【閲覧注意】怪談の森【怖い話】

実話怪談・都市伝説・未解決の闇・古今東西の洒落にならない怖い話。ネットの闇に埋もれた禁忌の話を日々発信中!!

タグ:怪談




510 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2017/08/27(日) 23:16:28.78 ID:O3ZRcYgc0.net
美大生だった頃の話
キャンパスの2階にあった絵を描く作業場でぼんやりしてたら
イーゼルの上に誰かのスケッチブックが置いてあった

なんとなくパラパラとページをめくってたら
口を縦に大きく開けて舌を出している、細長すぎる顔をした女の絵が描いてあった
昔風のソバージュヘアで
黒目が大きく空洞みたいで、舌が異常に長かった。
そして、意味分かんないんだけど、絵の右下に「操縦不能」って文字が書いてた

美大だから奇天烈な奴も普通に居たし
怖い絵もそんなに珍しいものでも無いんだけど
その絵はなんか本当に異様な感じがして
怖くなって、ダッシュで教室を出た

中庭まで出て2階にある、さっきまで居た作業場の方の窓を見たら
めっちゃ笑顔の女が、さっきのスケッチブックの不気味な絵を
俺に見えるように、窓の外に向かってかざしてた

あれは怖かった。
怖すぎて、卒業までの間、作業場で一人にならない様に工夫してた。


511 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2017/08/27(日) 23:18:54.56 ID:O3ZRcYgc0.net
この話、ちょっとほのぼのするというか、変な後日談があります

俺は美大の学芸祭の実行委員だったんだけど
学芸祭の準備に追われていた時に、
体調悪かったから、中休み貰って当時一人暮らしをしていた美大の近くのアパートに戻って仮眠してたら
金縛りにあってしまった。
金縛り自体は疲れてる時はよくあるから別に怖く無かったんだけど
目を開けたら、あの絵に描かれてた細長い顔の女が馬乗りになってこっち見てたんだよ
黒目の大きい空洞みたいな目で、こっちを見ていて
どういう意図でかは分からんが、舌をベーっと俺の顔に向かって伸ばしてきてた

その時にワンワン吠え声がすると思ったら
当時実家で飼っていたウェルシュ・コーギーが俺の周りをグルグル回っていて
そのあと、ソバージュの女がキャーって叫んで消えた

俺を心配して、犬の生霊が俺のところまでやってきてくれてたのかなと
自分に都合よく解釈して、今でも時々思い出してほのぼしている。






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1: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 01:59:52 ID:mK2Y
ソースはワイの両親の家系

3: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:00:14 ID:X1Lt
ワイのハゲも呪いだった…!?

5: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:01:18 ID:mK2Y
ちなみにハゲとかそんなんやない

一応呪われた理由はあるけど


7: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:01:58 ID:useu
50までに死ぬとか?

13: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:04:27 ID:useu
理由まで判明してるの草
なんとなくそういう家系じゃなくてマジで蛇でも殺した家系か

14: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:05:27 ID:mK2Y
>>13
父方はそんな感じやな

16: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:06:37 ID:mK2Y
ちなみに母方の家系は藤原系
この時点で分かる人は直ぐに呪いの理由は分かるやろうけどね
それに母方の家系の呪いはそんな大した事無い

ただ問題は父方の家系の呪いや

18: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:07:23 ID:OE5r
くだらねーなw
じゃあなんで岸田は呪いで死なないんだよ

19: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:08:42 ID:GLbE
呪いちゃうけどうちの家系は男がみんな早死してるからワイ君びくびくしてる

20: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:09:06 ID:useu
>>19
病気?めっちゃ怖いやん

23: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:10:40 ID:GLbE
>>20
ちゃうでじっちゃんは生まれる前におらんし最近いとこの父親はアル中で逝ったしワイのパッパはおらんからワイも40代で逝くかもしれん

26: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:14:37 ID:useu
>>23
やっば…
ともかくアル中だけは回避しようぜ
死ぬにしても怖すぎるわ

27: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:14:45 ID:7Lxi
藤原系統なんてどこにでもおるわ

28: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:14:51 ID:hthy
呪いの説明まだ?

29: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:15:20 ID:mK2Y
>>28
すまん
書いてく

30: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:16:35 ID:mK2Y
父方の家系とそんな家系にかけられた呪いについて簡単に語るわ

父方の家系は元々は豪族の家系で、鎌倉時代から江戸時代にかけては武士、明治以降は商人
ただ父方の先祖に曲者がいたらしくてな
よく分からんけど、話によると典型的な飲む打つ買うやったらしくて、それが原因で色々な女を泣かして来たらしい

31: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:17:55 ID:WKry
陽キャやん

33: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:21:48 ID:mK2Y
で、江戸時代の初期やな
とある女がそいつに対してこんな感じの事を言ったらしいねん
「末代まで呪ってやる」「末代まで生きて苦しめ」「お前らに私らの思いを分からせてやる」「許さない、絶対許さない」
で、その時はそこまで深く考えて無かったんやろうけど、問題はそれ以降や
100年くらい不審死やら精神病による自殺やら病死やらが立て続けに起こったらしくて、1度は父方の家が断絶するねん


37: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:23:08 ID:OHf2
短命みたいなやつか
俺の屍を越えてゆけ

41: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:27:02 ID:mK2Y
>>37
短命って訳やないかな
ただ精神病か病気か事故か不審な方法か
これらのいずれかで死んでるねん

40: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:26:09 ID:mK2Y
で、断絶したかたら他所から養子入れたんやけど、やはり同じ結果でな
しかもある時、そんな父方の家系にお坊さんが来るねん
そのお坊さん曰く、「将来、魔王が生まれます」「そいつによって周りにいる人が苦しめられます」「そしてこの家系は再び断絶します」「しかしその方が社会の為になります」
当時の家主はソレを聞くなり、激怒してな
それでお坊さん追い出したねん
それ以降も精神病患者やら病弱な人やらばかり生まれてな
しかも他所から嫁にも来た人まで、体か心のどちらかが病んだねん

51: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:32:30 ID:mK2Y
明治になって商人になってもなお、こんな感じでな
店をやっても潰れるから、次第に色々な所を転々とし始めるねん

で、時代は変わって昭和の時代
ワイのパッパが生まれるねん
なんやかんやで平成に入ってパッパはマッマとお見合い結婚するんやけど、結婚して直ぐに別々の場所から浄土真宗系のお坊さんが3人来るねん
しかもその3人はアポ無しかつ打ち合わせ無しなのに、口を揃えて同じ事を言ったやで
それが何かと言うと、「この人(パッパ)は魔王だから、直ぐに離婚しろ」「そうしなければこれからアナタも子供も3回ずつ病気で死にかけます」「そして4回目には死にます」「コレは呪いです」

まあでも信じないわな
せやからマッマも興味無さげに話を聞いた後にそのままお坊さんと別れたんや

53: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:33:59 ID:QHvG
>>51
その坊さんはどっから聞きつけたんだよ

54: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:34:45 ID:mK2Y
>>53
ガチで分からん
でもお坊さんら曰く「天の声に従って来た」

60: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:39:38 ID:mK2Y
で、それからや
その後にワイが生まれるんやけど、そしたら今度は知らん女が家に来てな
その女がこう言うねん
「この子(ワイ)が今から小学校卒業するまでにアナタとこの子は2回ずつ、高熱が出る病によって死にかけます」
「だから小学校卒業するまでに離婚しなさい」
「死にかける理由はそれぞれ違います」
「これは呪いです」
で、その時もマッマは「そんな筈が無い」と思って追い払ったねん
でもな

69: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:45:44 ID:mK2Y
>>60の続きや

実際にワイもマッマもワイが小四の頃までに病気で死にかけたねん
順番的には
ワイ→ワイ→マッマ→マッマ
やな
で、最後にマッマが病気で入院してスグの頃やな
マッマは不思議な夢を2つも見たねん

1つはマッマの病室に親戚の叔母さん(マッマから見たらアッネ)が来て、パッパの不倫をバラす夢
2つ目は知らない男の人がマッマに対して「アナタやワイ君が死にかけたのはパッパとその先祖のせい」「どのみちパッパは不倫してるし、将来的にはアナタとワイくんは殺されるから離婚しなさい」
無論、マッマは「そんな筈が無い」と思ったけどな
1年後に、実際に夢の通りに叔母さんがマッマの元に来てからパッパの不倫バラしてきたねん

72: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:51:04 ID:mK2Y
>>69の続き

元々からパッパは家庭を省みない上にDVがエグかったんやが、ソレを聞いて退院後にマッマは離婚した
それと同時にマッマもワイもパッパやその家系とは綺麗に縁を切った
それまでは風邪を引く回数が多かったんやけど、離婚の翌年からワイもマッマも風邪を引く回数が一気に減った
で、それから8年くらい経った今日や
叔母さんからパッパの近況を聞かされたねん

76: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:55:22 ID:mK2Y
>>72続き
ちなそんなパッパの近況を箇条書きに書くと

・マッマと離婚後にパッパの愛人が不審死
・その後もパッパの親戚家族が立て続けに発狂死や病死
・噂が噂を読んで、とうとうパッパが失業した上で周囲から孤立
・年齢が年齢なのでパッパも就職出来ずにフリーター生活するも、なかなか職が続かない上にナマポ生活
・念の為にパッパも婚活するも全敗

こうらしい


61: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:39:57 ID:SWh9
魔王?

63: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:40:18 ID:mK2Y
>>61
なんかそんな感じの事を言ったらしい

65: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:41:16 ID:7ILT
魔王の息子か
なろうやん

75: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:53:12 ID:maSh
知らん女何者やねん

77: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:55:38 ID:mK2Y
>>75
知らん
ガチで知らん

78: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:55:47 ID:mK2Y
以上や
質問あるか?

79: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:55:48 ID:equD
呪いは量子力学だよ

81: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:58:48 ID:useu
え?まだパッパ死んでないん?

85: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 03:02:21 ID:mK2Y
>>81
死んでない

ナマポやけど

82: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 03:01:14 ID:Si8w
やっべー

83: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 03:01:52 ID:W4TA
今どき珍しい神スレw

86: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 03:03:02 ID:mK2Y
ちなみにパッパの家系はパッパ以外全滅やし、どのみち再び断絶すると思うわ

87: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 03:06:22 ID:mK2Y
ちなみにお坊さんも知らん女も家に来た理由が「天の声が聞こえた」とかやったらしい
あとマッマ曰く「家に来たお坊さんの1人が京都の人でビビった」

88: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 03:06:48 ID:mZW4
つまりその血をイッチも継いでるってことやん

90: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 03:08:12 ID:mK2Y
>>88
まあな

89: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 03:07:54 ID:Dg6j
天の声(笑)が聞こえてわざわざ見ず知らずの人の家に行くなんて今どきカルト宗教の信者くらいしかやらねえよ

92: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 03:10:45 ID:mZW4
そういう私生活のだらしなさって遺伝するもんなんか

94: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 03:11:26 ID:mK2Y
言い忘れていたけどワイは女や
しかも中学の時にマッマと道を歩いていたら知らん占い師に話し掛けられたんやけど、その時に占い師が色々と予言してくれたねん
ほぼ当たってるけど、ちと気になるのがあってな
それはワイの結婚なんやけど、占い師曰く「子供は2人出来る」「婚期は35-49歳」「晩婚になるほど幸せになる」らしい

……………上記の理由からバツイチ子持ちと結婚するんかな?

95: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 03:15:14 ID:65fU
魔王の娘か…

96: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 03:19:10 ID:VgJ7
そういうの信じすぎて結婚できなくなるパターンやろ

4: 名無しさん@おーぷん 23/01/20(金) 02:00:36 ID:kbRj
実際大昔は効果あったしな、呪い
精神的なもんやけどな




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何年か前、俺が大学生かつ資格学校生だった頃。
山ばっかりの某N県に住んでいた俺は、資格学校へ行くにも車で4~50分かかっていた。
途中には峠道もあり、明りもごく少ない山の中を予備校へ行くなんてのは、
都会で電車通いしてる人たちには想像しづらいかもしれないが。
山道と入っても一応国道で、途中には民家はもちろん飯屋だの診療所だのホテルだの、いくつかの建物がある。
その中の、今はもう無い、寂れた診療所の話。

通り過ぎるたびに気になっていたんだが、その診療所の脇にスネくらいの高さの小さな石積みが一つあった。
いつも通るのが夕刻過ぎだったため、周囲は暗がりで街灯も無かったが、
診療所の玄関灯のおかげで何とか見えるといった程度のものだ。
花なんかがいけてあることもあったので、事故かなんかで不幸があった人か、ペットの墓代わりかなあなんて思ってた。

資格学校へ行き、出先の近くで夕食を取り、車で帰る暗闇の山道のさなか。
あの診療所の前を通りがかったときだった。
ガスッ…
何かを引っ掛けたような気がした。
猫?狸?まさか、人じゃないよなあ!?
慌ててブレーキを踏み車を停めて、音の聞こえた辺りへ歩いて戻る。
この時気付いたんだが、徒歩で明りの乏しい山の中を行くのはすごく気味が悪い。
よく分からない何か生き物の声。風か、そうじゃないものが蠢いて響く草鳴り。
巨大すぎる闇の中で、恐ろしくちっぽけに思える自分の手足の無力感と来たら。
運転していたときはまったく気にならなかった。こんなに心細いものなのか…。
診療所の古めかしく明滅する玄関灯が、むしろ不気味な雰囲気を煽る。
例の石積みが目に入った。やたらでかい蛾の死骸なんかが横に落ちており、申し訳ないけど大変不気味だ。
そう思ったとき、何かが俺の横を通り過ぎた気がした。
振り向いたが、道端に停めた俺の車があるだけで、あとは鬱蒼として木々が風に少し揺れているだけだ。
さっき何かに当てたと思ったのも気のせいのようだ。そう思って車に戻り、エンジンをかけた。
人工物に包まれて、ちょっと安心した。
その瞬間。バックミラーに人が映っている。
暗闇の中、青白い輪郭が見えた。
俺の車は親父のセダンだったんだが、ソレは、車のトランクの向こう側から俺を見ていた。
おれは驚きでギャアと悲鳴を上げた。
同時に、人だった!俺は人にぶつけていた!という申し訳なさと恐怖に我を無くしかけ、車のドアを思い切り開けた。
しかも、人影は女性っぽかった気がする。
小者な俺はもう縮み上がっていた。
女の人に怪我させるなんて!
しかし、そう思いながら車から降りると、
先程と同じ様に山の中特有の物音が際立たせる静寂が、闇とともに俺を包んだだけだった。
車の周りをいくらはいつくばって探しても、猫の子一匹いない。うめき声すら聞こえない。
馬鹿な…。あんなにはっきり見えたのに…。
そうなると、今度は別の恐ろしい考えが浮かんでくる。
俺はオカルトの類は基本信じていなかったんだが、夜の山道ひとりぽつねんとしていると、枯れ尾花も幽霊に見える…。
恐る恐る車に戻り、バックミラーを見た。誰もいない。
俺はほうほうのていで家へ逃げ帰った。

それから暫く、その辺りを通るときは絶対にミラーを見ないようにしていた。
視界の中で、鏡に青白い影を認めるときがあったが、絶対に正視しなかった。

そして数日後。
俺は実家住みだったんだが、ある日、俺以外の家族が皆で祖母の家に泊まりに行くことになった。
俺は当時資格取得にすべてをささげる日々だったので、この時は申し訳ないけど遠慮した。
家族が出発した日の夕方、俺も家を出て資格学校へ向かった。
無事講義と課題を済ませて帰り道、またあの診療所の前に差し掛かった。
「見ない、見ないぞ、いや違う、何もないんだ、何も…」
ブツブツ言いながら通り過ぎようとすると、また車にバスッ…と何かが当たった感覚があった。
思わずバックミラーを見る俺。そして思い切り後悔した。
リアウインドーに、青白い女がべったりと貼り付いている!
「うわああああああ!」
人間が車体に貼り付いていると、たとえ生きた人間じゃないと思っても、ブレーキを踏んでしまうものなのかもしれない。
俺は急停止して(じゃないと事故らない自信が無かったし)、ハンドルにしがみついて震えた。
そのままゆっくりとバックミラーを見た。
いない…。
勘弁してくれ…。
心臓がガツンガツンガツン…と鼓動していた。
気が付くと今俺が止まったのは診療所のまん前だった。
恐らくそこのご主人だろう、おじいさんが俺を見て目を丸くしている。
ばつが悪い。悪すぎる。
あいまいな笑みを浮かべ、ともあれ俺は走り去ろうとした。
すると、おじいさんの方から話しかけてきた。
「あんた、大丈夫かい?女を見たんじゃないかね」
「何で分かるんですか!?」
「やっぱりか…。ちょっと上がりなさい」

診療所は以前から閉めているようだった。診療室のほうは使っている気配がない。
二階の生活スペースのへ通してもらい、奥さん(もちろんおばあさん)がお茶を入れてくれた。
俺は自分の身に起こったことを一通り説明した。
おじいさんが言う。
「あんたが見たのはさ、恐らく以前うちに通っていた女の人だよ。
 ずっと昔はうちは産科をしていてさ。
 突然容態が悪化して運び込まれたものの、流産した女の人が一人いたんだが。
 男にはとうに逃げられていたらしいんだがね、一人でも産もうとしていたんさ」
おばあさんが当時のことを思い出したのか、顔を伏せた。
「ショックのあまり、少し回復した頃にその本人も、ここの前をふらふら歩いていて、車にはねられてね、死んじまった」
「じゃあ、その女の人が…」
「たまに化けて出るんさ。特にドライバーに。それが原因で自殺や事故に遭い、命を落とした人もいる。
 表立ってそうとは報じられないけどな、わしらはそう思ってる」
おいおいおい………
何だかもうお茶の味がしない…。
「じゃあ、この道を通るたびに、俺はその幽霊に出会っちゃうってことですか?」
嫌過ぎる。この山道には高速使う以外に迂回路などないのだ。
「いや、そんなことはないよ。そりゃ、地縛霊ってやつだろう?
 車に貼りついてたんなら、もう取り憑かれてしまっているな」
「ええええ!?」
じょ、冗談じゃない!
「前の人のときもそうだったからな。たぶんそうさ」
おばあさんがうなずいている。
「ま、前の人!?その人、どうしたんですか?」
「そこかしこに例の幽霊見るようになってなあ。いよいよ参って、首を吊る寸前で憑いた元のうちに相談に来た。
 で、うちに一晩泊まっていったら剥がれたみたいだな」
泊まっただけで…?
怪訝な俺の表情を見て、爺さんが補足する。
「当時、わしに祈祷師みたいな友人がいたんさ。
 ほれ、そこに畳敷きの和室があるんだが、そこへ塩盛ってもらって、札貼ってもらって、一晩閉じこもったんだ。
 そしたら、翌朝には憑き物がどうも落ちていた」
「その札とかって、今でも…」
「とってあるさ」
小者な俺にはもう選択肢はなかった。
「ぶしつけですが、今晩泊めていただけないでしょうか!?」

襖に仕切られた和室の内側にべたべたと何枚もお札を貼り、四隅に塩を盛って、俺は準備を整えていた。
夜はすっかり暮れきって、また得体の知れない鳥類らしき物の泣き声が診療所の外から響く。
夜の闇の中、この一帯にはこの診療所しか光源が無い。
これが昼間ならまだ自然を楽しむ気も起きるんだろうが、今はひたすらおどろおどろしいだけの夜気が外を満たしている。
しかし、このお札ってだいぶ毛羽立っているんだが、使用期限とかあるんだろうか…
俺は寝巻きに着替えたじいさんたちにお礼を言い、さあいざ閉じこもろうとしたら、じいさんが言った。
「今晩の注意点は二つだ。まず、絶対に自分からこの襖を開けないこと。あと、霊に接触しようとしないこと」
「頼まれてもしたくないですが…一応理由とか聞いていいですか?」
「祈祷しまがいの奴の受け売りだがね。
 ここに出る女の霊というのは、成仏できない魂といったものではないそうだ。
 我々の知る言葉で表現するなら、死者が現世に残した『思い出』のようなものらしい」
「思い出、ですか…?」
「それ自体は単に現世に漂うだけの、消えるのを待つだけの雲みたいなものだ。
 だから基本的に成仏というものはない。本人じゃないからな。
 ただ、自分に興味を示してくれるものには必死ですがり付いてくる。それがその相手を害することになってもだ。
 誰からも永遠に忘れられてしまう、それが思い出にとっては一番恐ろしいことだ、ということらしいな。
 だから自分から迎え入れるような素振りを見せちゃあいかん」
「俺、そもそもその女の人に興味なんて持ってないですよ。何で俺に?」
「何か、この辺りで気にかかったものなんかは無かったかい?」
この辺りで?何も無いじゃないか、この辺りなんて……あ。
「ここの横に、石積みがありますよね?小さい墓みたいなやつ」
「ああ、昔あったな。その女を悼んで作ったものだが、いつの間にか崩れて無くなってしまったな」
「いや、今でもありますよ。俺、夜通るときに見てましたもん」
おじいさんが顎に手を当てて言う。
「わしは毎朝玄関前を掃除するのが日課だが、あんなものはとうに無いぞ。
 …ひょっとしたらそれが、女の幽霊の仕掛けた気引きではないのかな」
え…それってつまり…
「気にしたもん負けってことですか…?」
「組し易しと見たんだろうな。人が良さそうだ、憑きやすそうだと」
うれしくない。全然うれしくない。なんか俺って、つくづく小者な感じだ。
「とにかく、部屋から出ない。襖も窓も開けない。そのまま朝までがんばれ」
「はい」とうなずいて、俺は襖を閉じた。
おじいさんたちは一回の奥にある寝室で寝る。さすがに一緒に寝てくださいとは言えない。
これで今晩は一人きりだ…。
窓の外を見る。木、空、地面…。
本当にいちいち全部暗いんだよ、畜生。こええよ。
まあ俺なんて単純なもので、思い出という単語の語感で少し気が楽になった。
おじいさんの許可はもらっていたので、電気もつけっぱなしだ。
そして小者はさっさと寝るに限る。
敷いてもらった布団に服のまま入り、目を閉じた。
部屋は明るくはある。しかしさっき限りの無い暗闇を見た俺には、山の物音とともに不安が押し寄せてきていた。
この明るい部屋が、大海原でぽつねんと一つ残された小船のように思える。
いつ転覆するか分からない。
周囲には誰もいない。
この世界でただ独りになったような錯覚…
気のせいか、木々の音に混じって人の声が聞こえるような気がする。
あけて
ここをあけて
気のせいだ。ただの耳鳴りだ。ビビッてるせいだ。
俺は頭まで布団に篭らせた。
…いや、まだ聞こえる。なんだ、なんて言ってる…?

わたしをそこへいれて…
わたしをわすれないで…

ううわあ…段々はっきりとした言葉に聞こえてきた。
両手で耳をふさいでも、止まらない。何でだよ!?
汗が額から吹き出てきて、耳を覆う手もぬるっと滑った。
自分の歯がゴチゴチ鳴る音がうるさい。

ねえ
ねえ
ねえ!

うるせえよ!あっちいけ!



ほとんどパニックになりかけていたとき、隣の部屋から物音がしたので、意識が覚醒した。
襖の向こうからほんの僅かにもれる明りで、向こうの部屋にも電気がついたのが分かる。
「だ、誰ですか!?」
襖越しに声を掛けた。
「ああ、起こしてしまったかい、済まない。ちょっと様子を見にきただけだ。なんとも無いかね?」
おじいさんに続けて、おばあさんも声を掛けてくれた。
「大人しくしてるんですよ?」
まるで孫扱いだな、参るなあ。
しかし次の瞬間、隣の部屋の様子が変わったんだ。急激に空気が張り詰めたのが分かる。
「お前は…お前…どうして…」
おじいさんがそういったまま絶句している。
なんだ、突然。誰がいるんだ?
そしておじいさんが俺に叫んだ。
「君、逃げろ!今すぐその部屋を出て逃げるんだ!そこにいてはダメだ!」
なんでなんでなんで?
今度こそパニクッた俺の耳に、おばあさんのうめき声が聞こえた。続いておじいさんの怒鳴り声。
「お前、やめろ!うちのを放せ!くそ!」
おばあさんに何か危害が加えられ、おじいさんがその犯人を食い止めようとしているようだ!?
「君、頼む来てくれ!うちのを助けてくれ!ああっ、あっ、やめろ…!」
襖の向こうではただならないことが起きているようだ。
俺は小者だ。小者は臆病で卑怯だ。小者な人には分かってもらえると思う。
けれど、小者は自分より弱いものがひどい目に合わされているのを無視は出来ない。
それが自分のことが発端であれば尚更だ。
ビビッてる場合じゃねえ!
俺は気合を総動員して立ち上がると、襖の前に仁王立ちし、覚悟を決めて襖を開け放った。
勢いでバシン!と音が響いた。…暗闇の中に。
そのときの俺は一瞬思考停止してた。もしかしたら心臓だって止まってたんじゃないかと思う。
そのときの俺の目の前の光景を説明すると、
…まず、おばあさんはそこにいなかった。というかおじいさんもいなかった。
誰の声もせず、山の音も聞こえず、すっかり静まり返っていた。時間が止まったみたいだった。
そして隣の部屋は真っ暗だった。さっきは確かに二人の声もして、部屋の明りもこぼれていたのに。
はめられた。そう思った。
暗闇の部屋の中、襖を開け放った格好のままの俺の目の前に青白い女が立っていた。
俺はその顔をはっきりと見た。
恐ろしく白い。無表情に近い。
けれど顔面の僅かな表情の歪みに、凄まじい感情が篭っているのが分かりすぎるほどに分かる。
もう俺を凍りつかせているのは、驚きではなくて恐怖だった。
『思い出』じゃない。これは『思い出』なんて生易しいもんじゃない。女の感情が読み取れるにつれてそう確信した。
これは激しい、とても激しいが、憤怒じゃない。もっと最悪の奴だ。憎悪とか、怨恨とか、名付けるとしたらそういうの。
俺は思いっきり悲鳴を上げた。喉が切れるかと思った。
女はあっさりと和室の仲に踏み込んできた。
何で、何で開けちまった、俺!俺!
てか俺はあんたに何もしてないぞ、無関係だ、どっか行け!
もう小者の悪い面が全開で、後ずさりしてつまづき、布団の上にへたり込んでしまった。
女が俺の首に手を伸ばしてきた。女の真っ白な体に飲み込まれるように、俺の意識も白濁して行った…

白くぼやけた視界の中で、俺はいつの間にか夢のようなものを見てた。
あれ、ここどこだ、女はどこ行った…?
夢の中で、俺はどこかの部屋の中にいるようだった。体の自由が利かない。
勝手に視界が巡って、鏡を見た。
驚いた。俺はあの青白い女の顔をしていた。ただ、肌は健康な肌色。
これはもしかして、あの女が生きていたときの記憶か?と当て推量で思った。多分当たりだと思う。
俺=女はベッドにいたんだが、腕の中におくるみがあり、その中に動きがある。顔は見えないが、これは赤ん坊だ。
なんだ、流産なんかしてないじゃねーか…
ぼやけてよく見えないものの、この部屋はえらく生活感があるというか、
病院なんかじゃなく普通の一戸建てのように思える。
すると女の視界に、壮年の夫婦が入って来た。
俺はギョッとした。それは俺を泊めてくれた老夫婦だった!少し今よりも若いが間違いない。
よく見るとこの部屋は俺が泊めてもらった部屋だ。
じゃあなんだ、この女、あのおじいさんたちの娘さん!?
そんなこと一言も言ってなかったぞ!?まあ、言う義務もないけど…
しかし、妙な違和感を感じた。
夫婦が俺=女に向ける視線が変だ。何か軽蔑するような、汚いものを見るようなまなざし…
よく見るとそれは女本人じゃなく、腕の中のおくるみに注がれているようだ。
女の視線がおくるみへ動く。その時布が少しだけはだけて、赤ん坊の顔が初めて見えた。
その様子を詳しくは書きたくない。
ただ、頭部が一般的な形とはかけ離れていたんだ。
医学の知識なんてない俺が見ても、何年も生きられるわけじゃないんじゃないかと思えるような形。
でも女の暖かい気持ちは、しぐさや視線から俺にも伝わってきた。
少なくともこの子には、たった一人は味方がいるんだ、と思った。
その時部屋の窓の外に一人の髪の長い女の影が見えた。恨みがましい目でこっちを見ている。なんだ、いったい?
次の瞬間、女が目を開けると、時間が動いたらしく、すっかり夜だった。
同じ部屋の天井が見えた。そのすぐ横に、昼間の長髪女がいた。
それまでほとんど無音だったんだが、長髪女の声ははっきりと聞こえた。
「いいわね、親が医者だと、安心して産めて。あたしなんて二度も下ろしたのよ…」
長髪女は傍らの赤ん坊をおくるみごと抱え上げた。
「あんたはまた産めばいいわね、親が医者だもんね。この子、あたしが育ててあげる…」
そう言う目が普通じゃない。この長髪女はおかしい。
起き上がろうとする俺=女を殴りつけ、長髪女は走り去って言った。
俺=女が助けを呼んだようだった。
俺=女は立ち上がろうとしたが、どうも脚に何か不自由でもあるらしく、あまり速く動けない。
窓の外に走り去る長髪女が見えた。思わず窓にかじりつく。
すると長髪女の後を、過去のおじいさんが追いかけるのが見えた。
おじいさんは健康な男だし、今より若い。暗い車道の上で、長髪女に見る見る追いついていく。
行け!取り返せ!
…しかしどうしたことか、おじいさんはあと一歩というところでスピードを見る見る落とし、とうとう立ち止まってしまった。
長髪女はすぐに夜の闇の中に消えてしまった。
振り返り、診療所に戻ってくるおじいさん。
俺=女は思わず窓から離れ、身を隠した。理由は分かる気がした。
戻ってくるおじいさんの顔には、悔しさや怒りというより…安堵のような表情が浮かんでいたからだ…
翌日、俺=女はフラフラと家の玄関を出た。
太陽の感じからして朝のはずだ。視界もふらつく。寝てないのかもしれない。
家の周りをなんとなく見回していると、家の塀の脇に何か落ちているのが見えた。
たどたどしく歩いてそれに近づく。
なんだあれ?……おい。やめろ。歩くのをやめろ。それに近づくな。
俺=女の視界が震えでブレていく。
やめろ!それを見るな!
女がそれの目の前で、とうとうしゃがみ、それを手に取った。
見ないでくれ!
長髪女は知らなかったんだ!この女がいつもおくるみにすっぽり入れていたから、どういう赤ん坊か知らなかったんだ!
思っていたのと違ったんだ!こういう赤ん坊だと思わなかったんだ!
だから捨てた!ここに捨てやがった!厄介者みたいに、もういらないって!
愛されてたのに!
少なくとも一人だけは自分のことを愛してくれる人の腕の中で、短かったかもしれないが、一生を送ることが出来たのに!
こんな、ゴミみたいに!何の価値も無いものみたいに!価値はあったのに!
もとあった場所に返しますってか!?あたしはもう要りませーんってか!?
赤ん坊の頭が赤黒く乾いた液体で染まっている。脇の石塀も同じ色だ。
……石塀に向かって投げ捨てやがったんだあいつは!!!
赤ん坊が冷たく、固くなっていたのが分かった。
女は立ち上がろうとした。しかしやはり足が悪いせいで、よろけた。…車道側へ。
そこへ明らかにスピード違反のスポーツカーがブッ飛ばしてきた。
俺の白い夢の視界が真っ赤に染まって、夢が終わった…。

気がつくと俺はさっきと同じ部屋で、青白い女の幽霊に首を絞められていた。
もう肺の中の酸素が残り少ない。視界がチカチカしてきた。やばい…
『女本人』はとうにあの世にでもいってるんだろう。
この幽霊からは思考能力や人格みたいなものは感じられない。それは霊媒師とやらのいうとおりなのかもしれない。
ただの、ただの憎悪の名残だ。その強さからして、『思い出』なんて呼び方は不適当な代物だ。
けど、こいつはどうなる?こんな所に置き去りにされたこの感情は、どうされるべきなんだ?
本人ですらない、ただ誰かを憎み続けるだけのこいつは?
あんな思いをしたのに、何も報われることもなく、誰かを傷つけっぱなしで、いずれ消えていく。そんなんでいいのか?
こいつも何か報われるべきなんじゃないのか?
天国があるのかどうかは知らないが、もしあるなら女本人はとっくにそこに行っているだろう。
ずっと辛いままなのはこいつだけじゃないのか?何か思いを遂げさせてやることは出来ないのか?
ああ、でも今のこいつの目的は俺に憎悪をぶつけて、俺を殺すことなのか…
俺はさっきの夢のおかげで、青白い女にすっかり感情移入してしまっていた。
異常な状況が続いて、えらくセンチになっていたのかもしれない。
そうなると小者特有の弱気ループだ。
別に俺がここで死んだって、奥さんや子供がいるわけじゃなし、そんなに悲しんでくれる人っていない気がするな…
親とかって俺が死んだら泣いたりするのかな…あのおふくろが泣くとことかって全ッ然想像できねーけど…
ここでちっとは人の役に立って死んでもいいのかな…あ、人じゃねーや…
普段なら絶対に陥らないような考えが渦を巻いて、酸欠もあって頭が回らなくなってきた。
いいっすよ、俺なら…全然小者なんであなたの無念を晴らすには全然足りないと思うけど…ちっとは気が済むんなら…
すると心持ち、女の手が緩んだような気がした。火花が散る視界の中だったが、女の表情も少し緩んだような気がする。
あれ、いいの…?
視界の火花がゆっくりブラックアウトして行った…

「君!」
おじいさんの声が聞こえた。
今度は本物か…?
目を開けると、まだ夜だった。
「様子を見に来たら襖が開いているし、ひどくうなされているし…大丈夫か?」
「ああ…なんか、大丈夫みたいです。もう…」
おじいさんは「君はちょっと心配だから」と、隣の和室に新しく布団を敷いて寝てくれた。
そしてその後は何事もなく夜が明けた。
朝になってみてみると、俺の首にはうっすらと赤く手のあとが付いていたので、かなりゾッとした。
こうして俺の人生唯一の心霊体験が終わったのだった。

俺は夫婦にお礼を言い、朝食をご馳走になってから、おいとますることにした。
夫婦は玄関先まで俺を見送ってくれた。
俺は特におじいさんに聞きたいことが色々あったが…
あの長髪女はその後どうなったんですか?
赤ん坊の父親はどうしたんですか?
娘さんやお孫さんのことを、本当はどう思ってたんですか?
今ではどう思っているんですか?
何故、幽霊のあらましについて嘘をついたんですか?
夜俺にどんなことが起こるのか、どこまで知っていたんですか?
まだここに残っているであろう『思い出』のことをどう考えているんですか?
何故石積みが崩れたとき、直さなかったんですか?
何故その祈祷師まがいとやらに、『思い出』を根絶するよう頼まないで、対症療法みたいなことだけしてたんですか?
何故、石積みの墓は一つしか、一人分しか作らなかったんですか…?
他にも色々…。
しかし、聞くのはやめた。
無関係の俺がほじくり返していい話ばかりではないだろうし、おじいさんも正直に話す義理はない。
何よりきっと、この夫婦も俺と同じで、
今でもきっといろんなことが、自分のことが、『分からない』ままなんじゃないかと思えたからだ。
俺は車に乗り込み、発進前にバックミラーを見た。あの女も石積みも見えなかった。
それが夜が明けたせいだけではないと思いたい。
アクセルを踏んで、俺は家に帰った。

それから夜間に何度あの山道を通っても、幽霊に遭遇することはなかった。少しは気が済んでくれたのだろうか。
資格を無事取得し、その後東京で就職した俺は、もうあの山道を走ることは極めて稀だ。
今年の頭に帰省したとき、用事があって昼間だったがあの道を通った。
少し緊張しながら診療所の場所に差し掛かったんだが、診療所は奇麗さっぱり消えていた。
この辺りには知り合いがいないので、あの夫婦が今どこでどうしているのかは分からない。
今となっては全部夢だったんじゃないかとも思える。
正直なところ、あの首の手のあとが消えてしまう頃、それを少しだけ寂しいと思った。
もう一回くらいあの幽霊に会いたい気もする。あー、でもやっぱりおっかないから会わんでもいいな…。
今では俺にも子供が生まれ、精一杯の愛情を注いでいる…とでもなればいい終わり方なんだが、
残念ながらその気配はまったくない。
自分の小者ぶりを再確認しただけで、この話は終わるのでありました。





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幼稚園の頃の体験なんだが、今でも鮮明に覚えている体験がある。 
心霊現象なのか、自分がみた幻覚なのかはわからんが、確かに怖かったので書き込んでみる。 

その日はいつものように両親と川の字になって寝ていたんだが、目を覚ますと見知った部屋じゃなくなってた。 
赤と黒の二色で、どこまでも続いているような空間。 
真っ黒な木々が立ち並び、何かコウモリのような黒い生き物が空を飛んでいた。 
周りを見てみると、両脇に両親が寝ていて、頭の方には絵本や電気スタンドが置いてある。
寝る前となんら変わってはなかった。 
そのときは不思議と、単に興味だけでまわりを見渡していた。 
そしてふと正面を見てみると、人の首があった。 


66 :2/4:2011/09/03(土) 23:24:21.88 ID:PZIBqwB10
目。鼻。口。額。耳。至る所から血が流れていた。血みどろの頭。 
そんな頭が浮いている。
それが少しずつ近づいてくる。 
頭が浮いているなんておかしい。血みどろなんておかしい。 
それがなんで自分に近づいてくるの? 
理解出来ない事だらけで怖くて仕方が無かった。 
だから両隣に眠っている両親を必死に起こそうとした。 
揺する。起きない。 
叩く。起きない。 
殴る。起きない。 
蹴る。起きない。 
何をやっても起きなかった。


67 :3/4:2011/09/03(土) 23:27:47.45 ID:PZIBqwB10
そうこうしているうちに、その血まみれの頭は目の前までやってきた。 
その首は何かをブツブツ言っている気がした。 
その首が怖くて後ずさった。 
カツンと手に何かが当たった。 
電気スタンドだ。 
それを見たとき、コレが救いだと思った。 
『幽霊は明るいところには出てこない』
幼心にそんな事を思い、電気スタンドの電源を入れた。 
付けた瞬間、思った通りにその首は消えた。 
周りもいつも見ている部屋に戻っていた。 
その直後に両親が同時に起きた。 
その両親の顔を見たときに、両親の顔に少なからず痕があった。 
自分が叩いたりした痕だった。 
それを認識した瞬間、意識が飛んだ。


68 :4/4:2011/09/03(土) 23:30:42.97 ID:PZIBqwB10
次に目が覚めると、両親が僕を看病していたところだった。 
両親が心配そうに自分の顔を覗き込むが、その顔には確かに叩いた痕が残っていた。 
熱を測ったところ、40度を超えていたらしい。 
慌てふためきながら看病をしてくれる両親を見て、『もう怖いものはいなくなったんだ』と安心し、
もう一度眠りについた。

目が覚めて即病院に行って検査をしたところ、腎盂炎が判明。 
そのまま即入院。どれくらい入院していたか覚えていないが、少しずつ回復していた。 

退院してから少しして、急遽引っ越しをした。しかも隣町。 
なんでこんな引っ越しをしたのか聞いたが、両親は何も言わなかった。


69 :本当にあった怖い名無し:2011/09/03(土) 23:37:45.72 ID:cFXrE63z0
引っ越しの理由ちゃんと聞けよwwwwww


70 :65:2011/09/03(土) 23:47:10.69 ID:PZIBqwB10
余談。 

その家に小5の時に行ったのだが・・・無かった。
その場所には、お祓いの囲いのようなものがあった。 
噂で聞いたのだが、その家は火事にあったらしい。そこの家族がどうなったかはわからない。 
現在、その場所は道路になっている。 

親の傷跡から、夢ではなかったんだと思う。
何か幻覚でも見てたのだろうか?それとも幽霊を見たのか? 
それが最初で最後の、身に覚えのある心霊体験だった。 
金縛りや怖い夢みたいなものはたくさんあるけどな! 

>>69 
ちょっと詳しく聞いてみるわ。


75 :65:2011/09/04(日) 06:25:44.96 ID:bOoznYkO0
とりあえず父親は中1の時に亡くなってるので、小2で離婚して疎遠になっていた母親に聞いてきた。
結果、単にオンボロすぎる家だったから、新しい家を建てて引っ越したそうだ 
近くに引っ越したのは、幼稚園が変わって友達と離れてしまうのを避けるため、だそうだ。
・・・なんであのとき話してくれなかったんだろう?
「お祓いとかしたか」とも聞いてみたが、特にしてないらしい。
亭主関白気味な家だったから母親は知らないだけで、父親は何か知ってたかもしれない。

親の愛に泣いた。あのまま住んでたら、火事に遭ってたかもしれないと思うとゾッとする。
だが、幼稚園の頃の友達なんざ中学の時点で交流切れたぜ・・・(´・ω・`)


77 :本当にあった怖い名無し:2011/09/04(日) 11:19:12.81 ID:vkQMBong0
>>75 
お前さんの人生、わりと波瀾万丈だな。
きわどいところで守られてるってのがすげえよ。


78 :65:2011/09/04(日) 21:10:41.11 ID:XJsm/FFP0
>>77 
そういや、今までもきわどいところで生き残ってる事が多いな・・・ 
小2の交通事故は、乗っていた自転車が車の下敷きになって勢いを殺し、自分は軽くはねらた。
中3の時にガラスが落ちてきて骨が見えるほど手首を切ったが、腱も動脈も切らず、現在問題なく動いてる。
高3では自転車のチェーンが突然切れて道路に投げ出され車に轢かれたが、
空中で半回転して仰向けに倒れたので足の怪我で済んだ。

小学のときは、しっかり左右を見たにも関わらず車に撥ねられた。
中学のときは、家の窓ガラスが割れて、落ちてきたときにザクっと。 
高校のときは、買い替えてすぐの新しい自転車だったにもかかわらずだ。 

まさか心霊体験が何かに関わってるのか?事故の要因、あるいは悪運として。


79 :本当にあった怖い名無し:2011/09/04(日) 23:48:09.54 ID:WY5UwAhF0
>>78 
レベル高い守護霊だな


80 :本当にあった怖い名無し:2011/09/05(月) 01:06:04.21 ID:9/IiNUUp0
>>78 
悪いのがいて、いいのもいるんじゃね。 
いい方に頑張ってもらわないと危険っていう感じがする。 
とりあえず、離婚とかしてややこしそうだけど、先祖は大切にしとけ。


81 :65:2011/09/05(月) 21:14:43.65 ID:MZnsEl710
>>78 
護られてるのか、祟られてるのかわからんね、ホント。
この心霊体験の時の霊が原因だったら、どんだけ寸止めが巧いんだよこの霊www 

>>80の言う通り両方いるのであれば、護ってれる者がいるのは嬉しいもんだな。
ぼっちだから余計そう思う・・・いや、リアルぼっちだからこそ護ってくれてるのかな? 
毎年墓参りに行ってるが、今度は墓前で近況報告でもしてみることにするよ。 

また余談だが、ついさっき母親から電話が来て衝撃の事実を告げられたわ・・・ 
俺には弟か妹ができるはずだったらしい。早い段階で流産してしまい、生まれてくる事は無かったのだが。 
その子がもしかしたら護ってくれてるのかも、なんて言ってた。 
どちらにせよ生きられなかった子の分も含めて、生きてる事に感謝しなくちゃなと思った。 

今更ながら体験談から自分語りになってたな、すまんかった。






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