誘のおばさんも
来ることが無かったので平和だった。

依然母親の足取りはつかめなかった。
失踪届もけっこう前に出していたが、進展はなかった。

警察のひともちょくちょくやってきて状況を聞かれたけど、
母からの連絡もなかったのでいよいよ手詰まりだった。

俺達は、考えたくも無かったが、
チラホラと母はも帰ってこないだろうな、と思ってた。 
俺の運動会があった。
弟、姉、父が来てくれて、久しぶりに楽しかった。

家族でレッドロブスターなるファミレスで
ちょっと豪華なご飯を食べ、帰宅。

玄関の鍵が開けられていた。
そして玄関から仏間に向かって足跡がたくさん残されていた。

泥棒!と父が叫んだ。しかし結果的に泥棒じゃなかった。
仏間の仏壇が閉じられていて、青いガムテープで封鎖されていた。 




6:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2016/04/05(火)00:15:25.394 ID: g2tvkuOAa.net

姉がヒイイイイイイイ!と叫んでガクガク震えていた。
弟もギャンギャン泣いた。

とても異様だった。父も呆然としていた。

俺達はまだ屋内に誰か居るんじゃないか、ということで
一箇所に固まり、父は警察に電話した(携帯が無い時代です)

近所のおまわりさんがまず来て、その後警官が何人か来た。
父が実況見分?に立会い、俺達は貧血で
ふらふらの姉を自室に運び、そのまま三人でぼろぼろ泣いた。 

結局なにも取られなかった。

空き巣の犯行ということになったが、
例の勧誘おばさんのことは警察も知っているので、
近所の聞き取りなど熱心にやってくれた。

そして俺の運動会の日、自宅前に黒いハイエースが
しばらく止まっていたらしい、ということがわかった。

その一ヶ月後、自宅から遠く離れた県外で、
母が死んでいるのが見つかった。

ごめんちょっと休ませてください。しんどい。
もうちょっとしたらまた書きます。ごめん。 




7:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2016/04/05(火)00:15:58.643 ID: g2tvkuOAa.net

ごめんなさい 話自体は100レス以内に終わります。
この後もハッピーな話など無い。

母が死んでたのは群馬の山中。首吊りだった。
しかし手を後ろで縛られていた。

なぜかゆるく縛られていて、はずそうと思ったら
外せるゆるさだったらしい。

俺はその辺のことをあまり覚えていない。あとから父に聞いた。

警察は自殺ではなく他殺とみて捜査を始めた。
しかし手がかりになるものは何一つなかった。

母が失踪してたしか1年近く、どこにいたのか、
どのように生活していたのかはまるで謎だった

捜査になんの進展もないまま、今度は姉が襲われた。

姉が買い物の帰りの最中に強◯された。
ぼっこぼこにぶん殴られて、レ◯プされている最中に
通行人に助けてもらった。

犯人は知恵遅れの男性。
この男の親が目を離している最中に姉に襲いかかった。

人の目のある場所からトイレに引きずり込み、
なぜ誰も止められなかったの、
俺は未だにその辺を歩いていた一般人を恨む気持ちはある。

仕方のない事とわかっているけど、どうしても許せない。 




8:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2016/04/05(火)00:16:36.860 ID: g2tvkuOAa.net

姉は気丈にも立ち直ったように生活していた。
でもダメだった。

俺が学校から帰ったら自室で
睡眠薬を大量に飲んで黄色いアブクを吐いていた。

俺はその光景が未だに忘れられない。
姉は即入院し、それから再度自殺した。 

姉の葬儀が終わってから父は会社をやめた。
会社は父に結構な額の退職金を支払ってくれた。

父は日中ボーゼンとしていた。
俺や弟が半仕掛けてもうん…うん…しか言わなかった。

近所のおばさんたちもすごく協力してくれて、
夕ごはんをくれたりした。

あるとき俺が学校から帰ると、父が仏壇の前で突っ伏していた。
酒を飲んでいるようだった。

俺はすごく悲しくなってしまって、父の背中にしがみついて泣いた。
おんおん泣いた。

俺はあまり泣いたりするような子どもではなかったので、
すこし父が驚いていた。
そしてごめんなあ、ごめんなあ、といって一緒に泣いた。

警察からの捜査の進展に関する話しなどもなかった。 




11:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2016/04/05(火)00:16:59.985 ID: pDL2FqaE0.net

レッドロブスター懐かしいな




12:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2016/04/05(火)00:17:09.525 ID: g2tvkuOAa.net

俺は高校に入学した。弟は中学生になった。

父は自分の前職での技能を生かし、在宅で仕事を始めた。
仕事は前の会社がたくさんくれた。

家の家事は全部自分がやった。
弟には勉強をして欲しかった。
部活をして欲しかった。
そのへんの中学生と同じような生活をして欲しかった。

しかしそうはいかなかった。
弟は学校帰りに車に轢かれて死んだ。
車と壁に挟まれて死んだ。
運転手は若い男で、最初は脇見運転だったと供述していたが、
後に大金をつまれて頼まれた、と自白した。 
そうしてその男に依頼した女、例の勧誘おばさんにたどり着く。
勧誘おばさんは逮捕された。

理由はあたしの言うことを聞かなかった一家が憎い、との事だった。
しかし不審な点がいくつもあった。
まずその勧誘おばさんは
すでにある宗教に入っているわけではなかった。

つまり、一人で、自分の作った宗教の勧誘を行なっていた。
うちに空き巣を働いたのもこのおばさん。
となると話がこじれてくる。大量の足跡はおばさん以外に誰が。 




13:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2016/04/05(火)00:17:36.947 ID: g2tvkuOAa.net

おばさんは警察の尋問をのらりくらりとかわし、
この話の真相を語らなかった。

身分を証明するものを何一つ持っていなかった。
背景は何もわからなかった。
ただ金を沢山持っているが、その資金の元もわからなかった。

なにもわからなかったんだよ。
無念だった。怒りしか無かった。
おばさんは拘留期間中に死んだ。心筋梗塞だったらしい。 




14:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2016/04/05(火)00:18:45.141 ID: g2tvkuOAa.net

父は引越しを提案した。俺もそうしたいと思った。
家には楽しい思い出よりも、
悲しい思い出のほうが圧倒的に多かったから。

事件が事件だから、もし近所の人にも迷惑がかかったら申し訳ない。
俺と父さんは引越しの準備、そもそも家には
必要最小限のものしかなかったけど、ちょくちょく進めた。

そして引越しを次の週に控えた木曜日の夜、
俺と父さんは近所の銭湯に行った。
暖かかった。そしてすこしだけ嬉しかった。
父さんも久しぶりに笑った。二人で一緒に帰ってる途中、サイレンの音が自宅方向から聞こえてきた。
自宅が炎上していた。 




16:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2016/04/05(火)00:19:05.428 ID: g2tvkuOAa.net

俺は何も言えなかった。
父さんも放心状態だった。
燃える我が家を見つめ、あ…家が…あ…と呟いていた。
父さんの目にごうごうとした炎が写っていたんだよ。

放火だった。
燃えカスの中に、建材に灯油かなんかを浸したもの、
というのが見つかったらしい。犯人は捕まらなかった。

近所の家にも被害が出た。父さんは土下座をしていた。
でも被害が出た家のおばさんは、
俺のことをギュッと抱きしめて泣いてくれたんだよ。 




17:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2016/04/05(火)00:19:37.069 ID: g2tvkuOAa.net

俺達は引っ越した。
引っ越した先で父はおかしくなってしまった。

自宅で仕事をしていると、まだ元気だったころの
母さんと姉ちゃん、弟がふつうに部屋にいるらしい。

そして昔のように「お父さん、またオナラしたでしょ〜」とか
「ねえねえ、来週鴨川シーワールド行きたいね」とか、
話しかけてくるみたいだった。

俺も実はちょくちょく見ていた。
見ていたけど、これは幻覚だ幻覚だ…と思い込むようにし、
徹底的に無視していた。 




19:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2016/04/05(火)00:20:03.183 ID: g2tvkuOAa.net

受け入れたらもう俺はダメだと思っていたからね。

でもある時、俺と父さんと二人で晩飯を食っている時に、
台所から「あ、醤油切れちゃった」
という母さんの声を聞いてしまった。

父と目があった。聞いたようだった。

父さんははっはっは!はっはっはっは!母さん!今買ってくるわ!と言って、一瞬真顔になり、俺の首を締めた。

すぐ正気に戻り、「ああ!ああ!俺はなんてことを!」
そう言ってベランダに向かい、そのまま飛び降りたんだ。 




20:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2016/04/05(火)00:20:22.023 ID: g2tvkuOAa.net

こうして父も死んだ。俺が残った。

俺は父さんの兄に引き取られて、高校を卒業し、
都内に就職して一人暮らしを始めた。

それから結構な年月経ってしまった。
俺は今年32結婚もせずにまだ一人でいる。
俺の部屋にはたびたび家族がいる。
なつかしい昔の姿で、生活している。

悲しいのは、みんな当時の年齢そのままなんだ。
病院も行った。精神的に不安定と言われた。

薬も貰ったが姉の自殺した時の光景が
忘れられなくてあまり飲めないでいる。 




22:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2016/04/05(火)00:20:41.014 ID: QizsQcSz0.net

元ネタ書いたやつの文章力凄いわ
めっちゃリアリティーある




25:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2016/04/05(火)00:21:09.024 ID: g2tvkuOAa.net

この話はこれで終わりです。
一家全滅、というのは俺がもう限界だからです。
自殺しようとは思っていないけど、あのババアの呪いというか、
そういったものがあるようなきがして、
いつかサクッと死ぬんじゃないかって。

俺がびっぷらに書いたのは、俺と、俺の家族が昔千葉県に存在していたことを
ずっと記しておきたいからです。

ちょっとご飯食うわ。レスは後ほど返します。申し訳ないす。 




26:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2016/04/05(火)00:21:55.646 ID: g2tvkuOAa.net

>1は家族を「見た」の?「聞いた」の? 





帰宅したらみんな居たりする。声だけの時もある。
オバケかどうかはわからない。俺幽霊信じてないです。

家族が出てきたらすごい懐かしい幸せな気分になる。
朝起きると母さんがご飯作ってる時がある(実際は出来てないけど)。 




28:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2016/04/05(火)00:22:51.013 ID: g2tvkuOAa.net

>>1です。終わりと言いながら戻ってきちゃってすみません。

俺は元気というか、普通に生活してます。
薬もこれからはちゃんと飲むようにします。
家族が家にいる、と書きましたが、幻覚であることは分かってます。
話しかけてくる内容は、昔家族と話したような取り留めもないものです。 

夜ご飯は何がいい?とか帰りは何時になるの?とか、そういった事です。
録画されていた事が繰り返す感じです。従って最近のニュースとかの内容はありません。
姉は高校当時のままです。弟は中学のままです。ふわっと出てきて、ふわっと居なくなります。台所で姉と母さんが会話してる時もあります。 




29:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2016/04/05(火)00:23:17.450 ID: g2tvkuOAa.net

千葉に住んでますが、ちょくちょく遊びに来てくれます。
家族が見えるんだ、という話もしました。最初は除霊してもらえ、と言われましたが、俺はそれを拒否しました。
なぜなら俺は幽霊を信じてませんし、これは幻覚だと思っているからです。
さらに言うと、体調を崩したりも不幸な目にも遭ってません。
あと、家族がふらっと出てくると、少し懐かしくて悲しいけど、やはり嬉しく感じるからです。 




30:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2016/04/05(火)00:23:38.820 ID: g2tvkuOAa.net

このまま普通に生活していけば、いずれはまた家族が一つになれると思います。
それまでは地味に生きて行こうと思ってます。
他のスレに書き込んだりもしてますよ。

それから勧誘おばさんの件ですが、警察からは心筋梗塞と聞かされていました。それ以上は調べようがないです。自殺かもしれませんし、もしかしたら警察が関与してるかもしれませんが、その辺は想像の域です。
当時はまだネットも普及していませんし、なんの疑問も無く病死と信じていました。 




32:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2016/04/05(火)00:24:28.795 ID: g2tvkuOAa.net

父さんは勧誘おばさんを殺すつもりでいました。俺も父さんに同意しました。だから父さんは、勧誘おばさんが死んだ事を聞いた時にとても複雑な顔をしていました。
X-ファイルみたいだな、とか言ってました。

あの時、父さんの中ではもう今までの出来事すべて諦めたんだと思います。 




34:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2016/04/05(火)00:25:07.544 ID: g2tvkuOAa.net

>勧誘断ったぐらいで、
>これほどの事するか?
>そんな宗教あるのか? 




宗教なのかキチガイがやったことなのかわかんないです。
ただどうも大人数が絡んでるようですし、最初も勧誘から始まったことなので、当時あまり知られてない宗教だったんじゃないかなあと想像しています。今は潰れたかもしれないし、逆に大きくなってたりしてね。 




35:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2016/04/05(火)00:25:23.440 ID: g2tvkuOAa.net

以上です。
ありがとうございました。 




38:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2016/04/05(火)00:26:51.355 ID: piTRh7CA0.net

そんな勧誘くらいでそこまでするかなあ




40:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2016/04/05(火)00:29:24.514 ID: IpyhLFtvr.net

こんなん実際にあったらニュースで大々的に取り上げられるわハゲ




45:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2016/04/05(火)00:50:53.931 ID: ZYs/L90Oa.net

作り話にしても失踪してた母親が他殺の可能性ありで山中で見付かったなら全国ニュースになるわ




42:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2016/04/05(火)00:31:42.839 ID: paDMkC1Ya.net

あるある




37:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします : 2016/04/05(火)00:26:29.591 ID: g2tvkuOAa.net

初見はこれホント怖かったわ 作り話にしても






オカルトランキング




780: 本当にあった怖い名無し:2011/06/26(日) 20:01:41.28 ID:TXVIrBId0
重くて長い話で申し訳ありません。
読みにくいところも多いと思いますが、
孤独だった俺の話を暇つぶしに聞いてください。

小学校5年生の時、交通事故で両親を亡くして祖父に引き取られた。
その時から俺の時間は止まってしまったようになって何も考えられなかった。
事故の前のことは何も思い出せなくなり、何もかも楽しくなくなった。

転校した先の小学校でも、何もしゃべれず、全く友達もできなかったし、
友達を作りたいとも思わなかった。
ただ、朝になったら学校に行き、自分の席に座って授業にのみ集中し、
学校が終わればすぐに家に帰った。
先生は気を使っていたようだが、みんな気味悪がっていたと思う。

いつもステテコと腹巻姿の祖父は優しく、
慣れない手つきで家事をしつつ、俺の好物の鳥の唐揚げを良く作ってくれた。
今でも感謝しているがその頃は会話もほとんどなく、
自分の部屋でゲームを延々としていた。



781: 780:2011/06/26(日) 20:07:44.99 ID:TXVIrBId0
クラスでの俺は誰の眼中にも入らない透明人間のような存在になっていったと思う。
そんな生活を続けていて、いつの間にか6年生になった。
クラス替えもないのでほとんど環境も変わらなかった。

6年生になってからしばらくして、
休み時間にいつもいじめられている女の子がいることに気が付いた。
茶色くて長い髪の大人びた綺麗な女の子だった。
近くにいる奴とかの、ひそひそ話を注意深く聞いていると、
彼女は白人の祖母を持つクォーターで父親を早くに亡くしており、
母親が1年程前から新興宗教に入信し、
熱心な勧誘活動をしているようだった。

「おい!外人!」とか「たたりがあるから触るな」とかバカにされていて、
いつも仲間はずれにされたり、モノを隠されたりしてからかわれていた。
先生も絶対に気付いていたが、黙認しているようだった。

ある日の昼休み、いつものようにクラスの代表格の体の大きないじめっ子が、
彼女が大事にしていたお守りを取り上げた。
周りのみんなはそれを見て笑い囃し立てた。
そんな場面を今まで何度も見たが、俺は何にも感じなかった。




782: 780:2011/06/26(日) 20:13:12.44 ID:TXVIrBId0
普段、どんなに苛められても平気そうだった彼女が、
この日だけは必死に取り返そうとしていた。
「それはだめ。お父さんの・・・」
小さくて泣きそうな彼女の声が聞こえたとたん、俺の中の何かが切れた。

俺は腹の底から「やめろ!」と怒鳴り、机を倒し、
いじめっ子に殴りかかっていった。
喧嘩が強いはずのいじめっ子は不意をつかれたようで椅子につまずいて倒れた。
馬乗りになって彼女のお守りを取り返した。

それでも俺の怒りの爆発は収まらなかった。
その後も俺は机を倒したり、椅子を投げたり、張り紙を破ったりして、
教室の中を狂ったように暴れまわった。
何故かこの教室の全てが憎らしかった。
いつも全くしゃべらない俺が暴れたので、周りのみんなは呆然と見ているか、
悲鳴を上げて逃げているだけだった。

騒ぎを聞きつけた先生が止めに入りその場は収まった。
すぐに学校に祖父が呼ばれ、祖父は一生懸命謝っていた。
俺はただ黙ってそれを見ていた。





783: 780:2011/06/26(日) 20:19:19.21 ID:TXVIrBId0
次の日から彼女はいじめられなくなった。
俺はさらに孤立したが何とも思わなかった。
ある日の帰り、校門に彼女が待っていた。

「○○君。あの時はありがとう・・・・・一緒に帰ってもいい?」

彼女は少し恥ずかしそうに俺に聞いた。
俺は頷いて一緒に歩いた。彼女は黙って少し後ろを歩いていた。
そして、彼女の家と俺の家との分かれ道に着くと彼女は
「じゃ、また明日。」
と笑って手を振って帰っていった。

次の日の朝、分かれ道に彼女は待っていて一緒に学校に行った。
こうして毎日、俺と彼女は一緒に登下校した。
休み時間も彼女がそばにいるようになった。
最初は何も話さなかった彼女は、
段々打ち解けてきて、家族の事とかをぽつりぽつりと俺に話してくれた。
彼女が幼い頃、おばあさんに作ってもらったお菓子がとても美味しくて、
いつか作れるようになって食べさせてみたいとか言っていた。






784: 780:2011/06/26(日) 20:23:43.20 ID:TXVIrBId0
たまに俺の家にも遊びに来るようになった。
俺は彼女専用のゲームのセーブデータを作って、
夜の間に彼女の為にレベルを上げておいたりした。

俺も徐々に一人でいるよりも彼女といるほうが楽しく思えてきていた。
周りはいろいろと囃し立て、ことあるごとにからかわれたが、
俺は危ない奴と思われているようで誰も執拗には言ってこなかった。
俺も彼女も周りに何を言われても全く気にならなかった。
彼女にだけは俺も話ができるようになって、
たまには笑うこともできるようになった。

俺が笑うと彼女は
「○○君の笑ったところ大好き!」
と赤くなって言ってくれた。
彼女は幼い頃のおばあさんとの楽しい思い出をたまに聞かせてくれ、
俺も何か思い出を話したかったが、
どうしても事故の前の小さい頃のことが思い出せなかった。
それ以外は彼女には何でも話せるようになった。




785: 780:2011/06/26(日) 20:28:53.76 ID:TXVIrBId0
中学生になってからもこの関係は変わらなかった。
中二のとき彼女が俺の家で遊んでいて、ふと俺に聞いた。

「どうして・・・あの時、助けてくれたの?」

俺は彼女が言った『それはだめ。お父さんの・・・』と言う言葉を思い出し、
「俺のお父さんとお母さんも・・・・・」
口に出したとたん、目から涙がぼろぼろ零れて止らなくなった。
俺の心の奥から後から後から事故の前の楽しかった思い出が涙と一緒に溢れ出し、
泣きながら、彼女にその思い出をひとつひとつ話した。
彼女も泣きながら辛抱強く聞いてくれ、俺を優しく抱きしめて頭を撫でてくれた。
俺は彼女の優しさが嬉しくて強く抱きしめて初めてのキスをした。
キスをやめると彼女は

「・・・○○君、大好き。ずっと一緒にいさせて・・・」

と言った。





786: 780:2011/06/26(日) 20:31:58.60 ID:TXVIrBId0
高校も同じところに行った。
彼女との電車通学は本当に楽しかった。
彼女のおかげで俺は少しずつだが自分を取り戻せている気がした。
彼女がお母さんと住んでいるのは狭いアパートだったので、
勉強もゲームもキスも、だだっ広い俺の祖父の家でしていた。
ただ、毎週金曜日は彼女の家の宗教の集まりがあり会えなかった。
彼女は昔から、行きたくないけど行かないとお母さんに怒られる、
と言っていた。

高校3年生になったある日の帰り道、彼女が青い顔をして
「大事な相談がある」
と言った。 俺たちは駅前の喫茶店に寄った。

「私、教団(横文字)をやめたいのに・・・大変なことになっちゃった・・・」

彼女はゆっくりと少し震えながら話し始めた。
彼女の話によると、教祖の世話係(特殊な名称)に選ばれてしまったらしい。
教団では名誉ある役目とのことだが、
要は教祖が信者の中から気に入った女性を選抜し、
18歳の誕生日に本部に出家させ、
1ヶ月間、厳しいと言われている修行をさせて身を清め、
その後は教祖のそばで身のまわりの世話をする役目だと言う。

聖人の世話係は穢れない女性に限られるらしい。
穢れない女性とは男性経験のない女性とのことだった






788: 780:2011/06/26(日) 20:34:02.80 ID:TXVIrBId0
それを聞いても実感がわかず、俺は少しだけ笑った。

「そんなこと、ほんとに? 
それに○○は教団が言うところの穢れある女性なんじゃない?」

俺と彼女はついこの間、自然な流れで初めて一線を越えてしまってもいた。
彼女は少し赤くなったが、真剣な顔で言った。

「笑い事じゃないんだって、ほんとなんだよ。お母さんも本気なんだよ。
○○君としたなんてわかったら、すっごい怒られるよ。どうしたらいい?」

「断れないの?」

「私・・・絶対、やだっ!て言ったんだけど、ダメだって・・・
すごいお金も、もらえるって・・・ 出家したら会えなくなるんだよ。
来月、本部から迎えが来るんだって・・・
・・・私はいつか○○君のお嫁さんにしてほしいのに・・・」

泣きそうな声で言った彼女の言葉にドキドキとしてきて、

「そんなところに○○を行かせるわけないだろ。
俺は○○の為ならどんなことでもやれるんだよ。
何人で迎えに来るか知らないけど、絶対守ってやる。」

と俺も本気で言った。
彼女は嬉しそうに微笑んで頷いて俺の手を握った。





789: 780:2011/06/26(日) 20:36:52.87 ID:TXVIrBId0
どうすればいいか悩んだ末、俺は祖父に相談することにした。
祖父に俺は彼女との馴れ初めから初体験、彼女の生い立ちまで包み隠さず話し、
新興宗教のことも、分かっていることのすべてを話した。
祖父は口をへの字にまげ真剣に聞いてくれた。

「じいちゃんはいつかお前も両親の後を追って、
いなくなってしまうんじゃないかと怖かった。
今、お前が生きているのは全て彼女のお陰だ。
じいちゃんが全身全霊をかけて彼女のお母さんを説得してやる。
決裂したら彼女をかっさらってでもここに住まわせてやる。
そんで、どんな宗教か知らんが誰も家には入れん!」

と言ってくれた。

次の日、彼女に会って祖父の話をすぐに伝えた。
彼女は目に涙を浮かべながら聞いてくれた。

彼女のお母さんと会う日、
祖父はビシッとスーツで決め、俺にも制服を着ろと言った。
いつになく祖父が若々しく頼もしく見えた。





790: 780:2011/06/26(日) 20:41:54.84 ID:TXVIrBId0
彼女のアパートの呼鈴を押すと彼女が出てきて部屋に通された。
中に入ったとたん、酷い耳鳴りがして、
目の前に透明な幕がかかったようになり、
ふわふわと夢の中で歩いているような気がした。

部屋はよく整理されていて清潔だった。
テーブルには彼女のお母さんが不機嫌そうに座っていた。
祖父はお母さんの正面に腰を下ろした。
祖父の隣に俺は座った。

さらに耳鳴りが酷くなった。
俺は祖父を見た。
愕然とした。

俺の祖父だと思っていたら、お父さんが座っていた。
お父さんの向こう隣には知らない男の人がいて彼女を見ていた。
お父さんは俺を見て微笑んで言った。

「今まで良く頑張ったな。お前の幸せを母さんと応援してる。安心しろ。」

俺の目から涙が溢れそうになり、胸が一杯になって目の前が真っ白になった。
一瞬、笑顔のお母さんが手を振っているのが見えた気がした。




791: 本当にあった怖い名無し:2011/06/26(日) 20:48:07.07 ID:KGHJvPV5O
おわり?




793: 本当にあった怖い名無し:2011/06/26(日) 20:51:15.89 ID:z1lR5t0HO
彼女はどーなった?




798: 本当にあった怖い名無し:2011/06/26(日) 21:00:54.67 ID:GJpoqvsD0
紫煙





799: 780:2011/06/26(日) 21:03:37.34 ID:TXVIrBId0
支援等ありがとうございます。続き行きます。

どの位の時間が経ったのかわからなかったが、
急に夢から覚めたように頭がはっきりとした。
透明な膜がかかったような感覚はなくなっていた。耳鳴りもしていない。
いつのまにか話し合いは終わっていた。

隣を見るとやっぱり祖父が一人で座っていた。
祖父は
「良かったな。わかってもらえたみたいだ。帰ろう」
と言って席を立った。

彼女と彼女のお母さんは顔を両手で覆って泣いているようだった。
俺は挨拶をして、あわてて祖父についていった。
何がなんだかわからなかった。
外に出ると祖父は

「何かあたたかい不思議なのが、俺たちのほかに二人くらい来ていたな。」

と言った。
彼女からすぐに携帯に連絡があった。

「私のお父さんが来てくれた。お母さんを叱って、
私に○○君と幸せになれって言ってくれた。
昨日の夜から私、お父さんにもらったあのお守りに祈ってたんだ。」

彼女は興奮して言った。



800: 780:2011/06/26(日) 21:05:25.72 ID:TXVIrBId0
その後、彼女と彼女のお母さんは新興宗教を辞めた。
かなり揉めてしまって、祖父が知人の弁護士に相談し、
しばらく俺の家に避難させた。教団と思われる嫌がらせもあったが、
俺は家族が増えたようで楽しかった。
祖父は前の言葉通り、教団関係者を誰も敷地内に入れなかった。

数年後その教団の教祖が強制わいせつ罪で摘発された。
やはり、あの時行かせなくて良かったと俺は心底思い、妻に話した。
そして、
「でも怖いな。こんな悪魔みたいな奴、信じていたこともあったんだろ?」
と聞いた。

「それはお母さん。私は子供の頃から、あなたしか信じてなかったよw」

妻は幼い息子を胸に抱いてあやしながら幸せそうに笑った。
妻の向こうの居間でステテコに腹巻姿の祖父が、
寝転んでテレビを見ているのが見えた。
キッチンのオーブンからは、
妻のおばあさんレシピのクッキーが焼けてきた良い匂いがした。

幸せな今だからかもしれませんが、
もしもあの時、祖父に相談せずに教団の人たちが、
彼女を迎えに来たとしたら、自分が何をしようとしていたのかを考えると
洒落にならないくらい怖くなるんです。

長文失礼致しました。ノシ




801: 本当にあった怖い名無し:2011/06/26(日) 21:07:06.18 ID:4AeqeMf10
>>800
乙 面白かったよ




802: 本当にあった怖い名無し:2011/06/26(日) 21:09:26.77 ID:2fG5h4LHO
>>800
乙です。奥さんといつまでもお幸せに。



804: 本当にあった怖い名無し:2011/06/26(日) 21:11:51.07 ID:z1lR5t0HO
いい話だった。良かった…



807: 本当にあった怖い名無し:2011/06/26(日) 21:24:14.09 ID:iCePdjsf0
ええ話だったよ
ほっこり







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