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【山にまつわる系】アガリビト
【風習&信仰系】その『土着信仰』なんだけど、けっこう特殊な物だった
【人形系】うわぁ!これワラ人形やんけ
【山神系】神社で雨宿りしたときのこと…
ガキの頃の話。
クソど田舎に住んでて、実家は農家。家のすぐ裏に山があって山道をしょっちゅう走り回ってた。
ある日、うちでとれたリンゴを友達におすそ分けしに行った帰りのこと。急な通り雨にひっかかっちゃってさ、すっごい豪雨だったからどっかで雨が止むまで待つことにした。
でも近くに家なんてないし、自分ん家までもちょっと遠い。まいったなー、このまま濡れてくしかないかー、って思ったんだけど、ふと道の脇を見たら奥の方に鳥居が見えた。
何年もこの道を通ってきたけど、神社があったなんて知らなかったが、とりあえずそこで雨宿りさせてもらった。昼過ぎで明るかったし、怖くはなかった。
30分とたたないうちに雨が止んだからお礼をしてそのまま道を下って家に帰った。
家に着いたとたんお袋に泣きつかれ、親父に殴られた。俺はおすそ分けに行ったきり一週間も行方不明だったらしい。
おれは1時間ぐらいで帰ったはずなんだけどね。いまだによくわからない。
【山系】谷底を歩く坊主頭の男
これは小学5年生の頃の話、一番恐ろしかった。
これ以上の体験は、後にも先にも無い。
内容が内容だけに信じてくれない人も居るが、俺は確かに見た、と思っている。
そして見たのは俺一人じゃない。
その日、俺は親の後に付いて山の中の獣道を歩いてた。
季節は夏。
周囲は夕闇が迫って来ていた。
陸自空挺レンジャー出身の親父が先導していたので、疲れはしていたけど恐怖は無かった。
頼れる親父であった。
聞こえる音といえば二人の歩く音と木々のざわめき、種類は分からないが鳥の鳴き声と、
谷を流れる川の音…だけだと思っていた。
何か、人の声が聞こえた気がした。
でも、特に川の音などは人の声に聞こえる場合もある。
最初はそれだと思っていた。
けれども、気にすれば気にするほど、人の声としか思えなくなってきた。
「とうさん…誰かの声、聞こえない?」
「……」
「誰だろ、何言ってるんだろ?」
「いいから、歩け」
言われるままに、黙々と歩いた。だが、やっぱり声が気になる…どこからしているんだろう?
周囲をキョロキョロしながら歩ていると、谷底の川で何かが動いているのが見えた。
獣道から谷底までは結構な距離がある上に、木や草も多い。
そして夕闇が迫っているので、何かが居たとしてもハッキリ見える筈は無い。
ところが、ソイツはハッキリと見えた。
獣道と谷底の川は距離があるものの、並行したような形になっている。
そして、ソイツは谷底を歩きながら、ずっと我々に付いてきていた。
「お~い、こっちに来いよぉ~!」
谷底を歩く坊主頭の男は、我々に叫んでいた。
ゲラゲラ笑いながら、同じ台詞を何度も繰り返している。
それだけでも十分異様だったが、その男の風体も奇妙だった。
着ているものが妙に古い。
時代劇で農民が着ているような服だ。
顔は満面の笑顔。だが、目の位置がおかしい。頭も妙にボコボコしている。
そして、結構な速度で移動している。
ゴツゴツした石や岩が多い暗い谷底を、ものともせず歩いている。
大体、こんな暗くて距離もあるのに、何故あそこまでハッキリ見えるんだろう?と言うより、
白く光ってないか、あの人?
小学生の俺でも、その異様さに気付き、思わず足を止めてしまった。
「見るな、歩け!」
親父に一喝された。その声で我に返る俺。途端に、恐ろしくなった。
しかし恐がっても始まらない。後はもう、ひたすら歩くことだけに集中した。
その間も谷底からは、相変わらずゲラゲラ笑いながら呼ぶ声がしていた。
気付けば、俺と親父は獣道を出て、車両が通れる程の広い道に出ていた。
もう、声は聞こえなくなっていた。
帰りの車中、親父は例の男について話してくれた。
話してくれたと言っても、一方的に喋ってた感じだったけれど。
「7,8年位前まで、アレは何度か出ていた。でも、それからはずっと見なかったから、
もう大丈夫だと思っていた。お前も見ると思わなかった」
「呼ぶだけで特に悪さはしないし、無視してれば何も起きない。
ただ、言う事を聞いて谷底に降りたら、どうなるか分らない」
「成仏を願ってくれる身内も、帰る家や墓も無くて寂しいから、
ああして来る人を呼んでるんだろう」
大体、こんな感じの内容だったと思う。
その後も、その付近には何度か行ったけれど、その男には会ってない。
今度こそ成仏したんだろうか?
【妖怪系】妖怪が後を付けてきても決して後ろを見るな!!
【もののけ系】あのヤローも多分バケモンだろ、でも恩人だからな、義理を通さないとな
20年以上前、うちの爺さんの話。
爺さんは近所の山で野鳥の写真を撮るのが趣味だった。
ある日、山から戻った爺さんをみて皆驚いた。
背中に大きな切り傷があり血まみれ、全身擦り傷だらけで服はぼろぼろ。
右手の小指が折れており、変な方向に曲がっていた。どうしたのか、と尋ねると、
「それがよう、山でよう、バケモンと一戦交えてきたんだよ、危なくやられるとこだった」
という。家族全員呆れたが、話を聞いてみた。
爺さんはいつものように山奥に入り野鳥を探していた。
切り株に腰掛け、弁当を食べ始めると、背後に気配を感じた。
振り向く前に何かで背中をバッサリ切られ、ものすごい力で押し倒されたという。
それはフーッと深く息をしている。
茶色の毛むくじゃらで、頭が大きく角はない。
爪がとがっており、前足で威嚇しながら二本足で立つ、見たこともない獣だった。
爺さんは逃げ切れないと判断し、応戦した。
山用のナイフを持っており、それを武器に取っ組み合ったが、形勢不利だった。
なんでも、獣の体に何か所かナイフを突き立てるも、相手はなかなかひるまず、
鋭利な爪で次々と傷を受け、爺さんは半ば死を覚悟したそうだ。
すると、どこからあらわれたのか、男がいつの間にか獣の背後におり、
両手で振り上げた石で獣の鼻先を殴りつけた。
獣はあわてて逃げて行ったという。
男は非常に汚らしい格好で、頭髪は薄いがひげの濃い、そして異様に手の長い男だった。
男は助けてやったんだから礼をしろ、と開口一番爺さんに言った。
特に酒とたばこ、味噌がほしいと言う。
爺さんは快諾し、ふもとに戻り有り金はたいて買い物をすると、男のもとに戻った。
男は切り株に座り爺さんのお弁当を食べ、カメラをいじって遊んでいた。
男はお礼の品に喜ぶと、
「また何か困ったことがあったら手土産を持ってここに来い」
と告げると早足で去って行ったという。
家族は誰も信じていなかった。
765 :本当にあった怖い名無し:2011/09/25(日) 20:01:37.22 ID:9evYXBnq0
そのあと、爺さんはろくに傷の手当をしなかったため、傷口から化膿し炎症にかかり救急車で運ばれる羽目になった。
病院でも同じ話をしたが、やはり誰も信じてくれなかったとか。
俺は信じていた。
一人っ子だったおれはじいちゃんっ子で、よく遊んでもらっていた。
母に禁止されていたが、おれはこっそり爺さんに山にも連れて行ってもらっていた。
爺さんは山に行くたびにお土産と称してワンカップの酒を持っていき、例の切り株に置いていた。
「あのヤローも多分バケモンだろ、でも恩人だからな、義理を通さないとな
それにな、こうしてここに置いておくと、次来たときにはなくなってんだよ
あいつも俺やお前の親父とおんなじで酒飲みなんだよな」
と語っていた。
あの獣について聞くと、
「あん時はやられたが、もうだいじだよ あいつの急所は鼻だってことはわかってるからな、次に見たらぶっちめて俺たちで新聞屋に売ってやろうぜ」
と言う。
しかし、あの獣や男にはそれ以来会うことはなかったようだ。
爺さんは遺言状を残していた。
爺さんの死後、それを開封すると
遺産や身辺整理などの本題以外に、俺に名指しであの山についての頼みごとが記されていた。
それは、
山にありったけの土産を持っていき、あの切り株に置いてこい
そして俺が死んだということ、俺の家族を守ってくれということを伝えろという内容だった。
皆呆れたが、まあ遺言を無下にするのも、ということで俺が代表していくことになった。
俺は友人数人に手伝ってもらい、たくさんの酒、たばこ、味噌を持って行った。
爺さんの遺言通り手紙を添えた土産を置いて俺は山を下りた。
山はそれから何年も経ったあと、開発され、ゴルフ場やリゾート施設が建った。
観光地向けの自然はきれいに残されているが、実態はゴミだらけの汚い山になってしまった。
熱心にリゾート誘致していた地元は喜んでいる。
でも、爺さんが見たら嘆くと思う。
あの切り株があったあたりももう跡形もない。
男はどうしているのだろうか、たまに思い出す。
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